[0015] Flashするならタブレット

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0015 1998/04/29発行
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●本日のコラム『Flashするならタブレット』
 水曜日担当:まつむらまきお

●イベント・情報
 ・「Adobe Creative Launch 1998 "CREATOR's ROCKETS"」のお知らせ
 ・WONDER BOOKS展-荒俣宏コレクション
 ・SFXの魔術師「フィル・ティペット展」
●サイトご紹介!
 ・「フォント・DTPに関するページ」その1
●本日のTIPS/3Dアプリケーション編



【日刊・デジタルクリエイターズ】水曜日のコラム
 水曜日担当:まつむらまきお

もっとFLASH!第三回
「Flashするならタブレット」 

どもー、まつむらです。考えていたネタを土曜日の佐藤さんにまんま、書かれ
てしもーたんで、困ってます(-_-;)。で、今回はちょっと趣向を変えて、
FLASHと切っても切れないあいだがらの「ペンタブレット」のお話。

FLASHの作図ツールは、恐ろしくシンプルで、図形を書くモードといえば、
「直線」「円」「矩形」の3つしかない。もちろん、ベジェコントロールのた
めのペンツールだってない。いまどき、クラリスワークスでもポリゴンツール
くらいそろっているのに、である。どーも、この外見が「グラフィックツール
としてなめられてる」要因であるよーな気がするんだけど(^_^;)、これは別に
FLASHが初心者向けにツールを限定しているわけではなくて、「フリーハンド
でドローイングする」という設計思想の現れなのであーる。それが端的に現れ
ているのが、たぶんだれも使っていない(^_^;)「図形認識機能」。鉛筆ツールの
「ストレートモード」で、フリーハンドで円や四角を書くと、フリーハンドの
線は自動的に直線や円弧に変換される。もちろん、このアイデアは
「Newton」から来ているモノなのはあきらかだけど、FutureWave社の連中
がAldusにいた頃に作った「インテリドロー」で実現されていた機能だ。
しかしですね、画面に直接ペンで書き込むNewtonならともかく、マウスが標
準であるパソコンで、円や四角を作図するのに、フリーハンドで書くヤツはい
ない(^_^;)。いや、アメリカ人ならいるのかもしれんが。そーいえば、FLASH
もそうだけど、QuickDraw系のグラフィックソフトで円を描くとき、伝統的に
「円に外接する四角の対角線」というわけのわからん描き方するよね。あれだ
けはどうも理解に苦しむのだが、アメリカ人だと感覚的なんだろーか?

で、そのあたりから考えると、Flashは「タブレットを使うことが前提」と
なっているソフトなのだっ!と言い切ってしまおう(^_^;)。もちろん、円や四角
といった作図なら、タブレットでもマウスでもたいして変わりがある訳じゃな
いけど、スラスラッとペンでドローイングすることこそ、FLASHの醍醐味であ
る!ベジェなんかクソ食らえっ!という、開発者の心意気がヒシヒシと伝わっ
てくるじゃないですか(^_^;)

そういうわけで、ぼくは機会がある毎に、「Flashするならタブレット」と
言ってるんだけど、「買ったんですけど、うまく使えないっす~。」という話
もよく聞く。ひどいのになると「マウスパッドにしてる」なんて人もい
る(^_^;)。

そうなのだ。実はタブレットというヤツは、使いこなすのにけっこう時間がか
かるものなのだ。ぼくが最初のタブレットを買ったのは、7年ほど前、期待を
込めて10万近くも出してタブレットを買ったのだけど、全然思うように描けな
かった。イラストレーター仲間の話を聞いても、だいたいそう。はじめっから
「タブレットって最高~」って言う人にはお目にかかったことがない。

で、なんでタブレットでうまく描けないのか?というと、『マウスよりもうま
く描けるはずだ』という、思いこみもあるのだが、要は脳細胞のバイパスの問
題なのである。
現実のペンで紙に文字や絵を描くとき、目をつむっても思い通りに描ける人は
そうはいない。目がペン先を注視し、その情報を元に脳が指先を微妙にコント
ロールしてはじめて、思うように線が引けるわけだ。ところが、ペンタブレッ
トでは、ペン先にはなにも書かれない。線を引くペン先は、モニター上のカー
ソルである。この「位置の違い」を脳がうまく指先にフィードバックできない
のだ。
はじめてマウスを持った時のコトを思い出してみよう。マウスの方に気をとら
れて、なかなか思うようにカーソルをコントロールできなかったはずだ。で
も、ちょっと使っていれば、マウスのコトなんか意識から消えて、「自分が
カーソルを手首で直接うごかしている」感覚に変わっていったはず。これは脳
細胞の視覚の部分と手首を制御する部分にあたらしいバイパスができて、「手
首とカーソル」が直結したことによる(のだと思う。まんが家に正確な医学知
識を求めないよーに(^_^;))。
タブレットもこれと同じで、「ペンをコントロール」するという考えを捨て、
「カーソルをコントロールする」というコトに慣れれば、現実のペンと同様に
扱えるようになる。
もちろん「絵がうまくかける」かどうかというのは別の話であるけど、ちょっ
と練習すれば少なくとも、だれでもタブレットで自分の「字」を書くようには
なれる。そこまでくればしめたモノで、FLASHで自分の絵を描くということを
存分に楽しめるようになるはずだ。
ベジェを一所懸命コントロールして、自分の欲しい線をつくるのもいいけど、
自分自身が手で描いた線ってのは、ホント、そういうコトとは全然ちがうんだ
よ(どう違うのかは来週ね)。

では、最後にタブレットに慣れる方法を紹介しておこう。
・盤面のサイズの大小は、描き心地にはあまり関係ない。ぼくは17インチモニ
ターを2台つかっているが、タブレットはA4(有効面積A5)サイズの普通の
ヤツである。モニタ一台なら一番小さいサイズのモノでも問題ない。
・最近のタブレットの盤面はやや滑りすぎる傾向にあるので、紙などを貼って
滑り止めにしよう。薄手のマウスパッドやトレペがいいという人も多い。ぼく
もいろんなシート類を試したが、今のところ、コピー用紙で落ち着いている
(すぐボロボロになるのが難点だが)。ついでに、文具店で売っている、ウレ
タン製のペングリップをペンにとりつけると「ペンだこ」に悩まされずにす
む。
・ペン先はなるべく気にしないように心がけ、画面上のカーソルに集中する。
・図形ツールで円や四角を書いて、それをタブレットでなぞる練習をしよう。
右回り、左回りどちらでもカンペキになぞれる様になれば、もう自由にペンが
あやつれるはずである。
・ぼくは多くの場合、鉛筆で下書きをしたものをスキャナで取り込み、FLASH
で描くための下絵としている。自分の線が描けるようになるには、これが一番
の近道だろう。
・筆圧の練習をするときは、「ペン」ではなくて「筆」だと思って描くとい
い。ペンの構造上、横からの筆圧はうまく反映されないので「Gペン」などと
おなじようにはいかない。

///////今週のFlash TIPS///////
ツールの名称などを教えてくれる「Tooltips」。うっとおしいので、プレファ
レンスで「オフ」にしている人も多いと思うが、FLASH3では単なるヘルプに
とどまらず、タイムライン上のアクションの設定や指定してあるURLまで教え
てくれるぞ!

【プロフィール】
まつむらまきお
まんが、イラスト、アニメーション作家。大阪府吹田市在住。
パソコン誌、一般誌、女性誌、Webにて活躍中。
世界一わかりやすくて笑えるFLASH攻略本「おしえて!!Macromedia
FLASH2」(まつむらまきお/たなかまり共著 毎日コミュニケーションズ刊 
2,000円+tax ISBN4-89563-888-X)絶賛発売中です。ZEHI!
http://www.asahi-net.or.jp/~GU5M-MTMR/

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■イベント・情報

●「Adobe Creative Launch 1998 "CREATOR's ROCKETS"」のお知らせ

アドビシステムズ主催のクリエイター向けスペシャルイベントが開催される。
デジタルツールを駆使し、グラフィック・映像・Web・フォト・そしてライブ
パフォーマンスなどボーダーレスな創作活動を行っている松蔭浩之氏と、ゲス
トのクリエーターでの、作品を中心としたトークセッションとライブパフォー
マンスを行う予定。当日はグラフィック・Web・映像制作の最新ツールも紹
介。

CREATOR's ROCKETS-1
5月13日(水)開場:17:30 開演18:00
出演/松蔭浩之・ゴージャラス ゲスト/伊藤桂司(イラストレーター)

CREATOR's ROCKETS-2
5月14日(木)開場:14:30 開演15:00
出演/松蔭浩之・ゴージャラス ゲスト/タナカノリユキ(アーティスト)

CREATOR's ROCKETS-3
5月14日(木)開場:17:30 開演18:00
出演/松蔭浩之・ゴージャラス
ゲスト/伊藤桂司(イラストレーター)・松木靖明(CGアーティスト)

会場 ON AIR EAST 東京都渋谷区道玄坂2-14-9(渋谷駅より徒歩8分)
定員 各回400名(事前登録制)  入場料 無料

Adobe Creative Launch 1998 事務局
東京都港区南青山7-12-12 モアビル2F
tel : 03-5485-9196 fax : 03-5485-8841
e-mail : (受付時間 11:00~17:00)
http://www.adobe.co.jp/whatsnew/events/Launch98/index.html
松蔭浩之氏の紹介ページ
http://www.adobe.co.jp/whatsnew/events/Launch98/pro_matsukage.html
http://www02a.so-net.or.jp/~mag/previous_exhibitions/gaze2/artist_info-j.html

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●WONDER BOOKS展-荒俣宏コレクション

期間 4/29(水)~5/5(火)
時間 10:00~19:30(入館は19:00まで)
料金 無料
問い合わせ先 大丸心斎橋展南館8F美術サロン 06-271-1231
アクセス 大阪市 地下鉄御堂筋線心斎橋駅すぐ

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●SFXの魔術師"フィル・ティペット"展

「スターシップ・トゥルーパーズ」「ジュラシックパーク」「ロボコップ」等
で有名なフィル・ティペット氏の作品を全世界初公開! CGコーナーではCG制作
の疑似体験なんかも出来ちゃう!

期間 4/24(金)~5/10(日)
時間 10:00~20:00(入館は19:30まで)
料金  ¥300 小学生以下¥200(CITY会員は無料)
問い合わせ先 なんばCITY南館B1シティホール 06-644-2960
アクセス 大阪市 なんばCITY南館B1

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■サイトご紹介!

●「フォント・DTPに関するページ」その1

●墨東フォントが好きですよー。キャピー、わんぱくゴシック、えれがん
と・・、そう佐藤豊さんのページ「ようこそ! 書体の世界へ」です。
書体に関する情報や佐藤さんが感じられたことを綴られている「書体ウオッ
チャー」。「考えたこと考えていること」を読んで考えさせられたり。凄く勉
強になります。
無料日本語フォント「キャパニト」を配布中です。
http://www.linkclub.or.jp/~typelabo/
●「DTP Script Lib.」では、QuarkXPressの為のツールが沢山!!
色フチをつけたり、部分切り抜きをする為のものなど。
http://www.asahi-net.or.jp/~qq8t-krmc/index.html
●「単福」では、文字詰めツール、ベースライン調整ツールが。
http://www.asahi-net.or.jp/~bj5t-tkuc/
QuarkXPressを便利にするツール全部をアニメで紹介してくれるページまであ
ります。
http://www.asahi-net.or.jp/~bj5t-tkuc/down/tool.html

まだまだ私は修行が足らんのぅ・・・(濱村)

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■本日のTIPS/3Dアプリケーション編
 【日刊・デジタルクリエイターズ】では毎日クリエイティブ関連のアプリケ
 ーションのTIPSを掲載していきます。
 TIPSの難易度は、5段階で★印を文末に付けています。
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●StrataVision3D Ver.5.0編/「マッピングのわずらわしさ」

パソコンのキーボードのような、文字の印刷された(あるいはラベルのよう
な)オブジェクトを作る場合、オブジェクト全体のマッピングの中に文字を入
れる方法もありますが、データも大きくなり手間もかかります。
手軽な方法として、文字部分だけをその最低限の大きさの板状オブジェクトで
(オブジェクトが曲面形状の場合は、同型の表面形状で)張り付けてしまう方
法があります。(文字部分を透明マッピングで切り抜くこと)
コツはオブジェクトよりも少しだけ浮かせた位置に配置しておくことです。
(画面をできる限り拡大表示した状態で少しだけ移動させると通常のレンダリ
ングでは浮いた感じは分からないほどの移動量で済みます)
この場合に限らず文字類をテクスチャマップした場合は、レンダリング精度を
上げておかないと文字が綺麗にレンダリングされないので高画質レンダリング
を行って下さい。
★★★(W by 松岡アキラ)

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●沢山のメールありがとうございます! アドバイスメール、意見など、本当に
嬉しいです。中には、原稿書いてーーー!! と思うような内容もあって、こうい
うのが読めるなんて役得だなぁと思っています。そのうちにご意見を自由に書
き込んで会話出来るようなボードを作ろうと目論んでいます。あ、お返事お待
ちくださいねー!
●今日から連休の方も多いのでは? 楽しんでくださいねー!(濱村)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0015 1998/04/29発行
発行社  タワーズ株式会社
     <http://www.towers-inc.com/>
     大阪市中央区高麗橋1-5-6 東洋ビル3F
     TEL:06-231-1011 FAX:06-231-0838

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

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許可無く転載することを禁じます。
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