[0205] セミナー「新しい読書をめぐって…」から

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0205 1998/12/15発行
http://www.dgcr.com/      1998/04/13創刊
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●「セミナー『新しい読書をめぐって…』から」
 火曜日担当:柴田忠男

●主要サイト情報
 Apple/ Adobe systems

●コンテスト情報
 「夢百年祭CGグランプリ 99 in Aizu」

●デジクリClassifieds
「動画素材集CD-ROM『動く具』モニタープレゼント」



「セミナー『新しい読書をめぐって…』から」
火曜日担当:柴田忠男
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12月6日(日)の「日本語の文字と組版を考える会」第12回セミナーは、いつも
の文字や組版から少し離れて、「新しい読書をめぐって…」という文芸的なタ
イトル。隔月開催が原則なのに11月、12月は連続である。おかげで、いつもと
は違うタイプの参加者も多かったように思う。

さっそく8日の本欄で、デジクリワーカーのGOGA Yukoさんがレポートしてくれ
たように、なかなかの盛り上がりをみせて、企画担当の私もほっとして、二次
会のビールがうまかった。

富田倫生、松本功、萩野正昭の各氏の語りは力強く、こういう人たちの熱意は
貴重だと思う。ところが、セミナー常連参加者で、彼らの語りには違和感を覚
えた人もいるようだ。「電子出版の人はどうしてあんなに熱く語るのであろう
か」と、軽い拒否反応を生じたという声がある。

それは私が、DTP の初期にマックのエバンジェリストたちに抱いた感覚と似た
ようなものなのかもしれない。だが、今や私も電子出版の渦中にいるのだから、
冷やかにはなれない。萩野さんが繰り返し強調していた「書籍の魅力に匹敵す
る電子出版を具現化したい」という志には激しく共感する。

出版から志が絶えて久しい。今はとにかく「内容はどーでもいーからすぐに売
れるもの」が出版の経営者から求められており、編集者もその方面に血道をあ
げている。もう何年も前から「バカ編の時代」と言いふらしている私としては、
電子出版の方に志を語りあえる真っ当な編集者がいることを期待している。

さて、質疑応答が面白かった。誰もが単純に興味があるのは、無料で公開して
いるプロジェクトに携わる人たちの生活である。生活費である。

青空文庫の富田さんは「デジタル部活率99パーセントといった状態で、ご指摘
の食い扶持という要素に関してはとても困っております」と言う。富田さんは
デジタル部活者の私を度々引き合いに出すが、さすがに私は60パーセントを超
えると黄信号だと思っている。

青空文庫はバナー広告を入れたり、企業や団体から支援してもらうなど色々な
トライをしているが「ただこのくらいでは、関わる者、個々の生活を成り立た
せるレベルには到底ならないではないかというと、まったくそのとおりです。
まあ、人生の選択は色々あっていいわけで、確かに食い扶持の確保は大変だけ
れど、死んでないんだからいいじゃないかと、そこは実に無責任に構えている
のが現状です」

ああ、トンデモな人たちがここにも。私も部活が多いことをグチったりしてい
るが、傾斜角度がまるで違う。どっちがアホやネン? と問いたい。ひつじ書
房の松本さんは、「過去現在のひつじの本の販売の利益を投入することによっ
て書評のページを成り立たせている」と言う。

小零細の出版社がやるべきことなのか。「本当は、業界的なインフラなわけで、
ひつじ書房が必ずしもやる必要はないのですが、21世紀の出版社をやろうと思
うのであれば必要なことであると思って余裕というより切迫感でやっているの
です」と言うが、大変だろうなー。21世紀には岩波を超えるという「決意」を
持っているひつじだからがんばれるのだろう。

次が、神奈川インターパブリシング協会会長の高橋さんの質問。「富田さんは
本の消失、組版の消失ということをおっしゃった。この会のコンセプトとは正
反対で、敵陣に乗り込んできたというかんじなのですが、呼ぶ方も呼ぶ方、来
る方も来る方だと思いました。どういうつもりでこちらに来たのか、また企画
者はなぜ呼んだのか、真意を聞きたい」もちろん、論議を盛り上げる好意的な
オモシロ質問である。

富田さんは「組版は消失してもいいと、私は思います。組む者の個人的な美意
識が介在していなくても、テキストは受け取れる。それで通せる領域は、かな
り広い。さらに、〈本〉という枠組みに関しても、捨ててかまわないと思うよ
うになりました~(略)~組版というものは、省けるのか、省けないのか。組
版は、器をきれいに仕上げる美意識でしょう。これまで紙の器を巡って育まれ
てきたこうした美意識は、ウェッブページのような電子的な器作りの場でも、
大いに発揮されるでしょう。けれどやはり、組版というものは、器を越える上
位の概念ではない。あってもいいけれど、なくても通じる領域はある~(略)
~テキスト交換の本道は、そうした美意識を剥奪してしまったところに形成し
ていった方がむしろ適当であると考えます」と「日本語の文字と組版を考える
会」に対して挑発的ではある。

テキスト交換の本道はシンプルなテキストで持っておいて、組版も選択肢であ
るというのが富田さんの主張であり、そういう考えがあってもいいじゃないか
と思う。テキスト至上主義か? 組版オプション論か? こういう概念的な話
ならいいのだが、同じ組版オプション論でも、組版なんか好き嫌いだからどん
なのだっていいんだ、組版なんかマニアの世界だという意見が印刷業界内にあ
るのには困ったもんだと思う。

企画した私としては、どういうつもりで呼んだのかと問われても、別に敵味方
じゃないから、議論が盛り上がればおもしろいじゃないですかという曖昧な態
度でいたところ、ちゃんとガツンと一発かましてくれた人がいた。会のバック
ボーン(背骨)である鈴木一誌さんだ。

鈴木さんは「さきほど富田さんは、イヴァン・イリイチを引用するかたちで、
歴史の中で本が物神化したとおっしゃったが、テキスト交換も、テキストであ
ることを純粋に追求していくと、テキストの意味内容の物神化が起こるのでは
ないかと思う」とコメントした。物象化? 物神化? こうなると私の頭脳は
ついていけないのだが、すごく本質的な指摘だという印象はあった。

富田さんは、「電子テキスト自体の物象化、物神化が起こる、そういわれると
……それは考えてみますってことですね」と、初めてそんなことを言われたと
驚いていた。「それは本当に、痛いところにつながる指摘だと思う。そんなと
ころを突いてもらえるんだから、やはり今日は出てきて良かった」

さらに鈴木さんは「テキスト交換を純化していくと、作品が作者という一点に
回収されてしまうという、最終的な構造が厳然としてあるのではないか。それ
が富田さんの本意であったのか」と指摘した。

「新しい読書をめぐって…」のセミナーは、まだ質問者がいたのに時間切れで
幕を閉じたが、言いっぱなし、聞きっぱなしで終わらないのが「日本語の文字
と組版を考える会」のしつこいところである。講演内容、質疑応答はわかりや
すく構成し直し、参加者の感想などもまとめて会報を年内に発行する(この号
は本明朝で組む予定)。ホームページでも公開しようという企画もある。

この1週間は部活率85パーセントで、私の経済も赤信号だ。

■しばた・ただお 快晴の日曜日。配偶者から命じられたベランダの人工芝張
りにあきて川口市にいつの間にかオープンした巨大書店<書泉ブックドーム>
に脱走、「完全美少女」の本があるかどうか見にいく。ありました。マックの
コーナーとグラフィックのコーナーに平積み。売れてほしいな~。5階のイベ
ントホールで、バーチャルならぬ実在の「美少女業界」では有名な相原みさお
ちゃんのサイン会をやっており、写真集を手にした青年たちがたくさん並んで
いた。みさおちゃんは遠くから見たが、目が悪いのでよく見えず残念であった。

日本語の文字と組版を考える会ホームページ
http://www.pot.co.jp/moji/
完全美少女情報---人気投票もやってるよ
http://www.agosto.com/

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■主要サイト情報
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Apple/ Netscape/ Real System
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▼Apple
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Apple Developer Connection (ADC) Student Program概要。世界中の高度な教
育課程 (大学院、大学、短大、専門学校)の学生向け。'99年1月31日までに契
約すると、標準年間参加料が10ドル割引きになる。
http://developer.apple.co.jp/programs/students.html

「Apple University Arts」が創刊。
http://www.apple.com/education/hed/aua0101/

UCLAの物理学科で構築されている、Power Macintosh G3を使用した「スーパー
コンピュータ」プロジェクトの紹介などが掲載されている。詳細は
http://www.apple.com/education/hed/aua0101/appleseed/

▼Netscape
~~~~~~~~~~
Netscape Communicator 4.5がPC Magazineにより、1998年度の「Best Internet
Software and Sites」に選出されるなど、各賞を授与されたというリリースを
掲載した。
http://home.netscape.com/newsref/pr/newsrelease713.html

NGT Developer Releaseを公開。
ftp://ftp.netscape.com/pub/ngt_developer_release/

▼Real System
~~~~~~~~~~~~~
Realストリーム情報サイト「RealGuide」が15日リニューアルオープン。
更新がこれまでの週1回から毎日になるほか、番組情報は日本語のものを中心に、
海外の定番サイトや大きな事件などもピックアップする。
http://realguide.jp.real.com/

【▽担当 山口 壮/ えむ】 mailto:PXX06120@nifty.ne.jp
http://member.nifty.ne.jp/yamaguchi/

【▼担当 love miku】 mailto:ki-masui@jade.dti.ne.jp
http://www.jade.dti.ne.jp/~ki-masui/
SPEEDのシングルCD集が12/16に発売されます。←買おうかな(^^)
柴田忠男氏のトパーズ編は12/18に本屋に並びます。立ち読みでなくみなさん
買いましょう!
チープなHPですが、アクセス感謝。できれば感想を求む。ぜひ!

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■コンテスト情報
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「夢百年祭CGグランプリ 99 in Aizu」
http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/j/a100/cg/poster.htm
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以下は主催者案内より抜粋

平成11年に市制施行百周年をむかえる会津若松市が、記念行事として開催。国
際的レべルで競われるCGの公募展。CG作品は芸術から科学にいたる分野で
活用できるもので、21世紀に於ける高度情報化時代にふさわしいCGの表現作
品とする。これまでの概念を超えた新しい発想によるCG作品を募集。
また、将来のマルチメディア社会の中核的な技術の発展に貢献するため、CG
技術の向上を目指したソフトウェアを支援する論文公募も実施。

●部門
 (A)CGアート部門
  (a) 国際部門
  コンピュータグラフィックス・コンピュータアニメーション・インタラク
  ティブ/ Web・インスタレーション
  (b) 産業部門
  A&Vレコード・アニメキャラクター・ゲーム・CM
 (B)CGサイエンステクノロジー部門
  高速描画アルゴリズムに関連した研究論文のコンテストです。
 (C)Aizu部門
  会津地域のコンピュータリテラシーの普及を目的としたCG技術奨励の部
  門です。コンテストではなく自由参加の部門です。
  CG・ホームページ

●募集期間 平成11年2月1日(月)~5月10日(月)
●審査
 特別委員 國井利泰(東大名誉教授、前会津大学学長)
      内山昭太郎(東京芸術大学教授)
      河口洋一郎(東京大学教授)
      寺沢武一(漫画家)
      杉山知之(デジタルハリウッド学校長)
 審査委員 カロルミシュコフスキ(会津大学助教授)
      デリオン北川みどり(オハイオ州立大学助教授)
      西村憲(会津大学講師)
      イェンツヘルダー(会津大学助手)
      八文字俊裕(CGグランプリ事務局長)
●賞
 グランプリ  100万円×1点 他多数

●応募資格・規定など詳しくは、サイトをご覧ください。

●問い合わせ先/応募用紙請求先

 CGグランプリ事務局
  郵便番号 100-8077
  東京都千代田区大手町1-6-1 大手町ビル8F
  サンケイメディアサービス内
  電話/FAX 03-5219-8871 or 電話 03-3275-8696
  E-mail:cggrand@po.iijnet.or.jp

 会津若松市市制百周年記念事業実行委員会
  郵便番号 965-8601
  福島県会津若松市東栄町3-46
  市制百周年事業局事業推進課内
  電話 0242-28-1111(内線 632)・ FAX 0242-39-2619
  E-mail:a100@city.aizuwakamatsu.fukushima.jp
  http://www.city.aizuwakamatsu.fukushima.jp/

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■デジクリClassifieds
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ンリニアビデオ編集/デスクトップビデオのための使用権フリー動画素材集
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ご希望のタイトルを1つご記入の上メールでお申込み下さい。

応募:A&Pコーディネータージャパン(株)
   担当 羽石(hane@apjapan.co.jp)

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益な情報をお待ちしております。zacke@ppp.bekkoame.or.jpまで。
不要になったものが、案外ほかの方には有益なものかもしれませんっ!
企業の方からのモニター情報、プレゼントお待ちしております。自社製品など
をアピールしてくださいませ!

なお、このコーナーでの取り引きは個々の読者と直接コンタクトをお取りくだ
さい。編集部ではトラブルの責任を負いません。

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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

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 担当:濱村和恵
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