[0241] デジカメとインクジェットプリンタの相性のいい理由は?

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0241 1999/02/02.Tue.発行
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●笠井享さんに聞く
「デジカメとインクジェットプリンタの相性のいい理由は?」
 構成:柴田忠男

●展覧会情報
 ◎モーション・グラフィックス大阪展

●プレゼント当選発表「Illustrator7.0Jスーパーガイド」

●現在募集中



■笠井享さんに聞く
「デジカメとインクジェットプリンタの相性のいい理由は?」
構成:柴田忠男
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「GW」誌3月号に、エプソン・プレミアカレンダー1999の制作レポートと、メガ
ピクセルデジカメからA4のインクジェットプリントを得る方法を解説した。ト
いっても、笠井享さんに質問を投げて、返ってきた回答を適当にまとめるだけ
という、まことにお気楽な構成で(冷汗)笠井さん本当にありがとうございま
した。ところが、回答の半分が残ってしまった。とても面白い内容なので、Qア
ンドAでご紹介したい。

○最近のデジカメのカタログや雑誌記事では、150万画素カメラの画像がA4くら
いできれいに<印刷>されているが、可能だったのか。1280×1024ピクセルで、
300dpi出力ではポストカード程度が限度と思っていたが。

●「A4くらいできれいに<印刷>されている」かどうか、わたしは必ずしもそ
うとは思っていない。が、一般の視点ではそうかもしれない。「ここまで出れ
ばいいんじゃない」と言えるだろう。長い間、写真のハードコピー品質を見慣
れてきたわたしからすれば、ここ10年は写真画像品質は絶対値的にはあきらか
に下り坂と感じている。劣化し続けてきた。その上で、相手にしていなかった
レベルだった民生デジタルカメラ画像が、A4まで伸ばして「きれい」だと感じ
るのは、時代というしかない。皆が慣れた、高画質写真が誌面に他にない、画
質への見方が変わったなどの背景がそうさせているのだと思う。ひとつだけ確
かに「いい」理由は、間にフィルムが介在していない良さがある。粒子の粒の
不自然さは、たしかにデジタルカメラ画像にはない。

○デジカメとインクジェットプリンタの相性のいい理由は。

●相性のいい理由? デジタルカメラ画像だからとくにインクジェットプリン
トと相性がいい、というわけではない。そういう認識ではなく、たまたまデジ
タルカメラブーム時に、インクジェットプリンタの高性能化がなされたという
状況があるだけである。同時に、写真的な見えのプリント結果を得るには、今
まで昇華型プリンタや銀塩プリンタなどが存在したが、そのマシン価格やラン
ニングコストをインクジェットが一気にクリアーしたことも見逃せまない。デ
ジタルカメラの大衆化と格安高品質インクジェットマシンの登場……この二つ
は絶妙のタイミングだった。写真技術史に記述されるべき大きなポイントにな
ると思う。

○プリンタの最高解像度1440×720dpiとはどういう意味なのか。インクジェッ
トプリンタでは「出力機解像度÷3=画像解像度」という公式であるが。

●インクジェットプリンタの解像度とは、小さなインク粒を紙面にスプレーす
る密度のことある。大粒の雨がアスファルトに降り注げば、その雨粒は大きい
から点が路面に見える、霧雨の場合は雨粒が小さいから路面は一面がしっとり
と塗れて点は見えない。最高解像度1440×720dpiとは、1インチの紙面に横
1440粒、縦720粒の水滴をスプレーできるという意味である。

しかし、両者ともにひと粒の水であることに変わりはないので、その水滴が濃
い・薄いはない。そこで、濃淡を出すために数滴の水滴のオン・オフの制御を
する。インクジェットプリントを1000倍に拡大して考えてみよう。30センチ四
方に水滴を10粒ちりばめる。その路面を高度30メートルから観察すれば、乾い
ているときよりもほんの少し濃い、50粒ちりばめればもっと濃くなる。200粒く
らいなら路面は完全に濡れて真っ黒になるだろう。

つまりインクジェットの解像度は、画像の細部再現能力をそのまま言い表して
いるわけではない。画像の再現能力は、その小さな水滴を数十粒まとめた状態
で決まる。

それがインクジェットの場合、3×3粒程度になる。3×3なら9種類の濃淡しか表
現できないはずだ。しかし、実際のインクジェットでは粒の直径を2種類程度変
化させることができ、かつ水と違って濃いインク・淡いインクの2種類を切り替
える。こうすれば同じ3×3の水滴でも数十~百数十の濃淡を表現できるわけで
ある。

○1280×1024ピクセルでどうして150万画素なのか(FinePix600Zなど)

●そう謳っているカメラがある? それはウソをついている。130万画素ではな
いか? 130万画素でもカメラ内で「補間処理」をして150万画素程度にピクセ
ル数を増やしているカメラはあるだろうが……。

○コダック/ニコンのDCSハイエンドデジカメは150万画素だが、FinePixなんか
の150万画素とどうちがうのか。

●ハイエンドの150万画素と民生用の150万画素に本質的な違いはない。デジタ
ルカメラと言えどもカメラである。カメラには、レンズ、シャッター、絞りな
ど画質を決定づけるCCD(光を感じるという意味ではフィルムと同じ)以外の
ファクターが多数ある。

ハイエンドの150万画素は、これらCCD以外のファクターが優秀であることから
高画質が得られる。特に、まっすぐなものがまっすぐ写る=歪曲収差(わい
きょくしゅうさ)は民生デジタルカメラは99%失格である。
もうひとつの違いは、ハイエンドデジタルカメラはJPEG圧縮ではない、画質を
劣化させない画像データを保持できる。さらに見た目のあざやかさやコントラ
ストよりも被写体に正直にカラーや階調を記録するように作り込まれている。
これらの総合によって、ハイエンドがハイエンドたる地位を保持している。

しかし、フィルムカメラであるキヤノンEOSやニコンF系を流用する限り、限界
がないわけではない。たとえば、光学的分解能(解像力とも呼ばれるが混乱す
るので分解能と呼ぶ)では、デジタルカメラ専用に設計されたレンズの方が優
れている。顕微鏡レベルで比較すると分かる話で、一般ユーザーには大きな意
味をもたらすものではないが。

○150万画素一般デジカメでの、撮影時に注意ポイントをあげてほしい。簡単に
ひとこと。

●気軽にシャッターを押すな。被写体をよく見て写真を撮れ。


■笠井享(かさいあきら)1955年生 京都市在住 現在は写真家・兼・デジタ
ルイメージングアナリストを標榜。九州産業大学大学院芸術研究科修士課程修
了、プリプレス機器メーカーインストラクター、プロダクションのディレク
ターを経て、現在インフォーツ(InfoArts)株式会社代表取締役。
著書:「Essentials of Digital Photography:実践デジタル写真術(日本語
版:ディー・アート/英語版:NewRider刊:共著)」「Adobe Photoshop AtoZ
II」ならびに「Adobe Photoshop AtoZ III (BNN刊:共著)」、「よくわかるカ
ラー校正(玄光社)」監修、「カラーマネージメント!(IDGコミュニケーショ
ンズ)」など
●最近、いろんなハードコピーがやけになめらかに見える。おぉアミテンもず
いぶん小さい線数で印刷しているんだなぁ…いやテメェの眼が老眼になっただ
けであった。めがね屋で、「Labのabがゼロの無着色ガラスレンズをくれぇ」な
んて言っても伝わらないだろうなぁ…。

■柴田忠男(しばたただお)最近書いたコラムの、詰め替えインクやおいしい
水、そして老人介護について多くの人から直接アドバイスや感想をいただいた。
感謝します。風邪をひいても寝込む程ではなく、でも頭の痛さが抜けない数日。
早寝して淀川長治「生死半半」をポツポツ読むのが楽しみ。年寄りにとっては、
1秒1秒が大切で、相手があんまりつまらない話をすると「くだらないことで私
の命を奪われた」と腹がたつ、という。ううむ。先週の日曜日の某セミナーで、
わたしもそんな体験をした。時間をかえせ。

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■展覧会情報
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モーション・グラフィックス大阪展
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<以下は主催者案内より抜粋。詳しくはお問い合わせください。>

これまで、平面上で表現されていたグラフィックデザインが、コンピューター
の普及により、自在に動かし、音を付けることが可能になった。この新しいデ
ザイン分野に「モーション・グラフィックス」という名前を付け、新しいビ
ジュアル表現の可能性を探る展覧会として毎年開催されているのが「モーショ
ン・グラフィックス展」。97年は企業のフライングロゴ、98年は漫画の擬音を
動かし、各界から広く注目を集めた。99年、その大阪展が開催される。

今回の大阪展のテーマは関西企業のフライングロゴ。テレビコマーシャルの最
後に登場する音と映像が一体となった企業マーク=「フライングロゴ」は時間
にしてわずか2.5秒。この2.5秒という短い時間の中に参加作家のクリエィティ
ビティーと最新の映像表現を感じ取ることができる。

映像は2部に分けて構成され、第1部『99年動くCI 15社のモーション・グラ
フィックス』では、「SONY」や「ポーラ」など既存のテレビコマーシャルの中
から優秀なフライングロゴを紹介する。第2部『あのマークが動いた!お馴染
みのマークを新進気鋭のデザイナーが動かす』では、「サントリー」や「近鉄
バッファローズ」など、これまで動くことのなかった15の関西企業のロゴマー
クを、関西のデジタルクリエーターを中心に、今、もっとも注目されている15
人のクリエーターが動かし、音を付ける。

映像の見せ方にもこだわったこのモーション・グラフィックス展。空間デザイ
ンは「ISSEI MIYAKE」や[SHISEIDO New York」のショップディスプレイを手が
ける吉岡徳仁、映像構成はミュージシャンLauryn Hillのテレビコマーシャルや、
ソニーやアップルコンピューターなどのプロモーション映像を制作する菱川勢
一が手がけ、アーティスティックなデジタル空間を創り出す。

デザイン発信の拠点は東京とされている。しかし敢えて、関西のクリエイター
と企業に注目し、先鋭のデザイナーの作品を一堂に大阪に会することにより、
若手クリエイターの発掘とそれを支援する企業の地域密着型の文化振興をはか
ると共に、モーション・グラフィックスという新しいデザイン分野に潜む新た
な可能性を探る。

●会 期 :1999年3月25日(木)~ 4月6日(火) 12日間
        10:00 ~ 18:00(水曜日休館)
●会 場 :大阪デザイン振興プラザ デザインショーケース
        (アジア太平洋トレードセンターITM棟10階)
●電 話 :06-6615-5510(お問い合わせ先)
●入 場 料 :無 料

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編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

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