[0263] 「CIAO from Italy」(その1)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0263 1999/02/27.Sat.発行
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●デジクリトーク
「CIAO from Italy」(その1)
 ゲスト:アキ

●デジクリトーク
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 ~私はこうして器用貧乏になった~
 ゲスト:深川正英(studio SEED)

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■デジクリトーク
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「CIAO from Italy」(その1)
アキ(イタリア在住/フリーのグラフィックデザイナー&イラストレーター)
STUDIO D'AMORE(akidamor@tin.it)
PostPet E-mail (apezzul@tin.it)
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都内のデザイン事務所で働きながら、趣味といえば海外旅行。回った国は20ヶ
国を越えるまでになっていましたが、その中で一番好きになったのがイタリア
でした。人間の気質、風土、文化、そしてメシも(笑)イタリアの全てが私に
とって理想郷のようで、旅行で楽しむだけではなく、一度生活をしてみたいと
思うようになりました。

それから猛烈に働き、1年分の生活費を貯めたその時に、当時勤めていた会社の
社長に「イタリア行きます!ダメだったら戻って来ますから又雇ってくださ
い!」と宣言し、ミラノ入りしたのでした。 

はじめは語学学校に通っていましたが、生活を始めて益々広がるイタリアの魅
力に、またしても私は野望(笑)を抱いてしまったのです…出来れば一生ここ
で暮らしたい…。その希望が日々大きくなり、仕事探しに関してのリサーチを
始めました。

先ずは在住日本人の方々から意見を聞くと、皆さん結構厳しい状況。こちらで
採用の場合は雀の涙程度のお給料しか貰えず、それでもいい方だとおっしゃっ
ていました。「失業率が高くて、イタリア人でさえもいい仕事を見つけるまで
には数年かかるのだ。そんな社会の中で、日本からフラリとやって来て仕事を
見つけようなんて99%不可能」こんなアドバイスを何百回と聞きました。

「確かにそうだ。私の考えは甘いのかもしれない」と反省したのは言うまでも
ありませんが、それでも懲りず、今度はイタリア人の友人達から情報を得るよ
うにしました。「仕事探しは難しいけど、でも皆会社に売り込みに行って頑
張ってるんだから、アキもそうしてみれば?」との事。そしてある友人が新聞
の求人広告で『日本人求む』の記事を見たと教えてくれました。

「え? そんな何の仕事かもわからないのに、応募するなんて…」と躊躇して
いると「始めはデザインの仕事じゃなくてもいいじゃない。イタリアに居たい
んでしょ? それならダメモトで色々やってみなさいよ!」と言われ、彼女に
履歴書作成を手伝ってもらい、ドキドキで投函。

が、返答はナシ。期待も少なかったので、私自身もすっかり忘れ、他の友人達
からの仕事の紹介で、観光客相手のブティック店員やらウエイトレスの話を本
気で受けようかと考えておりました。

ある日、電話がジリーン。「シニョリーナアキですか? 私はXXという雑誌
社の○○と申します。求人広告に対しての履歴書拝見致しました。この求人は
他の企業のものでしたが、弊社でも日本語翻訳出来る人材を募集しております
し、グラフィックデザイナーも募集中です。アキさんは日本人でおられます
し、デザイナーでもいらっしゃるのですよね? よろしければ弊社まで面接に
いらしていただけませんでしょうか?」その件についてすっかり忘れていた私
は夢でも見ているのではないかと錯覚に陥った程でした。「も、もちろん、お
伺いさせていただきまっっす!」と受話器を固く握ったまま答え、翌日の面接
に出向いたのでした…。

初めての異国での面接…。一般の会話もまだまだなのに、丁寧イタリア語など
始めて使う機会とあって、殆ど不眠で過ごした前夜。緊張のまま私は作品集片
手に、雑誌社へ向かったのでした。

通されたのは社内で一番奥の社長室。そこまでたどり着く合間にも私は社内を
キョロキョロ…。(全部Macだわ。やっぱ雑誌社よね~)と状況チェックもし、
いよいよ面接の開始。ゴージャスな調度品ばかりの社長室の中で、いかにもイ
ンテリそうな社長さんに、つたないイタリア語で、自分の作品集の説明をしま
した。

「ふ~む、ふ~む」と優しげな表情で答える社長さんを見て私は(これは結構
好印象なのかしら? ふふふ…)と思ってしまったのですが、説明も終わり、
さぁ交渉という段になって社長さんは、私のポートフォリオを無碍にパーンと
投げだして、「たいへん興味深いお仕事をなさってきたようですが、雑誌関係
のお仕事は一切なされていない訳ですね」。

ここでキレた私。「確かにおっしゃる通り、雑誌の仕事はしておりませんが、
パッケージ、CI、玩具デザインの専門の他にもカタログなどの仕事もしてきま
した。それらは100ページに及ぶ物もあって、エディトリアルの分野に入ると思
います! 残念ながらそれらの作品は日本から運んで来なかったのでお見せ出
来ませんが、雑誌についての仕事も充分把握してるつもりでございます!」と
10分以上語り、大見得(?)を切ってしまいました。インテリ社長さんは無言
のまま、内線電話をかけました。

「ジョヴァンナ、私だが、こちらに来てくれないか?今すぐに…」私は(一体
何事?)と思いましたが、そのまま無言で待機。そしてそのジョヴァンナさん
がやって来て、社長さんは「あ、彼女はアキさんだ。アキさん、この人はXX
という雑誌の編集長。ところでジョヴァンナ、今日アキは面接に来てくれて、
話を聞かせて貰ったんだけど、君の所でデザイナーが不足だろ? だからアキ
を入れようと思うのだが、君も話をしてみてくれ。これがアキの作品集だ。見
てくれ。結構いい仕事してるだろう?」

編集長は「そうね。でも…雑誌の仕事じゃないわねぇ。」とやはりおっしゃい
ましたが、なんと社長が「いやね、彼女はこれ以外にも多頁のカタログの仕事
などはしてきたようなので、雑誌の方も流れは理解出来てるみたいなんだ」と
私に代わってフォローして下さったのです。

あまりの状況変化に呆然としていた私でしたが、そろそろ何か発言しないとヤ
バイと思い、「そ、そうなんですよ。いや、先ほども社長さんにポ~ンとポー
トフォリオを投げ出されてしまって『そんな事はないぞ!』といきり立ってカ
タログ関係の仕事を口で説明しちゃったんです、タハハ」と言うと「この通り、
元気な子なんだよ。だからどうかね、先ずは試用期間という事から始める事に
してみては。アキも依存はないだろう?」「も、もちろんっすよぉ!」という
事になって、早速翌日から出勤…という話に落ちつき、他の社員にも挨拶をし
て雑誌社を後にしたのでありました。

会社を出て一人になった私は、いきなり振って沸いたイタリアでのデザインの
仕事にこの上のない喜びを感じ、思わず万歳をして飛び上がってしまい、それ
を見ていた通行人達は「?」の表情をしていました(笑)。

(つづく)

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■デジクリトーク
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器用貧乏への道 6
~私はこうして器用貧乏になった~
深川正英(studio SEED)
http://www.jade.dti.ne.jp/~s-seed/
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●さらなるひろがり、そして崩壊

当時、南船場はインディーズブランドのショップが次々とオープンし、今後よ
り発展していくスポットであると判断し、マンションの一室を借りました。と
りあえず、ゲームの仕事は定期的にあり、小さな仕事も少しずつあったので、
細々ながらも、少しの間は問題なく過ぎていきました。

そして、しばらくすると南船場に事務所を構えたメリットがあらわれました。
相方の知り合いで、自分でブランドを起こしているデザイナー達が事務所に遊
びに来るようになったのです。迷惑なくらい頻繁にくることもありました。

そんな中で、「インディーズブランドの合同ファッションショーをするので、
フライヤーとチケットを作って欲しい」と言われました。そこまでだと普通な
のですが、簡単なイメージ的な映像をながしたり、というのはできないか?と
言われ、面白そうなので、OKしてしまいました(タダ同然だったと思います)。

結果として、ショーは一応の成功を納め、私達は「映像の作れる人」という少
し間違った解釈をされることになりました。その後もショーをする度に声がか
かるようになりました(もちろんタダ同然で)。

たいした進展も無いまま数カ月が過ぎ、さすがに焦りが出てきました。このま
ま、たいした仕事がなければ・・・。不安はつのるばかりです。

そんなある日、以前から営業をかけていた小さな代理店から、仕事の依頼が来
ます。わらをも掴む思いで、打ち合わせに行くと、仕事はホームページの制作
でした。しかし、内容はアダルト。いわゆるQ2サイトとよばれるものでした。
不本意ながら、この仕事を受けるしか我々の生き残る道はなかったのです(し
かし、こんなおおっぴらな場で言っても影響はないだろうか? 私達の品位が
問われないだろうか? でも、今はもう「ネタ」になってるし・・・いいか)。

とにかく、受けた仕事はきっちりこなす。ひらきなおって楽しみながら作りま
した。これがまた何故か、異常な程に評判が良く、一時期は「アダルトサイト
専門制作会社」のようになってしまっていました。しかし、長くは続きません
でした。
警察の介入があり、私達が作ったサイトは次々に消されていきました。別に私
達や関係者がしょっぴかれたわけではないのですが、仕事の依頼はピタっと止
まりました。

さらに追い討ちをかけるように、ゲームバブルの崩壊が訪れました。ゲームの
仕事の依頼もピタっと止まりました。柱になっていた2つの仕事をほぼ同時に
失い、一気に路頭に迷いました(ただでさえ、楽でなかった生活がさらに苦し
くなりました)。

しばらく営業らしい営業をしていなかった私達は、知り合いからプロダクトや
グラフィックの仕事を分けてもらいながら、新たな取り引き先を探すことにな
りました。相方に任せていた苦手な営業も積極的にこなすようになりました。

そんななかでDJと知り合いになり、「映像ができるならVJやってよ」という事
になり、クラブで映像を流すことになりました。しかし、これも趣味の範疇を
超えることはありませんでした。なんとか仕事として成立させたいと思ってい
たところに引き寄せてきた話は2つのヘアサロンの合同ヘアショーの映像でした。
これは少ないながらもギャラが出るきちんとした(?)仕事でした。

私達は作った映像とささやかな機材を持って、いざ、会場に乗り込みました。
しかし、そこで見たものはもう一つのヘアサロン側が用意した映像機材の山で
した。専門的な機材がずらりと並ぶその隣に、私達の貧弱な機材を並べ、小さ
くなりながら「早く終わってくれ」と思ったものでした。

これにより、私はやっと目が覚めました。「こんな中途半端な事をやっていて
だめになるのでは」と。そして、自分にはこれといったもの(特に技術)が無
いことに気付きました。それでも、新規開拓のために営業を続けました。何か
を見つけたかったのです。こうして1998年が終わるのでした。

(つづく)

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30代である著者は日本の新聞・雑誌をなるべく見ないと公言しています。世界
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