[0331] アナログ的スキルって…

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0331 1999/05/25.Tue発行
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前号の発行部数 12553部
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●アナログ的スキルって…
 成 光雄

●カラーマネージメントQアンドA CMYK変換料金?
 笠井 享

●イベント案内
 上田市制80周年記念 ディジタル・イメージ展

●掲載作家募集
 デジタルクリエイターカタログ



■アナログ的スキルって…
成 光雄
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「デジタル・クリエーターにとって アナログ的スキルは必要と思いますか?」
以前に送られてきたアンケート用紙に書いてあった質問だ。

アンケートとは、CG関係の会社、団体などから返信用封筒と一緒に送られてく
るもので、おそらく多くのプロの方々のところにも届いてるはずだ。クリエー
ター年鑑などを見て、郵送してくるのだと思う。

内容はありがちな質問が多くて、眺めているだけで何だか疲れてくる。所有す
るハードやソフトの環境をあれこれ尋ねるものが多く、おそらくマーケッティ
ングの資料にするのが主な目的(商売)なのだろう。謝礼は少額の図書券が定
番。送るといったのに、送って来ないところもあったな(笑)。

質問の“アナログ的スキル”というのもおかしな言葉だし、何を指すのか曖昧
な感じだけど、たぶん“デジタル的スキル”の反対の意味だ(笑)。まあ、意
図はおよそ理解できる。定番ネタだ。

他でも似たようなテーマの問答を見たり聞いたりする。僕自身もCG系の学校で
学生からよく問いかけられるので、正直言って食傷気味な話題だ。

学生の話でいうと、その問いかけの背景にはCGを学ぶ過程や制作の途中で、行
き詰りとか力不足を感じてきたというのがあるみたいだ。そして、どうも学生
の多くは「CGをやるのにデッサン力や絵の上手さは関係ないよ」と言ってもら
うのを期待してるようだ。デッサンや基礎描写力に自信がなく、彼らはそれが
不安らしい。

僕がそう感じたときは「絵が下手で、デッサン力もないでは、すぐ頭打ちにな
るよ」と答える。半分はイジワルだけど(笑)半分は本音だ。ホントはどうな
のか? 僕もよくわからない。

ただ、気になるのは、地味な積み重ねを避けたいという本音が見え隠れするこ
と、そしてそれをオブラードに包むように妙な理屈をこねることだ。そりゃあ、
誰だって楽はしたいけど、やっぱり何も無しでは通用しないって(笑)。

何かが必要と思うのなら、率直にその気持ちに従えばいいと思う。たぶんその
方が正解だ。デッサンや基礎描写力が優れていれば、こんなに得なのだ!なん
て特に主張するつもりはないが、どんな能力だろうがあれば損はないはずだし、
不安要素がひとつ減るならメンタル面でもいいじゃないかと思う。思わぬ副産
物に恵まれるかもしれないし。俺にはそんなの必要ないぜと思うのなら、それ
はそれでいい。困ってないなら何よりだ(笑)。

話を戻すと、そのアンケートには一応 “Yes”と答えた。別に力説するような
根拠もないが、いらないとする理由の方が思い付かないからだ。

「デジタル・クリエイターにアナログ的スキルが必要ない理由があるとすれば、
それは何だと思いますか?」の方が面白い答えが期待できそうだ。どんな言い
訳…いや、意見や本音がとびだすのか? こちらの方が絶対にいい質問だと思
うけどな~(笑)

【成 光雄 SEI Mitsuo】
1965年東京都生まれ。1986年日本デザイナー学院名古屋校卒業。デザイン事務
所で6年間勤務したのち、1992年にフリーのイラストレーターとなる。1995年
から徐々にCGによるイラストレーションへ移行し、近年は3DCGをメインに作品
制作を展開。各種媒体へのイラストレーション制作が主な仕事。

・デジタル・クリエーターにとってアナログ的スキルとは? このテーマでの
みなさんの意見やイイワケを求めます。(柴田)

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■カラーマネージメントQアンドA
答える人:笠井享 CMS@infoarts.co.jp
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【読者からの質問】

ゆみちゃんの疑問

はじめまして。わたしは印刷屋でデザインしています。先日のカラーマネジメ
ントの話、興味深くよませていただきました。

ちいさい印刷屋ですから依頼があって自分でデザインする場合もありますし、
デザイン屋なんかからデータでもらって、それを横流しじゃないけどある程度
色等をなおして印刷する場合もあります。

先日の話同様、わたしもデータでもらったものを色合わせして印刷工程へもっ
ていくのは、うけおった自分の仕事と思っていましたが、デザイン作業時間の
ない分データでもらった人のは安く印刷しているのだから、そんなに作業に時
間かけられないって社長に言われ納得しましたが、色合わせやそのほかきちん
とデータが印刷できるようにつくられていないのが多いので、その修正時間を
とらざるをえないのが現状です。

こういった場合、どうしていますか。うちでデザインしないのだから、デザイ
ン料免除で安くできるのがデータ渡しのお客のメリットなのに、データがきち
んとつくられていないとなると(「すぐ」印刷工程へもっていける状態にない
と)こちらで修正しなくてはならず、実質的に料金がかさんでしまう。

かといって、これをお客に請求するとデータ渡しのメリットがなんにもなくな
ってしまう料金的にどうしたもんでしょうね。

【笠井の見解】

そうですね、CMYKへの変換料金というのは、どうすればいいのか? というも
う一つの問題がありますね。

デジクリなどで笠井が、紹介している、あるいは主張しているのは、技術的に
こうすればいいという、非常に無機質な事実ですが、一連のデジクリ読者のみ
なさんの「デザイナーのプロ意識」とか、今回の「料金」などは、技術論では
ない部分で論ずるべき別のテーマであると思います。

たとえばCGアーティストが、コンピュータ上で絵を作った。その絵はRGB であ
る。つい最近まではカラーフィルム出力して、物理的カラー写真原稿としてお
客さんなり製版会社なりに届けていた。そのときはカラーフィルム出力料金は、
依頼者に実費・プラス・アルファを請求していた。 

当然、受け取った製版会社はスキャンニング料金(=CMYKデータ作成料金と同
義)をお客さんに請求していた。

しかし、あるときからRGB データで渡すことになった。CGアーティストはカラ
ーフィルム出力料金は課金しない。製版会社はスキャンニング料金は課金でき
ない。CMYK変換料金というデジタル画像処理の料金も料金体系として確立して
いないので課金できない。

だが、クオリティへの保証と責任は製版会社にある。あるいは、CGアーティス
トが自分でCMYK変換した場合、どうする?

かつて笠井は、印刷物という成果物を作る工程は、基本的には「企画・設計
(デザイン)」「創作」「制作」「製作」「生産」というカテゴリーに分けて
考えるべきだという考え方を主張しました。これはあらゆる近代工業において
行われているごくふつうの生産全体の営みです。

が、DTP 普及以降、この考え方が再構築されずあいまいになったままだと思っ
ています。デザイナー=設計技師は、版下=設計図に責任を持っていたし、写
真家やイラストレーターは、作品=部品に責任を持っていました。製版会社は
出力された分版フィルムと色校=プロトタイプに品質保証と責任を有し、印刷
会社は、印刷物=量産製品への責任を持っていました。

ぜーんぶ、物理的なモノを具現化する行為だったから料金も「グラムいくら」
とまでは行かないまでも、きちんと請求できていたんですね。それが、今やご
ちゃごちゃになっている…。設計図を描きながらカンナで木を削っている日曜
大工のパパみたいな状態です。うまく行かなくて当然かもしれません。

料金のあり方とは、責任のあり方でもあるわけですよね。さてどうしたもので
しょうか?

ちなみに笠井は、CMYK変換した場合は、カラー管理をもやるかどうかで2段階
の料金を見積書に記入します。第一に、「画像処理フィニッシュ料」。第二に
「画像最適化処理料」です。前者はCMYK変換の作業料金。後者は、カラー管理
(CMYK化した後のレタッチなど)の料金です。

でも、金額はケースバイケースです。この二つの項目名を明示し、数量は画像
ファイル点数を明示して、単価はゼロ円とすることもあります。つまり、作業
=責任=保証は行なったがお金はいただきませんという意味です。つまりのつ
まり、必ず意味のある行為が発生したのだという意志表示であり、記録でもあ
ります。

あるとき、お金がゼロ円なのに項目名や数量が上がっているのがおかしいとお
客さんに言われたことがあります。しかし、実際にそこに行為が存在し、責務
を担ったのですからと、議論したことがあります。今でも、この考え方は成り
立つと確信しています。もっとも、最近はRGB で納める仕事ばかりなのでそう
いうことは非常に稀ですが…。

実際のところ、印刷会社さんなどは、ここいらが問題なのでCMYKに変換してか
らでないと受け取らないという場合もあるのではないでしょうか? つまり、
お金をいただけず責任を押しつけられるのは困る…という…。

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■イベント案内
上田市制80周年記念 ディジタル・イメージ展
http://www.umic.ueda.nagano.jp/
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<以下は主催者より>

日本最大のディジタル・アーティスト団体「ディジタル・イメージ」の展覧会
を上田市で開催します。コンピュータで制作されたイラストレーション、映像
等47点を展示します。またディジタル・イメージに所属し、雑誌や広告のイラ
ストレーション制作で活躍、デジタルアート講座を「イラストレーション」誌
「MacFan」誌、「日経Click」誌等に連載している石川浩二さんによるPainter
講座を開催します。

ディジタル・イメージ展
主 催:上田市マルチメディア情報センター
場 所:上田市マルチメディア情報センター企画展示ギャラリー
日 程:平成11年6月1日(火)~29日(火)

出展者:出展者 <静止画出品>村上佳明 大島宏文 武藤 修 久納ヒロシ 
小笠原たけし 大賀葉子 加藤俊明 倉嶋正彦 石川浩二 木村智博 
横井由美子 ラジカル鈴木 岩渕泰治 服部幸平 吉田光治 御竿佐知 
山田博久 柴田敏明 竹久マサオ 梅地浩太郎 桑島幸男 中野博文 
齋藤 浩 所 幸則 武田瑛夢 ソネオカ太志 安斎順子 林 ノブ 飯田HAL 
北古賀紀行 後藤 宏 出淵亮一朗 菅原明彦 Rey.Hori 喜多見 康 
岩井宣雄 トミオカサトシ 安藤克昌 杉谷泰宏 高橋 晋 望月澄人 
安井千博 橋本 聡 榎並憲二 岡部タカノブ イシグロマサハル 松原浩司 
<映像出品>高橋信雄 大場康雄 森野和馬 笹原和也 中川佳子 松浦季里

時 間:9時半~5時半【入場無料】
休館日:毎週水曜日

石川浩二Painter講座
日 時:平成11年6月26日(土)1時半~4時半
対 象:パソコンを使える方(Painterを使ったことがなくても可)
受講料:3000円
人 数:16名 事前にお電話でお申し込みください

申込み・お問合せ
上田市マルチメディア情報センター TEL:0268-39-1000

ディジタル・イメージ
http://www.digitalimage.org/

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■掲載作家募集
デジタルクリエイターカタログ掲載作家募集
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<以下は主催者情報>

北海道発のデジタルコンテンツコンテスト『MediaHunting '98』の事務局を担
当した日本テレワーク株式会社より、今秋出版予定の『デジタルクリエイター
カタログ』掲載作家募集情報。

このカタログは優秀なデジタルクリエイターを、主にマスメディア、印刷業界、
出版関係にプロモーションするもの。作家の方に有利な条件で、作品を管理・
頒布させるとのこと。作品は、現在あるものでも、これから制作する作品のプ
ロモーションを代行することも可能なのだそう。掲載に関して、費用等は一切
かからないとのこと。

興味のある方はコンタクトとってみてはいかがでしょうか。
E-mail:masumi@adnet.or.jp
TEL:011-281-4565
担当:高橋・荒井
http://www.jtw.co.jp/

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■現在募集中
http://www.dgcr.com/etc/invite.html

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新刊情報
デジクリClassifieds など、クリエイターに有益なもの全般!!

■編集後記(5/25)
・あと1カ月後に迫ったディジタル・イメージ大阪展のDMを作り忘れていた。
いつも急ぎ仕事は井上周助さんに依頼。この人は、通常の人より約6時間後ろ
にズレた生活帯をもつデザイナーさんだ。無理言ってスイマセン。(柴田)
・「了解しました。なるべく早く仕上げます。」電話を切って仕事にとりかか
ろうとすると、また飼い犬がこっちを見ている。嘘やろ~! 下痢は大変だ。
昨日は一日看病だ。急ぎの仕事のある時に限って。マーフィー?(ハマムラ)
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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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