[0367] DTPにおけるモニターの色温度を決定する方法、ほか

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0367    1999/07/6.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 13108部
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●カラーマネージメントQアンドA
 DTPにおけるモニターの色温度を決定する方法、ほか
 解説:笠井 享

●編集長から生コメント
 「CGWORLD」創刊1周年記念号のお知らせ 永田豊志

●イベント案内
 アートポート99 メディアセレクト 名古屋港の倉庫で開催中(11日まで)

●柴田のこねた
 流行のタイトル

●展覧会案内
 ディジタル・イメージ大阪展 開催中 (9日まで)



■カラーマネージメントQアンドA
DTPにおけるモニタの色温度を決定する方法、ほか

解説:笠井 享
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┃DTP でのモニタ上の色温度は5000Kから6000Kの間と聞いてますが、何を目安
┃にその色温度を決めたらいいのでしょうか?

●モニタは白色部の色温度を決定する方法は、いくつもあります。以下に、数
種類の方法について回答します。

1)高級測定器を使う方法(超高精度)

ミノルタから発売されている色彩計で、CS-100、またはCL-100というのがあり
ます。どちらも高価なしろもので70万くらいします。これを使えば、画面上に
R=255/G=255/B=255 の真っ白画面を表示させておき、モニタの「カラーバラン
ス」調整機能を調整しながら希望の色温度になるように調整できます。

2)写真用色温度メーターを使う方法(高精度)

ミノルタの写真用色温度メーター(フォトカラーメータ)というのが存在しま
す。大半のプロの写真家は保有していますから借用すればいいかと思います。
上記同様に白画面を表示させておき、カラーメーターを画面に密着させ、モニ
タの「カラーバランス」調整機能を調整しながら希望の色温度になるように調
整できます。ただし「写真用」色温度は、厳密な意味での色温度と違いがある
ので、メーター表示値が4700Kくらいのときに実際は5000Kになります。

3)目で見ながら調整する方法(実用精度)

純白の白紙に5000Kの照明を当て、この白とモニタの白を合わせ込むことがで
きます。

まず、電気屋さんにて「N-EDL 演色性AAA の色評価用蛍光灯」を買い求め、天
井に取り付けるか、蛍光灯スタンドに取り付けます。これをモニタの手前(ち
ょうどキーボードのある位置くらい)に書見台を置き、紙の明るさがモニタ白
の明るさに近づくように照明光と紙面の角度を調整します(角度を変えると紙
面の明るさが変化します)。

この状態で、目で比較観察しながら、モニタ白面と紙白面の色合いが一致する
ようにモニタを調整します。比較観察しやすいようにグレーのプレゼンボード
などをA4判くらいに切って、その中央部に直径15mmくらいのマルまたは四角の
穴を5~10cmの間隔で二つ空けます。

このボードを手でかざして一方の穴から紙白を、他方の穴からモニタ白を覗き
ながら観察するといいでしょう。白紙はいろんなものがあり、黄ばんでいたり
青っぽかったりします。二つの考え方があって、理想的な白を基準にするか、
いつもよく使う白を基準にするかによって、微妙に「白さ」に差異がでます。

モニタの目で見たときの白を合わせるなら後者がいいでしょう。前者の場合は、
たとえばEPSONのインクジェット専用紙「フォトペーパー」は5000Kの照明光を
反射して5200~5300Kの紙白になりますから、これを活用するといいでしょう。

※上記3つの方法は、それぞれさらに詳しい説明がないとうまく行かないかも
しれません、方法を決定され、実際にやってみて、お悩みの部分がある場合は、
メールによるアドバイスの範囲内で協力させていただきます。
cms@infoarts.co.jp

4)各社から発売されているモニタ調整ソフトを使う

モニタメーカーやサードパーティから、モニタ調整ソフト+測定器が発売され
ています。これを使う方法もあります。しかし、あらゆる使用環境に応じてう
まく調整できるソフト(+測定器)は非常に少ないというのが、笠井の実感で
す。その中でお奨めは、トッパンの「CSシャープナー」と、株式会社アプティ
が取り扱っている「MonacoView」という製品です。詳しくは下記を参照してく
ださい。
・トッパンCSシャープナー:
http://www.toppan.co.jp/aboutus/release/article210.html
・株式会社アプティ:http://www.apti.co.jp/HOME.html

この他にも、評価できる製品は多々ありますが、本格的に使ったことがないの
で、あくまで一個人として一応の評価を下した製品を紹介しました。これら製
品の使い方などについては、笠井の方ではいっさいサポートできませんのでご
了承下さい。

※ひとつだけヒント:この種の製品は、複数のカラーマネージメント関連プロ
グラム(システムフォルダ内)を同時に使うとうまく行かないことがあります。
まずは、推奨環境で純粋培養状態で使ってみて、徐々に環境を自分の環境にし
て機能を確認しましょう。

┃その色温度を決めた後に、ハードによるRGBと、ソフトによるRGBのどちらを
┃基準に色を調整すればいいのでしょか?

●「ハードによるRGBと、ソフトによるRGB」の意味が少しあいまいですが、前
者をモニタ本体の調整、後者をAdobe ガンマなどのユーティリティでの調整と
解釈すると、笠井は前者をお奨めしています。

すなわち、作業手順は下記のようになります。
1)モニタのコントラスト調整機構をとりあえず最大にしておく。
2)システム内にあるカラー調整プログラムをすべてオフにしておく。
3)Photoshop4(Photoshop5ではだめ)またはSimpleTextでRGBファイルを開く。

このRGB ファイルは全面をR=0/G=0/B=0 に塗り、中央部にR=8/G=8/B=8 程度の
「ごくわずかに明るい黒」の任意の形状のパターン(四角やマルで十分)を描
いておく。

4)モニタ の「ブライトネス」を調整して、この「真っ黒の背景のやや黒のパ
ターン」が見えるようにする(ブライトネスをだんだん下げていって、見えな
くなる直前でストップ)。
5)以後、上述の白の調整を行う。
6)上記4)と5)を2~3回繰り返す。
※ここまではMacもWinも同じです。

●この後、使用停止していた「システム内のカラー調整プログラム」を機能す
る状態にする(※AdobeガンマとColorSync2.5~ の「モニター調整アシスタン
ト」は同時に使わないこと)。

そして、ガンマだけ調整し、モニタ色温度は「ハードウエアと同じ」という選
択肢を選択する。RGB色度座標は「1.8」(Macの場合)にする。Winの場合は、
ガンマを調整できるグラフィックボードを使っている場合で、かつMac との一
致を望むなら「1.8」に、これ以外の場合は「2.2」にする。

┃DTPで写真を取り込む場合、Labで取り込むのと、CMYKで取り込むのと、どち
┃らがいいのでしょうか。

●いちがいにどれがベストとは申せません。次の笠井の意見を参照して下さい。

・スキャンの目的が特定の仕事でオフセット印刷をする(Web などへの流用は
ない)こと、かつ原稿がたくさんあって生産効率を上げる、かつスキャン後の
レタッチはゴミ取りや簡単なレベル調整など小さな作業だけ、かつある程度ス
キャナソフト上でカラー調整を行う自信がある……という条件を満たすなら、
CMYKで取り込んでいいのではないかと思います。

・上記の条件にあてはまらない場合は、RGB取り込みかLab取り込みがいいと思
います。が、Lab 取り込みは色彩についての理論的知識をある程度持っている
場合に有効ですが、そうでない場合は、かえって画質の劣化やへんなカラーを
作ってしまうなどの弊害も考えられます(スキャナソフトに依存します)。

※注意しないといけないのは、この種のスキャナソフト(つまりRGBやLabスキ
ャンができる)は、カラーマネージメント機能をソフト独自に内蔵させている
ことが多く、このような場合、スキャン途上の設定画面に見えるカラー画像と、
ファイル保存後にPhotoshop などでオープンしたカラー画像のカラーが一致し
ないことがあるという点です。

基本的には、スキャナソフト上でのプロファイルを、Photoshop5上で選択して
いれば両者のカラーは一致もしくは近似するはずですが、確認したわけではな
いので何とも申せません。

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■編集長から生コメント
「CGWORLD」創刊1周年記念号のお知らせ
CGWORLD/DTPWORLD編集長 永田豊志 nagata@wgn.co.jp
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発売したばかりのCGWORLD 12号。今月は創刊1周年にあたります。応援してい
ただいた読者のみなさまにはたいへん感謝しております。さて、気になる内容
ですが、以下のようなものになっております。

特集「スター・ウォーズ エピソード1」「マトリックス」「ハムナプトラ」
など話題の最新映画に見る視覚効果のテクニック

ILM を独占取材した貴重な映像を中心に、ハリウッドの最新作から国内映画の
SF大作まで「視覚効果=Visual Effects」をキーワードに紹介していきます。
スター・ウォーズファンは必見の映像と音響の技術革命年表も見逃せません!

第2特集 歩行サイクルから起き上がりまで
基礎から学ぶキャラクタアニメーション

CGだとどうしても硬い動きになりがち。そこで従来のセルアニメーションやカ
ートゥーンの演出を見習って、いかにキャラクターをいきいきと動いているよ
うに見せるかを学びます。

そのほか特選
・あの出前一丁CMのCG坊やはこうして作られた!
・Maya2登場、特別インタビュー
・大気や水蒸気の表現はどうする?
・アメリカE3レポート
・SGIの最新ビジュアルワークステーション

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■イベント案内
アートポート99 メディアセレクト 名古屋港の倉庫で開催中(11日まで)
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<以下は主催者情報>

概要:現在精力的に活動している作家たちの作品を通じて、先端技術を活用し
たメディアアートについての今日的な到達点を紹介する。映像や音・光・コン
ピュータ等を使用した作品、インタラクティブ(双方向)な作品、インスタレ
ーション(空間造形)など幅広い分野にわたる展示会。倉庫という空間の特性
を最大限に活用し、アートの美しさだけではなく、楽しさや強さ、あるいはそ
の将来の可能性を探る。

世界デザイン博覧会を契機に5回にわたって開催された「名古屋国際ビエンナ
ーレアーテック」の成果は、この地域にメディアアートを根付かせ、多くのす
ぐれた作家たちを育んた。今回はこうした名古屋地区の作家13名と関東・関西
の作家3名・1グループの作品を紹介します。また、会期中にアーティスト・
トーク、公開プレゼンテーション、レクチャー、パフォーマンスなどのイベン
トを行なう。

出品者:石井晴雄、宇井朗浩、加古浩昌、河原崎貴光、国民投票、小島久弥、
小林亮介、今義典、クリストフ・シャルル、竹内忍、千野秀一、津田佳紀、橋
本公成、古池大介、前林明次、森脇裕之、山口良臣

会期:6月26日(土)~7月11日(日)12時~21時/月曜休み 
これからある特別メニュー
7月10日(土)21時 パフォーマンス 有馬純寿(Sound)+平野治朗(Visual)
7月11日(日)17時 エンディングイベント(これのみ有料1500円)
会場:名古屋港ガーデンふ頭20号倉庫(ガーデン緑園東側)

主催:アートポート99実行委員会
共催:中日新聞社 協力:日本航空株式会社

http://www.758.ne.jp/top.html

アスキー24に取材記事がある
http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/990702/topi04.html

有馬純寿さんの連絡先
e-mail:arima@kt.rim.or.jp
http://www.kt.rim.or.jp/~arima

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■柴田のこねた
流行のタイトル
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【日刊SOHO'S REPORT】 http://www.soho-union.net/report/
をいつの間にか購読するようになった。日変わりコラムとニュースという構成
はデジクリと同じだ。メンバーにはレギュラー筆者と広報担当で10人の名前が
見える。彼らは、この社会環境を改善しようとか、この環境下で何とか仕事が
出来るように工夫し、支援環境を作ろうとそれぞれ活動していた団体や関係者
である。硬軟とりまぜてのコラムはかなり読ませる。ニュースもSOHO関連の面
白いものを拾っている。

7月5日付けの【日刊SOHO'S REPORT】 のニューストピックスに、「仕事をも
らえる人とそうでない人」というコラムがあり、草思社の開発した(?)この
手のタイトルをうまくつかっていた。さっそく見にいった。
http://www.iodata.co.jp/sohot/soho/shigoto.htm
「しんぐるマザーNO成るか?SOHO!」というサイトで、こっちのタイトルでは
「仕事をもらえる人もらえない人」となっていたが、まあ普通のことを言って
いるわけで、「ちょっと気を利かせ」「ちょっとお尻を軽く」というのが、仕
事がもらえる人・もらえない人の差なのかも知れません、とのこと。くわしく
は見にいって。

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■展覧会案内
ディジタル・イメージ大阪展 開催中 7月9日(金)まで
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会期:6月29日(火)~7月9日(金) 4日(日)休館
午前10時~午後6時 3日(土)午後4時まで
会場:大阪府立現代美術センター 入場無料
530-0005 大阪市北区中之島3-2-18 住友中之島ビル 06-445-6665

http://www.digitalimage.org/

ディジタル・イメージ会員のイラストレーター柴田敏明さんが、ほぼ毎日更新
しているデジカメ日記が仲間内でも評判だ 
http://www1.kcn.ne.jp/~ko-shiba/

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■現在募集中
http://www.dgcr.com/etc/invite.html

読者プロフィール(投稿大歓迎!)
ホームページリニューアルインフォメーション(見て見て更新したよ!)
新刊情報(編集者が著者が宣伝しちゃう!)
デジクリClassifieds(売ります買います)など、
クリエイターに有益なもの全般!!

■編集後記(7/6)
・なにもわからないままOCNエコノミーを導入し、NTT担当者といっしょに四苦
八苦して開通にこぎつけてから2年過ぎた。モバイルのときはどうなるのかと
思い、「できるOCN エコノミー」を買って勉強した。が、なんだかよくわから
ず「できないOCN エコノミー」のである。Mail ON なるサービスも、他のプロ
バイダに入っていないと転送しての利用はできない(ト理解したが)。携帯電
話やPHS にメール到着を通知してもらってもなあ。なにしろわたしのドコモは
みんながびっくりする超古典的なシロモノ。モバイルの前途多難だ。(柴田)

・妹がいきなりトイレから出てきて叫んだ。「お、おねえちゃん、今、トイレ
入ったらあかんで! 危険や!」どんな強烈なものをしたのかと思ったのだが、
あわてて走り回り、手にスプレーを持ってトイレに戻って来た。「何やってん
の?」「ゴキブリが出てん」と泣きそうな顔。「それ…花壇用のスプレーやで」
おっちょこちょいは血なのだなぁ~と実感。(ハマムラ)

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デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
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