[0392] デジタルクリエーション・イン・上田

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0392     1999/08/05.Thu発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 13645部
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 <日本発マルチメディア作品の快挙!>

●デジクリトーク
 デジタルクリエーション・イン・上田
 尾崎由香

●デジクリのためのメールマガジン紹介
 週刊メルマガ「出来るかなLinux & サーブレット」

●デジタローグのマルチメディア作品が快挙
 サンフランシスコ近代美術館のパーマネントコレクションに

●昨日の須貝さんの<こねた>について (投稿)
 自戒を込めて「デジタルデータだからって……」と書いたつもりでしたが

●柴田のこねた
 怪しいコンテストたち
 
●WEB連動
 日刊デジクリ初オフ&交流会「パワーパーティー」
 映像、画像公開中



■デジクリトーク
デジタルクリエーション・イン・上田

尾崎由香
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はじめまして。長野県上田市に住んでいる尾崎由香です。この度は編集長の柴
田さんとご縁があり、原稿を頼まれました。

今日は、上田市にある上田市マルチメディア情報センターについて紹介しなが
ら、この地域におけるデジタルデザインの状況についてお話しようと思います。

以前、日刊デジタルクリエイターズでも紹介して下さったようですが、上田市
に平成7年に上田市マルチメディア情報センターというところができました。
ちょうどアメリカではゴア副大統領が「アメリカに情報ハイウェイを!」と提
唱していた時期で、日本も情報社会化する世界の波に乗り遅れまいとしていま
した。

そして政策の一環として、今までデジタル世界にふれる機会のなかった国民に
マルチメディアを広めようと、マルチメディア情報センターと名づけられた施
設が上田をはじめ、静岡、岐阜、富山、会津、千歳に作られたのです。

上田ではマルチメディアに親しむきっかけとして、マンガをコンセプトに体験
ソフトを備えたり、催し物を行なっています。

例えば、開設当時から毎年「上田萬画大学」というイベントをやっています。
萬の絵を描ける人=デジタルクリエイターだという考えのもと、名誉館長であ
った故石ノ森章太郎さんを始めとして、里中満智子さんや日野日出志さんをお
招きし指導していただいてます。

期間は3日間で、先生たちにマンガの描き方を教えてもらいながら一枚作品を
描き、最終的にそれをFlash でアニメーションにします。受講者は小学生から
中学生が対象で、今年は小学校3年生も参加しました。また、この他にもグラ
フィックを中心とした各種セミナーをやっています。

このような教室は、パソコン素人や子供が対象です。どちらかというと、絵を
描いたりアニメーションを作ることで、機械を意識せずに創作をし、作品がで
きてみると「あら、マルチメディアってこんなこともできるのね」と気づいて
もらえれば良いわけです。

今年の6月には石川浩二さんにお越しいただいて、Painter講座をやりました。
これにはMac 暦7年の人とか、印刷業の方々が参加してくださいました。この
他にも、SOHO勉強会といって、技術を身につけていずれは自分でも仕事を
やりたいという人のホームページ作成講座、Photoshop講習会や画像加工講座
なども始まっています。

では、デジタルクリエーションということで言えば、上田市、あるいは長野県
はいったいどうなっているのか。正直言って、東京に比べたら雲泥の差で発達
していないと思います。確かに印刷屋さんでは、Mac を使ってデジタル制作を
しています。ホームページを作っている人もいます。テレビでは3Dで作ったCM
も見かけるようになりました。

しかし、都会では溢れているカッコイイデザインや、きらびやかな映像にはな
かなかお目にかかりません。何故か。何よりもクリエイターにとって絶対的な
仕事量が少ない。そしてお金が動かない。

印刷物を例にとれば、東京に行けばあらゆるところにチラシ(今はフライヤー
という呼び方が一般的か?)があります。コンサートやら演劇やら映画やらの
情報が目に入ってきます。そうそう、電車広告というものもありますね。

上田でのイベント情報といえば、まずは市広報と地元ミニコミ紙です。全県下
唯一の情報雑誌に、催し物情報を載せているところもあります。またなにより
安上がりで早い口コミも強力な情報伝達手段。主催者側が運良く広告宣伝費が
あればチラシを作り、効果は絶大のテレビ・新聞に広告を出しますが。つまり、
きれいにデザインされた紙の情報の割合はかなり少ない。

また、デザインというものに対して、コストをかけてやってもらうものではな
いという考えがあるようです。知り合いが町の観光施設に勤めているのですが、
この5月に改装オープンしました。その際に新しいロゴマークを作ろうとした
のですが、あまり予算がなく、知り合いのデザイナーになんとか5万円で外注
しようとしました。でも町からは、5万円でもお金をかけすぎだといわれ非常
に困っていました。

結局その人は、金額は下げられないと頑張り通し、デザイナーさんは、東京の
ホテルのレストランのロゴをデザイン等をしている有名な方にもかかわらず、
基本ロゴはもちろんレターヘッドまで作成してくれたのでした。

この他に、テレビ局の仕事を取るのに、番組のオープニング映像を一桁の金額
で制作したクリエイターもいます。デザインって簡単にできるでしょ、という
認識がまだまだ人々の間にあるのです。

こうしてみると、デジタルクリエイターが関われるお仕事の部分って少ない。
そもそも、企業がイベントをするっていうのが少ない。××デパートが美術展
覧会をやります、とかナントカ株式会社が見本市やります、などの大きいもの
がない。

イベントを主催すると言えば、行政か個人もしくは個人をベースとした団体が
殆どです。行政だったら広告の予算が取ってあればポスターなど作りますが、
それも限られた部署だけです。ましてや、個人中心の団体が大々的に宣伝を打
つというのは難しいです。

それでは何故、上田市マルチメディア情報センターではグラフィック講座をや
ったり、デジタルに関するイベントをやるのか。お仕事に結びつかなければや
っても無駄なんじゃない? と言われる方もおられるかもしれません。

それは将来のために、です。おおげさに言うと、なんとかデジタル技術を通し
て文化を高めたいと思うからです。高速で走って都心とたった2時間しか離れ
ていないのに、ここはイナカです。「東京一極集中」という言葉は、東京近辺
に住んでいた間は実感が湧きませんでしたが、ここに来てからはホントにそう
なのね、とつくづく思うようになりました。

でも「ない」という事に甘えてちゃいけない。新しいものに触れて、使える機
会を提供したい。同じ日本に住んでるんだから、地方にいても良いもの、素敵
なものにどんどん出会って、発見をして成長しなくちゃいけないのだと思いま
す。機会均等を目指せ、です。

萬画大学に参加する小中学生の発想は自由です。何回か参加してくれているメ
ンバーは、自分でキャラクターを作りだして物語を演じさせて、独自の世界を
表現しようとしています。まだまだ稚拙かもしれませんが、デジタル表現の可
能性を知り始めた彼らが、いずれもっと大きな世界を創り出してくれるのだと
期待しています。その時は胸を張っていえるでしょう。

どうだ、上田の底力を見たか!と。

【おざき・ゆか】yuka@umic.ueda.nagano.jp
某通信会社ショールームに勤めたことがきっかけでデジタルの世界を知る。就
職先では初めて「続けたーい」と思った職場だったが、1年後信州に住むこと
に。標高1700mの観光施設に毎日通うのに限界を感じ始めていたころ、上田市
に情報センターができることを知り、アタックして運良く拾われる。電子音楽
と黒猫をこよなく愛する。

上田市マルチメディア情報センター
http://www.umic.ueda.nagano.jp

上田萬画大学
http://www.umic.ueda.nagano.jp/99manga/seminar99/index.html

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■デジクリのためのメールマガジン紹介
週刊メルマガ「出来るかなLinux & サーブレット」(無料)
http://www.smia.co.jp/mlmg.html
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当初の目的は、当社のキーテクノロジーとしてサーブレットを多くの人に知っ
ていただくことでした。Javaは知っていてもサーブレット(サーバサイド・ジ
ャバアプレット)を知っている人が少なく、今後 EJB(エンタープライズ・ジ
ャバビーンズ)との橋渡しとなる重要なテクノロジーなのですがいかんせん知
名度が少なく営業面でも困っていたのです。ですから、メールマガジンを通し
て知ってもらおうと考えました。

しかし、メールマガジンとして発行するからには価値のあるものにしたかった
ので、いわゆるHow to本としても使えるように考えました。技術的にはもっと
実践的な高度なものを扱ってもよかったのですがたくさんの人に見ていただき
たいので初心者向けのものとしました。

これと同時に、師匠エンジニアのリソースを公開するメールマガジンを出そう
かと思っていますが。担当者があまりに忙しいので、とりあえず後回しとしま
した。

メールマガジンの題名は、サーブレットだけでは読者にご理解いただけない可
能性があるので、OS側のLinux についても記述するという事でこのネーミング
としました。

サーブレット自体はプラットフォームを選ばない開発環境なのですが 当社は
Linux の開発環境としてサーブレットを使っているのでこの組み合わせとしま
した。

反響は、最初に当方のLinux エンジニアのミスの指摘から始まり、最近ではメ
ールで声援もいただき、担当者は思わぬ反響でちょっと緊張してます。また、
実際に同じ環境でトレースしている読者から同じ事が出来ない旨のメールをい
ただき、慌てて訂正版を出す羽目にもなりました:-0

これを基に自分が提唱しているオープンソーシングの基礎が作れたらいいなっ
て思ってます。また、最近ではちょっと欲張って一度完結したら本にしようか
なとも考えています。

Masashi ASO(阿蘓政志) Mailto:maso@smia.co.jp
SMIA,Inc. http://www.smia.co.jp
Collaboration Japan Project,Co.LTD. http://mikoshi.com/stage100/

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■ニュース
デジタローグのマルチメディア作品が快挙
サンフランシスコ近代美術館のパーマネントコレクションに
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デジタローグ発売の、前田ジョン制作によるThe Reactive Book Series(The
Reactive Square,The Flying Letters,12 O'clocks,Tap.Type.Write全4冊)が
サンフランシスコ近代美術館のパーマネントコレクションに選ばれたそうだ。
前田氏は現在MIT メディアラボで教鞭をとっている。

デジタローグでは、これを記念してこれらを1パッケージにしてThe Reactive
Boxの限定発売を8月末に予定とのこと。おめでとうございます。

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■昨日の須貝さんの<こねた>について (投稿)
自戒を込めて「デジタルデータだからって……」と書いたつもりでしたが

無知でずぼらな編集者
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いやー、命長ければ恥多し。特別、小さな文字で書いていた「編集後記」を読
んでいただいてのご意見、恐縮です。まことに恥じ入ります。

しかし、ほんの小さなスペースなので言い足りない部分が多くて、誤解を招い
ているようですね。「ずぼらな編集者」であることは認めますが、新製品のス
ペックをWeb サイトからコピー・ペーストするのは省力化だと思います。それ
と、基本的に誤解があると思うのは、テキストエディタで編集する段階のこと
を書いていたわけで、そのままクォークに流し込んだ訳ではありません。「校
正」という言葉を使ったので、誤解されたかな。

カタログ・資料はものぐさながら集めております。テキストエディタを開き、
カタログを見ながら確認作業をして、脱字、文字化けを直し、語句の統一を行
ない、レイアウトに回します。そのうえで、各メーカーの広報に確認の連絡を
入れています。価格などが変更になることが頻繁にあるからです。もしかした
ら最近は、そういうことをしない若い編集者がいるのでしょうか。

己の無知を棚に上げて「デジタルデータを盲信するな」などと言うな、という
のが<こねた>論旨だと思います。まことにごもっともです。私は知らないこ
とが多くて、恥ばかりかいております。

しかし、人間はすべての知識を持つわけではありません。ある場所で若い編集
者の人たちと話したときに、原稿をニフティで送ってもらうようになって、紙
に出力したものはこなくなった、と聞きました。「それはちょっと危険ですね。
筆者のところで出力したプリントアウトをファックスしてもらった方がいいで
すね、特殊な記号や文字を使っていると文字が化けたりしますから」と話すと
「えっ、そうなんですか」と驚かれました。

まったくデジタルデータについての知識レベルはいろいろあるもので、自戒を
込めて「デジタルデータだからって・・・」と書いたつもりだったのです。い
ろいろむずかしいことが多いので、知らないで変なミスをするのはやめましょ
うね、というつもりだったのですが、デジタルデータに罪をなすりつける傲慢
なニュアンスに受け取られてしまったようです。ご容赦。

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■柴田のこねた
怪しいコンテストたち
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あるデザイン誌に、CGアーツのビッグなコンテストの広告が載っていた。ただ
し、応募要項などの情報はなく、案内書を主催者に請求するめんどうな仕組み。
URL があるので見にいったら、おそろしく趣味の悪いデザインのサイトで、こ
こにも甘くておいしそうことは書いてあるが、コンテスト自体の情報はない。
なんだか意味不明のWebサイトである。

結局、応募要項は取り寄せることになる。親展で送られてきた封書は、郵便為
替払込書4枚とA4の書類4枚。内容をご紹介する勇気も元気もない(トホホ)。
記事にするかどうかは、12月に開催という展覧会を見てから考えますわ。

また、あるDM 用イラストのコンペでは、大賞作品は商品化し販売するという。
賞金3万円か。だが「入賞作品の著作権は主催者に帰属する」という一文には
ぶっとび。いまどきこんなヤバイこと考える業者がいるのだなあ。入賞させて
使い放題! アーティストを食い物にしていると言われてもしかたないね。

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■WEB連動
日刊デジクリ初オフ&交流会「パワーパーティー」
映像、画像公開中
http://www.dgcr.com/off/
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皆さま、オフ会ではどうもありがとうございました。参加者の魚住さんのご厚
意による映像が届きました。上記 URLにてご覧いただけます。参加なさった方
もご都合のつかなかった方もぜひご覧になってください。

編集長は映像内の鬼太郎です(怒られる~)。私は赤いジーンズはいてアホ面
してます。ビデオ撮られているなんて知らなかったんだもの。名前公開しても
良いとおっしゃる方々、ぜひメールください。画像の横に名前入れますので。
それにしても魚住さん、画像の人物かたよっている気が…。公開しても良いと
いう画像があれば皆さまぜひお送りください。このページにつけるレポートも
募集しています。ぜひ送ってくださいね~。

また次の思い出を作りたいですねっ!(ハマムラ)

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■編集後記(8/4)
・夏はスイカに限ります。あんたはカブトムシかクワガタか、といわれるほど
毎日食べている。みんな貧しかった子供時代、スイカを腹いっぱい食べるのが
夢だったっけ(バナナもね)。しかし、うちの家族はなぜかあまりスイカを喜
ばない。というか果物を積極的に食べない。めんどうなのかもしれない。ハニ
ー号は、手で持っていてやるとシャクシャクと噛る。変な犬だ。(柴田)

・必然的にSOHOをして常時接続をしている。一日中、マックと向かい合ってい
るのにも関わらず、うちの両親は娘の仕事やインターネットに理解がない。親
不孝なやくざものくらいにしか認識していない。部活は儲かっていないので居
候をしている身としては何を言われても仕方ないのだが、新聞に露出しはじめ
たネットのことくらい興味を持ってくれよ~と思ってしまう。きっと世間はネ
ットに関してこの程度の認識なのでしょう。まだまだ発展の余地ありって感じ。
わぉ。皆さんまだまだいけまっせ~。(hammer.mule)
http://www.dgcr.com/off/ ←オフ会映像と画像。

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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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