[0404] 「THE MATRIX」その2

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0404   1999/08/30.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 13876部
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 <宿題まだ終わっていない……> 

●デジクリSPECIALコラム
 "THE MATRIX"に新しいCGの流れを見たPartII
 神田敏晶

●イベント案内
 情報デザイン国際会議・ビジョンプラス7

●展覧会案内
 ALIEN EXHIBITION H,MIZOKAWA VS J.MATSUNAGA

●セミナー案内
 パネルディスカッション「世界市場の中の日本製CG/デジタル映像」

●公募案内
 Digital Media Competition '99



■デジクリSPECIALコラム
"THE MATRIX"に新しいCGの流れを見たPartII

神田敏晶
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KNN神田です。

6月14日の日刊デジクリ[#348] 「"THE MATRIX"に新しいCGの流れを見た」で
「THE MATRIX http://www.whatisthematrix.com 」を紹介しておりますが、よ
うやく来週9月11日から日本で公開です。ホント長かったですね~。

先行ロードショウで見られた方も多いと思いますが、とにかくデジタルクリエ
イター必見の映画のひとつといえます。日本でもTVでメイキング番組がオンエ
アされたそうですね。とにかく今年のロスのSIGGRAPHでもあちらこちらで、こ
のMATRIXの裏舞台が紹介されていました。MATRIXとSTAR WARSだらけでした(^^)

CG作品として十分に楽しめるこの映画ですが、実際にキーとなる場面ではデジ
タル-アナログ-デジタルで処理されている事はあまり知られていないようです。
ここが味噌なんですね。

この作品の監督のラリー&アンディー・ウォシャウスキー兄弟は、日本のアニ
メを映画の世界で表現したいと考えたようです。まず、このMATRIX(マトリッ
クスと発音せず、メイトリックスですね)は絵コンテをすべて劇画作家に描か
せました。

この手法は、ルーカスのスターウオーズと同じで、精密な絵コンテをもとに実
写でいくか、CGでいくかをシークエンスごとに検討するからです。今後は、よ
り緻密な絵コンテで撮影手法を検討する時代になることでしょう。

次の段階でMATRIXではラフなCGを作成していきます。STARWARSはこのまま、ブ
ルーバック+CGで完成してしまうのですが、ラフなCGでカメラのアングルやラ
イティングを決定していきます。そして今度は巨大な360 度ブルーバックスタ
ジオ(といってもグリーンですが…)において人物入れ込みのアナログな撮影
をおこないます。

主人公のネオやトリニティの空中でのストップモーションを、デジクリ[#348]
では、「カメラの視点がグルッと回りこんだり、ズームイン、ズームアウトし、
今まで見ることができなかった新しい視点で格闘シーンを見せてくれます」と
表現していましたが、そのタネあかしがなされました。

もう、びっくり!なんと、主人公たちを囲む360度に100台以上の一眼レフを配
置し、1秒あたり1万2000枚のスチルを連動させて撮影し、それをデジタルで
連続して処理して映像にするというものです。びっくり仰天でしたぁ!!!普
通そこまでやる? あの特殊な感覚がようやく理解できました。文章ではあら
わせないのでぜひ、映画で確認してくださいね。

視覚効果のジョン・ゲイターやマネックス社(http://www.mvfx.com/)にはア
カデミー賞をぜひあげてください! デジタルで考え、アナログで撮影し、デ
ジタルでまとめる。フルデジタルでは真っ平らになりそうなところが、現実と
の見境いがつかない映像表現として登場します。しかし、すごい事を考えるも
んだ…といいながら、ウチでもできないかなあと思わずインスパイアされてい
ます(^^)

さらに、今回この映画で活躍しているのが完全アナログのワイヤースタントで
す。ヒロインのトリニティがフワフワ浮く特殊な能力である浮遊感覚はすべて、
カンフー映画のアクション練習用のワイヤースタントで生きています。

これは、CGでやるより、人間を吊った方が手っ取り早いからですね。昔のよう
にピアノ線が写ったりしないので、現実感はないのですが、タネを明かすとな
~んだのネタですね。しかし、それらが完全にマッチしてこの映画にスピード
感を与えています。ウォシャウスキー兄弟はSFX 映画のタランティーノと呼ば
せていただきたいほどです。

今後、CGに頼りきるのではなく、綿密にCGでシュミレーションし、完璧なショ
ットを従来の手法で撮影するということにより、記憶に残る名シーンを作りあ
げることでしょう。

「ターミネイター2」のT-1000 が牢屋をくぐりぬけて拳銃がひっかかるシーン
を覚えていますか? なんとあのシーンはたった2秒間48コマの出来事です(ベ
ルトがどうしてひっかからないのかなんてこの際、考えない…)。たった2秒
でT-1000の恐さをよく表現していました。また、ウォシャウスキー兄弟は、現
場でDVカメラでカメラアングルを検討するなど、ポラロイドを切る感覚でカメ
ラマンクルーともコミュニケートしています。

テクノロジーの進化が人間のクリエイティビティをパラメータ化させるのでは
なく、新たなアイデアを生み出すトリガーとなることを映像オタクのウォシャ
ウスキー兄弟が証明してくれています。

このような新感覚の映像が登場することによって、ますます映像表現に広がり
がでてきたことにホント、ワクワクしてしまいます。CG作品に食傷気味な人に
もおすすめの映画かもしれません。ILM社にも現実らしくみせる以外の課題が
この映画をきっかけに課せられたようです。

さてさて、日刊デジクリ[#395] インディペンデント・コンテンツで紹介した
映画「ブレアウイッチプロジェクト」の日本公開はいつになることやら…。こ
の映画も別の意味でスゴイです!

※9/7より、KNN神田は、ワールドPCエキスポからレポート番組をおこなってい
ます。お楽しみに!
 http://wpc99.nikkeibp.co.jp/
※9/11より、韓国でシドニーオリンピックの予選があり、スポーツライターさ
んを探しております。松坂投手に詳しいスポーツライターさん、メールお待ち
しております。韓国へこの期間、取材に同行していただきます。

【かんだ・としあき】
The smallest digital TV station in the world
KandaNewsNetwork http://www.knn.com
International Journalist & Travelist
Toshi Kanda kanda@knn.com

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■イベント案内
情報デザイン国際会議・ビジョンプラス7
<http://www.visionplus7.com/tokyo>
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<以下は主催者情報>

この度、ウィーンに本拠をおく情報デザイン国際研究所(IIID)が開催してき
ました「ビジョンプラス会議」の第7回「ビジョンプラス7(visionplus7)」
を東京で開催します。

本会議では、「情報デザインからコミュニティーの構築を考える」をテーマに、
人々の生活と社会活動に結びつく「情報」のはたらきとその在り方について、
デザインの視座からさまざまな議論を試みたいと思います。確立の途上にある
情報デザインの概念を探ることを基調に、次の3つの観点から、情報デザイン
の可能性を展望します。

1)情報のシステムとビジネスをつくる
2)情報と情報テクノロジーを人々がつかう
3)情報社会のコミュニティーを構成する人々をつなぐ

会期:10月7日(木)、8日(金)、9日(土)
会場:多摩美術大学上野毛キャンバス講堂
  (世田谷区上野毛 3-15-34、東急大井町線、上野毛駅下車徒歩3分)
テーマ:情報デザインからコミュニティーの構築を考える
主催:ビジョンプラス7実行委員会、情報デザイン国際研究所(IIID)
助成:多摩美術大学、武蔵野美術大学
後援:UNESCO(国際連合教育科学文化機関)、オーストリア大使館、オース
トリア科学技術省、ベルリン国際デザインセンター、東京ドイツ文化センター、
国際交流基金、JAGDA (日本グラフィックデザイナー協会) 
協賛: アドビ システムズ(株)、(株)アクシス、エプソン販売(株)、NEC(株)、
(株)エムディーエヌコーポレーション、花王(株)、ソニー(株)、マイクロソフ
ト(株)、(株)リコー
    
プログラム:
●10月7日(木)つくる/情報とストラテジー  
・情報とストラテジー
モデレーター: 坪田知己(日経新聞社、日本)
マシュー・ホロウエイ(ヘルシオン、米国)田中譲(北海道大学、日本)大隅
規由(NTT-Communications、米国)  
・事例: 情報とストラテジー
モデレーター:ナム・クシ・リー(IDAS、韓国)
ビル・モグリッジ(IDEO、米国)チャーリー・フレッヒ(メタデザイン、ドイ
ツ)リズ・サンダース(ソニックリム、米国)

●10月8日(金)つかう/情報とインタフェース
・新しいインタフェースのモデル
モデレーター: 須永剛司(多摩美術大学、日本)
ヨーブ・ルトゥガス(フィリップス、オランダ)パトリック・ホイットニー
(イリノイ工科大学、米国)ビル・バープランク(インターバル・リサーチ、
米国)
・事例: 情報とインタフェース
モデレーター: リン・シェード (アドビ・システムズ米国)
マリア・ジュディジ(HOT 、米国)田中泉(ソフトディバイス、日本)リン・
シェード (アドビ・システムズ、米国)

●10月9日(土)つなぐ/ 情報と環境
・情報の景観
モデレーター: 水越伸(東京大学、日本)
ギュンター・ニチケ(日本)ヨアヒム・ミュラー・ランセ(Kame Design 、米
国)
・関係のマッピング
モデレーター:堀内正弘 (多摩美術大学、日本)
若林幹夫(筑波大学、日本)片岡勝(市民銀行、日本)ウエンディー・ブラウ
アー(モダンデザイン、米国)
(* 会議内容と討議者は予告なく変更になる場合があります。)

参加費
参加のお申込みは、8月31日までに頂きますと早期登録割引になります。
8月31日までに登録される方:
一般3日券: 30000円 、学生3日券: 15000円
一般1日券: 12000円 、学生1日券: 6000円
9月1日以降に登録される方:
一般3日券: 35000円 、学生3日券: 17000円
一般1日券: 15000円 、学生1日券: 7000円

ウェブサイトよりの申込み
http://www.visionplus7.com/tokyo/registration/
Faxによる申込み Fax. 03-3702 9858

Faxによる参加登録用紙の請求は、03-3702 9858 まで連絡をいただければ自動
ファクス返送します。

事務局:ビジョンプラス7実行委員会  東京都世田谷区上野毛 3-15-34
多摩美術大学デザイン学科 T.F 03-3702-9858 info@visionplus7.com
www.visionplus7.com

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■展覧会案内
ALIEN EXHIBITION H,MIZOKAWA VS J.MATSUNAGA
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日時 9月6日(月)~11日(土)AM11:00~PM7:00
会場 王子ペーパーギャラリー銀座
   東京都中央区銀座3-7-12 王子不動産ビル1F TEL 03-3567-7790
 
溝川秀男 F-1、バイク等テクニカルイラスト約16点(デジタル/アナログ)
松永 順 キャラクター約15点 (デジタル)
 
出展者は月曜日と土曜日は会場にいます。それ以外は未定。

問い合わせ 〒540-0035 大阪市中央区釣鐘町1-6-6大手前ヒルズ509 
エイリアン TEL/FAX 06-6944-0815
alien@osk4.3web.ne.jp

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■セミナー案内
パネルディスカッション「世界市場の中の日本製CG/デジタル映像」
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World PC Expo 99 と同時開催される「シーグラフ東京/フォーラム'99」のサ
テライトセミナーとして開催されるパネルディスカッション。シーグラフ東京
/フォーラムに連動して、日経BP社やCGアーツ協会が主催するCGとデジタルコ
ンテンツの将来動向を探るセミナーフォーラムである。

日時と会場:9月9日(木)午後3時~5時 幕張メッセ国際会議場
講演:「世界の先端CG映像に見る日本作品の影響」
映像クリエーター 大口孝之

講演:「世界から見た日本製アニメとその市場」
フランスALPHANIM社 会長兼CEO クリスチャン・ダバン

パネルディスカッション:「日本発CGアニメは世界市場で成功するか」
田中和彦(ギャガ・コミュニケーションズ)
マイケル・アリアス(Softimage Co./トリロジー)
百瀬義行(スタジオジブリ)
クリスチャン・ダバン(ALPHANIM)
司会:大口孝之

セミナー参加費は当日3000円,事前登録2000円。事前登録は
http://wpc99.nikkeibp.co.jp/contents/forum/main/09_sp_cg/index.htm

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■公募案内
Digital Media Competition '99
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慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC) では、毎年秋に開催するオープンリサ
ーチフォーラム(ORF)の中で、ディジタルメディア作品コンペ(DMC)を実施して
いる。慶應SFC 関係者だけでなく、広く一般からディジタル作品を募集し、新
しい時代を拓く作品を表彰する。

応募資格:応募作品は,未発表、既発表を問わない。ただし、国内外のコンテ
ストで受賞経験のないものに限る。広い意味でのディジタル技術を用いて制作
した作品を募集。 内容は、アート作品、エデュテイメント作品、テクノロジー
/サイエンス作品の3種類のいずれか。表現形式は静止画、対話型ソフトウエ
ア、ヴィデオ、Webコンテンツの4種類のいずれか。

応募意思表示を9月15 日までに行なう。 作品本体と添付書類は9月30日必着
で提出。10月に1次審査、11月に2次審査を行ない、審査結果は11月の ORF99
の会場で発表する。入賞作品として、グランプリ1点に賞金と賞品、入選作お
よび佳作各数点に賞金または記念品を贈呈する。

詳細はこのサイトに
http://www.kris.sfc.keio.ac.jp/ORF99/DMC/dmc99.html

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■編集後記(8/30)
・先日、蝉のことを書いたら、上尾市の逆井さんから、こっちにはヒグラシも
ツクツクホーシもいっぱいいるというメールをいただく。町田市の佐々木さん
からは、ヒグラシもツクツクホーシも鳴いているが「やはりおかしい。“クマ
ゼミ”が鳴いてる。この辺りにはいない筈。子供の頃から一度も捕まえた事も
なければ、鳴き声を聞いた事もかった。大島には沢山いましたが‥‥。今年は
大平洋高気圧の位置が例年より緯度の高い所にあり、熱帯低気圧がひっきりな
しに関東地方に接近したので、風に乗ってやって来たのではないでしょうか?」
と学問的なご指摘。私が蝉ばかりでなく、いろいろな昆虫に詳しい理由は、高
校時代に「生物部」の部長という、絶対にモテるはずのないポジションにいた
からだ。だからクラスでは「非情の男」と言われていた。なぜかというと、平
気でイキモノを解剖しちゃうから、らしい。そうでもなかったが、、(柴田)

・先日のスケルトンカップヌードルネタについて、メールが何通か届いた。理
科の実験が大好きだった私は、もちろんスケルトンタイプは嬉しいのだ。が、
あの文章の趣旨はそうではな~い。世の中が同じ方向に流れていくのがイヤな
のと、男女のことを暗に言っているのだ。う~む、難しいぞな、もし。これ誰
の口癖だったろう…。 最近どんどん知名度の上がってきた坂本サトル。彼の
日記は面白いぞ。特に6/21が好きさ。今年の紅白?(hammer.mule)
http://www12.big.or.jp/~lapland/index.shtml

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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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 担当:濱村和恵
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