[0430] 印刷業界の動向(PDFとXML)

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0430   1999/09/30.Thu発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 14119部
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 <あはは……それは駄目すぎ!>

●デジクリトーク
 印刷業界の動向(PDFとXML)
 水無月 実

●デジクリトーク
 だいぶ寿命が縮まりました
 なゆみ かすい



■デジクリトーク
印刷業界の動向(PDFとXML)

水無月 実
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アメリカでは、最近の好景気で各種の変革が加速した観がある。これまでは、
もう少し先のことと思われていた発展が、前倒しになっている。特に、これは
コンピュータの性能と、それが関わるインターネットで顕著な傾向であるが、
その影響が印刷業界にも現れており、印刷の対象が紙だけでなく、インターネ
ットにも及んでいる。

アメリカの印刷業界は2000年を迎えて、これまでに種々の白書が警告して
きたような「情報加工産業」に変貌しつつある。そのなかで、今回はPDF、
XMLの現状について、お話ししたい。

PDF(Portable Document Format)

日本でも、これまで印刷業界、DTP(DeskTop Publishing)の標準フォーマ
ットであったPostScriptの後継フォーマットとして注目されているPDFは、
アメリカでは標準となりつつある。

このフォーマットは、発表されてから既に5年以上になる。当初、アメリカで
もこのフォーマットはインターネット向きという見方があったが、この2年、
印刷分野での活用を助けるツールが数多く発表されてきた。

さらに、今年に入って、多くの製版メーカーからPostScript3(PS3)とい
う新規格に対応したRIP(Raster Image Processor)システムが発表され、
PDFもPostScript同様に直接RIPできるようになった。

ちなみに、当社が製版システムとして採用しているScitex社はPS3に対応し
たBrisque Exstremeを発表している。日本では今春発売されたPDFの最新バ
ージョンPDF1.3(Adobe Acrobat 4.0 日本語版)でDTPの標準ともい
えるモリサワ日本語フォント(NewCIDフォントに限る)がサポートされたこと
から、PDFを製版で利用する動きも始まっている。

今後、印刷のためのデータがPostScriptからPDFに代わって行くであろう。
また、これまで出力時に大変であった日本語フォントの有る無しという問題は、
PDF1.3にモリサワの新しいフォント(NewCID)を埋め込むことで、問題
の解決に近づくだろう。

ただし、先にお話ししたようにPDFはインターネットのためのフォーマット
でもあるから、印刷のために制作したデータをそのままインターネットに公開
するなど、印刷とインターネットでの情報発信の距離は近づく。今後さらに、
印刷会社でもインターネットを無視できなくなるだろう。

XML(eXtensible Markup Language)

XMLはドキュメントの構造とそのコンテンツ(ドキュメントの内容)を一括
管理するための言語である。これまでデータベースから2次利用など、ワンソ
ース・マルチユースを実現するための言語として注目されてきたが、この言語
もそれをサポートする環境が整ってきたので、さらに実用化されつつある。

インターネットの世界ではMicrosoft社のブラウザInternet Explorer 5.0が、
さらにNetScape社は次バージョンのブラウザNetScape Navigatorが、XMLを
ダイレクトにサポートする。

そのため、インターネットの世界ではデータベースに蓄積された情報がブラウ
ザに瞬時に表示される。もしくは、ブラウザに入力されたデータがデータベー
スに蓄積されるなどの仕組みは実用化されている。これが次項目で紹介するイ
ンターネットの新しいビジネスeBusiness、eCommerce(電子商取引)の基礎と
なっている。今や、インターネットの世界では情報を公開するためのブラウザ
とデータベースが双方向で連携したシステムは当然である。

アメリカではこの傾向がDTP、プリプレスにも浸透してきた。それはアメリ
カで(日本でも)DTP、プリプレスの標準であるレイアウトソフトがXML
をサポートし始めたからである。

例えば、Quark社のQuarkXPressはAvenue.quarkというその機能を強化するソフ
ト(QuarkXTension)でXMLをサポートしている。また、Adobe Systems社が
新たに発売した強力なレイアウトソフトAdobe InDesignは当初からPDFとと
もにXMLも標準でサポートしている。

これらのソフトが、紙の印刷でもデータベースからの情報と連動したレイアウ
トを可能にした。実際に、アメリカの経済専門紙(新聞)では毎日更新される
データベースからの情報を、リアルタイムな紙面作りに反映させている。

このように、XMLがインターネット・ブラウザ、レイアウトソフトに使える
ようになり、データベースからの情報を活かした情報発信、出版、新聞制作が
盛んになっている。まさに、ここでもインターネット、紙への印刷に境界が無
くなり、さらにインターネット、紙への情報加工が行われている。

【みなつき・みのり】関西出身のライター。1990年初め頃からDTP の世界に入
り、現在はDTP、インターネット、マルチメディアと何でもあり状態。今回も、
メールは MMinatsuki@aol.comまで。

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■デジクリトーク
だいぶ寿命が縮まりました

なゆみ かすい
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ちょっと前にデジクリMLの方で、MOでしたか、リカバリーのことが話題に
なっていました。恥ずかしながら、うちでは一切のバックアップをとっていま
せん。というよりも、そういった機器を持ち合わせていませんので、バックア
ップできないという方が正しいのかもしれません。そんな危なっかしい環境で
すので、いいかげんに対策をと思っていた矢先の出来事でした。

深夜、いつものようにデジクリをじっくりと読んだ後、インターネットをさ迷
っていました。そう、NHK教育の「ざわざわ森のがんこちゃん」の再放送を
BGVにして。

そして、「がんこちゃん」は終わって、プチプチアニメの「キトとウーフル」
が始まります。それのOPが終わってから、少し後のことだっと思います。

最初に、HDDのモーターが停止した音がしました。ちょうどパソコンの前か
ら離れた隙でしたので、省電力機能かと思い忘れようとしました。その時です。
モニターの電源が落ちたのです(*1)。それでも、やっぱり、いつもの省電力
機能だろうと思いました。うちでは、つけっぱなしにしておくことが殆どです
ので、それならと、スクリーンセーバーのようなものは使わずに省電力機能で
電源断という設定にしてあるからです。

しかし、何か変です。HDDとモニターの省電力機能が働く時間はずらして設
定してあったはずなのです。それが、ほんの数秒の差で働いてしまうことなど、
ありえるはずがないのです。

これは何か異常ではないかと察知して、マウスに触わりました。やっぱり!!
モニターがつきません。電源を切ったり入れたりしても、駄目です。以前にも、
モニターが壊れたことがあったのです。それは、某デスクトップパソコン付属
のモニターだったのですが、とっくに保証期間を2年もオーバーしていました
から、修理を依頼した後に見積価格を聞いて、びっくり、2万円だと言われて
断りました。

そして、新しいものに買い替えることにして、レジで会計をしつつ、ちょっと
お店の人に話をしたら、そのメーカーでは細かい修理はせずにユニットごとの
交換になるから、そんなにかかるということを聞きました。でも、まぁ、そう
いうセットものですし、3年も持てば良い方だったのかもしれません……って、
ちょっと逸れましたね。軌道修正。

そ、それから、慌ててモニターの保証書を探しました。箱類はとっておく方で
すので、保証書はちゃんと箱に付いてました。あ゛……これって、2年前に買
ったのかも。やっぱり、保証期間が1年過ぎていました。

「うわー、また買い替え?」等と、涙を堪えつつ、本体の電源を切りました。
でも、性懲りもなく試しに、本体のスイッチを再び入れてました。

そこには、いつものメモリー・チェックの画面。「あれっ……ちゃんと、起動
してるみたい!?」と、あっけにとられながらも、一安心。

いえいえ、本当にそう思ったのはつかの間のことでした。その時は、たまたま、
FDで起動(あ、うちはWindows95です)しました。そして、DOSの経験を経て
いる方なら使われていた方もいらっしゃるでしょう、うちでは未だに現役のフ
ァイラー「FILMTN」を起動しようと思ったのです。しかし、FILMTNはHDDの
少し奥の方に入っています。パスを含むコマンド名を手入力してから実行する
のは、ものぐさ回路が面倒だと判断しました(*2)。
そこで、Cドライブの中にあるAUTOEXEC.BAT を実行すれば、FILMTN のパスが
通るようにしてありましたので、それを実行しようと「c:」とタイプしたつも
りが……どうやら「d:」とタイプしてしまったらしく。すぐさま、「c:」と続
けてタイプしました。すると、

| A:">d:
| 無効なドライブの指定です.
| A:">c:
| C:">

この事実に気づくのに十数秒……「うわっ、Dドライブが認識されてない!」
ということは「同じHDDにある、E~Gドライブも?」と思って試してみる
と、やはり、駄目です。全滅です。

ちなみに、Cドライブの入っているHDDの方が古いため、そちらが先に壊れ
るという想定の下、OSとしてWindows95 だけが入っています。そして、件の
HDDはSCSIの外付けで、4つのドライブを作成しています。Dドライブには
プログラム類、Eドライブにはデータ類、Fドライブにはインターネットのキ
ャッシュ(Windows 版「DELEGATE」)、Gドライブにはスワップです。この構
成、かなり小分けしているように思われるかもしれませんが、Windows の場合、
経験的にこのくらい用途別に分けておく方が安定しそうなので、そうしている
のです。

「はぁ……モニターは問題無かったにしても、HDDの買い替え?いや、これ
は去年の夏頃、買ったような……ひょっとして、まだ保証期間が残ってるかも
?」と、甘い考えを抱きながら保証書や売上伝票を探し回りましたが、どうに
も、マニュアルしか見つからず、それらは一向に見つかる気配がありません。
それに、やはり、まだ保証期間中であるという確信もありません。(笑)

それでも、この状況のままでは埒が明きません。Cドライブにシステムは揃っ
ていますから、少なくともWindows95 の起動くらいはできるはずです。そして、
OSにかなり癒着してしまっていることでもあるし、Internet Explorer(4.0)
も、あわよくば動くはず……です。

おっけー。インターネットにも問題無く接続できました。とりあえず、やはり、
Dドライブに入れていたメール環境をなんとかしようと思い、同じメーラーを
ダウンロードしてインストールしました。レジストリに、いくらか情報が入っ
ていたらしく、暫定的ながら、インストール作業のみで再構築することができ
ました。

それでも、論理異常ではなく、電源かモーターの物理異常だろうと素人目にも
思っていましたので、「HDDのデータが帰ってきてくれるのなら、多少、か
かってもいいかなぁ」と思いながら、メーカーのサイトで修理に関して確認し
てみました。すると、ストレージ製品の場合は問題無く修理できても、検証作
業の際にデータは消去されるとのこと。

「あはは……それは駄目すぎ!」唖然として、目が眩んできました。

そこで、データリカバリーの会社のサイトに物理修理の情報がないかと、goo
で探してみましたが、「1,000円/1M」という価格設定が非常に心臓に悪い論理
リカバリーの会社ばかりです。がっくり……。やっぱり、物理修理は技術的に
可能だとしても儲からないだろうから、サポートでもない限り、そういうのは
やらないのだろうなと、ひとりで納得しました。

そう、こうなれば分解しかありませんとも。どうにでもなれと、もう、かなり
やけくそです。未だ陽の目を見ていない組成過程の結晶がほんの一瞬で水泡に
帰してしまったのですから。

「むっ!?」ネジは全部外しましたが、不器用なので、どうにもカバーを開け
られません。

どうにもならないので、インターネットをぶらぶら。半ば諦めながらも、もう
少し検索してみていると、「電源を入れて、HDDの横を軽く叩くと治ること
がある」というあやしげな情報があるではありませんか。

データリカバリーをするようなお金は、生まれてこの方、金運には見放され、
今では(またも、NHK教育の「おじゃる丸」の)「貧乏神さま」に心惹かれ
ている有り様、ジャンプしたって、逆立ちしたって、出てきっこありません。

それならばと、まさに藁にも縋る思いで、外付けケースに入ったままではあり
ますが、それを試してみることにしました。結果は、案の定、駄目なようです。

そして、もう一度、HDDの分解にチャレンジしました。「開いたぁ!」どう
いうわけか、すんなりと。「ふむふむ、こうなってるのか……」いや、電気に
は疎いので何にも分かってないのですけど。(笑)

とりあえず、HDDを外付けケースから取り出してみました。「ふーん、ID
Eの(HDD)と同じ大きさなんだぁ(当たり前!)。そういえば、前に壊れ
たHDDって、まだ捨ててなかったなぁ。今度、一緒に捨ててないと……」と、
恍惚とした顔をしながら思いふけっていると、ふと、もしかすると、HDD内
部の問題ではなくて、幸いにも外付けケースの電源供給の問題ではないかとい
うことに気が付きました。

そこで、早速、前に壊れていた方のHDDをその外付けケースの電源へと繋げ
てみることにしました。壊れているといっても、モーターは正常に回転してい
たものです。予想通りです。このHDDのモーターも回ってくれません。やは
り、そうに違いありません。心機は一転して、小躍りする気分です。

次に、今回壊れた方のHDDにパソコン本体から電源を拝借して繋げてみると、
今や懐かしい「ウィーーーーン」という駆動音がしました。感慨ものです。

それから、外付けケースをよく観察してみると、通電ランプとアクセスランプ
が周期的に点滅しています。しかし、HDDを外すと、どうやら、通電ランプ
は常に灯る様子です。

そこから、素人ながらも電圧が足りないかなにかが原因であると、確信に至り
ました。そう、これまでの電気製品の故障経験からいっても、おおよそが電源
故障で、電圧トランスなるものを交換する等して返ってくることがほとんどで
したから(うちの場合は、です)。

となると、この電源基板の部品のどれかがおかしいということになります。

「あっ……ん、ん、ん!?まてよ。そういえば、このところ、なにやら異臭が
していたのは、もしかして、これかも」てっきり、コンビニおにぎりか何か、
どこか見えないところに、すってんころりんしてしまって、それが腐りだした
りしているのではないかと思い込んでいましたので、有機物の腐敗臭ではなか
ったという、違う恐ろしさではなかったことに安堵しながら、電源基板に鼻を
近づけてみると……。「あぁ、これ、この臭い!(*3)」つまり、あの臭いと
いうのは前兆だったことになります。賢明にも異常を知らせてくれていたわけ
です。

さて、今回壊れたHDDの場合、ドライブ自体は全くの無傷である可能性が高
いことが見込めますので、復活の可能性も残されていると思われます。それな
ら、案外、SCSIの内蔵ドライブにしてしまうだけで解決できるかもしれません。

ですが、内蔵して接続するためのフラットケーブルが手元にありませんので、
すぐに復旧作業に入ることはできません。

復旧は可能なのか、はたまた、更に寿命が縮んでしまうのか。

結果は次回、改めて。

*1 ... 今回壊れたHDD上にスワップファイルがあったため、おそらく、H
    DDが停止して、スワップにアクセスが発生した瞬間にシステム的に
異常な状態に陥ったことが原因だと思われます。

*2 ... 本当はレスキューFDにでも、使いそうなプログラムは一緒に入れて
おけば良いのですが、以前、作っていたFDが行方不明になって以来、
そのままになっています。

*3 ... 良い子の皆さんは、まねをしないでください。もしかすると、人体に
影響のある成分が混じっていたりするかもしれませんし……。

【なゆみ かすい】kasui@flux.gr.jp
はやく人間になりたい! と思いながらも、ただただ月日に押し流されてます。
か・な・り、やばいです。ラジオ深夜便は心の友です。それから、ほんの少し
だけだけど、ウェブ・サーフィンに役に立ちそうなサイトを準備中。詳細は、
近日中に……。(たぶん)

・名前も不思議なこの方はやはり「妖怪人間」だったらしい。続編も長編の予
定。お楽しみに。みなさんもこういった体験を投稿ください。(柴田)

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■編集後記(9/30)
・池上遼一耽美コミック傑作集「肌の記憶」を、探して探して、ようやくレジ
に持っていったら、しまった、バイトの美しい女学生であった。「絢爛たるエ
ロスと幻想の世界!!」なんて腰巻もまかれ、ヌードな表紙で、おじさんは恥
ずかしかった。だが、池上遼一は本当に絵がうまい。美しい。原作付きが多い
が、この作品集はオリジナル。彼の作品はたぶん9割くらいは持っている。そ
れにしても「信長」は単行本が途中で刊行ストップしたまま(連載も?)。著
作権問題があったからだが、なんとか最後まで見たいものだ。(柴田)

・恥ずかしいと思いつつ買ってしまう漫画は「女帝」。いや~、はまりました。
エッチなシーンがエッチに見えないところと、女性キャラが女性に見えないと
ころがいいですね(嘘)。無理にエッチなシーンを出す必要がないと思えるく
らい面白いです。銀座行きたいなぁと思いました。(hammer.mule)

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
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