[0435] 初心に返ってアニメの話

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0435   1999/10/06.Wed発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 14190部
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 <アナログが新たな価値を持つ時代、へ>

●デジクリトーク
 MKチャット対談
 初心に返ってアニメの話
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

●えむのHot Space! No.39
「MSジャパン・サービスからのお知らせ」に注意!
 山口 壮/えむ

●編集長トーク DG/デジタルグラフィ
 ことさら「デジタルデザイン」という必要はあるのでしょうか
 十河 進

●デジクリWeb案内
 SEYBOLD SEMINARS TOKYO デジタルパブリシングの未来が見えてくる



■デジクリトーク
MKチャット対談
初心に返ってアニメの話

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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まきお: どもっすー
かさい: お待たせっす
まきお: んで、なにすんねん(笑)
かさい: さて、昨日何話してたっけ(注1)
まきお: えーっと…
かさい: タツノコの話は憶えてるけど…
まきお: タツノコかぁ。アニメの話するかね?
かさい: アニメね
まきお: Flash がアニメソフトだということが忘れ去られつつある今日この頃
    だし(笑)
かさい: 初心に戻ってそれやりますか。どこからいこう?海外?国内?
まきお: どこでもこーい、最近のはしらんぞ(笑)
かさい: ワシも最近のは知らん
まきお: よし、コアな話からいこう
かさい: コアな…(^^;)
まきお: ウィンザー・マッケイって知ってる?
かさい: なんだっけ? 名前はきいたことあるぞ
まきお: アメリカのまんが家で『夢の国のリトルニモ』で有名な人なんだけど
かさい: ああ、リトルニモ。でもあんまり見てないな
まきお: 何年か前にアニメ映画になったやつはどしよもないよ(笑)みるなよ
かさい: 何がええの?
まきお: このおっさんが1909年に作ったフィルムアニメがあってさ
かさい: ふんふん
まきお: たしか商業アニメとしては世界初だったんだよね
かさい: へえ、90年前か
まきお: もちろんまだセルアニメじゃなくてさ。線画で恐竜が動くんだけど
かさい: あ、知ってる! 見たことあるぞテレビの特集かなんかで
まきお: ぼくもTVでみたんだけどね。あれは感動した。マッケイの絵がすっ
    ごい好きだったから
かさい: ディズニーの創業っていつだっけ?
まきお: ディズニーはね、ミッキーマウスがデビューの『蒸気船ウィリー』が
    1928年。それ以前はちょっと資料が(笑)
かさい: ふーん、じゃあディズニーより20年近く前に商業ベースのアニメー
    ションが作られてたわけだ
まきお: ディズニーは最初、CMプロダクションでアニメつくってたんだよ。
    蒸気船ウィリーは世界初のトーキーだったんだけどね
かさい: 実写も含めて?
まきお: いや、アニメでだったとおもー。もともとアニメってのはさぁフィル
    ムの発明よりも前からあるんだもん
かさい: ああ、えーとなんだっけ? 円筒の中に絵が描いてあるヤツ
まきお: キネトスコープ…ちゃう…わからん(笑)
かさい: あ、思い出した! ゾートロープだ
まきお: あ、それそれ。なんか悪役っぽい名前だ(笑)
かさい: わはは
まきお: あ、資料があった。『恐竜ガーティ』は世界初ではないらしい。19
    05年ごろから色々作られてた。でも、リアルな絵が写実的に動いた
    のはさっきの恐竜が最初のはずだー
かさい: 商業ベースでも初めてじゃなかったってことかな?
まきお: そそ。見せ物小屋って感じかな? 映画ってのがさぁ、最初の頃って
    ドラマじゃなくてショーだったでしょ? メリエスの『月世界旅行』
    とかさ
かさい: ふむ
まきお: 手品師だもん、あのおっさん(笑)
かさい: で映画としてのアニメーションを認めさせたのはディズニーの功績?
まきお: 長編アニメとしてはディズニーだろねぇ、でもまつむらはディズニー
    はあまし好きではなーい、昔から
かさい: そうなんだ、でもよく知ってるじゃん(笑)
まきお: ぼくはねー、原体験はハンナ&バーベラよ(笑) あと、東映まんが
    祭りの『長靴をはいた猫』。ひたすらドタバタ路線(笑)
かさい: ハンナバーバラ(じゃあかんのか(^^;))はボクも好きだ
まきお: あかんよ。二人の連名なんだから。松笠みたいなもんよ(笑)
かさい: (笑)向こうもののTVアニメっちゅーとほとんどそれだったねえ
まきお: 映画からTVにうまく移行したんだよ、ハンナ&バーベラは。マクロ
    メディアみたいに(笑)
かさい: マクロメディア(笑) うまくいってほしいねえ…
まきお: ディズニーが大作路線を歩むのを横目に、さっさとTV用のリミテッ
    ドアニメを大量生産してさ
かさい: なるほどお、でもマジで面白かったよ。『ドボチョン一家』とか好き
    だったなあ
まきお: ポップだったよね、絵が。ディズニーの動きってさぁ、粘るじゃない
かさい: あ、そうだね。なんかディズニーはロトスコープもそうだけど、力ず
    くって感じ
まきお: 『トムとジェリー』とかさ、シャカシャカ、ピタっ、シャカシャカっ
    てのがきもちいーんだよ。ディズニーはネバーネバー(笑)
かさい: いわゆる「マンガ映画」なんだよね。トムジェリは最近新作でてるの
    ね。でも面白くないんだ。なんかスカッとしてない
まきお: 昔のがいいですよぉ、アカデミーとってる一連のが
かさい: やっぱね、子供向けに作っちゃうとギャグの切れがなくなっちゃうん
    じゃないかな
まきお: んで、アメリカ文明に侵された幼年期を経てだね(笑)
かさい: はいはい(笑)
まきお: ヨーロッパの方の作品を見るようになるわけよ、大学時代とかにね
かさい: みたねえ、かなりアングラなヤツとか好んでみてたな
まきお: どんなのが印象に残ってる?
かさい: やっぱもう1回見たいのは『禿山の一夜』かな
まきお: それ知らん…
かさい: アレグザンダー・アレクセイエフのピンスクリーン・アニメだ(注2)
まきお: おおおお、ちゃんと見てないんだよなぁ
かさい: メイキングも一緒に上映してたんだけど、すごい根性やなあって思っ
    たよ(笑)
まきお: 根性といえば、『話の話』とかさ
かさい: 話の話?(なんかお互いオタク合戦になってないか?(^^;))
まきお: (笑)『話の話』は以前、まつむらがデジクリに書いたよ。ソビエト
    のノルシュテイン。切り紙アニメね
かさい: うなー、憶えてない(^^;) すまぬ
まきお: 読めよな(笑)あと、『ファンタスティック・プラネット』
かさい: あ、あれは見たい、もう1回!
まきお: ビデオあるもーん
かさい: 貸してくれ
まきお: (笑)あれもさ、切り紙アニメなんだよ
かさい: 切り紙? ぜんぶ?
まきお: そそ
かさい: うをー 気がつかんかった
まきお: 信じられんやろ(笑)
かさい: 信じられん(@@;
まきお: えらく大変やったらしい(笑)72分あるんだぜ、あれ。トポールの
    絵が動くってのがすごいんだよな
かさい: うーんびみょーな色彩の秘密は色紙やったんかー。考えたらアニメー
    ションてみんなスゲー苦労して作ってたんだなあ
まきお: 苦労と思ってないよ、みんな(笑)
かさい: (笑)。そうだな、きっと楽しんでるね
まきお: フランスといえば、『やぶにらみの暴君(王様と幸運の鳥)』はみた?
かさい: 見てない(i_i)
まきお: みなさい!!!!(笑)
かさい: ビデオないの?
まきお: あるよ(笑)
かさい: ちょっとあるヤツまとめて貸してくれ(笑)
まきお: わはは。これはねー、見るとひっくりかえるよ
かさい: どうすごいのか?
まきお: えっとね、『コナン』で『カリオストロ』で『ラピュタ』なの(笑)
かさい: よーわかるわ(笑)
まきお: モトネタね、宮崎さんの。ドトーの様にネタがでてくるよ。
かさい: なるほど、つーことは東映マンガ映画の原点でもあるわけだ
まきお: そね。これがさー1952年にひとまず未完成で公開されて、197
    9年に完成版が出たという、執念の作品。カリオストロも79年(笑)
かさい: すげー、30年近くかかってるのか。アニメ界のサグラダファミリア
    と呼ぼう
まきお: わはは。そいや、ラピュタにでてくるロボットも、元はフライシャー
    の『スーパーマン』なんだよね
かさい: そなの?
まきお: そーよぉ。モロよぉ、iMacとe-oneくらい似てるよ(笑)
かさい: (爆笑)で、ボク的には国産アニメは高校くらいで終っちゃってるん
    だけど
まきお: たしか、カリオストロが高校3年なんだよ
かさい: そうだったかな、よく憶えてないけど映画館には行ったな
まきお: 大学時代に、ラムちゃんがはじまってね、押井さん、すげーーーー!
    って
かさい: 『うる星やつら』?
まきお: そそ
かさい: あー見てないや、あんまり
まきお: みなさいっ!!!!!
かさい: あのチビの鬼いたでしょ
まきお: ジャリてん?
かさい: あれの関西弁がムカついて見る気おきなかった(笑)
まきお: わははは
かさい: ちゃんと方言指導しろよな(笑)
まきお: 宇宙人やがな(笑)
かさい: でも関西弁やん
まきお: 宇宙の関西なんや
かさい: (笑)。でもさ、そういうちょっとしたところで観客失ってる可能性
    あるよね、なんでも
まきお: 笠居さん、絵がヘタだと、まんが読まない方でそ
かさい: うん
まきお: 損してるよおおお(笑)
かさい: いや、へたうまは読むよ、吉田戦車とか好きだし
まきお: あれはへたうまか(笑)?
かさい: まあ基本的にはうまいんだけどさ(笑)
まきお: 諸星大二郎と、佐藤史生はよみなさいね
かさい: 諸星は好きだ
まきお: 佐藤さんが好き!っていう人、あまりおめにかからないんだけど、写
    真家の所さんがそうなんだよね。所さんの作品集のタイトルとかは、
    佐藤さんのまんがからとってるそーだ
かさい: へえ、知らなかったぞ。所さんマンガ好きだからなあ
まきお: いかん、話がそれた(笑)
かさい: あはは、ところで真ん中のあたりが抜けてるようだね<アニメの歴史
まきお: 真ん中…虫プロか(笑)?
かさい: 国産アニメの話がスッポリと
まきお: はい、国産アニメ。次週をおたのしみに(笑)
かさい: あれ(笑)終り?
まきお: だってさー、国産アニメの話すっとさーキリないし、各方面からツッ
    コミきそうだし(笑)
かさい: んじゃやめとこ(笑)
まきお: ホントはタツノコの話をするはずだったのだが(笑)
かさい: だねえ
まきお: タツノコ、ちょっとだけしよう(笑)
かさい: するのか(笑)
まきお: 後継者がいなかったんだよね、タツノコ
かさい: ふむ
まきお: タツノコにいて、今活躍してる人は押井さんはじめたくさんいるけど
かさい: タツノコ路線は受け継がなかった?
まきお: みんな、作家性が強いひとばっかで(笑)
かさい: なるほど(^^;)
まきお: 天野さんだってそうだし
かさい: タツノコってさ、ちょっとハンナ&バーバラに似てない?
まきお: あ、似てるかも
かさい: タツノコはギャグ系より劇画系のほうが好きだったな
まきお: テッカマン!! テッカマンが好き!
かさい: 宇宙の騎士か
まきお: テッカマンすごいよおおお
かさい: なぜかあんまり見てないんだ<テッカマン。 裏番組で見たいものが
    あったような記憶がある
まきお: あれねぇ、めっちゃええよ。なんちゅーかね、ヘンで(笑)
かさい: へん(笑)
まきお: STARWARSなんだよね
かさい: そこに行くのか(^^;)
かさい: ねえ、流星仮面ってタツノコだっけ? 違うかな?
まきお: うーん、わからん
かさい: 原作は桑田さんだったと思うんだけど…
まきお: だね。エイトマンはちがうよ
かさい: 宇宙エースがタツノコだったから違うかな、同時期だったもんね
まきお: タツノコは原作付きはやってない、というか、吉田さんの原作以外は
    やってないんじゃないかな?
かさい: そうか
まきお: 吉田竜夫にしろ、手塚治虫にしろ週刊連載マンガかきながら、アニメ
    の原画とかも描いてたんだよ。すごいよなぁ。
かさい: やっぱ自分の絵を動かしてみたかったんだろうねー
まきお: 椎間板ヘルニアにならんかったんかなぁ(笑)
かさい: わははは、手塚さんがなったら「医者の不養生」だな
まきお: (笑)。しかし、やっぱ、昔の人は根性がちがうよね
かさい: 根性ねえ…
まきお: Flash にバグがあるとかプラグインが必要とか言ってるのは甘いよね
かさい: (笑)。ま、でも一度便利さを体験すると後戻りはできないんだよ
まきお: 俗人はねー(笑)
かさい: ワシ俗人(^^;)
まきお: わしも(笑)

注1:いつもチャットをするはずの日に笠居とまつむらは飲みに行っててでき
   なかった。この原稿は〆切ギリギリで作成されている。

注2:でっかい板に無数にささっているピンの高さを微妙に変えつつ、その陰
   影をコマ撮りしてアニメーション作品を作る技法。

注3:文中の作品、作家に注釈をいれようかと思ったけど多いのでやめた(笑)。
   サーチエンジンで調べるべし。多くはビデオで入手可能。

【笠居 トシヒロ/グラフィックデザイナー】
プロテク4執筆中~アーもうアカンぞー、なんかどうもならんぞー(^^;)
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
「おしえて!!Flash4」ブックモール初登場9位!感謝!
<http://www.asahi-net.or.jp/~GU5M-MTMR/>


●ふたりの共著書「Flash3J Professional Technique」定価:2800円+税
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●まつかさによるFlash4サイトFlash-Japan!<http://www.flash-jp.com/>

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■えむのHot Space! No.39
「MSジャパン・サービスからのお知らせ」に注意!

えむ/山口 壮
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◇とんでもなくすごい音声認識ソフト

「ニューラル・ネットワーク」ってご存じでしょうか。「生物学的に解明され
ている神経システムをシミュレートするもの」だそうです。人工知能とも関係
ありそうな何やら難しそうな話ですけど、この技術の進歩によって画期的な音
声認識システムが完成したとのことです(詳細が公表されておらず、真偽のほ
どは定かではないとか)。

人間の耳をも上回るという、文字通り「超人的な」能力を持つこの技術が本物
なら、間違いなく日常生活に大きな革命をもたらすでしょう。STAR TREK の世
界の一部が実現するわけですからね。照明のオン、オフやビデオの録画予約、
電子レンジの設定、パソコンの操作、その他様々な電化製品が声できちんと動
くのを想像するとワクワクしてきます。

「音声認識」と聞くと、僕は IBM のパソコンに付いてくる Via Voice を連想
します。このシステムってどの程度まで声で操作できて、どれくらい正しく認
識してくれるんでしょう?(お使いの方がおられたら、ぜひ教えて下さい。デ
ジクリ・メーリングリストに投稿していただいても結構です)こういうのを人
前で使うのは、まだまだ恥ずかしいですよね。でも、携帯電話やPHS で話しな
がら人混みの中を歩く人の多さを考えると、意外と早く普及するかもしれませ
んね。

<「超人的」音声認識ソフト誕生?(上)>
http://www.hotwired.co.jp/news/news/3150.html

◇「MSジャパン・サービスからのお知らせ」に注意!

「マイクロソフト・ジャパン・サービス」と発信者を偽り、「Pinkworm」ウイ
ルスに対するワクチンと称する「トロイの木馬」を送りつけるという、悪質な
メールが発見されました。これまでトロイの木馬が添付されたメールは、英語
で書かれたものばかりだったように思いますが、ついに日本語版も現れました
ね。インターネット利用者の増加に伴って、ウイルスなどがどんどん増えてく
ることでしょうから、初心者もベテラン・ユーザーも今まで以上に気をつけな
いといけませんね。

今回のこのメールの場合、添付ファイル「server.exe」をダブルクリックして
インストールすると、パソコンに外部から進入できるようにシステム内のファ
イルを書き換えるとのことです。常時接続状態にあるパソコンは特に注意が必
要です。

<シマンテック、マイクロソフト・ジャパン・サービスという名前を騙った悪
質なメール発見>
http://biztech.nikkeibp.co.jp/wcs/show/leaf?CID=onair/biztech/pc/83626

<シマンテック社の発表資料>
http://www.symantec.com/region/jp/news/year99/990921.html

【山口 壮/ えむ】 mailto:PXX06120@nifty.ne.jp
http://member.nifty.ne.jp/yamaguchi/

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■編集長トーク DG/デジタルグラフィ
ことさら「デジタルデザイン」という必要はあるのでしょうか

十河 進:sogo@genkosha.co.jp
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DG8号発売です

DG/デジタルグラフィ編集部の十河です。DG/デジタルグラフィ8号が、
10月6日に発売になるので、その宣伝を書かせてください。ショーバイ、シ
ョーバイ。

デジタルグラフィはデジタル(Digital)にグラフィ(Graphy )をくっつけた
造語です。デジタル表現術とでも理解して貰えると、うれしいですね。コンピ
ュータシステムを使って写真・イラスト・デザインなどを行なう人に向けて作
っているつもりです。

今回は「デジタルデザイン」と「仕事で使えるデジタルカメラ」を特集しよう
と思ったのですが、日本デザインセンターの原研哉さんに「デジタルデザイン
特集のインタビューページに出ていただけないか」とお願いしたところ、「僕
はそういうところで仕事しているわけじゃないからね」と言われ、今まで「デ
ジタルデザイン」と安易に言っていたことを反省させられました。

アナログデザインという言tがないのに、デジタルデザインという言葉はなぜ
あるのでしょう。グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、プロダク
トデザインなどというジャンルわけの言葉ではありません。コンピュータを使
ったデザインという意味で使われているのでしょうか。それは、ツールとして
使えばそう呼ばれるのでしょうか、あるいは、デジタルでなければできない表
現としてのデザインのことなのでしょうか。

そこで、DGとしては問題提起の意味も込めて(結論を持っているわけではあ
りません)、今回の特集タイトルを「デジタル de デザイン」としました。そ
の特集の巻頭に3人のクリエイター・インタビューと作品を掲載しましたが、
興味深いことに3人の方がニュアンスは違うにしても、同じような発言をして
います。

■原研哉さんの記事より(DG8号抜粋)
コンピュータを使うことは、『身体を使わずに創ってしまう、数字を扱いなが
ら頭脳だけで創ってしまう』こと。これは何か決定的に今までとは違う気がす
る。数字でデザインすることをピュアな形でやっているのは、マサチューセッ
ツ工科大学助教授で先日、銀座グラフィックギャラリーで『One-line.com展』
を開いた前田ジョンさん。彼は『Design By Numbers 』という本を出している
が、『コンピュータでデザインすることと、コンピュータ上でソフトウェアを
使ってデザインすることは全く違う』と言っていて、僕もその通りだと思う。

■福島治さんの記事より(DG8号抜粋)
福島さんが見たのは、もっと進んだアメリカの状況だった。コンピュータが生
み出す新しいデザインの可能性である。たとえば、インターネット。印刷物の
延長のようなWeb デザインではなく、プログラミングの知識を持つデザイナー
が創り出す新しいWeb デザイン…。だが、それを担うのは、デザインのアイデ
アを生かせるプログラミングができるデザイナーなのか、クリエイティブがで
きるプログラマーなのか。どちらにしろ表現のアイデアを実現するためには、
新しい知識と技術が必要になりつつあるようだ。

■奥村靫正さんの記事より(DG8号抜粋)
現在、環境は「加速度的に進化している」と奥村さんは実感している。「通信
分野に特に顕著ですが、そのことで分業化が進むでしょうね。でも、たとえば
今は、そのための僕らの世界のオーサリングのプロがいない。あらゆるデザイ
ンの工程の内に独立したプロフェッショナルができないかぎり、日本のデジタ
ルグラフィックの明日はないように思える。

今回の取材のために、いろいろ準備しましたが、原研哉さんのデザイン・エッ
セイ「ポスターを盗んでください」(新潮社刊)を再読して、改めて感服しま
した。大変、面白いデザイン論にもなっていて、おすすめです。我が家の近く
の図書館にも入っていました。

さて、コンピュータ(アプリケーションソフト)を使うことが当たり前になっ
た今、ことさら「デジタルデザイン」という必要はあるのでしょうか。そのこ
とのひとつの答えを、インタビューページに続く「デジタル de デザイン再入
門」の最初の見開きで、川口吾妻さんが書いてくれました。

■川口吾妻さんの記事より(DG8号抜粋)
今、改めてこうした流れを読むと、一つの時代の流れが見えてきます。●アナ
ログ的スキルの時代・・・コンピュータ登場以前の、手作業による制作が行な
われていた時代/●デジタル的スキル黎明期・・・コンピュータの登場により、
アナログをデジタルに置き換えようとした時期/●デジタルデザイン確立期・
・・新しい発想のワークフローが確立した時期/●アナログ的スキル新時代・
・・デジタルスキルが中心となり、アナログが新たな価値を持つ時代、へと移
り変わっているのです。

この後、大変に具体的なデジタルでデザインする記事が展開されます。「再」
入門というタイトルの意味については、実際に記事を読んでみてください。

もう一本はデジタルカメラ特集。「仕事に使えるデジタルカメラ」とタイトル
に付けましたが、Web デザインのための画像なら100万画素以下のコンシュ
ーマ向けのカメラでも「仕事に使える」わけですから、「デジタルカメラ選び
のためのデータベース」では85万画素のカメラから1680万画素のワンシ
ョットカメラまで、また、カメラバック用のスキャナタイプまでをまとめまし
た。銀塩カメラの世界で言えば、35ミリコンパクトカメラから一眼レフ、ブ
ローニーサイズ、4×5、8×10サイズのビューカメラまで載っているオー
ルカタログの雰囲気でしょうか。

キヤノンの一眼レフタイプのデジタルカメラを使ってF1レースやスポーツを
撮っているフォトグラファーの作品紹介と取材、デジタルカメラでのスチルラ
イフ撮影の現場レポート、デジタルカメラの基礎知識、プロフェッショナル・
システムの組み方、話題のニコンD1のどこよりも早い実写レポートなど、と
にかく盛り沢山の記事を用意しました。

ということで、「日刊デジタルクリエイターズ」の読者の皆さん、DG8号は
10月6日に書店に並びます。以下のサイトで、いくつかの見本ページをPD
Fで掲載しています。また、新刊、バックナンバーの注文も受け付けています
ので、ご利用ください。
http://www.genkosha.co.jp/dg/index.html

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■デジクリWeb案内
SEYBOLD SEMINARS TOKYO デジタルパブリシングの未来が見えてくる
http://www.sbforums.co.jp/comdex99/
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世界最大のITトレードショー「COMDEX JAPAN' 99」、最先端オブジェクト技
術の専門イベント「OBJECT WORLD Japan '99」と併催される今年の「 SEYBOLD
SEMINARS TOKYO」であるが、セッション、チュートリアル、コンファレンスの
内容がWeb サイトに掲載されている。ただし、ものすごく探しにくい! 以下
にいけば直接行けるが、ここまでたどりつくのに一苦労したわい。あ、会場は
幕張メッセですよ。

11月11日分
http://www.sbforums.co.jp/go-makuhari/ap01/CoTableList.asp?Func=0&CoDay_YMD=11/11&EvS_c=10004

11月12日分
http://www.sbforums.co.jp/go-makuhari/ap01/CoTableList.asp?Func=0&CoDay_YMD=11/12&EvS_c=10004

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■編集後記(10/6)
・「マックライフ」が7月号から表記原則を変更して、オンビキをつけるよう
になった。メモリー、ブラウザー、サーバー、フォルダーといった具合。従っ
て、わたしも大嫌いだった、ユーザ、スピーカ、デザイナ、なんてのにもちゃ
んとオンビキがついて気持ちいいぞ。オンビキをなくしたのは横書き理工系だ
と思うが、なんか違和感があった。同誌編集部は「Macintosh は理工系が使う
特別なマシンではない、というのが我々の考えです」という。見識である。手
頃な厚さになったのも好ましい(?)。いいぞ「マックライフ」。で、デジク
リにちゃんとした表記原則があるかというと、すいません、ない。(柴田)

・海外からのDMがよく届く。最近のは手が込んでいてsubjectにRe:とあるの
で何かの返事かと思ってオープンしてしまう。エッチサイトからの案内もばし
ばし届くのだが、日本のエッチサイトだと女性のヌード画像も一緒に届き、お
待ちしてま~す、というコメント入りだ。わたしゃ女だってば、と思いつつこ
ういう誰が読むかわからないメールで自分のヌードを公開しちゃって、血族が
受け取ったらどうすんねんやろ…と思わないこともない。ある海外サイトは、
あなたの特典はあと5日!などとカウントダウンしていき、いいのね?もう終
わりよ、という subjectに変わりつつ、もう半年以上届いている(笑)。受信
ボックスはDMの山。どうにかしてくれ~!(hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで
 担当:濱村和恵
登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html
広告の御相談はこちらまで   mailto:info@dgcr.com

★等幅フォントでご覧ください。
★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。
 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)

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■  日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.shohyo.co.jp/nagesen/ <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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★日刊デジクリは、まぐまぐ<http://rap.tegami.com/mag2/>、
Macky!<http://macky.nifty.ne.jp/>、Pubzine<http://www.pubzine.com/>の
システムを利用して配信しています。

Copyright(C), 1998-1999 デジタルクリエイターズ
許可無く転載することを禁じます。
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