[0583] これが視聴率の生きる道-Part1-

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0583   2000/04/17.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 15945部
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 <自分でことを起こせる側の人間でいたい>

■デジクリトーク
 これが視聴率の生きる道-Part1-
 神田敏晶

■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0059(4/17)
 ウォーターフロントでオリビアと初デート!
 ------世界一周出航(5/22)まで残り35日-------
 ------南十字星出航(8/31)まで残り135日------
 川井拓也



■デジクリトーク
これが視聴率の生きる道-Part1-

神田敏晶
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KNN神田です。

ラスベガスのNAB2000取材からもどってきました。膨大な資料とビデオ素材を
前に格 闘しています。

ワシントンDCのStrategisGroup社によると、アメリカの成人5,700万人が毎日
家庭からインターネットにアクセスしているそうです。非インターネットユー
ザーがTVを1 日4.3時間見るのにインターネットユーザーは2.2時間しか見な
いそうです(本当にテ レビが好きな国民ですね…)。

また、インターネットユーザーは、家庭では1週間の うち7.2時間をネットで
費やすといいます。つまり、1日1時間強ということですね。そして、トータ
ルでは、1億600万人(106M)、成人の53%がインターネットを使用している
ことになります。女性はその50%を構成しています。すると、テレビの視聴の
時間はこの数年で確実にかわってきているでしょう。

学生時代、ボクはビデオリサーチのアルバイト調査員をやっていました。自宅
にいる 高齢者の人にはお願いしやすいのですが、家にいない20代や30代の個
人調査をするの は至難の技でした。まさに夜に訪ねないといません。おまけ
に業界関係者はダメであったり、締め切りにいっても白紙のままで忘れておら
れ、玄関口で一週間前の新聞のテレビ欄を見直してもらいながら、思い出して
記帳していただきました。

要領のいい学生は、どこかでサラサラと簡単に調査票を集めていましたが、主
任、 係長の厳重なチェックでばれてこっぴどくしかられていました。この時
に人がいろんなテレビをどのように見ているのかを、生で見られた事がいい体
験になりました。

日本のビデオリサーチのテレビの視聴率は、関東600台、関西250台、名古屋
250台、他8都市1600台のオンラインメータとピープルメータで計算されていま
す。1億2000万人を1600台で毎週計測しているんですね。1台あたり、7万5千
人分の価値 があると思われます。世帯数でいくと、関東1455万世帯あたり600
台ですから、2万4250世帯分の価値があります。これらがはじき出す数字が視
聴率として反映されています。インターネットで考えると、1クリックで2万
ページビューという感覚でしょうか?

NHKの朝の連ドラの「私の青空」や「サザエさん」の高視聴率は、とてもビジ
ネスマンが見ているとは考えられず、家庭にずっといる人にチャンネルの選択
権があるように思えて仕方がありません。またゴールデンタイムと呼ばれてい
た7時台に家に到着してテレビを見ている人って、本当に日本では少ないので
はないでしょうか? 特に首都圏ではその傾向は少なくなってきていると思い
ます。

しかし、視聴率はかわらない。いつまでたってもNHKの朝の連ドラとサザエさ
んは人気番組。乱数表で選ばれた家庭に、電話で説明し、許可を得られたとこ
ろに設置、許可が得られなければまたつぎの名簿の数字というようにまわって
いきます。昼間に家に電話をかけて了解がとれるところ…というバイアスはい
くら名簿で統計学上の誤差の少ない理想の抽出方法であっても、その時間帯に
家にいる家庭に絞られてきます。専業主婦? 子供? 高齢者?。当然、イン
ターネットのヘビーユーザーなどは、SOHOを除けば家には当然いません。

そんな事をいっても、テレビ局や広告代理店は、第三者機関で視聴率を提供し
てくれるところを頼らざるを得ません。広告主もその数字で広告費をかけて需
要を予測するしかTV広告の測定方法がありません。しかし、テレビゲームの普
及、そしてビデオデッキ、レンタルビデオの登場、BS、CS、CATVによって、TV
モニターが、TVだけで占有されている時間はあきらかに減少してきています。

当然、時代とともに競合メディアが増えると、全体の視聴者数は減りはすれど、
増えるとはとても考えられません。しかし、視聴の「率」はテレビを多く見て
いると思われる世帯が選ばれているために、結果として減ることがありません。
また、視聴率の低下はテレビ広告ビジネスにとっては、大きな痛手ですから、
減ってほしくもありません。

パーソナルTVのTivo社やReplay社の事は、昨年から何度もお知らせしています
が、EPG(電子番組ガイド)による広告ビジネスモデルは、成功しているとは
いいがたい状況が 続いています。TV関連業界の大きな「見えざる手」がある
のでしょうか。しかし、TVCMでは、ガンガン、ドットコム企業の広告を露出し
ています。

Strategis Group社のデータが正しいとすると、1日2.2時間しかTVを見ないイ
ンターネットユーザーが、たとえばテレビをつけっぱなしでインターネットを
週に7.2時間接続したとすると、テレビを見ている時間はわずか1時間弱とい
うことに(?)TVコマーシャルで連呼されるURLは確かに認知度をはかってい
ます。リクルートのISIZEや、Lucosなども日本のTV広告でよくみかけますね。
ExciteなどもTV広告でがんばることでしょう。

さらに、デジタルTVやCS、BSデジタルでカニバリズムが進み、HD(ハイディフ
ィニッション)番組、DVDコンテンツの普及、ブルートゥース技術や、ハンド
ヘルドのPalm端末や携帯電話でテレビとインターネットコンテンツを自由に切
り替えて操作できる時代もそう遠くはないでしょう。

そんな時にどうやって視聴率をはかればいいのでしょうか? すべての端末に
IPを振るのが一番なのですが、そっくり入れ代わるまでには時間がかかり過ぎ
ます。そこで注目されるのがインターネット放送なのです。

このあたりは、次週へ!

【参考URL】ビデオリサーチ
http://www.videor.co.jp/

The smallest digital TV station in the world
KandaNewsNetwork http://www.knn.com
Toshi Kanda mailto:knn@rr.iij4u.or.jp

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■連載「ip2000」プロジェクト奮闘記 0059(4/17)
ウォーターフロントでオリビアと初デート!
------世界一周出航(5/22)まで残り35日-------
------南十字星出航(8/31)まで残り135日------

川井拓也
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【ip2000とは?】
デジタルコンテンツのプロデューサー/プランナーである川井拓也が、日刊デ
ジクリでの連載を情報伝達のベースとして、2000年に実現させようと文字通り
「奮闘」しているプロジェクト。NGO団体であるピースボートの持つコンセプ
トとコンテンツの可能性に注目して立ち上げた。

15000t級の大型外洋客船に、ネットストリーミング放送局とデジタルポストプ
ロダクションを設置して、インマルサット64kbps衛星回線を通じて地球を回り
ながら各種のコンテンツを複数のメディアに向けて発信していく。

2000年5月から2001年明けまでに世界33カ国から発信する予定。現在出航1カ
月前に迫り、関係各位との最終調整と企画・プレゼンの日々。

金曜の午前中は会社の新人研修であった。早朝から自宅で制作したパワポのデ
ータを使いながら、4面マルチ画面を使ってさまざまな映像やwebを見せながら
の2時間。今年の新人はすでにPCでDVの加工などを経験している人間も多く、
大いにデジタルに興味がありそうだった。

「うちはデジタルビジネスで本当に生き残れる土壌があるのですか?」的なす
るどいつっこみもあった。「それは君たち次第だよ」もはやデジタル旧世代な
私は答えた。下からつきあげられる緊張感は、自分にとっては心地がいい。挑
発にはどんどん乗ろうではないか。

午後は晴海埠頭に出かけた。ピースボートは年間に4回から5回のクルーズを実
施するが、今回は地球1周のクルーズの帰港である。
http://www.peaceboat.org/cruise/past/index.html

この船が8時間ほど晴海に停泊して、その後、香港の母港に戻りドック入りし
て改装され5月22日の出航時にまた晴海に戻ってくるというわけである。世界
一周の旅を終えて、どんな人がどんな顔で戻ってくるのか? そしてオリビア
号の雄姿は? また洋上プロダクションを設置する船内の場所は?

それを確認するために、この数時間がワンチャンスとなる。すべてのスケジュ
ールを調整して晴海のために午後を空けた。

午後2時くらいに晴海についたが、残念ながら入港の瞬間を見ることはできな
かった。オリビア号の白い巨体はすでに晴海に繋留されたいた。きれいな形を
した客船だ。700人が定員というオリビア号は15000tの船である。自分が10年
前に乗ったコーラルプリンセスやオーシャンパールと同じくらいには見えるが
定員からすると少し大きいか?

客船ターミナルには色黒く笑顔がまぶしい集団がいた。荷物を持っていなくと
も、出迎えの人間と帰ってきた人間は一目で見分けられる。表情が違うからだ。
フォトグラファーの福家聖美氏が、ビデオカメラ片手にさっそく帰国した人に
インタビューを試みていた。

4人組の若者は大きな冷蔵庫を抱えていた。全面にいろいろな書き込みがなさ
れていたが、寄港地で購入してそれから各地で書き込みをもらい持って帰って
きたそうだ。その大胆な発想には驚いた。船内でのレポートはピースボートの
webで詳しく掲載されている。
http://www.peaceboat.org/cruise/0001/0001_detail.html#0026

しばらくすると、ターミナルの広場で帰港記念イベントがはじまった。ピース
ボートはユネスコの公認プロジェクトとなっているが、その一環として「マニ
フェスト2000」というプロジェクトが行われている。
http://www.unesco.or.jp/peace/manifesto.htm

ユネスコが呼びかける「わたしの平和宣言」の署名活動に協力して、世界各国
で署名を集めるというプロジェクト。そこにダンスという要素を取り入れてい
る。東京の事務局でも何回かそのダンスは見ていた。10人くらいのダンスで、
民族音楽をベースにさまざまな踊りの要素を取り入れて、自主的に参加してい
る20代のメンバーで行われる。

しかし、今日の帰港記念のダンスは驚いた。まずはその人数。40人にも及ぶメ
ンバーがパレオをつけて踊り始めた。地球一周から帰りたてのそのはちきれん
ばかりのパワーをダンスにぶつけている。そして圧倒的に女性が多かった。リ
ーダーはおそらくダンス経験があるのだろうというプロ級の腕前。メンバーか
ら慕われれいるのがよく分かった。ダンスが終わったあとに、集めてきた署名
を日本ユネスコ協会の理事である鈴木氏に手渡していた。

ピースボートの古山氏が、鈴木氏に紹介してくれ、話をすることができた。
「このダンスプロジェクトもそうだがNGOが新しい力を感じますね」と話して
いただけた。私はふと日経新聞のwebのコラムを思い出した。NGOのスタッフが
現在アメリカでは、企業の熱い注目を浴びているという記事である。
http://www.nikkei.co.jp/topic6/tokushu10/eimi187111.html

会社という組織で細分化されたプロセスを、それぞれのプロフェッショナルが
受け持つという企業論理に慣れている目からすると、NGOのスタッフのフット
ワークの軽さとネットワークの広さには驚くべきものがある。企業人が3人で
やるところを平気で一人でやっていたりするのだから、アメリカで企業サイド
が注目するのも理解できる。

会社の生活に慣れた人間は、自分から「ことを起こす」ことができなくなって
しまう。いつもピースボートに担当者を探して電話をすると「彼は今ミクロネ
シアで週末戻ります」とか「アフリカに飛んでいます」とか、昨日話した人が
今日は地球の裏側というパターンも多い。自分で判断しなければいけない局面
が多ければ多いほど人は成長する。企業よりNGOの人材の方が、そのような局
面が多いのは想像に難くない。結果は、同世代の企業人とNGOのスタッフを見
比べればすぐに分かる。

私は常に自分でことを起こせる側の人間でいたいと思っている。そして、そう
いう人間のそばで自分の能力を伸ばしていきたい。それは、会社の内外は関係
ない。

すべての税関検査が終わり、落ち着いたところでピースボートのスタッフと共
に船内のロケハンをさせてもらった。洋上プロダクションは元カジノの部屋を
前提としており、そこを重点的に見せてもらった。元カジノなので電源が豊富
にあり、ピースボートサイドは新聞局として使っているところのようだ。

窓がなく天井が低いが、人の賑わいがありそうで、プロダクション機能が船内
にあるということが乗船者とスタッフ双方を刺激にするには適した場所かもし
れない。ウクライナの船員は非常にやさしく、通信室を見ている時はなにやら
最新のGPSの装置も見せたいらしくブリッジまで案内してくれた。なかなか入
れない場所だけにびっくり。インマルサットの受信機などを見ることができた。

その他、レストランやバーをみつつ驚いたのが映画館。渋谷のちょっとしたミ
ニシアタークラスで、味のある空間だった。さすがに映画はフィルムではなく
ビデオで上映するらしいのだが、プロジェクターがついているということはい
ろいろなイベントが可能だし、洋上プロダクションが制作したコンテンツを定
期的に乗船者に試写ができるということにもなる。

ひととおり見て下船して、ip2000スタッフと食事兼打合せを。各自がメディア
媒体に対してプレゼンをしているので、その現状報告をまとめた。ライターの
人は雑誌媒体を、フォトグラファーはフリーペーパー媒体などを担当している。

週末は、現状の情報を企画書としてまとめ、媒体計画とプロジェクトの予算を
試算した。週明けから会社サイドとの詰め、関係各位との最終調整に入る。ip
2000にとって最小限のコンテンツ制作を、最小限のコストで最大限メディアに
露出させる「実験・広報」と位置付ける今回のクルーズ。どのくらいの規模の
洋上プロダクションが設置できるか最後の奮闘だ。

露出媒体が多くなってきていることで、機材提供など企業の協力を仰ぎ会社、
ピースボート、クライアントすべてがそのメリットを享受できる仕組みを作ら
なければいけない。悩みはつきないが、このプロセスは本当に「プロデューサ
ー」としての力量を試されているといえる。

【かわい・たくや】kawai@taiyonet.or.jp
1970年生まれ、埼玉生まれ。93年にCF制作会社太陽企画に入社後、60本あまり
のCM制作に携わる。社内のCGルームに移籍、インタラクティブモーションライ
ドのマッピングディレクターを務める。97年には佐藤雅彦監督の35mm映画「KI
NO」のプロダクションマネージャーを務めたあと、98年に設立された部署Digi
tal PLANETにてプロジェクトプロデューサーを勤める。CS番組、データ放送ユ
ーザーインターフェイス、web site、CM企画、そしてVJまでデジタルメディア
を中心に活動を続けている。主な作品にVaioNet「my eyes.my site」シリーズ、
VaioNet「MEGA DEMO Sellection」、VaioNet「サイバーコード連動番組」シリ
ーズ、MusicLink「INDEGENOUS」シリーズ、NHK「インターネット情報局」キャ
ラクター開発・タイトル・webなどがある。
http://www.taiyonet.or.jp/kawai/work.htm

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■編集後記(4/17)
・毎晩ナイターを食事の間だけ見る。巨人ファンの妻と、巨人が負けていると
ビールがうまいわたしの、共通のワカラナイことがあった。「チェンジアップ
って何だ?」「ヒットエンドランってサインは虫がよすぎやしないか?」そこ
で物知りの十河さん(デジクリ土曜日の怪人)に電話で聞いて解決した。さて
阪神戦は掛布・川藤という悪声にしてむやみにやかましいコンビの解説で、さ
すがに耐えられず音声は消して見た。横浜戦は江川・堀内で落ち着いてていい
な~。とくに江川の解説はゲームを楽しむ上で役に立つ。うまい。(柴田)

・体力がない、体力がないと言っていたら、「高麗人参茶」をもらった。味が
わからないので、こわくて、島田氏に試しに先に飲んでみてもらった。彼女の
「土くさいけど、飲めないことはない」という言葉に安心して飲んでみたが、
まずい。お寺の味がするような気がする。栄養、栄養。「改源」は好きなんだ
けどなぁ。慣れるとやみつきになっちゃったりして~。   (hammer.mule)


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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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