[0593] 仕事に自信が持てるようになった

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0593   2000/04/28.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 15871部
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  デジクリはゴールデンウィーク中はお休みにして、書籍化プロジェク
  ト、サイトの整備などを進める予定です(できるだろうか?)。
  4月29日(土)~5月7日(日)は休み。594号は5月8日(月)発行です。
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 <「アート」でも「げーじつ」でもない>

■デジクリトーク
 仕事に自信が持てるようになった
 須貝 弦

■デジクリトーク
 10年の寄り道
 扇原康成

■展覧会案内
 ディジタル・イメージ2000 東京展(前期)

■展覧会案内
 筒井海砂キャラクター展
 ~デジタル×アナログなCGイラストレーション~



■デジクリトーク
仕事に自信が持てるようになった

須貝 弦
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このデジクリで、ほぼレギュラーのようにして原稿を送っているメンバーの中
でいちばんの下っ端というか、社会認知度/貢献度が低いのがたぶんこの私で
ある。サラリーマン編集者としてさしたる功績も残さずに会社を辞めて、今で
はいろんな仕事をかき集めてどうにか暮らしている、そういう立場の人間だ。
Web媒体の取材や原稿書き、Mac雑誌のちょっとした連載、某ソフトメーカーの
仕事――なんかをやっている。

いちばんメインとなるのはやはり原稿を書く仕事だが、執筆者/読者ともにク
リエイター系の人が多いデジクリの中にあって、いくらDTPの会社やDTP雑誌の
編集部で働いていたことがあるとは言っても、自分ってちょっと異質というか
「場違い」なんじゃないかという不安をずーっと抱いていて、ちょっと悩んで
みたりしたこともあった。

だけど最近、少しずつ自信が持てるようになった気がする。iBookとデジカメ
抱えて取材に出て、そのアシで原稿書いたりする今のスタイルは、それなりに
私のセールスポイントになっているし、いちおうは若い今の時期にしかできな
いことだと思う。取材後に、締め切りまでの限られた時間の中で、ドトールで
iBookに向かってテキストを打ちまくっている今の自分は「それなりに社会の
役に立てているんじゃないか」っていう気が、ここ最近ようやくしてきたとこ
ろだ。

もともと、モノ書きって差別階級だった(と、国語の先生に教わった)。その
中でも、パソコン雑誌のライターなんて最低ランクに位置付けられるらしい。
自分にそういうレッテルを貼られるのはやっぱりイヤなので、(当たり前だが)
仕事は頑張る。ちゃんとやる。締め切りを過ぎてしまうことはあっても、相手
を困らせるようなレベルまで遅れてしまうようなことは、最近はほとんどやっ
ていないという自信がある。

私が関わっていた雑誌はライター/編集部とも仕事が遅い集団が多かったし、
納期もあってないような感じだった。あってもそれは、編集者がラクするため
の原稿納期でしかなかった。しかし、去年の夏頃にある編集者と会って仕事を
するようになり、「雑誌の現場って、このままじゃダメですよね」という話を
したりするうちに、少しずつだけど改善されるようになってきた。ライターと
編集者がお互い緊張感を持ってやると、それなりにいい結果が出るということ
も改めて知った。

いい内容の原稿が書けることほど、自分の成長につながることはない。自分と
クライアントの双方が納得できる原稿を書くことができるようになったことで、
「原稿書きも十分クリエイティブじゃん」と思えるようになってきた。それま
での自分は、例えばインタビューの原稿を書くにしても「テープ起こし」の作
業としか捉えられない部分が少なからずあった。

それとひとつ、最近私はちょっと変なところから「原稿書き」に対して自信を
深めている。というのは、「原稿書きってパソコンの正しい使い方じゃん!」
ってことなのだ。Webを見たりちょこっとメールを見たりするだけなら、Palm
サイズのPCやケータイのキャリアなんかが出してる情報端末で十分だろう。そ
れにi-modeだってある。

そんな中で、今私がやっている「原稿を書く」という仕事は、キーボードのつ
いた現状のパソコンならではと言えるのではないか。ほぼ毎日何らかのデータ
をインターネットを介してやり取りしているし、紙媒体の校正なんかフォント
を埋め込んだPDFでやったりして、「eビジネス」にもちゃっかり対応している
のだ。

そんな私は、今日もどこかでテキストを「乱れ打ち」している(内容が乱れて
いないことを祈るばかりだ)。アキバや新宿、笹塚、町田の喫茶店やファミレ
スでタンジェリンのiBookを拡げてワープロ打ちしているヤツがいたら私だ。
もし見かけたら一声かけてくれて構わない。先日髪をバッサリ切ったので、今
なら外見も多少はスッキリしている。

【すがい・げん】gsugai@hh.iij4u.or.jp
仕事はいつでも募集中です。Webマガジンもやってます。

Webマガジン「マッカー」
http://www.dgcr.com.mac/

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■デジクリトーク
10年間の寄り道

扇原康成
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皆様初めまして。扇原康成(おぎはらやすなり)といいます。昨年よりCGクリ
エーターの団体であるディジタル・イメージに在籍しているものです。これか
らお話しすることは、ディジタルクリエィーターのレアな情報ではありません。
作品の一助として、自分の思い出話を随筆仕立てに記したものです。お忙しい
方はスイマセン。

私は10年程のブランクの後、一昨年、美術作家として復帰しました。あたりま
えに美大を卒業して、広告関係、CG制作をしておりました。当時はちょうど日
比野克彦さんや田中紀之さんなど芸大パワーがちょっとしたブームで、自分も
この仕事を生業とする以上、早く世間に認められようと公募展なんかにも出品
していたのです。

CGとの出会いは、あるプロダクションで本の表紙をまかされることになりその
きっかけで始めました。当時、「玉」とか「三角」とか作るのにもえらい時間
がかかっていた時代で、簡単なアニメーション制作でも結婚式の花嫁道具程も
ある大きさのコンピュータを使わなければならなかったのです。

一台のマシンでもうん百万円もするし、表現方法も限られている。おまけにプ
ログラムを組めなきゃいけない。いろいろな条件は多かったのだけれども、こ
の分野が何か将来大きく飛躍することだけは、機械音痴の自分でも感じたもの
です。

そんな中、あるきっかけから唐突に10年程寄り道をしました。20代から30代の
一番重要な時期を、あえてそのような選択をしたわけです。このきっかけはあ
る舞踏家の踊りと生き方に、自分の偏狭な枠を取り払う必要に迫られてしまっ
たのです。私自身は元々舞踏とかに興味があったわけでもなく、たまたまテレ
ビの番組で放映されていたものを見ただけなのです。

彼の踊りは、崇高でエロスで神々しくありました。又、西洋人である彼が自分
の知らない東洋感を持っているようにも感じました。なぜあのような表現が出
来るのか。

その頃の自分は、なんか自分の中に建て前と本音の壁が勝手に出来ちゃってい
たというか、今よりももう一歩上へとか、格好良く見せようとか(本当に格好
いいならいいんだけどね)、何か自分への執着が自分を枠を狭くしているとい
うか……。

世の中はたいがい学歴とか賞、肩書きで判断してくるから、まわりからちやほ
やされると結構勘違いしちゃうんですよ。なんかそんなモヤモヤ感が舞踏家の
踊りでパーっと吹き飛んじゃったわけです。

「あ~これが表現するということなのか」なんてその時はその時でちょっとし
た感動と、雲間から日が射すような心境になったのを覚えています。

それから10年間は、ほとんど作家活動はしませんでした。表現することに自信
をなくしたとかいうのもどこかであったかもしれませんが、他にいろいろ興味
の対象が出来たと言ったほうが近いと思います。

この時期の自分は、それまで見えていなかった世界、環境との情報交換につい
やしたと言ったほうがいいでしょうか。この先、生きるために必要なものを模
索していました。

今までやっていたあたりまえの日常生活を、出来る限り意識化することもして
いたように思います。そうすることで、何気なく見過ごしていたものに息吹を
与えることが出来るとも考えていました。ただ、根底には必ずいつか作家にな
ってこの時期培ったものを表現したいと思っていました。そんなことをしてい
たら、あっと言う間に時間が過ぎてしまったというわけです。

昨年11月、復帰第一段としてディジタルイメージの先輩の喜多見康氏と岡部タ
カノブ氏と3人展を開催いたしました。

まだ、後最低1年は展覧会は出来ないという感じでしたが、やはりどこか節目
節目で形にしていく作業をする必要性にかられて開催したという感じです。

作品はCG作品と混合技法(テンペラ絵画)の2種類のものを出品しました。DM
にはCG3人展と記してあったので、来場された何人もの方が混合技法の作品を
見て「これはどのように印刷したのですか」と聞かれてしまいましたが……。

月並みな感想ですが、自分自身が作ることが理屈抜きに楽しめたという気持ち
です。なにか海に潜っていたところから、一気に海面に出たという感じでしょ
うか。

私の目指しているものは時代の先端的表現ではなく、間をうめるもの、過去~
未来をつなぐものと思っております。又、今後は現代の神話(現代人の集合的
無意識)を描いてみたいと考えています。

【おぎはら・やすなり】ogikumi@ta2.so-net.ne.jp
1961年生まれ。東京芸術大学工芸科卒業。82年JACA入選。84年Joan Miro draw
ing competition入選。91年京都府最優秀デザイン賞受賞。約10年の休眠期間
の後、98年より作家活動を再開。同年、ディジタル・イメージ参加。Office
Ogihara設立。CG、タブロー、オブジェによる作品を制作。

▼扇原さんの作品をデジクリサイトに置きました。素敵ですよ。
http://www.dgcr.com/kiji/ogihara/

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■展覧会案内
ディジタル・イメージ2000 東京展(前期)
http://www.digitalimage.org/
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ディジタル・イメージ2000 東京展(前期)
【ディジタル・アートの現在】
会期 4月29日(土)~5月5日(金) 
会場 銀座ワシントンアート
104-0061 東京都中央区銀座5-7-7 銀座ワシントン7F 03-3571-8532(会期中)
銀座4丁目交差点より新橋方向にむかい右側

主催 ディジタル・イメージ
特別協賛 銀座ワシントン
入場料 無料
参加アーティスト 100名

※特別企画:ディジタル・イメージ会員のCGアート作品集「デジタルイメージ
ギャラリー2000」を同時出版
※オープニングパーティは4月29日(土)午後6時より
※「ディジタル・イメージ2000 東京展(後期)」は、8月17日(木)~24日
(木)表参道・新潟館ネスパスで開催を予定しています。前期とは別の約100
人が参加します。
※詳しくはディジタル・イメージWebサイトをごらんください
http://www.digitalimage.org/

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■展覧会案内
筒井海砂キャラクター展
~デジタル×アナログなCGイラストレーション~
http://plaza9.mbn.or.jp/~artworks
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~デジタル×アナログなCGイラストレーション~

会期:5月8日(月)~5月13日(土)
時間:午前11:00~午後7:00(最終日は午後5:00まで)
場所:ピンポイントギャラリー
   港区南青山5-10-1フタバビルB1F TEL:03-3409-8268
協力:JULYJULY
   http://www.julyjuly.com/

「アート」でも「げーじつ」でもない平凡なキャラクターイラストにも必要と
される場所がある。そう思えるようになってから私のキャラクターイメージは
固まり始めました。半年かけて描き上げた新作ばかり36点(予定)を壁一面に
展示して皆様のお越しをお待ちしています。描きたいものだけを好き勝手に描
いたので、筒井の世界観がギラギラです(笑)。

筒井海砂(つついみさ)
1970生。普通大学、一般会社員を経て95年突如フリーのイラストレーターに。
96年より画材をMacintoshに移行。キャラクターを中心に各種分野に作品を提
供中。ディジタル・イメージ会員。日本ワイルドライフアート協会会員。

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■編集後記(4/28)
・いよいよ10回目のディジタル・イメージ東京展である。よく続いたものであ
る。今日は搬入、明日オープンである。従来は会期中、ほとんど毎日会場にい
たものだが、昨年は少し休んだ。今年はもっと行けないだろう。いきなり襲っ
てきたマンション怪獣迎撃のプロジェクトが山ほどある。こういう問題に経験
豊富な女性市議からは「人生観変わりますよ」と言われている。明日は、午後
6時からパーティがある。たぶん行けると思うので(まるで確実ではない)会
場で頭の白い男がいたら(黄色いのもいる)声をかけてください。(柴田)

・またまた「在宅でお仕事」電話が。全部違う会社だからびっくりだ。この電
話の売りとしては「簡単な仕事をしながらインターネットが覚えられます」だ。
今の時代覚えたい人が多いようだな。釣れるんやろなぁ。でも「インターネッ
ト」なんて覚えられるもんじゃないぞ。「在宅で仕事してみたいですよね?」
「インターネット覚えたいですよね?」と言われたのと、この「在宅で仕事」
ってどんなものなのか興味があるので、今度こそはと初心者を装ってみた。ご
めんなさい。案内書を送ってくれるというので、めっちゃ楽しみ。ソーテック
マシンを買ったばかりのネット初心者で無職の(hammer.mule)でした。オイ!


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■ 日刊デジクリは投げ銭システム推進準備委員会の趣旨に賛同します ■
http://www.nagesen.gr.jp/  <投げ銭システムをすべてのhomepageに>
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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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