[0775] 年賀狂時代の夜明け

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.0775    2001/01/09.Tue発行
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    お知らせ:「日刊デジクリ」は2001年から週5日制とします
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    <来年は年賀サイトリンクだ、ト神田さんがまた……> 

■デジクリトーク
 年賀狂時代の夜明け
 神田敏晶

■デジクリトーク
 多重録音のころ
 森川眞行



■デジクリトーク
年賀狂時代の夜明け

神田敏晶
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KNN神田です。

みなさん、新世紀おめでとうございます!

今週になってようやく東京・神戸・シリコンバレーに点在していた年賀状をマ
ージさせて、全てに目をとおすことができました。21世紀中にはこのような、
アトムでのアドレスに左右されることなく、郵便物が自分のところへおいかけ
てきてくれる時代になってもらいたいものです。

住所不定ジャーナリストにとって、郵便物ほどIT化の遅れているものってあり
ません。本人にしか判断できないものが多く、多くの郵便物が封も開けられな
いままになってしまいます。拠点がかわるたびに郵便物のチェックに追われて
ヘトヘトになり、最後はもういいや! と投げ出してしまいます。神田への郵
便物はほとんど届かないものと思っていただいたほうがいいくらいです。

しかし、年賀状は、楽しみなんです。特に「紙」の年賀状はいいものですよね。
でも、会社関係だったりすると、やたらと宣伝色が強く、年賀状なのかDMなの
かの区別がつかないものまであらわれます。そういうのってガッカリなんです
が、それと比較すると海外からのクリスマスカードには、やはりカードを封筒
で送ってくるだけあって、カードそのものにデザインセンスやバリューを感じ
てしまいます。

最近は、アートとしても楽しめる年賀状の作品を送っていただくクリエイター
さんもおられるので、それも楽しみの一つとなりました。この数年間、年賀状
というのは、一枚も書いたことがなかったのですが、思わず年に一枚くらい自
分の作品を印刷してパブリッシュする機会として、年賀状をとらまえるのはい
いなあとついつい思いました。

一番つまらないのが、「筆王」などの、宛名だけが筆書きの年賀状です。どれ
だけ筆の書体に似ていたって、プリントアウトされた宛名で、印刷だけで文面
なしだったら、もらった側の感覚からするとタックシールで出してもらっても
一緒のような気がするのですが、どうでしょうか? きっと筆書きソフトを買
う人は、宛名が筆書きできたらうれしかったのでしょうか?

また、新年の4日からはじまった会社では、全社員がせっせと年賀状のお返事
を書くという作業で一日をついやしてしまうところもありました…。なんのた
めの年賀状かと思ってしまいます。いっその事、一人あたり年賀状は30枚が大
多数なんて統計が公に発表されれば、かなり年賀状で苦しむ人の数は減るので
はないでしょうか?

だって、義理のお返事の年賀状を9日に見たってちっともうれしくないですか
らね。郵政事業は別に利益を追求する必要がないんですから、もっと宅配便に
負けないように合理化したほうがいいでしょう。そのためには、余分なトラフ
ィックとなる年賀状を一枚でも減らして、有意義な年賀状にその分の力をかけ
られたらいいのに…。見極めがむずかしそうかぁ…。

それと今年、急激に増えたのが、ネットによるグリーティングカードです。い
ろんな企業が虎視眈々と、提供したりプレゼントをつけたり、いろんな企画を
やっていますが、もうホントにウンザリ(!)するんです。URLをクリックし
てから見にいって、ウロウロ捜し歩いて、返事をだす時には、またいろんなア
ンケートがおこなわれたりします。

確かに、もらわないよりもらったほうがうれしいのですが、せっかく見にいっ
ても、ただチョイスしただけのおざなりの年賀状って本当に味気がないのです。
年賀状代金を節約したの? と聞きたくなっちゃいます。送ってくれた人、ご
めんなさい。

むしろHTMLメールで、自分のサイトに作品をあげておいてBCCで同報されてき
たHTML年賀状の方がとっても興味をそそりました。中にはぶっとんだ、年賀サ
イトをたちあげている方も多いのです。来年からは、年賀サイトをリンクしあ
うというような運動をおこなった方がいいかもしれませんね。これはイジリ方
しだいで大流行するかもしれませんね。

誰かの知り合いは誰かの知り合いという事で、年賀状を出そうとする人のリス
トを集めてそれぞれのURLを決めておき、知人のURLには自動的にリンクが生成
されて、クリックするたびに知り合いの人の年賀サイトへつながっていくとい
う構造です。PtoPの時代にふさわしい、年賀サイトリンク、ぜひ来年はやって
みたいです!

…と、年賀状や暑中見舞いを一枚も書かない人間がこんなにいろいろ言うのっ
て失礼だとは思いますが、このようにメルマガで日々近況報告させていただき
ながら新しい年を迎えられました。

今年は、宇宙旅行をという話でもりあがりたかったのですが、ゼグラム社は買
収されちゃうし、2001年中には無理そうという話があがってきました。おいお
い! ペプシで当たった人や、叶姉妹やルナシーのギタリストや神田敏晶は怒
っているゾ!

…ということで、本年もよろしくお願いいたします。

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Toshi Kanda mailto:knn@rr.iij4u.or.jp

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■デジクリトーク
多重録音のころ

森川眞行
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あけましておめでとうございます。
今年のコラムは短くスカっといきましょう! との編集長からのお達しなので、
なるべく簡潔に書いてみることにする。年末最後の原稿では、なんだか気負っ
てしまったので、今回は少しお気楽な昔話から…。

大学生の時に美術学科の友だちと一緒にバンドを組んだ。僕の通っていた大学
は、石を投げればバンドマンに当たる…ってなもんで、多くの学生がバンドを
組んでいた。

高校時代から腕に自信のある奴が多く、○○高校のリッチーブラックモアとか、
○○町のキースエマーソン…みたいな連中が、キャンパス内をウロウロしてい
た。当然プロのバンドのコピーをしても、テクニックで勝てるはずがないので、
バンドを組んでいきなりオリジナル曲を作った。当時の風潮ではオリジナルの
曲を作るアマチュアバンドは極めて少数派だった。

僕がバンドを組んだ1979年はニューウエーブ全盛時で、テクニックよりも新鮮
なアイデアが歓迎されるという時代だった。実際に僕らも、そんなイギリスの
バンドに影響され、シンセサイザーを多用したテクノ風(あるいはウルトラボ
ックス)のバンドを作って活動していた。ちなみに僕らのバンドは、それなり
に人気が出て毎月関西のライブハウス3~4軒でライブをしていた(東京や名古
屋にも遠征したこともあるんだよ)。

バンド活動後期は、僕がフロントマンになりバンドのためのオリジナル曲を作
ったりもした。当時はローランドのTR-606というリズムボックスと、ポリシッ
クス(シンセサイザー)、それに4チャンネルカセットのテープレコーダーが
あれば、オリジナル曲を作成することができた。

もちろんボク自身、作曲の勉強なんてしたことないし、まともに譜面も読めな
かったのだが、それなりに音楽らしきものを作ることができたのである。大学
4年の時に、そのデモテープをロック雑誌のコンテストに送ったら、最終選考
まで残ってしまったのだから、まあ、ちゃんとした音楽だったのだろう。もち
ろんそれで一番びっくりしたのは本人だけど。

その作業が楽しくて、機材を買うために大学時代はバイトばかりしていた。ち
なみに両親に「車の免許を取るから金くれ」と言って、親からせしめた金でシ
ンセサイザーを買ってしまったので、僕は未だに車の免許を持っていない(そ
れも2回も同じことした…なんという放蕩息子なのじゃ)。

デザイナーとして社会人になっても、シーケンサーやらエフェクトなどを買い
漁り、バンド活動(というか音楽作り)はかなり長く続いた。バンドは何度も
解散したり、新しく組んだりもしたけど、自分の音楽がやりたいから、ずっと
長い間続けていた。

そう、モノ作りをする上で出来がどうのこうの…って考える前に、自分が楽し
める作業、没頭できる作業に遭遇できる…ってことは幸せなことなんだよな。

曲を作る時は、大雑把なコード進行だけ決めておいて、まずはリズムを打ち込
む。ここで通常のドラムでは考えられないようなドラミングも、気にしないで
色々なリズムを組み合わせていく。次にそれをサポートするためのシーケンス
パターンを複雑に組み合わせる。そしてベース。アウトラインが固定されてき
たら、鍵盤の白玉をかぶせる。あとは印象的なオブリガードを連発する。

気に入らなかったら、リズムのパターンだけ、あるいはシーケンスパターンを
組み換える。とにかく、自分の頭の中で描いた音楽に向けて、自分の持ってい
るすべての引き出しから、ありったけのアイデアをコラージュしていくような
感覚だ。

そんな感じで、オリジナル曲を30曲くらい(未完成を入れるともっとあるけど
ね)作ってしまった。とにかく毎日仕事を終えてから深夜までずっと音楽を作
り続けていた時期がある。

それから10年近くたって、僕はMacintoshで仕事をするグラフィックデザイナ
ーになっていた。そこで時々行うデジタルコラージュというか、画像合成の作
業に出会った時、その頃の音楽作りの手法が頭の中で蘇ってきた。色々な写真
を組み合わせる作業で、Adobe Photoshopのレイヤーでの構成は、前記の音楽
作りの手法に極めて良く似ていると感じた。

音楽でもそうだ、ありったけの素材を入れて仕上げにかかる作業。Photoshop
のレイヤーの整理は、音楽のミックスダウンに似ている。またシーケンサーで
作成した音楽の小節を入れ替える作業とレイヤーの入れ替えも似ている。さら
に仕上げのエフェクトも同様である。丁寧に作り込んだものに、勢いよく派手
なエフェクトをぶちかます感覚は、画像合成も多重録音も同じだ。

その作業はさらに5年後、Webサイト構築という仕事に出会った時にも、同じよ
うな感覚が頭の中で蘇ってきた。またまたさらに5年後。つまり昨年、僕はノ
ンリニアビデオ編集に出会ったのだが、言うまでもなく、そこでも同じ感触が
頭の中を支配していたのである。

実際に文章にしてしまうと、自分でも嘘臭い…と思うが(笑)似ているのは具
体的にどうのこうの…ではなく、本当に感触というか、頭のなかの問題。だか
ら分かってもらえなかったらゴメンだけど、何人かは頷いている方もるだろう。
無理やり結論付けてしまうと「組み立てること」のおもしろさを理解すれば、
クリエイティブはもっと楽しくなる…ってことかな。

森川眞行(もりかわまさゆき)
FIREWORKS4のリリースに伴って、僕のサイトでも『FIREWORKS徹底検証』をリニ
ューワルしています。
http://www.siliconcafe.com/fireworks/

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■編集後記(01/09)
・あけましておめでとうございます。年末5日間は北京、年始の1月4日は娘の
挙式トなんだか落ちつかない世紀の変わり目だった。整理しようと思っていた
物件はひとつも解決できず、この数日何していたのか思い出してメモしようと
したが、早くも脳の記憶細胞は正確さを欠きはじめた。4日の幕張、シェラト
ン・グランデ・トーキョーベイのクリスタルチャーチでの挙式は素敵だった。
なんでも挙式日本一の人気をほこり、ラッシュ時には30分に一組だという。そ
の日は我々のみだったので、サービスはとってもよかった。しかも通常の半額
とかで、正月早々千葉までおでかけというデメリット(?)を差し引いてもあ
まりあるお得な選択で、わが娘ながらかしこい。しかも天候は見事な晴れ。花
嫁とバージンロードを歩くという一世一代のわたしの晴れ姿だったが、歩くス
ピードが早すぎた、トあとからみんなに文句を言われた。そう、わたしは仕事
が早いのだ。厳粛にしていささか滑稽な「花嫁の父」役は数時間で終わった。
……娘夫婦がそれから何処へ行ったかというと(つげ義春「李さん一家」のマ
ネ)実はベランダでつながった隣に住んでいるのです。      (柴田)

・今年もよろしくお願いいたします。年末年始はネットをせず、のんびり過ご
した。いかにネットに時間を食われていたのかわかる。キーボードの上にほこ
りが溜まっていたのには驚いた。メールを落とすのに二時間ほどかかり、浦島
太郎のような気分を味わう。これといって大きなイベントもなく、いま一番関
心のあることは、給湯器の故障。お風呂のお湯はりも、お湯での洗い物もでき
ないの。新年早々やられてしまいました。とほほ。     (hammer.mule)

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発行   デジタルクリエイターズ
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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
        森川眞行 

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