[1030] ロックにおける不易流行
── 幸福な時代の不幸について ──

投稿:  著者:


■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1030    2002/02/19.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20237部
情報提供・投稿・広告の御相談はこちらまで mailto:info@dgcr.com
登録・解除・変更・FAQはこちら http://www.dgcr.com/regist/index.html
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 <これが私のロックだった>

■デジクリトーク 
 ロックにおける不易流行/幸福な時代の不幸について
 モモヨ(リザード)

■デジクリトーク Webディレクションの花道--第5回
 見せ場のはずが?
 -プレゼンテーション-
 UZ

■新刊案内
「MdNクリエイターズ・ファイル」2002年度版



■デジクリトーク 
ロックにおける不易流行/幸福な時代の不幸について

モモヨ(リザード)
───────────────────────────────────
去年の暮、デジクリで告知したライブは、つつがなく終了した。

私にとって、およそ15年ぶりのステージ。ボーカリストとして考えれば、約20
年ぶり。どうなるものやら私自身、かいもくわからなかったのだが、ビートと
いうのは不思議なもので、当日、ステージに立っている間に、かつて封印した
パフォーマーであるワタシが徐々に蘇ってくる。残念ながら、当日、そのライ
ブスポットは、夜の部が詰まっていて、演奏は40分程度。いわゆる肩慣らし程
度で終わってしまったが、私自身は十分に楽しめた。

当夜、一緒にやってくれたのは、ギグの発起人であるオートモッド、元スター
リンのミチロウ君、それに元ガスタンクのバキがやっているバンドだ。日本の
ロックの実情に詳しい方ならわかるように、皆それぞれが、リザードの後、一
時代、一流派の先頭に立った人物である。ライブ活動を再開するにあたり、こ
うした人々の助力を得られたことを私は誇りに思う。

ところで、この面子について、最近の音楽ファンが書き込む、とある掲示板で
「音楽性がバラバラ、この面子がいっしょにやる事情がわからない」と書いて
あるのを見つけた。これには多少ショックを受けた。

というのは、こういう視点でもし音楽をみられた場合に、私の活動など、まる
で分裂症のように感じられるおそれがあり、私は、そうしたファンが大勢をし
める状況下でこれからの音楽活動をするわけだから、これは問題なのである。

元スターリンのミチロウ君は、本来フォークシンガーとして活動していた人物
だ。それが東京ロッカーズの照り返しをうけて、パンクバンドをはじめたので
ある。スターリンの場合は、ハードコアパンク全盛期に至る道程でピークを迎
える。

現在、録音され公開されているものでは、リザードとハードコアパンクの接点
は理解できないだろう。そのあたりを少し説明したい。

●リザードとハードコアパンクの接点

デビューアルバムをリリースする前後、リザードのライブは、アナーキー情況
で終わるのが常だった。アンコール以後の曲は全てパワー全開。客席では椅子
がとびかい、破壊工作しきり。ギグを開催すれば、否応なしに即パニックだっ
たのだ。その結果、ライブハウスやホールは廃墟と化す。

少し後で、スキャンダラスな演出によって騒ぎになるようなパフォーマンスが
流行したが、私たちの場合は、少し違っていた。なにしろ、私たちは単純にラ
イブをしたにすぎない。なのに客席は無政府状態になる。当事者である私には、
これは悩みの種であった。

が、そうしたギグのスリルに中毒したであろう少年達が、後にハードコアパン
クの中心メンバーに育ったのだ。そんなバンドの一つにギズムがある。去年の
ギグにもそのギズムのメンバーが客席にいた。

もうひとつ、ミチロウ君とリザードの接点にふれなければならない。ディレク
ターなどのスタッフだ。彼らのデビューアルバムは、実は、私たちのセカンド
アルバムを収録したスタッフの元につくられ、演出されたのだった。

サウンド的にセカンドアルバムをついでくれたのは、例えば直接、収録曲をカ
バーしてくれた有頂天などだろう。

オートモッドと私たちの接点は、もっと直接的だ。

私とジュネは、彼がオートモッドを結成する以前からの付き合いで、あうたび
に、私が彼のアダムアンツ的演劇趣味を揶揄するという、まるで安手の漫才の
ような付き合い方をしてきた。一時、彼は、ロンドンに一人で住んでおり、私
たちともかの地で落ち合ったりしたものだ。まさに、何から何までジュビリー
していた彼は、私にとって、遊びがいのある後輩だったのだ。

…ジュビリーというのは、パンク勃興期におけるデスペラートな青春群像(と
呼ぶには、あまりに猥雑な何人かの少女の生活)を描いたパンク映画で、アダ
ムアンツは、彼女達の間を揺れ動くパンクスとして、主演ともいうべき地位を
与えられていた。セックスピストルズのデビュー直後から実はアダムアンツは
活動していた。この映画に出たころのアダムアンツは、ドパンクバンド、アダ
ム&アンツのボーカルだった。そして、ジュネのファッションは彼のそれに似
ていたのである。

話を元に戻そう。リザードというバンドは、三枚目ジムノペディアをリリース
すると同時に私のプロジェクトバンドに移行したが、この三枚目のリリース時
に私のバックを担当してくれたのが、彼のオートモッドだった。私とオートモ
ッドは、ちょうどいまATPと私がそうであるように、私が加入すれば、それが
そのままリザードになる、そういう数ヶ月を共有しているのだ。

この三枚目は、これまでの路線とは、打って変わって、内容が内省的になって
おり、曲のテーマもさることながら、サウンドもより深いものへと移行してい
る。ルースターズやウィラードが後、この方向性を探るが、当時は誰も理解し
てくれなかった。時にはGSとすらいわれたものだ。このサウンドをステージで
演奏できるとすれば、私の知る限りオートモッドしかなかった。

そして、バキ。

彼と私の付き合いは、系譜として当然のところがある。彼らガスタンクがデビ
ューしたのは、シティロッカーレコードだったが、これは、私がリザード以前、
つまり紅蜥蜴の未発表トラックをリリースするために、今でも発行しつづけて
いるパンク・ニューウェーブの専門誌Doll誌が発足させたレーベルだった。

ガスタンクは、ここからデビューし、そのシステムの未発達ゆえ、他社にうつ
ることになる。バキが何を目指していたのか、私は知らない。しかし、外部か
ら見たところ、リザードが、コアを中心に360度方向にむかって放射したエネ
ルギーをいままた、一つのものに統合しようとしている感があった。

ハードコアの苛烈さ。ポジパンといわれたものの表現性。ボーカルを中心とし
たパンクにあるストレートな響き。それら全てを統合しようとして彼が格闘し
ているように当時は、見えたものだ。

…とにもかくにも、彼らが私の活動再開をサポートしてくれたこと。これに私
は改めて感謝の意をあらわしたい。

以上、ここに、当夜のメンバーと私の関わりあいを書いたが、私から見れば彼
らは全て同胞なのであった。それがファンの目にはバラバラに映る。

私自身が先人から学んだロック(パンクでもいいや)は、常に変化しつづける
ものだった。変化していて不易。これが私のロックだった。それがわかってい
なければ話にならない。万代不易、不易流行とは、十年一日のごとく同じ音楽
を鳴らしつづけることではない。ジャンルが並立し、それぞれが自分の好みで
好きな音楽を聴くという現在のライフスタイルは、けして悪いものではないが、
それが意識を蝕み始めているのではないかという危惧ももつ。

音楽のコア、ロックは、パンクは、その核心は、どこへいったのか。音楽はあ
くまで表現手段である。人が表現手段に縛られる。これは、幸福なことではあ
るまい。

モモヨ(リザード)管原保雄
momoyo@babylonic.com
http://www.babylonic.com/


=primal tone.♯4=
LIZARD(momoyo with ATP)& SPEAMEN
day. 2002/03/24(sun)6:30
at.渋谷LA.MAMA
※チケットの入手法詳細についてはLA MAMAまで。
http://la.mama.gr.jp/top.html

モモヨとスピアメンによるセッション。アコースティックギターによるモモヨ
ソロ。mp3.comで活躍するATPとのバンドセットLIZARD。プロジェクトリザード
を鮮明にした内容です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク Webディレクションの花道--第5回
見せ場のはずが?
-プレゼンテーション-

UZ
───────────────────────────────────
私はいつからか、表現には熱が必要だと感じるようになった。ともすると表現
には熱さえあればなんとかなる、と考えがちなのが痛いが、「多少不器用でも
伝えたいものがある人からは熱が伝わるものだ」と信じている。

しかし世の中にはいろいろなタイプがいる。常にビジネスモード全開の没入型
もいれば、四六時中おバカな目論見に情熱を傾ける人もいる。徹底的に切り込
んでくる場合も、徹底的に受け身な場合もある。プレゼン前に、顧客のタイプ
がどれにあたるか完璧に判断するのは難しい。



Webサイトのプレゼンテーションは、広告代理店の行なういわゆるプレゼンを
踏襲した形で行なわれることが多いだろう。事前に要件を言い渡される場が
あり、準備期間ののち、当日時間をもらって企画を披露する。いつもの業者、
初めての業者、平等にプレゼンをさせるところもあれば、当て馬を用意する
ところも、もちろんあり。一日のうちに見てしまおうとする顧客は割と多く、
まれにプレゼンを終えて出てきた競合の面々とプレゼン前に顔を合わせてし
まい、その表情で勝ち目を測ったりする。

企画書をうんうん言いながらぐりぐりいじくり、直前にカラープリンタで慌
しくプリント。オフィスを出たくらいでやっと、その日を迎えた緊張感が襲
ってきたりする。そう、たいていは余裕がない。

余裕がない原因の一つに、企画書のレイアウトにこだわりすぎるから、とい
うのがある。たしかにビジュアルはすごく大事だ。スマートなヘッダがつい
ているか、強調すべき字が浮き立っているか。初めて見る、自社に対しての
制作物に、顧客の主観的な目は厳しいはずだ。

遅れる原因には、企画書以外の要素がそろっていない場合も多い。Webサイト
をプレゼンするには、トップページのイメージ、企画書のもとデータをモバ
イルに移す(投影のため)などが必要。PCやプロジェクタはいつでもOKにし
ておかねば。顧客が用意してくれたプロジェクタには要注意だ。PowerBook
で表示がおかしいのみならず、QuickTimeMovieが投影されないということが
あった。



しかし、準備が足りなかった場合、それを補うのは、その場の行動しかない。
そこですべてを伝えきるには、どんなプレゼン方法が大事なのだろう。私自
身も何回となく言われつづけてきたプレゼンの場でのノウハウを、実践にも
とづいてピックアップしてみる。

・第一位 抑揚
普段しゃべっていて、強調したい部分を繰り返したり大きな声で言ったりす
るのに、なぜプレゼンの場では素直にできないのだろう。顧客にある単語を
覚えてもらうには、同じ言葉を1ページの説明の中で3回繰り返さなければな
らないそうだ。思うに、連呼にフィットするキーワードがひとつ見つかれば、
それを軸にして話題を展開すればいいのかもしれない。その言葉だけは、自
分の企画として顧客の記憶に残すつもりで。

・第二位 膨らみ
企画書に載せるのは、きっと最低限のキーワードだけだ。だとしたら、企画
書に載っている言葉を読み連ねるだけでは意味がない。企画書に載せられな
いことを話すことは、雰囲気や熱意といった印象を残すことが可能なのだと
思う。

それには、自分の経験を混ぜることが最も有効だと思う。知的なビジネスモ
デルが必要でも、その裏にはベタな経験や、ユーザーとしての視点など、大
義名分を裏付ける動機、心の動きが感じられるほうが、相手も心を動かされ
るに違いない。裏に流れる血の温度を、垣間見せるべし。

・第三位 押しどころ、引きぎわ
プレゼンの全体構成として、どの部分が押しどころとなるのかを考えて時間
配分をすべし。企画してきた身で言えば、コンセプトの部分に最も時間を割
きたいが、顧客ははやく絵を見せろという感情を隠さない。前半はコンパク
トに、強調型を心がけて。後半はインパクトで勝負か。

ポイントは、「もう少し見たい、聞きたい」という時点で切り上げること。
トップページやコンテンツ案ならすべてを説明せず、企画書に載せている部
分にもわざと軽く触れる程度に押さえるなど、終了後の質問を誘発するよう
に持って行ければ理想的。



意識だけでもそんな事項を頭において、プレゼンに向かう電車の中で、シナ
リオを組み立てる。どんなタイプのスピーチでもだいたい同じだと思うのだ
が、起承転結が必要らしい。最初にインパクトを求めるならば、ケツにもき
ちんとした締めが必要だろう。最悪、顧客は最後の言葉しか覚えてくれない
かもしれない。それが筋道の通った結論であれば、最後のワードさえ覚えて
くれればよいともいえる。

しかしいざしゃべっていると、ナニを言いたかったのかわからなくなってく
る。それを防止するのがシナリオの役割なのだが、メモ書きをいくら細かく
したところで動揺するものはする。そんな動揺した中でさえ、伝わるものは
必ずある。私はそれは、その前の過程の全て、流した汗と涙だと思う。

何かを目標にして、調査をし文言を考え、レイアウトしたはずだ。言おう言
おうと思っていた言葉が全部真っ白になったとしても、それは必ず心に残っ
ているわけで、返ってシナリオの暗記などをしないほうが忘れる心配もなく
てよいというものだ。大丈夫必ず伝わる。プレゼンは自分を信じること、
自分自身が楽しむことが一番大事だと思う。



当然、プレゼンはプランナー・プレゼンターの見せ場である。準備不足にし
ろ、不利な条件にしろ、ステージを終えた演奏者のように清清しくプレゼン
を終えたい。どんな心境で臨むべきなのか。

コンペの末に発注された案件、ようやくカットオーバーした案件の打ち上げ
の席で、何を決め手としたのかを聞いた際に、「一生懸命やってくれそうだ
ったから」という答えがあった。それだけが決め手ではないとは思うが、主
観の入るプレゼンという場所で、見せ場の間になにを印象づけられたのだろ
うかと考えた。

そのプレゼンの場での緊張具合を想像してみる。有名な競合だったのでかな
りヤケになっていた気がする。また順番は3社中の3番目であり、どう攻める
にも不利な条件だった。なんと

開始時間になると続々と入場してくる。名刺は広報から営業から総務から、
総動員である。円卓に反り返るポマード頭の壮年会社員たち。対して我々は
緊張しまくる若造、くたびれたジャケットのAD、三つ揃いを着込んだ気合ば
っちり総務部長(法務担当ということで)など。

動揺しまくるも気をつけていたことは、以下のようなことだった。

・相手の目を見て話すこと
目を見ると相手はひるむ。何も言わなくても何か伝わる。何かを訴えている
のだということは、わかってくれる。下を向いてしまうと声が通らないので、
そうならないためにも、常に相手の視線を確かめながら話していた。観察さ
れているのではなく、しているのだという奢った心構えも、ここでは必要
だったと思う。

・ジェスチャーを我慢しないこと
棒で差し示すようなプレゼン方式の場合は、棒の使い方要注意だが、そのと
きは何も持っていなかったので、動かし放題。四角、とか、丸、とか、直感
的なしぐさは、意味の補強のためにも我慢しないようにした。

・相手の話を聞くこと
プレゼン後のセッションでは、興味があれば必ず質問が来るはず。その質問
を注意深く、目を見て聞く。答えは自分の言葉で話す、不明確なことは言わ
ない。稚拙な言葉遣いになっても、取り繕うような発言だけは避けるように
した。

プレゼン後には、同行した上司に必ず低い点数をつけられる私。しかし終わ
った後にはようやく清清しさを感じられるようになってきた。企画を作り始
めてからの怒涛の日々が回想される。全力をかけたという気持ちがあれば、
負けもまた糧になるはずだ。

怒涛のマインドセミナー風で一気に読める本。プレゼンは心なり、そして
その心は誰でも持っている、ということがわかり、自信が持てる。
「プレゼンテーションのノウハウ・ドゥハウ」
野口吉昭(編集)HRインスティテュート(著)
http://www.hri-japan.co.jp/j/04index.html

【uz】
某コンピューターパッケージベンダー勤務を経て、現在はWeb系ライター、
Webサイト構築業務に携わる。「映画を研究する人々のためのサイト Urban
Cinema Squad」もよろしく。
http://www.u-c-s.org/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■新刊案内
「MdNクリエイターズ・ファイル」2002年度版
http://www.MdN.co.jp/

柴田忠男 答える人・泉岡由紀
───────────────────────────────────
MdNから「MdNクリエイターズ・ファイル」2002年度版が発行された。A4判、フ
ルカラー、352ページ、厚さ20ミリの超ボリュームである。デザイン、イラス
トレーション、3DCG、ムービー、Webと5つのジャンルのクリエイターが340人
も掲載されている。プロフィール、連絡先、制作環境、代表作、クライアント、
その他の情報がついている。一人1ページで、画像は少なくとも6点はレイアウ
トされているから、この本1冊の画像点数はおそろしい数字になる。

わたしもかつて「イラストレーションファイル」(玄光社)「デジタルイメー
ジギャラリー」(インプレス)といった同タイプの書籍を10冊以上つくってき
た経験からいって、人選と制作は想像を絶するハードな作業になることはよく
わかる。気が遠くなるようなプロジェクトである。お疲れさまです。

編集担当の第二書籍編集部の泉岡由紀さんに聞いた。

──独特な人選ですがどういう基準がありましたか。
 
・実は本書はMdNの前々からの企画であり、月刊MdNが始まって以来(もしくは
それ以上前の隔月の時代から)、MdNに掲載していただいたデジタル・クリエ
イターの方々を一冊の本にまとめたいという意向が社内にはありました。もと
もとこういった意図があったので、基本的にはMdN本誌の連載『Artist File』
や『Portfolio』、そして本誌でフィーチャーさせていただいた方を中心にし
た人選ということになります。
 
基準という基準はないのですが、この方々を中心に、私とそして前MdN編集長
の野口と外部スタッフのファー・インクで、現在活躍されている(と私どもで
判断させていただいた)方をデザイン、イラスト、3D、映像、Webの各分野で
ばらつきのないように選んだということになります。ただし、読者の立場から
は使い勝手のよく、掲載者の立場からもツールとして使える、フラットな本を
目指そうと考えておりましたので、本当にお世話になっているクリエイターの
方をのぞいて、なるべくこれからの新しい人も載せていこうと考えたのがあの
結果です。

──制作上のご苦労は。

ひとつは人選です。MdNのクリエイター年鑑として恥ずかしくないものをと考
えると、なかなか難しく、さらに掲載者の方に失礼のないようにと考えると人
選には時間がかかりました。

それから、実際に依頼してみると、340人(当初は400人以上を考えてましたの
で)という人数にアクセスし、同じフォーマットで原稿をいただき、作品の大
小も考えた上で美しくレイアウトする。これがすごく難しい。みなさん、自信
もプライドもあふれた方々ばかりですから、さまざまな注文もあったりする。
そして何よりも間違いのないことが一番なので、各クリエイターの方にPFD校
正という形ですすめたのですが、やはり人数が多いので、ひとりひとりに対応
していると、スタッフは本当に大変でした。一人の方からむずかしい注文をつ
けられると、どうしてもそればかりに関わる時間を取られてしまいますから。

また、お願いしたのにギリギリになってお断りされてしまったりと、人選自体
がフィックスするのも遅くなり、その分入稿までは苦労の連続でした。とにか
くデザイン、レイアウト、作品の見映え、固有名詞などなどすべてのことに気
を遣う必要がありますから。最終的には入稿データ自体も膨大な大きさになっ
てしまい、出力にハプニングが起きたり、ということもありました。

──年鑑として今後も刊行されるのですか。

それは社長に聞いてほしいのですが(笑)……、もちろん商品として成り立た
なければ、今後はないと思いますが、個人的には今後も是非続けたい。これか
らクリエイターを目指す方々が本書に載ることをひとつの目標としていただけ
るような、どこのデザインや広告事務所にも一冊は必ずあるような定番の年鑑
として育てていければよいな、と考えてます。

──掲載してほしいというクリエイターはどうすればいいのですか?

掲載してほしいという問い合わせは、すでにあるのですが、まだ具体的には考
えてはいません。フラットな本を目指す以上は、そういった方にも載っていた
だきたいのは山々なのですが、やはり商品として成り立たせなければいけない
ですから、すべての方というわけにはいかないでしょう。

ひとつの基準としては、MdN本誌に掲載されるレベルの方であることは確かな
ので、MdNに作品をお送りいただいて、取り上げられることでしょうか。現実
的にシステムとしてあるわけではありませんが。今後考えていかなければいけ
ない課題のひとつです。

●MdNのご提供で、この「MdNクリエイターズ・ファイル」2002年度版(定価
本体3800円)を読者5名さまにプレゼント。ご希望の方は、プレゼントお知ら
せコーナーから応募してください。締め切りは、2月27日14時。発送をもって
発表に代えさせていただきます。
http://www.dgcr.com/present/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(2/19)
・海津宜則さんに薦められたナレッジプロセッサ「Kacis」を便利に使ってい
る。製品版を使えば電子書籍を制作、発行できてしまうのだが、とりあえずフ
リー版のwriterを使っているから制限付き。でも資料整理と原稿書きの構想を
練るには最適である。目次と本文が1対1で対応しているので、目次の見出しを
並べ替えると本文も並べ替わる。目次側で文書全体を階層化できるので、自由
度の高いドキュメントを作れる。画像もとりこめるし、URLも自然に埋め込め
るというすばらしさだ。これで、好きなテーマの資料整理をしている。(柴田)
・販売元のメディアビジョン http://www.mvi.co.jp/

・今日のモモヨさんのコラムには、凄い名前がいっぱい。深夜に流れるラジオ
を録音するくらいしかできない、ライブにほとんど行けない、そんなお金のな
い頃。たまにイベントに行って楽しむ程度。DOLLやFOOL'S MATEの小さな広告
まで読んで、行ったことも聞いたこともないバンドのメンバーの名前まで覚え
た時期。(耳年増っちゅーんですかね、ほとんどの名前は忘れてしまったんで
すが。)その頃から活躍している人たち。コラムを読むだけでどきどきする。
ええ、有頂天もガスタンクもアダムアントも他の方も好きでしたとも。全部の
曲を聴いていたとは言い難いけれど。/最近、ニューロティカのライブを見た。
15年ぶりくらいだ。ずっと続けている、そこに驚いてしまう。凄いよ。私より
妹の方が好きだったので、見に行くと言うと「テープあるで!」と言われてし
まった。そう、「テープ」なら。             (hammer.mule)
http://www.sillywalk.com/nylon/  ナイロン100℃ ケラさーん
http://arden.to/gastunk/  ガスタンクオフィシャル。うぉーロゴが!
http://www8.big.or.jp/~roteka/  ロティカオフィシャル

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
発行   デジタルクリエイターズ
     <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 

情報提供・投稿・プレスリリース・記事・コラムはこちらまで
 担当:濱村和恵
登録・解除・変更・FAQはこちら <http://www.dgcr.com/regist/index.html>
広告の御相談はこちらまで  
メーリングリスト参加者募集中  <http://www.dgcr.com/ml/>

★等幅フォントでご覧ください。
★【日刊デジタルクリエイターズ】は無料です。
 お友達にも是非お奨め下さい (^_^)/
★日刊デジクリは、まぐまぐ<http://rap.tegami.com/mag2/>、
Macky!<http://macky.nifty.com/>、カプライト<http://kapu.cplaza.ne.jp/>、
Pubzine<http://www.pubzine.com/>、E-Magazine<http://www.emaga.com/>、
melma!<http://www.melma.com/>のシステムを利用して配信しています。

Copyright(C), 1998-2002 デジタルクリエイターズ
許可なく転載することを禁じます。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■