[1134] 故郷に帰った日

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1134    2002/07/26.Fri発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21256部
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     【デジクリは「メディア規制三法案」に反対します】

■デジクリトーク134
 故郷に帰った日
 十河 進

■金曜ノラネコ便
 煙の中のロック・ファン
 堀本真理美

■展覧会案内
 写真の現在2 サイト―場所と光景

■公募案内
 2003年極楽ねこカレンダーフォトコンテスト



■デジクリトーク134
故郷に帰った日

十河 進
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●ほとぼりもさめた頃の帰郷

2年9カ月ぶりに帰郷した。この前、帰った時には昼間から友人と飲み続け、気
が付いたら灌漑用の水路に落ちていたという醜態を両親に晒してしまったから、
少し帰りにくくなっていたのである。

50近くになった息子が、明け方に血を流しながら泥だらけでビショビショにな
って戻ってきたら、年老いた両親は驚くに決まっている。おまけに父親は一滴
も酒を呑まないし、母親も酔っ払いには慣れていない。

その時、僕はジャケットもメガネも財布もなくしてしまった。財布にはクレジ
ットカード、キャッシュカード、免許証なども入っていたので、すぐにカード
会社に連絡しなければならず、酔ってきちんと話もできない僕は母親に東京の
自宅に電話してもらったのだが、話を聞いたカミサンは冷静に「また、やりま
したか」と笑ったという。まったく……

そのほとぼりもそろそろさめただろうと思う部分も少しあったけれど、やはり
喜寿を迎えた親を放っておくのも気が引けて、出張もあったので二日ほど実家
に寄ることにしたのだった。父親の耳がすっかり遠くなり、補聴器の具合によ
ってこちらの言っていることが時々わからないことを除けば、幸い、ふたりと
もとても元気だった。

今回、帰郷して驚いたのは、高松駅自体が移動していて駅前がまるで変わって
いたことである。港もすっかり開発されていて、ウッドデッキのプロムナード
で灯台まで歩いていけるようになっていた。ウォーターフロントと呼んでいる
らしいが、ほとんど東京のお台場である。

琴平電鉄の築港駅にはコトデンスーパーという商店街もあったし、隣に琴電資
本の大きなホテルもあったのだが、それがなくなっていた。そのため海に面し
た玉藻城の石垣が道からダイレクトに見えるようになっている。高校時代に時
々、今のカミサンとデートした場所である。

戦前の話だが、向田邦子さんは小学校の後半を高松市の四番町小学校で過ごし
県女と呼ばれた女学校へ入学している。向田さんのエッセイにはその頃のこと
がよく出てくるのだが、どうも玉藻城に隣接する社宅に住んでいたらしい。

向田さんがいたのは半世紀以上も昔のことだけど、僕が子供の頃にはすでに大
きなビルばかりになっていた地域であり、玉藻城脇に住んでいたのはちょっと
想像できない。しかし、「父の詫び状」の中には確かにそういうエピソードが
出てきた。

そういえば、僕が通った高校は戦後、高松中学と県女が合併してできた学校で、
県女の校舎をそのまま使っていると聞いたことがある。女学校だったので母体
保護のために冷えないように床下におがくずを敷き詰めているのだとまことし
やかに囁かれていた。僕は、向田邦子さんと同じ校舎で学んだことになる(そ
れがどうした、と言われればそれまでですけど)。

●あゝ おまへはなにをしてきたのだ……

駅前から実家までタクシーに乗り「あの駅は、いつできたんですか」と聞いた
ら、すぐに「去年の5月15日」と運転手さんが教えてくれた。日付まで即座に
答えられるのは、おそらく市をあげて大きなイベントをやったからだろう。

実家への二十分ばかりのルートを僕はキョロキョロと見渡してばかりいた。ま
ったく変わっていないところもあれば、見覚えのない町並みが続くところも多
い。遠目に見えた僕が通った中学校はあまり変わっていないように思えたが、
道は整理されて昔の面影はない。

ああ、あの辺で自転車で転び自動車に前輪を轢かれたな、と思わず身を乗り出
す。狭い路地のような道はまだ残っていて、主要道路はみんな道幅が倍以上に
なっている。片側三車線である。

そんな気分が翌朝まで続いていた。早朝に目覚め、6時半頃から近所の散歩に
出かけてみた。快晴。梅雨があがったばかりの七月で、日差しは盛夏のようだ
った。実家の裏口を出てまっすぐ南へ歩いた。まだ少し田圃や畑が残っていて、
灌漑用水の蓋がされずに水が流れているが、アパートやマンションもずいぶん
建っている。

中学生の頃にメランコリィな気分に陥るとよくいっていた溜め池も周囲が整地
されジョギングコースになっていた。好きな女の子を想って佇んでいたことも
あったし、先生に叱られて寄り道し池に小石を投げ続けたこともあった。溜め
池だからきれいな水ではない。それでも、池を見ていると何かが回復してくる
のが実感できた。

その池を一周し、実家の近くの熊野神社まで戻った。石段を上がる。昔よりき
れいになっている気がする。最近(といっても10年前だが)奉納された石灯籠
が目立っていた。ブラジルで成功した氏子の人が奉納したらしい。鈴を鳴らし
賽銭を投げ柏手を打つ。そんなことは、子供の頃にはしたこともない。

お堂の周りを回ってみた。お堂の脇にあった手水場で竹の柄杓で手を洗う。誰
もいない社務所がある。本堂の高い廊下の縁の下に蜘蛛の巣があった。朝露に
濡れて輝いている。そよ風が吹いてきて蜘蛛の巣が揺れる……

  あゝ おまへはなにをしてきたのだと……
  吹き来る風が私に云ふ

不意に、中原中也の「帰郷」の詩句が浮かんだ。この詩句も中学か高校の時に
覚えた。松竹の看板女優だった若き岩下志摩が初めて主演する「花いちもんめ」
というタイトルのテレビドラマだった。そのドラマの中で何度か、この詩句が
つぶやかれた。

一度聞いただけで、その言葉が記憶に焼き付いた。慚愧、忸怩、悔恨、無念、
失意、挫折……、そんな気分が確実に十代半ばの少年に伝わったのだ。それが
中原中也の詩だということだけを手がかりにして僕は「帰郷」という詩を見付
けた。

今では最後の「云ふ」を「問ふ」と間違うくらいうろ覚えになってしまったが、
昔はすべての詩句を覚えていた。もっとも「問ふ」と間違って記憶したのは、
「吹いてきた故郷の風が、私を問い詰める」というニュアンスで読み取ってい
たからかもしれない。

故郷に帰った時、実体のない後ろめたさを感じることがある。故郷に錦を飾る
と青雲の志で上京したわけではない。それでもどこかで「ああ、俺は一体何を
やってきたのだろう」と自分を責める気持ちになる。少年の日の夢、のような
ものを思い出す。そんな心情を、中也は故郷の風に代弁させた。

もうひとつ、故郷をうたった有名な詩句がある。美しい金沢を故郷に持ち、犀
川を愛し続けた室生犀星の「小景異情」の冒頭の詩だ。犀星は、望郷の念にひ
たりつつ故郷に帰ることを拒否するように、こう書いた。

  ふるさとは遠きにありて思ふもの
  そして悲しくうたふもの

●心を通わせるべき父がいる間に…

谷口ジローさんに帰郷をテーマにした作品がある。「父の暦」「遙かな町へ」
の二編である。

「遙かな町へ」(1998年/ビッグコミック連載)はタイムスリップを道具立て
にしているせいか、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(1985年)を連想さ
せる。しかし、その切なさはハリウッド映画では絶対に出せないだろう。僕は
今まで何度か読み返したが、その都度、心の奥底まで届く何かを感じた。

48歳の主人公は出張の帰りに気付くと故郷へ向かう列車に乗っている。22年前
に母が死に実家もなくなり、十数年帰っていなかった故郷である。彼はそのま
ま故郷の町に降り、墓参りをする。その時、彼は34年前の自分にタイムスリッ
プするのである。

彼は48歳のまま14歳の中学生に戻るのだ。昭和38年(1963年)、東京オリンピ
ック開催の一年半前である。彼は父と母と祖母と妹のいる食卓につき、呆然と
しながらも「母だ……、母が生きている」と涙ぐむ。

彼は中学生として生き始める。だが、その後のことを知っている彼は、父が失
踪することも知っているのだ。彼は父の失踪を防ごうとする。だが、48歳の男
である彼は父が失踪することに共感を覚え始める。いや、共感ではない。父の
気持ちが理解できるのだ。彼は父を止められるだろうか……

「父の暦」は1994年にビッグコミックに連載された。味わいの深さで言えば、
こちらは純文学を読んだ気分になる。それも極上の名作だけがもたらせてくれ
る精神の浄化がある。「今、確かに人生の真実に触れたのだ」と確信させてく
れる。

僕は志賀直哉の「和解」を思い出した。父と息子の不和というテーマの共通性
からだろう。しかし、「和解」が最後に父と息子が涙を流しながら和解するの
に対し、「父の暦」では和解すべき父親はすでに死んでしまっているのだ。

それだけに「父の暦」の読後感は苦い。だが、その無念、その切なさが読者の
胸を打つ。読み終えてしばらくたっても打ち続ける。いや、読後、時間が経つ
につれ印象は深まり、心に何かが刻み込まれる。「父の暦」を読む前と読んだ
後では、確実に何かが変化している。

長い間抱き続けてきたわだかまりを解かないまま父が死ぬ。大学入学のために
上京して以来、一度、結婚相手を連れて帰っただけで、故郷を棄てたも同然だ
った「私」は十数年ぶりに帰郷する。父の葬儀のために……

通夜の席で語られる父の生涯。「私」がわだかまっていた記憶とは一体何だっ
たのか。初めて知る母の秘密、父の息子に対する優しく切ない想い。「私」は
自分の記憶が別の面から照射され、まったく逆の意味を持ち始めたことに戸惑
う。そして、最後に彼は悟る。

──私は父の優しさを知った

「父よ、あなたは……」と父親の生涯を想って心の中で呼びかけたことが僕に
もある。今回の帰郷でも、父を見ていて不意の悲しみに襲われた。「あなたの
おかげで、ここまでやってこれました」とも言えず唇を噛んで堪えた。三年近
く会いにこなかったことを、口に出さずに詫びた。

二夜、父母と共にして、父に飛行場まで車で40分ほどもかかる道のりを送って
もらった。助手席から僕が何か話しかけると、よく聞こえないらしくこちらを
向いて照れ笑いをし「何、言ょんか、よう…わからん」と父は答えた。なまじ
話しかけると父に気を遣わせるような気がして、僕は空港までの長い時間、父
の耳に差し込まれた補聴器を見続けるしかなかった。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com
雑誌編集者。1999年のデジクリの夏休み明けから連載を始めて、とうとう丸三
年間、一度も休載しなかった。土壇場で差し替えたことは何度かあったけれど、
原稿は一週間前に送り続けた。ということで、しばらく夏休みします。

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■金曜ノラネコ便
煙の中のロック・ファン

堀本真理美
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節煙する人がいる一方、柴田編集長のように敢然たる(?)嫌煙家もいる。か
くいうわたしは非喫煙者である。何年も前の短い期間に喫煙者だったことがあ
るが、なんとなく止めてしまった。その後、何度か喫煙することもあったが、
「吸いたいと思えば吸うし、そうじゃないければ吸わない」という、on & off
smoker なのである。

実際のところ最近では限りなく非喫煙者に近い。服や部屋に臭いがつくのもイ
ヤだし、喉も弱いから、喫煙者の友人が自宅に訪ねてくるときはキッチンの換
気扇の前やベランダで吸って欲しいとキッパリと宣言する。それなのに、わた
しには嫌煙家になれない大きな理由があるのだ。

ご存知の方もいるかもしれないが、わたしはかなりのロック・ファンである。
「ロック・ミュージックから連想されるイメージを挙げなさい」と言われたら、
どうしたって出てくるのが「タバコ」である。もちろん喫煙者が皆ロック・フ
ァンであるわけがないし、すべてのロック・ミュージシャンやファンが喫煙者
なわけでもない。

そうとわかっていても、わたしの周りのロック・ファンの多くが喫煙者である
というのは紛れもない事実である。ロック・ミュージック界におけるタバコの
関係は、ある意味「小道具化」されているとも言える。

例えば、某有名ギタリストの、ステージで演奏中にタバコに火をつけを弦に挟
む、というお決まりの行動は、観ているギター小僧すべてのため息を誘うほど
カッコ良くみえるだろう。あるいは、くわえタバコで伏し目がちに微笑むヴォ
ーカリストのグラビアに、何千という女の子たちがウットリするのだ。

そもそもロック・ミュージックは反骨精神から生まれたものだから、酒・タバ
コ・ドラッグ、といった「悪い子」アイテムは、ロック・カルチャーの一部と
して許容しなければならないのだ。と、(少なくともわたしは)思っているか
ら。この先世間でどれほど嫌煙の風潮が広まったとしても、タバコを吸うロッ
ク・スターはカッコ悪い、なんてことには絶対にならないのだ(たぶん)。

つまりそうすると、わたしがロック・ファンでいる限りタバコからは逃れられ
ないということになる。わたしが丈夫な喉を持っていれば別に逃れる必要もな
いのだが、「大量の副流煙によって急性扁桃炎になった」という事実は、ロッ
ク・ファンとして非常にトホホな気分である。いっそのこと自分が喫煙者にな
ればそんな気分を味わうこともないだろうか、と考える。

スガイ氏が「ある意味私は、おかしな人間なのだろう」と書いていたが、わた
しにしてもそれは同じ。喫煙者じゃないことで肩身の狭い気がしてしまうなん
て、はっきり言って、おかしいし、どうかしている。

●今週の画像:いかにも、という感じです
http://www.macfrorest.com/dgcr/022.html

【ほりもと・まりみ】mari@macforest.com
ピアスにもドクターストップがかかる軟弱な体質にトホホ。もしタトゥーなん
て入れたら高熱出して死んじゃうかも。ジレンマを抱えながら、今年もFUJI
ROCK FESTIVALに参加。ロックは不健康なイメージがあるけれど、実際は身体
が丈夫じゃないと持たないのよね。

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■展覧会案内
写真の現在2 サイト―場所と光景
http://www.momat.go.jp/
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インターネットの普及など、ありとあらゆる映像にいながらにしてアクセスで
きる状況において、写真が撮られ、また観られる場所(サイト)とは? "サ
イト"をキーワードに、注目すべき写真家たちの近作・新作を紹介。
出品作家は、伊藤義彦、勝又邦彦、金子裕代、小林のりお、鈴木理策、野口里
佳、港 千尋、横澤 典。
会期 ~8月4日(日)10:00~17:00
会場 東京国立近代美術館本館 TEL.03-5777-8600
観覧料 一般630円、高校大学生340円

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■公募案内
2003年極楽ねこカレンダーフォトコンテスト
http://www.maruha-petfood.com/2003cal/
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カラーでもモノクロでも可。人物が入っては不可。締切は7月31日。

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■編集後記(7/26)
・昨日は雨の中、JPCセミナーに行った。「出版業界向け ITソリューションセ
ミナー」で、とくに「雑誌出版業務におけるデジタルワークフロー」「電子出
版の可能性」について興味があった。前者はXMLによる工程管理のシステムで、
なるほど便利と思われたが、アナログ大好き(=他人任せ大好き)の雑誌出版
業務関係者にどれだけ受け入れられるか疑問に感じた。工程管理がきちんとで
きて、進捗状況がはっきりと目に見えると、だれがバカなのか、だれが余剰人
員かわかってしまうだろう。一般的に労組の強い出版社と、地方自治体はよく
似ている。仕事のできないヤツがのうのうとしているところだ。営利会社のこ
とはどうでもいいが、地元の市役所なんかもっと優秀な人材とシステムを揃え
て欲しいものだ。先日も、国民健康保険のことで担当部署に電話したが、本当
にいつかけても話し中なのだ。たぶん3市合併で大幅アップ、いままでの倍以
上の税額になった旧市民もいるから、その対応だと思う。3市合併したら市民
生活のたいていのことは、市民にとってよくない方に統一される(税は高い方
に、福祉は低い方にという具合)、だから反対したのよ。    (柴田)

・住基ネット離脱表明した矢祭町の町長さんって偉いわ。いまの世の中、一般
人にさえ、既にプライバシーなんてないのかもね。/私も国民健康保険の件で
区役所に行かないといけない。年間55万ってオイ。なんであの収入でこの金額
になるのだ。ほとんど使わないのになぁ。今年はのんびりしようとして、あま
り収入がないから、今年払うのはツライわん。事業税も来るらしいしなぁ。ち
とエンジンかけるか。お仕事あったらくださ~い!/今年の夏休みは、自転車
でどこかにいきたい。地図を見ながらニヤニヤ。      (hammer.mule)
http://www.vill.saji.tottori.jp/saji103/starweek/earth.htm  へぇ

・「イラストレーションファイル・デジタル02」シナリオ整形アプリ「太宰」
をプレゼント中。詳細は1132号を。
http://www.dgcr.com/present/
http://www.dgcr.com/present/index2.html

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 

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 担当:濱村和恵
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