[1151] 美術教育について考える

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1151   2002/09/04.Wed.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21363部
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            <CGのせいかもよ>

■MKチャット対談
 美術教育について考える
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■デジクリトーク&プレゼント
 幸せな仕事、幸せな生活
 佐藤好彦



■MKチャット対談
美術教育について考える

笠居トシヒロ&まつむらまきお
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かさい: まいど笠居ですー。最近ちと運動不足で体重も気になりだしたので、
    フィットネスクラブに通いだしましたー(笑)
まきお: おおおおー。タバコやめて太りだしたんやね(笑)。よーやく「おし
    えてFlash」が出ました!のまつむらですー
かさい: 実はそうやねん(^^;) やっぱ太るんやなぁ、タバコやめると…つーか
    口寂しいのでスナック菓子とかを夜中に食っちゃうんだよ(笑)その
    せいやな
まきお: そのせいじゃ(笑)虫歯も気ぃつけよ(^_^;) まぁ、健康的でよいこ
    とですな
かさい: ま、やめたタバコ代くらいで賄えるのでいいかな、と<フィットネス
    (笑)歯は磨いてますよ、てかもうやめたって<スナック菓子(^^;)

●「それで儲かるコンテンツ作れまんのか?」

まきお: さてさて、先週、Macromediaの製品紹介セミナーがあったんだよね?
    ぼくは仕事で行けなかったのだが、どうだった?
かさい: 毎日新聞のオーバルホールであったセミナーね。 Flashリモートと、
    Flashコミュニケーションサーバーの。 僕も仕事の都合で、午後のコ
    ミュニケーションサーバーのセミナーしか聞けなかったんですが
まきお: 後者は例のビデオチャットやビデオストリーミングのサーバだよね。
    前者はなんなの?
かさい: んー、聞いてないから聞きかじりですが、 ColdFusionとFlashの連携
    をするものだそうで
まきお: えーと、それすると、どうなるのじゃ(^_^;)?
かさい: たぶん UltraDevのFlash版みたいな感じかなー、と勝手に理解してる
    んですが(^^;) よーわからん
まきお: ColdFusionもUltraDevもよーわからんのじゃが(^_^;)
かさい: えーと、データベースのインターフェイスを Flashで作るとき、ロー
    カルで動作を確認しながら作れるとか、そういう感じじゃないかなあ
    (自信なし)
まきお: Flashもすっかりわからんことが多くなったのう(; '.')
かさい: だねえ…(^^;)
まきお: comサーバーはどうでした?
かさい: こっちは、まあ予想の範囲内というか、できることを見せてもらった
    だけなのでね
まきお: うむ、身も蓋もないな(^_^;)
かさい: でもまあ、面白かったよ。勝手に見つけて使ってたビデオオブジェク
    トやカメラオブジェクトの仕組みもだいたいわかったし。サーバーア
    プリに付属するコンポーネントで、なーんもスクリプトを書かなくて
    も、ビデオチャットとかも作れるらしい。ホントは、ある程度コンポ
    ーネントの仕組みを理解しないと、コンテンツを目的どおり作るのは
    難しいだろうけどね
まきお: ちゅーか、サーバを用意する時点でかなり敷居が高い気がする(^_^;)
かさい: まあ、レゴブロックみたいに、決められた部品の機能だけ使っても、
    それなりのことはできるみたいだけどね
まきお: ほんまかなー(^_^;)
かさい: わからんけどね(^^;) 問題は、それで何をするか、っていうことじゃ
    ない? はっきり言っちゃうと「それで儲かるコンテンツ作れまんの
    か?」って(^^;)
まきお: なぜFlashでやるのか? あたりだろうねぇ~
かさい: Flashに括らなくても、Webコミュニケーションていう分野は、どう運
    用していくのか不透明だからね
まきお: まぁ、アイデアしだい、やったもん勝ちっすかね(^_^;)。とりあえず
    あたしゃあんまり関係なさそうじゃ
かさい: 逆に「 Flashだったらこんなに○○!!」みたいな売りが作れれば、
    ってとこでしょうねー
まきお: プレイヤーの敷居が低い、ってことでしょ?
かさい: それは大きいと思うよ。最新版の FlashPlayerさえブラウザに入って
    れば、他になにも設備は必要ない
まきお: ルータ越えは問題ないの?
かさい: 利用するポートは、まず空いていないことはないポートだって言って
    たけどね。それがふさがってた場合に、空きポートを探す仕組みも追
    加できるとか
まきお: IPビデオチャットの設定をWinでやってみて挫折したけどな(笑)
かさい: 同じく(笑)
まきお: それが、Flashならカンタン! なら、すごい(^_^;)
かさい: 確かにすごいな(^^;) ほんとに簡単ならいいのだが…(笑)
まきお: 誰か確かめてください(^_^;) で、Macromediaに、なぜサンプルコン
    テンツがないのかな?
かさい: 不特定多数がいっぺんに試したら、トラフィックが大きすぎるからで
    は?(^^;)
まきお: なかなか難しいものじゃな(^_^;)
かさい: ですね、あ、一応ね Flashの製品担当の太田氏と、技術部門の取締役
    の田中氏がおみえになってたので、目安箱のこれまでのリストを渡し
    ておきました~
まきお: 中間報告って形ですね
かさい: そうです~。目安箱の第一次集計は、9月の第2週まで延期しましたの
    で、まだの方は、どんどん投票・書き込みしてくださいね~
    <http://www.flash-jp.com/fmx_bug_hope/>
まきお: こわくないから、ね(^_^;)
かさい: んじゃ、今週はこのへんで~(^^)/~~~
まきお: おわるんか(^_^;)
かさい: あかんか(^^;)
まきお: あかん、最近すっかり近況報告ばっかじゃないか(^_^;)

●何で美術の時間を減らさなきゃいけないの?

かさい: そうか(笑)んでは、なにか主張のある話でもするか。
まきお: うむ、実はこのまえな、中学の美術教師をやっている人と話をしてた
    のだが、今年、来年あたりから、小中学校の美術の時間って、週1時
    間なのなー
かさい: うげげ、ウチの子の学校では、まだ2時間あるみたいだが…来年は1時
    間になるのか?
まきお: たしか今年1年が移行期間で、学校によって違うんだよ
かさい: うーん、ゆとり教育とか言ってたなあ、たしか。情操教育を削るのが
    「ゆとり」なのか?
まきお: 美術が情操教育というのには、あたしゃ反対なのだが、2時間が1時間
    ってことは、半分だよねぇ。理論と実技のある科目を1時間授業じゃ、
    なんもでけへんやろうなぁと
かさい: オレも実は美術を情操教育として捉える考え方には反対なんだが、ま
    あそういってる連中が、たぶん今回の首謀者なんだろーと思ってね
まきお: ビジュアルコミュニケーションというコトの重要性を考えると、逆に
    時間を増やすべきだろうなぁと
かさい: 前にも話をしたことがあるよね。日本人は視覚でのコミュニケーショ
    ンが下手だから
まきお: そそ。情操的に操作されやすい
かさい: 何で美術の時間を減らさなきゃいけないの? 英語を入れるためか?
まきお: 土曜日が休みになって、英語も入ってくるし、情報もあるんだっけ?
    あれは高校だけかな?
かさい: 土曜日休まなきゃいいじゃん(-_-;)
まきお: 賛成(^_^;)まぁ、その休みの土曜日で、必要と思う親は、美術学校に
    通わせなさい、ということなんだろうけど、どうなんだろうねぇ
かさい: 変だよ、そりゃ。学校じゃ面倒見切れないから塾通い推奨~~ってこ
    と? 金も余計にかかるじゃん
まきお: 塾に、というわけではなくて、ご家庭で指導されよ、ということじゃ
    なかろうか
かさい: 親が美術教育できるとは限らんだろうに。もちろん、情操教育として
    美術館につれてって、きれいな絵を見せて、というレベルならともか
    く、絵心のある親御さんでも、理論的な部分での教育はむつかしかろ
    う?
まきお: そういう意味では、小学校の担任にも、難しいよね
かさい: そう、だからもっと時間を増やして、専門の教員を育成して、という
    話ならわかる。が、その反対だとはね…
まきお: 最低限の美術教育を受けていない人間が増えてくると、わたしらもや
    りにくくなるよぉ
かさい: だよなあ…まあ自分の子供の世代と一緒に仕事するほど長生きじゃな
    いとは思うが(^^;) でも、話が通じなくなるのは容易に想像できるね
    それどころか、ビジュアルコミュニケーションができない世代だと、
    コンテンツに視覚要素が必要だということすら否定されるかも…
まきお: どうも、美術というのが産業に貢献している割合というのが評価され
    とらんのかね
かさい: 表面的な飾りくらいにしか思っていないのかもしれないな。なくても
    困らないとか思ってる
まきお: Macromedia製品とか使ってると、ふとそう思うことがある(笑)
かさい: インターフェイスか?(^^;)
まきお: そそ(^_^;)スクリプトで組めるからインターフェイスいらんやん、み
    たいな雰囲気がそこはかとなく(^_^;)
かさい: そういうことが、そこかしこで起きるようになるわけだなぁ…日本の
    将来暗いなあ
まきお: 作り手がいなくなるということは、ないと思うのよ。問題は、作り手
    が正当に評価されなくなるのではないかと
かさい: ユーザーの側の質が低下するってこと?
まきお: ユーザーじゃなくて、クライアント。発注権限者
かさい: あ、作り手を登用する側の質が下がることによって、優れたコンテン
    ツやクリエイターが埋もれてしまうことを危惧するってことね
まきお: 製品自体の質もさがるし、ほら、「好き嫌い」で判断するクライアン
    ト担当者っているでしょ?(^_^;)「わたしは赤が好きだから、赤にし
    てくれ」とか(^_^;)
かさい: いるいる(^^;) 「ぼく、このフォント嫌いなので」とか平気で言って
    くる人居るね
まきお: 心理学とか、マーケティングに裏打ちされた知識で選んでるのに、好
    き嫌いでモノを言われて、それが権限もってたりすると、デザイン作
    業自体が成立しないわけよね(^_^;) 美術、図工ってのが、物作りの
    基礎であり、情報伝達の技術ということがわからない人が増えてくる
    のは嫌だなぁ
かさい: いまだって、そういう人は多いよ。まだ、営業やマーケティング担当
    の人で、そういった知識がない人なら説明すればわかってくれること
    もある。でも自身が代理店の制作部門とかに所属するクリエイターだ
    って人が「好き嫌い」を口にすると、「やめてまえ!」って思うね
まきお: 思うだけか.....あたしゃ口にだすけど(^_^;)
かさい: 大人ですから(笑)
まきお: 大人だから、言わないと(笑)
かさい: あまり突っ込まないように(笑)

●美術嫌いがふえるかも

まきお: (笑)それと、情操教育としての面だけど、図工、美術の時間がある
    ことで救われている子供も多いと思うんだよね。それも心配。しゃべ
    るのがヘタでも、美術なら表現できる、とかあるしね
かさい: そうだね、音楽はどうなるの?
まきお: 音楽も減るんじゃないかしら。音楽ってどうなの?前から疑問だった
    んだけど
かさい: どうなの、とは? 必要なのか? ってこと?
まきお: うん。なんていうのかな、美術と逆でしょう? 演奏技術に重きを置
    いて、創作にはあまり時間を割いてないよね。ぼくらの時代の話ね
かさい: たしかにそうかもね。ただまあ、筆記具を持てれば、何らかの形を描
    ける美術とは違って、楽器を使いこなせないと表現ができないから、
    そのごくごく基礎の足しにでもなれば、ってことなのかなぁ…よくわ
    からないですけど
まきお: あ、美術はあれだ、写真が発明されたから....描く技術はいらないと
    誤解しちゃったんだね....
かさい: 写真の発明って、百年以上前の話じゃない。ひょっとしたらコンピュ
    ータ、CGのせいかもよ。誤解したのは同じだと思うけどね
まきお: いやいや、情操教育にながれちゃったって話っすよ。CGなー(^_^;)コ
    ンピュータが使えれば絵が描けなくても大丈夫ってわけか(^_^;)
かさい: あ、そっちのほうね。うん、CG、ウチの子の学校でもPCを使った授業
    とかあってね、名刺作って持って帰ったりするんだよな
まきお: やめれー(^_^;)
かさい: ここで、似たようなことするから、美術は時間半分でいいだろう、な
    んて思ってるかもしれないな
まきお: コンピュータの授業なんてね、年に3時間もあれば十分よ
かさい: まあ、時間はともかくね、PCを使うことが「学科」のひとつになるな
    んてバカげた話だとは思う
まきお: ほんと。3時間ってのはね、交通安全教室って、それくらいじゃない?
    自動車の運転や、交通ルールは社会で生きていくのに必須だけど、
    そんだけなんだよね。PCだって、そんなもんでしょう?
かさい: PC使う技術は、交通ルールよりは必要度低いと思う(笑)が、まあそ
    ういうことだな。ていうか、それこそ専門学校や塾に任せりゃいいじ
    ゃん、と思う
まきお: だいたい、小学校で図工を担任が見るってのが無理があるよねぇ
かさい: だね、やっぱり専門的な知識がある程度必要だと思うよ
まきお: そもそも、笠居さんが美大に進んだきっかけは?
かさい: 僕は担任が美大出の先生だったり、転校先の学校に美術専門の先生が
    居たりで、教えてもらえる環境に恵まれてたのが大きかったと思う
まきお: やぱそうだねぇ、先生だねぇ。ぼくも小学校の時に絵がヘタというか
    なんか暗い絵を描いたので(^_^;)担任が「絵を習わせなさい」って言
    ってね。で、習いに行った児童画教室の先生が、今井祝雄って、現代
    美術の人で、教室に変なオブジェがゴロゴロしててさ(笑)「ああ、
    大人でもこーゆーことしてて、いいんだ」と(笑)
かさい: (笑)
まきお: 反面、小中学校の図工の時間ってのは、あんまり面白かった記憶はな
    いなー
かさい: えーと、こういう話をするとね、「クリエイターになるために」みた
    いに捉えられがちなんで、ちょっと補正するけど、けしてそういう話
    じゃないですよ。一般的な素養として、視覚要素を正確に把握したり
    伝達手段の一つとして認識したり、ということが必要だ、だから美術
    の授業も疎かにしてもらっちゃ困るよ、ということで、そのために、
    いい先生が居たらいいねーって話に、いまなってるわけね(笑)
まきお: 難しいんだけどね、伝達する技術や読みとる技術ってことを知識とし
    てやるだけなら、週1時間で成立すると思うの。でも、それじゃあ、
    手を動かしている時間がないんだよね。逆に、自分が子供だったとき
    のコトを考えると、リクツじゃなくて、手を動かすだけだったでしょ
    う?
かさい: そそ、無意識のうちにやってるのだよね。で、上手く描けると嬉しい
    し楽しい
まきお: 週1時間になると、ますます中途半端、つまり、美術嫌いとかね、作
    ることが嫌いって子供が増えると、やだなぁと
かさい: もともとあまり好きじゃない子は、もっと好きじゃなくなるだろうし
    ね。好きだった子も興味をそがれたら可哀想だな
まきお: 美術教室開こうかな.....(^_^;)
かさい: 英語がしゃべれるようになっても、美術教育のような文化的要素を養
    うことを疎かにした人間は、諸外国で尊敬されるのかなあ…? とい
    うことを考えると、やっぱり日本の将来が心配ですよ、おっちゃんは
まきお: それは現代日本のまんまですね(^_^;)あと、美術ってさぁ、正解がい
    くつもあるでしょう?つまり、理科や算数、国語の表現なんかと比べ
    て、ってことね
かさい: ベスト、ってものがいくつもあるってことね
まきお: そうそう。そういう学科の役割って、多様性を認める、という基本的
    な考えを育むことにつながると思うんだよね。それが減るのは残念で
    あーる。そういう、根本の部分ね、たとえば社会の時間でいろいろな
    職業で「フリーターでロックやってる人」とかが出てくればね(^_^;)
かさい: わはははははは
まきお: そういう考え方が基本にあって、学科や授業が組み立てられて、はじ
    めて、ゆとりのある教育なんじゃないっすかね
かさい: もちろん、ある程度例外的な事象は省いていかないと、組み立てられ
    ないとは思うんだよね。でも誰のために? って部分をもう一度見直
    す必要があるんじゃないかな
まきお: 未来の納税者の為に(笑)
かさい: 確かにそうだがなー(苦笑)

【笠居 トシヒロ/WEB&グラフィックデザイナー】
フィットネスクラブで測定してもらった結果、体型は「理想的」の範囲に入っ
てたのだ。でも体重と体脂肪は減らさないといけないらしい…。よーわからん
(^^;) が、まあ色々マシンもあって、けっこう楽しそうなのでよかったよか
った(笑)
<http://www.mad-c.com/>

【まつむら まきお/まんが、イラスト、アニメーション作家】
Flashにせよ、デジタルにせよ、なんだか閉塞感の今日この頃。夏の終わりだ
からかしら。そして今日も食玩を買いにコンビニへ(笑)
<http://www.makion.net/>

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■デジクリトーク&プレゼント
幸せな仕事、幸せな生活

佐藤好彦
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一日のうちで、仕事に費やされる時間はかなり長い。8時間としても3分の1に
もなる。仕事が楽しくなければ、生活の3分の1は楽しくないことになる。仕事
を楽しむことができれば、人生はもっと楽しくなる。

ウェブ制作に関わっている人の多くは、はじめはこの仕事が好きだったはずだ。
しかし、仕事を続けていくうちに「好き」でばかりはいられなくなる。無理な
納期に苦しめられたり、理不尽な直しにコブシを握り締めたり。好きだったは
ずの仕事を、好きでいられなくなるのは悲しいことだ。

「仕事としてのウェブ制作」というのは、単にウェブサイトを制作するだけで
よいのだろうか。どんな困難もサラッと受け流して、黙々と仕事を続け、期日
までに仕上げれば「仕事人」なのだろうか。

仕事は生活の一部なのだから、もっとスムーズに、制作に関わる人たちがみな
楽しく仕事をして、結果的にクオリティの高いサイトを作ることができたらい
いのに。ウェブ制作の仕事をする時は、いつもそう思う。そもそも、ウェブと
いうのは、ユーザーと30センチくらいの距離で接するメディアなのだ。 友人
とだって、こんなに近くで話すことは、まずない。この距離感を活かすためは、
メンタルな要素が重要なのだ。

ウェブ制作に関わるスタッフは、人数は少なくてもキャラクターは多様だ。デ
ザイナー、プログラマー、ディレクター、ライター、営業マンなど、それぞれ
経歴も目指しているものも、かなり異なる。こうしたメンバーで共同作業を行
うためには、ある程度共通の知識や認識を持ち、お互いの立場や仕事内容を理
解することが必要になる。技術的な知識とワークフローの理解が重要だ。

技術的な知識のない人をプロとは呼べないし、ワークフローを知らなければビ
ジネスマン・ビジネスウーマンではない。ディレクターは、デザイナーの作業
を理解して企画を立てる。ビジュアル素材を手配する。デザイナーは、プログ
ラマーの作業を理解してデザインする。制作に関わる一人ひとりが、作業を受
け渡す相手の立場をもう少しだけ考えることができれば、仕事はもっとスムー
ズに進み、楽しめるようになるはずだ。

しかし現実は、理想どおりに進まないこともある。どんなに注意しても、予想
外の困難やトラブルが発生する。とりあえずは、我慢することも必要だ。しか
し、我慢しているばかりでは進歩はない。愚痴っていてもつらいばかりだ。ト
ラブルが起きたら、理由を考える。次は同じトラブルが起きないように対策を
練る。当たり前のことのようで、なかなか難しい。これを繰り返し続けること
で、ワークフローは次第に整理されていく。自分のワークフロー、自社のワー
クフローが出来上がり、クリエイターとしての信頼を得られるようになる。そ
して、ひとつの仕事を進めるうちに、少なくともひとつくらいは、自分が成長
できるようになる。

一日のうちの3分の1以上を占める仕事時間は、たとえクライアントから受注し
た仕事をしていても、クライアントの時間でも会社の時間でもなく、やはり自
分自身のものだ。この時間を、できるかぎり幸せに有意義に過ごしたい。


・著書『ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術』は、こんな考え方がベ
ースになっています。ユーザーから愛される、クライアントから信頼される、
そしてスタッフが笑顔でいられるウェブサイト制作の実現のために、ワークフ
ローを理解し、また従来のワークフローを見直してみませんか。

『ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術』
 著者:佐藤好彦
 発行:技術評論社
 価格:2680円+消費税

【さとう・よしひこ】sato@yoshihiko.com
基本的にウェブデザイナー。東京造形大学非常勤講師。著書に、上記の他
『Dreamweaver Fireworks Flash プロフェッショナルスタイル』。
最近、BNN新社 (になったのですね!)より増刷されました。
http://yoshihiko.com

●この「ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術」を、技術評論社さまよ
り3名様にプレゼント。ご希望の方は、プレゼントお知らせコーナーから応募
してください。締め切りは、9月24日14時。発送をもって発表に代えさせてい
ただきます。
http://www.dgcr.com/present/index2.html

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■編集後記(9/4)
・新メルマガ「写真を楽しむ生活」は今日で6号目。いやはや制作に時間がか
かる。午後までひきずってしまうことも度々。やはり日刊を2つも同時制作な
んて無謀かなあ。デジクリはある種の情報整理法があって、いくつかを組み合
わせていっちょうあがりッテところがある。しかし写楽生のほうは、引き出し
を作ったものの、未整理情報を投げ込んだままだから、チャッチャッと仕上げ
ることができない。ひまな時間に整理すればいいのだが、日が傾いてビールが
出ちゃうともうどうでもいいやッテことになる。軌道に乗るまではあまり休み
も取れないが(それはデスクも同じことで、スマン)自分が選んだ方向だから
仕方ない。今日は東京都写真美術館へ。写真展を見るのもお仕事。 (柴田)

・今日のプレゼントは、私が読んでいていいなぁと思った本。どうしても紹介
&読者プレゼントしたくて、ダメもとで頼んだら、快くOKしてくれはりました。
めっちゃ嬉しい! バリバリやってはる方には関係ないと思われがちなんだけ
ど、丁寧かつ簡潔に考え方や方法が提示されていて、すっと頭の中に入り、自
分の反省点や立ち位置なんかを確認できる良書。もちろん技術面も網羅。特に
初心者の方や、クライアントと交渉する立場の人、企業のWebマスターさんた
ちには読んでもらいたいなぁ。と書きつつ、個人的にこの本で一番好きなのは
コラムと表紙の言葉。「エゴのない表現なんて」「人間の細胞は8年程度です
べて入れ替わるらしい。8年間会ってない友人と再会したとき、友人は『かつ
て見たことのない細胞の集合体』ということになる(後略)」(hammer.mule)
http://nd.nikkeibp.co.jp/nd/01/ws00.html  日経デザインセミナー
http://www.sanspo.com/soccer/top/st200209/st2002090403.html うそやろ~

・新メルマガ「写真を楽しむ生活」もよろしく。 http://dgcr.com/photo/
・「Web Site Design」vol.5をプレゼント。詳細は1145号。
・「ウェブサイト制作のワークフローと基礎技術」も。詳細は1151号(当号)。

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 

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 担当:濱村和恵
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