[1177] Keep on Rockin'! 邪都戦士(バビロンロッカー)は叫ぶ

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1177    2002/10/15.Tue発行
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          <今までの数十年こそがバーチャル>

■デジタルサウンズ研究室
 Keep on Rockin'! 邪都戦士(バビロンロッカー)は叫ぶ
 モモヨ

■web bau -蜘蛛の糸から理念を紡ぐ-06
 カリスマが消えたとき(3)
 UZ



■デジタルサウンズ研究室
Keep on Rockin'! 邪都戦士(バビロンロッカー)は叫ぶ

モモヨ
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昭和半ばに幼年を過ごした者にとって、特に東京下町に生まれた私にとって、
原っぱや公園には刺激があふれていた。あちこちに土管や電線などの電設資材
が放置してあり、遊びの道具、その材料には事欠かなかったし、とにかく、公
園に行きさえすれば友達がいて、紙芝居だとか粘土の型を売るおじさん達が待
っている。

公園のそばには、かならず何軒かの駄菓子屋があり、どういうわけか、こうし
た店は老人夫婦や老寡婦が営んでいた。紙芝居や粘土などのイベント系がない
時は、こうした駄菓子で買い食いをし、銀玉鉄砲の弾丸を補充してバトルをし
たり、メンコやベーゴマなどで遊び呆けることになる。また、近くにはメンコ
や怪獣カードの老舗、ヤマカツという会社があり、運がよければナショナルキ
ッドなどヒーローのメンコがごっそり手に入ったりもした。

むろん、ツールを使わない遊びもある。S(あるいはエスケン)といわれる片
足での戦闘ごっこ、さらには、ダイツブシがその代表だ。ダイツブシは、うま
とび類似の競技(?)だが、内容は異なる。例えば、跳び乗る際に折り曲げた
膝から落下、相手の背骨に大きなダメージを与えるインディアン跳びという禁
じ手があることに鑑みても、かなり暴力的な遊びなのだ。

暴力的ということでは、十センチ以上もある石やコンクリートの固まりを互い
の陣地に投擲する戦争ごっこもやった。こうした弾丸が頭を直撃すれば命に関
わるような凶暴な遊びであるが、どういうわけか、それで大怪我をしたという
話はなかった。路上や公園で、夜のとばりがおりるまで遊び呆けるのが当時の
ハナタラシだった。

夕暮れ時になると、夕餉のしたくをする家々の台所から包丁の音が聞こえ、家
々のラジオからは少年探偵団の歌が聞こえてきた。

ボ、ボ、ボクラハショウネンタンテイダン……。それは真空管特有の歪んだ音
で夕焼け空に響きわたった。早くからテレビを購入していたためだろうか、住
み込みの若い衆が幾人もいる環境ながら、我が家にはラジオを聴く習慣がなか
った。夕暮れ時にあちらこちらから聞こえ来るこの歌だけが、幼年期から少年
期へかけての、私のラジオの思い出なのである。

毎日のように、私は、そのオーバードライブがかかった音に急かれて家路をた
どった。たそがれ時、しだいに濃さを増す宵闇に不安感が増していく。闇の恐
怖に追われて裏通りを駆ける私にとって、いつか、歌はある種の感情に結びつ
いていた。

ご存知のように、少年探偵団というのは、言うまでもなく江戸川乱歩のジュブ
ナイル小説『怪人二十面相』に登場する明智小五郎をサポートする少年チーム
の活躍を描いたものだ。明智小五郎に対する怪人二十面相。この二人の対決に
無理やりのようにして割り込む小林少年率いる少年探偵団。そこには、いろん
なストーリーがあるのだろうが、私の頭に残っているのは、SDバッチといわれ
る彼らのメタルバッチと例の歌だけだったりする。団員は、二十面相の手下に
さらわれたりすると、このバッチを落として道しるべや目印にする。

二十面相ものでは、アドバルーン、ピエロ、曲芸師、見世物小屋、サーカス、
ひとさらい、洋館、昭和初年のビルディング、浅草六区の劇場などの、おなじ
みの不吉な象徴が繰り返し輻輳され、ドラマは一層緊張感を高めてゆく。

……実は、後年、乱歩の仕事を通読した時、こうしたイメージが、実は、青年
誌向け由来のものが大半だったことに気付いた。実際、ジュブナイルとして書
かれたものはモダンで、こうした奇矯な猟奇趣味とは無縁だった。しかし、ど
うしたわけか少年探偵団のメロディはこうした種々雑多な恐怖と結びつき家路
を急ぐ少年を急きたてたのである。ユウキリンリンというところをわざわざ大
声で歌ってみたものの、恐怖はいや増すばかりだった。

当時の私の恐怖は、以下のようなものだ。つまり……ひとさらいが来るぞ! 
サーカスに売られるぞ! という大人たちの無責任な放言の影響か、誘拐され
れば直ちに二束三文でサーカスに売られ、そこで鞭打たれつつ曲芸を覚えこま
され、酢を水代わりにのんで、体のあちこちに、例えば纏足やアフリカの首長
族の首輪のようなものをつけられて身体を改造されたあげく、浅草寺境内裏手
に並ぶ薄暗い見世物小屋の土間で蛇女やいろんなホルマリン漬けのモンスター
に混じってさらし者にされる……本気でそう信じていたわけだ。そして、その
恐怖、不安感は、暮れ方近くに家庭の団欒からもれ聞こえるラジオドラマの主
題歌に直結していたのだった。

このような心象や記憶の錯簡と混乱は、私の住む場所が、浅草や上野、団子坂
や護国寺に近い、ということが影響していたのかもしれない。2・26が起きた
同じ年、猟奇流行の頂点で有名なペニス切断殺人事件が起きた色町は、我が家
から徒歩十分程度の場所にある。

こうした住環境が私に大きな影響を与えたことは想像に難くない。通常、こう
した恐怖や妄想は、歳を重ねるに連れ、幼稚な妄想として忘られていくもので
ある。そして、私たちは、いつか、それを記憶のすみに置き去りにして、日常
生活にかまける、つまり安心するのである。他方でこれは「大人になる」こと
だと言われる。

こうした猟奇に対する禁忌、それに由来する戦慄と魅惑、その源泉には、社会
世相史の上で昭和初年のエロ・グロ・ナンセンスや雑誌『新青年』、パージさ
れてレコード会社に転身を図った雑誌『キング』、こうしたものの残滓がある、
などという考察をもてあそび、あるいはマヴォ、ダダなどの芸術運動に知らな
いうちに影響を受けていた……こうした意味付けや屁理屈を青年期に至って発
見する頃、私は、すっかり安心していた。大人になっていたのである。

子供の空想以上に、世界は安定しているものだ。私は、大半の大人たちと同じ
ように、そう考え、安心していたのだ。……つい最近までは、である。現実は、
いつでも残酷だ。坂本弁護士の一家拉致事件に始まる一連のオウム真理教事件
の衝撃は、それを思い知らせるに十分だったし、今回の北朝鮮の拉致に至って
は、青年期から今までの数十年こそがバーチャルであったことを証して見せた
のだ。

こうした現実に対する心構えを再構築する必要を感じているのは、私だけでは
ないだろう。私たちの心性と言語構造が実体にそぐわないものになっている。
物理学や経済理論を例に出すまでもなく、二十世紀の理屈は破綻したのである。
それをあちこちツギハギしてナントカ息をつないでいるヒョウタンツギ、それ
が現状だ。

新しい世界観を確立するにあたって、往時の銀玉鉄砲よろしく頼りにしている
のは、私の場合、ロック、そのビートの力だ。皆さんにはデザインや写真とい
う媒体そしてツールがあろう。私たちには同じバトルフィールドがある。イン
ターネット、バーチャルと呼ばれている空間だ。そこに鍵があるかもしれない。
なにしろ、リアルな世界のいたる土地に悪霊が影を落としているのだから……。

しんどいけれど、今一度、悪霊たちを物語の世界に封印しなければならない。

まだまだチャンスはあるはずだ。

邪都戦士モモヨ(リザード)
http://www.babylonic.com/

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■web bau -蜘蛛の糸から理念を紡ぐ-06
カリスマが消えたとき(3)

UZ
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職務をこなすということと、役割をこなすということには、違いがあると思う。
職務というのは、組織上必要な仕事のことだ。ある人が職務の達成を欠くと、
他の仕事が回らなくなるといったようなもの。引き換え、役割というのは、必
要性を自覚し、また周囲にも必要と認識されている、行動のことと言えるので
は。発言のひとつ、振る舞いのひとつに、その人が負っている役割の意味は織
り込まれる。役割とは、集団の中でどう振舞うかという、周囲とのバランスの
ためのキーワードだと思う。

役割だなんて、そんなつまんないことを。そう考えるクリエイターもいるかも
しれない。結局自分でできる範囲を制限してしまっているだけじゃないか、と
か。しかし、役割を持たされるということは、一人では実現し得ないような、
もっと大きな可能性を本気で信じる、熱きクリエイター魂を持つ人にとって、
意外と重要なのではないかと思う。

●箱に入ることとは

すこしセンチな、学生の頃の思い出話。

学生最後の年、自分が入っていたビッグバンドでは、最上級生が4名残ってい
た。文化系でありながら体育会的階層を持つ我がバンドでは、各パートのリー
ダーは当然、最上級生。かつ、誰かがコンサートマスターを兼任しなければな
らない。当然、自分も演奏しながら。4名とも、ほとんどバンドのために学生
生活を費やしてきたとはいえ、爆発的に上手いわけでもなく、また楽器初心者
の後輩を多く抱えて、不安がMAXな状態だった。

しかし、4人全員、決めて誓った役割に対しては、なんとかさじを投げずに最
後まで行くことができた。自分がやるべきという強い衝動を感じていたのだ。
生まれてこのかた班長さえやったことがない人であっても。

自分は、同期の「一人でやるわけじゃないから」という言葉に動かされて、コ
ンサートマスターになった。ある部分では自分でジャッジをし、自分のパート
を構成、各パートは同期のリーダー達に一任しつつ課題や主張に耳を傾け、全
体としてのゆがみを調整しサウンドの特長を作る、というのがコンサートマス
ターの役割だった。

自信のなさから、指示のつもりが卑屈な愚痴になってしまい「被害妄想だ」と
言われたこともあった。体育会ばりばり、ちょっと恥ずかしい気合の掛け声に
バンド全体を付き合わせようとして、ひとり虚しく控え室に取り残されたりも
した。合宿でほぼ全員が体力の限界を迎え、その後のステージはがちがちにな
ってしまった我がバンドの演奏をバックに、自分はソロをとちりながらも、満
足感に浸っていたのだから、いい気なコンマスだ。

しかし、自分も同期の3人も、自分の練習時間が減る中で、プレイヤーとして
の理想とパートリーダーとしての現実に葛藤しながら、後輩を背負った。1年
が終わった時、決めた役割を果たせなかったとは、誰も嘆かずにすんだ。

初めてで最後、という試みが、ひとつずつ過ぎていく。学生時代とはそういう
刹那の中で特有のパワーを持っているものだろう。しかし今でもその時の気持
ちや行動を応用することができる場面というのは、たくさんある。

特に、役割を決め、信じ、行動していくという一連の過程は、すべて憧れとい
う原動力があったからこそ、できたことだったのだと思える。

ステージのセンターマイクでソロを取る自分、トゥッティ(管楽器全員が、同
様のフレーズを吹く部分)の「ぶわっ」と観客の顔へ音圧を吹きかける、あの
感じ。グルーブ感、スウィング感。それを絶対に実現させたいと誓っていたか
らこそ、コンサートマスターなりパートリーダーの役割を負ったのだと思う。
実際、「ぶわっ」は、私が最初に見たステージで感じた印象だった。印象を再
現できるかどうかで、自分の成長を試したかったのだ。

最初からぴったりしている箱はない。入ってみることで、居心地の悪さを感じ
ながらも、箱と自分の間に緩衝材が生まれて、安定を作っていく。合うように
なるのかどうかは、飛び込んでみないとわからない。だとしたら、飛び込みた
いと思うかどうかが最も重要なことだと思うのだ。

多分、緩衝材は、役割を自覚した瞬間から、作られ始めるのだと思う。全体が
ぴったりと収まるために、自分は何をすればいいのか。役割を自覚しなければ、
自分個人を追及しているだけになってしまう。

また、役割の自覚の過程において、純粋でない動機は、原動力の妨げになる。
社長を、部長を、課長をやれ。こう言われて、誰のためにやるんだろう、とか、
自信がないのに引き受けたんだからここまでで許されるだろう、とか、理由を
作っている自分のスタンスが長く続きそうなら、引き受けないのが得策だ。役
割を与えられること、引き受けることは、自分を表現できる楽器を手にした、
ということだと、自分なら言い切りたいのだ。はたから見れば、プロでもアマ
でも一人のプレイヤーなのだから。

●「うまくいく仕事」の根っこ

ある仕事の話が来た時。プロデューサーには、瞬時に判断しなければならない
ことが、少なくとも4つは、あると思う。

1) 仕事にかかるプロセス
2) 仕事の利益損益
3) 関わる人のモチベーションの持っていき方
4) 自分にとっての意義付け(最悪の場合/最高の場合)

1) は、できるできないの判断を下す最も重要な材料だ。全体工数は当然のこ
と、同時に判断しなければならないのは、計画どおりに行かなかった場合に無
理が利く状態にあるかどうか、なのではないかと思う。

現在の人的リソースがめいっぱいな状態だった場合にさえ、クライアントにメ
リットを感じさせることができるプロダクトを、作り上げることができるかど
うか。リソースとはもちろん、各個人の技量やモチベーションまでを見越した
作業人員である。ここでは、アサイン候補となる人的リソースの全員について、
深く知っていることが要求される。それが、強い仕事体制を作り出すと思う。

2) アサインされた人、チーム、会社にとって、将来的に役に立つのか。
判断基準は、会社方針。外れなければよし、外れるなら、発展性を会社に対し
て説得または牽引できる仕事かどうかだろう。

自分がすべて判断する立場、たとえばフリーのような人だったとしても、方針
の策定は必要だと思う。でないと何ができて何がやりたいのか見当がつかず、
将来的にもただの御用聞きになってしまうかもしれない。状況的にえり好みが
許さないなら、せめて自分達の中で、将来の方向に繋がる脈絡だけでも持って
いたい。

3) 素養を持っているメンバーたちをどのように持っていけば、ベストなプロ
ダクトが完成するのかを考える。

具体的だが即物的でない方法でないと、効果がないように思う。ボーナスアッ
プではダメなのだ。だって給料が安くたって、働く人はいくらでも働くし。
緩急のあるスケジュール組みや、プロダクトができることの意味、組織が機能
的に回ることの楽しさや連帯感を、どう伝えるか。体験していないとわからな
いことも多いから、各人の体験を織り交ぜてメンバーを組むのがよいのではな
いだろうか。

4) 最高の場合とは、「どーだぁ!オレを見ろ!」的ポイントを見つけておく
ということ。

強気でメリットを打ち出せば、その他の部分で多少ミスをしようとも、気にさ
れなくて済む。但し、客観的に自分のレベルを判断できず、メンバーから足元
すくわれまくりな人物というのも、たまにいる。プロデューサーが普段、気に
していなければならないのは、自分自身への相対評価が行なえているかという
ことかもしれない。

最悪の場合とは、すべてが失敗して「オマエの責任だ」と言われたとき、自分
自身にどう折り合いをつけるのか。ここが、プロデューサーとしての覚悟だ。
ステージに立つバンドまるごとを、どんなに練習が足りなくて欠点だらけだと
しても、かっこいいバンドだと思えるかどうかだ。自分がかっこいいと思えな
ければ、人が自分に憧れを抱くはずがなく、クライアントが価値を見出してく
れるはずもない。

言い訳の用意ではなく、最終的な自信、誇りをどこに持つか、ということだと
思う。「みんなでできればそれでいい」もあり、「1位じゃなけりゃ振り出し
へ」もあり。

●役割があり、人がいて、行動あるのみ

覚悟さえあれば、その人は必ず、リーダーになれると、自分は思っている。引
率者が絶対に必要な局面では、適任がいなくても誰かがその役割をこなさなけ
ればならなくなる。ヘビーな覚悟をして立ち向かっていく人々の背中を見てい
て、覚悟にもいろいろ種類があるのだと思った。

まず、自分が周囲に影響を与える存在であることを、自覚している人は強い。
ステージ映えするのだ。佇まいが違って来るのだ。音は視覚によって聞こえ方
の印象が全く違うそうだ。ビジュアルから与えられる影響や印象、言葉、コミ
ュニケーションなどは、目に見えるモノを作ることにおいても、付加的要素と
して重要だと思う。

それから、自分の個性を自覚している人の覚悟は、潔い。弱みは見せても見せ
なくても、それは上に立つ者としてのやり方だと思うが、自分がこういう人間
だということを自分で語れる人は、当然周囲に自分を理解してもらえるのが早
く、メンバーと心を通わせることが早くできるようになるようだ。それが仕事
を通して行なえる環境なのだから、利用するべきなのだろう。

そして、上に立って上手くいく人は、概してよくしゃべる。しゃべりだしたら
止まらない人もいるのだろうが、伝える努力を怠っていないのもあるだろう。
人を理解したいと思うならば、自分をアピールすることが必要らしい。災いを
恐れて誰も口を開かない、という状態は、まずリーダーになる人物が覚悟を決
めて、崩さなければ。そこに覚悟のほどが現れるのだろう。

役割の決め打ちがないと、この部分は非常にやりづらかったりする。司会進行、
書記、コメンテーター。無理矢理、宣言してしまえばいいのかもしれない。自
分は口下手なので、苦労や後悔が多い。上に立つ場合には、覚悟が必要だと常
々思う。

サックスプレイヤーのジョン・コルトレーンは、1日8時間の練習を何年も繰り
返したというが、そのすべての時間、とてつもなく頭を使っていたはずだ。多
角的なアプローチを探求し、それ現在までにモノにした持ち駒のすべてにおい
て応用できるように鍛えていく。彼にとって、自在な表現への最短距離が1日8
時間の練習だったのだろう。彼は、自分の理想のために何をやればいいかを常
に考え、崩し、再構築していたのだろう。

必要に応じたカリスマがいてもいいと思う。おそらくは、カリスマの自負など
なく、ただひたすら努力と追求を積み重ねることでいつかカリスマと呼ばれる
ものなのだろうけど。

最初からカリスマだった人物はいない。バッハだってモーツァルトだって、鍵
盤を操れるまでは練習したはずだし、円周率を300桁まで言える幼稚園児だっ
て、暗記パンを食べたわけではあるまい。誰だって、できないと思い込んでい
れば、できない。逆も試す価値あり。

カリスマの役割を誰かに期待しているなら、どんな役割が必要なのかをわかっ
ているのなら。待ち望む時間を、小さくても狭くても、その役割に向かって行
動する時間に、置き換えるべきなんじゃないだろうか。

【uz】
某コンピューターパッケージベンダー勤務を経て、現在はWeb系ライター、Web
サイト構築業務に携わる。
「映画を研究する人々のためのサイト Urban Cinema Squad」
http://www.u-c-s.org/ もよろしく。

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■編集後記(10/15)
・じつに天気のいい3連休(一部の人の)だったが、まるまる半分は町内の運
動会に費やしてしまった。ちっぽけな公園で行われるこの大運動会は、すべて
の競技に賞品がでることから、けっこう人気イベントなのだ。20年くらい前、
わが子供たちもずいぶん大量のお菓子や家庭用品を持ち帰ったものだ。わたし
の担当は総合進行係。放送で運動会全体をコントロールしていく重要なお役目
で、昨年に引き続き担当した。今回の危機は11チーム参加の綱引きの対戦組み
合わせが安易だったため、準決勝前後から矛盾が出て、審判もわけわからなく
なって一時立ち往生したとき。たしかにおかしな対戦表だった。だが、表の解
釈次第で整合性があることに気がつき、審判を説得して、放送で強引に進行し
てしまった。文句も出なかったようだし、あれでよかったのだが、反省会で話
題にもならなかったのは不思議だ。数分間アタマをフル回転させて事態を収拾
した功績はどこに? まあええけど。来年もやるのかなあ。    (柴田)

・知人と電話で話していた。派遣で仕事に行き、慣れないアプリケーションを
使うように言われたので、帰宅時に書店へ寄り、そのアプリ解説本を買ったそ
うだ。それを知った派遣先の担当者が、そこまでする人はいないと驚いた、と
教えてもらって私は驚いた。「そんなん当たり前やん!」「いや、いないらし
い」「そりゃそのアプリのプロ中のプロならいいけどさ」「どうせやるんだか
ら勉強もしたいし」「うんうん」「効率悪いまま仕事したくないし」「うんう
ん」「できない自分が悔しいし」「うんうん、だよねぇ」という会話が続く。
陰で練習しているかもしれないけど、たいていの人は渡されたものを、言われ
た通りにするだけらしい。彼女は渡されたものを見て、ここはおかしい、これ
はこのまま指示通りにしたらダメだと思うけどなぁ、と現場の人間に話すが、
聞き入れてもらえない。で、シール貼りをさせられたりする。(わかりますか)
派遣の担当者に言わせると、ある程度できる人で企業もOKだし、彼女レベルだ
と十分。派遣でも習得期間を設けてくれる先はあるらしい。それだけ人材がい
ないってことなんだろう。で、結局彼女は「向いてない。登録したばっかりだ
けど、正社員で探すわ」と言った。性別、年齢、既婚という難しい条件が並ぶ
し、不景気だけど、すぐに見つかるんじゃないかな。    (hammer.mule)
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http://komasa.net/sign/  署名コレクション

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