[1181] ローラーブレードカムで取材

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1181    2002/10/21.Mon発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 21489部
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       <世界で一番速いジャーナリストになるのかも>

■KNNエンパワーメントコラム
 ローラーブレードカムで取材
 神田敏晶

■HipWeb! [volume.03]
 ウェブだけではないユーザビリティをWebに
 Jules Yoshiyuki Tajima

■セミナー情報
 次世代ストリーミングプラットフォーム Windows Media 9の全貌!!



■KNNエンパワーメントコラム
ローラーブレードカムで取材

神田敏晶
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KNN神田です。

先週は、WPC EXPO 2002にて、おそらくビデオジャーナリストでは、おそらく
世界初(?)のローラーブレード(インラインスケート)による移動取材をお
こなってきました。ステディカムでも不可能な高速平行移動撮影をいとも簡単
に実現することができました。

実際の映像は、以下のWPC EXPO 2002「いつでもどこでも!簡単にプリントア
ウトできちゃう」をご欄ください。
http://www.impress.tv/im/article/knn.htm

ローラーブレード歴は結構古く、1991年になりますので、かれこれ10年以上に
なります(当時はインラインスケートという言葉はありませんでした)。ロー
ラースケートをあわせると小学校の頃からやっているので相当なものでしょう。
小さな頃の夢は「ローラーゲーム」の「東京ボンバーズ」に入ることでもあり
ました。ミッキー角田と佐々木ヨーコのファンでした。

1991年に、ニューヨークのオノヨーコさん宅のダコタハウスを突撃訪問で訪ね
て門前払いされた時に、目の前をさっそうと、一枚のプレート上のローラース
ケートが通りすぎました。ローラースケートというよりも、むしろアイススケ
ートに近いフィーリングで滑っていく外人(この時はボクが外人ですが…)に
思わず声をかけると、セントラルパークで貸してくれるよといわれ、急いでセ
ントラルパークで目にした光景は、新しいローラースケートでさっそうとすべ
る人たちの群れでした。

さっそく、レンタルに挑戦しますが、結構むずかしい、ローラースケートより
もむしろアイススケートに近いのです。1台購入して、日本での輸入業をした
いとアメリカの代理店を通じて、ローラーブレード社に問い合わせると、すで
にライセンスをすることが日本で決定していると断られました。

それからしばらくして、1995年あたりからインラインスケートブームがやって
きます。そして、今はブームが去ってしまって、スポーツ店では投げ売り状態
になっています。heeleysなどを販売する店が増えていますが、あれは、とっ
ても滑りにくい代物です。インラインスケートを購入するのは今がチャンスか
もしれませんね。

今回、取材で思い立ったのが、オリンパスのブースでインラインスケートのハ
ーフパイプショウを見た時です。きっと、特別映像のジングルや、おねえさん
のキャットウォークステージを展開するよりも、ギャラが安く、インパクトが
あったからでしょう。そこのブースをテレビ的におもしろくするために、ボク
も番組でインラインスケートをはいて挑戦するということにしてはという企画
で、古いスケートをひっぱりだしてきていたのです。

実際にその企画は現場の対応がむずかしく、ボツとなりましたが、かわりに巨
大な展示会をたったの5分くらいで一望できることを発見しました。そうです!
スケートで会場をまわれば、とっても簡単に巨大な展示会場をだれよりも早く
把握できるのです。実際にやってみると、かなり快適! 一度も人と当たるこ
ともなく、せまい場所もスイスイ。しかし、絨毯のようなカーペットをしきつ
めたブースは大変なのですが…。

今度のコムデックスでは、世界のどのジャーナリストよりも早く会場の全体を
把握することができるでしょう。今は、インラインスケートは投売り状態なの
で、今度は靴からスケートが取り外しが可能なタイプを調達したいと考えてい
ます。

世界で一番速いジャーナリストになるのかも…。そんな速さを競っても仕方が
ないのですが…。

KandaNewsNetwork,Inc. http://www.knn.com/
CEO Toshi Kanda mailto:kanda@knn.com
45-14 Oyama-cho,Shibuya,Tokyo,Japan151-0065
Phone81-3-5465-6555 Fax81-3-5478-8719

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■HipWeb! [volume.03]

ウェブだけではないユーザビリティをWebに

Jules Yoshiyuki Tajima
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Webメディアに発信側として携わる人たちの間では、昨年、一昨年(2000年~
2001年)あたりからユーザビリティという概念、それもウェブ(Web)という
言葉が冠についたものが、関係書籍の出版ラッシュの影響もあってか以前に比
べてかなり意識されるようになってきているのではないでしょうか。そして、
そのウェブ・ユーザビリティブーム? の影響も手伝ってか、表面を飾ること
以外のデザインへの意識も高まり、情報アーキテクチャという分野にも関心の
目が向けられてきているようです。

Webメディアに関連付けられるユーザビリティと情報アーキテクチャにおいて、
共通して重要な項目としてとりあげられるものに、階層及び構造というものが
あります。階層や構造ということが採りあげられる際によく用いられる表現は
次のようなものです。

・狭くて深い階層及び構造
・狭くて浅い階層及び構造
・広くて浅い階層及び構造
・広くて深い階層及び構造

上述の表現は、請け負いによる製作関係としてWebメディアの発信側の立場に
携わる人たちの間では、今ではかなり浸透してきているのではないでしょうか。

これらの表現を伴った概念は、要は Webサイト上においてユーザを“迷子”に
させてはいけない、とか、より使い易い Webサイトに仕上げることでサイトを
訪問してくれるユーザとの間に機会損失を生じさせないように、といった事柄
への注視を促すためのものと言ってもいいでしょう。

確かに、Web サイトという空間においてユーザを“迷子”にさせたり、商機を
逸するようなことを、事前に避けようとする心掛けは好ましいことでしょう。
加えて、このような好ましい心掛けがより一層意識されるようになったのは、
昨今のウェブ・ユーザビリティブームの賜物の一つとも言えるでしょう。

ただし、Web メディアとの関係が密接だというふれこみによるウェブ・ユーザ
ビリティや情報アーキテクチャが言わんとしている階層及び構造の概念に注視
し過ぎると、その一方で Webメディアの周囲に存在している構造や階層という
ものへの注視が薄れてきてしまう懸念もあります。

これはどういうことかと言いますと、階層や構造といったものはユーザが Web
メディアに接する時にはじめて意識されるのではなく、Web というメディアに
到達するまでにも各々の趣向、社会からの影響や制約、無意識下の習慣等など、
いくつもの要素が折り重なり階層化や構造化がなされた日常の生活というのが
あります。

そして、その日常の生活の中のメディア一つをとっても、テレビや新聞や雑誌
等が階層や構造の中に存在しており、それらの一つとして、またはそれらの入
り組んだ階層や構造の影響下に、Webというメディアが存在しているというこ
とです。

つまり、ユーザからしてみれば日常の生活を大前提としつつ様々なメディアが
身の回りに存在しており、興味の対象となる事柄に自らプライオリティを付け
たり、風評による影響を受け何となくといった感じでの選択をすることなども
あります。

このような選択をしていく際に、ユーザは日常生活から学習をしたことや慣習
と照らし合わせ、各メディアから発せられる情報に対し取捨選択をしつつ事柄
に対しての基点を設け、階層及び構造を意識的または無意識に作り上げ、興味
の対象の解決や対処或いは達成に適していると思われるメディアと接していく
ことになるわけです。

しかし、インターネットに接する機会が多いWebメディア関係の仕事を生業に
していると、ややもするとインターネットやWebを基点とした思考が癖になり、
Webで起こった事柄の因果関係を考えなければならない時でも、Webを取り囲む
範囲内(Webに接してる時だけのユーザの心理を含む)でしか探そうとしなく
なるといった類の偏りが出てきてしまい、了見の狭い考え方が問題解決に災い
してきてしまうことも少なくありません。

一例を挙げますと、最近TVCFで一段とよく見かける「資産運用」の場合では、
次のようなことも有り得ます。

・最近「資産の運用をしませんか」というTVCFを見かけ、興味を覚えたAさん。
 だが、今までそのような事をした経験がなかったこともあって、TVCFで見か
 けたいくつかの資産運用の広告をしている企業へ直に問い合わせをするのは
 ためらっていた(フリーダイヤルが連呼されていたのにもかかわらず)。

・それでも、先行き不安なこのご時世を考えると資産の運用ということが気に
 かかり、直に問い合わせをする前にそれが一体どのようなものなのかを知り
 たいと思い立ち、検索エンジンに“資産運用 銀行”とか“資産運用 証券”
 “資産運用 不動産”等などのキーワードを入力し、いくつかの資産運用を
 売りにしている企業のWebサイトをリストアップした。

・リストアップしたWebサイトの中には、TVCFで見かけたいくつかの企業のも
 含まれていたが、その多くは言葉尻こそ微妙に違ってはいるが「安全、確実、
 効率的な」という主旨のメッセージを誇張するがごとくというどこも似たり
 よったりの内容で、情報を凝縮させて伝えているはずのTVCFを上回るような
 情報のインパクトもなく、そのような観点では差異性などもあまり感じられ
 なかった。ただ、それらのWebサイトはどれも綺麗に見え、TVCFで知り得た
 「安全、確実、効率的な」の範囲を再確認するうえでは、サイトで迷うこと
 などもく、モデルケースによるシミュレーションで資産運用の効用を前面に
 打ち出した簡単なアドバイスを受けることなども出来た。

・TVCFで見かけるほとんどの企業の Webサイトは見た目は小綺麗で、且つナビ
 ゲーションも丁寧で迷うことがなかったが、閲覧した中で一つだけ「安全、
 確実、効率的な」というキャッチコピーのその先、つまりリスクの可能性や
 その回避の方法などがセールスコピーと同様に目立つ箇所に掲載されており、
 且つ丁寧に分かり易くケース・バイ・ケースで示されたBという企業があり、
 Aさんにとってはその企業のWebサイトが、これから未知の経験となる資産運
 用をしていくにあたっては随分と参考になった。それに、B 以外の企業に備
 えられていた形ばかりのシミュレーションなどの機能は、難しい専門用語、
 且つ目立たない箇所に掲載されていたリスク関係にふれた内容をカモフラー
 ジュするために、予め企業にとって都合の良い答えが用意周到に準備されて
 いるようにも映り、その点がマイナス印象として残った。

・ちなみに、この Bという企業はTVCFで見た記憶もなく、世間一般的には所謂
 大手一流企業に比べて少し格下という印象のところだった。また、B という
 企業の Webサイトは、他の大手一流企業のところよりも見た目はやや劣って
 いたし、ナビゲーション機能などの所謂 Webサイト上のユーザビリティ面も
 随所に若干の差があることは否めず、一見した印象も薄く、お世辞にも使い
 易いと誉められるような代物ではなかった。実際、A さんの気を惹いた資産
 運用のリスク関係にふれられた情報群は明確な階層に依存しておらず、それ
 らを見つけるまでには数クリックでは辿り着くことが出来ず、最初は何度か
 ページとページとの間を行き来しなければならなかった。

・以上のような経緯を経て、結果的にAさんは企業 BのWebサイトから資料を取
 り寄せ、資産運用を始めることになった。

前掲したような一例をざっと見渡すと、「そりゃあそうだろう、B という企業
にはリスクに対する回避という他の企業にないようなコンテンツが提示されて
いたわけだから、真っ当な企業姿勢が問われる今のご時世では当然だろう」と
思われた方も少なくないでしょう。

同時に、何故他の企業の Webサイトよりも機能的には劣ると思われる企業 Bの
Webサイトから、A さんは貴重な情報に辿り着くことが出来たのだろうか? 途
中で投げ出したりしたくはならなかったのだろうか? それらの点からしてこ
の例は不自然ではないだろうかなどともお思いになられたかもしれません。

確かに、他の企業にないサービス、ようするに強味があるということがこの例
ですと決断の決めてになったような側面はうかがえます。ただし、例の文中に
あるように、B 以外の他の企業にもリスクについてふれている箇所はあるには
あったのです。ただ、それが意図的と思えるほど分かりにくい場所にあったり、
法的な知識を要するような分かりにくい専門用語そのままの掲載だったりと、
Aさんにしてみれば、ユーザがそれを行う際には知っておくことが必要な類の
情報にもかかわらず、そのような不明瞭さを放置したままさも当然とばかりに
構えているような企業の姿勢に対しては、信用をよせるまでには至らなかった
という背景事情も、この場合は十分にうかがえます。

また、肝心のナビゲーションなどの所謂 Webサイトのユーザビリティが劣って
いたにもかかわらずという点は、例の文中にもあるように随所ではあるがその
度合いは若干であり、誰もがその Webサイトを訪れても迷子になってしまうと
いうまでの使えない代物ではなかったので、A さんの資産運用に対する興味の
ボルテージの高まりからすれば、少々稚拙なナビゲーションスキームは眼中に
入らないという心理的な作用が働き、コンテンツに辿り着くまでにさほど苦に
ならなかったと言えるでしょう。

知りたい、見たい、というデザイアが強ければ強いほど、全くのお手上げでは
ない限り少々稚拙な Webサイトのナビゲーションなどは何のその、という類の
経験はおそらく多くの方がお持ちのことと思われますゆえ、このへんのユーザ
心理は理解していただけると思います。このあたりを、ユーザが Webサイトに
訪れた時は、 Web空間に存在している要素だけと相対しているという観点から
見てしまうと、そこでの機能性や階層や構造の在り方を問う方向にばかり気が
いってしまい、問題解決の糸口がなかなか掴めないことにもなってしまいます。

と、前掲したこのような例での結論だけを見てしまうと、 Webサイトにとって
重要なのはそこに存在するコンテンツであり、あれほど大騒ぎされたウェブ・
ユーザビリティで言及されていた留意すべき点などは、コンテンツの優劣の前
にはさしたる威力も効果も発揮しないものなのかな、というように解釈されて
しまうかもしれません。

よほど目にあまるような滅茶苦茶なウェブ・ユーザビリティではない限り、確
かにコンテンツの差というものがアドバンテージを握る可能性が高いことはあ
るでしょう。誰だって、ナビゲーションなどの使い易さだけを求めて、または
楽しむためだけに Webサイトを訪れているのではないという点からすれば、そ
れは動かし難い事実とも言えます。

しかし、今回言及したかったのはそのようなウェブ・ユーザビリティの儚さの
一面ということではなく、 Webサイトのユーザビリティを考えていく際には、
その上の階層や構造に位置するユーザが日常生活で持ち得る趣向、受けている
影響、更には慣習などを視野に入れ、そしてそこに含まれてくる他メディアの
存在感と Webメディアとの相関関係を注視するにあたってヒントとなる一つの
方向性です。

※別の機会にふれたいと思っていますが、他の企業と拮抗した商品やサービス
 などを保有する企業の Webサイトにおいては、所謂ウェブ・ユーザビリティ
 関連の書籍や資料で言及されている留意するべき点が、ユーザの動向を左右
 することもあります。ただし、そのような場合でも、やはりリアルな世界で
 培われてきたもの、つまり、ユーザに密接に働きかけている Web以外の背景
 事情の階層や構造を踏まえて、展開のバリエーションやコンテンツの配分、
 及びそれらを考慮して Webメディアで行う手法を如何にしていくべきか、と
 いう思案はつきまとってきますが。

そもそもユーザビリティというのは useの名詞形で有用性という意味ですから
(useと ableから派生したという説もありますが、本来は useの名詞形です)、
Webメディアにおけるユーザビリティ(有用性)云々を考える場合においても、
この有用性なるものを如何にして Webというメディアに寄り添わせ、効果的な
方向に落とし込めるかがもっと問われるべきです。

ようするに、 Webサイトで繰り広げられる内容がユーザにとってどれだけ有用
なのか、または Webサイトというものが有用だと認知してもらえる方向に導く
ことが出来るか否か、そのあたりが肝になってくるわけです。

ですから一例として挙げた資産運用の場合ですと、ユーザは既にTVCFを通じて
「安全、確実、効率的な」資産運用への誘い文句に惹かれていたりするわけで
すから、TVCFと同じ誘い文句、もしくは誘い文句を誇張したようないわば並列
的な内容を Webサイトでやってもさしたる効果はないでしょうし、 Webサイト
の存在意義をも薄れさせてしまうことになります。だから、B という企業のよ
うに並列的ではなく、その先のことを Webで展開することで、ユーザの気をそ
らさずに興味を増幅させることも可能になってくるわけです。

並列とその先というのは前述の資産運用の例ですと次のようなイメージです。

他の企業:TVCF ------------------------------
    :Web  ━━━━━━━━━━━━━━━
       ↑(Webで展開されたコンテンツは単にTVCFの内容をなぞって
         誇張された類のものだという形跡がありありと目に浮かぶ
         ようなイメージ)
企業 B :Web  -----------------━━━━━━━━━━━━━━━
       ↑(他社のTVCFによりユーザに意識された部分に対してはおさ
         らいをしつつ、強調する部分はその説明に具体性を加え、
         TVCFの範囲を超えユーザが知りたいと思われる部分に対し
         ての要素を、時間枠やボリュームにきつい制約がない Web
         メディアならではの格好で展開されたイメージ)

ここで見逃してはならない事として、一例の文中でもふれていますがB という
企業は他の大手一流企業のようにTVCFなどは流していません。しかしユーザで
あるA さんは他の企業のTVCFによって資産運用に興味を持ったわけで、企業 B
からすれば莫大な広告費用を費やすことなく自社の利点を Webサイト上で展開
することにより、大切な顧客を獲得出来たことも注目に値する点です。

これは所謂「人のふんどしで相撲をとる」という事とはニュアンスが異なり、
世間の風潮を見据えそこに狙いをつけた他の企業が、効率よく多くの人たちに
アピールするためにとTVCFというマスメディアによる広告を利用し、広く浅く
伝えられたイメージや概要をB という企業は追い風と捉え、自社の Webサイト
への呼び水として活用できたということです。このあたりの背景には、TVCFは
商品やサービスのイメージや概要を広く伝えるためには効果的だが、ユーザに
してみれば実はその先が知りたいと思っている商品やサービスというのも多く
存在するという点に着目し、自社の商品(サービス)の性質と、ターゲットと
成り得るユーザ像との間に介在する、または介在させることが可能なコンテク
ストをも考慮に入れた戦略的な面もうかがえます。

それは、ローリスク・ハイリターンなどという売り文句はもはや幻想の域で、
(とはいっても、欲に目がくらんだ人につけこんだビジネスが後を絶たないと
いった事実もありますが、そのての事柄に加担して一儲けを画策するといった
選択肢はここでは除外します)ミドルリスク・ミドルリターンを基点としつつ、
リスクとリターンをミドルの位置からどれだけ上下させるとどうなるかという
効果とリスクの関係を明確にするほうが好まれる風潮を踏まえ、物事の性質を
加味しつつユーザの意識のべースに介在するコンテクストへの着目というのも、
B という企業は見据えていたとも言えるからです。

…で、そういうことも有り得るということはわかったけれど、ではそのような
企業の戦略にまで Webサイトを請け負いで構築する側はタッチするべきなのか
とか、介入出来るものなのか? という疑問も出てくると思われますが、私の
意見を言わせていただくならば、今後はより積極的にやっていくべきでしょう
ということになります。

でもそれって所謂提案型ビジネスで“言うはやすく行うはかたし”という類の
事柄じゃないのかなというようにお思いになられるかもしれません。ですが、
提案をするといっても全く新しいビジネスモデルを思案しクライアントへ提示
するといったことではなく、実際のところは“如何に相手の懐に入って案件の
内容から要となる事柄を聞き出せるか”という類のことと、“聞き出せた事を
同業他社の Webだけの展開だけではなく他メディアでの展開、そしてユーザは
それをどう受けとめているのかといった社会の空気を探る”という類のことを
プラスして、Webでの効果が望める組み合わせのバリエーションを考えていく、
といったことです。

資産運用の例では、他の企業が消極的だったリスクにかかわる事柄でしたが、
クライアントの商品やサービスによってはユーザからマイナス要因だと思われ
かねない要素をあえて推しだしていくべきか、それともユーザにとってプラス
だと思える要素を強めるために、既存のメディアでは時間の枠やボリュームの
都合で補えなかった点を徹底的にリカバーしていくかは、前述したように Web
メディアに接しているユーザ像の見地からだけではなく、日常を取り囲んでい
る様々な階層や構造から垣間見られるコンテクストに注視して、 Webというメ
ディアで行うのに相応しい、または Webの存在をユーザが気に留めるような方
向性を選択をしていけるよう、普段から Web以外の階層や構造に対して考察し
ていくことも必要になってくるでしょう。

※このあたりについては、僭越ですが、私が本年度(2002年)執筆させていた
 だいた『情報デザイン ケーススタディ』という書籍でもう少し突っ込んで
 ふれていますので、興味を持っていただけるようでしたらお時間がある時に
 でも目を通してくださいませ。

上述したようなことは、コンサルタントのノウハウとかマーケティングスキル
などを保持する方達の占有領域ということではなく、言うなれば Webサイトを
請け負う側がクライアントへ提示をしていく際の“ユーザビリティ”(有用性)
です。ひいてはこのような双方間(製作サイドとクライアント)のやりとりの
積み重ねが、 Webメディアにユーザを導くウェブだけではないユーザビリティ
ということにもなり、 Webメディアが他のメディアとの棲み分けを行っていく
上では肝心要な事になってくることでしょう。

Webメディアが、他のメディアが発する情報や、ユーザの興味の対象といった
階層や構造からはぐれてしまい、“迷子”のようにならないためにも…です。

最後に、このての事が今後ウェブ・ユーザビリティにとって大切なノウハウと
して関係書籍やセミナーなどで採りあげられて、ウェブ*だけではない*ユーザ
ビリティをも視野に入れた Webメディアにおけるユーザビリティということが
浸透していけば、 Webメディア自体のイメージや、それを取り囲む周囲の人の
輪郭(製作サイドの意識レベルも含む)もくっきりしてくるのではないかなと
思っています。現在でも日本の Web製作の周辺では既に多くのノウハウが蓄積
されているかもしれませんが、米国あたりではこのての方法を活用することは
それ程珍しいことではありません。それに、日本の教育水準の一定さ加減や、
マスメディアが密接している状況をも考慮すると、案外日本のほうがこの種の
事柄に相対していくには適している面なども多いのではないかなと思えたりも
します。

【Jules Yoshiyuki Tajima / Web Media Product Manager】
・My favorite artist「Blankey Jet City」の楽曲の寸評。fanの一人として。
『青い花』☆1994年4月にリリースされた4stシングル。この楽曲を聴いた私の
友人は、「どうしてこういう楽曲が当時はあまりヒットしなかったのだろう?
だから日本の音楽って…」と少々嘆きがはいったコメントをしていた。確かに
良い楽曲だし私自身も好きな楽曲だが、1994年当時はもっと具体的な、つまり
ストレートな歌詞や、リスナーの期待感を裏切らないサビへの導入、大サビの
リフレインといった楽曲の構成が好まれていた。なので、『青い花』のように
ところどころ歌詞が抽象的で、リスナーが描くイメージに放り込み個々の触発
される面とシンクロすることにより脳裏に絵が浮かんでくるような趣のものは、
商業的な打算に基づく分かり易さに慣らされてきてしまった人たちには受け入
れられにくく、型にはまったものに浸れる時を甘受したいという風潮とも逆行
していたのだろう。もしも、という仮定を加えるなら、当時から10年近く時を
経た今の時代にあったならば、この楽曲にしても、Blankey Jet Cityのような
存在にしても、もっと多くの人たちから愛されていたかもしれない。それは、
分かり易さの表面を繰り返しなぞるようにし、売り手側が商売として散散利用
してきたリスニング感覚などとは明らかに一線を画した次元で。そして、この
『青い花』の歌詞にある“壊れそうな未来感じながら”ということを、同じく
歌詞中にある“星のひとかけら”として正視しようとしている人たちに。

・My Web Page(ネット上でふと目に留まった記事へのメモ的趣のコメント等)
A cheap net watch by ordinary man Jules
http://home.att.ne.jp/sun/jules/nonsnob/

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■セミナー案内
iMedio conference 2002
「次世代ストリーミングプラットフォーム Windows Media 9の全貌!!」
http://www.imedio.or.jp/conference2002/
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今年9月4日に米国で発表されたばかりの、次世代ストリーミングプラットフォ
ーム、コードネーム"CORONA"「Windows Media 9 Series」β版についてのセミ
ナー。関西初!

アカデミー賞を受賞した映画監督ジェームスキャメロンや、伝説的な音楽プロ
デューサージョージマーティン卿、著名な音楽アーティストLL Cool Jなどと
ともに進化したWindows Media 9 Series。消費者がメディアやエンターテイン
メントを楽しむ方法や、ビジネスコミュニケーションの手法、さらには、アー
ティストが制作したものを観客に伝える手法などに、どのような変革をもたら
すのか?

講演日時 11月7日(木)午前10:40~午前12:00(80分)
講演者 マイクロソフト株式会社 大成嘉昭氏 ほか

Windows Media 9シリーズは、DVDの6倍もの高解像度、5.1サラウンドサウンド
のストリーミングオーディオなどが特長。Web上でFast Streamingを利用した
テレビのようなメディア体験も実現する。9シリーズの詳細は、
http://www.microsoft.com/japan/presspass/releases02/nl_090502media9.asp
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/9series/  公式
http://www.microsoft.com/japan/windows/windowsmedia/  WM全体情報

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■編集後記(10/21)
・拉致問題のマスコミ報道をなんとも複雑な不安な思いで見ているわたしであ
るが、皇后が68歳の誕生日にあたり記者たちに答えた内容を昨日の朝日で読ん
で、なんという的確で真情あふれるお言葉であろうかト涙した。まさしく日本
人のすべてが思っている核心中の核心である。よくぞ言って下された。ばかな
マスコミや無能な為政者は悔い改めよ。Asahi.comを読むべし!   (柴田)
http://www.asahi.com/national/update/1020/003.html

・自転車が盗まれてしまった。島田氏が帰宅する時にはあったらしい。一緒に
帰れば良かった。電車のない時間だったので途方にくれてしまった。喪失感っ
て大きいね。怒りをぶつける先が特定できないのはつらい。そういえば、お金
をとられたことはあっても、物を盗まれたことって子供の時以来だなぁ。スピ
ードメーターは取り外していた。見ると1000km越えていた。これだけ走ったん
だよな。ギアチェンジすら怖がっていた時期があったのにな。MTBは盗まれて
もフラットバーロードなんて盗まれると思わなかった。高価なものじゃないか
らマニアな人はいらないだろうし、サイズも420なので男性には小さいだろう。
女性なら余計にMTBか折り畳みの可愛い物がいいんじゃないのかな。ホイール
がシマノのでかっこよかったんだよなぁ。あれが盗まれる原因かなぁ。あれ乗
っている人見たことないもん。交番で盗難届を出す。掲示板に勇気を出して書
き込んでみる。オークションを覗く。売るとしたらどういう経路なんだろう。
中古屋に行ってみようか。自転車を見かけるたびに探してしまう。歌詞にまで
腹が立ってくる。何が盗んだバイクで、じゃ。盗むことをかっこいいとか、思
春期だから仕方ないとか、勇気があるとか勘違いする人の出てくるような歌詞
やめてくれ。思春期にバイク盗まなくても生きる方法はあるぞ。とられた人の
こと考えてくれ。単に物がなくなったってことじゃないんだ。思い出まで一緒
に消えるような気がしてしまうんだ。頼むから返してくれ。自分の悪いところ
も反省し、ひととおり落ち込んだあと、考える。でもまぁいいギアが欲しくな
ってきていたし、ブレーキシューも替えたかったし、卒業の時期だったのかな
ぁなんて。03モデルが出揃ってきたし。でも寂しいよ。   (hammer.mule)
http://www.scottjp.co.jp/sbx/commuter.htm  これの白
http://www.tounansya.com/  盗難車情報
http://www.855756.com/ad/all.html  どうして自転車はダメなの

<応募受付中のプレゼント>
 「Adobe Photoshop7.0 プロフェッショナル
 カラーマネージメント・レタッチ・出力講座」1174号。

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編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
アシスト    島田敬子 

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