[1244] 天命は目の前にあった

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1244    2003/02/04.Tue発行
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    <受け手に配慮せずに送りつけられたものは即座に捨てる>

■デジタルサウンズ研究室
 天命は目の前にあった
 モモヨ

■電網悠語:Ridual開発記編(26)
 モノ:CLIEというデバイスと情報の形
 三井英樹



■デジタルサウンズ研究室
天命は目の前にあった

モモヨ
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気が早い話だが、今年の12月が来ると、私は満五十歳。なんと天命を知る歳に
なってしまった。

これまでの節目では、不惑《惑わず》であるとか、立つ、みたいな自覚は、つ
いぞ覚えないできたが、今度ばかりは違っているようだ。どうも、天命という
ものが見えている、というか見えてしまっているようなのである。

このコラムを読んでくださっている方は、ご存知かとおもうが、私は、四十代
の一年を完全に実業の世界において過ごしている。これは、ながらく、直接的
に私達の生活に資するところのないもの、音楽だとか、そのサービスに志をお
いて生きてきた私の、ある渇望が原因だった。ひとことで言えば、私は、何か
人のためになる仕事をしたかったのだ。それというのも、三十代のおわりに、
ある情報誌の編集をしている方から、

「モモヨさんほどの知恵があれば、なにか、もっとほかに、人のためになるこ
とをしたいと思いませんか?」

「私だったら、モモヨさんみたいな、曖昧な仕事は嫌だな」

こう言われたことが頭を去らなかったからだ。

しかし、当の本人、情報誌の編集者は(もう、いまは、その会社の役員になっ
ているが……)すっかり忘れていたようだった。「そんなこと言いましたっけ
?」 そう言うばかりだ。

反対の立場であるが、時々、私も、かつて私が吐いたと、その本人にだけ思わ
れている、ある一言についてたずねられる。

「昔、あなたに言われた一言で、もう一度、やりなおすことにしたんだよ。あ
れで、おれたち結婚を決意したんです」

こう、熱烈に感謝されて戸惑ったこともある。

人間の世には、こういうことが結構ある。おもしろいことに、言った当人が忘
れているような些事、重きのない発言が、言われた側の人生に大きな影響を与
えてしまうわけである。およそ、こうしたことは、言われる側、言葉を受け取
る側が岐路に立たされているが故に、重要な意味を持つのだが、考えてみると、
私達は、その日常会話において、会話のあいてが人生の節目に立っているとか、
岐路にあるだとかは、あまり気にせずに言葉のキャッチボールをしている。そ
れが当たり前である。それでも会話の中の一言が有効に作用する。

私にロック以外の実業にチャレンジすることを勧めた友人は、

「そんな、私が、モモヨさんにロックをやめろなんていうわけないでしょ」

そう言って私の記憶を否定するばかりだった。

そう、こういう他者の人生につい響いてしまう言葉というのは、あるいは、天
の声かもしれない。最近ではこう思うようにしている。たしかに、たわいのな
い言葉が人の運命を変えるような大きな力を発揮することはあるのである。私
に助言を与えてくれた、そう考え、私はその編集者に感謝してきたのだが、相
手がそれを覚えていないとすれば、私が聞いたのは天の声だった、そう考える
しかない。

たそがれ時に巷を行き交う他人の言葉から事の吉凶を知ろうとする、万葉時代
には、そんな辻占がよく行われていたらしい。非科学的な古代人の迷信とかた
ずけてしまえば、それまでだが、あんがい、この万葉の、誰そ彼(たそがれ)
時の辻占は、私達の日常で生きているのかもしれない。そんな気がする。

ところで、私は、ひどく腰が重い。そんな私であるから、天の声でもなければ、
走り出せるはずがない。また、よんどころない事情が重なり、むろん自分の内
奥からの衝動もあいまってのことだが、実生活の苦闘の中で音楽の仕事を集成
する、そういう状況に対面しているのである。

天命というものは、思いもしないところから、突然、頭上に降ってくるような
ものかもしれない、そう思うのである。

モモヨ(リザード)
momoyo@babylonic.com

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■電網悠語:Ridual開発記編(26)
モノ:CLIEというデバイスと情報の形

三井英樹 / ※Ridual=XMLベースのWebサイト構築ツール
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今期せずしてハマッているものがある。CLIE PEG-NX70V(以下単に「CLIE」)。
パームは幾つかの機種を触ってきたのでパーム機としての新鮮さは解像度程度。
ハマッているのは、「CLIE Mail」と「NetFront」。

Mailとは基本的に削除しない、というのが今までの方針だった。それが、この
デバイスのおかげで軌道修正された。CLIEはメモリ制約のせいもあって、捨て
ざるを得ない、貯めておいてはいけないマシンである。情報ってなんだろうと
考えさせられている。

少し操作方法を説明しよう。機種は、CFカードスロットが後ろに、多少邪魔な
デザインでついている。私はP-inマスターを使っているが、その設定は通常通
りプロバイダのアカウントとアクセスポイント情報を入れるだけ。CLIE Mail
の設定は、複数のアカウントを設定できること、それから受信方法を指定でき
るところがポイント。受信設定には二つの項目がある;
1) 取得行数:
1-1) すべて
1-2) ヘッダ+本文行数指定(最初の「20」行指定)
2) 取得メール数
2-1) すべて
2-2) メール数指定(最近の「20」通取得)
「」内の数字は任意に指定でき、更に「フィルタを使用」することも可能。

上記の標準的な設定で三つのアカウントの mail をチェックする時間は約1分
半。1つのアカウントだけだと早い時は30秒。それだけで後はオフラインで
mail を読める。形状的には、CFカードを装着していると、上のほうに重心が
移って多少アンバランス。しかし、電車の中でも殆ど片手で自由に操作できる。

この取得行数の設定が気に入っている。最初の20行でまともな情報伝達を出来
ている mail は余りない。受信した mail が取得行数制限がかかっている場合、
「次回接続時に残りを取得 ○.○k(○はファイルサイズ)」を選択すること
が出来る。結局二度手間で受信することも多いのだが、最初の20行で伝わらな
いものは捨ててしまうことも多い。mailマガジンで最初に広告や解除の方法や
定幅フォントでとか長々書いていあるモノは、そのままワンタップ(クリック
と同義)で削除される。中身を見ることもない。mailニュースで最初の20行ま
でにニュースの目次にまで達しないものもある。再度受信するときもあるが、
もういいやと捨てるときもある。HTML mailはHTMLコードがそのまま現れるの
で見る気にもならない。

受け手に配慮せずに送りつけられたものは即座に捨てる。迷惑mailも、うざっ
たいという感覚は持つが、新聞折り込み広告の自分には無関係なモノを殆ど見
ることもなく捨てる感覚で処理できる。捨て易いとは怒りになりにくい要素な
のだろう。

CLIEは高解像度の液晶が売りでもあるので表示は非常にきれい。しかし画面幅
という物理的制限は越せない。受信したmailは、小さいフォントの設定で横約
17文字、大きいフォント設定では約12文字。約というのは禁則処理をしてくれ
るので、句読点などは前の文字ごと次行に移されるから。決して見やすい訳で
はない。35文字に設定している mail マガジンは、本来の1行分が「2行+1文
字」に分断される。見るからにガクガクしたフォーマットで読むことになる。
パソコンのメーラを想定して、インデント等が入っているとフォーマットは更
に崩れる。情報の塊が何処から何処までなのか目測が効かない。見づらいなん
てものではない。改めてこういったデザインの意味を思わされる。

そんな中で見やすいのは、特別なテーマにそったメーリングリスト。最初の行
に自分が誰で誰に送っているのかが明記されている。その後、伝えたいことが
簡潔に記述される。質問であるのか、意見であるのかも最初の17文字強を読む
だけで雰囲気でほぼつかめる。引用部分も必要最低限にしてあるし、手紙文化
から来ているフォーマットや挨拶文は混じらない。とっても分かり易い。パソ
コンではついつい流し読みしているものを、電車内でCLIEではじっくり読んだ
りする。改めて、言葉の持つ力を実感する。初めに言葉あり。

mail 内のURLはタップすれば、ブラウザである NetFront が立ち上がる。基本
的に mail はオフラインで読むしかないので、NetFront が立ち上がった時点
で接続するかを聞いてくる。このブラウザがまた曲者で、表示モードを3つ持
っている。

標準表示モード、縮小表示モード、ジャストフィットモード。最初の2つは、
作られた画面を出来る限りパソコンブラウザと同じように表示し、拡大縮小が
かかっているもの。スクロールして全景をつかむ。最後のものは、HTMLにどう
書いていようが、物理的な画面の中にスクロールなしで表示しようとするモー
ド。もちろんこれが一番便利。

その場合、ニュースサイト等で馬鹿でかいバナーがあったりすると、それと記
事文面を横に並べて表示するのを諦めたりする。広告だけがあって、その広告
が切れたところから記事が表示されたりするのだ。CMカット機能といってもよ
い。デザインされている画面が崩されることで、再度デザインされている。し
かも、こと広告に関して言えば遥かに邪魔にならないように排除できる。

CLIE MailもNetFrontも、そこに広告を出している者にとって嬉しい機能では
ない。しかもそれぞれのアプリはそういったものを排除することを目的にして
いる訳ではない。しかし結果としてCLIEユーザが欲していないものを排除する
方向に働いている。そして、ベースマシンであるパソコンでの mail 受信のス
タイルにも影響が出つつある。貯めていく情報から、捨てていく情報へ。

もちろん、これらのアプリの前にパームの素晴らしさがある。10年以上前、
NEC98シリーズの新版が出るたびに起動時間の短さを派手に宣伝していたのを
憶えている。当時冷ややかに見ていたが、PDAのスイッチと同時に稼動状態に
なるという、限りなく起動時間ゼロに近い状態を目指していたのかと思い出す。
正直言ってCLIEまで来るとマシンへの感覚自体が変わってくる。実は壮大な理
想だったのだ。OSが重くなっている昨今の流れは、その理想への逆流か。

アプリはハマッているだけで、完成しているとは思っていない。受信した記事
の中から特定の部分を他アプリに渡すのもできたり出来なかったりする。イベ
ント情報はスケジューラに、技術情報はメモ帳に渡したい。添付で付いてきた
ファイルを別アプリで開きたい。Flash Playerが付いているのに、添付ファイ
ルをそれに渡すことが出来ない。NetFrontもswf未対応である。それでも、何
でもを持ち歩くのを諦めた時点で、このデバイスの価値がぐっと上がった。そ
もそもがメインマシンにはなれないデバイスなのだ。

通信という手段を容易に使えるようになって、このデバイスはサブメイン級だ。
そして、かなり使える分、メモリの制限と電池の壁が立ちはだかっている。使
用可能なアプリを常に使える状態にできない。ハード的なデザインも色々言い
たい。私の使い方ではキーボードは不要。毎日使いもしないキーボード分の重
量を運んでいるのは気分も悪い。しかし、不自由さは付きまとうものの、充分
に使い倒したい可能性に満ちている。

新しいデバイスで、古い情報を見る。情報のあり方を考えさせられている。

ps.でも新機種出るたびに5万強というのにはついていけない。

【みつい・ひでき】 h-mitsui@nri.co.jp / info@ridual.jp
・2月18日(火)デジハリ東京本校にてRidualについて話します。デジクリ読
 者の方は、送られてくるデジクリmailの最初のページを印刷してくれば、通
 常6000円が3000円になります。お時間ある方はどうぞ。但し製品紹介に終わ
 らせるな言われていますのでサイト構築手法についても話します。尚、その
 時に特別版が出せるように準備中です。間に合うか微妙ですが。
 http://partners.dhw.co.jp/

・Ridual(XMLベースのWebサイト構築ツール)公式サイト
 http://www.ridual.jp/

・超個人的育児サイト(書籍は絶版中)
 http://member.nifty.ne.jp/mit/MilkAge/

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■編集後記(2/4)
・ブックオフで新書を買う。集英社新書と宝島新書が各200円、カッパブック
スが100円だった。3冊で500円(!)。直前に駅前書店で、集英社新書とベス
ト新書を1冊ずつ買って1500円だったから、あまりの差にあきれたがうれしく
もあった。だいたい新書は700円前後で、一見安いようだが読み終わると内容
のわりに高かったなあと思うのが普通だ。わたしの場合。たまに「超」文章法
のような大当たりもあるが。でもワンテーマで、手頃な分量で、読みたい物件
はいくらでもあるのが新書だ。それが新古本で半額以下とはありがたいことだ。
これからは新書を狙ってブックオフに行くことにした。しかし、ブックオフは
確か新刊の場合定価の10%で買い上げると聞いたが、きれいな新書を持ち込ん
で75円で買ってもらうのか。そんな読書人(?)の姿も悲しいものだ。(柴田)

・上海はホコリっぽい。道路沿いの植え込みはホコリがかぶっている。排ガス
規制がなく、昔の日本ってこんなんだったんだろうなぁと思う。信号が少ない
のも車優先の経済優先だからだと思うんだけど、クラクションの多さを考える
とあまり効果はないかもなぁ。信号は日本のような横に並ぶものではなく、縦。
ポストは赤ではなく緑。日本ほどあちこちにあるものではないし、不思議なの
が歩道側ではなく、車道側に投入口があること。海外に行ったらそういう日常
の違いを発見するのが好き。日本にいて当たり前だと思っていることが、外に
出てみてはじめて当たり前ではないと知る。だから、スーパーに行って想像も
つかないような物が売られているのを見つけたり、文化の違いを感じるのは面
白い。そういう時間が欲しい。どうしてツアーって書店には行かないのかなぁ。
どんな雑誌や本を読んでいるのか気になるのに。      (hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント>
 ファイルメーカーPro Webデータベース講座 1236号。
 平山郁夫展招待券 1243号。

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編集長     柴田忠男 <mailto:tdo@green.ocn.ne.jp>
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