[1269] エロ本初出荷。

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1269    2003/03/12.Wed発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20643部
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        <これで二勝一敗あっさり勝ち越しです>

■泰国パパイヤ削り
 エロ本初出荷。
 白石 昇

■デジクリトーク
 CG教育の現場から
 羽岡浩二

■デジクリWebデザインレビュー
 きれいな写真はサイト全体を輝かせる「nike.jp」
 小笠原たけし

■ブックガイド&プレゼント
 CGのためのグラフィックバイブル「人体のしくみ」



■泰国パパイヤ削り
エロ本初出荷。

白石 昇
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<前回までのあらすじ>

時は平成十四年九月下旬、借金こさえて三千冊エロ本を刷り終え、三百冊ほど
日本に持ち込んだ白石昇は長崎にて納本していただける書店様を捜す旅に出発
する。しかし一発目の書店様から見事に断られる前途多難ぶり。はたしてエロ
本は本屋に並ぶのか?


白石昇です。初手からいきなり納本を断られたからと言って、そこで書店売り
を諦めるわけにはいきません。わたくしにはエロ本版元としてできる限り書店
を訪れるお客様とエロ本との邂逅機会を作らなければならないのです。

わたくしはすぐさま別の大手書店様に向かいました。そして、仕入れ担当者様
にエロ本現物を見せ、納本させていただけるようお願いします。タイ国でノー
ト=ウドム・テーパニットが特集された雑誌や、舞台VCDまで広げて見せ、い
かにノート=ウドム・テーパニットがタイ国に於いてビッグネームなのかをア
ピールします。

日本のテレビに出演したりしない限りそのようなアピールは無意味であること
はわかっているのですが、そうせざるを得ないのです。というよりそれくらい
しかアピールするものがないのです。

担当者様は泰文字にまみれた雑誌やVCDの山を厳しい目線でチラチラと見なが
らエロ本のページをパラパラとめくっておられます。青果市場でスイカを軽く
叩く仲買人のような厳しい目つきです。そして、じゃあとりあえず、一ヶ月く
らいあずかっときましょうかね、とおっしゃって十冊分の納品書に署名して下
さいました。

わたくしはすっかり晴れ晴れとした気分になり、次の書店様を目指します。こ
れで一勝一敗の五分、この勝率なら、200店舗営業にまわれば、100店舗に納本
できるのです。各店10冊ずつ売れたら初版三千部のうち、千部が売れることに
なるのです。

そもそも普通自動車免許も車もない丸腰の版元であるわたくしがそのような大
規模な営業など出来るわけがないし、長崎県南部にそれだけの書店が存在する
はずないのですが、そんな夢のような妄想にまみれながらわたくしは次の書店
様を目指します。

そしてすかさずそこでも仕入れ担当者様に納本を掛け合います。担当者様はわ
たくしのエロ本を笑顔を称えながらパラパラとめくって、あっさりと10冊の納
本を許可して下さい。これで二勝一敗あっさり勝ち越しです。

仕入れ担当者様は、これ面白い本だと思うんですけど、ただ、売れるかどうか、
というときっかけがないからすごく難しいと思うんですよ、と非常に忌憚なく
そしてわたくしにとっては痛い御意見を笑顔でさらっとおっしゃいます。

そして担当者様はさらにさらっと、だから白石さん、きっかけ作って下さい売
りたかったら、とおっしゃいました。

しかしその時のわたくしは担当者様のおっしゃるきっかけ、という言葉の意味
がよくわからなかったのです。

つづく。

【しらいしのぼる】hinkaw@chan.ne.jp
語藝人。昭和44年5月1日長崎県西彼杵郡多良見町生まれ。『抜塞』で第12回日
大文芸賞を受賞。訳書にノート=ウドム・テーパニット『エロ本』。現在エロ
本屋仮店舗店長。

DACO(紹介記事)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/daco107.html

Koko(翻訳者インタビュー)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/koko098.html

Koko(ノート=ウドム・テーパニットインタビュー)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/koko102.html

DACO(ノート=ウドム・テーパニットインタビュー)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/daco112.html

WEB(書評)
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/web286.html

販売サイト
http://hp.vector.co.jp/authors/VA028485/erohonyakaritenpo.html

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■デジクリトーク
CG教育の現場から

羽岡浩二
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少し前の話になるが、柴田さんが大阪を訪れた。久々だという。氏が来阪とあ
って、「ディジタル・イメージ」の関西勢の会員が色めきたって出迎えること
になった。もちろん夜の宴席を設けることとなった。

さて、そもそも私はディジタル・イメージの会員ではない(今のところ)。な
のに、属していないのが不思議などと言われて手招きされ、ひょこひょことそ
の宴に座することになったのだった。

さりとて全くディジタル・イメージとつながりがなかったわけではない。昨秋
のWPCエキスポに於いてディジタル・イメージがブースを出すことになり、各
作家さんの作品をループ再生するためのDVD制作業務を請け負ったのだった。
それはそれで十分に楽しめる技術的なエピソードがあるのだが、今回はそれは
割愛。宴の席へと戻る。

10名ほどの参加者で、私にとってはほとんどが初対面。名刺をそんなに持って
いなかったために苦慮したが、戴いた名刺の記載を見ると、立派な大学で教授
職を得てらっしゃる方がいることも知った。

初対面ながらも格好のきっかけだったため、CG講師業についての口火を切って
みた。ところがこの話題、最後には柴田さんも交え、宴が終わるまでほとんど
の時間を費やすことになるのであった。

●ディジタル・イメージは講師軍団

驚いたことに、私と同じ学校で非常勤講師として教鞭をとっておられる先生が
私の隣にいらした。しかも思い起こせば、昨春に一度だけ学校のCGソフトにつ
いてのディスカッションをしていた方だったのだ。

関西はそんなにCGプロフェッショナルの少ない狭い業界なのか? と思ったが
宴が進むにつれてCG講師に求められる能力はCG職人に求められる能力とは別物
である事が分ってきたのである。

順に自己紹介と近況報告会の形式になり、お仕事概要を聞いていくと、なんと
講師業に携わっている方の多いこと多いこと。

遠方の校舎であるにも関わらず教えに出掛けておられたり、授業外での学生か
らの要望や対応に追われ続け、本来の業務が四苦八苦などというエピソード、
急な学校経営上の都合で収入が大変動してしまう話など、様々な意見が飛び交
っていた。

私自身は個人でCGクリエイターをしているが、講師業としては関西で3校を飛
び回っていて、不定期の講義も含めれば6か所程度に講師職として名を連ねて
いる。私も講師業にあたってのいろんな思い入れや嘆き、喜びなどを噴出させ
ていた。

●学生分類学:論外編

まずは論外なパターンで、義務を果たさずに権利を行使しようとする学生と、
何をしに来たのかが分らない学生。

確かに高い学費を払っているのだから、それに見合う何かが得られないと苦情
になるのだが、その得られるモノについて勘違いしている学生(もしくは親子
で)が残念ながらいるのである。

お金を払ったのに、なぜ苦労(制作の為の努力)をしなければならないのか?
楽になるはずなのだ、という発想なのである。

幸いにも我々講師がこのレベルの学生に手を焼くことはない。就学以前の問題
であり、授業内容や指導体制に問題があるわけではないからだ。

次に自分が何をしたいのか分らなくなってしまっている学生。

まだ大学が全入時代と呼ばれていなかった頃、美大や芸大のデザイン専攻やメ
ディア専攻の合否通知を受けての入学生が毎年数名いたのである。この場合、
見事な5月病になることが多かった。4月は新生活や日々の激変にもまれて気が
つかないのだが、5月に授業が進みだすと、自分はこんなところで何をしてい
るんだろう? ……と、気がついて我にかえるのである。

だが最近は大学全入時代となって、学長は拒否したのに理事が入学OKを出して
しまったという嘆きを大学関係者から聞いた事がある。大学といえど、生き残
りに大変である。もちろん専門学校とて全入時代である。特に2~3年制の専門
学校の場合は、生き残りをかけて入学希望者を基本的に全員入学させている。

なので、社会に出るまで2~3年のモラトリアム期間をお金で買って過ごす為だ
けに来ている学生がいて困る時がある。

彼らにとってはどんな専攻学科でもいいわけで、しかも来ないのではなく、学
校や授業に居て、関係のない過ごされ方をするのだからたまったものではない。
まるで授業や講師をテレビのチャンネルのように扱っているのだから。

1年コースや6ヶ月、9ヶ月のコースにはこうした学生はあまり見受けられない。
モラトリアム期間付きの学生生活よりも、CG職への就業意思が強い創作生活を
過ごしに来ていること、高校卒での入学が少ないことが影響している。

●学生分類学:就学編

講師にとって前向きに問題なのは、就学意欲のある学生である。先にも出てき
たが、絵が描けないからCGが何とかしてくれると思って学校にきたというパタ
ーンである(この逆で、絵だけで食べるのは大変なので、CGを手段として選ん
だのなら大歓迎なのだが)。

基本的にCGは様々な分野の知識が必要な業務である。特に3DCGのクリエイター
に求められるのはCGソフトの操作だけではない。カメラワークやライティング、
シナリオ、絵コンテ、サウンド、デザイン、カラーコーディネート、モデリン
グ、アニメーター、実に様々な能力を備える必要がある。

もちろん学生であればどれか一つにこだわって作品を作れればたいしたものだ
が、CGソフトの操作だけでは何もクリエイトできない。やはりアナログな部分
が充実してこなければ、その人の作風となるにはほど遠いことになる。

急にアナログ部分(デッサンや粘土、シナリオ、絵コンテ)に強くなるなんて
難しいものだから、この部分に講師はかなりの時間をかけて底上げをする。時
と場合によっては、指導の名を借りた制作の手伝いをしている時さえある。

またゲームやCGが好きで、物知りにかけては一流なのだが、制作姿勢や作品の
形にならない学生もいる。好きこそものの上手なれという言葉があって、大事
な概念だとは思うが、制作物という結果の形に表れて来ないまま、その空振り
が力めば力むほど見てて辛く思え悲しくなることがある。

なので講義では、CGが好きな一流ではダメ、CGに詳しいプロでもダメ、CGを作
るのが上手くてもダメ、制作したCGを人に見せその反応で次の行動に出る人に
なって下さい、と担任ゼミで説くようにしている。

●最近の○○と来たら...

今回の執筆には苦労した。実際にディジタル・イメージの会員の方々とディス
カッションした講師業についての話の中では、学生の話としては「困っている
点」についての話が多かったし、学校システムそのもののについての問題点や
問題講師などについてが多くあり、原稿ではそれについては触れるつもりはな
かったためである。

そこにはブラックなネタがたくさんあって、最近の講師ときたら、最近の学校
と来たら、のノリで盛り上がれるのだが、まさか載せるわけにいかないものが
多く、何度も推敲に時間を取られてしまった。

しかしながら話題の中に出てきた大学でのCG教育と専門学校でのCG教育、同じ
専門学校でも前述のように1年以下のコースと3年コースでの違いなど、長所短
所、現状と今後などについて書いてみたいと思うに至った。

【羽岡浩二 Haoka Koji】haoka@pa2.so-net.ne.jp
http://www004.upp.so-net.ne.jp/graphic/
3DCGにこだわってイラスト描きとアニメーション制作を業務にしているCGデザ
イナー。ふとしたことからデジタルクリエイター集団「ディジタル・イメージ」
様と御付き合いが始まり、会員になったらの生活を、天国と地獄の形式で教え
られつつある……。(1967年大阪生まれ)

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■デジクリWebデザインレビュー
きれいな写真はサイト全体を輝かせる「nike.jp」
http://www.zdnet.co.jp/macwire/0303/11/hj00_digicre.html
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このサイトは美しい! と思うサイトをよく見てみると、そこで使われている
写真が綺麗なことが多い。Webだから解像度が低くてもいいや……と写真を安
易に扱い過ぎていないだろうか。綺麗な写真はサイト全体を輝かせる。今回紹
介するナイキのサイトも写真がとても綺麗だ。(小笠原たけし)
▼デジクリとMacWIREの連携企画。本文は上記サイトで。

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■ブックガイド&プレゼント
CGのためのグラフィックバイブル「人体のしくみ」
http://www.wgn.co.jp/cgw/body/
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<編集部から>
CGのためのグラフィックバイブル「人体のしくみ」が3月6日に発売されました。
精緻 で美麗なグラフィックスを満載し、人体の構造と動きを図解と解説で、
わかりやすくまとめた本です。

人体の構造、動きのしくみはすべてのクリエーターに不可欠なノウハウです。
本書は、CGクリエーター、デザイナー、アニメーターが人体の動きを表現した
り、キャラクターアニメーションを制作する際に、そのベースとなる人体構造
を部位ごと、動きごとに、美麗な人体グラフィックスと解説でわかりやすくま
とめてあります。また、付録CD-ROMには本書に掲載されているグラフィックス
のオブジェクトデータや日本人の人体寸法データベースを収録しています。
ちょっと1レベル上行く作品を目指すCGクリエーター、デザイナー、アニメー
ターの永久保存版アイテムです。

飯島貴志著 ワークスコーポレーション刊
AB判・200P・オールカラー CD-ROM付
定価3300円+税
詳しい内容はサイトをご覧下さい

●ワークスコーポレーションからデジクリ読者2名さまに「人体のしくみ」を
プレゼント。応募フォームをつかってください。発送をもって発表にかえます。
応募締切は2月26日(水)14時。
http://www.dgcr.com/present/

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■編集後記(3/12)
・寒いときに怪談でもあるまいが、平山夢明編著「『超』怖い話A」(竹書房
文庫)を読んでしまった。36編、このうち30編くらいは怖い、そのうち10編く
らいは強烈に怖い。これを読んだら古いマンションやアパートに引っ越しでき
なくなる。「シックスセンス」の少年が見てしまう恐怖は現実にあるようだ。
とにかく因縁の場所には怖いものがいて、見える人には見えてしまう。そうい
う能力がなくてよかった。ほかの怪談集でも必ず語られているのが、編集作業
をしているときのとびきりヤバい経験だ。この本では、刊行が決まって原稿を
すべて入稿するまでの間に、著者および編集者の知己・親類で急逝が7人、交
通事故は3人、これはすご過ぎる数字だ。「今後もこんなこと続けていたらど
うなっちゃうんだろう、と思わないではない。でも、やめられない」と編集者
は言う。あぶないなあ。こういうことは深入りしてはいけないのだが。(柴田)

・次の日の朝が早いので、皆は早めに寝ようと支度をするのに、あの若いお兄
さん二人はまたまた夜遊び。負ける。パワフルだわ。ネット連絡が諦めきれず
にホテル周辺をひとりで歩きネットカフェを探してみたが、寂れた場所のよう
で見あたらない。怪しい男の人らに声をかけられ、びびってホテルに舞い戻る。
湯船にお湯を溜めようと蛇口をひねり、バスルームから出る。Mさんはコンビ
ニで買った石鹸とシャンプーを使えと言う。ちゃんと個別包装された石鹸類が
置いてあるからいいですよ、と言いながらバスルームに戻って唖然。湯船のお
湯が茶色。周荘のユニットバスが焦げ茶に汚れていたのはこのためだったのか!
星がひとつ落ちるだけでここまで差があるってことは、二つ星や一つ星のホテ
ルってどんなの? ひぃー。Mさんに報告したら「あんまり状態は良くないと
は思ってたんだけどね。やっぱりこの石鹸とシャンプーを使って。シャワーだ
けにした方がいいわよ。」と言われてしまう。こういう時、こういうホテルだ
からこそ、贅沢な香りのする石鹸やシャンプーを使わないと辛いのだと教えて
くれた。茶色のお湯が降ってくると考えるだけで、体や髪を洗っている気には
ならない。でも私はまだマシ。Mさんの妹さんは、最初は透明のお湯だったが
髪の毛を洗っている途中いきなり茶色になったのだそうだ。ホラーよっ。私な
ら血を連想してぎゃーぎゃー騒いでしまうかもしれない。こういう連想をする
情報を蓄積してしまうからホラー映画は見られない、と脱線。(hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント>
 「100% Pure Javaプログラミング日記」 1261号。
 「Mac OS X 至高のTips」 1262号。
 「おしえて!! Adobe GoLive 6」 1262号。
 「DTP&印刷ガイドブック」 1263号。
 CGのためのグラフィックバイブル「人体のしくみ」 本日号。

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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>;

編集長     柴田忠男 <mailto:tdo@green.ocn.ne.jp>
デスク     濱村和恵 <mailto:zacke@days-i.com>
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