[1453] イラクのタンク

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1453   2004/01/27.Tue.発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 20029部
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        <「何コレ? ヒョウタンツギ?」>

■デジタルサウンズ研究室
 イラクのタンク
 モモヨ(リザード)

■買い物の王子さま 24
 定価では買いたくない。
 石原 強

■ライフスライス研究所
 オリジナルデジカメ開発奮闘記(2004年1月27日月曜日)
 第69回「子供のワークショップcanvas」
 ユビキタスマン



■デジタルサウンズ研究室
イラクのタンク

モモヨ(リザード)
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子供を育てていると時々、生の世界、世相を目撃することがある。

先日、保育園に通っている息子の園で親が午前中を子供と工作して過ごす企画
があり、私も参加した。その日の話だ。

園に行って、まず、その前日までに参加した父兄と園児の作品、自動車を見な
がら説明を聞く。その時に迷彩色の戦車があった。よくできている。その戦車
を見たときは、今時の子供も私の幼児期と同じで戦車が好きなのだと思い、ふ
と微笑ましいものに感じた。

が、息子の説明がショックだった。「これね、××君が作ったんだよ、イラク
のタンク」というのである。そう言われてあらためて見ると戦車の砲頭部に日
の丸がついている。

これには驚いた。イラクに自衛隊が行くのは確かだし、装甲車の車列が新聞な
どの一面を飾っていたのは確かだ。子供達がそこから子供じみた夢想を紡ぐこ
とはありえるはずなのに、イラクのタンクという言葉が幼児達の世界でまかり
通っていることには一大事である。これはいけない。

イラクのタンク。なんと不吉な言葉だろう。名前のうえでイラクのタンクなの
に日の丸がついている。これは不吉である。私は、かなりの衝撃をうけた。と
つぜん、生の凶暴な世界相が眼前に現れた。そんな感じだ。

それから考えたことがある。

自衛隊の今回の派遣を、私などは、日本人的自戒と皮肉をこめ、かつ事態の正
確な意味を含めて「派兵」と言ってきた。

もう十年程前になるが、私は雲仙普賢岳の麓で復興事業にたずさわっていた。
火砕流、土石流被害からの島原の復興事業である。その当時、島原城に駐屯し
ていた自衛隊の様子を間近く見たことがある。ある時は私自身も土嚢作りを手
伝ったものだ。そうした時、寡黙に、文句を言わずに働く自衛隊諸君に感心し
たものだ。

こうした体験を踏まえたうえで、私としては、法整備が整えば、自衛隊が彼の
地で活躍できることは十分理解している。このような活躍を可能にする法整備
が整わなければ、海外においても、自衛隊は鵺のような存在に堕してしまう。
それはあまりに無残な話であろう。このような気持ちがある。つまり、私の場
合は何がなんでも反対しているわけではなく、自衛隊そのものに対して抗議行
動をとる反対派には違和感すら覚える。

そうしたいわゆる反対派も私と同じ「派兵」という言い方をしている。彼等反
対派の抗議集会に対して、さらに反対する動きがある。反対の反対(昔懐かし
い、赤塚不二男のギャグみたいだが)であるから賛成派というべきだろうが、
こうした人々の中には「派遣賛成」ばかりでなく「派兵賛成」という変容した
意識が育ち始めているようである。

事実は別の世界で、とんでもなく危ない反動が生じているのだ。

イラクのタンクを発端に考えた結果、そんな危惧にたどり着いたのである。そ
こで、小泉首相の答弁と同じになるので癪だが、これからは、私は、何が何で
も「派遣」という言い方をしようと思う。すでにイラクの大地を自衛隊が踏ん
だ今、あれこれ言っても、こうした意識の変容を促進するだけのような気がす
る。今回のイラクに自衛隊が出かけたのは、あくまで「国際貢献」「復興援助」
のためである。こうしたことを子供達には繰り返して語っていきたいし、政府
の本音がここにあることを願う。

一人の父としては、イラクのタンク、この禍禍しいものが子供達の夢の対象に
しないように努力したいものだ。

モモヨ
http://www.babylonic.com/

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■買い物の王子さま 第24回
定価では買いたくない。

石原 強
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青山のインテリアショップで、不思議な形をした商品に目を奪われました。そ
の名は「blueroom minipod」。正面からはスノーマン、横からは巻貝のように
も見えます。何かのオブジェかと思ったら、オーディオのスピーカーでした。
インパクトのあるスタイルに一目惚れ。でも定価で8万円と値が張ります。性
能が良くてもっと安いものも沢山あるし、その場で買うのはあきらめました。

家に帰って、ネットで少しでも安い店がないかと探してみました。でも取り扱
っている店が少なく、ほとんど値引きされていません。そんな時に頼りになる
のがオークションサイトです。

日本最大のオークションサイト「ヤフオク」には、中古だけでなく、新品で大
抵のものが揃います。しかもネットショップの相場より安く手に入れることが
できるのです。トップページで、キーワード「blueroom minipod」と入力して
検索。

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★1円~★blueroom minipod ★ブルールーム★ミニポッド★
----

ドンピシャです。しかも定価8万円の商品が、なんと1円からの入札スタート。
1円スタートと言っても、入札する人は相場を知っていますから、そんなに安
く落とせることはまずありません。既に数人が入札していて「現在の価格」は
1万円になっていました。

スタート価格が安い時は、出品者が「最低落札価格」という金額制限を設定し
ます。でも今回はその設定がありません。もしかしたら安く手に入るかもしれ
ません。

入札する時は、あらかじめ自分の出せる上限の金額を決めておくことが重要で
す。オークションでは、終了直前に値段が跳ね上がります。つい熱くなって競
り落としても、結局高い買い物になったのでは、後悔するハメになります。今
回は定価の半額を目標としました。

5種類のカラー違いが出品されている中で、第一希望はシンプルな白。でも終
了15分前になって、みるみる値段が上がっていきます。4万円を超えたところ
で断念。最終的に落札価格は5万円強になりました。

即座にターゲットを切り替えます。次の狙いは「ブルー・ルーセント」。昔の
iMacのように中がうっすら透けるブルーの半透明です。今回も価格はジリジリ
上がりましたが、目標ギリギリの39,000円で落札。ヤッタ!

数日後スピーカーが届き、早速セッティング。スピーカーの下に3本足の「ス
プートニク・スパイク」をとりつけ、アンプとのケーブルを接続して完了。鳴
らしてみると、予想以上にいい音で大満足。

ウットリと聴き惚れていたら、帰って来た家族が一言。
「何コレ? ヒョウタンツギ?」
言われてみれば、そう見えなくもない。

おもわず「アッチョンブリケ!」と叫びました。

スピーカーを買ったお店「YAHOO!オークション」
http://auctions.yahoo.co.jp/

【いしはら・つよし】info@webanalyst.jp
ウェブプロデューサー、ウェブアナリスト
デジクリNo.1445で8月サンタさんが秋葉原に試聴に行ったスピーカーです。
聞き比べてはいないけど、いい音で満足してます。でも、見た目のインパクト
だけで買ってしまったので、インテリアの調和は乱しまくりです。
ウェブマスターの情報源「ウェブアナ」http://www.webanalyst.jp/mt/
「お金をかけないサイト運営術」http://www.webanalyst.jp/magazine/

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■ライフスライス研究所
オリジナルデジカメ開発奮闘記(2004年1月27日火曜日)
第69回「子供のワークショップcanvas」

ユビキタスマン
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ベンチャーフェアに続き、またイベントに参加しました。25日の日曜に行われ
たのが「キャンバス」※という、子供たちのためのワークショップを運営して
いるNPOのイベントでした。このNPOは、企業やクリエーターと組んでさまざま
なワークショップをやります。

イベントは、ここ1年で行ったワークショップをひとつに集めて披露するとい
う「ワークショップコレクション」というものでした。例えば、ペイントソフ
トで子供たちが絵を書いてそれを連画にしていくとか、クレイアニメーション
を作ってみるとか、現役DJがスクラッチを教えたり、はたまた紙コップを使っ
てインターネットの仕組みを体験したり、3Dソフトで自分で撮った写真を動か
したりと、盛りだくさんなのです。

ライフスライス研究所は、このNPOのフェローになっています。このフェロー
のメンバーがすごい人達ばかりで、最初に打診を受けた時は諸手をあげて「も
ちろん、引き受けますとも!」と答えたのです。と、翌日このワークショップ
のチラシが100枚宅急便で送られてきました。「ううむ、なるほど。フェロー
って……」

それから「子供」「ワークショップ」「デジタル」「クリエイティブ」の4つ
のワードに敏感な人達に配っていきました。普段、この人とこの人を出会わせ
たいなと思うことがよくあります。しかし、自分が主宰する飲み会やイベント
では、その場に多忙な人同士がうまく参加することが難しいことがあります。
しかし、今回のcanvasのような良質なイベントは、イベント自体に高い訴求力
があるため多忙な人同士が調整して現場に現れてくれるのです。

いいイベントにお金を払う意味はここにあります。そのイベントを楽しむため
にお金を払うのと同時に、同じ時間と空間に人が集まる、その時間を買うこと
に意味があります。こうして、多くの人がこのイベントに来てくださり、たく
さんの出会いが生まれました。

もちろん商売っ気も忘れていません。ベンチャーフェアで制作したチラシを配
ったり、興味を持ってくれた人に説明したり。ボーイスカウトなんかにはいい
ね、と言ってくれた人にはすぐさまサンプル機を貸し出したり。

しかし、横目でワークショップを見ながら思ったのは、ライフスライス単体で
は子供たちを楽しませることはできないということ。フィールドワークや遠足
などの補助ツールとして使いバラバラに動いた1日を相互に見て楽しむ、自分
や他人の体験から新しい発見をするなどに落とし込まないと、まだまだワーク
ショップとして提案はできないなと思いました。

大人たちが苦労して準備したワークショップも、子供たちは瞬時に「おもしろ
い!」「これ、つまんない!」と判断します。世の中でもっとも飽きやすくシ
ビアな消費者である子供たちを見ながら、いろいろなことを考えていました。

そんな営業しつつ、ワークショップを見つつ、人と人を出会わせつつのあわた
だしい一日の中で「!」なアーティストと出会いました。その名は「トリガー
デバイス」です。きれいにデザインされたそのチラシには、こんなコピーがあ
りました。

「何かがわかる、それは楽しいことです。
 何かをつくりだす、それはワクワクすることです」

私は彼らがワークショップのために用意したデバイスを見て一目で彼らのファ
ンになってしまいました。さて、彼らはどんなものを作っているのでしょう?
明日に続きます。

※canvas
http://www.canvas.ws/

ライフスライスブランドカメラ発売まであと39日!

ユビキタスマン(川井拓也)jp_kawai@lifeslice.net
http://www.lifeslice.net

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■編集後記(1/27)
・川崎市でホームレス一時宿泊施設の建設をめぐって、地元住民との対立が問
題になっているが、強制着工のその後はどうなっているのだろう。説明が十分
ではないという住民グループに対して市側は「住民の皆さんの理解を求めなが
ら、粛々と進める」というようなコメントを出していた。今回のトラブルにつ
いてわたしはなにも言う資格はないが、進める側の言い方って相変わらずマニ
ュアル通りだなと思った。かつてマンション問題で相対した建設側の言い方は、
まったく同じだった。要するに、問答無用ということである。ひどい対応だ。
今日の新聞では、路上生活者を水死させた少年が「ホームレスは人間のクズだ
から死んでもいいと思った」と言っていたとあるが、日本も情けない国になっ
たと思う。やっぱり、われわれの世代がいけないのだろうなあ。  (柴田)

・頭の中もこるらしい。なので頭皮マッサージや頭蓋骨プッシュをすると頭の
中がすっきりするらしい。顔もこるらしい。パソコンに向かってばかりだと、
表情が乏しくなり、顔の筋肉が衰える。肌のたるみにも繋がるらしいので、フ
ェイササイズやマッサージをしろと。そしてそのあとに、首のリンパ腺に沿っ
て下へ下へ「疲れや老廃物よ出ていけ~」とマッサージするといいらしい。知
識は入ってくるが、なかなか習慣化しない。まずは腰痛対策だしな。
                            (hammer.mule)

<応募受付中のプレゼント>
Illustratorなないろマジック 1449号

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編集長     柴田忠男 <mailto:shibata@dgcr.com >
デスク     濱村和恵 <mailto:zacke@days-i.com >
アソシエーツ  神田敏晶 <mailto:kanda@knn.com >
リニューアル  8月サンタ <mailto:santa8@mac.com >
アシスト    吉田ゆうみ <mailto:yoshida@days-i.com >

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