[1487] 「十字プラットフォームの天然UI」ってなんか凄くない?

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1487    2004/03/16.Tue発行
http://www.dgcr.com/    1998/04/13創刊   前号の発行部数 19391部
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         <畳で使える素敵な椅子が欲しい>

■デジタルサウンズ研究室
 「十字プラットフォームの天然UI」ってなんか凄くない?
 モモヨ(リザード)

■買い物の王子さま 31回
 独り占めしたいもの
 石原 強

■セミナー・イベント案内
 JPC コンテンツマネージメント委員会特別セミナー
 デジハリ卒業制作展「デジタルフロンティア・グランプリ2004」

■デジクリ主催「デジタルクリエーション大学院セミナー」開催!



■デジタルサウンズ研究室
「十字プラットフォームの天然UI」ってなんか凄くない?

モモヨ(リザード)
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前回、Audacity 1.2.0に関してあれこれ書いた。

こういう類のソフトと、製品化されたものと異なるスタンスで付き合うべきだ
と考え、それなりの位置から紹介した次第だが、日本の場合、どういうわけか、
こうした有志のコラボレーションにより発展したものが、正当な評価を下され
なかったり、ユーザーが拒絶することがある。

こうしたことの原因として、過去の不幸な事件も多く影響していよう。某エミ
ュレーションソフトやDVD、CD-Rライティングソフトなど、名指しで指摘する
ことは避けるが、日本国内でのみ中間搾取者の勝手な都合で有償化されたこと
がある。本来、朴訥なユーティリティーだったものが、インスタントな商用ソ
フト風パッケージに詰め込まれて、店頭に並べば、使えないソフト、という言
われ方をするのが当然。こういう例が過去に多くあった。

そうでなくても、フリーウェアの作者達は、故のない中傷や攻撃にさらされて
いる。

攻撃者が、そのソフトに類する商用ソフト開発者、配給会社等、直接的利害関
係を有する場合、動機が明白なので語るまでもないが、しかし、興味深いこと
に、同じフリーウェア開発者仲間であったりユーザーが攻撃者である場合も珍
しくない。こうした傾向はいずれも万国共通のものかもしれない。

が、前述のような日本固有の事情、オープンなソフトの幾つかが企業によって
パッケージ化され店頭に並んでいる、という事情が、問題をさらにややこしく
しているようである。

基本的に、Audacityのようなソフトを店頭販売のそれと比べるのは、あまり意
味のあることではない。最近は、企業開発のソフトは、ハード、例えばチップ
セットや搭載されたCPUに固有の命令セットに最適化されたものが多くなって
いる。こうした市場傾向に対して、有志が共同で開発するものの多くは機種に
依存しないものが多い。

Audacityの場合は、クロスプラットフォーム・GUIツールキット『wxWidgets』
を使って開発されており、C言語やC++言語でソースコードが書かれている。
『wxWidgets』については、下記サイトを直接訪問して、ご自分の目で確かめ
ていただきたい。
http://wxwidgets.org/

日本語翻訳も用意されていて、そこをクリックすると「オープンソース、十字
プラットホーム天然UIのフレームワーク 11年間のそれの後ろの進化と十字プ
ラットホームのプログラミングの子どもだましを作るオープンソースC++ GUI
フレームワーク。よく、ほとんど」なんて度肝をぬかれる翻訳があらわれる。
どうやら、Cで書かれたものなら、機種を問わない、クロスプラットフォーム
での開発が可能らしい。

と、以上の事情を考慮すれば、結果、開発されたソフトの動作についても、お
よそ見当がつく。いくつか具体的に例をあげるなら、例えば、媒体、ハードデ
ィスクを直接コントロールするような動作はしないし、インテルのマルチメデ
ィア拡張命令セットにもオリジナルのままでは対応しないはずである。

Audacityの場合で言うなら、マルチトラックでの録音が可能であるとされてい
るが、それは、本来的に、汎用ソフトウェア上で管理できる範囲に限られてい
る。すでに録音したものに音を重ねると、大きなずれが生じてしまう問題があ
るが、これも上記の事情から当然予測される結果なのだ。この点について、開
発者サイトでもアナウンスされているが、こうしたズレは、それぞれ自己責任
でフィックスするしかない。

私のところにも寄せられたAudacity関連の相談の大半が、多重レコーディング
できない! という、この問題だった。

実際、Audacityで可能とされているのは、すでに録音したものを再生しながら、
別の新規トラックを録音できる、という動作であって、それがシンクするかど
うかは別問題らしい。笑い話のようだが、つまりは「録音できる」という点だ
け保証されているのであって、あとは、環境の進化、例えばクロック速度など
が上がる事によって、タイミングの短縮を待つしかない、ということのようだ。

この機会に、この件でお悩みの方に一言書いておくけれど、多重録音したいな
ら、それなりのソフトを使った方がいい結果が速やかに得られる。今時の音楽
ソフトなら、まずたいていは音声をマルチトラックで扱えるはずだ。

新しい機材もないし、予算もない、という方には、フリー版のProToolsがお薦
めだ。

これも「十字プラットホーム天然UI」だ。マックとウィンドウズ版があり、ど
ちらのものも無償。ただし、WIndows版なら98SEかMe、MacならOS 9、いずれの
環境も一時代前のOSがインスツールされている必要がある。それで、音声が8
トラックMIDI48トラックを同時に扱え、しかも、通常使用する場合に困らない
だけのエフェクトすら同梱されていて、全ての機能がきちんと使える。使い勝
手はプロ用のそれと同じ。そのうえ24ビットでの音楽制作が行える。まさに言
うことなしである。

実を言うと、このPro Tools、その最高機種をもってしても厳密な意味でのシ
ンクは難しい。

このあたりの事情は、専門的なサイトで調べていただきたいが、シンクの問題
は完全には解決されていないのだ。こうした諸問題を学習する意味からも、多
重録音用途にPro Toolsを使う意義はあろう。

Audacityは、Pro Toolsでバウンス(ミキシング)した後の2トラックファイル
を編集する際、マスタリング用途に使う。これが基本だろう。

Pro Toolsフリーは、下記Digidesignのサイトからダウンロードできる。私自
身、古めの機械を専用マルチレコーダー化してサブで使っている。他のソフト
はインスツールせず、OSに、簡単なユーティリティーとPro Toolsだけをイン
スツールある。これが、今のところ、かなり快適に動いてくれている。皆さん
もぜひ一台ゲットしてはいかがか。

Digidesign オンライン
http://www.digidesign.com/

モモヨ(リザード) 管原保雄
http://www.babylonic.com/

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■買い物の王子さま 第31回
独り占めしたいもの

石原 強
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星の数ほどある欲しいものの中で、最も惹かれるアイテムが「椅子」です。ウ
ェグナーのYチェア、コルビュジェのLC1、イームズのラウンジチェアなど、い
つかは欲しいと憧れる名作椅子が山ほどあります。しかしその椅子が「似合う
部屋に住む」というハードルが高くて、なかなか買えるものではありません。

新しい家に引っ越した時、まず探した家具が椅子でした。四畳半の和室を仕事
部屋として使うために、畳で使える素敵な椅子が欲しい。座り心地のよさや、
くつろげる背もたれは必須だけど、読書や仕事に集中できるように体が沈み込
まない硬めの座面がいい。フローリングでも畳でも違和感のデザインがいい。
云々…。

めったに出来ない買い物だけに、探すのにも熱が入りますます。ベストの一脚
を求めてインテリアショップはもちろん、実際に座ることができる椅子の展覧
会にも出かけて、片っ端から気になる椅子に座りました。その中で選んだのが
「低座椅子」でした。

「低座椅子」は日本人の手によってデザインされました。そのため日本人の生
活にあわせた様々な工夫がなされています。例えば低い座面に座った目線の高
さは「座布団」とあまり変わらないので、天井の低い日本家屋でも圧迫感を感
じません。また、足は4本ではなく2枚の板で支える構造で、畳を傷めません。

外見は、まるで雪上を走るソリのような形で、お世辞にもスマートとは言えま
せんが、座るととても心地よく、かつ姿勢よくなるのも仕事向きです。

早速ネットで検索してみますが、この椅子を扱っているお店がありません。一
つ気になるお店がありました。有名な椅子を多数扱っていて、しかも割り引き
価格です。やはり目当ての低座椅子はページに掲載されていませんでした。

ページに「取扱いメーカーリストに掲載されているメーカーの商品は、ほぼ全
商品取り扱っております」と明記されていたので、試しにメールで見積り依頼
をしてみました。すると翌日、取り寄せ可能という返信があり、安い見積り価
格にびっくりです。しかも、メールの最後にこんなメッセージがありました。

---
よろしくご検討下さいませ。
なお、どの商品も可能な限り■最低価格保証■を致しております。
万が一、他店より高い場合はお気軽にご相談くださいませ。
---

まるで、家電の量販店のようです。扱っていた数件のお店はどこも横並びの定
価販売だったので、最も安いのは間違いありません。張り地の色指定や納期な
どをメールでやりとりしてから注文しました。

待つこと3週間で届きました。とても具合が良くて、ずっと座っていても疲れ
ません。それ以来、長い時間映画を観る時も、本を読む時も、メールを書く時
もいつもこの椅子に座っていました。

畳の部屋とフローリングも違和感ないデザインなので、いつも一緒に移動して
使っていたら、この座り心地を家族に気づかれてしまったのです。「一人だけ
で使っているのはズルい」と、その日からリビングが定位置となってしまいま
した。

椅子を買ったお店「Amenity-World」
http://www.amenity-world.com/index.html

【いしはら・つよし】info@webanalyst.jp
このコラムは、いつもこの椅子に座って書いています。私が低座椅子を買った
1年前は、ネットで売っている店はありませんでしたが、今では、いくつもの
お店でみかけるようになりました。低座椅子の紹介はこちら
http://excite.japandesign.ne.jp/episode/020731/

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■セミナー案内
JPC コンテンツマネージメント委員会特別セミナー
<http://www.jpc.gr.jp/ >
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<主催者情報>
テーマ:日本は2~3年遅れている!欧米で注目の【コンテンツマネジメント】
をご存知ですか? コンテンツ管理市場において、現在、最も注目を集めてい
るコンテンツマネジメント・システム(CMS)のご紹介。

日時:3月25日(木)18:30~20:30 ※18:15~受付開始
会場:日本教育会館 808会議室 (東京都千代田区一ツ橋2-6-2)
参加費:JPC会員・団体会員無料、一般2,000円
内容:Webの浸透などを背景に、企業や個人が取り扱う情報量は飛躍的に拡大
し、それとともに膨大なコンテンツを効率的にそしてより戦略的に管理しよう
という考え方が、欧米の企業においては、数年前から浸透・普及してきました
日本企業においてもコンテンツマネジメントは、今や最も注目を集めるテーマ
のひとつです。
・プログラム
18:30~19:15「FatWire Content Serverのご紹介(コンテンツマネージメント
概要)」FatWire株式会社
19:15~20:00
「Webと印刷媒体の連携によりコストダウンを実現する「PortOne」のご紹介」
株式会社オープンマジック
20:00~20:30「質疑応答」

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■イベント案内
デジハリ卒業制作展「デジタルフロンティア・グランプリ2004」
<http://www.dhw.co.jp/df04/ >
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<主催者情報>
日時:4月3日(土)13:00~
会場:六本木アカデミーヒルズ
(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー49F)
プログラム:
第1部 「デジタルとジブリの世界]
ゲスト=スタジオジブリ プロデューサー 高橋 望氏
第2部「決定! デジタルフロンティア・グランプリ」
デジハリ1年制コース生作品(CGアニメーション、グラフィックアート、Webサ
イト)約300作品の頂点を決定するグランプリ。全28カ国の映画祭・コンテス
トで上映され、DVDデビューを果たしたCG作品『スキージャンプ・ペア』(平
成15年度文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀賞)や、日本最
大級のお笑いサイトに発展した『お笑いチャンネルbrst.TV』(第18回デジタ
ルコンテンツグランプリ「金の翼賞」)など、数々の優秀作品がここでデビュ
ーをしています。ぜひ、ご来場下さい。
参加無料・要予約(0210-386-810 またはサイトで予約可能)

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■特報・セミナー案内
デジクリ主催「デジタルクリエーション大学院セミナー」開催!
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主催:デジタルクリエーターズ
内容:グラフィックデザイナー、イラストレーターの海津宜則さんによる
Adobe Illustrator、Photoshopをツールとした総合デジタルクリエーション・
セミナー。
日時:4月9日(金)13:00~17:00
会場:大阪・メビック扇町
対象:原則として、大学や専門学校、その他で教育に携わる方に限る。
受講料:10,000円~5,000円(受講者数による変動制)最少催行人数12名、人
数が増えるごとに段階的に金額が下がり、定員30名に達したときの受講料は
5,000円。先着順、4月5日正午締切、それ以前に定数に達したとき締切。
申し込み・問い合わせ:デジクリ編集長あてにメールください。個別に対応し
講義内容などをお知らせします。また受講者数、受講料金額は毎週月曜日に報
告します。
問い合わせ先:tdo@green.ocn.ne.jp サブジェクトは「大学院セミナー」

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■編集後記(3/16)
・昨日は「アジアグラフィック」を見るため銀座に出かけた。会場のギャラリ
ー汲美はてごろな広さで、グループ展には最適だ。わたしは出品者でも関係者
でもないが(少し関係者か)、初日の緊張した雰囲気というのは何度経験して
もいいものだ。知り合いの展覧会初日に行ったのはじつに久しぶりだ。問題は
目が悪くなったから、人の顔があまりよく見えないことだ。喜多見康の奥さん
を作家と見間違ったり、デジクリでもおなじみの小笠原たけしさんがいたのも
気がつかなかった。総銀髪の宇宙人かい? みたいな若い女性もいて、そばに
来たら高橋里季さんだった。この人の飛び具合は相当なものなので、以前から
宇宙人と呼んでいたのだが、やはり宇宙人だった。メガネをかければいいのだ
が、じつはよく見えても名前と顔を忘れちゃった人もいるので、「見えないん
ですよ、すみません」で通した方がいいのだ。この展覧会では、プリント作品
を販売している。昨日の展覧会情報では、価格を10,000万円としたが、すみま
せん、10,000円です。間違えと気がつかない人はいないと思いますが。(柴田)

・週に一度乗るコミュニティバス(通称赤バス)。私が降りるバス停から、小
学生くらいの車椅子の少年が乗る。はじめて会った時にあるドジをしてしまい、
それがきっと彼の記憶に残ったのだろう、次に会った時はお互いを認識してい
た。三回目に会った時には会釈するようになった。今はなるべく彼に会えるバ
スに乗ろうとしてしまう。/セグウェイは車椅子の開発から生まれたものだと
まつむらさんに教わった。体重移動だけで車椅子が操作できたらいいもんね。
なるほどなあ。日本には入ってきていないんだけど、階段が昇れたり、健常者
と同じ視線の高さで移動できるらしい。動画を見て感動した。スロープ整備す
るより、この車椅子を皆に配ってくれればいいのに、という話になった。母親
に話すと老人さんには操作は難しそうだから無理だけど、若い人なら付き添い
が必要でなくなるかもしれないからいい。付き添いがいないからと学校に通え
ない人、お買い物が自由にできない人だっているんだからと。週に一度会う彼
も、この車椅子があれば一人で自由に動けるだろうになぁ。(hammer.mule)
http://www.independencenow.com/ibot/  素晴らしい
http://www.independencenow.com/ibot/video_select.html  動画を見て!
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20011211304.html
http://www.independence.jp/ ←日本はここまで ↑関連記事

http://www.dgcr.com/present/p_postcard.html  プレゼント追加受付中

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