[1795] 片思いで悪いか

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【日刊デジタルクリエイターズ】 No.1795    2005/07/22.Fri.14:00発行
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          <私の愛し方は間違っているのか>         

■デジクリトーク 
 片思いで悪いか
 やましたくにこ
 
■ショート・ストーリーのKUNI(13) 
 王様と召使い
 やましたくにこ

■イベント案内
 なにわ音楽博覧会

■展覧会案内
 世界文化遺産写真展「アンコールと生きる」



■デジクリトーク
片思いで悪いか

やましたくにこ
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私は映画が好きだ。たぶん。というのは時々自信がなくなるからだ。

私の頭は相当ぼーっとしてるらしく、自慢じゃないが映画を見てもよくわかっ
ていないことが多い。「おもしろかった!」と言うと人はみんな「へー、どん
な話だったの?」と聞くものだが、このとき私はまともに答えられたためしが
ない。

「えーと、その……若い人が何人かでアパートに住んでて……そこに突然死体
が…それで、えーと……なんかして」たちまちしどろもどろになり、相手の顔
にはみるみる(ほんとに見てたんだろか、こいつ?)という疑念が浮かび、さ
げすみの表情へとリアルタイムで変化していくさまがみてとれる。無理もない、
と自分でも思う。ストーリーもわかってなくて、映画を語る資格があるか? 
映画を好きだなどといえるか?

俳優の顔を覚えることも苦手だ。脇役の人ならまだしも、主役や準主役級のキ
ャストを区別できてないときもある。見るのはだいたい外国映画だが、黒人俳
優はみんな同じに見えてしまう。だから主要な役で二人以上黒人が出てるとス
トーリーも何もわからなくなってしまう。なんとか区別しようと必死で見てい
ると字幕を読むのがおろそかになり、やっぱり話がわからない。

こんな私だから、たくさん覚えないといけないことがある映画は苦手だ。いろ
んな種族が出てきてその特質を覚えるだけでも大変なのにそれらがややこしく
からみあっているらしく、おまけにそれぞれ名前もあり(まあ普通あるが)話
がやたら長い映画、具体的にどの映画とはいわないが「ロー○・オブ・ザ・リ
ング」とかは最たるものだ。舞台が宇宙に設定されてはいるが、私にはとても
SFと思えない「スターウ○ーズ」も同じ。

私の希望としてはできれば登場人物は数人、時間的にはせいぜい3日以内の話
で、舞台もあまりめまぐるしく変わらない映画がいい。それも、出てくるたび
にコスチュームや髪型が変わったりするとわからなくなるのでやめてほしい。

とかなんとか、今でこそ開き直りに近いことを書いてみたりするが、実はずー
っと長い間、私は常にひがんでいた。ややこしいストーリーでもたちまち理解
して人に説明することができ、俳優の顔と名前が混乱することもなく、過去に
見た映画もよく記憶&整理でき、「ああ、あの映画はこの作品へのオマージュ
というべきものだ」「この作品の冒頭はあの作品のパクリだね、はは」などと
言う人々のほうが映画に近いところにいるのは間違いないように思えるからだ。

私はできるだけ映画は映画館で見る。映画に対して申し訳ない気がするので
DVDだけですますことはしない。CMが何回も入り、その分カットされまくって
いるテレビ放映なんか論外。一日に何本も見ると私の頭では混乱するし、それ
では映画に申し訳ないのでできるだけ1本にとどめる。冒頭のほんの少し見逃
しただけでも申し訳ないような気がするので、5分でも上映に遅れるようなら
断念して出直す。吹き替え版などとんでもない。読むのが大変でも絶対字幕。
体調の悪いときは見ない。

それらすべては私の映画への「愛」の表現のつもりだった。なのに、世間のい
わゆる映画ファンは一日に何本も映画をはしごし、時には割り切ってビデオや
テレビで済ます。「吹き替えもいいよー。画面に専念できるし」とあっさり言
ったりする。そうなのか。私の愛し方は間違っているのか。
 
そんなことを思っていると、たまたま新聞の読書欄で山崎浩一氏が「世にも美
しい数学入門」を評した文章を読んだ。氏はいまだに悪夢をみるほど数学嫌い
ということだが、単に嫌いというのでなく、「実は私は数学を愛していたのだ。
が、数学は私を愛してはくれなかった。私にはその資格も能力もなかった。二
人は永遠に交わらぬ平行線であり、数学の前で私は『1と自分自身でしか割り
切れぬ素数』のように孤独だった」というのだ(朝日新聞2005年6月26日)。

おお、似たようなことを書く人がいるものだ。こちらのほうがかっこいいけど。
なんだかうれしい。といって状況が変わるものでもないが。

私もまた映画に片思いしているのだ。きっと。いや、自分では愛しているつも
りでも、映画にしてみれば迷惑な、勘違い女なのかもしれない。映画をどんど
ん見てどんどん吸収し、誰かに聞かれたらすらすらと蘊蓄のひとつもひけらか
すことのできる人間こそがきっと、映画とラブラブになれる人なのだ。私なん
か、映画は振り向いてもくれない、いや、いることすら気づいてないにちがい
ない。

ええいかまうもんか。

ほぼやけになった私は、それでもしつこく映画館に行く。行くのはたいていレ
ディースデイ。もちろんひとりで。年のせいか映画を見て泣くことが多くなっ
た。悲しい映画はもちろん、映画の出来が良くて感動したときも泣く。「ジャ
イアント・ピーチ」を見たときは始まって間もなく「なんて私好みの映画なん
だ!」と思うやいなや涙があふれて、終わりまでハンカチが手放せなかった。

「宇宙戦争」もこわくてこわくて、さすがスピさんだわと、こわがりながらう
れし涙があふれた。「真夜中の弥次さん喜多さん」もがはははと笑いながら満
足の涙を流した。と、自分のサイトの日記でしょっちゅう泣いた泣いたと書い
ているので「映画ファン」の友人が「泣ける映画がいい映画とは限りませんよ」
とすばらしい忠告をしてくれたことがあった。

ご心配なく。「A.I.」では大泣きした(しゃくりあげた)が必ずしもスピルバ
ーグの最良の作品とは思ってないし、「奇跡の海」で号泣したといっても私は
ラース・フォン・トリアーが大嫌いだ。私はただ、愛する映画に少しでも近づ
く手だてがないかと、今日もぶざまに模索を続けているだけなのだ。 

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
<http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/>

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■ショート・ストーリーのKUNI(13) 
王様と召使い

やましたくにこ
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あるところに王様がいた。王様にはたくさんの召使いがいたが、中でも忠実な
召使いがいて、これをたいへんひいきにしていた。名をヤーサムと言った。

ヤーサムは何事においても王様を第一に考える、召使いの鏡ともいえる男であ
ったが、王様にはたったひとつ、ヤーサムについて気に入らない点があった。
それは、むやみに謝るということだった。取るに足らないことをほんの少し言
い間違えただけでさも大変なことをしたように謝る。雨が降ったといっては謝
る。風が吹いたといっては謝る。

「これ、ヤーサム、おまえはなぜそうしょっちゅう謝るのだ」
「も、申し訳ありません、王様」
「だから、なぜそう謝るのかと申しておる」
「私が悪うございます。お許しくださいませ」
「いや、だから」

王様はヤーサムがすぐれた召使いであることを十分認めていたが、この点につ
いては我慢ならなかった。うっとうしい。押しつけがましい。いらいらするの
だ。そこである日、王様はヤーサムに言った。

「ヤーサム。今後いっさい謝ることはならん」
「ええっ。そそ、それは」
「絶対に、絶対に謝ってはならん。わしはそなたが謝るのを聞くといらいらす
る。虫酸が走るのだ。これからは謝りたくなったら『申し訳ありません』の代
わりに『ばかやろう』と言え」
「ええっ。おおお、王様に『ば…ば…』と。ああああ。そそそ、そんなことは
とても言えません」
「なぜじゃ。そなたが余に『ばかやろう』と言えばそれは『申し訳ありません』
の意味になるのじゃ。なら、同じことではないか。単に言葉を言い換えるだけ
じゃ」
「そ、そう言われましても」
「命令じゃ。従えないなら城から出ていくがよい」
「そそ、そんな!」

ヤーサムは大変ショックを受けたが、何よりも大切に思う王様の命令とあれば
仕方ない。これからは謝りたくなったら「ばかやろう」と言わなくてはならな
いのだ。

「ああ、そんなことができるだろうか。王様に向かってば、ば…ああ、できな
い、とてもできない」

ヤーサムにとってつらい日々が始まった。もともと謝るようなことをしなけれ
ばいいじゃないかと思われるかも知れないが、平均的な人間なら謝ろうともし
ないことをヤーサムは謝らずにはいられないのだ。それは、ヤーサムが特に潔
癖で神経質であることを示すのか、あるいは他の人間と違って王様にだけは誤
解されたくないという、特別な思いがあったのか、それはわからない。

「王様、今日もよいお天気でけっこうなことでございます」
「うむ。時にそなた、今日は見慣れぬ衣服をきておるな。いつものほうが似合
っておるのに」
「あ、こ、こ、この服でございますか。申し訳…」
「なんだと?」
「あ、い、いえ、えー、その…ばかやろ」
「なんじゃ聞こえぬぞ。もっと大きな声で言え!」
「ば…ば…ばかやろう」

ヤーサムはそんな言葉を王様に向かって言う自分が許せなかった。だが、他な
らぬ王様の命令なのだ。嫌悪感に体中をこわばらせ、黒い汗と熱がふつふつと
吹き出すような地獄の苦しみの中でやむにやまれずヤーサムは言ったのだ。そ
の晩、ヤーサムは自室に戻るとおのれを責め、壁に頭を打ちつけ、頬をたたき、
声をあげて泣いた。

「ああ、王様にあんなことを、あんなことを言ってしまった。大事な大事な王
様に。私は最低の人間だ。犬畜生にも劣る人間だ。ああ、でも、これからもあ
のようにするしかないのだ。ああ、どうしたらいいんだ」

ヤーサムはできるだけ謝らずにすむよう日々の任務に細心の注意を払い、これ
まで以上に正確さを期すよう努めたが、それでもまったく完璧にこなすことな
ど所詮不可能というものだ。

「ヤーサム、今日の料理も大変美味であった。さすがそなたの采配によるもの。
じゃが、氷菓子がもうほんの少し多めにあってもよかったのう」
「ああ、ささ、さようでございますか、王様、も…」
「何だと?」
「いえ、その…ば…かやろう」
「もっとはっきり言え!」
「ば、ば、ばかやろう! ああ、本当にばかやろうでございます!」

王様はにやりと笑みさえ浮かべているが、ヤーサムははらわたを捻られるほど
の苦しみに吐き気さえ催し、顔は青ざめ、ともすれば眉間に縦皺が寄るのを必
死で抑えているのであった。

これではいけない。ヤーサムは悩んだ。誰よりも大切な王様の命令なのだから、
それに従わなければならないのは当然だ。たとえ自分の感情にそぐわないこと
であっても、それがどうしたというのだ。おのれの感情を優先させるなんて、
どう考えても大人げない、わがままな態度でしかない。本当に王様のことを思
うのなら辛抱するんだ。辛抱して、王様に向かって堂々と「ばかやろう」と言
えるようにならなければ。そもそも、たかが言葉ではないか。たかが。

ヤーサムは来る日も来る日も自室の壁に向かってばかやろう、ばかやろうと繰
り返した。その甲斐あって、少しずつ王様の前でもばかやろうと言えるように
なってきた。
 
「ヤーサム、庭のバラがしおれているぞ」
「は、王様、ばかやろう」
「ヤーサム、客人の料理が冷めておる」
「はい、王様、ばかやろう」

次第にヤーサムは「ばかやろう」の腕を上げてきた。最初はつっかえつっかえ
だったが、だんだんなめらかに言えるようになった。口に出すたび胸が痛み、
耐えられないほどで、それがついつい声音にも現れていたのが、ごく自然に言
えるようになった。少しずつヤーサムの中にある種の自信が生まれた。

「おお、ヤーサム、今日は早いのう」
「はい、実は朝一番に東国から薬種商人がやってくる予定なのです。王様に申
し上げるのを忘れておりました。ばかやろう」
「おおそうか。別に気にせずともよいぞ」
「いいえ、そうはまいりません。改めて申し上げます。ばかやろう!」

王様はどきりとした。それは王様の知っているヤーサムであってヤーサムでは
なかった。ばかやろうと言いながら王様の目をしっかり見据え、その目には力
がこもっていた。おどおどと何かにつけ懇願するように謝っていたあのヤーサ
ムはそこにいなかった。王様はあっけにとられ、しばらく口をぽかんと開けて
いた。

それが最初だった。

言葉は言葉であってただそれだけのものに過ぎないと、多くの人が誤解してい
ることは驚嘆に値する。「ばかやろう」というたったひとことはヤーサムとい
う男の何かを決定的に変えた。いったん回りだした歯車は止まることなく、だ
れも、彼自身も思ってもみなかったところへヤーサムを運んでいった。このこ
ろにわかにヤーサムの身長が伸びたように見えたとか、若返ったとか顔立ちが
がらりと変わったようだったと何人もの人が証言しているのはまことに興味深
い。ヤーサムは堂々と歩き、よく通る声でものを言い、自ら何かを提案し、行
動する人間になった。彼は生まれ変わったのだ。

王様はこれまでヤーサムには話したこともなかったこと、武器の管理や隣国と
の国境問題などもヤーサムに相談するようになった。驚くべきことに、それら
の問題点にヤーサムは自信満々で応じ、的確な判断を示し、具体的にどの方面
にどれだけの予算を割き、何をどう配置すればいいのかも短い時間で示すこと
ができた。王様は、自分が最も身近に置いていた召使いの能力さえ見定めるこ
とができていなかったことに気づき、愕然とした。

ヤーサムは単なる召使いから国政全般の相談役とでもいえる存在へと変わって
いった。ヤーサムの口調はますます自信に満ちたものとなり、王様は反対にそ
の影を薄くする一方だった。

2年がたった。

ヤーサムはいまは国王の座につき、元の王様はかつてヤーサムがそうであった
ような、王様つきの召使いとなっていた。そうなることに誰も異を唱えなかっ
た。

「明日は国政会議のはずだが、大臣たちの報告書がまだ余に届いておらぬ。ど
うなっておるのか」
「は、王様、申し訳ありません」

かつて王様であり、いまは召使いとなったその男はいとも簡単に謝った。彼の
謝り方は単に謝ることであり、それ以上でも以下でもなく、別にヤーサムを不
快にさせることもなかった。なぜなのだろうとヤーサムは思った。なぜ自分は
謝ることを禁じられたのか、いまだに腑に落ちなかった。そうして、かつて自
分があれほどまでに忠実に仕えた男、ひたすら嫌われたくないと願った男がい
まこのようにして自分より低いところでひざまずいているのを見ると、心はど
こか遠いところに飛んでいくようだった。

国王の毎日は忙しく、忙しい毎日は国王をさらに国王らしく変えていき、もは
や自分がかつて召使いであったことすら忘れてしまいそうだった。それでも時
には、自分が召使いで王様が王様であったときの幸福な夢をみる。そして目覚
めた後、ヤーサムは自分が涙ぐんでいるのに気づいておどろくのだ。

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部
<http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/>

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■イベント案内
なにわ音楽博覧会
<http://www.kirin.co.jp/active/art/kpo/art/now.html>
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会期:7月23日(土)~9月4日(日)11:00~21:00
会場:KPOキリンプラザ大阪(大阪市中央区宗右衛門町7番2号 TEL.06-6212
-6578)
内容:大阪が音楽ヒットの重要拠点として全国的に注目されていた'70年代を
中心に、今日までの大阪の音楽史をさまざまな角度からひもとき、それぞれに
趣向を凝らしたコーナーでご紹介。とっても楽しくて貴重なイベントです。
 
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■展覧会案内
世界文化遺産写真展「アンコールと生きる」~クメール文明の今
写真家・BAKU斉藤
<http://www.syabi.com/>
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会期:7月16日(土)~8月14日(日)10:00~18:00 木・金は20時)月休 
7/25、8/1開館
会場:東京都写真美術館地下1階映像展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比
寿ガーデンプレイス TEL.03-3280-0099)
料金:一般1,000円、学生800円、中高生・65歳以上500円
内容:消滅しつつある遺跡群を記録にとどめるため、体系的な記録を撮影しつ
づける写真家・BAKU斉藤の作品を紹介する。
・BAKU斉藤ホームページ
http://www.baku1.com/


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■編集後記(7/22)
・およそスマートとは呼べない、小さな記事が無造作にどろくさいレイアウト
で並んだ雑誌「日本カメラ」を毎号読んでいる。記事はよくも悪くもないが、
月例コンテストの作品に笑えるのがあって好きだなあ。今月は大根のヌードが
秀逸(283ページ)。もっと笑えるのが、金村修先生のモノクロプリントの部
の評である。ほとんど写真作品の評とは思えない過激で哲学な表現だ。他の選
者がきちんと分かりやすい(平凡な)写真評をしている中で、意味はよく分か
らないけど畏れ入っちゃう迫力の評なのだ。せっかく選ばれても、こんなこと
言われて気の毒と思わないでもない例が多いが、けっこううれしい評かもしれ
ない。その一部を抜き出すとさらにいい。「作者のダンテ的な強い意志を感じ
ます」「作者のパウロ的な愛を感じさせます」「このヤギの目の止まりには批
評的な恐さを感じます」「死体派宣言ともいえるような写真です」「撮影態度
に甘えを感じます」「ここまで空虚に写せてしまう作者の先鋭的な態度に感服
いたします」「このような許せなさに対して写真家はもっと呵責な撮影態度が
求められます」「コントラストがつきすぎです。これは山ではなくあの世です」
もっと紹介したいがこのへんで。でも、金賞作品の評は、やっぱりちょっと意
味不明だが、すばらしく意味深い。「撮影は人間の破壊である」と主張する金
村先生の話芸(失礼)をリアルで見たいと思うのであった。    (柴田)

・パーソナルカラー診断に行ってきたよ~とI黒さんからメール。彼女も
Winterだったそう。ずっとオークル系のファンデーション使っていたからと、
すぐにピンク系のを買いに行かれたそうだ。衝撃だったって。「Summerや
Autumnな女性になりたくて選ぶ色やコーディネートを、意識的に今までの自分
と違うようにしていたのがなんか笑えました。」わかるわ~! 優しい感じに
したいよねぇ。爽やかそうとか若々しいとかも。バーバリーのコートなんてベ
ージュが主流で、一生モノっていわれているから試してみたら似合わなくて、
外国の女優さんみたいなファッションは無理なの? と思っていたが、診断さ
れたら諦めがつくってもんだ。お互い黒白似合う特権生かしましょ~!/昨日
の「はりがね」。T田さんから速攻メール。「福岡では通常、とんこつラーメ
ンしかメニューにないことが多かったので、注文する時は麺の固さのみ、店員
さんに伝えてました。」そう、昨日書いたのはまさに福岡とんこつラーメンの
お店であった。「ちなみに、とんこつラーメンひとつ下さいと注文した時点で
よそ者だとわかります。」って。ばればれや~。「負けず嫌いが多いのでエス
カレートしていきますね。友達が固メン頼んだら、自分はバリ固とか、ハリガ
ネとか。なんかもう、意地の張り合いみたいになってます(笑)。」わはは~!
なんだか楽しそう。メールありがとうございます~!    (hammer.mule)
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発行   デジタルクリエイターズ <http://www.dgcr.com/>

編集長     柴田忠男 
デスク     濱村和恵 
アソシエーツ  神田敏晶 
リニューアル  8月サンタ
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