[2007] ショート・ストーリー「鞄」

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<求めているのはこの味ではない>         

■ショート・ストーリーのKUNI[20] 
 鞄
 やましたくにこ

■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[111]
 車検をめぐる冒険〜その2〜
 茂田カツノリ

■デジアナ逆十字固め…[11]
 凹レンズをフィルターのように使う
 上原ゼンジ


■ショート・ストーリーのKUNI[20] 


やましたくにこ
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女たちの中には旅行に行くわけでもないのにやたら大きな鞄を携行しているものがいるが、それが長年私にとって謎だった。

かくいう私の恋人もそのひとりで、どこに行くにも大きな鞄を、あるときは肩にかけ、あるときはきゃしゃな腕で提げている。

「いったいその中には何が入っているんだい」そう私が聞いても「女はいろいろ持って歩かないといけないものが多いのよ」と答えるだけで要領を得ない。

もちろんそうだ。小学生じゃあるまいし、化粧品だとか、人前で出すのを憚られるものだとか、女特有のいろいろな携行物があることはわかるが、そんな説明で私の好奇心が萎えることはない。

私は恋人の鞄の中身が気になって仕方ない。キスをしているときでも、セックスしてるときでも気になって仕方ない。恋人の鞄の中身が気になって恋人を十分満足させられないのだ。これはよくない。

そこで、恋人が私の部屋を訪れた際、私はひそかに機を窺っていたが、首尾良く彼女がトイレに立ったときを逃さず、鞄を開けてみた。これは結局彼女のためなのだから、と自分に言い聞かせて。

すると、案の定というかなんというか、鞄のなかには小さな男がいた。40過ぎかと思えるぱっとしない風貌の男で、コンパクトや手帳やポケットティッシュといったさまざまな物たちの間できゅうくつそうに身体をおりたたんでいる。私と目が合うと、そいつは気弱そうなほほえみを浮かべた。
「やあ」「やあ」「こんなところで何をしてるんですか」「いや、別に」

そこで彼女がトイレから戻ってきたので私はあわてて鞄のファスナーを閉め、素知らぬ顔をした。

しかし、気になって会話もはずまない。ベッドインしてみたがうまく果たせない。彼女はレンジの加熱に失敗して温度分布がむらになったピザのような顔で帰っていく。

次に彼女が来たとき、私はわくわくしている。彼女より鞄の中身が気になって。具合良く彼女が「今日は私がご飯をつくってあげる」と言って台所に立ったすきをねらい、私は鞄を開ける。例の男がいる。

「やあ」
「やあ」
「あなたは、その、つまり、彼女の」
私が言いかけると男は途中でさえぎり
「ああ、そそ、そうです、僕は要するに彼女の」
やはりそうなのか。でも、特に何の感情も湧いてこない。
「で、いつもそこにいるわけですか」
「そそ、そうです、いつもここにいます」
「どんな気持ちがするもんですか」
「うーん。悪くはないですよ」
「そうですか」
「ええ、楽だし」
「ああ、楽そうですね、確かに」
男は笑顔になり、何度もうなづく。
「でも、寂しくないですか、ひとりで」
「いや、ひとりじゃないんです」
男が視線を鞄の奥に向けて言った。
すると奥から「ちわ」と声がした。私は仰天した。もうひとりいるのか?!

そのとき彼女が「できたわよー、チャーハン」と声をかけたので、私はあわてて鞄のファスナーを閉めた。チャーハンはとてもおいしかったが、私は気になって仕方ない。鞄の中身、二人目の男。

この日も私は彼女とうまくいかず、彼女は破裂寸前で破裂しないレンジ用のポップコーンみたいな顔で帰って行った。
また彼女がやってきた。私はまた彼らに会う。二人目の男はまだ30代と思われたが、陽気でおしゃべりで、私が聞かないうちにいろいろ説明してくれた。
「まあ、こういうことはね、よくあることなんですよ。でかい鞄を持ってる女の8割くらいはこれですかね」
一人目の男は無言でただ、うなづく。二人目はしゃべり続ける。

「なりゆきっていうのかな。お互い問題なければいいんじゃないですか。え?鞄が重いだろうって? 彼女に迷惑じゃないかって? うーん。どうだろ。こんなに、文字通り小さくなってるわけだし、重すぎるようなら、女のほうでも考えるんじゃないの? 捨てるとか適当に処分するとか。おれは鞄の中にいるほうなんだから、わからないよそんなこと。言う資格もないし」

そうなのか。私はまだまだ世間の仕組みについてわかっていないようだ。そのとき彼女が「ちょっとー。ワインの栓、開けてちょうだい」と声をかけたので、私はあわてて鞄のファスナーを閉めた。

私はもはや彼女とセックスする気になれない。それより鞄の中の二人の男が気になってしかたない。彼女は解凍するつもりで出された後、料理人の気が変わって、ふたたび冷凍庫に戻された有頭エビみたいな顔で帰って行った。

私は自分の感情を冷静に見つめようと試みる。恋人の鞄の中に男がふたりもいるという、このような事態を前にして自分はどう考えているか。

腹立たしい。驚いた。ばかばかしい。いや、違う。ちょっと楽しそうだ。とても楽しそうだ。うらやましい。うらやましい。うらやましい。うらやましい!

ああ、そうだ。私は彼らをうらやましいと思っているのだ! 自分がそのような人間だと知って、私は少々驚き、一方でうれしくもある。本当の自分を知ることが喜び以外の何ものであろうか。こういうことは早いほうがいいのだ。本当の人生を始めるには早いほうが。

次に彼女が来て風呂に水を入れに行ったとき、私はとびつかんばかりにして鞄のファスナーを開けた。一人目の男が相変わらず気弱そうに「やあ」と言った。奥のほうで二人目の男がうなづいた。

「実は、ぼくも君たちの仲間になろうかと思うんだけど」
二人目は歓声を上げた。
「そう来ると思ったよ! いやあうれしい。おれは人をみる目があってね、鞄の中に入るやつ、入らないやつはすぐにわかる。君が前者であることはひとめ見てわかったよ。これはおもしろくなってきたなあ」

一人目も笑顔でうなづいている。私は歓迎されているようだ。うれしい。これからはめんどうくさいことは何も考えず、女の鞄の中で暮らすのだ。彼女は驚くだろうか? 勢いよく水音を立てながら風呂の用意をしている恋人。戻ってきて私の姿がなかったら、どう思うだろう?

「そんなこと、心配ないよ。おれなんか食事の途中だった。彼女が氷を取りに行ったすきに。矢も盾もたまらなくなって」
「ああ、そうなんだ」私は安堵する。
そのとき一人目が言った。
「その、ちょっと言い忘れていたことが、あるんだけど」
「なんだい?」
「実は、その、あの、もう一人いるんだ」
鞄の奥のほうで控えめな咳払いが聞こえた。目を凝らしてのぞき込むと、白髪交じりの頭髪に眼鏡の冴えない男が見えた。げげっ。
「いや、とと、とても無口なひとでね。たぶんうまくやっていけるよ。ちょっと狭いといえばいえるけど」
気を遣いながら、一人目が言った。

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部
< http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/
>

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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[111]
車検をめぐる冒険〜その2〜

茂田カツノリ
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どうも〜、体重減らさねばと思い始めた茂田です。
ええと、またクルマネタです。

●クルマがブッ壊れたのだ

中古の輸入車買う場合、やっぱ考えるのが「壊れるかな」という点。でも、僕が買った「ギャラクシー」はフォルクスワーゲン+フォードの共同開発車だから、ドイツ車と考えれば信頼性高いかと考えた。

そして購入から2カ月、車検も通したし、調子はとてもよかった。特に高速道路での吸い付くような走りはとてもミニバンとは思えない快適さ。

し、しかし、こないだ走行中にブッ壊れました……。

それはうちの一家+息子の友達の合計7名で潮風公園に向かっていたとき。首都高速高樹町料金所の直前で、前の方から「カラカラ」という異音、そしてゴムが溶けるような臭いがっ!!

料金所を越えた直後の安全な場所に寄せられたのだが、ハンドルが重い! むむ、パワステのアシストがまったく効いてないようだ。

ブッ壊れたのは、結論からいうと発電機・パワステポンプ・エアコンコンプレッサーの3つを1本で回しているベルトの切断(かなり太いベルトで、ディーラーでも「この距離で切断は珍しい」と言われた)。

で、自走はあきらめて保険会社のロードサービスを呼ぶ。停車した場所はまったく安全なところだったけれど、暑いからまず子供たちを降ろさねばならないので、首都高の非常電話で相談。

すると「そこから歩いて降りるのは不可」とのことで、とりあえず首都高のサービスカーに来てもらい相談の結果、近くの基地まで牽引してもらうことに。

というわけで、全員乗せたままヒモで高樹町から麻布の基地まで牽引されたのだった。ちょっと恥ずかしかったし、牽引状態での下り坂でのブレーキ調整が難しかった。

同乗者はそこからタクシーで帰宅し、僕はロードサービス待って成城のディーラーまで運んでもらう。

結局、ベルトとテンショナーを交換して、合計4万円弱。ま、クルマ自体が安かったからしょうがないかっ。

●中古車にちゃんと乗るなら下記をチェックしよう

今回の故障もあって、整備のポイントをもっと知っておかねばと思ったので、いろいろググって調べてみたので、その結果を僕なりにまとめてみる。

1)エンジンオイル
中古車はしばらく動かしてなかったりすることもあるから、走行距離にかかわらず、まず換えよう。

2)オイルフィルター
エンジンオイルとセットで、オイルフィルターも換えよう。

3)ATミッションオイル
これも当然のごとく換えよう。って、交換不要っていう話もあるみたいだけど
……。

4)ブレーキ関係
パッドは減ってれば換えるというものでいいんだけど、問題はそのパッドを受けるローター。特にヨーロッパ車はローターも減りやすいんだそうだ。純正のローターは高いけど、下記のお店で社外品をかなり安く買えるので、これで換えておこう。
・東京パーツコミュニケーション
< http://www.j-warehouse.co.jp/tpc/tpc.htm
>

ヤフオクで見つけて問い合わせたら、超マイナーな僕のクルマもちゃんと適合部品が在庫あって感激。結局、前後のローター+パッドを全部交換した。純正でこれやると14万とか言われるのだが、社外品なら半額で、しかも純正より高性能。ブレーキ換えて、いい感じでガシッと停まるようになって気分がいい。

5)ベルト関係(パワステベルト・オルタネーターベルトなど)
今回の僕のトラブル要因はここだったわけだけど、事前にキズ等のチェックをしてれば防げたこと。何より大事なのはパワステベルトだ。走行中に切れて突然ハンドルが重くなると、焦る。

6)ドライブシャフトブーツ
FF車や4WD車において重要な消耗部品。前輪に駆動力を加えるドライブシャフトをカバーするところで、ここが破れてゴミが入って大きな故障、となる前に、予防的に新しいのに変えておくとあとからお金がかからない。

7)エンジン冷却水
これも安いんだし、まず換えておこう。

8)バッテリー
最近のバッテリーは寿命ギリギリまで不調の兆候が出ないというものだそうなので、予防的に交換しておくのがいい。

9)タイヤ
これは当たり前。

・参考書籍:「20年20万キロもたせるメンテの極意」(広田民郎著)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4381077466/
>

メンテのポイントや考え方から始まって、日本と欧米との中古車・パーツの考え方の違いなどにも言及していて、とても興味深い内容であった。

●こだわりの輸入車乗りなら自分で管理しよう

いま考えれば当たり前のことだけど、古めの輸入車に乗るなら、どういうポイントを整備すればいいかを、自分でしっかり管理すべきだった。

まず一度ディーラーでのチェックをしておくべき。これはリコールなどの対処をちゃんとやってるかのチェックという意味があって、リコールなら中古で買っていようが無償修理になるから。

実は、車検はガソリンスタンドがやってる格安の代行を依頼したのだけど、今回についてはこれは裏目に出た。ディーラーで車検出したら、今回のベルトについてもテンションがおかしいからと事前交換になっただろう。

あ、ちなみにガソリンスタンドでの車検では、エンジンオイル・ATオイル・パワステオイル・冷却水などを、ちょっと割高で交換されることになった。事前にこのあたりは交換しておくか、まだ大丈夫だと思うところは交換を拒否すると、本当に安上がりになるかと。

▼『FileMaker Fun Night! AppleStore銀座』7月8日(土)18:00〜19:00
< http://www.apple.com/jp/retail/ginza/week/20060702.html
>
「開発事例シリーズ3 承認フローを考える」
FileMaker7から大きく変わったアクセス権についての解説を交えつつ、電子承認フローシステムを実際の事例をもとにご紹介いたします。

【しげた・かつのり】shigeta@amonita.com
Webコンサルタント/プランナー。
なんだか知らないうちに7月になってしまい、いろいろと焦る41歳。恐怖の幼稚園夏休みもすぐだし、8月のFileMaker Developer Conferenceも、あっという間に来ちゃうなあ。

[有限会社アモニータ(Web制作/プランニング/出版プロデュース)]
< http://www.amonita.com/
>
[有限会社レクレアル(FileMakerソリューション開発)]
< http://www.recrear.jp/
>
[Max_blog ―“インターネット拾いモノ”でも執筆中]
< http://www.maxwald.co.jp
>
[mixi ―“永吉克之Fan☆Club”コミュニティ]
< http://mixi.jp/view_community.pl?id=94983
>

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■デジアナ逆十字固め…[11]
凹レンズをフィルターのように使う

上原ゼンジ
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ピンホールカメラが、自分が求めていたものとはちょっと違っていたことを、実際に撮影してみて確認することができた。私が求めていたのは、レンズの収差等に見られる味の部分なので、レンズのくっついていないピンホールカメラにそれを求めても仕方がないことだったのだ。

さて次は何をやってみようかと思いながら、凹レンズをカメラの前にかざしていたら、ピントが合うことが分かった。ということは、このまま撮影ができそうだ。凹レンズはケンコー光学のホームページで見つけて、購入したものだ。何か周到な計画があったわけではなく、手持ちのレンズと組み合わせれば、画角を変えたりできるんじゃないかと思い買っておいたのだ。

一眼レフカメラにマクロレンズ(ニコン60mm)を付け、レンズの前に凹レンズをかざしながら撮影したのが、以下のような写真。黒い厚紙を2枚用意して真ん中に丸い穴を開け、レンズをサンドイッチにして使ってみた。
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
>

先に公開したフニャフニャシフトレンズとの違いで言えば、当然こちらのほうがまともに写る。フニャレンズの場合は100円のオモチャの双眼鏡のレンズを一枚使っただけのものだからだ。ただ凹レンズプラスの画像にも変な味わいがあるのは、撮影時に凹レンズを傾けながら撮っていたからだ。

私が勝手に面白がっているのは、レンズの収差の可能性が大きそうなのだが、ではその収差とは何なのだろう? 本来、ピントの合ったシャープな画像を得るためには、レンズを通った光線群は理想的な像点に集まって欲しいところだが、実際にはそうはならない。このように、散らばり偏る現象のことを収差と言う。

この収差には種類がある。縦色収差、倍率色収差、球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差など。こういった収差を押さえ込むために改良を重ねてきたのがレンズの歴史というわけだ。

フニャレンズの場合はこういった収差のオンパレードだったわけだが、凹レンズプラスの場合には、ちゃんとしたマクロレンズを使っているため収差は少なく、シフト化による歪みが、メインになるようだ。ただ、この歪みだけだとそんなには面白くない。いまいち味わい深くないのだ。本命ではないという感じ
……。

凹レンズプラスの利点は、レンズ交換のできる一眼レフに限らず、コンパクトカメラでもフィルタのような感じで使用できること。一眼レフに情けないフニャフニャレンズを付けるのに抵抗のある人でも、まあ手軽に試してみることができる方法だ。

同じようにして、フレネルレンズでも試してみた。フレネルレンズというのはシート状のレンズだが、老眼鏡のコーナーで見つけて買っておいた。要するに大きな凸レンズという感じだが、これを使えば手軽にクローズアップ撮影が楽しめる。

レンズが大きかったので、撮影はしやすかったのだが、描写自体にはいまいち美しさが感じられなかった。単純にレンズの前にかざすというだけではなく、フレア対策等も考えれば、もう少しマシになるかもしれないが、あんまりスジが良くないというイメージだ。単純にチープで変な感じの描写を求めているわけではないので、それなりの美しさも欲しい。そういう意味では残念ながら失格だ。

結局、私が求めているのは単にレンズをシフトさせた時の歪みということではないようだ。手軽にちょっと変わった描写を楽しむということでは、フィルタ代わりに凹レンズや凸レンズをかざしてみるのも面白いが、私が求めているのは、この味ではない。では、いったい何収差なのか?

ソフトフォーカスレンズには、収差を利用したものがある。球面収差だけを意識的に大きくし、他の収差は普通のレンズと同じように押さえ込んだものだ。球面収差ではハローと呼ばれる独特の光の滲みが発生するので、逆にその効果だけを生かすようにしたというわけだ。

さらにユニークなレンズとしては、この球面収差のコントロールが可能な可変収差レンズというのも存在する。要するに球面収差の出し方を調整して、ソフトフォーカスの度合いが変えられるということだ。以前紹介した、ベス単もどきレンズでも絞りで、ハロー効果の変更ができたが、可変収差レンズでは、たとえばレンコンのように穴があいたソフトネスコントローラーが付いていたりするのだ。

私が求めていたのもこの球面収差なのかな? という感じがしないではないのだが、ソフトフォーカスレンズの甘い描写は、ちょっときれい過ぎる。球面収差だけではなく、他の収差も若干加味したほうが良さそうだ。なーんて、自分でそんなものをコントロールできるような知恵もスキルもないのだが……。

フレネルレンズの描写に満足できなかったということは、もしかしたら、トイレンズではなく、ちゃんとしたレンズを使ったほうがいいのかもしれない。しかし、あまり整然とせずにラフっぽい感じも欲しい。なんだか見えてきたような、見えてこないような……。しかし、多少は前進してきているように思う。

なんかこういった実験をしてみると、改めて写真のレンズというのは凄いものなんだということが実感できる。単レンズを使った場合の解像感のなさや、ハッキリと出る色収差。それと比べ、最新のいいレンズで撮影した場合の一点にキッチリとくるピントやボケ具合というのは驚異的と言ってもいい。人類の進歩が凝縮されているといっても良さそうだ。

でも、すごーく単純なレンズで、なんか面白い写真が撮れそうな気もする。

参考:「写真レンズの基礎と発展」小倉敏布(朝日ソノラマ)

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
「すぐにわかる! 使える!! カラーマネージメントの本〜仕事で役立つ色あわせの理論と実践マニュアル」(毎日コミュニケーションズ)が発売中。
< http://book.mycom.co.jp/book/4-8399-1937-2/4-8399-1937-2.shtml
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■編集後記(7/6)
・朝倉卓弥「君の名残を」(宝島社)を読む。単行本2段組み584ページもある大作だ(文庫本2冊も出た)。本の帯には「万感胸に迫る感涙の一作!」「読んでそこらじゅうで泣きました」と書評家とタレントのコメントがある。源義経と木曽義仲、乱世に突如登場した二人の英雄。それぞれに影のように寄りそう男と女。「平家物語」を慟哭のロマンスへと甦らせた。幼馴染みでそれぞれ剣道部の主将を務める白石友恵と原口武蔵はある雨の下校途中忽然と姿を消した〜なんていう情報が載っているから、これだけでお話は分かってしまった。なにものかにタイムスリップさせられた二人は、巴御前と武蔵坊弁慶となって「平家物語」の時代を生きる。同時に、もうひとり友恵の親友の弟・志郎は北条義時として。さらにもうひとり、なにものか(正体は「時」=歴史、時代であろう)から様々な役目を与えられて、異世界から呼び寄せられた3人をサポートする不思議な男もキーマンだ。時々、ゴシック体で組まれた「時」からの語りかけもある。このへんSFっぽくもあるが、ちょっとご都合のよすぎる構造だ。それでも、「平家物語」を下敷きにしているので、歴史物語としてはしっかりしている。また、義仲や義経の最期をすでに知っている、友恵や武蔵の心の葛藤はよく描かれていると思った。義仲の最期に、巴、弁慶、義経が揃うとか、義経の最期では弁慶が巴を助けて義経を討たせるといったこの物語の名場面は、当然フィクション。よくできているが、よい子はこれを史実と思ってはいけない。慟哭したか? しません。でも、先日テレビで見た「戦国自衛隊1549」のつまらなさ、チャチさに比べたら断然こっちが数段上、読み終わるまで3日かかったけど楽しかった。(柴田)

・飛翔体テポドン、テポドン2、ノドン、スカッド。先々週だったか、燃料注入のニュースを聞いて怖くなった。でもまさか発射するとは思わなかった。これからどうなるの?/髪の毛を切ろうと思いつつ、たぶん半年ぐらい経ってしまった。パーマはとれかけだけど、なんだかTVに出ているモデルさんも同じような髪型の人がいたし、いっか、面倒だし、というナマケモノ。ラフな感じと受け取れないこともない。ワックスやムース、ヘアアイロンを駆使。打ち合わせだとさすがにこれはラフすぎるから、夜会巻きっぽくしている。が、夜会巻きに白いシャツだと、レストランやカフェの店員みたいである。そろそろ切らなきゃまずいなぁ。/さすがは永吉さん。不親切な文章のみ、それも後記で紹介しただけなのに、Tシャツ購入者あらわる! 実は画像を公開するまでは申し込みはないんじゃないかと思っていた。後記まで読んでくださってありがとうございますっ! という気持ちでいっぱい。完売まであと少し。シンプルでさりげないにも関わらず、永吉さん独特のイラストが効いてます。Tシャツはありとあらゆるデザインが出回ってますが、永吉さんのイラストって個性的なんだなぁ。ありそうでない感じがいいです。編集長も着やすいねとお気に入り。(hammer.mule)
< http://www.complex-biz.com/
>  パーフェクトスティックが優れもの