[2043] 恐ろしいハイビジョン時代

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<運動会ムービーは再生されることがない>

■KNNエンパワーメントコラム
 恐ろしいハイビジョン時代
 神田敏晶

■クリエイター手抜きプロジェクト[101]Illustrator CS/CS2編
 任意の文字数で改行する
 古籏一浩

■イベント・セミナー案内
 GINZA PHOTOGRAMM 2006〜瞬間(とき)を銀座から
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■KNNエンパワーメントコラム
恐ろしいハイビジョン時代

神田敏晶
───────────────────────────────────
KNN神田です。

32インチの薄型ハイビジョンテレビが我が家にやってきてから困っていることがある。今までの映像ソースのすべてが汚く写ってしまうのである。

薄型テレビはもちろん「フルハイビジョン」ではなく、普通の「ハイビジョン」であるが、今までのブラウン管で見ていた地上波アナログと地上波デジタルの画質の差は雲泥の差である。無料で見られるテレビがこれほどまでに美しいとは!! と感激するものの、テレビに映し出される文字テロップのジャギーや、にじみが気になって仕方がない。アンチエイリアスをかけるとか、もっとキレイにならないものだろうか。ブルースクリーンのバーチャルスタジオ画像なんて、見るに値しないものになってしまった。

さらに、コマーシャルの画質の汚さがとても気になる。ハイビジョンを宣伝するビデオやテレビのコマーシャルでさえも汚いのだからどうしようもない。ハイビジョン製品を宣伝する映像の画質が汚くてどうするんだ!!

当然、コマーシャルを納品しているのが、テープベースであるから、放送用のマスターテープや、ハードディスクにデジタルダビングをしていても僅かな劣化が発生している。その差異を、我が家にやってきた1インチ3,000円以下のバイデザイン社の液晶モニターでさえも映し出してしまうという、恐ろしいハイビジョン時代に突入している。

さらに、コレクションしていた多くのDVD作品を見たときに、ブロックノイズ化しているシーンが目立つようになった。32インチでこれだから、当初計画していた60インチのフルハイビジョンのモニターであれば、汚いDVDのMPEG2画像がさらに拡大されてしまったことだろう(60インチサイズは、来年のさらに値段が落ちた頃を狙うことにした)。

とどめが、自分のビデオテープである。DVビデオカメラで撮影した映像が、もう見るに耐えない画質として映ってしまっている。今までのNTSCのモニターであれば、何も気にならなかった画質なのに……。

一瞬、この画質の酷さはバイデザイン社のモニターが原因? と思ったが、生放送の地上波デジタル番組はキレイなので、それではなかった。もう、ボクはビデオカメラでさえもハイビジョンにしなければいけない環境の呪縛におちいってしまったのである。

ビデオジャーナリストという職業柄、ハイビジョンカメラを購入しようとしているが、もうチョイスの範囲がせますぎて非常に困っている。ボクは機動性を優先して、小型のコンシューマー製品を長年愛用している。ハードディスクやDVD、SDカードに記録できるようなカメラが増えているが、ハイビジョンで記録できる民生用のテープレスカメラは、三洋のザクティ以外、まだ存在していない。……というか、これから数年でそんな世界になるだろうが、今は存在していない。

キヤノンの「iVIS HV10」が発売となった。
< http://cweb.canon.jp/ivis/hv10/index.html
>
長年愛用してきたソニーのPC-110と同じ縦型であり、ハイビジョンである! 縦型だと手ぶれはしやすいが、上からのアングルでも下からのアングルのどちらでも、撮影がしやすいのでとても気に入っている。ヨコ型は常に胸以上のアングルでしか撮影ができないので、ボクには不向きだ。しかも、価格.comでは103,559円! アマゾンでは128,000円で10%還元である。これはもう神が「購入せよ!」と命じているようなものだった。

しかし!!! である。とてもショックなことを知ってしまった。外部マイクの入力がないのである。このことは、人に見せる作品を作る者としてはとてもショックなのだ。HV10はDVテープの駆動系のカムコーダーなので、内部マイクではわずかな駆動音も拾ってしまうだろうし、被写体となる人物にインタビューしようとしても、自分の声がデカくて、相手の声が小さいなんてアンバランスなことになってしまう。プロは業務用のデカいカメラを買えと言われているような気がする。

そう、このせっかくのハイビジョンカムコーダーも、「運動会カムコーダー」なのである。運動会のわが子を撮影するから、望遠側の作りは秀逸だ。しかし広角側はさっぱりだ。考えてみてほしい。画面は標準で16:9のサイズになって、映画的な計算された絵づくりが求められれる画面サイズとなっている。ある程度、離れた被写体でないと16:9の絵づくりなどできない。自宅のせまいリビングでいざ撮影しようとすると、被写体からかなり離れなければならない。

これからのハイビジョンカムコーダーは、むしろ広角側で、魚眼にならないようにレンズ収差を抑えて、近くでも部屋が広く見えるような絵づくりで撮れる機種を開発すべきではないだろうか。

当然、画質が向上した分だけ音質にもこだわりたいので、外部マイクをつけるべきだろう。さらに、その音声バランスを確認するために、ヘッドフォン端子もマイク端子の近くに設計しなおすべきだ。

今後、フルハイビジョン画質が当たり前になってきた時に、音がしっかり録れていないと意味がない。さらなる問題は、ミニDVテープでこれだけビデオ撮影されているのにもかかわらず、ミニDVテープが使えるハイビジョンレコーダーがこの世の中に存在していないことだ。

なぜか? AV評論家の麻倉怜士さんに聞いたところ「ミニDVで撮影された運動会ムービーは、再生されることがないんですよ」という回答をいただいた。つまり、記録として収録し保存することが目的であり、視聴することはあまり目的として考えられていないという。当然、メーカーも保存目的用のカメラだから無駄な機能はつけないという。

うーん、なんとも複雑な思いだ。せっかくのハイビジョンなのに……。しかも、テープというシーケンシャルなメディアも問題のひとつである。ディスクなどのランダムディスクでハイビジョンとなると、もっとハンドリングが簡単になるだろう。これは時間の問題だ。あと5年もすれば誰もテープのメディアなんて使っていないだろう。

また、作品を見せるのに「YouTube」のような投稿サイトがもっと進化すると、「ハイビジョンYouTube」なんて場が登場しているはずだ。

そのためにも、ミニDVテープを再生、ダビングできるハードディスクレコーダーが今すぐ必要だ。当然、保存メディアが汚いMPEG2のDVDでは意味がない。Blu-rayかHD-DVDのDVDで保存したい。ようやく、ソニーの「PSP3」がBlu-ray方式でAVCHDに対応して11月11日に登場する。

このAVCHDは、ハイビジョンデータをH.264方式で圧縮し、リアルタイムに記録できるビデオカメラ用の規格だ。この規格には、珍しくソニーとパナソニックが手を組んでいる。ソニーが先に、HDR-UX1は8cm DVDを搭載で9月10日に、HDR-SR1は30GB HDDを搭載で10月10日に発売となる。

喜んだところが、かなりの高スペックを要求されるカメラだとわかった。撮影した映像を編集しようとすると、PCの能力でCoreDuo1.66GHz以上、Pentium4で2.6GHz以上を「推奨」ということだ。PC業界で推奨ということは、最低でもそれくらいは必要という意味だ。

ということは、もう少し、ハイスペックなPCの登場を待つか、Blu-rayが標準搭載されているハンディカムを待つかという気分になってきた。

これからの高画質時代、ひとつ高画質にするとすべてを高画質にしないとバランスが取れないというジレンマに陥ってしまう。すでにハイビジョンを目にしてしまったら、すべてハイビジョンにしないと気がすまない……つまり、現在買い時でないものばかりを買わされてしまうというハメにおちいってしまいそうだ。

毎週金曜日22:00MXテレビ「BlogTV」出演中 < http://trj.weblogs.jp/blogtv/
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NetSurfin2.0 放送中!デジハリ大学放送部 < http://blog.dhpodcast.com/
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CEO Toshi Kanda mailto:kanda@knn.com
#502 1-4-8 Komaba Meguro Tokyo Japan,153-0041
TEL 090-7889-3604 FAX 020-4622-7170
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■クリエイター手抜きプロジェクト[101]Illustrator CS/CS2編
任意の文字数で改行する

古籏一浩
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前回はPhotoshopでしたが、今度はIllustratorで任意の文字数で改行するスクリプトです。

使い方は、横の文字数を揃えたいテキストブロックを選択してから実行します。テキストブロックを選択するだけでテキスト自体を選択する必要はありません。また、複数のテキストブロックを選択して処理することもできます。

wordCount = 10; // 10文字ごと改行
CR = String.fromCharCode(13);
docObj = activeDocument;
selObj = docObj.selection;
for (i=0; i< selObj.length; i++)
{
txt = selObj[i].contents;
result = "";
count = 0;
for (j=0; j< txt.length; j+=wordCount)
{
result += txt.substr(count*wordCount, wordCount);
count++;
result += CR;
}
selObj[i].contents = result;
}

前回と同様に、文字数が固定されていない場合には、ダイアログを使って処理することもできます。
ダイアログで入力したい場合には以下のように prompt() を使います。

wordCount = parseInt(prompt("横の文字数",10));
CR = String.fromCharCode(13);
docObj = activeDocument;
selObj = docObj.selection;
for (i=0; i< selObj.length; i++)
{
txt = selObj[i].contents;
result = "";
count = 0;
for (j=0; j< txt.length; j+=wordCount)
{
result += txt.substr(count*wordCount, wordCount);
count++;
result += CR;
}
selObj[i].contents = result;
}

実行する場合には文字コードには注意してください。
Illustrator CSではSHIFT JIS、CS2ではUTF-8の文字コードで保存してから実行してください。

【古籏一浩】openspc@po.shiojiri.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>
毎日コミュニケーションズから今月末に「Google Maps API 逆引きクイックリファレンス WEB2.0対応」が出ますので、よろしく。あと、ハイビジョン映像素材も37点ほど追加しました。
< http://www.openspc2.org/HDTV/free/index.html
>

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■イベント案内
GINZA PHOTOGRAMM 2006〜瞬間(とき)を銀座から
< http://www.ginza.jp/ga-gf2006/index.html
>
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GINZA PHOTOGRAMM 2006実行委員会の主催。銀座の目抜き通りを会場にした屋外写真展。世界初の屋外での焼き物(陶板・タイル)仕様のフォトギャラリーと、銀座の街路灯でのフラッグ(幅70センチ、高さ180センチ)による作品展示。陶板・タイル作品は、銀座通り歩道植栽部(35ヶ所)に秋の植栽と共に展示。高精細で両面同時熱転写プリントしたフラッグ作品は、銀座通り・晴海通りの街路灯(129カ所)に展示している。また、携帯電話用共通ICリーダ・ライタやQRコードを活用して詳細情報へアクセスできる。写真はロバート・キャパやアンリ・カルティエ・ブレッソンなど世界の写真家28人による44点。
会期:9月9日(土)〜10月13日(金)但し、陶板・タイル展示は12月10日まで。

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■セミナー案内
CSS Nite LP, Disk 1
< http://cssnite.jp/lp/lp01/info_lp01.html
>
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<主催者情報>

2005年10月に「CSS Nite」を開始してほぼ1年。アップルストア銀座で開催する無料のマンスリーと併行して、10月から有料版の[CSS Nite LP, Disk 1]を偶数月に開催します。

キャッチフレーズは「早く行かなくても座れるCSS Nite」。

第一弾の[CSS Nite LP, Disk 1]は、10月10日に津田ホール(千駄ヶ谷)で開催。過去にゲスト出演いただいた境祐司さん、上ノ郷谷太一さんによるCSS関連のトピックだけでなく、矢野りんさんによるレイアウトがらみのトピックや、Opera、Firefoxのブラウザベンダーなど、盛りだくさんの内容でお送りします。

主催:CSS Nite(株式会社スイッチ)
日時:10月10日(火)15:00〜20:00
会場:津田ホール(千駄ヶ谷)
講師:・境 祐司・矢野りん・上ノ郷谷太一 f/長谷川恭久・Charles McCathieNevile(Opera)・瀧田佐登子(Mozilla Japan)
定員:400名
参加費:7,000円
お申し込み:サイトから ※9月20日まで早期割引アリ。

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■編集後記(9/11)
・予約したことをすっかり忘れていた頃になって、「病気にならない生き方」(新谷弘実、2005年7月刊)が図書館から届いた。図書館ベストリーダーだ。書店に行けば平積みコーナーに必ずある真っ赤な大目立ち本で、いまもじゃんじゃん売れているみたいだ。100万部を突破したと帯にある。版元は、410万部のベストセラー「脳内革命」(春山茂雄)で知られるサンマーク出版だ。脳から出るホルモンが生き方を変える、なんていうトンデモ本だったがなんで売れたんだろうなあ。今度のキャッチフレーズは「ミラクル・エンザイムが寿命を決める」というもの。著者の造語であるミラクルとやらはなんなのか、最後まで読んだけどよくわからない。「生命活動を担うミラクル・エンザイムを補う食事とそれを消耗しない生活」ということを説明するのだが、けっこう実現できそうにない無茶なことを言っている。内容はおもしろい。笑えるくらいおもしろい。すらすら読める。大事なところはゴシック体になっていて親切。意外性や脅かしの多い、中見出しや小見出しのつけ方もうまい。この手の本としては実にいい出来だ。著者は日米で30万人の胃腸を見てきた、胃腸内視鏡外科の世界的権威である。そのことは、自信たっぷり、自慢たっぷり書かれている。だが、そんな先生にしては、ちょっとおかしい本を書いたという印象だ。書かされた、というべきか。「人を愛することで幸せを感じた人の自己治癒力が活性化する陰には、こうした幸せのサイクルによって大量に生まれるミラクル・エンザイムの働きがあったのです」こうなると、医学というより別分野だ。いまではブック・オフの105円コーナーでタレント本と一緒に積まれている「脳内革命」と同じ運命をたどりそうな気もする。しかし、おもしろい、立ち読みする価値はあります。ゴシック体のところだけ読むなら数分でOKよ。(柴田)

・11日、12日(再放送は翌日)のおしゃれ工房のテーマは製本。自分で撮った写真や子どもの絵などをオリジナルブックに仕立てる「折り本に思い出をつづる」と、文庫本をハードカバーに作りかえる方法「アートな秋 マイブックを作ろう」。お気に入りの布や思い出の布を、好きな本の表紙にできるって。講師は杉田尚美さん。来週の山岡進氏「秋を届ける和風立体カード(起こし文)」も面白そう。偶然見つけた睡蓮と金魚の暑中見舞いが素敵。(hammer.mule)
< http://www.nhk.or.jp/partner/oshare/
>  おしゃれ工房
< http://www.cyber.kyoto-art.ac.jp/~joho/prof/sugita/sugita.html
>杉田氏
< http://www.jkgraphis.biz/stem_gallery/
>  「過去の展覧会」から
< http://www.fukugan.net/9/sugita.html
>  2003年の
< http://www.ntv.co.jp/burari/040529/info04.html
>  山岡進氏
< http://mhshadow.blog38.fc2.com/blog-category-23.html
>シャドーボックス

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和の仕掛け絵手紙 だれでもできる「起こし文」
山岡 進
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by G-Tools , 2006/09/11