[2120] 着想について考える

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<今年も良い買い物ができますように>

■音喰らう脳髄[19]
 ロックンロールウォーリアー
 モモヨ(リザード)

■創作戯れ言[1]
 着想について考える
 青池良輔

■買い物の王子さま[134]
 毎朝の習慣を見直す
 石原 強

■マガジンガイド
 『コマーシャル・フォト』2007年2月号

■イベント案内
 第58回全国カレンダー展


■音喰らう脳髄[19]
ロックンロールウォーリアー

モモヨ(リザード)
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去年、新宿ロフトで二度目のライブを行なってから、とんでもなくロックな日が続いている。

活動の活発化は、1月の終わりにリリース予定しているDVD『リザード/ロックンロール・ウォーリアーズ Live'80』の影響が大きい。これは、まだビデオカメラが普及していない1980年、ツアーにおけるステージをフルで2セット記録したドキュメントに、ミュージッククリップやインタビューなどを加えたDVDで、去年からトランスフォーマー社において制作を進めていたものだ。12月後半には関連インタビューを幾つかこなし、2月には、某レコード店店頭での発売イベントも予定されている。

去年の年末には、ダークサイドミラーズのライブにサポートギタリストとして参加した。かねてより興味を持ちサポーターであることを宣言してきたバンドだ。秋、彼らはついにデビューアルバムを完成させた。自分たちのレーベルを立ち上げたのだ。目出度いことこのうえないが、そこでギタリスト脱退が余儀なくなった。ということで、おせっかいにもサポートギタリストを買って出たのだった。年始をはさんで、まずはその続き。1月は20日の夜中、24時過ぎてから渋谷、青い部屋にて、今年最初のロックンロールをきめる。ひどく楽しみだ。

それに続いて、ATPの新作リリース記念のギグに参加する。これはエレキのソロ、あるいは弾き語り。ATPが数年越しで改作を繰り返してきた曲があり、私も制作に関わっていたこともあるが、それがやっと完成しタワーレコードからシングルとしてリリースするというのだ。何でもタワーでのみ販売するとのことだが、どんな状況であれ、やっと陽の目を見たとは、嬉しい限りだ。

タワーのみでの限定販売と言えば、以前、デジクリでも紹介した森永理科さんをヴォーカルにフィーチャーした、優朗プロデュースのファンクションコード【function code();】も12月に新曲《carillon》をリリースしており、年末にはUHF局でもPVが流れていたが、どういうわけか、これも調子がよさそうだ。彼らと私が共闘するユニット、ギガンティックス【GIg-Antiques】のライブも2月2日にある。

なんか、それぞれがそれぞれのところで動き出し、絡み合っている。そんな感じ。それに続いて2月から3月は件のDVDの発売記念イベントが数件ある。まだ予定の段階だが、大阪でのイベントも予定しているので楽しみだ。

年がいもなく、少しワクワクしている私なのだった。

Momoyo The LIZARD
管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

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■創作戯れ言[1]新連載
着想について考える

青池良輔
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『コンテンツ』という言葉にとらわれながら飯を食っている青池と申します。数年前よりインターネットを中心に、ショートアニメやプロモーションサイトの制作をしているのですが、どういう仕事にしろ『アイデア』を求められる事が少なくありません。もちろん、そこにはクライアント様がおり、または代理店様なんかとブレインストーミングをすることもあるのですが、そういう仕事が続くにつけ、ふつふつと『自分のアイデアは無限か?』などという漠然とした不安にかられています。

コンテンツの『着想』は、ケースバイケースでその扱われ方の重みが変わってきます。世間的にクリエイターを名乗る仕事をしている限り、自分でも納得のいくモノを提示していきたいと願っていますが、現実ではなかなかそこまで到達できなかったり、ニーズとの不一致からうまくいかなかったりする場合が多いです。

着想を得るにもテクニックはあるでしょう。テーマAと関連の薄いと思われるBという要素を掛け合わせて、そこに産まれる奇妙なバランスに面白さを見いだす方法。プロジェクトに課された条件を丸呑みしていきながら、消去法の末に残された素材をどう料理するかという、冷蔵庫にあるものだけで作るおかんの晩ご飯の献立のような方法。同じようなタイプのコンテンツを微妙に避けながら、裏を読みまくる隙間産業のような方法。ありモノを知らん顔してアレンジしちゃう方法……しかし、そういう技術を使いながら企画書をまとめていくと、何となく体がむずがゆくなってくるのです。

「違う」

これは、あくまでも理想論なのかもしれませんが、着想はもっと別の所からやってきて欲しいと願う自分がいるのです。それが何かと言えば「自分がこれがやりたい」もしくは「欲しい」と思う『願望』なのではないかと。モノを作るという行為は突き詰めていけば『願望の成就』なのではないかと思うのです。「みんなが楽しめるコンテンツ」は「自分の作るコンテンツでみんなを楽しませたい」という願望ですし、「最先端を感じさせるデザインを構築する」のは「デザインで最先端になりたい」という事なのだろうと。

先程の着想の為のテクニックは、どこかで自分にリミットをかけている状態なのだと思います。クライアントの意向が、自分の欲している方向とずれれば、その分自分を抑えなければいけないというストレス。代理店の理不尽な締め切りの前にやってみたかったディティールを削除しなければいけなくなる不満。修正の末に自分のアイデアの形が見えなくなった時の失望感。大なり小なりそういう現実と向き合っているうちに、ホームランを打ちたいという『願望』を失なってしまうのではないかという恐怖が体の中に溜まっていくのではないでしょうか。

社会一般の通念として、全ての願望を通そうとすれば、軋轢があり摩擦があり「まぁどっちにしろ、ろくなことはないよ」というのが常識です。僕も仕事の大半は「あはははは、最高ですね」とか言いながら無難にこなしています。大人なんだから協調性をもってやっていけばいいのだと思います。それが『仕事』であれば。

着想に『自己表現』を求めるのはロマンティックすぎるのかもしれません。しかし全てのコンテンツを『自分の作品』と捉えるのであれば、やはり少しでも自分の体臭のようなものをマーキングしておきたいと思うのが、動物としての本能だろうと思うのです。作品の基礎が着想であるならば、やはりそこから『自分臭い』ものを出せればいいなぁと夢見てしまうのです。自分が見たいと思うもの、自分がみんなに見せたいと思うもの、その願望を丁寧にすくい上げていけば、ストレスの呪縛から逃れられるのではないかと感じています。調整され、修正されてもどこかしら『自分臭』が残っていれば、幸せを感じられるだろうと。

しかし、それが『自己満足』にならない為のバランス感覚も必要になると思います。名作と言われる文学でも、あらすじだけを乱暴に解釈すればただのエロオヤジの妄想話というものも少なくありません。それが名作となり得たのは、オーディエンスとの距離感ではないでしょうか? それは感性であったり、経験であったりするのかもしれません。「技巧を尽くして願望を成就させる」ことができれば、着想は良い状態で形になっていくのでしょう。

なにはともあれ、自分が形にしたいと思える程の着想を得なければ話は始まりません。そして、着想のベースが「〜したい」という願望なのであれば、自分の欲望がどこに向いているのかという、欲望の整理整頓をしていくのが着想を得る一番の近道かもしれません。そして、その作業の過程には「願望が見つからない」とか「自分の願望が稚拙な感じがする」とか、その瞬間にしか得られない旬なネタがゴロゴロと転がっている感じがしています。

生意気言いました。

【あおいけ・りょうすけ】your_message@aoike.ca
< http://www.aoike.ca/
>
1972年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。学生時代に自主映画を制作したのち、カナダ・モントリオールで映画製作会社に勤務する。 Flashアニメシリーズ『CATMAN』でWebアニメーションデビューする。芸術監督などを経て独立し、現在はフリーランスとして、アニメーション、 Webサイト、TVCMなど主にFlashを使い多方面なコンテンツ制作を行なう。

・書籍「Create魂」公式サイト
< http://www.ascii.co.jp/pb/flashbooks/create-damashii/
>

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■買い物の王子さま[134]
毎朝の習慣を見直す

石原 強
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年末、仕事が忙しかったせいか「ちょっと顔色が悪いんじゃない?」と言われてしまいました。ネットで「健康的な肌をしていると、その人の“格”をもうひとつ上げる云々…」という記事をみかけて考えました。新年からは、これまでよりもきちんとスキンケアをしてグレードアップしよう。

手始めに、毎朝の「ひげ剃り」から。いままでは毎日やらなければならない面倒事と思っていたけど、シェービング用品専門店サイトの記事で考えを改めました。スキンケアとひげ剃りについて丁寧に解説していました。やり方ひとつひとつに意味があることがわかると、なかなか奥が深い。書いてあるようにやってみたくなります。

まずは道具を見直します。なくてはならないシェービングホルダー。これまでも、カミソリで剃っていたのでホルダーは持っていたけど、重さが大事ということ。サイトには色んな形のものがありましたが、金属製でシャープなデザインのものを選びました。今使っているカミソリの替え刃がそのまま使えることも大事です。

それにシェービングブラシ。シェービング剤を塗るだけなら必要ないと思って、これまでは使っていませんでした。本当は石鹸を泡立てるだけでなく、顔の上でブラッシングすることで毛穴の汚れもとれるのだそうです。それに適したブラシの素材は「アナグマ毛」とのこと。

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アナグマの毛は油がたっぷり含まれているので、1本1本の毛先がシャープでこ
しがしっかりしています。そのため、毛穴の中まで毛先が入り込み、汚れや古
い角質を更にかき出します。
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このお店オリジナルのものを選びました。昔ながらの雰囲気を持ったものが多いのですが、柄の部分がカラフルな色のストライプという軽い雰囲気で気に入りました。しかも他のものよりちょっとリーズナブル。シェービングホルダーとブラシをあわせて注文すると、2日後には手元に届きました。

早速実践です。まずは泡立てから。石鹸は子供用に使っている無添加のものを流用します。ブラシに石鹸を付けて、これを顔の上で泡立てます。最初くすぐったい感じがしたけど、これが癖になるほど気持ちが良い。

シェーバーは、これまで使っていたものよりグリップが太いので濡れた手でも持ちやすい。でも「重さ」は使い心地に影響するものかと半信半疑でした。実際にやってみると、確かに顔の上をすーっと滑るように自然に剃れるのです。

やってみると、なんとも言えないアナログな感覚が心地よくて新鮮です。しばらくしてから鏡を見たら、ちょっと健康的になったみたいと自己満足。でもスキンケアの効果以上に、年末年始の休暇で息子と一緒に早寝早起きの生活改善をしたことの方が良かったのかもしれません。

シェービングホルダーとブラシを買ったお店「カミソリ倶楽部」
< http://www.kamisoriclub.co.jp/
>

【いしはら・つよし】info@muddler.jp
ウェブプロデューサー、ウェブアナリスト
ちょっと遅くなりましたが、今年もよろしくおねがいします。お正月は近くのお寺に初詣。願いは「今年も良い買い物ができますように」
・ウェブアナ
< http://www.muddler.jp/
>

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■マガジンガイド
『コマーシャル・フォト』2007年2月号
< http://www.genkosha.co.jp/np/detail.do?magazine_id=1
>
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特集●「考察 フォトグラファーのポートフォリオ&プレゼンテーション」
これまでの仕事や作品をポートフォリオブックにまとめ、アートディレクター、編集者に見せに行く。中身の写真が主役であるのはもちろんだが、自分をプレゼンテーションするのであるから、写真の見せ方やブックそのものの「つくり」にもこだわりたい。フォトグラファーたちがどのようなブックを作り、プレゼンテーションをしているのか、自分を「売り込む」ためのブックづくりとは?川崎あゆみ(kiki inc.)/渡邉 肇/数井啓介/ケイ・オガタ/坂田栄一郎/Shin Sugino/野尻大作

特集●「フルHD−CM制作時代がやってきた!」
CMのHD納品時代に向けた制作者必携項目を完全網羅

特集●「Photoshop world 2006 レポート& Photoshop CS3 最新情報」
昨年11月28〜29日に、東京流通センターにて開催された「Photoshop world」。今年で2回目となる本イベントでは、写真、ムービー、Webといったさまざまなジャンルのクリエイターによる多彩なセッションと、「Photoshopの伝道師」ラッセル・ブラウンによる、テクニカルショー、さらには本邦初公開となるPhotoshop CS3のプレビューなどが行なわれ、会場は熱気に包まれた。NAPPJと並び、弊誌も主催者として参加したこのイベントの様子をレポートする。

フォトグラファー特集●腰塚光晃
1月15日(月)発売 定価1,300円(税込)玄光社刊

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■イベント案内
第58回全国カレンダー展

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会期:1月16日(火)〜1月18日(木)
東京会場:東京銀座画廊美術館(東京都中央区銀座2-7-18 TEL.03-3564-1644)
大阪会場:大阪マーチャンダイズマート2F(大阪市中央区大手前1-7-31 TEL.06-6943-2010)
内容:入賞作88点と入選作をすべて展示する。

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■編集後記(1/16)
・瀬戸内寂聴・玄侑宗久「あの世この世」(新潮社、2003年)を読む。最新の理論物理学をスラスラ説明できる禅宗の坊さんは珍しい。そんなスーパー物知りの玄侑さんに、その母親くらいの年齢のスーパー訳知り(笑)寂聴さんがデートを申し込んだかたちの対談だ。陽と陽のぶつかりあいは、なかなか興味深く読めた。しかし、あの世については結局わからない。寂「(この世だけなんだと思うと)夢も希望もなく行き詰まってしまいますよ。悲しいことや苦しいことがあった場合に救いがないですね。やっぱり夢があの世に残されているほうがなにかいいような気がしますね。この世だけではない、と思わないと悲惨でたまらない」玄「仏教でもキリスト教でも、この世での帳尻が合わないことはわかるんですけれども、あの世で帳尻を合わせたいという合理性が生み出したものが仏教の極楽と地獄、あるいはキリスト教の天国と煉獄だと思います」玄「わからないというのが一番科学的な立場だと思うんです。〜(略)〜何か精神のバランスのためにも、この世ならざるところというのはあったほうが豊かだなという気がしますね」てな具合で、じつは三度読み返したがよくわからない。もっとも、わかることを期待して読んだわけではないけど。人間として悪いこと、恥ずかしいことをすると地獄に落ちるぞ、と言われて(それを信じて)育った世代として、そういう畏れが人生のいい意味でのブレーキになっていたと思う。いま、来世も語る宗教教育って必要だと思った。(柴田)

・大阪のイベント行く〜!/大河ドラマ「風林火山」が面白い! 武田信玄の軍師、山本勘助のお話。ヤマカンの語源ではないかと言われている人。歴史が苦手で人名や地名、年代が覚えられないため、「え〜っと、武田と今川が、え〜っと、え、この人が後の信玄で〜。お父さん、まさかそれ持っていかないわよね。この人、どっち側だった? え? だから裏切るのは誰だっけ? 伯父さんやお兄さんは元からわかっていて〜」などと、普段使わない脳の一部分を酷使しつつ見ているのだが、歴史がしっかりわからなくても面白いわ。ちょっと今の、現代語なら何でしたっけ? などと遅れをとる時もあったりするが。主演の内野聖陽はさすがだし、ミツ役の貫地谷しほりが魅力的。なんだか最近多かった微妙に現代っぽい大河じゃなくて(仲間や上川、香川らは好きだったが)、大河らしい大河って感じなのだ。迫力あるわぁ。今後の展開にも期待だ。/再放送は津波で中断したため、改めて第一回目から。1月20日(土)総合TVで第1回13:05、第2回14:05より。見逃した人はぜひ見て〜!(hammer.mule)
< http://www3.nhk.or.jp/taiga/
>  風林火山

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あの世 この世
瀬戸内 寂聴 玄侑 宗久
新潮社 2006-04
おすすめ平均 star
star和やかな対談

現代語訳 般若心経 お坊さんだって悩んでる 自燈明―捨てる自分、活かす自分 中陰の花 実践!「元気禅」のすすめ



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風林火山 (前編)
NHK出版
日本放送出版協会 2006-12
おすすめ平均 star
star大河ドラマ「風林火山」を知るにはまず、この1冊!

NHK大河ドラマ「風林火山」 大河ドラマ「風林火山」完全ガイドブック 功名が辻 (後編)    NHK大河ドラマ・ストーリー 風林火山―NHK大河ドラマ歴史ハンドブック 風林火山

by G-Tools , 2007/01/16