[2132] 嫌われながら好かれる

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<頭のいかれた元大学教授の役>

■笑わない魚[216]
 嫌われながら好かれる
 永吉克之

■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[134]
 IKEAは好きなのだが…
 茂田カツノリ

■デジアナ逆十字固め…[33]
 塩ビフィルターとケラレマスク
 上原ゼンジ

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■笑わない魚[216]
嫌われながら好かれる

永吉克之
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「蓼食う虫も好き好き」は認めるが、自分が大嫌いなものを大好きだと言っている人間の心境を理解するのは、なかなか難しい。私は、例の脂ぎった超有名男性司会者、Mのもんたが大嫌いなのだが、ほとんど毎日どこかの番組に出ているということは、彼が大好きな人も世の中にはいるということなのだ。

Mのもんたの、司会者という立場を忘れて自分が番組の主役のように振る舞う、あの不遜な態度を見て、思わずテレビを殴ってしまうのが良識ある大人の感覚というものだが、それを大好きとは、いったいどういう風に育てられたら、そんな奇怪な妄念を抱くようになるのだろう。まったく信じがたいことである。

また最近なにかと話題の、ボクシングのK田三兄弟、まあ親父も入れてK田一家と言った方がいいかもしれないが、親子一丸となってのあの傲慢な態度、あの口のききかた、もう大嫌いだ、ボコボコにパンチを喰らって二度と立ち直れなくなるがいい、と思っている人がけっこういるのではないだろうか。

しかし、その試合は世界タイトルマッチでなくても、プライムタイムにテレビ中継されるし、ファンクラブやオフィシャルサイトまであるのだから、彼らのことが大好きな人たちもいるということだ。

そしてその試合中継を、ファンが豪快なKO勝ちを期待して見るのはもちろんだろうが、普段はボクシングにはさして興味はないものの、K田一家だけは許せない、なんとしてもあのクソ生意気な小僧に天誅が下るところが見たい、という人たちまでが見るだろうから、テレビ局としては、これからも彼らに大口を叩いて世間の反感を買い続けてほしいはずである。

だからK田一家が嫌いな人は、連中、あんな挑発的なこと言ってるけど、その陰で人並はずれた努力をしているのだから、見守ってやらなきゃ、などと共感する努力をしてはならない。あの下品で無礼極まるならず者一家! と非難している方が、マスコミの方々に喜んでいただけることになるのである。

そういえば週刊誌などめったに読まない母親が「週刊女性」なんか買ってくることがあった。そういう場合は必ず、Mのもんたか、Y売ジャイアンツの批判記事がのっていたが、このようにして、人びとの憎しみすらも視聴率や売り上げにつなげられるのであるから世の中うまくできている。

いつの時代も大衆が求めるものはパンとサーカスしかないのだ。自分は安全なところにいて腹一杯喰いながら、アカの他人が命の危険を冒すのを見て、面白いとかつまらないとか、勝手なことを言うのが好きなのである。かくして日本はローマ帝国のように衰退し、東西に分裂し、蒙古に併合されるのだ。

                 ●

つまり、Mのもんたも、K田一家も、Y売ジャイアンツもいわゆる「敵も多いが味方も多い」というタイプの人びとなのである。これは、同じ言動でもそれが人によって正反対の捉え方をされることがあるからだ。強引な態度を「たのもしい」と受けとめる人もいるのだ。

エキストラばかりで芽が出ない役者なら、女子寮の風呂場を覗いて逮捕されればしめたものだ。ああ俺は覗いたぞ、それがどうしたと居直っていれば、恥知らずと言われる一方で、出歯亀ってセクシーだワという女性もかならず現れて、『愛の流刑地』のような愛欲ドラマの主役に抜擢される可能性もあるのだ。

やはり大衆の注目を浴びるためには「毒」がなければだめなのだ。そのためには勇気が必要だ。天下に名を知らしめるためなら、ちょっとやそっと破滅してもいいではないか。

                 ●

そんなわけで、mixiのなかでマイミク(ミクトモ)諸氏にお願いして、「敵も多いが味方も多そうな有名人」の名前を挙げていただいた。一部の不穏当なものは除いて「原文のまま」紹介する。

石原慎太郎、木村拓哉、スティーブ・ジョブズ、ルー大柴、林家ぺー・パー、ラスク・クライン、ハマコー、小林よしのり、谷(田村)亮子、あかしやさんま、キャサリン・ゼタ・ジョーンズ、えなりかずき、永吉克之、韓流すたあ、雛苺、Vincent Gallo、蘇我蝦夷、ちんぎすは〜ん、ラスプーチン、ジャック・バウアー、交渉人ボラス、モニカ・ルインスキー、火野正平、野原しんのすけ、ジャニス・ジョプリン、古舘伊知郎、桂花ラーメン、曙太郎、ヒラリー・クリントン、マラソンのQちゃん、フレディ・マーキュリーの顔、松田聖子、孫正義、だちょうくらぶ、強力わかもと、納豆

以上である。さすが、私のマイミクのチョイスには豊かなインテリジェンスと誠実さが感じられる。聞いたこともない人物や架空の人物、そもそも人物ではないものまで含まれているが、そんな些事にはこだわらない。私は森を見て木を見ないのが大好きなのである。

ともかく顔ぶれを見るといずれも毒のあるキャラクターばかりだ。誰も彼も骨の髄まで毒まみれである。しかもみな、現在人気炸裂中の有名人ばかりではないか。彼らをテレビで見ない日は一日としてない。谷(田村)亮子の「田村で金、谷で金」という毒舌発言に、はらわたが煮えくり返った人も多いだろう。

ちなみに、このなかの交渉人ボラスだが、誰なのか知らないので検索してみたら、松坂大輔とレッドソックスの間に立つ交渉人らしい。やはりそうだ。昔から「松坂大輔とレッドソックスの間に立つ交渉人ボラス」とは、毒のある人間と相場が決まっているのだ。

最後になるが、「デジタルクリエイターズ」というタイトルを見て、このメルマガを購読しようと決めたということは、その読者は芸能界に憧れてる人しかいないはずだ。だから上に書いたことが、将来タレントとして、俳優として、司会者として、グルメ番組のリポーターとして身を立てようと考えている読者の参考になれば、望外の喜びである。

【ながよしかつゆき/寺社奉行】katz@mvc.biglobe.ne.jp
信じてもらえないかもしれないが、二本の映画に出演した。私が出る映画だからコメディにちがいないと思われるかもしれないが、けっこうシリアスなドラマである。これは、大阪市の映像文化新興事業のひとつとして行われる映画祭に出品されるもので、私が出演しているのは、まず『イエスタディ・ワンス・モア』。血のつながりのない兄妹の父親で頭のいかれた元大学教授の役。もう一本の『フリフリ坊主』では、村の寄り合いで議論する村人のひとりで、けっこう憎々しく演じたつもりだが、こちらは出番が少ないので、よく見ていないと、誰が私かわからないかも。実は両作品とも私自身まだ完成したものを見ていないので、どんな仕上がりになっているのかわからないが、インディーズ系の映画らしく、商業性を度外視したユニークな作品にはなっているだろう。

・CO2映画上映展
< http://www.co2ex.org/co2_no3/co2eiga/sakuhin/syousai.html
>
・大阪/2月26(月)27(火)28(水)/梅田HEP HALL
< http://www.co2ex.org/co2_no3/co2eiga/index.html
>
・東京/3月13(火)14(水)15(木)/アテネ・フランセ文化センター
< http://www.co2ex.org/co2_no3/co2eiga/tokyo/index.html
>
※東京会場での上映スケジュールはまだ未定。

・ちょ〜絵文字< http://emoz.jp
>au&Yahoo!ケータイ公式サイト
・無名芸人< http://blog.goo.ne.jp/nagayoshi_katz
>
・EPIGONE < http://www2u.biglobe.ne.jp/%7Ework
>

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■子育てSOHOオヤジ量産プロジェクト[134]
IKEAは好きなのだが…

茂田カツノリ
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洋服の収納が結構悩みだったのだが、思い切って自作の本棚をぶっ壊して作り付けクローゼットをセットすることにした。この手はけっこう高価だが、僕らはIKEAで調達したおかげで、安価で満足のいくものができた。

しかしそれと同時に、すごく不愉快な思いもしてしまった。というのは、IKEA港北店の店員の態度があまりに失礼千万だったのだ。以下、その一部始終をご紹介する。

その前に大前提として、僕はこのコラムでも何度も書いているように、アメリカや香港などで何度もIKEAに行っている。日本上陸後も10回以上行っていて、彼らのビジネスのやり方は理解しているつもりだ。

だから別に、「日本のデパートみたいに客を神様扱いしろ」とゆっているのではない。商品を安価に提供するために、IKEAのシステムに客のほうがあわせるという考え方は、日本的文化には馴染みにくいかもしれないが、僕は支持する。

しかし、僕がIKEA港北店で出会った事態は、本来のIKEAの思想や運営方針、社風とは違うものだと思う。

以下に事実を2つ記す。

●レストランで客を罵倒する係(?)が…

IKEAには、スウェーデン風ミートボールなどを出すセルフサービスのレストランがある。ここには、トレーが持ちきれないときのために専用のカートが用意されていて、トレー3枚がひとりで運べるので、子連れにはとても助かる。

しかしこのカートが不足していて、レストランの係員が運び終わったら自分で戻してほしいと、口を酸っぱくして言い回っている。ここまではいい。

先日僕らがここを利用した際、僕がまず3人の子を席に着かせ、妻が食事を購入し、例のカートで食事をテーブルに運んで来た。入れ替わりに僕がトイレに行った。妻はカートを戻しに行きたいが、0歳児がいるので席を離れられず、僕の戻りを待った。

そして僕が戻った瞬間、まだ返してない空のカートを見つけた店員が、僕に向かって「お父さん、やっぱり返してない、あ〜」と、周囲に響き渡る大声で悪態をついたのだ。

カートをすぐに戻さなかったのが気に入らなかったようだが、こちらも子供3人連れでいろいろ気を遣わねばならないことがあり、瞬間的に返すのは難しい。

もちろん、セルフサービスなんだから僕らが動かねばならないことには違いない。しかしそれがちょっと遅れたからといって、客に向かって悪態をつくというのは感心しない。

その口調があまりに威圧的・侮辱的なので、子供から見ると、お父さんが知らない人にどやしつけられているという印象になった。

その教育係(?)は別の客にも「今回は私が戻すから次回から戻してください」などと大きな声で言っていた。こう伝えること自体は理解できるが、口調にはかなり問題があった。

●客の助言に侮辱で返す店員

もうひとつは、子供たちの遊び場である「スモーランド」の受付での出来事。

僕はここを10回くらい利用しているが、今回たまたま、自分で持ってるべき予約表を受付に置いてきてしまった。

予約時に受付の人が「書いたらそこに置いてください」という表現を使ったため、誤認してしまったのだ。

受付の人はとってもぶっきらぼうに「置き忘れていましたので次回から気をつけてください」と言い放つ。

僕は何度も利用しているのに間違えたのは、説明の表現があまりよくなかったですよと軽く伝えたのだが、返ってきたのは「そんなことはないと思いますよ」という逆ギレの言葉だった。それも投げ捨てるような口調で。

妻の意見では、特にスモーランドの受付では不快な思いをすることが多いらしい。

ブチ切れた僕は「子供の前でそんな話し方をする必要はないでしょう。口の利き方に気をつけなさい」と小声で話し、その後サービスカウンターに上記2点についての事実を伝え、クレームとしてあげてもらうよう依頼した。

サービスカウンターの担当者はさすがに平謝りではあったが、僕は1週間経った今でも腹に据えかねているので、こうして原稿にしている。

●僕が怒ったポイント

繰り返すが、僕は「店が決めたルールに客が従う」という商売の形態自体は理解しているつもりだし、支持もする。ルールに従ってくれない客に従ってくれと伝えることも、必要なことだ。

しかし、その表現が客への直接的な侮辱になるのは、それは大きな問題だ。特に、子供のいる前で親を罵るような行為だけは、できれば避けてもらいたい。IKEAの流儀で言えば、店と客は対等なはずだ。だから対等に、ルールを説明すればいいのだが、彼らは明らかに上から物を言っていた。

●状況を推測する

僕はIKEAの流儀に従う意志を持っているつもりだが、それでもちょっとスキを見せると上記のように小馬鹿にされてしまう。

これは、僕がたまたま態度の悪い店員に当たったということではないと考えられる。というのは、レストランでもスモーランドでも、近くにほかの店員がいた。その状況であの態度が容認されているのは、もう店の方針として客を侮辱していると考えざるを得ない。

店員としては、システムがなかなか周知されなくてイラつくのかもしれない。場所柄イタい客も多いだろう。でもね、上陸したばっかりのIKEAだから、客のほうも慣れるまで時間を要するんだから、せめて客に暴言を吐くようなことだけはやめて、多少時間をかけて浸透させよう、というくらいの考えていてほしいものだ。

日本的文化と違う立ち位置に置かれたときに急に偉そうになっちゃう輩というのを時々見るけれど、なんだか今回もそれかなあ、とも思った。

本当はクローゼットのパーツを買いに行かねばならないんだけど、こんなことあると気が重いなあ。生活には実際役に立つし、行かなきゃならないんだからさ、なんとかしてよIKEAさん。

※今回の原稿は、IKEAの広報窓口にあらかじめ掲載予告メールしたんだけど、やっぱり返事なかった。そうやって問い合わせを放置することが、本当にコストダウンなのか? と問いたい。

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■デジアナ逆十字固め…[33]
塩ビフィルターとケラレマスク

上原ゼンジ
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今回もコンパクトデジタルカメラにフィルターを付ける実験の続き。透明な塩ビをレンズ前に付けると描写が変わってしまうということは、前回試してみた。では、その透明なものの材質を変えるとどうなるのか? 硬い塩ビ、柔らかいビニール袋、ラップ等々を二重に重ねたり、皺を寄せたりしてレンズに付ける実験をしてみる。

まず、薄くて透明度が高い場合にはあまり変化がない。ところがそれが厚くなったり、透明度が悪くなったりすると、光が拡散してソフトな感じになったり、虹色が現れたりということが起きてくる。まあ、普通はわざわざ描写が悪くなったりするようなことはしないが、その描写の変わり具合を楽しもうというわけだ。

ただ、この材質による変化というのはけっこう微妙。見るからに曇ったようなものであれば、拡散効果がつきすぎてわざとらしい。しかし、その変化の度合いが少なければ、あまりやる意味がない。とりあえず今回のテストでは一番厚い塩ビフィルターが気に入ったのだが、被写体や条件を変えてもう少しテストをしてみてもよさそうだ。

それと画面の周囲を暗くするテストも同時にやった。これはちょっと長めのフードを付けてやればいいはずだ。黒い紙を切ってレンズに巻いてみる。ところが何の変化も起きない。レンズが小さいので、フードもかなり小さくなければダメなようだ。

そこでフードではなく、マスクをつけてみることにする。ただ黒い紙に穴を開けてレンズの前に貼り付けてやるのだ。今回テストに使ったIXY DIGITAL L4の場合、ズームレンズのワイド端で直径14mm、テレ端で3mm程度の穴を開ければ、ちょこっと周囲がケラレるような感じになることが分かった。イメージよりもかなり小さなマスクとなった。

これらのマスクやフィルターは「粘着ピン・リピタック」(PLUS)を使ってレンズに付けた。これは画鋲やテープの代わりにメモを壁などに貼り付けたりするための透明シートだ。粘着力があるのだが、何度も貼ったり剥がしたりすることができる。今までは両面テープを使っていたので、一度剥がすと使えなくなってしまったが、これはけっこう便利。

文具売り場で発見したのだが、似たような商品は防災用品売り場にもあった。家具が転倒するのを防ぐために使う製品で、エストラマー樹脂製のものだ。こちらのほうはリピタックに比べるとちょっと厚手なのだが、粘着力が強いということで、また別の工作に使えるかもしれない。

●色のコントロールはPhotoshopで

で、撮影してみた結果はどうだったのか? ちゃんと変な感じに写った。IXYの設計者が見たら、悲しくなってしまうだろう。何もかも嫌になってしまうかもしれない。以前はフニャフニャシフトレンズをD200にくっつけてニコンの設計者に悲しい思いをさせてしまったが、今度はキヤノンだ。すまないね。

でも、ケラレというのはいいかもしれない。四隅がちょっと暗くなると、それだけでレトロな雰囲気が漂ってくる。最初に作ったのは黒い紙のマスクだったが、白い紙にしたり、透明塩ビにマジックでマスクを描いたりといろんなパターンを試してみた。マジックの色を変えたり、ツートンカラーにしたり、わざとムラをつけてみたりで、写真の雰囲気も変化する。

Photoshopを使えばこんなマスクも簡単にできるが、それだとどうしても自分のイメージだけで制御することになる。失敗しちゃったけど何か面白いからいいや、という部分が欲しいのだ。それに塩ビ製のフィルターをかましたために、光学的に描写がおかしくなってしまった、というような感じはPhotoshopにもできない。

ただ、色のコントロールはPhotoshopの得意分野だ。たとえば、トイカメラで撮影している人達に人気のクロスプロセスという現像法があるが、こんなのはPhotoshopでかなり近いことができる。クロスプロセスというのは、ポジフィルムをネガ現像してしまう方法で、彩度とコントラストが高くなり、色のバランスが狂ってくる。

まあ、失敗と言っていいような現像法だが、ひじょうに強いイメージで、トイカメラの描写と合わせると面白い表現になる。しかし現像代が高いのが難点。だからこういった色の制御はPhotoshopでやるのが吉だ。

クロスプロセスでフィルム現像をして、紙焼きに関しても自分で色を制御するのなら、それは面白いと思う。ただ、一番最後のフィニッシュワークをお店プリントにしちゃったりするともったいないんじゃない? と思ってしまう。

面白いイメージを捕まえてくるために、偶然の要素を取り込むというのはありだと思う。でも最終的なイメージを作り上げるためには、自分できっちりと色やトーンのコントロールを行なう、というのが私の考え方だ。

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇キッチュレンズ工房
フィルターを使った写真を増量
< http://kitschlens.cocolog-nifty.com/blog/
>

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■編集後記(2/1)

・野鳥との攻防が続く。おっと、こっちからの攻撃はないな、専守防衛だ。日本の珍妙な(そして致命的な)防衛原則みたいなもんだ。ここ一か月くらい、また野鳥が飛来してわが家の洗濯物に糞をかけるという攻撃を続けている。そればかりか、テラスを歩き回って排泄したり、犬の食糧を略奪していくこともある。飛来を防ぐ方法にいろいろトライしたが、けっきょく有効なものがなかった。そこで洗濯物を干してから上に透明シートをかけるという方式に落ち着いた。脚立に乗り、洗濯ばさみを用いて物干しの先端でシートをとめる。朝かけて、夕方はずす、たいした手間ではない。テラスに下りてくるのは防ぎようがない。バカ犬はといえば、そいつら(いつも数羽いっしょに来る)を追うでもなく見ているだけだ。番犬としての義務を放棄している。この野鳥、黒っぽくて一部赤い色もある鳩よりは小型なやつで、ギャーギャーと悪声で啼く。名前を調べようとネット検索したが、よくわからない。シート(こんかいはプチプチを使用)のおかげで洗濯物の被害はないが、テラスに残された糞は異常に粘着力があり、乾くと水で流れない。タワシでこすってもとれない。やわらかいワイヤブラシで丹念にこすってようやくとれる。だが、この専守防衛も終焉を迎えるであろう。野鳥飛来にはシーズンがあるようで、徐々に姿を見る機会が減っている。テラスに残された痕跡も今日の朝には見あたらなくなった。だが油断はできない。シートかけはもうしばらく続ける。シートをかけても飛来は防げず、シートは汚される。一方的に蹂躙されている。だが、野鳥でよかった。北朝鮮の核ミサイルだったら、専守防衛日本は既に死んでいる。(柴田)

・いやいや、タイトルで敬遠されて読んでもらえないというのが大半じゃなかろうか。タイトルで一瞬敬遠し、でも中身を見てから判断しようと思った人だけが続けて読んでくれていると思う。/2月26日はHEPでね。/急遽、ヘルプでムービーを作った。自己流だし仕事として受けたことはないのでと、ちゃんと最初に話したが、予算とスケジュール的に作れる人がいなさそうだったので受けた。ずっと釣りをしているところを撮影したハンディカム映像を、イベント展示用にそれなりにまとめてという話。クライアントの要望はこんな感じ、とカリスマ釣り師の市販DVDのオープニングムービーを見て、それからもらった映像を見て激しく悩む。私は釣りをしたことがない。材料となるかっこいい映像がない。BGMもない。仕事を出してくれたデザイナーさんもある程度それはわかってらしたみたいで、材料となる写真やアイデア、使えそうな箇所のメモなどを用意してくれた。古いFinal Cut Proは持っているが、OSX版じゃないし、予算的にもiMovieの範囲だなぁと作り方を決める。出演者が照れてしまうような、俺かっこええんとちゃうん? が目標。効果音が欲しかったので商用OKな効果音サイトからもらってくる。BGMは友人に相談しながら、1分程度でほどよく盛り上がるものにする。頭の中に理想としてあったのはPRIDEのオープニングムービーだったので、カット数を増やし、スローや早回しを多用。素人っぽい効果は避ける。iMovieで作れないものは、PhotoshopやFlashで作ってインポート。それでも構想には足りないけれど、予算の範疇と割り切ることにする。基本的にパッパと切り替わり、でもかっこいいところはスローにし、目を休める時間を用意し、使えない映像より、盛り上がる音楽に頼った作りにする。元がどうだったか知っているクライアントがとても喜ばれ、出してくださったデザイナーさんたちがえらく褒めてくださったので気分を良くし、音楽のアドバイスをしてくれた友人に見せたら、「でかいなぁ。」このムービーの中で釣れた魚(約70cm)はとても大きなものだったらしい。聞くと、釣っている人は日本一な人だとか。無知なもんで、このぐらいが普通なんだと思ってたよ。ん? 感想は?(hammer.mule)