Otaku ワールドへようこそ![46]猫喫茶で猫と遊ぼう
── GrowHair ──

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ちょっとネコぼけ3月3日は耳の日、耳と言えば猫耳、ということで、猫耳をつけて、猫喫茶で猫と遊んできた(写真1)。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR070309/FigDGCR070309.html#Pic1
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翌日は、捨てられた猫が大集団をなす「猫帝国」に行って、ノラ猫の社会に溶け込んできた。猫三昧の週末であった。

●メイドさんがライバル

猫喫茶とは、いつも猫が何匹かいて、来店した客と遊んでくれる店である。ふわふわひらひらしゃらしゃらしたやつでじゃらすと元気よく飛びついてくる猫あり、膝でくーくー寝てくれる猫あり。サービス精神旺盛な猫は、「ねもみん」という踏み固めマッサージをしてくれることも。

どうも台湾が発祥らしく、2003年ごろにはすでにあったようである。日本では去年ぐらいから開店し始めたのではないかと思われるが、今では双方に10軒ぐらいずつある。ちょうど、メイド喫茶と逆向きの流れで、文化の広め合いのような格好になっている。時代がメイドさんや猫ちゃんを求めているということなのだろう。両者は強力なライバルになっていきそうである。


猫語の教科書ただし、メイド喫茶の客層がもともとオタク中心だったのに対して、猫喫茶のほうは、カップル、主婦、サラリーマンなど、幅広い。猫喫茶の強みは、メイド喫茶と違って、猫が抱けちゃうところにある。しかし、猫耳のメイドさんはいても、メイド服の猫はまだ見ないあたりに、まだまだ未開拓の領域がありそうだ。

去年の10月にオープンしたばかりという "RIEN" は、中野駅北口を出て商店街を進み、メイド喫茶が2軒も入っているブロードウェイセンターを通り抜け、早稲田通りを渡ったちょっと先にある。
< http://www.rien222.com/
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平日は夜11時まで営業しているので、仕事帰りに立ち寄っていくサラリーマンも多いのだとか。「部長に猫パーンチ!」なんてやっているのだろうか。まあ、飲み屋でクダ巻いてるよりは、明るく健康的なイメージがあるけど。料金は30分500円(平日)/1,000円(土日祝)で、以降は10分毎に100円。

●猫兄妹に遊んでもらえた

店は猫が逃げないように二重扉になってて、外の扉を入ったところで受付をして、アルコールをしゅっしゅと両手に吹きかけてこすり合わせて消毒。中の扉を入ると、奥に向かって細長い造りになっていて、左がカウンター、右と奥の壁に人の席が10席ほどある。

こねこ・ねんね猫の席はそこらじゅうにあって、壁には吊り棚、天井からはハンモック。縁つきの丸いクッションの中に丸く納まってたり。天井裏に逃げ込めば、格子の隙間から見たり触れたりすることはできても、捕まえられない。もちろん人の膝も猫の席だ。そこで寝ちゃって、帰らせないようにするのが仕事だとも言える。"RIEN"の猫たちは、そこに住んでるわけではなく、店長さんちにい〜っぱいいる中から日替わりで5〜6匹選んで連れて来られるのだそうで。

奥には先客(人)がいたので手前右の席に着くと、まず、猫のおやつをくれる。それをもったいつけて小出しにしてると、どんどん猫密度が高まってきて、あっという間に超過密状態に。でも全部さばけて、「おーしまいっ」と言って空っぽの両手を見せると、一匹、また一匹と去ってゆき...。残ったのがちっちゃい灰色の子猫、「お軽」ちゃん。去年の10月23日が誕生日、ということは、4ヶ月ちょっとだね。お軽ちゃんは人の膝で寝るのが大好きなんだそうで。もうさっそく熟睡体勢に。

そのままなるべく動かさないようにしつつ、さっきドンキホーテで買ってきた猫耳をそーっと取り出して自分に装着。首にピンクのリボンを巻いて、鈴も装着。鏡ないけど、似合ってるかな?

店長さんにお願いして、コンパクトデジカメのシャッターを押してもらう。膝の上にいるのがちっちゃな子猫なので、猫と一緒にアップで写れるよう、寝ているそのままの形で両手で抱え、胸ぐらいの高さまで持ち上げてみる。気にせずそのまま寝てるよ。で、冒頭の写真が撮れたわけで。

奥のほうの席が空いたので、寝たままのお軽ちゃんを両手でそーっと持って移動。うーん、よく寝てる。そこへ「ブルホワ」君(五つ子の兄貴)がやってきて、妹の毛づくろい。耳の中までなめてる。そうこうするうちに、兄貴のほうも寝る体勢に。半分乗っかり状態で、ほぼひとかたまりのようになってる。乗っかられてる妹も特に気にする様子はなく。撮っていると、兄貴のほうが気がついた。
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ストラップのぶらぶらが気になったようで。ぶわーっと大あくびして、ぐぐーっと伸びをしたと思ったら、それでもう戦闘態勢に入れたとみえ、いきなり飛びついてきた。まだ子猫で、それほど動きが俊敏でなく、飛びついた瞬間にすっと引き上げて、空振りを打たせてやることができる。そうなると、いっそうムキになって飛びかかってくる。床の上をしゅるしゅるっとやると、どたどたどたっと追っかけ回してくるし。元気だ。

ゆかいな にゃんドル はっちゃんの へんがお顔の周りを泳がせたりしてからかっていたら、ついに捕らえられた。爪でひっかけた上に、食いついて離さない。引っ張ってもそのままずるずると引きずられてるし。ほい、釣れた、釣れた、と。そんなことやってても、妹君のほうは意にも介さず、相変わらず膝でくーくー寝てる。

獲物を追うときは野性性が垣間見られるけど、みんな人にはすごくよく慣れていて、お行儀がいい。爪を立てたりしないし、おやつも掠め取ったり奪い取ったりしようとはしない。そのあたり、私が知ってる猫とはちょっと違うので、「猫が猫かぶってるー」と思ったのだが、店長さんによれば、猫の種類によって性格がある程度決まってくるので、それなのではないかと。

フォックス先生の猫マッサージ店長さんの猫好きは言うまでもないことで、「猫の幸せのことをいつも考えている」そうだが、単なる思い入れにとどまらず、猫の健康に関する専門知識の地道な習得にも怠りない。本棚には猫関係の本がいっぱい並んでいる。「猫にとっての快適な環境作りを心がけていて、内装は木や珪藻土を使っているのでニオイがしない」などの工夫が随所にみられ、「猫を飼っている方々にとっては参考になることがたくさんあると思うので、ぜひいらしてください」とのことでした。

気がついたら3時間も経ってた。うわ、そんなにいた感覚は全然なく。先週初めて来たときは1時間だけいて気分的に物足りなさが残ったので、今日はそれよりやや長居したかな〜、とは思ってたんだけど。猫の営業作戦にまんまとはまったか。おっと、店出るときは、猫耳はずすのを忘れないようにしないと。「我に返る」とはまさしくこのことだ。

●猫帝国では猫にじゃらされた

nekopunch tv books レッツゴー3匹翌日も猫に手を貸したいほど暇だったので、猫帝国へ。私が勝手にそう呼んでいるだけなのだが、とある観光地のはずれにあって、捨てられていった猫たちが野良化して、何十匹という大集団を形成している場所である。

猫帝国は治外法権、主権在猫である。車の来ない道いっぱいに広がってのびのびと寝そべり、犬が通りかかっても微動だにしない。かえって犬のほうが小さくなって隅っこをこそこそと通り抜けている。が、1年以上経って行ったら、バイクが頻繁に走るようになっていて、猫たちは周辺に追いやられていた。また、アマチュアカメラマンがどっと増えてた。

野良といっても近所の猫好きの人たちが毎日えさをやりに来ており、寄付金を募って避妊手術を施したりもしている。近所には、何某センターという要るんだか要らないんだかよく分からない公共施設があるが、えさをやりに来た女性は、宝くじに当たったらあれを買い取って猫センターにするのが夢だと息巻いていた。

テレビでも取り上げられたことがあり、猫を捨てに来る人が後を絶たなくて困るという趣旨だったにもかかわらず、放送後には捨てに来る人が余計に増えたそうで、場所は言わないでほしいとのこと。ここの猫たちの中には人間に対する警戒を決して解かず、いつもえさをやりに来る人に対してさえ、一定の距離よりも近づかせない猫が少なくない。一体どんな目にあっていたのだろう。

猫がもてなす宿猫というのは、初めて会ったときには馴れるのにすごく時間がかかるのだが、一旦仲良しになると、しばらくぶりに会ってもちゃんと覚えている。不思議なのは、二度目に行ったときに以前の猫がいなくても、そのときに同じ場所で初めて会った別の猫とは、なぜか割とすぐに仲良くなれちゃう。何か伝言しておいてくれるのだろうか。

見知った猫はいないかと見回すと、いたいた、白と濃いめのグレーの大きなやつ。向こうも気がついて、あいさつしに近づいてきた。足許を何度も何度も往ったり来たりしながら、すりすりしてくれた。他の、初めて見る猫たちも寄ってきた。だけど、あのときいた猫、ずいぶんいなくなってるぞ。

一番仲のいい猫は撮れないというジレンマがある。撮ろうとすると、すぐに遊びたがってレンズフードにすりすりしてくる。ピントが合いませんって。仕方なく他のを撮ろうとすると、今度は邪魔してくる。今回はトラ猫にやられた。寝そべっている猫と同じ目線で撮るためにこちらも這いつくばると、もう大喜びで寄ってきて、顔の横にどかっと座り、長い尻尾で顔や首をぱたぱたやってくれる。あー、じゃれたくなるー! うにゃっ。

夕方、横の公園のベンチで帰り支度をしていると、今度は白い大きなやつが寄ってきた。全身ほとんど真っ白なんだけど、頭と尻尾が三毛。今日、初めて会って仲良くなったばかりなんだけど、その後で意地の悪そうな小学校低学年ぐらいの女の子がやってきて、足を踏み鳴らしたり襲いかかるそぶりを見せたりして片っ端から追い散らしちゃったのをひどく憤慨していて、その後で私が構いに行ったら、ひっかかれた。やっと機嫌をなおしたらしい。
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さくらねこ―猫と桜の物語ベンチに腰掛けている私の膝に上ってきた。両手で丸を作ってやると、その中にすっぽりと収まり、真ん丸くなって寝始めた。時おりこっちが動こうとすると、「何をするんだ」と言わんばかりにいよいよ顔を埋めて丸くなり、本格的に寝る体勢である。あったかくていいけど。立ち去れないではないか。

6時を過ぎて、あたりが暗くなり、だんだん寒くなってきた。どうしようかと困り始めたころ、ようやく起き出して、毛づくろいを始めた。やっと帰らせてもらえる。またしても我に返る瞬間。ラミパスラミパスルルルルル〜。

ところで猫とよく遊んだことをもって伝記となった人物に良寛禅師(1758-183 1年)がいる。私も猫と遊ぶけど、なぜ私は良寛ではないのだろう。そんな疑問がつきまとう。悟りを開くほどの域へ到達するには、今の十倍も百倍も猫と遊ばねばならぬということなのだろうか。幸い、近所には猫喫茶があり、猫帝国へ行けば、何年経っても私のことを覚えていてくれる仲間たちがいるのだから、これからはもっと足繁く道を教わりに行こう。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
前世の猫が抜けきれてない人。先日、岩手県北上に出張してきた。その方角にちなんで、柳田國男の「遠野物語」を新幹線の中で読んでいたら、妖怪の里に向かってるような気がしてきて、怖くなった。「迷い家(マヨイガ)」って、まるで千と千尋ワールドだ。あの話では勝手に食べてはまずかったが、伝承では何でも持ち帰っていいことになってる。カクラサマって神様は楽しいなぁ。誰も信仰してない木彫りの像が雨ざらしになってて、子供がそりにして遊んだりするもんだから目鼻も分からなくなっているという。下手に制止する者があると、かえってその人が祟られるのだとか。北上は小奇麗でのどかな町、河童や座敷童子の気配はなかった。拍子抜け。雪がまばらに解け残り、きんと寒かったが、地元の人によれば4月か5月の陽気だという。真冬日が全然なかったそうで、2週間前に30cmほど積もった雪もあっという間に溶けたという。言葉というのは不思議なもので「異常気象」と言えば何か恐ろしい現象のように聞こえるが、「馬鹿陽気」と言えば、そういうのは昔もあったなぁ、と。って問題じゃないか。


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