/応募規約は危険がいっぱい 柴田忠男

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クリエイターのための著作権入門講座―自分の作品を守り、他者の権利を侵害しないために最優秀賞1名100万円、優秀賞1名30万円、審査員賞3名各10万円。審査員はテレビ、CM、web業界を牽引するあの著名人。そう銘打った映像コンテストがあったので、紹介しようと思って応募規約をのぞいて、なんじゃこれは! と愕然。

応募者は、作品の応募に際して、以下の規約を遵守するものとします、として「応募作品に対する著作権その他の知的財産権(翻訳その他の翻訳権及び二次的著作物に対する原著作者の権利を含む)は、応募作品応募をもって当社に移転するものとします。なお、当社への権利移転に対価は発生しないものとします。応募者は、応募作品の応募後において、応募作品に対する著作者人格権を行使してはならないものとし、その著作者に著作者人格権を行使させないものとします。当社は、応募作品を、その裁量により改変し×××に掲載する権利を有し、また×××の広告としての使用等、×××のPR等に利用することができるものとします」だって。


信じがたいほど勝手なことを堂々と書き連ねている。おそらく「次世代クリエイターの発掘」などと標榜するイベントなのだろうが、そんなえらそうなことは言わせない。たんなる「コンテンツのただ取り」「コンテンツの一網打尽作戦」ではないか。とにかく、応募したが最後、すべての権利は主催者にただ取りされてしまうのだ。はっきりそう書いてある。曖昧でないところが、ある意味すがすがしい(笑)。

著作者人格権とはなにか。あの恐怖の(笑)いや笑ってる場合じゃないか、JASRACのサイトにわかりやすく解説されているので引用させてもらう。
< http://www.jasrac.or.jp/profile/copyright/person.html
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そもそも著作物とは、それを創作した人の全人格を表したものとも言うことができ、著作物がどのように利用されるかは、単に、経済上の問題にとどまらず、著作者の人格的な問題にもかかわってきますので、著作権法では『著作者人格権』として次の3つを定めています。

●公表権 著作物を公表するかしないか、公表するとすればどのように公表するかを決めることができる権利。
●氏名表示権 著作物に氏名を表示するかしないか、表示する場合に本名を表示するかペンネームを表示するかを決めることができる権利。
●同一性保持権 著作物の改変、変更、切除などを認めない権利。