[2307] 暴かれた昭和

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<iPodには「COLTEMONIKHA」と「Perfume」>

■音喰らう脳髄[39]
 暴かれた昭和
 モモヨ

■Episode of ガテン系デザイナー[7]
 お前はどうなの?
 相子達也

■イベント案内
 トークイベント「水に学ぶ」浅葉克己・松岡正剛・佐藤卓
 「パッケージデザイナー、文字を極める」

■展覧会案内
 EMERGING ARTISTS IN MEGURO


■音喰らう脳髄[39]
暴かれた昭和

モモヨ
< https://bn.dgcr.com/archives/20071106140500.html
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日曜日の夕方、ニュースをぼんやりと眺めていたら政治家が、「憂国の情が理解されないのでがっかりしたにちがいない」(要旨)なんて口にしているのを小耳にはさみ、三島由紀夫の自決を勝手に連想して、「ああ、もう11月なんだなぁ」と勝手に季節感を覚えていたのだが、どうやら私の早とちりだったようで、小沢民主党代表を指して発せられた言葉だった。

小沢代表といえば、先日、自民党の党首会談で連立政権を持ちかけられ、それを党に持ち帰ったところ、それを役員会で否認されたくらいのことしか知らなかった。民主主義であれば意見の違いはいろいろあろうから、少しもめても大した事にはなるまいと高をくくっていた。が、どういう筋道からか、日曜の夕方、突如、代表を辞任することを表明した。

たしかに土曜日くらいに、民主党をやめるかも、という噂が流れてはいた。私もそんな予感がしないでもなかった。なにしろ、アノ小沢である。しかし昔の小沢氏ならともかく、いまや日本に二大政党制を実現することを前提とするマニフェストを掲げる民主党の代表である。その基本方針に多くのシンパシーは心を寄せたのだろうし、党員、党友の多くもそのマニフェストの上に集っているはずなのだ。

目の前に、ニンジンならぬ権力の座をちらつかされて動じるようでは人間として失格だろう。市町村長すら覚束ない。誰しもがそう思っていたところへ……これである。

マニフェストに掲げた全ての前提を危うくするような行動をし、それが仲間に受けれらないと仲間や支持者を低く見るような発言で斬って捨てる。どう考えても、憂国という言葉が似つかわしいはずがない体たらくではないか。

何日か前、防衛省の事務方トップだった輪郭の緩い男の国会証人喚問があった。あれを見ているときに私の胸をかすめたのも、同じ三島由紀夫の自決だった。

作家の自決については様様な角度から語られ、情報も出尽くした観がある。けれども私には割り切れないところ、納得できないところがどうしても残ってしまうのだった。やるせなさ、とでも言えばいいのか。考えるほどに心が落ち着かず、不安を覚えるのだ。何十年もの間、私はそれを言語化できず、消化できずに生きてきたのだ。

が、先日の証人喚問を見てすべてが明らかになった、そんな気がした。

三島があれほどに惚れ込み、恋情と信頼をしたため続けてきた自衛隊、そのトップの座に君臨してきたという男の無様な正体を私たちは見てしまった。そして、三島由紀夫の舐めた失意、その絶望の深さを思い知ったのだった。皆があれを見てしまった今、多くをかたるまでもなかろう。

ここにきて、私が生きてきた昭和という時代の仮面にヒビが入り、素顔がしだいに見え始めているような気がしている。そして、悲しい話だが、その真の姿は『三丁目の××』とか『二〇世紀少年』のノスタルジアなどとは程遠い、老獪で冷酷な面貌をしている。資源にしろ社会システムにしろ、あまりに無責任、あまりに強欲、あまりにも恥を知らない。

憂国という言葉はそんなに安っぽいものではなかろう。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
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■Episode of ガテン系デザイナー[7]
お前はどうなの?

相子達也
< https://bn.dgcr.com/archives/20071106140400.html
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いろんなクライアントさんのことを書いてきましたが、人のことばかりじゃなくお前はどうなんだ? ということで、自分のことを。

これがもうお恥ずかしいというか、いたたまれないというか、大変恐縮ですというか、穴があったら入りたいくらいダメダメです。基本的にスロースターターなうえに、締め切りが近くならないとフルスロットルになりません。これは子供のころからなので直らないとあきらめて、いくつかの仕事のサイクルを調整して、うまくこなせるように努力しております。

そんな私の基本的な一日。朝は5時50分に起きます。細かい時間ですが、アラームのセット時刻がこれなのでそういうことにしておきます。子供を起して朝ご飯、7時15分に「いってきまーす」。ゴミ出しの日には一緒に家を出て、そのままウォーキングです。iPodには「COLTEMONIKHA」と「Perfume」。

帰ったら三階屋根裏オフィス(笑)で仕事スタート。午前中は準備作業というか資料集めというかアイディア出しというか、PC半分・紙半分であーでもないこーでもないがつづきます。それと定期的な更新作業などをこなしてお昼。

午後の仕事開始。4時頃になると睡魔が襲ってきます。ここでだめなら昼寝を一時間ほど。夕飯を食べたら子供と過ごします。「おやじこの問題教えろ」「おやじゲームの相手をしろ」「おやじMac使うぞそこをどけ」「おやじお菓子もってこい、あーコーラもな」「おやじ肩をもめ」「部屋の掃除はしたか」「三歩さがって歩け」「頭が高い」ははーっ。

お風呂に入ったら夜の仕事スタート。ここからが本番です。子供の妨害もなく電話もかかってこない。集中して仕事ができます。2時か3時ごろまでやって就寝。改善点山積みの一日が終わります。

一日がスムーズに終わることはほとんどなくて、突発的な仕事が投げ込まれると同時にグダグダになっていきます。午前中にがっちりと仕事ができるようにするだけでも、ずいぶんとちがうんでしょうねぇ。仕事をすぱっと始めてすぱっと終了、土日は休日としたいところですが、そこはほれ私も人間、完璧なんて無理無理。

もう一つの問題。部屋にこもってイスに座ったままなので慢性的な運動不足です。心肺機能をアップしたいと思っても、心拍数が上がるのは、代理店さんから「ちょっとまずいことに……」なんて電話がかかってきた時くらいなものです。冷や汗とともに。

そこでウォーキングを始めたわけですが、毎日というわけにはいかず、期待したほどの効果はありません。おまけに、年々体力が落ちてきて無理がきかなくなってきます。結局、これも時間の使い方と集中するタイミングが悪いからですね。一日のスケジュールを組んで強制的にやってみようと考えていますが無理なんだろうなぁ……。

そんななか、スケジュールを貼り出してピシッと仕事をこなす人をみると、羨望のまなざしで口を開けっぱなしで感心することしばし。フリーで働いてるみなさんはどうですか?

●建設現場報告 発掘と発見に盛り上がる

「ここ、遺跡があるんで発掘になります」

うわ、そこ前方後円墳の頭んとこ? やっぱり? 交差点内だけど。待ってました、発掘ですよ発掘。「なんか出てくる」の期待感は誰もが持ってますから、いつもの仕事よりまじめに取組んだりします。

とはいえ、石棺が出てきたり埋蔵金があったりカメの中に大判小判がざっくざくとか、副葬品に囲まれた人骨が出てくるわけではありません。周辺の堀の形や埋まっている土器、住居跡の柱やかまどの後などがほとんどで、ぱらぱらと土器の破片や、時には通路の跡だけなんてこともあります。

最初から慎重に掘っていきます。機械でガリッとやったら貴重な文化財が台無しです。ある程度まで掘って、人力で作業できるようにしたら人海戦術発動。シルバー人材センターから、麦わら帽子に手甲、首にタオルをかけて地下足袋姿のお年寄りがわらわらと集まって、すこーしづつ土をどけていきます。昔は夏休みなどのバイトで学生を使ってたのですが、最近はほとんどなくなりました。少年たちよ発掘は楽しいぞ。

今回発掘されたものは、古墳よりもずいぶんと新しい住居跡でした。住居の柱の跡とかまどの跡がほとんど。土器というほどの古いものはありませんでした。しかし、広い範囲を発掘し終わり測量をして(これは役所の人がやります)記録していくと、それぞれの家と家、生活道路の関係などが見えてきてとても興味深いものです。

悠久の歴史の中に身を置き、遠い太古の生活に思いを馳せる時、ここに住んでいた人達は後に我々が掘り起こして調査をすることなど想像すらできな……あ、昼飯ですか。

なんか出てくると言えば、あまり歓迎されないものも出てきます。古い家屋が建ち並ぶ地域に下水道を引くため掘削していた時のこと。堀山の壁からなにやら白いものがぽろぽろと…「あらら、すいませんこれ背骨ですよ」「動物のじゃない?」「家畜かなんか?」「ずいぶん浅いとこだね」「でも、結構な量じゃないかい」

その時、通りすがりのおじさんがひと言「あーそこ昔お墓」……確定です。そこは、お墓といっても立派な墓石が立っているわけではなく旅の途中で亡くなった方や洪水などの災害で亡くなった、いわゆる無縁仏を埋葬していたとこだったそうです。

こういうときはちゃんとお坊さんを呼んで、しっかりと供養していただきます。不吉な出来事があったという話は聞きませんが、昔からの約束事です。安らかに〜と拝んだ後は、何事もなかったかのように作業開始となります。

発掘にしろ、歓迎されないもの発見にしろ、仕事が止まってしまうので会社としてはありがたくありません。でも現場で働いている者にとっては、なぜか盛り上がるのです。

【あいこたつや】aitatz@gmail.com
早速Leopardにアップグレード。Cover Flowの便利さに感心しました。大きなサムネイルと、その場での内容表示でファイルを探せるのは実に便利。いままでなら素通り確実のファイルを見つけて「あーこんなファイルもあったなー」と寄り道することしばし。これとSpotlightがあれば、Finderのウインドウはひとつだけ開いておけば大丈夫。MacOSの進化は正しい方向を向いているなぁ。ただ古いアプリケーションのいくつかは起動しなくなるし、私のようにPower Book G4にインストールする場合、Classic環境はなくなるので注意が必要です。
< http://www.ggrafix.jp/
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■イベント案内
21_21 DESIGN SIGHT EXHIBITION 2 "water" × ABCコラボレーション企画
トークイベント「水に学ぶ」
浅葉克己・松岡正剛・佐藤卓トークショー「水・書・文字」(仮)
< http://www.aoyamabc.co.jp/10/10_200712/21_21_design_sight_exhibition_5.html
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< https://bn.dgcr.com/archives/20071106140300.html
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日時:12月9日(日)14:00〜16:00(開場13:30〜)
会場:東京ウィメンズプラザホール(青山ブックセンター本店隣)
定員:260名
入場料:500円(税込)
前売りチケット購入方法:店頭でのチケット販売は、青山本店と六本木店にて。また、サイトでも購入できる。販売開始日は11月10日(土)10:00から。
電話予約&問い合わせ電話:青山ブックセンター本店(03-5485-5511 10:00〜
22:00)
※トークショー終了後にサイン会。映像上映有。

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■イベント案内
JPDA西日本デザイン交流セミナー
「パッケージデザイナー、文字を極める」
< http://www.jpda.or.jp/activities/nishi/2007004/2007004.html
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< https://bn.dgcr.com/archives/20071106140100.html
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デジタル時代の今だからこそ、デザインにおける文字の重要性を再認識し、今後のデザインワークに役立ててもらうための企画。
コーディネーター:藤田隆
講師:多田和博(ブックデザイナー、日本図書設計家協会会員)
   高田雄吉(グラフィックデザイナー、日本タイポグラフィ協会会員)
日時:11月22日(木)17:00〜セミナー 18:30〜20:00交流パーティ
会場:日本綿業会館本館7F大会場(大阪市中央区備後町2-5-8 TEL.06-6231-4 881)
会費:3,500円

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■展覧会案内
EMERGING ARTISTS IN MEGURO
目黒の新進作家─七人の作家、7つの表現
< http://www.mmat.jp/
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< https://bn.dgcr.com/archives/20071106140200.html
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会期:12月4日(火)〜1月13日(日)10:00〜18:00
休館:月曜日(12/24は開館)12/25(火)年末年始(12/28-1/4)
会場:目黒区美術館(東京都目黒区目黒2-4-36 TEL.03-3714-1201)
観覧料:一般500円、大高生・65歳以上300円、小中生無料
内容:出品作家は、絵画・立体・写真・映像など現代美術の領域で活躍する、20代後半から30代後半(1970年代生まれ)の七人の作家です。作家選出にあたっては、作品やモチーフに対して「テーマ」は特に設けず、目黒区と何らかの関係がある作家であること、そして、各分野で美術家として真摯に制作活動に取り組み、近年、自分の表現を見出してきた作家であること、または、当館の収蔵作品の収集方針のひとつでもある“海外(欧米)とのかかわりの中で独自の展開を模索してきた”作家であること、という着眼点を設けました。(サイトより)
出品作家:東亭順(絵画)石川直樹(写真)源生ハルコ(絵画)鈴木康広(立体)瀧健太郎(映像)野村恵子(写真)屋代敏博(写真)

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■編集後記(11/6)

・恥ずかしいにもほどがある、松平健と小池栄子のJAバンクのCM三編。ふたりが相手の心をつかむために行うコミカルなパフォーマンスや、ふたりに共通する「強い眼力」が見どころだと関係者は言っている。その見どころが恥ずかしい。いきなりその筋の人みたいなのが現れて、全然おもしろくもないことを勝手にやる。気味が悪いし目がこわいし、お客側は仕方なくお追従笑いをするしかない。サイトで60秒バージョンというのも見たが、ますます恥ずかしい。元気がないにもほどがある、伊右衛門の本木雅弘。力ない声で「玄米茶……作ってみよかなと思って。」なんて、まるで病人みたいな風情だ。薬を煎じているのかと思った。いままでのシリーズでもこの人はほとんどしゃべらない。もの静かどころではない。このCMが現れると必ず「元気出せよ、ファイト一発だ」と声援を送るのである。不快なのもほどがある、「ぼく競走馬です」のセゾンカード。ほほえましいという人もいるが、わたしにはビジュアルが気持ち悪い。馬が足を投げ出して座り込んでいる。絶対こわい、不気味だ。「成績次第の厳しい世界で生きています。応援してください」というめめしいメッセージに、子供の声をつかう反則技もいやらしい。このCMの音楽が聞こえてくるたびにいやな気分だ。紳介と和田アキ子が出るやつは即スイッチ・オフ。(柴田)
< http://www.jabank.org/campaign/cm/
> JAバンク
< http://www.suntory.co.jp/enjoy/cm/index.html
> サントリー

・最近は朝5時半起き(携帯の目覚ましが)。夜は日付けが変わる前にベッドに入るよう努めている。これから寒くなっていくので、夜中に仕事をするのは体調管理のためにも避けたいところ。14時近くまでメルマガ関連。周りで甥らがちょろちょろ走り回っている日も。膝の上に乗せろと言われたら乗せて遊んでやる。頭が疲れている時は無理せず昼寝をすることも。一日1時間程度の運動時間をとりたいのだが、なかなか難しい。仕事は短期集中型だが、事前調査に時間がかかる。Web制作業界の動向スピードは早くて、ちょっと前はOKだったものが、NGになっていたり、もっと良い方法が編み出されていたり。そして気がつくと全然関係ないことまで調べていたりする……。土曜から日曜夕方までは基本的に仕事は休みにしていて調整用に使用。忙しい時は休日と睡眠時間がなくなる。忙しくなる原因のほとんどがクライアント側。原稿やデータが期日までに届かないとか、途中から現実離れした要望が入ってきての攻防とか、どんでん返し要望とか、納期が急に前倒し、もしくは翌四半期へ延びたりして他の仕事と重なってしまったり。体を壊してはいけないしと、なるべく重ならないように仕事をとるようにしているのだが、これだけはどうにもならない。疲れたら諦めて寝て朝にがーっとやるように。打ち合わせなどで22時を過ぎると眠くなってくるのが弊害だな。(hammer.mule)