電子浮世絵版画家の東西見聞録[20]ソウルストリート探訪-3 明洞
── HAL_ ──

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ソウルを訪れる人の、だれでもが行くのが明洞(ミョンドン)です。ミリオネなど大きなファッションビルもあり、ファッションの街として有名で、お買い物には最適です。そして、明洞汗蒸幕という最大規模のエステも有名です。でも、とりあえずどちらにも興味のない私たちにとっては食の街です。ファッションともう一つの面として、明洞はグルメ激戦区でもあるのです。ですから、あちこちで紹介されている、当たり前の所にしか行く事が出来ません。それだけポピュラーな街なのです。その中でも、気に入った店を幾つかご紹介します。


◎まずは「元祖安東チムダッ」
アントンチムダッは「安東鳳家チムダッ」という店が、ソウルでセンセーショナルなブームを巻き起こしたのですが、今はブームが終わり、チムダッの店も次々姿を隠したということです。チムダッは安東地方の郷土料理で、ジャガイモ、韓国春雨、鶏を丸ごと一羽ぶつ切りにして、唐辛子をきかせた醤油ベースの甘辛な味付けです。私たちが行った「元祖安東チムダッ」の味はかなり辛めなので、私たちの舌にはぴったり合います。なにしろこの店は、この辛さが癖になると言われて広がった店ですから。

そして、メニューは骨付きと骨を抜いたものがありますが、チムダッだけ!。そしてその量が半端ではありません。なにしろ、一羽丸ごとの量の鶏にジャガイモとたっぷりの春雨とが煮込まれています。日本で使う大きめの土鍋一杯より量があるといった感じです。春雨は中国のそれとは少し違い、太くてプリプリつるつるしたもので、味がしっかり入るほど煮込んでも形は崩れません。とても美味しいものですが、せっせと食べてもいっこうに量が減らない(私たちは半羽を頼んだと記憶しています)。頑張っても頑張っても、鍋の底は見えてきません、最後はギブアップです。

しかし、この店も次に行くときにはなくなっているかもしれません。前回、通りがかった時にも客はかなり入っていましたが、熱しやすく冷めやすいというのが韓国人の気質です。次に来るブームによっては、あっという間に店が代わっても不思議ではないのです。

◎次は「ヨッコウル」
「元祖安東チムダッ」から明洞駅に向かい数十メートルの位置にある店で、こちらは居酒屋という感じで様々なメニューが用意されています。日本語の通じる店員さんもいるので、日本語で話しかけてみましょう。最近の日本の大衆飲み屋のようにテーブルにベルが付いていますので、再注文も気軽に出来ます。日本人の客も多いようで、しばらく座っていると日本語が時々飛び交うのが聞こえます。

私たちが入ったのは、三月の寒い時なので鶏チゲを頼みました。やはり、チゲは大きめの鉄鍋一杯で、二人では充分すぎる量です。鍋の出汁は見た目が真っ赤っか! でも意外にさっぱりしているので、特に辛いのがだめな人以外はいけるでしょう。もちろん、辛くしないでくれと始めから頼めばそのようにしてくれると思います。

これに、ニラチジミ、そしてまずはメッチュ(ビール)、そしてドンドン酒。チジミもピザサイズというかなりの大きさで、他にも色々食べたいのですが、この程度であきらめてしまいました。二品しか頼んでいないのに全然食べきれなかったのですから。四人くらいで来ないと無理ですね。もちろん、キムチやらなにやらバンチャンは沢山出てきます。で、料金はと言うと、二人で50,000 w。日本円にすると6,000円くらいと超破格値です。
と、一応ネット検索してみたら、、、閉店、、、ということです。残念!

◎ビビンパプ「古宮」
今までの二件は夜のメニューだったので、最後に昼メニューをご紹介。もちろん夜もやっています。ここのビビンパプはどの店のものより豪華で、日本人の舌に上品に感じられる味付けだと思います。韓国料理は比較的強めの味でおおざっぱな感じがするのですが、この店は薄味で材料の良さを引き出す料理方法をとっています。

明洞駅からすぐ近くなのですが、いつでも人でにぎわっている明洞の喧噪が感じられない静かな場所にあります。店構えも「古宮」の名前に恥じない高級そうな朱色を基調にしたものですが、比較的リーズナブル。店内も明るく清潔感がただよい、チョゴリをきちっと着込んだ店の人たちも教育がしっかりなされている感じで気持ちの良い店です。

私が頼んだのは伝統ビビンパプ。日本ではビビンパと言いますが、ビビンとは雑ぜる事を意味し、パプはご飯のことです。最後の「プ」の「ウ」は発音しないので表音はビビンパでも正解なのです。でも、口を開けて終わってはいけないので、しっかり閉じて気持ちだけで「プ」を発音してください。これでないと通じません。

まあ、要は混ぜご飯なので上にのるものは何でも良いのですが、伝統に従って色鮮やかな赤・緑・白・黒・金という五色の食材が、ご飯の上にのせられて出てきます。季節に合わせて栗や銀杏がのせられていますが、その食材の数は30種類あまり、全て自然の栄養をバランスよく取り入れられるように考えられています。

これもネット検索してみました。
緑:ギンナン、ほうれん草、セリ、ホバッ、キュウリ
白:栗、キキョウ、フクベ(ウリ科)、ジダン、大豆モヤシ
赤:ナツメ、ニンジン、コチュジャン、ユッケ
黒:黒ゴマ、ワラビ、イワタケ、昆布、海苔、シイタケ
金:クルミ、松の実、ファンポムッ、卵

この「古宮」はなくなることはないと思われますので、ソウル訪問の際は是非訪れてください。ビビンパプの味もバンチャンの味も絶品です。

ということで、今年の最後の回となりますね。みなさま、いい年をお迎えください。「セーヘーポンマーニパドュセヨ!」(意味は来年ね)

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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