<いや〜〜〜薄いわ軽いわ美しいわ>
■武&山根の展覧会レビュー
横山大観を"体感"する
武 盾一郎&山根康弘
■グラフィック薄氷大魔王[123]
恐怖のGDTツール「OmniFocus」
吉井 宏
■武&山根の展覧会レビュー
横山大観を"体感"する
武 盾一郎&山根康弘
■グラフィック薄氷大魔王[123]
恐怖のGDTツール「OmniFocus」
吉井 宏
■武&山根の展覧会レビュー
横山大観を"体感"する
武 盾一郎&山根康弘
< https://bn.dgcr.com/archives/20080213140200.html
>
───────────────────────────────────
武:こんばんは!
山:こんばんはー。
武:おっ! 久しぶりじゃあないですかー。
山:そうやね。なんせ二ヶ月間は武さんが勝手にやってましたからね。
武:「勝手」ではない、買って出たのだ。ところで、蜂窩織炎は治ったのか?
山:そうそう! 大変やったでまったく! ほんまちっちゃい怪我でもばかに
したらあかんよ。足腐るで。
武:今、「腐る」とかいうと、泣きながら謝らなきゃならなくなるぞい。
山:へ? なんで?
武:倖田來未が羊水が腐るとか言って大問題じゃないですか。
山:それか。でも僕はお医者さまに「あんた足腐るよ!」って言われた。
武:ホントに腐るんか! 怖いな。。。ところでな、山根が蜂窩織炎でダラダラと怠惰な時間を潰してる間、デジクリの個人原稿で「暴飲キャラは今年いっぱいとして、来年からフレッシュでクールでオシャレでキッチュでセクシーなチャットレビューにしたいと思っておる次第です。」とか言ってしまったんだが、どうよ?
< https://bn.dgcr.com/archives/20071212140100.html
>
山:誰が怠惰やねん! 医者から酒は絶対ダメと言われて禁酒、日々謙虚に修練を積んでたやないか。
武:えっ? 夕べも朝5時まで呑んでたじゃん。ってか、ホントに懲りなすぎ。
山:わはは! まあ今年も呑み続けるっちゅうことでよろしくお願いします! 明けましておめでとうございます!
武:明けましてって、もう2月だけどな(笑)。
山:旧正月です。
武:アハ、太陰暦は大事だけどね。でだ、今日はねー、日本酒なんすよ。で、日本酒と言えば、「酒仙」と呼ばれる日本画家の展覧会に行ってきましたよー!
山:そうやな。横山大観です!
武:六本木は国立新美術館、行ってまいりました! 六本木はホントに厭な都市ですねー! っつーか、国立新美術館ヤバくない?
山:なんかミョーに居心地悪いんよな六本木。国立新美術館は……ヤバかった(笑)。
武:3連休で天気も良かったってことがあるんだろうが、まず、歩きにくい。
山:歩道の大きさと人数が合ってへんねんな。ぶつかりまくりですよ。だからって歩道をおっきくしたら済むって話ではなさそうやけど。
武:都市の景観がまるで平面のように薄っぺらく感じるんだよね。国立新美術館もなんかミョーなデザイン。六本木ヒルズ、ミッドタウン、国立新美術館、これらはなんだか同じコンセプトを感じる。「貧乏人は死んでよし」というメッセージかな。
山:国立新美術館、僕はなんか巨大な有料休憩所かと思た。カフェだらけ(笑)。
武:閉館するの早すぎ、18:00だもん。24時間営業にして、ソファーを3倍にして、メンドクサクなったら、泊まったり煮炊きしたり出来るようにしたら、画期的な建築だと思うけどな。
山:それはおもろい。
武:だいたいなー【没後50年 横山大観 新たなる伝説へ】、1,400円高すぎ!!取材費自分持ちなんだから。革命戦士「チェ・ジバラ」だぜよ。。。わはは! みなさん、ここは笑うところです!「わはは!」のセリフは山根が言ったことに後で編集しよう。
山:あかん。しかしほんま高いな。もう少しで黒霧島一升買えてしまうやないか。
武:しかも混んでたしなー。思わず下痢が悪化したよ。革命戦士「チェ・ゲリバラ」だぜよ。。。わはは! みなさん、ここは笑うところです!
山:なんでそんなにゲバラにこだわっとんねん!
武:俺、ゲバリストだから。
山:本題いこ、本題。
●酒仙・横山大観
武:そうでした、横山大観。
山:酒の大先輩です! よろしくお願いしますっ!
大変な酒好きとして知られ、人生後半の50年は飯をほとんど口にせず(たまに
食べる時も一粒二粒と数えるほど)、酒と肴だけで済ませていたという。飲ん
でいた酒は広島の『醉心』で、これは昭和初期に醉心酒造の社長・山根薫と知
り合った大観が互いに意気投合し、「一生の飲み分を約束」した山根より無償
で大観に送られていたものだった。しかし山根は年に四斗樽で何本も注文が来
るので驚いたという。代金のかわりとして大観は毎年1枚ずつ自分の絵を無償
で送り、結果、醉心酒造に大観の記念館ができることとなった。
(wikipediaより)
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E8%A6%B3
>
武:わはは! 凄い呑みっぷり。
山:なになに……、ちょっと待て! ヤマネってなんやっ!!
武:山根(笑)!
山:僕はしらんぞ!
武:やっぱり「山根」って酒と縁が深いんだねー。
山:この符合はなんやねん!
武:酒造の社長さんですがな。しっかし、四斗樽で注文するとは。。。40升ですよ!
もっとも、最初から酒好きだったわけではない。若い頃は猪口2〜3杯で真っ赤
になってしまう下戸だった。しかし師の岡倉天心は日に二升ともいわれる酒豪
であり、「酒の一升くらい飲めずにどうする」と大観を叱咤したため、飲んで
は吐きながら訓練した結果であった(wikipediaより)。
山:どんだけ呑むねん(笑)。
武:「飲んでは吐きながら訓練した結果であった。」(笑)!
山:何を訓練してるんや! って僕も昔そうやって教えられた気がする……。
武:そうやって誰もが大人の階段を昇って行くわけだわねー。
山:それでどんどん絵が売れていくんやからたいしたもんやな(笑)。
武:おぉ、それでいこう。で、「株式会社醉心山根本店」の山根薫(やまねかおる)社長との出会いのエピソードがこれまた面白い。
醉心山根本店の東京販売店にいつも酒を買いに来る上品な女性がいた。どなた
かと店の人が尋ねたところ横山大観の夫人だという。興味を持った薫が大観の
自宅に伺い酒造りの話をしたところ、名人は名人を知るということかたちまち
意気投合。『酒づくりも、絵をかくのも芸術だ』と大観は大いに共鳴した。
感動した薫は、一生の飲み分を約束した。(株式会社醉心山根本店サイトより)
< http://www.suishinsake.co.jp/taikan/taikan2.htm
>
山:ほう。
武:「酒づくりも、絵をかくのも芸術だ」(笑)!
山:そんな意気投合したからって一生分約束できるかっ! 昔の人はたいしたもんやでまったく。そうか……まさに今日、どぶろく造りの方法を教えてもらったのはこういう事やったんか! よっしゃ、早速僕らもどぶろく造ろう、アートとして(笑)。
武:そうしよう。どぶろく作ろう(笑)!
山:名前何にしよか?
武:銘酒「底なし沼」沼酒造。
山:迷酒「沼酔」。沼のように酔う。
武:山根は醉心よろしく社長な。そんで、一生分の酒を俺にちょうだい。年に一枚絵をあげるから。
山:誰がやるか! 俺が呑む! 社長として一生分の酒を自分で保証する!僕が僕に絵をあげよう(笑)。あー嬉しい。
武:わはは! 何の自分ループじゃ。ところでな、「人生後半の50年は飯をほとんど口にせず(たまに食べる時も一粒二粒と数えるほど)、酒と肴だけで済ませていたという。」とあるけど、
「酒仙といわれた高名な日本画家横山大観先生(90歳で亡くなる)は、晩年で
も日本酒を一日に5〜6合は飲んでおられたそうです。そこから先生はお酒だけ
しか口にしないという噂が流れました。でもこれは間違いのようです。記録に
よれば、先生は時間をかけてゆっくりと楽しみながら飲み、食事も三度三度き
ちんと召し上がっていたのです」(サッポロビール株式会社HPより)
< http://www.sapporobeer.jp/csr/tekisei/siru/karada.html
>
とあるし、株式会社醉心山根本店HPでは、こうある。
「大観にとって醉心は主食であり、米の飯は一日を通じてわずかに朝お茶碗軽
く一杯程度のもので、後は全部醉心でカロリーを取っていたといわれています。」
山:ほう。いろいろある訳やね。
武:食べ物に関しては、諸説あるみたいだねー。
山:まあ食べた方がええと思うよ(笑)。
武:まあ、大酒呑みだったことは確かだね。見習わねば。
「私は大酒呑みではなく、ただ酒を愛するでけです。酒徒という言葉がありま
すが、私はそれだけです。」(株式会社醉心山根本店サイトより)
< http://www.suishinsake.co.jp/taikan/taikan1.htm
>
とあるけどね(笑)。
山:酒徒かー。見習って毎日一升呑んでみるか。
武:毎日一升はきついなー。せめて5合にしよう。
山:それぐらいやったらなんとかなりそうやな、って何を見習っとんねん!
武:この間、ふたりで日本酒二升空けたけど。
山:あんなん毎日できんな、やっぱ(笑)。
武:で、エピソードの多い大観ですが、
師・岡倉天心の影響を色濃く受けた大観は、自身も国粋主義的な面を持ち、日
本の象徴である勇美な富士山を好んで題材としたほか、皇室にもたびたび絵を
献上し、太平洋戦争中には自らが売却した絵の代金を戦闘機の制作費用として
軍に寄付するなどしていた。(wikipediaより)
山:えらい話やな。絵売って戦闘機かい。おそろし。
武:すごいな。俺も絵を売って自衛隊に寄付するか。「これで、軍用ヘリでも買ってくれ」って。
山:国粋主義者やったん? チェ・下痢腹やないの?
武:国粉砕主義者。
山:なんて読むねん(笑)。
武:わはは! ってまあ、横山大観の人となりはこんな感じでざっくりと掴めたんで、展示の方にいってみるべ。
山:やっとかい。
●展示
武:まあ混んでたなー。
山:混んでましたねー。並んでどっかに入るのは何年ぶりやろ。老若男女、いっぱいおった。
武:大阪で、【フェルメールとその時代展】(2000年4月4日〜7月2日・大阪市立美術館)観たときはもっと凄かったけど。「フェルメールってこんなにメジャーだったんかっ!」ってビックリしたよ。
山:なんにしても、会場内もめっちゃ並んでるもんやから、絵、見られへん(笑)。巻き物なんかほとんど見てへん。
武:俺も。約40mの巻き物絵『生々流転』(1923年/大正12)がなんといっても目玉だけど、それがほとんど観れなかった(泣)。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/4.html
>
で、展示方法なんですが、いたってシンプルに時系列なんですな。
山:そうやったね。屏風絵だけは別に扱ってたみたいやけど。
●人物画
武:ほう、そうだったんだ。じゃあ、大観の絵画についてちょっと突っ込んでいこうか。まずは、『無我』(1897年/明治30)、あたりかな。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/1.html
>
山:一番最初に展示されてた絵やね。
武:子供の絵はいくつかあったね。
山:『村童観猿翁』(1893年/明治26)、とかな。芸大の卒業制作らしい。
武:俺、実はあんまりどうでもよかったんだけどね、子供の絵。なんつか、日本画日本画してるところがな。
山:『無我』は有名やね。教科書とかにも出てるような絵とちゃうかな。
武:ふむ、そうだったんだ。
山:なんかね、大観はおそらく人間描くの苦手やったんやと思うんですよ。
武:それ同感。
山:ほとんどが風景やろ。初期の頃に人間頑張って描いてたんやろうけど、なんかこう、いまいちピンとこない。
武:人物画で印象に残ったのは、『迷児(まよいご)』(1902年/明治35)、ジーザス・クライストが出てるヤツ(笑)。
< http://www.artsliders.com/photo/070113-03.html
>
山:あれちょっとひどくないか? 思いっきり考えました! みたいな。
武:開国して混乱する日本人を象徴してみました、みたいな(笑)。ある意味、コンセプチュアルな絵なんだけど、ミョー。
山:意味はわかるねんけど、キリストと仏陀とあと誰や、老子か?
武:それから孔子、ですか。キリスト教(開国欧米化の象徴か?)、仏教(インド、中国の影響と開国前日本政策仏教の象徴か?)、道教(中国古来の象徴か?)、儒教(朝鮮半島の影響と武士道開国前の象徴か?)、国家神道(天皇)がないところもポイントだな。言語的(意味的)な切り口で描くのは苦手だったんだろうね。日本人らしい(笑)。わかるわかる。
山:わかるけどわからん。
武:あと人物画でオモロかったのは『焚火』(1915年/大正4)、三枚の縦構図のヤツ。
< >
山:あれは僕も気になった。人物では一番良かったんちゃうかな。
武:そだね。色面がパーンと出ていて、デザイン的だし。「人間となにか」を描くというより、構図で見せるやり方、ね。
山:二人の人物は同じ人なんかな。それとも違う人なんかな。どっちゃでも面白いけど。ストーリー感じる。
武:やっぱり「人そのもの」を描くのは苦手だったんだろうね。
山:そんな感じするな。
●横山大観の真骨頂「朦朧体」
武:で、僕はやっぱり、「あの」風景画は好きですねー。例えば、『寂静』(1896年/明治29)とか、『夕立』(1902年/明治35)とか、かすんでるっていうか、ボヤーってしてるヤツ。
山:「朦朧体」と呼ばれているやつやね。
武:そうそう。俺は好き。例えば伊藤若冲みたいにシャープな構図で見せる画家じゃあないでしょ。で、きっと自分もそれを分かっていて、なんとか、そうじゃない画法を確立したくて、苦労して体得した画法があの「朦朧体」だったんじゃないかなあ、と。
山:僕はねー、あれがもちろん大観の真骨頂なんやろうけど、どーも好きになれん。なんかこっちの頭まで朦朧としてくるというか。空気、というか雰囲気を描き出しているのは見事やとも思うねんけど、結局その画法の表面的な気持ち良さだけしかない、というかね。その奥に僕にはなんにも見えてこない。
武:ただ単純にボヤーっとした風景が好きだったんじゃないのかなー。
山:それはそれでもかまへんねんけど、僕としてはその風景の奥に画家が何かを描き現している絵のほうが好き、というかそういうのを見たい。
武:うーむ、それって「朦朧体」はキレイなだけ、ってことかな?
山:そうやね、そうとも言えるんかな。きれいな絵が悪いわけとちゃうねんけど、なんて言うんやろ、その風景を描く意味がわからん。きれいだから描いた、というだけでいいのか? 富士山かけばいいのか? とか。
武:わはは! 例えば『雨後』(1919年/大正8)。俺はね、「雨」って凄く心が揺れるんですよ。雨で霞んだ空気を感じると、なぜか幼い頃を思い出す仕組みになってるのね。そんなもんだから、あの「朦朧体」を観ると、なんか心が揺れるんだろうなー。で、『霊峰十趣・夜』(1920年/大正9)なんかは、朦朧体の富士山なんで、これこそ真骨頂だなーって思ったよ。確かにモチーフが「富士山」ってベタすぎるけど(笑)。
< >
山:まあだからこそ人気が出るんやろうけど。わかりやすくて、ちょっと遠くの世界っぽい感じ。夢っぽい。
武:『海図』(1904年/明治37頃)なんかは、思いっきり印象派っぽい感じを受けたんですよ。展示では、『遠浦帰帆図』伝・牧谿筆と並べられて『遠浦帰帆図』があったけど、
< http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/kaiga/chuugoku/item07g.html
>
そういった、中国古画、日本古画、当時の現在洋画をミックスさせて、あの「朦朧体」にたどり着いたんじゃないんかなー。
山:線描をなくして新しい画道を切り開こうと切磋琢磨した、と。
武:うん。「線描」って日本人のアイデンティティーだとすら思うんよ。で、大観はそれをなくした、と。なんでだろうなー、って思った。それこそ『迷児』だったんじゃあないだろうか。だもんだから、国粋主義的になるしかなくて、国粋主義的な富士山がモチーフになった、と(笑)。
山:そうかもな。当時の保守派からは相当非難を浴びながらも、アメリカ、ヨーロッパ行って評価もらって帰ってきて売れる、……良く聞く話やな(笑)。
武:俺たちもアメリカ、ヨーロッパ行って評価もらって帰ってきて売れよう!
山:旅費は武さん持ちでおねがいしますっ!
武:よっしゃー! まず、河原行って葦を取るところから始めよう。葦舟を作ってアメリカ行こう。
山:……一人でおねがいしますっ!
武:って、大観ですよ。
●屏風絵
山:僕は屏風絵の方が断然好きなんですよ。
武:ほー。
山:でも一番見たかった屏風絵がまだ展示されていなかった! 『群青富士』(1917〜18年/大正6〜7頃)。
< http://8.dtiblog.com/t/tortue2006/file/20070801223335.jpeg
>
1,400円返せ! いや、他のは見たから半分返せ! いや、やっぱりタダにしろ!
武:屏風絵俺あんま好きくない。なんつか、構図っていうか、間が抜けてるっていうか。日本画ってどうしてこういう「間の抜けた」構図が多いんだろう? って思うんだけど、横山大観のせいか?
山:日本画って結構そういうのあるで。なんかとぼけた感じの絵。僕はそんなに嫌いじゃない。片岡球子とか。あ、片岡球子も富士山だ(笑)。
< http://images.google.co.jp/images?hl=ja&ie=UTF-8&q=%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%90%83%E5%AD%90
>
日本昔話(笑)。
武:片岡球子いーねー!
山:長寿(笑)。でもついこないだ亡くなったらしい。そうやったんか。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%90%83%E5%AD%90
>
このとぼけた感はなんか愛嬌あるっていうかね。バチッと決まってる絵とまたちょっと違う味わいがある。まあだからって富士山描けばいいのか(再)?
武:とぼけてる感は俺も好きだけど、大観の屏風絵はとぼけてる感はないんだよなあ。。。
山:まあとぼけてる訳ではないけどなんやろね、メリハリがあるというんかね。ボーッとしてない(笑)。
武:そっちの方が好きってわけだ。どうもね、暖色系が入るとあんましキレイに感じないんだよなあ。確かに『夜桜』(1929年/昭和4)は良かった。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/5.html
>
寒色系或は墨で色彩を抑えた絵の方が俺はなぜか好きだったんだよ。展示で並べられてたけど、尾形光琳の方が構図的には圧倒的に優れてる気がするんだよね。
山:色彩の人とはちゃうかったんやろな。寒色系でモノトーンの画家。構図に関しても新しいものを模索してたんとちゃうか。(当時の)現代の琳派を目指してたみたいやし。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%B3%E6%B4%BE
>
武:「琳派」目指してたんかっ! うーん、琳派じゃないよなー、横山大観。
山:昔のそのまんまという訳にもいかんやろから、独自に研究して模索してたんとちゃうの。
武:うーむ、そうなんかあ。。。
山:まあ僕が屏風絵の方がいいというのはただの好みなんかな。でも屏風絵と普通の紙本、絹本とは明らかに何かが違う。
武:あー、なるほど、それは感じるね。って当然か、大きさが違う(笑)。大きい絵になると確かに描く時の感覚変わるしね。
山:いや、それだけやなくタッチ、色合い、なんか別の人が描いたって言ってもおかしくない感じ。分けて考えてたんやろうな。
武:俺も、スケッチブック紙のドローイングと、ライブペインティングは別物だし。
山:僕はどちらかと言うと屏風絵の方に大観のほんとにやりたいことがあるように思えるんよな。
武:ほう。じゃあ何がやりたかったんだろう?
山:現代の琳派(笑)。
武:あー、言えてるかも。でも、琳派ぢゃないなー(再)。「酒派」(笑)。あっ、それいい! 俺もそれ継承する。
山:僕は「沼派」なんで。
武:じゃあ俺も沼派に入ってあげる。
山:あ、そう。ほんなら武さんは沼派のどぶろく担当。
武:はい、呑むほうを担当します。
山:沼派の「ドブ担」。おーいドブ担! 酒はまだできんのかっ! 早うせい!
武:えー、俺が造るのかよー、酒造りは醉心山根本店なんだから、山根ですよ。
山:わしは社長だ! うるさい! 早く作れ! 日が暮れちまうぞ!
武:組合作りました。只今、スト中です。
山:「ドブユニオン」か!
武:「ヌマユニオン」です。
山:一人でも団体交渉ってできるの?
武:出来ます。きっと。「一人デモ」っていうのもあるくらいだから。
山:そうか。。。じゃあ……解雇! わしも社長やめ! 解散!!
●『生々流転』
武:ってか、大観ですよ。『生々流転』(1923年/大正12)いってみよか。
山:ほんま全然観られへんかった。コピー貼ってたけど。
武:混み過ぎ(怒)。俺は隙間を狙って、ポツポツと観た。
山:まあ僕もそんな感じ。アニメーションを飛ばし飛ばしで見たような。終わりは一応ちゃんと見れた。
武:俺は終わりが好き。やっぱり「朦朧体」か。で、龍がチロッと描いてあって、渦巻きになるあたりは、感動しちゃったけどね。「映像」っぽくも感じた。
山:巻き物っておもろいよな。絵が続いてるっていうのは。
武:全体的に抽象的な感じが現代のビデオ・アートにも通じるような。なんつか、肉薄するリアリティーっていうより、流しっぱなしの抽象的ビデオ・アート作品、みたいな。
山:それが実際は一枚の絵っていうとこがおもろいな。
●晩年
武:オモロいね。けど、晩年の巻物絵『四時山水』(1947年/昭和22)は、なんかイマイチだった。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/8.html
>
山:そうやな。確かに『生々流転』の方が緊張感あった。
武:晩年はなんか、フニャーって感じで全体的にイマイチ感が強かったなあ。俺は「画家は晩年こそ面白い」と言ってたけど、大観でそれは打ち消されてしまった。。。
山:ふむ。技術的には歳取ってもあるっちゃあるんやろうけど、なんやろね、やっぱ緊張感を感じへんかったな。
武:チケットの絵にもなってる『或る日の太平洋』(1952年/昭和27)も、なんかパッとしなかったなあ。。。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/9.html
>
山:なんかキレイにまとまってるだけ、みたいなね。
武:うーん、「キレイ」さを失っていた気がするんだよなあ。
山:「キレイ」って、まあ上手にまとまってるというか、問題がないというか、そんな感じ。
武:形態も構図も良くはないし、かといってそれらを凌駕する「何か」みたいなのも感じられなかった。。。
山:琴線に触れない。
武:そうそう。そういう感じ。
山:疲れてしもたんかな。
武:どうも、そういう感じ受ける。
山:酒の呑み過ぎちゃうか?
武:歳取ったら若輩者じゃあたどり着けない「何か」ってあるじゃないですか、藤田嗣治の子供の絵とか、丸木スマとか。
丸木スマ < http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/top/suma.htm
>
そういう感じがしないのが残念だった。
山:途中から「現代の琳派」めざすのんやめてしまったんかな。そういう燃え立たせるものがなくなってしまったとか。
武:うーん、最晩年ってなんつか、いろいろ諦め過ぎてむしろ解放されてしまう、みたいな絵になる人が多いじゃないですか。
山:そうやな。確かに丸木スマすごいな。子供にかえっていくような。ほんま自由にやってる。
武:大先生としてのカッコ付の「横山大観」から解放されなかったんかなぁ。
山:結局最後まで日本美術院の審査員で、その立場を取り続けたわけやしね。
武:そう考えると、なんか哀しいものもあるな。
山:酒豪=型破り、というイメージとは違う感じの人やったんかね。酒も岡倉天心から言われたから呑んだ訳で、最後までそれを忠実に守った。忠義の人。
武:画壇への忠義も守り、画壇然とした絵を描いた、と。しかし、晩年に「朦朧体」が出てこないのはなんでだろうな。
山:あきたんちゃう?
武:わはは! 意外とホントにそうかも。俺としては「朦朧体」が更なる進化を遂げて、もはやボヤーっとしてるだけで、何が描いてあるかすら分からなくなっていって欲しかった。
山:やっぱりただ画法として使っていただけであって、そこに作家の生命はなかったんとちゃうか? だから僕は感じへんのかも知れん。あの「朦朧体」画法に。
武:なるほろー。まあ、「また彼の脳は、現在もアルコール漬けにされた状態で東京大学医学部に保管されている(wikipediaより)。」ので、愛する酒に今でも浸っているってのはステキだと思いましたマル
山:結局未だに解放されてないっ!!
武:わはは! 酒に溺れてるワケだし。
山:いや、酒に浮かんでるんです。
武:おー、なんかそれ凄いな、大観はアルコール(日本酒)が主食だったので、ひょっとしたらその脳は今でも生きてるのかもしれない。この瞬間も次の絵の構想を練ってるのかもしれないね。アルコール漬けの脳で。
山:いや、きっと意識朦朧体(笑)。
●展覧会評
武:☆☆☆☆
日本画って食わず嫌いだったんだけど、思ったより楽しめたので、星4つ。教養として観ておくべき的な意味においても。
山根:☆☆☆ 星三つ。『群青富士』(1917〜18年/大正6〜7頃)を見れへんかった!
【没後50年 横山大観 新たなる伝説へ】
< http://www.asahi.com/taikan/
>
会期:2008年1月23日(水)〜3月3日(月)
会場:国立新美術館(〒106-8558東京都港区六本木7-22-2)
< http://www.nact.jp/
>
開館時間:10:00〜18:00、金20時(入館は閉館の30分前まで)火休
観覧料(当日):一般1,400円、大学生900円、高校生700円
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/どぶろく担当略してドブ担】
「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」
大ラウンド・テーブル「マルチチュードか、プレカリアートか?」
── この国の「路上」からトニ・ネグリを歓待する
日時:3月30日(日)15:00〜19:00
< http://www.negritokyo.org/geidai/meeting-cell/
>
に「246表現者会議」として出席します。
246表現者会議 < http://kaigi246.exblog.jp/
>
< http://iddy.jp/profile/Take_J/
>
take.junichiro@gmail.com
【山根康弘(やまね やすひろ)/沼酒造社長】
SWAMP-PUBLICATION < http://swamp-publication.com/
>
交換素描
yamane@swamp-publication.com
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■グラフィック薄氷大魔王[123]
恐怖のGDTツール「OmniFocus」
吉井 宏
───────────────────────────────────
「何をボケッとしてるんだっ! 今やるべきことはこんなにあるんだっ!」
と、目の前に突きつけてくる、おそろしいツール。
OmniFocusは、OmniOutlinerやOmniGraffieなどで定評のあるOmni社のGTDソフト。GTD(Getting Things Done)とは、「やるべきことを全部書き出して細分化したリストを作って所用時間や状況を把握。チェックやレビューを繰り返しながら実行する。気にかかることを脳から追い出し、スッキリした状態で集中して仕事する」というようなもので、欧米で流行ってるらしい。僕もITmediaの記事などで知ってはいたけど、自分でやってみようとは思ってなかった。
ITmedia Biz.ID
Omni社のソフトはたいていよくできているので、試さずにいられない。2週間使えるデモ版を試して4?5日ほどになる。最初は「こんなのOmniOutlinerで同じことができるじゃん」と思ったものの、すぐに「こりゃすごいツールだ!」とわかってきた。リストにやるべきことや予定を「Project」としてどんどん打ち込む。仕事、作品制作、打ち合わせ、原稿書き、部屋の整理、買い物など、あれもこれも何でも。書き始めると「あ、あれもやらなきゃ」って芋づる式にズルズルと思い出すのでいくらでも書き込める。
「Project」はたいてい単発の行動ではなく、複数の行動(アクション)の集合体。例えば、「デジクリの原稿を書く」は、「ネタを決める」「下調べをする」「文章を書く」「推敲する」「柴田さんにメールで送る」の5つから成るプロジェクトだ。これを踏まえてプロジェクトを立て、内容をアウトライン形式で並べていく。OmniOutlinerゆずりで使いやすく、編集自在。GTDの解説では、「何も書くことがなくなるまで書く」とあるが、テスト段階なので適当にやめておく。
Planningモードで項目をある程度たくさん入れた状態で、Contextモードに切り替えてNext Action(次にやること)表示にすると、ドキーッ! とさせられる。「ええっ! こんなにやることあるんだっけ!」と思い出させてくれるっていうか、目の前にズラリと並べて突きつけてくる。
「これらを片付けて前進するか、さもなくば、このままダラダラと一生を過ごすか?」を問われる、実におそろしいツール。ソフトの使用感は「すごい」「面白い」「便利」などいろいろあるけど、「恐怖」を感じたものは今までなかった。面倒で放っておいたり考えないようにしていた「やるべきこと」が白日の下にさらされるのだ。
終了した項目はクリーンナップすると消え、同じプロジェクト内の次にやる項目が繰り上がって表示される。いくら片付けても「はい次、はい次。」と際限がない。まあ、これだけ片付ければ確実に次へ進めるってところがキモなんですけどね。よく今までこういうリストなしでやってこれたもんだと自分に感心さえする。項目は、時間順やプロジェクト順、場所、所要時間30分以内の項目、などなど、各種ソート順やフィルタにより表示を変えることができ、状況に応じた今やるべきことを見つけられる。
チェックするのは最低限の回数にしておいたほうがいい。なぜなら、見るたびに「まだ何も片付いてないよ?」と絶望的な気分にさせられるのだ。頭をスッキリさせる目的が逆に精神衛生上良くないとも言える。真面目で自分自身に厳しい人ならたちまちノイローゼになってしまうかも。
………ホントいうと、こんな鬼軍曹のようなツールじゃなく、iCalのみで平和に暮らしたいのだが………。ライセンス購入するかどうか検討中〜。
ところで、iCalのToDoとの同期ができるらしいけど、iCalの項目をOmniFocusに読み込めるが、OmniFocusの項目はiCalにコピーされない。他にもいくつかの不具合も残っているようだ。まだver.1.0なので今後に期待。.Macシンクで他のMacと同期できれば最高なのだが。別製品でOmniPlanというスケジュール管理ソフトもある。こちらは複数人が関わるプロジェクトのボス用って感じかな。iCalとカブる部分も多いので、ちょっと試用しただけに終わってる。そのうち続編を書きます。
【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com
OSX10.5.2アップデート。たくさんの改良点、修正点があるらしいけど、僕的にはATOKのFinder強制終了問題の解決がいちばんうれしい。やっぱOSX側の不具合だったんだ?。Mail.appのメモで作成したチェック欄が同期されないのは直ってないな?。
たまたま立ち寄ったソフマップ・Macクリエイター館にMacBook Airが展示してあった。いや???薄いわ軽いわ美しいわ。フタを閉めて小脇に抱えたりしてみると、とんでもなく軽いという気はしなかった。でも、さすがにMacBookより1kg軽いってのは強烈。感心したのはUSBポート等が入ってる「I/Oドア」。こういう仕組みってパカパカして安っぽくなりがちだけど、Airのドアはスッキリ自然に開閉してギクシャクしたところがぜんぜんない。あと、液晶を閉じた状態から指一本でちゃんと途中まで開くのもすごい。こりゃどう考えてもほしいな???。初期ロットを買う勇気はないけど、いずれは買うだろう。将来に渡って何度も買い換えながら使う必需品になるのは間違いないけど、やっぱり今ほしいな?。う??ん。腹いせに17インチMacBook Proを持ち歩いてやる?。
HP
Blog
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■編集後記(2/13)
・三連休に三夜連続、DVDで映画を見た。見ているときはそこそこ楽しかったが、結局たいした感動も得られず、かなり疲れてベッドにもぐりこむ三夜。夜は仕事しないで映画や読書にシフトしようとの試みも、出端をくじかれた感がある。情報を集めて整理する仕事は、やってもやっても終わらないので、それを中断して別のことにあてると、あとからその時間を取り戻すためにちょっと大変、そういった悪循環の毎日だけど、それも苦痛なわけではないからまあいいんだけど。いずれ週の半分くらい、夜間はデータベースから離れるようにしようとは思う。その三連続DVDの編成がよくなかったのも確か。まず、「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」である。これはわかりやすく、なかなかおもしろかった。しかし、主役の子供たちは絶望的に魅力がない。いや、タイトルからいうと主役はライオンと魔女か。ライオンはすばらしかったが、魔女に魅入られるような美しさがなく、老いさえ感じさせるのだから無惨。クリーチャーの造形やVFXは見るべきところも多かった。次は「どろろ」である。手塚治虫の作品のなかではとくに好きな漫画で、かなり期待していたが、結局はこんなハズではなかったとがっかり。やっぱり映画にするのは無理な世界だったと思ったのだが、続編が予定されているそうで、けっこう評価された映画だったのだろう。柴咲コウのあの不自然な声が苦痛で苦痛で、続編はもう見たくない。最後は「神童」である。さそうあきらの傑作漫画が原作で、成海璃子、松山ケンイチが主演、これは期待しないほうがおかしいが、わけのわからない映画になってしまった。原作を知る者にはだいたい筋が追えるのだが、知らない人が見て理解できるのだろうか。絵になるシーンはあるが、断片的で、なにも解決しないまま次に移る。巨匠の代演をつとめるコンサートがクライマックスシーンだが、しょぼい楽団と舞台で、これはひどすぎた。松山ケンイチは非常にいいが、成海璃子は最後まで何を考えているのか表情からは読めない少女のまんまだった。やはり外国のB級SFを見ているのが一番楽しい。(柴田)
・祝山根さん復活。/OmniFocus試してみようっと。/修理しますね、無料修理のできる範囲にしておいて、費用がかかるようでしたら修理するかどうかそれから決めましょうね、と優しい店員さん。携帯番号から私のデータをパソコンで調べていた店員さんの顔が一瞬曇る。「申し訳ありませんが、この機種は四年半ほど使われていまして、無料修理期間を経過してしまっています。通常メーカー保障が一年、プレミアクラブに入会していただいていますので三年までは無料修理できたのですが……。」とのこと。つまり、ドコモの携帯電話は最低三年で機種変更しないと、電池の保ちや新機種を使うことによる新機能メリットも含め、いろいろと損なわけだ。調べてみると7,350円かかるという。修理の値段としては安い。が、機種変更を予定している人間にとっては高い。無理を承知で相談してみた。(hammer.mule)
横山大観を"体感"する
武 盾一郎&山根康弘
< https://bn.dgcr.com/archives/20080213140200.html
>
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武:こんばんは!
山:こんばんはー。
武:おっ! 久しぶりじゃあないですかー。
山:そうやね。なんせ二ヶ月間は武さんが勝手にやってましたからね。
武:「勝手」ではない、買って出たのだ。ところで、蜂窩織炎は治ったのか?
山:そうそう! 大変やったでまったく! ほんまちっちゃい怪我でもばかに
したらあかんよ。足腐るで。
武:今、「腐る」とかいうと、泣きながら謝らなきゃならなくなるぞい。
山:へ? なんで?
武:倖田來未が羊水が腐るとか言って大問題じゃないですか。
山:それか。でも僕はお医者さまに「あんた足腐るよ!」って言われた。
武:ホントに腐るんか! 怖いな。。。ところでな、山根が蜂窩織炎でダラダラと怠惰な時間を潰してる間、デジクリの個人原稿で「暴飲キャラは今年いっぱいとして、来年からフレッシュでクールでオシャレでキッチュでセクシーなチャットレビューにしたいと思っておる次第です。」とか言ってしまったんだが、どうよ?
< https://bn.dgcr.com/archives/20071212140100.html
>
山:誰が怠惰やねん! 医者から酒は絶対ダメと言われて禁酒、日々謙虚に修練を積んでたやないか。
武:えっ? 夕べも朝5時まで呑んでたじゃん。ってか、ホントに懲りなすぎ。
山:わはは! まあ今年も呑み続けるっちゅうことでよろしくお願いします! 明けましておめでとうございます!
武:明けましてって、もう2月だけどな(笑)。
山:旧正月です。
武:アハ、太陰暦は大事だけどね。でだ、今日はねー、日本酒なんすよ。で、日本酒と言えば、「酒仙」と呼ばれる日本画家の展覧会に行ってきましたよー!
山:そうやな。横山大観です!
武:六本木は国立新美術館、行ってまいりました! 六本木はホントに厭な都市ですねー! っつーか、国立新美術館ヤバくない?
山:なんかミョーに居心地悪いんよな六本木。国立新美術館は……ヤバかった(笑)。
武:3連休で天気も良かったってことがあるんだろうが、まず、歩きにくい。
山:歩道の大きさと人数が合ってへんねんな。ぶつかりまくりですよ。だからって歩道をおっきくしたら済むって話ではなさそうやけど。
武:都市の景観がまるで平面のように薄っぺらく感じるんだよね。国立新美術館もなんかミョーなデザイン。六本木ヒルズ、ミッドタウン、国立新美術館、これらはなんだか同じコンセプトを感じる。「貧乏人は死んでよし」というメッセージかな。
山:国立新美術館、僕はなんか巨大な有料休憩所かと思た。カフェだらけ(笑)。
武:閉館するの早すぎ、18:00だもん。24時間営業にして、ソファーを3倍にして、メンドクサクなったら、泊まったり煮炊きしたり出来るようにしたら、画期的な建築だと思うけどな。
山:それはおもろい。
武:だいたいなー【没後50年 横山大観 新たなる伝説へ】、1,400円高すぎ!!取材費自分持ちなんだから。革命戦士「チェ・ジバラ」だぜよ。。。わはは! みなさん、ここは笑うところです!「わはは!」のセリフは山根が言ったことに後で編集しよう。
山:あかん。しかしほんま高いな。もう少しで黒霧島一升買えてしまうやないか。
武:しかも混んでたしなー。思わず下痢が悪化したよ。革命戦士「チェ・ゲリバラ」だぜよ。。。わはは! みなさん、ここは笑うところです!
山:なんでそんなにゲバラにこだわっとんねん!
武:俺、ゲバリストだから。
山:本題いこ、本題。
●酒仙・横山大観
武:そうでした、横山大観。
山:酒の大先輩です! よろしくお願いしますっ!
大変な酒好きとして知られ、人生後半の50年は飯をほとんど口にせず(たまに
食べる時も一粒二粒と数えるほど)、酒と肴だけで済ませていたという。飲ん
でいた酒は広島の『醉心』で、これは昭和初期に醉心酒造の社長・山根薫と知
り合った大観が互いに意気投合し、「一生の飲み分を約束」した山根より無償
で大観に送られていたものだった。しかし山根は年に四斗樽で何本も注文が来
るので驚いたという。代金のかわりとして大観は毎年1枚ずつ自分の絵を無償
で送り、結果、醉心酒造に大観の記念館ができることとなった。
(wikipediaより)
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A8%AA%E5%B1%B1%E5%A4%A7%E8%A6%B3
>
武:わはは! 凄い呑みっぷり。
山:なになに……、ちょっと待て! ヤマネってなんやっ!!
武:山根(笑)!
山:僕はしらんぞ!
武:やっぱり「山根」って酒と縁が深いんだねー。
山:この符合はなんやねん!
武:酒造の社長さんですがな。しっかし、四斗樽で注文するとは。。。40升ですよ!
もっとも、最初から酒好きだったわけではない。若い頃は猪口2〜3杯で真っ赤
になってしまう下戸だった。しかし師の岡倉天心は日に二升ともいわれる酒豪
であり、「酒の一升くらい飲めずにどうする」と大観を叱咤したため、飲んで
は吐きながら訓練した結果であった(wikipediaより)。
山:どんだけ呑むねん(笑)。
武:「飲んでは吐きながら訓練した結果であった。」(笑)!
山:何を訓練してるんや! って僕も昔そうやって教えられた気がする……。
武:そうやって誰もが大人の階段を昇って行くわけだわねー。
山:それでどんどん絵が売れていくんやからたいしたもんやな(笑)。
武:おぉ、それでいこう。で、「株式会社醉心山根本店」の山根薫(やまねかおる)社長との出会いのエピソードがこれまた面白い。
醉心山根本店の東京販売店にいつも酒を買いに来る上品な女性がいた。どなた
かと店の人が尋ねたところ横山大観の夫人だという。興味を持った薫が大観の
自宅に伺い酒造りの話をしたところ、名人は名人を知るということかたちまち
意気投合。『酒づくりも、絵をかくのも芸術だ』と大観は大いに共鳴した。
感動した薫は、一生の飲み分を約束した。(株式会社醉心山根本店サイトより)
< http://www.suishinsake.co.jp/taikan/taikan2.htm
>
山:ほう。
武:「酒づくりも、絵をかくのも芸術だ」(笑)!
山:そんな意気投合したからって一生分約束できるかっ! 昔の人はたいしたもんやでまったく。そうか……まさに今日、どぶろく造りの方法を教えてもらったのはこういう事やったんか! よっしゃ、早速僕らもどぶろく造ろう、アートとして(笑)。
武:そうしよう。どぶろく作ろう(笑)!
山:名前何にしよか?
武:銘酒「底なし沼」沼酒造。
山:迷酒「沼酔」。沼のように酔う。
武:山根は醉心よろしく社長な。そんで、一生分の酒を俺にちょうだい。年に一枚絵をあげるから。
山:誰がやるか! 俺が呑む! 社長として一生分の酒を自分で保証する!僕が僕に絵をあげよう(笑)。あー嬉しい。
武:わはは! 何の自分ループじゃ。ところでな、「人生後半の50年は飯をほとんど口にせず(たまに食べる時も一粒二粒と数えるほど)、酒と肴だけで済ませていたという。」とあるけど、
「酒仙といわれた高名な日本画家横山大観先生(90歳で亡くなる)は、晩年で
も日本酒を一日に5〜6合は飲んでおられたそうです。そこから先生はお酒だけ
しか口にしないという噂が流れました。でもこれは間違いのようです。記録に
よれば、先生は時間をかけてゆっくりと楽しみながら飲み、食事も三度三度き
ちんと召し上がっていたのです」(サッポロビール株式会社HPより)
< http://www.sapporobeer.jp/csr/tekisei/siru/karada.html
>
とあるし、株式会社醉心山根本店HPでは、こうある。
「大観にとって醉心は主食であり、米の飯は一日を通じてわずかに朝お茶碗軽
く一杯程度のもので、後は全部醉心でカロリーを取っていたといわれています。」
山:ほう。いろいろある訳やね。
武:食べ物に関しては、諸説あるみたいだねー。
山:まあ食べた方がええと思うよ(笑)。
武:まあ、大酒呑みだったことは確かだね。見習わねば。
「私は大酒呑みではなく、ただ酒を愛するでけです。酒徒という言葉がありま
すが、私はそれだけです。」(株式会社醉心山根本店サイトより)
< http://www.suishinsake.co.jp/taikan/taikan1.htm
>
とあるけどね(笑)。
山:酒徒かー。見習って毎日一升呑んでみるか。
武:毎日一升はきついなー。せめて5合にしよう。
山:それぐらいやったらなんとかなりそうやな、って何を見習っとんねん!
武:この間、ふたりで日本酒二升空けたけど。
山:あんなん毎日できんな、やっぱ(笑)。
武:で、エピソードの多い大観ですが、
師・岡倉天心の影響を色濃く受けた大観は、自身も国粋主義的な面を持ち、日
本の象徴である勇美な富士山を好んで題材としたほか、皇室にもたびたび絵を
献上し、太平洋戦争中には自らが売却した絵の代金を戦闘機の制作費用として
軍に寄付するなどしていた。(wikipediaより)
山:えらい話やな。絵売って戦闘機かい。おそろし。
武:すごいな。俺も絵を売って自衛隊に寄付するか。「これで、軍用ヘリでも買ってくれ」って。
山:国粋主義者やったん? チェ・下痢腹やないの?
武:国粉砕主義者。
山:なんて読むねん(笑)。
武:わはは! ってまあ、横山大観の人となりはこんな感じでざっくりと掴めたんで、展示の方にいってみるべ。
山:やっとかい。
●展示
武:まあ混んでたなー。
山:混んでましたねー。並んでどっかに入るのは何年ぶりやろ。老若男女、いっぱいおった。
武:大阪で、【フェルメールとその時代展】(2000年4月4日〜7月2日・大阪市立美術館)観たときはもっと凄かったけど。「フェルメールってこんなにメジャーだったんかっ!」ってビックリしたよ。
山:なんにしても、会場内もめっちゃ並んでるもんやから、絵、見られへん(笑)。巻き物なんかほとんど見てへん。
武:俺も。約40mの巻き物絵『生々流転』(1923年/大正12)がなんといっても目玉だけど、それがほとんど観れなかった(泣)。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/4.html
>
で、展示方法なんですが、いたってシンプルに時系列なんですな。
山:そうやったね。屏風絵だけは別に扱ってたみたいやけど。
●人物画
武:ほう、そうだったんだ。じゃあ、大観の絵画についてちょっと突っ込んでいこうか。まずは、『無我』(1897年/明治30)、あたりかな。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/1.html
>
山:一番最初に展示されてた絵やね。
武:子供の絵はいくつかあったね。
山:『村童観猿翁』(1893年/明治26)、とかな。芸大の卒業制作らしい。
武:俺、実はあんまりどうでもよかったんだけどね、子供の絵。なんつか、日本画日本画してるところがな。
山:『無我』は有名やね。教科書とかにも出てるような絵とちゃうかな。
武:ふむ、そうだったんだ。
山:なんかね、大観はおそらく人間描くの苦手やったんやと思うんですよ。
武:それ同感。
山:ほとんどが風景やろ。初期の頃に人間頑張って描いてたんやろうけど、なんかこう、いまいちピンとこない。
武:人物画で印象に残ったのは、『迷児(まよいご)』(1902年/明治35)、ジーザス・クライストが出てるヤツ(笑)。
< http://www.artsliders.com/photo/070113-03.html
>
山:あれちょっとひどくないか? 思いっきり考えました! みたいな。
武:開国して混乱する日本人を象徴してみました、みたいな(笑)。ある意味、コンセプチュアルな絵なんだけど、ミョー。
山:意味はわかるねんけど、キリストと仏陀とあと誰や、老子か?
武:それから孔子、ですか。キリスト教(開国欧米化の象徴か?)、仏教(インド、中国の影響と開国前日本政策仏教の象徴か?)、道教(中国古来の象徴か?)、儒教(朝鮮半島の影響と武士道開国前の象徴か?)、国家神道(天皇)がないところもポイントだな。言語的(意味的)な切り口で描くのは苦手だったんだろうね。日本人らしい(笑)。わかるわかる。
山:わかるけどわからん。
武:あと人物画でオモロかったのは『焚火』(1915年/大正4)、三枚の縦構図のヤツ。
< >
山:あれは僕も気になった。人物では一番良かったんちゃうかな。
武:そだね。色面がパーンと出ていて、デザイン的だし。「人間となにか」を描くというより、構図で見せるやり方、ね。
山:二人の人物は同じ人なんかな。それとも違う人なんかな。どっちゃでも面白いけど。ストーリー感じる。
武:やっぱり「人そのもの」を描くのは苦手だったんだろうね。
山:そんな感じするな。
●横山大観の真骨頂「朦朧体」
武:で、僕はやっぱり、「あの」風景画は好きですねー。例えば、『寂静』(1896年/明治29)とか、『夕立』(1902年/明治35)とか、かすんでるっていうか、ボヤーってしてるヤツ。
山:「朦朧体」と呼ばれているやつやね。
武:そうそう。俺は好き。例えば伊藤若冲みたいにシャープな構図で見せる画家じゃあないでしょ。で、きっと自分もそれを分かっていて、なんとか、そうじゃない画法を確立したくて、苦労して体得した画法があの「朦朧体」だったんじゃないかなあ、と。
山:僕はねー、あれがもちろん大観の真骨頂なんやろうけど、どーも好きになれん。なんかこっちの頭まで朦朧としてくるというか。空気、というか雰囲気を描き出しているのは見事やとも思うねんけど、結局その画法の表面的な気持ち良さだけしかない、というかね。その奥に僕にはなんにも見えてこない。
武:ただ単純にボヤーっとした風景が好きだったんじゃないのかなー。
山:それはそれでもかまへんねんけど、僕としてはその風景の奥に画家が何かを描き現している絵のほうが好き、というかそういうのを見たい。
武:うーむ、それって「朦朧体」はキレイなだけ、ってことかな?
山:そうやね、そうとも言えるんかな。きれいな絵が悪いわけとちゃうねんけど、なんて言うんやろ、その風景を描く意味がわからん。きれいだから描いた、というだけでいいのか? 富士山かけばいいのか? とか。
武:わはは! 例えば『雨後』(1919年/大正8)。俺はね、「雨」って凄く心が揺れるんですよ。雨で霞んだ空気を感じると、なぜか幼い頃を思い出す仕組みになってるのね。そんなもんだから、あの「朦朧体」を観ると、なんか心が揺れるんだろうなー。で、『霊峰十趣・夜』(1920年/大正9)なんかは、朦朧体の富士山なんで、これこそ真骨頂だなーって思ったよ。確かにモチーフが「富士山」ってベタすぎるけど(笑)。
< >
山:まあだからこそ人気が出るんやろうけど。わかりやすくて、ちょっと遠くの世界っぽい感じ。夢っぽい。
武:『海図』(1904年/明治37頃)なんかは、思いっきり印象派っぽい感じを受けたんですよ。展示では、『遠浦帰帆図』伝・牧谿筆と並べられて『遠浦帰帆図』があったけど、
< http://www.kyohaku.go.jp/jp/syuzou/meihin/kaiga/chuugoku/item07g.html
>
そういった、中国古画、日本古画、当時の現在洋画をミックスさせて、あの「朦朧体」にたどり着いたんじゃないんかなー。
山:線描をなくして新しい画道を切り開こうと切磋琢磨した、と。
武:うん。「線描」って日本人のアイデンティティーだとすら思うんよ。で、大観はそれをなくした、と。なんでだろうなー、って思った。それこそ『迷児』だったんじゃあないだろうか。だもんだから、国粋主義的になるしかなくて、国粋主義的な富士山がモチーフになった、と(笑)。
山:そうかもな。当時の保守派からは相当非難を浴びながらも、アメリカ、ヨーロッパ行って評価もらって帰ってきて売れる、……良く聞く話やな(笑)。
武:俺たちもアメリカ、ヨーロッパ行って評価もらって帰ってきて売れよう!
山:旅費は武さん持ちでおねがいしますっ!
武:よっしゃー! まず、河原行って葦を取るところから始めよう。葦舟を作ってアメリカ行こう。
山:……一人でおねがいしますっ!
武:って、大観ですよ。
●屏風絵
山:僕は屏風絵の方が断然好きなんですよ。
武:ほー。
山:でも一番見たかった屏風絵がまだ展示されていなかった! 『群青富士』(1917〜18年/大正6〜7頃)。
< http://8.dtiblog.com/t/tortue2006/file/20070801223335.jpeg
>
1,400円返せ! いや、他のは見たから半分返せ! いや、やっぱりタダにしろ!
武:屏風絵俺あんま好きくない。なんつか、構図っていうか、間が抜けてるっていうか。日本画ってどうしてこういう「間の抜けた」構図が多いんだろう? って思うんだけど、横山大観のせいか?
山:日本画って結構そういうのあるで。なんかとぼけた感じの絵。僕はそんなに嫌いじゃない。片岡球子とか。あ、片岡球子も富士山だ(笑)。
< http://images.google.co.jp/images?hl=ja&ie=UTF-8&q=%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%90%83%E5%AD%90
>
日本昔話(笑)。
武:片岡球子いーねー!
山:長寿(笑)。でもついこないだ亡くなったらしい。そうやったんか。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%87%E5%B2%A1%E7%90%83%E5%AD%90
>
このとぼけた感はなんか愛嬌あるっていうかね。バチッと決まってる絵とまたちょっと違う味わいがある。まあだからって富士山描けばいいのか(再)?
武:とぼけてる感は俺も好きだけど、大観の屏風絵はとぼけてる感はないんだよなあ。。。
山:まあとぼけてる訳ではないけどなんやろね、メリハリがあるというんかね。ボーッとしてない(笑)。
武:そっちの方が好きってわけだ。どうもね、暖色系が入るとあんましキレイに感じないんだよなあ。確かに『夜桜』(1929年/昭和4)は良かった。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/5.html
>
寒色系或は墨で色彩を抑えた絵の方が俺はなぜか好きだったんだよ。展示で並べられてたけど、尾形光琳の方が構図的には圧倒的に優れてる気がするんだよね。
山:色彩の人とはちゃうかったんやろな。寒色系でモノトーンの画家。構図に関しても新しいものを模索してたんとちゃうか。(当時の)現代の琳派を目指してたみたいやし。
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%90%B3%E6%B4%BE
>
武:「琳派」目指してたんかっ! うーん、琳派じゃないよなー、横山大観。
山:昔のそのまんまという訳にもいかんやろから、独自に研究して模索してたんとちゃうの。
武:うーむ、そうなんかあ。。。
山:まあ僕が屏風絵の方がいいというのはただの好みなんかな。でも屏風絵と普通の紙本、絹本とは明らかに何かが違う。
武:あー、なるほど、それは感じるね。って当然か、大きさが違う(笑)。大きい絵になると確かに描く時の感覚変わるしね。
山:いや、それだけやなくタッチ、色合い、なんか別の人が描いたって言ってもおかしくない感じ。分けて考えてたんやろうな。
武:俺も、スケッチブック紙のドローイングと、ライブペインティングは別物だし。
山:僕はどちらかと言うと屏風絵の方に大観のほんとにやりたいことがあるように思えるんよな。
武:ほう。じゃあ何がやりたかったんだろう?
山:現代の琳派(笑)。
武:あー、言えてるかも。でも、琳派ぢゃないなー(再)。「酒派」(笑)。あっ、それいい! 俺もそれ継承する。
山:僕は「沼派」なんで。
武:じゃあ俺も沼派に入ってあげる。
山:あ、そう。ほんなら武さんは沼派のどぶろく担当。
武:はい、呑むほうを担当します。
山:沼派の「ドブ担」。おーいドブ担! 酒はまだできんのかっ! 早うせい!
武:えー、俺が造るのかよー、酒造りは醉心山根本店なんだから、山根ですよ。
山:わしは社長だ! うるさい! 早く作れ! 日が暮れちまうぞ!
武:組合作りました。只今、スト中です。
山:「ドブユニオン」か!
武:「ヌマユニオン」です。
山:一人でも団体交渉ってできるの?
武:出来ます。きっと。「一人デモ」っていうのもあるくらいだから。
山:そうか。。。じゃあ……解雇! わしも社長やめ! 解散!!
●『生々流転』
武:ってか、大観ですよ。『生々流転』(1923年/大正12)いってみよか。
山:ほんま全然観られへんかった。コピー貼ってたけど。
武:混み過ぎ(怒)。俺は隙間を狙って、ポツポツと観た。
山:まあ僕もそんな感じ。アニメーションを飛ばし飛ばしで見たような。終わりは一応ちゃんと見れた。
武:俺は終わりが好き。やっぱり「朦朧体」か。で、龍がチロッと描いてあって、渦巻きになるあたりは、感動しちゃったけどね。「映像」っぽくも感じた。
山:巻き物っておもろいよな。絵が続いてるっていうのは。
武:全体的に抽象的な感じが現代のビデオ・アートにも通じるような。なんつか、肉薄するリアリティーっていうより、流しっぱなしの抽象的ビデオ・アート作品、みたいな。
山:それが実際は一枚の絵っていうとこがおもろいな。
●晩年
武:オモロいね。けど、晩年の巻物絵『四時山水』(1947年/昭和22)は、なんかイマイチだった。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/8.html
>
山:そうやな。確かに『生々流転』の方が緊張感あった。
武:晩年はなんか、フニャーって感じで全体的にイマイチ感が強かったなあ。俺は「画家は晩年こそ面白い」と言ってたけど、大観でそれは打ち消されてしまった。。。
山:ふむ。技術的には歳取ってもあるっちゃあるんやろうけど、なんやろね、やっぱ緊張感を感じへんかったな。
武:チケットの絵にもなってる『或る日の太平洋』(1952年/昭和27)も、なんかパッとしなかったなあ。。。
< http://www.asahi.com/taikan/exhibition/9.html
>
山:なんかキレイにまとまってるだけ、みたいなね。
武:うーん、「キレイ」さを失っていた気がするんだよなあ。
山:「キレイ」って、まあ上手にまとまってるというか、問題がないというか、そんな感じ。
武:形態も構図も良くはないし、かといってそれらを凌駕する「何か」みたいなのも感じられなかった。。。
山:琴線に触れない。
武:そうそう。そういう感じ。
山:疲れてしもたんかな。
武:どうも、そういう感じ受ける。
山:酒の呑み過ぎちゃうか?
武:歳取ったら若輩者じゃあたどり着けない「何か」ってあるじゃないですか、藤田嗣治の子供の絵とか、丸木スマとか。
丸木スマ < http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/top/suma.htm
>
そういう感じがしないのが残念だった。
山:途中から「現代の琳派」めざすのんやめてしまったんかな。そういう燃え立たせるものがなくなってしまったとか。
武:うーん、最晩年ってなんつか、いろいろ諦め過ぎてむしろ解放されてしまう、みたいな絵になる人が多いじゃないですか。
山:そうやな。確かに丸木スマすごいな。子供にかえっていくような。ほんま自由にやってる。
武:大先生としてのカッコ付の「横山大観」から解放されなかったんかなぁ。
山:結局最後まで日本美術院の審査員で、その立場を取り続けたわけやしね。
武:そう考えると、なんか哀しいものもあるな。
山:酒豪=型破り、というイメージとは違う感じの人やったんかね。酒も岡倉天心から言われたから呑んだ訳で、最後までそれを忠実に守った。忠義の人。
武:画壇への忠義も守り、画壇然とした絵を描いた、と。しかし、晩年に「朦朧体」が出てこないのはなんでだろうな。
山:あきたんちゃう?
武:わはは! 意外とホントにそうかも。俺としては「朦朧体」が更なる進化を遂げて、もはやボヤーっとしてるだけで、何が描いてあるかすら分からなくなっていって欲しかった。
山:やっぱりただ画法として使っていただけであって、そこに作家の生命はなかったんとちゃうか? だから僕は感じへんのかも知れん。あの「朦朧体」画法に。
武:なるほろー。まあ、「また彼の脳は、現在もアルコール漬けにされた状態で東京大学医学部に保管されている(wikipediaより)。」ので、愛する酒に今でも浸っているってのはステキだと思いましたマル
山:結局未だに解放されてないっ!!
武:わはは! 酒に溺れてるワケだし。
山:いや、酒に浮かんでるんです。
武:おー、なんかそれ凄いな、大観はアルコール(日本酒)が主食だったので、ひょっとしたらその脳は今でも生きてるのかもしれない。この瞬間も次の絵の構想を練ってるのかもしれないね。アルコール漬けの脳で。
山:いや、きっと意識朦朧体(笑)。
●展覧会評
武:☆☆☆☆
日本画って食わず嫌いだったんだけど、思ったより楽しめたので、星4つ。教養として観ておくべき的な意味においても。
山根:☆☆☆ 星三つ。『群青富士』(1917〜18年/大正6〜7頃)を見れへんかった!
【没後50年 横山大観 新たなる伝説へ】
< http://www.asahi.com/taikan/
>
会期:2008年1月23日(水)〜3月3日(月)
会場:国立新美術館(〒106-8558東京都港区六本木7-22-2)
< http://www.nact.jp/
>
開館時間:10:00〜18:00、金20時(入館は閉館の30分前まで)火休
観覧料(当日):一般1,400円、大学生900円、高校生700円
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/どぶろく担当略してドブ担】
「ネグリさんとデングリ対話@東京芸大・上野」
大ラウンド・テーブル「マルチチュードか、プレカリアートか?」
── この国の「路上」からトニ・ネグリを歓待する
日時:3月30日(日)15:00〜19:00
< http://www.negritokyo.org/geidai/meeting-cell/
>
に「246表現者会議」として出席します。
246表現者会議 < http://kaigi246.exblog.jp/
>
< http://iddy.jp/profile/Take_J/
>
take.junichiro@gmail.com
【山根康弘(やまね やすひろ)/沼酒造社長】
SWAMP-PUBLICATION < http://swamp-publication.com/
>
交換素描
yamane@swamp-publication.com
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■グラフィック薄氷大魔王[123]
恐怖のGDTツール「OmniFocus」
吉井 宏
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「何をボケッとしてるんだっ! 今やるべきことはこんなにあるんだっ!」
と、目の前に突きつけてくる、おそろしいツール。
OmniFocusは、OmniOutlinerやOmniGraffieなどで定評のあるOmni社のGTDソフト。GTD(Getting Things Done)とは、「やるべきことを全部書き出して細分化したリストを作って所用時間や状況を把握。チェックやレビューを繰り返しながら実行する。気にかかることを脳から追い出し、スッキリした状態で集中して仕事する」というようなもので、欧米で流行ってるらしい。僕もITmediaの記事などで知ってはいたけど、自分でやってみようとは思ってなかった。
ITmedia Biz.ID
Omni社のソフトはたいていよくできているので、試さずにいられない。2週間使えるデモ版を試して4?5日ほどになる。最初は「こんなのOmniOutlinerで同じことができるじゃん」と思ったものの、すぐに「こりゃすごいツールだ!」とわかってきた。リストにやるべきことや予定を「Project」としてどんどん打ち込む。仕事、作品制作、打ち合わせ、原稿書き、部屋の整理、買い物など、あれもこれも何でも。書き始めると「あ、あれもやらなきゃ」って芋づる式にズルズルと思い出すのでいくらでも書き込める。
「Project」はたいてい単発の行動ではなく、複数の行動(アクション)の集合体。例えば、「デジクリの原稿を書く」は、「ネタを決める」「下調べをする」「文章を書く」「推敲する」「柴田さんにメールで送る」の5つから成るプロジェクトだ。これを踏まえてプロジェクトを立て、内容をアウトライン形式で並べていく。OmniOutlinerゆずりで使いやすく、編集自在。GTDの解説では、「何も書くことがなくなるまで書く」とあるが、テスト段階なので適当にやめておく。
Planningモードで項目をある程度たくさん入れた状態で、Contextモードに切り替えてNext Action(次にやること)表示にすると、ドキーッ! とさせられる。「ええっ! こんなにやることあるんだっけ!」と思い出させてくれるっていうか、目の前にズラリと並べて突きつけてくる。
「これらを片付けて前進するか、さもなくば、このままダラダラと一生を過ごすか?」を問われる、実におそろしいツール。ソフトの使用感は「すごい」「面白い」「便利」などいろいろあるけど、「恐怖」を感じたものは今までなかった。面倒で放っておいたり考えないようにしていた「やるべきこと」が白日の下にさらされるのだ。
終了した項目はクリーンナップすると消え、同じプロジェクト内の次にやる項目が繰り上がって表示される。いくら片付けても「はい次、はい次。」と際限がない。まあ、これだけ片付ければ確実に次へ進めるってところがキモなんですけどね。よく今までこういうリストなしでやってこれたもんだと自分に感心さえする。項目は、時間順やプロジェクト順、場所、所要時間30分以内の項目、などなど、各種ソート順やフィルタにより表示を変えることができ、状況に応じた今やるべきことを見つけられる。
チェックするのは最低限の回数にしておいたほうがいい。なぜなら、見るたびに「まだ何も片付いてないよ?」と絶望的な気分にさせられるのだ。頭をスッキリさせる目的が逆に精神衛生上良くないとも言える。真面目で自分自身に厳しい人ならたちまちノイローゼになってしまうかも。
………ホントいうと、こんな鬼軍曹のようなツールじゃなく、iCalのみで平和に暮らしたいのだが………。ライセンス購入するかどうか検討中〜。
ところで、iCalのToDoとの同期ができるらしいけど、iCalの項目をOmniFocusに読み込めるが、OmniFocusの項目はiCalにコピーされない。他にもいくつかの不具合も残っているようだ。まだver.1.0なので今後に期待。.Macシンクで他のMacと同期できれば最高なのだが。別製品でOmniPlanというスケジュール管理ソフトもある。こちらは複数人が関わるプロジェクトのボス用って感じかな。iCalとカブる部分も多いので、ちょっと試用しただけに終わってる。そのうち続編を書きます。
【吉井 宏/イラストレーター】 hiroshi@yoshii.com
OSX10.5.2アップデート。たくさんの改良点、修正点があるらしいけど、僕的にはATOKのFinder強制終了問題の解決がいちばんうれしい。やっぱOSX側の不具合だったんだ?。Mail.appのメモで作成したチェック欄が同期されないのは直ってないな?。
たまたま立ち寄ったソフマップ・Macクリエイター館にMacBook Airが展示してあった。いや???薄いわ軽いわ美しいわ。フタを閉めて小脇に抱えたりしてみると、とんでもなく軽いという気はしなかった。でも、さすがにMacBookより1kg軽いってのは強烈。感心したのはUSBポート等が入ってる「I/Oドア」。こういう仕組みってパカパカして安っぽくなりがちだけど、Airのドアはスッキリ自然に開閉してギクシャクしたところがぜんぜんない。あと、液晶を閉じた状態から指一本でちゃんと途中まで開くのもすごい。こりゃどう考えてもほしいな???。初期ロットを買う勇気はないけど、いずれは買うだろう。将来に渡って何度も買い換えながら使う必需品になるのは間違いないけど、やっぱり今ほしいな?。う??ん。腹いせに17インチMacBook Proを持ち歩いてやる?。
HP
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■編集後記(2/13)
・三連休に三夜連続、DVDで映画を見た。見ているときはそこそこ楽しかったが、結局たいした感動も得られず、かなり疲れてベッドにもぐりこむ三夜。夜は仕事しないで映画や読書にシフトしようとの試みも、出端をくじかれた感がある。情報を集めて整理する仕事は、やってもやっても終わらないので、それを中断して別のことにあてると、あとからその時間を取り戻すためにちょっと大変、そういった悪循環の毎日だけど、それも苦痛なわけではないからまあいいんだけど。いずれ週の半分くらい、夜間はデータベースから離れるようにしようとは思う。その三連続DVDの編成がよくなかったのも確か。まず、「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」である。これはわかりやすく、なかなかおもしろかった。しかし、主役の子供たちは絶望的に魅力がない。いや、タイトルからいうと主役はライオンと魔女か。ライオンはすばらしかったが、魔女に魅入られるような美しさがなく、老いさえ感じさせるのだから無惨。クリーチャーの造形やVFXは見るべきところも多かった。次は「どろろ」である。手塚治虫の作品のなかではとくに好きな漫画で、かなり期待していたが、結局はこんなハズではなかったとがっかり。やっぱり映画にするのは無理な世界だったと思ったのだが、続編が予定されているそうで、けっこう評価された映画だったのだろう。柴咲コウのあの不自然な声が苦痛で苦痛で、続編はもう見たくない。最後は「神童」である。さそうあきらの傑作漫画が原作で、成海璃子、松山ケンイチが主演、これは期待しないほうがおかしいが、わけのわからない映画になってしまった。原作を知る者にはだいたい筋が追えるのだが、知らない人が見て理解できるのだろうか。絵になるシーンはあるが、断片的で、なにも解決しないまま次に移る。巨匠の代演をつとめるコンサートがクライマックスシーンだが、しょぼい楽団と舞台で、これはひどすぎた。松山ケンイチは非常にいいが、成海璃子は最後まで何を考えているのか表情からは読めない少女のまんまだった。やはり外国のB級SFを見ているのが一番楽しい。(柴田)
・祝山根さん復活。/OmniFocus試してみようっと。/修理しますね、無料修理のできる範囲にしておいて、費用がかかるようでしたら修理するかどうかそれから決めましょうね、と優しい店員さん。携帯番号から私のデータをパソコンで調べていた店員さんの顔が一瞬曇る。「申し訳ありませんが、この機種は四年半ほど使われていまして、無料修理期間を経過してしまっています。通常メーカー保障が一年、プレミアクラブに入会していただいていますので三年までは無料修理できたのですが……。」とのこと。つまり、ドコモの携帯電話は最低三年で機種変更しないと、電池の保ちや新機種を使うことによる新機能メリットも含め、いろいろと損なわけだ。調べてみると7,350円かかるという。修理の値段としては安い。が、機種変更を予定している人間にとっては高い。無理を承知で相談してみた。(hammer.mule)