電子浮世絵版画家の東西見聞録[26]美術館巡りは楽しい……か?(5)
── HAL_ ──

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今回は、前回で結局話が出来なかった「サムソン美術館」Leeumのつづきです。

漢江鎭駅の出口を間違えなければ、そのまま大きな通りを歩いて右側にLeeumの大きな看板が現れます。そこを右に曲がり、坂を登る形でLeeumミュージアムへと向かいます。そのあたりは、繁華街しか知らない日本人の目に奇異に感じられるほど人もまばらです。独立門の付近に行った時も、同じように人の気配は薄く車の数も少ないのは、韓国総人工の三分の一が集まるソウルの街とは思えない風景です。


普通の高級住宅街という雰囲気の中を、左に折れながら坂を登っていくと道は二またに分かれ、真正面に突然ガラス張りの大きな建物が目に飛び込んできます。その時のガラス面には[FLASH CUBE]の文字が、でかでかと書かれていました。そのビルボードにそって右に入ると、三つ星Lee家の門へ繋がります。当然門扉は見ることは出来ない奥深い場所にあるようです。


左が道なり本道という感じなので、そのまま進むと右側にLeeumが現れます。入り口は木製フローリングで、下りのスロープになり、所々に数字が光っています。これは日本人アーティスト宮島達男の発光ダイオードを使った[Transcend Section]です。このアート作品を土足で踏みながらミュージアムに入ることになります。美術作品を踏み絵のようにして入っていくなんて、……永吉克之画伯のパラドックス世界観を思い出してしまいました。

ミュージアムは三人の建築家による設計の「Leeum Museum 1」「Leeum Museum 2」「Samsung Child Education & Culture Center」が、それぞれ「過去」「現在」「未来」を表す建物に分かれ、それが中央で統合されています。[Transcend Section]を踏みながら降りて入って行くと、大きなホテルのロビーのような空間が広がり、券売所、喫茶室、ミュージアムショップなどを見渡せます。美術館の全てがこの空間から始まるのです。

入館料は他の美術館と比べると少々高く10000W(約1200円)ですが、日本の美術館と同額といった感じですね。これでLeeum Museum 1とLeeum Museum 2を見ることが出来ます。Leeum Museum 3は児童教育文化センターです。

ここで三人のチケットを購入、アナウンスガイドがあるというので、それもひとつ借りてみました(2000W)。料金を支払い、別の場所にあるガイド機器を借りに行きますが、ここでの受け渡しは身分証明書が必要です。ソウルではパスポートを携帯する必要がないので持ち合わせず、リーヒョンギョンの身分証明書を預けて借りることになりました。

借りたデジタルガイドは首から提げる形になっているPDA、もちろんサムスン製です。これを胸に下げて作品の前に入るとセンサーによって自動でアナウンスが開始されます。さすがサムスンというだけあって、表面の大きな液晶はとてもきれいです。しかも韓国語、日本語、英語、中国語と翻訳が切り替えられます。もちろん、私は日本語だけあれば良いんですけれどね。

まずはクロークに荷物を預けます。これは日本の美術館ではお目にかかれませんね、まるでホテルのような丁寧さです。次にエレベーターに乗れという指示を与えられ、素直にエレベーターで三階へ向かいます。エレベーターホールを出てはじめに目にしたのが青磁の壺です。勉強不足で韓国伝統美術に関しては知識がないのですが、青磁・白磁のコレクションは見ごたえのあるものです。

この展示品の前に来るとPDAのガイドが始まりますが、液晶画面にも作品が表示されます。この説明がやたらと長いのです。何処に花をあしらっているとか、文様があるとか、見た目そのままをレポートしてくれます。これを聞いている間じゅう、そこに留まっていなければなりません。次の作品の前に行っても、はじめの説明が終わってから次の作品の説明が入るので、やたらと動くと何を見ているのか全く分からない状態になります。

PDAを持たない連れの二人は、作品と共に用意されている日本語・韓国語のプレートをさっさと読んで、どんどん先に進んでしまいます。二人と全くタイミングが合わないのです。そして、何しろ作品数がとんでもなく多い。いちいち全部の説明を聞いていくと半日かかりそうです。

何とかならないものかと思いつつ、古美術の半分くらいまで来たところでPDAに複数のボタンが付いていることに気がつきました。なんだ、この操作で早送りも出来るし、前の説明も再度聞くことが出来るじゃないか。これをそのまま持って帰れば美術館を手にしたも同然だな……だから、身分証明書と引き替えなのか!!!

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/
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Web < http://lohasfood.exblog.jp/
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Web < http://Web.mac.com/hal_i/
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Sound Drawing グループ「ZIetZ」の公式サイト
< http://zietz.hal-i.com/
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「塗り絵で親しむ俳句の世界」(桃園書房)著者名・飯田晴山
「Shade 9 ガイドブック」BNN新社「ArtRageで絵を描こう!」BNN新社
「Photoshopバージョンブック」毎日コミュニケーションズ
「Illustratorバージョンブック」毎日コミュニケーションズ

●SoundDrawing LIVE Vol. 04 by ZietZ
ZietZ Sound Drawing 070924
< http://jp.youtube.com/watch?v=US_B6EsawZA
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High quality
< http://gallery.mac.com/hal_i/100008
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会場:GINZA Apple Store Theater
日時:2月27日(水)19:00〜20:00
< http://www.apple.com/jp/retail/ginza/week/20080224.html
>
LIVE 第5回テーマ:「春(Spring)」
柔らかな光につつまれる春。凍てついた大地も溶けはじめ、草木の芽吹く時。街ゆく人はコートを脱ぎ、身も心に萌葱色に染まる時、タンポポ色の日差しを求めて外に出る。胸の中にも桜色の暖かさが宿り、育ち、芽吹きはじめる。冬の厳しさを堪え忍び、固く閉ざした心にも優しさが戻り、胸の内からも光があふれ、貴方の目にも笑みがあふれる。そして、唇が潤いを取り戻す。貴方は春を迎え、どのような花を咲かせるのでしょう。