電子浮世絵版画家の東西見聞録[40]ソウル、610ロウソク集会と若年失業と露天商と
── HAL_ ──

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「日刊デジクリ」をさかのぼってみたところ「電子浮世絵版画家の東西見聞録」の第一回は昨年の6月18日号「心はソウルへ飛ぶ」から始まっていました。初回からずっと一年間ソウルの話をし、昨年は三回もソウルに飛ぶ事になるなど、数年前からは考えられない事でした。

記念すべき一周年を迎えても何の変化もないわけですが、ソウルとの関係はだいぶ変化してきています。ネタもストックがあるわけでもなく、一年を迎え仕切り直しをするべきかなとも考えています。でも、今回も気になったソウル時事ネタを書いてしまいました。



●610ロウソク集会

6月10日、BSE問題から広がった大規模な「ロウソク集会」が日本でも報道され、話題にあがっていますが、もともと「ロウソク集会」とは何だったんでしょうか。私が調べたところ、今回の610は韓国大手のコミュニティーサイトなどから「街に出よう」との声が広がり、ネットユーザー達は「建国以来のはじめて行われる『国民MT』」と名付け行動するところから始まったようです。MT(Membership Training)とは全国民が集団で遊ぶ場を意味しています。
< http://www.newscham.net/data/news/photo/6/43414/5610_001 >

こういった集会は、良くも悪くも主催団体の政治的な意図があることは見えますが、今回のロウソク集会は、BSE問題に端を発し、韓国内にある経済事情や教育問題など様々な問題が噴出した形になってしまったようです。610ロウソク集会の背景には、労働界の連盟や組合と反米性向の在野団体が加わり、過激な部分のみを面白がって報道する姿のみが見えました。

“非暴力不服従”を叫ぶ市民の純粋性と自制力による「ロウソク集会」に参加した人の声には、過激な反政府運動(李明博〈イ・ミョンバク〉の退陣運動)に変質する姿には問題があるという声を上げている人たちも多くいます。この「ロウソク集会」の大きな流れに恐れをなした政府側が、警察や軍隊を導入して光化門交差点にコンテナを二段に積み上げコンテナの隙間を鉄板で溶接し、登ることが出来ないように表面には多量のグリスを塗りたくっていました。
< http://www.newscham.net/data/news/photo/6/43414/610_000 >
< http://www.newscham.net/data/news/photo/6/43414/610_003 >

このコンテナの前には大きなスチロールの固まりが積まれ、その上で自由発言したそうです。しかし発言の前に、参加した市民達はスチロールを積む積まないで一時間の間、議論を交わしたそうです。スチロールを積むことは挑発行為になり、行為そのものが暴力となるのではないかと言う意見と対立し合ったわけです。その議論の結果、スチロールは積み上げられ、多くの市民がこの上で発言したのです。まさに民主的と言えるのではないでしょうか。

警察隊が集会に参加した人々に「交通の邪魔になるので早く立ち去るように」と多くのスピーカーでがなり立てているのを見ると、滑稽にしか思えません。おもわず「邪魔しているのはアンタダチだろうが。」と、心の中で叫んでしまいました。
< http://jp.youtube.com/watch?v=U0vpk9OIj68
>

●若年失業と露天商

私達のような観光客の目にはほとんど入りませんが、よく目をこらしてみると、ソウルの街で見かける屋台ひとつをとってみても韓国の経済事情が見えてきます。古くからある市場や旧市街地に昔からある露天商には中高年層が多く、販売している商品もトッポギやおでんなど露天商の代表的なメニューです。しかし、最近は若い人の露天商も多くなり、そのメニューが変化してきています。

若い露天商の扱うメニューは、コチュジャンを使ったトッポギからチリソースに変わり、オリジナルのホットドッグやハンバーガー、カセットテープ、若者向けファッションと幅が広がり、これらの売り上げがあがることで、側にある古い露天商の売り上げも伸びているという面白い現象もあります。

これら若者達は、幼い頃から英才教育を受け大学を卒業しても、それに見合った職に就けることはほとんどなく、特別なノウハウの必要がなくアイデアひとつで成功するチャンスがある露天商に流れて来ているのだといいます。その露天商の店主はオーナーではなく、雇用されたアルバイトも多いそうですが、コンビニのアルバイトに比べ格好は良くないものの、努力に見合った収入が入るという魅力があるそうです。

そんな露天商に対しても、ソウル市は規格化を図ろうとしています。露天商の面白味は販売する商品そのものもありますが、それぞれバラバラな露店イメージの集合なのに、何処か懐かしさや暖かみを感じるところにあると思います。それらを全て統一したデザイン規格にしてしまい、出店の時間まで規制してしまうのは寂しい限りです。

確かに野放図に広がる露天商は、地下鉄の入り口を隠したり、通行の邪魔になる店の出し方をしていたりしています。しかし、これもまた人々の営みの結果です。私も鐘路の地下鉄を見落として、通り過ぎたこともあります。でも、良いじゃないですか、これも旅人の楽しみです。この規格化は、来年の末までに再整備を計画しているのだそうですが、「是非そのままにしておいて!!」

今やソウル市内は物価が上がり、仕事のない人であふれかえり、経済状況は最悪だといいます。本当に職がないのです。事実、私の友人もひとたび会社を辞めたところ、次の就職は半年たっても決まりません。韓国内には大学を卒業しても何のために勉強してきたのか分からない、という人々の欲求不満が「ロウソク集会」に表面化してきた現れなのでしょう。

・露店の醍醐味は串物(いったい何の串?)


○ZAIM DIGITAL WORK SHOP 2008

先週から始まりましたワークショップ。いつもながら熱のこもった活気あるイベントです。このワークショップの作品は、ヨコハマEIZONE 2008内で発表されます。受講者達も発表に向かって一か月半という期間、全力疾走です。さらに、EIZONE 2008ではワンデイワークショップも開催されます。このワークショップは6つの多彩なコースが用意されています。

< http://za-im.jp/dws/
>
< http://www.y-eizone.jp/
>
< http://www.hamakei.com/headline/3272/
>

○「ドッグアート博覧会」会話するアート愛すべき犬たち
会期:6月20日(金)〜6月22日(日)10:00〜21:00
場所:玉川高島屋ショッピングセンター1Fアレーナサロン
観覧料:一般/大・高校生 500円 中・小学生 250円
主催:Brain communications

昨年から始まった「ドッグアート博覧会」です。昨年は駅から離れていたにもかかわらず多くの方々にご来場頂き、好評を博しました。今回二度目は玉川高島屋に会場を移し、24名のアーティストの犬たちが会話します。三日間という短い期間ですが、是非ご来場下さい。もちろん、私も参加アーティストの一人です。
< http://www.brain-communications.jp/dae/
>

○ZIetZ Sound Drawing LIVE

銀座アップルストアーでのライブ5回目、通算6度目のライブです。今回のテーマは「雨」。今回から構成を少し変更して新たな展開となります。テルミンと詩、そして光の絵画の時をゆったりとした気分でお楽しみ頂ければと思います。
日時:6月25日(水)19:00〜20:00
会場:Apple Store 3F Theater
詳細はサイトにて御覧ください。
< http://zietz.hal-i.com/
>

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/
>
Web < http://lohasfood.exblog.jp/
>
Web < http://Web.mac.com/hal_i/
>
Sound Drawing グループ「ZIetZ」の公式サイト
< http://zietz.hal-i.com/
>