電子浮世絵版画家の東西見聞録[45]韓国三大ジャン
── HAL_ ──

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私が横浜の住人だからといって、三大「○○ジャン」という話ではありません。と言っても分からない人がいそうですが、横浜弁のひとつで「なんとかジャン」という言い方があります。良いじゃん、良いジャン、と言うヤツです。で、それではなくて韓国の味噌、コチュジャン、サムジャン、テンジャンのお話。


一●テンジャン

テンジャンを調べていたら、中央日報に面白い記事がありました。その記事中のネチズンとは、現代韓国社会でネットワークを自由に使い思想的(?)な活動をする人たちのことを言いますが、そのネチズンがブランド好きなお金で虚栄心を買うような女性たちを「テンジャン女」と呼んでいました。
< http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=78921&servcode=400§code=400
>

テンジャンとは、日本の味噌とほぼ同等のものを指します。日本で「お味噌の香り」と言うと風味豊かな食材を思いますが、「味噌女」と言ったら何かすえたようなイメージですね。韓国でも味噌は重要な食材ですが、こういう言い方をするのは日韓に共通したイメージがあるのでしょうか。味噌も暑い季節にちょっと気を許して外に出しておくと、いきなり悪くなってしまう、そんなところがイメージを同じくさせているのでしょうかね。日本でも「テンジャン女」は沢山いそうだし、この言葉流行らせようかしらね。

さて、テンジャンは大豆タンパクが分解されて出来たアミノ酸の力を生かした、鍋料理には欠かせない調味料です。韓国でも、日本の味噌汁のような味付けの料理があります。スンドゥブ(豆腐)チゲと言ったらまさに「お豆腐の味噌汁」のことで、日本で検索するとコチュジャンを使うとありますが、ソウルで食べた全てのスンドゥブチゲは、テンジャンを使っているような味付けです。

両方が入っているのかも知れませんが、チゲとしてはかなり薄めのスープのようで、味付けは味噌汁と同じくらい。日本で考える鍋料理という感じではありません。これにスプーンですくい取った白いご飯を浸すのが、食べ方の定番のようです。このテンジャンが基本の調味料となり、他のジャンが存在します。

二●サムジャン

サムジャンは、韓国の食堂には必ずあると言っていいものです。日本でも焼き肉屋さんで生野菜を頼むと一緒に付いてくる味噌で、これを生野菜に付けて焼いた肉を巻いて食べますね。サムジャンのサムとは、この包むことを意味します。王様のキムチと言われるポッサムキムチのポッサムも同意です。韓国の焼き肉屋さんはサムジャンはもちろん、肉を注文すれば生野菜も必ずついてきます。ジャンも野菜もおかわりは自由です。サムギョプサルの店では、いちいち頼まなくても野菜取放題のバイキング形式の所もあります。

このサムギョプサルの名前の付け方も興味深く「サム」は数字の三、「ギョプ」は層、「サル」は肉で、そのまま日本語に置き換えると「三層になったお肉」で、日本で言う「豚の三枚肉」のこと。見た目そのままの形を名前にした名称は、韓国も日本も同じなのですね。ちなみに英語圏ではRibsリブと言いますが、これはデンマーク語のRibs(赤いスグリ)から来ているということなので「色」が語源になっているようです。

サムジャンは、前記したようにそのまま付けて食べるほか、コチュジャンに比べると辛味が少ないので肉料理のつけだれに使われることが多いのですが、他のジャン同様にチゲや和え物など様々な味の変化を付ける調味料としてもよく使われます。辛いのが苦手な人はサムジャンが良いですね。

三●コチュジャン

これは、日本でいちばんポピュラーな存在ですね。でも、ひとつ買っておくと、いつまでも冷蔵庫に入ったままだという話を聞きます(我が家ではあっという間になくなってしまいますが)。韓国でも、もちろん一番使われているジャンだということは、スーパーマーケットに行くと一目瞭然です。幾つかのジャンのメーカーがあるのですが、ほとんど似たようなパッケージに入って売られています。もちろん市場でも大量に販売されているので、韓国人の使用量がはかれるというものです。

・写真の赤いのがコチュジャンで緑色がサムジャン、茶色がテンジャンです

・市場ではこんな感じで売られています。さすがに購入しても持ち帰れません


このコチュジャンは大韓航空にのった時、機内食が出たら「コチュジャン ジュセヨ」の言葉が定例になっています。機内食自体はたいしたことがないのは周知ですが、機内食のご飯にコチュジャンを混ぜ合わせると、あっという間に韓国の定食屋さんに行った気分になってしまいます。機内でもらえるコチュジャンはチューブ入りで、好みに合わせた量だけ使用して、残った物はお持ち帰りできます。私は必ず二本もらって、一本を使い切り残りの一本はバッグに入れて持ち帰ります。

・右にあるのがコチュジャンです


コチュジャンは、サムジャンと「きび糖」、そして「粉唐辛子」を大量に使用したジャンで、日本の味噌を使って作る方法などがサイトでも良く紹介されています。きび糖がなければ水飴でも大丈夫です。作ったことはないけれど。
< http://oisiso.com/html/memo/kotyu.html
> 作り方参考サイト

コチュジャンを使った料理はあげていくときりがありませんが、単に和え物の調味料として使用するだけでも楽しめます。トトリム(ドングリ豆腐)と長ネギの千切り、キュウリやレタス、青じそ等の野菜をたくさん使ったコチュジャンの和え物も、夏にはぴったりの美味しさです。トトリム自体は食感だけが取り柄なので、なくても夏のお野菜を和える感覚でサラダとして作れば、コチュジャンとネギの辛みが際立った美味しい逸品になります。お薦めです。

●鶏手羽先のコチュジャン煮込み料理

さて、ここでコチュジャンを使ったお薦め料理をご紹介します。いつもは目分量での料理を基本としていますが、今回はアバウトですが軽く分量までおつけしますね。これは我が家の大人気メニューのひとつです。

材料は鶏手羽先12本、ジャガイモメークイン5コ、パプリカ1コ、紹興酒、鶏ガラスープ、コチュジャン、その他の調味料です。

まずフライパンにサラダオイルをひき、水分をよく拭き取った鶏手羽を入れ、焼き色と軽い焦げ目を付かせます。それを鍋に入れ、紹興酒または料理酒を100cc加え、葱、ショウガ、ニンニクを入れて蓋をし、蒸し煮にします。さらに水300ccと鶏ガラスープ顆粒を小さじ半分、コチュジャン40g、砂糖30g、醤油40ccを加え中火でコトコトと煮込みます。途中で皮をむいたジャガイモを加え、柔らかく煮込んでいきます。肉質が柔らかくなったら、最後にパプリカを加え、さっと火を通したら出来上がりです。

・食卓に出す直前に白髪葱などを散らして、さあ召し上がれ。


この料理はちょっと強めの味付けになりますが、鶏手羽に含まれるコラーゲンとコチュジャンが絡まり、辛みと香ばしさと何とも言えない風味、そして煮込んだ鶏肉の柔らかい食感がご飯を進めてくれます。白髪ネギを多めに散らぜば、ビールのおともとして最高の肴になります。

まったく同じ調理法で、豚ロースまたは三枚肉の塊で煮豚を作っても美味しい一品になります。これが、鶏の時とはまた全然違った料理になるから不思議です。ぜひ大きめのお肉で作り、タレもたっぷり作っておくと、さらに次の日にまたまた別の一品として楽しめます。まずご飯を丼にかるく盛り、その上にちぎったレタスを敷き詰めます。レタスの上にスライスしたコチュジャン煮豚をのせ、タレをたっぷり掛けていただきます。青しそや白髪ネギを散らせば、最高のおもてなし料理になります。

この丼は、熱々のご飯にコチュジャンのタレが絡まり薫りが立ち、ジャンの辛みと甘みが食欲をそそります。ロースは油分が少ないのでタレがたっぷり欲しくなりますし、三枚肉ではとろ〜りとした油層のコラーゲンが辛みを緩和し、また別の旨みを感じさせてくれるから不思議です。ロースも三枚肉も鶏とは違った噛みごたえのある食感がいいですね。暑い夏、ウナ丼の代わりに、夏バテ防止にいかがですか。

・三枚肉のコチュジャン煮


○ZietZ Sound Drawing LIVE Vol.009

第8回目、赤レンガ倉庫でのサウンドドローイングライブが終了しました。プロの音響や映像スタッフに支えられ、沢山の観客に来ていただき、とても感謝しています。この回は公開放送まで行われ、大きな転機になったZietZ LIVEと言えるでしょう。さて次は、銀座アップルストアでのライブ、ちょうどZietZ結成から1年目、9回目のライブで新たな展開を迎えます。テルミンとミンストレル、そして光の絵画の1時間を、ゆったりとした気分でお楽しみ頂ければと思います。
8月29日(金)19:00〜20:00 Theme「鏡」
Apple Store 3F Theater
詳細はサイトを御覧ください。
< http://zietz.hal-i.com
>

明日はEIZONEの最終日です、横浜の暑い夏を最新の映像コンテンツと共にお過ごし下さい。
< http://y-eizone.jp/
>
EIZONE STATION ではライブ中継もあり、26日はロバート・ハリス氏との対談(この話は後日に)、明日も別のゲストとの対談があります。
< http://y-eizone.jp/eizonestation/index.html
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【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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