電子浮世絵版画家の東西見聞録[49]ゲーテの色彩論とドライトマト
── HAL_ ──

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●「色彩論」を読む

「読む」と描きましたが読み切ったわけではありません。というか、以前読んだ事はあるのですが、全く内容を忘れてしまっていますので「初心に返って読み始めた」というほうが正しい言い方なのでしょう。もちろん翻訳本なのですが、文体が何か古めかしいので内容がつかみにくいのです。翻訳自体が非常に古いのかと思いきや、文庫本の初出版が2001年、そして2004年に5刷になった本です。

ということは、ゲーテの言い回し自体が時代がかっているので、翻訳そのものもそれに習ったのかもしれませんが、言葉は時代と共に次々に変化していくもの。これでは読む人もいないだろうと思っても、2004年で5刷かぁ。現在2008年だともっといっているのでしょうね。ゲーテ超神!(最近の渋谷語で「神」は凄いという意味らしい)でもなぁ、本は直訳してもしかたがないだろうに。



読み始めたといっても、一日に数10分。それ以上読むと頭が爆発しそうなのです。というより、まぶたが自然に降りてくるぅ〜。電車の中で読むからよけいなのですがぁ。で、現在は1/4くらいのところまで読み進んでいます。ここまで何が書いてあるかというと、この色彩論は「間違ったニュートンの色彩論を正した、とても優れた本なのだよ」そして「色彩論は自然科学なのだ」といったことで、それが長々と書かれているわけです。

本論にたどり着くのは何時の事やらぁ〜。

まあ、前提としての考え方をしっかり述べているといえばもっともらしいのですが、すぐ結果を知りたくなる現代人としては「イラつく」のです。ゲーテが色彩論を出版したのは1810年のこと、約20年かけて書き上げたということから分かるように、とても時の流れがゆったりしていて、現代人の私の脳にはなかなか届いてこない。

というところで、現在は序論が終り122ページ、いよいよ第一編「生理的色彩」に入っていきます。

なぜ、再び読み始めたのかというと、私自身が色に敏感になってきていると感じたからなのです。人間は20歳を過ぎると生物学的にも衰える一方で、脳細胞も増えることはありません。しかし、脳は鍛えることで新しい回路を作り情報処理を円滑にしていきます。たとえば、味覚は味覚細胞自体が増えることはなく感度も衰えていくのですが、年を重ねるごとに味わいというものが分かってきます。

スポーツ選手が、何度も何度も同じ行為を繰り返して身体に覚えさせることとも良く似ています。訓練次第で、人間の感覚はある程度鋭く敏感になっていくのです。私自身が絵を描くという行為を日々行っていることも、それに似た現象を起こしていると感じ始めたからなのです。人が見て見えない色が、私には感じられることに気がついたのはワークショップの時でした。

花の絵を描いていた参加者が壁に当たっていたようなので、彼の描いていた作品の上に私が感じた色をそのまま使った時、彼が「私にはそういった発想はないです」と言った時でした。私は頭で考えて色を入れたわけではなく、見えた色をそのまま自然な行為としてのせていっただけなのですが、彼には全く違う考え方を持って色を入れたのだと解釈されたのです。

そんなことから、数学的に分析しようとするニュートンの色彩論を真っ向から敵対視し、光と闇が人間との関わりの中で色を科学していったゲーテが再び目の前に現れてきたというわけです。まあ、全編読み切るには相当時間がかかるでしょうけれど。以前読んだ時よりは、私の脳に訴えてくれるかな期待しています。

ゲーテの色彩論を拾い読みしたところ、白い紙の上に黒い細長い紙を置くと深紅が現れるそうです。これは「生理的色彩」の章にあるのではなく「第二章物理的色彩」の中に書いてあります。

う〜ん、どういうことなんだろうと思いつつ、前回お約束した深紅のドライトマトの作り方をお話しましょう。非常に簡単なのですが、ちょっと天候不安定な今年は、お日様のご機嫌伺いをしてからでないといけませんね。

●セミドライプチトマトのオイル漬け

夏の盛り、ひとパック100円くらいでセールをすることもあるプチトマト。これを水洗いして横半分にスライスします。切り口を上に向けて軽く塩をふり、水分が出てきたらキッチンペーパーで丁寧に吸い取っていきます。処理したプチトマトは、オーブンペーパーを敷いた上に切り口を上にして並べます。

約140度にオーブンを熱し(またはオーブントースター)トマトを並べたトレーを入れ、15分を目安に取り出し、切り口ににじみ出てきた水分を再び丁寧にキッチンペーパーで取ります。さらに15分オーブンで焼き、水分の拭き取りを繰り返します。最後は30分くらい、焦げないように様子を見ながら焼いていきます。その後半日間、天日に干し瓶詰めします。ビンに入れたトマトにオリーブオイルをひたひたに入れて漬け込み、冷蔵庫で保存します。

はじめの15分・水分がだいぶにじみ出ています。


30分焼いた後、天日に干しているところです。


●焼き茄子のイタリア風

ドライトマトのオイル漬けが出来たところで、今回は前回の料理二品をミックスしたような料理をご紹介しましょう。魚焼きグリルで皮付きのまま茄子を焼き、熱いうちに茄子のへたの方から皮と身の間に竹串を刺し、下へ滑らせるようにして皮をむきます。これに鰹節と醤油をかければ、日本料理ではお馴染みの「焼き茄子」ですね。

今回はこれをひと口大に切り、ミョウガの千切り、作ったプチトマトのオイル漬けをのせ、醤油少々と塩少々で味を調えます。トマトの酸味と爽やかなバージンオリーブオイルの香りが残暑を吹き飛ばす、爽やかな一品になります。


【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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●寅さん記念館で展示会に参加しています。

『寅さん記念館・イラストレーション展 漫画家&イラストレーターによるデジタル浮世絵の世界』に参加しました。記念館による特別な計らいで開かれた「寅さん」を描いた展示会です。「男はつらいよ」の寅さんやマドンナ、柴又の風景などが落着いた楽しい空間を作り上げています。

お団子を食べながら柴又帝釈天をぶらぶらして、その裏手にある記念館にも足を伸ばしてみて下さい。秋の夜長のちょっと前のひととき、寅さんを忍んでみてはいかがですか。

会期:9月6日(土)〜9月28日(日)
会場:葛飾柴又寅さん記念館 休憩所(東京都葛飾区柴又6-22-19 TEL.03-3657-3455)
< http://www.katsushika-kanko.com/1_tora/1_6menu.html
>

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色彩論 (ちくま学芸文庫)
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色彩論 【完訳版】
Johann Wolfgang Von Goethe 高橋 義人 南大路 振一
工作舎 1999-12-10

色彩の本質・色彩の秘密(全訳)

by G-Tools , 2008/09/08