電子浮世絵版画家の東西見聞録[51]眼鏡とやわらか煮豚
── HAL_ ──

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●眼鏡は衣装の一部です

十数年前から眼鏡を着用する事が多くなりました。これは乱視用の眼鏡ですが、常用するわけではなく眼鏡自体が気にいって一本作り、再びすぐに二本目を作り、数年後にも二本作り、二年ほど前にさらに一本眼鏡を追加しました。この眼鏡たちは全てひと目でデザインの違いが分かるもので、それらを掛け替えながら楽しんでいました。

いちばんはじめに作った眼鏡はアニエス・ベイの眼鏡で、レンズ自体が円形に近い、逆おにぎり型の大きなレンズのものです。この眼鏡の形はかなり気にいっているのですが、流石に古さが見え、樹脂で出来たツル部分が白く濁ってしまっています。

最近は横長のレンズが多く、こういった形のものはほとんど目にしなくなりましたが、神保町にジョンレノンの写真が大きく飾られている古い眼鏡屋さんがあり、こちらには丸形のレンズ眼鏡が置いてありました。とは言っても一年くらい前に確認したので、今もお店があるのかどうか不明です。もし現存していれば、いちどは入ってみなければと考えています。



二本目の眼鏡はひと目見て気に入りその場で購入したものです。これも丸形の眼鏡ですが、透明のレンズの上にサングラスが上下にパタパタと開くように出来ていて、ドライブにはもってこいの眼鏡です。以前書いた、韓国焼き肉屋のおばちゃんに笑われた眼鏡です。このサングラスは左右が別々に開くようになっていて面白いのですが、ハンドルを持っている時、トンネルに入ると左右二回開かなくてはいけないので、不便きわまりないのです。

三本目は今までとは全く違うものをと考えて、フレームが青く太い角形の眼鏡を購入しました。これはまるでクラークケントのような眼鏡で、電話ボックスに入って外すとネクタイを外しスーツを脱ぎ捨てたくなります。でも、何時もジーパンにシャツ姿の私は、残念ながらシャツを脱ぎ捨て空を飛んだ事はありません。四本目は赤いツルですがなるべく目立たない眼鏡を購入し、五本目はツルが真っ直ぐなところが気に入ったレイバンの眼鏡です。

お気に入りの眼鏡五本、そろそろまた欲しくなる。


さて、そんな手持ちの眼鏡も流石に寄る年波には勝てず、合わなくなりつつあります。というのは、手元が徐々に見えづらくなってきたという事です。また、眼鏡屋で購入するのも良いですが、しっかり検眼をしてからの方が良いだろうと、今回ははじめに眼科医のドアをたたきました。

●20年ぶりの眼科医

眼科医が眼鏡屋さんと違うところは、検眼は病理学的にも行ってくれるだろうとの期待からです。近くを探し、ちょっと大きめの眼科医に行きました。でも、やってくれたのは眼圧と網膜の直視のみという感じでした。それよりも時間をかけたのが眼鏡屋さんで行う検眼と同じもので、眼鏡を作った事のある人ならば分かるSFチックな眼鏡をかけて、レンズを替えていくという例のあれです。でも、それをやって下さるのは医師ではなく眼鏡屋さんの派遣らしいのです。これを医師の検眼を挟んで二回行いました。まあ、特に病的な症状があるわけではないので、そんなものなのでしょう。

でも、検眼はとても丁寧にやってくれ、今かけている眼鏡が合っていないという事が分かりました。私の目は左右が上下にずれているらしく、遠くの物を見るための視力矯正にはプリズムを仕込まなければならず、安い眼鏡屋さんだとプリズムすら知らないところが多いので注意して下さいとの事でした。このプリズムがないと、上下の狂いを調整しようとして目と脳に負担をかけるらしく、ドライブをすると肩のこりが激しいのは、そのせいらしいです。

今回、眼科医に勧められて作ったのは中距離用の眼鏡です。これは、仕事用の眼鏡です。仕事では主にディスプレイを見て作業しますが、最近では見づらい事が多くなりました。通常はディスプレイから50センチは離れて作業をしているのに、気がつくと顔を近づけてしまっています。元々、本を読む時でも一般的な距離よりも長く40センチは離して読む癖もあったという事もあり、50センチから1メートルくらいに焦点を合わせた眼鏡を作りました。これは最後に作った眼鏡フレームのレンズだけを交換してもらったのですが、とても具合が良いのです。

新しい眼鏡をかけた時は、はじめ非常に違和感を覚えました。中距離が見えすぎるせいで、くらくらするのです。でも、これが通常の見え方で、今まではぼやけた世界を見ていた事になるわけです。さらに、遠距離は以前と変わらないぼやけた見え方なので、その違和感に脳が戸惑いを覚えたのです。病院では、遠くが見えなくても良いのなら常用してもいいと言われたのですが、なかなか慣れる事が出来ずにいました。

しかし驚いた事に、その眼鏡をかけて仕事に根を詰めていても肩のこりが起きなくなったのです。それを感じてからは、なるべくこの眼鏡を手にして歩く事にしています。やはり、歩いている時には大きな違和感があるのでかけずにいますが、本屋さんで捜し物をしたり、ショッピングで値札を見たり、そういう時には大きな力になります。眼は人間の大切な器官です、なんと網膜では一億八千万個もの視細胞が毎日働き、情報を送り続けています。目の負担をなるべく軽くするためにも、ちゃんと目に合った眼鏡をかけましょうね。

●目に良いビタミンB1たっぷりの豚肉

さて今回は、目に優しいお料理「柔らか煮豚」をご紹介します。

まず500グラムの豚肉を二本用意しました。最近ではスーパーマーケットできっちり縛られている肉があります。これは型くずれを起こさないのでとても良いです。もちろん、国産のものをご用意下さいね。我が家では十年以上前から、ほとんどの生鮮物は国産と決めています。もちろん、加工冷凍食品は購入した事がないので、中国から来た農薬入り食品事件が発生しても、まったく不安なく過ごしていられます。

それから、玉ネギを中くらいの物一個、リンゴ一個、大蒜二欠け、もちろん大蒜も国産を用意します。国産のニンニクはちょっとお高いですが、中国産とは香りと辛みが違いますね。安い時に買い置きをしておきます。収穫時期は6月前後ですが、今年は高かったですね。そして調味料は醤油80cc、日本酒80cc、味付けは好みですが、この分量は薄味系ですね。でも、旨みたっぷりに出来上がるので、このまま美味しくいただけます。

まず、テフロンのフライパンにオイルを引かず、火を付けて豚肉に焼き色を付けます。この時よけいな油が出たら、キッチンペーパーなどで拭き取ってしまいましょう。これが下準備です。別に厚手のナベを用意して、玉ネギとリンゴのざく切り、ニンニクそして調味料を入れ、下準備した肉を入れます。蓋をして火は中火、沸騰してきたら弱火にして40分間煮込みます。

豚肉が煮上がったらいったん鍋から取り出して、残った煮汁をリンゴと玉ネギをつぶしながら煮詰めていきます。これが野菜とリンゴの甘みだけを生かしたソースになります。調理は本当に簡単ですが“嘘だ”と思うくらいに肉質が柔らかくなります。そして醤油と日本酒だけを使ったにもかかわらず、美味しい甘みのあるソースまで完成します。この煮豚は、リンゴと一緒にしっかり煮込んだおかげなのか、箸を入れると崩れるくらいの柔らかさ、そのためソースの絡みつきがとてもよいのです。

この肉はそのままスライスし、ソースをかけていただいても美味しいのですが、たっぷり敷いた野菜の上にのせて食卓に出すと豪華さが増します。そして野菜と共に頬張ると、肉とタレがほどよく野菜に絡みつき、ドレッシングいらずのサラダになります。サラダとはいっても主菜として通用する逸品です。さらに、余った煮豚は翌日丼飯にしてもなかなかよろしいのですよ。雑穀ご飯に水菜とレタス、柔らか煮豚と香菜、温泉卵を乗せて、たっぷりソースをかけ昼食に。

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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