グループ展がいよいよ今月に迫ってきて、前回にも増して修羅場の様相を深めている今日このごろであります。しっちゃかめっちゃかであります。やばいであります。
そういうわけで、今回は何を書こうかなんて悠長なことを考えてる余裕はないであります。最近行ったところとか、あった出来事とか、思ったこととか、出るにまかせて小ネタをぼろぼろっと出すしかないであります。
そういうわけで、今回は何を書こうかなんて悠長なことを考えてる余裕はないであります。最近行ったところとか、あった出来事とか、思ったこととか、出るにまかせて小ネタをぼろぼろっと出すしかないであります。
●チャレンジャーの森へ、というか、チャレンジもほどほどに
日曜は、人形を撮りに、山へ。私が勝手に「チャレンジャーの森」と呼んでいるところ。ここはほんとうにとんでもないところ。まったくシャレにならん。そそり立つ一枚岩がロッククライマーの挑戦意欲をそそるらしく、天気のいい週末には、10数人のチャレンジャーがへばりつく。
とっかかりの手前には、荷物置き場のようになっている四阿(あずまや)があり、地主による警告が掲げられている。「岩登りの人に告ぐ」と題し、「この岩場では再三死亡事故が起きています」と始まり、初心者、技術不足の人、体力不足の人、装備不完全な人、自己中心の人、見栄っぱりの人の入山を禁じると宣言している。そして「命は大切に」と結んでいる。
「再三」というから3回なのかと思いきや、地元の人に聞くと、すでに20数人、滑落死しているそうだ。「勝手に登って勝手に死ぬんだから仕方がない」と冷ややかなもんである。まあ本人も覚悟の上で登るのだろうから、たとえ失敗したって、思いが残ってそこいらへんに浮遊して、通りがかった人に「うらめしやぁ」なんてことはないと思うけど。
ここにいたる道がまた、ひどい。これを道と呼ぶかぁ、これを橋と呼ぶかぁ、いちいちあきれながら歩くような按配である。川に沿って小道がつけられているのだが、なにしろ川がなかなかの急流で、大きな岩の塊が長い年月をかけて侵食されて深くU字に彫れたような、草も生えない箇所もある。道がつけづらいのはよく分かるけど、脚立を延ばしたような金属のはしごが立てかけてあったり、岩に打ち込んだ釘から鎖が垂れていたり、絶壁のどうにも道がつかないところには木の渡り廊下みたいなのが張り出していたり、歩くのになかなか勇気が要る。
流れをしょっちゅう右へ左へと渡るのだが、この橋がまたスリル満点で、丸太ん棒が2本、互いに離れていかないようにコの字型の釘で留めてあるのが、水面のはるか上の岩から岩へ渡してあるだけだったりする。まあ、足切りというか、試金石というか、この程度でビビってるようなやつは岩まで来るな、ってことで、ちょうどいいのかもしれない。
当然のことながら、そこらのガイドブックには載っていない。こんなとこを紹介して、もし見て行った人が事故にでもあった日にゃ、編集したほうだって、夢見が悪いだろうからね。
さて、岩の下まで行ってみたのは、6月の下見のときの話。10月5日(日)は、この道の始まる手前の、下流周辺で撮る。さほど危険のない場所ではあるけれど、高く伸びる杉の森に薄く霧がまいて、ちょっと不気味。死の気配が現実的な感覚を伴って濃厚に漂う。ここで撮ったのは、空飛ぶ生首。作ったのは、八裕さん。
持ってきたのは人形の首から上だけ。これをピアノ線で宙吊りにして、あたかも浮遊しているように撮る。吊るした首がゆっくりゆっくり回転するので、いい角度になって「ここだ!」と思った瞬間にシャッターを切る。
ろくに撮らないうちに、雨がぽつぽつと降り出して、中断。雷雨ではなく、なんとなく降ったり止んだりしながら、明日ぐらいまでぐずつきそうな降り方。一分一刻をあらそうような状況ではない。止むまで待って撮影を再開するか、あきらめて帰るか、もう少し様子を見てから決めようかと思っていると、八裕さんは、すぐに立ち去ろう、と急に強く主張する。
じゃあそうするか、とカメラを片付けはじめると、「そんなのいいから、とりあえず、詰め込んで。早く、早く」とせかしてくる。見ると、八裕さんの背負っているリュックはファスナーが全開。それじゃ、歩いているうちに人形(の頭)、落ちるって。閉めてあげる。
ひどい動揺ぶり。何をそんなに動揺しているのだ? って、後で帰ってからよくよく考えてみると、以前にも、霊感めいたものを発揮してたんだっけ。私は敵が何を仕掛けてきても、鈍感力をもってかわしてしまえば無効なのだが。いったい何の気配を察知していたのだろう。その場では何とも思わなかったのに、後で思い返したら、だんだん怖くなってきたぞ。
だいじょうぶか、熱出たりしなかったか? だいじょうぶじゃなかったようで。後で聞けば、帰りの列車で私が先に降りた後、眠りこけてしまい、終点でも目が覚めず、列車は折り返し運転、気がついたらまた山中の駅にいたそうだ。何とかその日のうちに帰れたが、翌日は仕事に行かれず、朝会社に休むと電話を入れてから、夕方まで寝て、それなのに、夜もしっかり寝れたそうである。しまった。まずかった。場所と人の組合せをよく考えてロケ地を選ぶべきだった。何か連れて帰っちゃったのか?
何を隠そう、山でしょっちゅう人形写真など撮っていると、この手の話はごまんとあるのです。我々の間では、話をこじつけて面白がる、遊びのようなもの、という認識で捉えているのですが。楽しんでいただけたでしょうか?
●女の子は夢みているのよ
思うのだが、カラオケの適正人数って、一人なのではあるまいか。歌うこと自体が楽しいのは、まあまあ分かるんだけど、素人が歌うのをみんなで聞くのって、なんか気恥ずかしくて、いたたまれなくはないだろうか。
私がもし「この歌はいい歌だから、ぜひ聞いてみな」って人に薦めたければ、手っ取り早く、CDを貸すとか、ネットで聞けるサイトのURLを伝えるとかするであろう。自分で歌って聞いてもらっても、あんまり説得力なさそうだ。
しょせんはもともと歌ってるプロの劣化コピーにすぎないわけだし、下手なのを透過してその後ろ側に焦点を合わせてくれれば、実はいい歌だったと察してもらえるのではないかと期待するのは、なんか隔靴掻痒な感じがする。そもそも下手で聞き苦しい歌を、上手い歌に脳内変換してまでちゃんと聞いてあげようなんて殊勝な姿勢の人なんて、まあ、なかなかいないんじゃないかな?
最近は、やるべきことが立て込んじゃって、ヒトカラ行く頻度がめっきり減っちゃったんだけど、行けばこれだけははずせない、というお気に入りの歌がある。「潮風の少女」。
堀ちえみのデビュー曲である。1982年当時、15歳だった、ちえみタン。ウィキペディアによると、今は5児の母のようであるが。今度の日曜日に、彼氏に湘南のまぶしい海辺に連れて行ってもらうのをあれこれ空想して胸ときめかせるという、初々しい乙女心を描いた歌である。「15になったばかり、私が揺れてる」とか「女の子は夢みているのよ」とか「は〜や〜くっ、つかまえて」とか、もう、きゅんきゅんな歌詞が満載なのだ。
これを歌っていると、青春真っ只中のこそばゆさ、みたいな気分に、すっかり浸れちゃう。「私ってば、こんなに可愛くて、もう、どーしましょ」みたいな。見かけは40代後半のおっさんだけど、心は15歳の乙女なんじゃないかしら、ワタシ、って思えてきちゃう。きゃ〜、いや〜ん。そんな私の歌、聞きたい人、います? 「一人でやってなさい!」って声が聞こえてくるようである。いや、だから、一人が適正なんではないかと。
●キャンディ・ミルキィさん、アキバでコレクション展開催中
赤いワンピースに赤いランドセルという派手な女装姿で、原宿を拠点に日本全国津々浦々に出没することで有名なキャンディ・ミルキィさんが、現在、秋葉原でキャンディ・キャンディのグッズのコレクション展を開催している。
キャンディさんは、女装界にこの人あり、というべき大御所。部屋に閉じこもってジメジメ女装するのではなく、明るいお日様の下に出て堂々としようじゃないか、という女装解放思想に基づいて、アマチュア女装雑誌「ひまわり」の編集長&発行人として、1987年12月から2005年8月まで、76号を世に送り出してきた。
今回のコレクション展は、キャンディさんが平成元年から蒐集を続けてきたキャンディ・キャンディのグッズ約500点を展示するもので、茨城県某所にあるキャンディさんのコレクションルームをそのまま再現したもの。会場は、おでん缶自販機の道を蔵前橋通り近くまで行った左側の二階、メイド整体サロン「癒あmaiden」の隣の部屋である。
私は、2000年ごろから2〜3年間、原宿の通称「橋」と呼ばれている橋にほぼ毎週末行って、ヴィジュアル系のバンドのメンバーのコスの女の子たちを撮っていたことがあるが、キャンディさんもほぼ毎週末のように、例の格好でそこにいた。あのころはよくテレビにも出ていて、通りすがりに「テレビ見ましたよー」と言っていく人がけっこういた。私は、ついでにというか、戯れにというか、キャンディさんを撮ることもあった。キャンディさんも調子を合せて、いろいろなポーズをとってくれたり、「ズロースも手作りなのぉ」とか言って、見せてくれたりした。
さて、私は10月7日(火)に会社を休んでアキバへ。女装して行ければよかったのだろうが、残念ながら、外出できるほど肝が据わっていないヘタレなので、ジーンズの下にこっそりパンティーとブルマをはいて、プチ女装で。シャツの裾を中に入れているのには、わけがあるのだ。前屈みになったときに、後ろから見えてはまずいのだ。今、交通事故かなんかで担ぎこまれるわけにはいかないぞ、と緊張しまくり。挙動不審で捕まってもまずいけどな。「ブラ男」なんてのが流行ってるみたいだけど、そのあたりから徐々ににじり寄っていけば、いつかはキャンディさんのような高みに到達できるだろうか。
メイド整体サロンの隣の部屋のドアが半開きで留めてあり、中はもう、ピンク、ピンク、ピンク。ショルダーバッグやら、ノートやら、お皿やら、電気スタンドやら、人形やら、お面やら、浴衣やら、タオルやら、ハンディカラオケみたいなおもちゃやら、ジグソーパズルやら、パンツやら、おびただしい数のグッズが所狭しと壁や棚を埋め尽くしている。ぜ〜んぶ、キャンディ・キャンディ。
キャンディさんは、見慣れた格好で在廊。中を案内してくれた。仕切りの手前は、ぺたんと座って話しながらコレクションを眺められるようになっていて、奥はコレクションの間を歩けるようになっている。奥の右手には、スチール製のがっしりどっしりした学習机。私も小学生のころは、このタイプの机を使っていたので、なつかしい。上の蛍光灯の右脇にコンセントがあるとこまで同じ。だけど、ここにあるのは、色がピンクで、キャンディ・キャンディが描かれている。
コレクションの第一号アイテムは、高円寺のゴジラ屋さん(?)で買った救急箱だったとか、台湾ではキャンディ・キャンディの切手が発行されたとか、東南アジアにはパチもんが出回っていて、絵が粗雑だったり素人くさかったりするとか、前の持ち主が提げ紐を付け替えた形跡のあるぼろぼろの手提げ袋は商品の果報者だ、とか、一点一点への思い入れを語ってくれた。
また、キャンディさんご自身の女装歴についてもあれこれ。小さいころからその芽はあって、姉の下着をこっそり拝借していたとか、ゴミ捨て場から婦人服を拾ってきて、こっそり縁の下に隠していたとか、そしたら野良猫がそこで子供を産んじゃったとか、それを家族に見つけられちゃったけど、自分が拾い集めてきたことはバレなかったとか。
しかし、昭和59年に女装クラブへ通い始めるまでは、「女装」という言葉すら知らなかったそうで。そこで女装名を名乗るように言われて初めて「キャンディ・ミルキィ」とつけたそうだ。だが、女装クラブの客は徹底的に美を追求しつづけるタイプが多い中で、まわりからどう見られるかをあまり省みずに好きな格好がしたいキャンディさんは次第にズレを感じるようになり、徐々にはみ出していったという。一匹狼になっていくにつれて、カリスマ性は増していったようではあるが。
一時間以上にわたってキャンディさんとお話しすることができ、至福のひとときであった。その場には、アマチュア女装雑誌「ヒロイン」の編集者もいらした。女性(←多分)である。「くいーん」と「ひまわり」が廃刊になって、紙媒体の女装雑誌の空白が生じたが、それを埋めるべく奮闘している。
見飽きない女装ができるのは40歳を過ぎてからだといい、それは、その人がどう生きてきたかという過去の積み重ねや、人生観がにじみ出ているからだという。この信念の下、表紙を飾れるのは40歳以上限定なのだそうだ。若ければ勢いだけでも女装できるが、だんだん外見が衰えていけば、やめてしまうかもしれない。その程度の浅さでは、面白くもなんともないのだそうだ。「ヒロイン」はまだメジャーな流通に乗らずに苦戦しているようではあるが、先行きが楽しみな雑誌である。
●キャンディ・ミルキィ、コレクション展
< http://blog.livedoor.jp/moeko2000/archives/51382572.html
>
会期:10月5日(日)〜10月19日(日)12:00〜21:00 土11:00開店
場所:東京都千代田区外神田3-7-14 2階 メイド整体サロン「癒あmaiden」
の隣の部屋
入場料:1時間900円(飲み物・お代わり自由)
【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
カメコ。ネオロマの声優コンサートで知り合ったカメコ仲間からの情報なんですが。彼が先日買ったばかりのiPod nano 4Gで音楽を聞いていると、時々、左右の音が逆になっていることに気がついたそうです。いろいろ試しているうちに分かったのは、電源を入れるタイミングによって、約1/2の確率で再現するそうです。よく知られた現象なのだろうかと、ネットで検索をかけてみると、アップルのサイトで「この問題を認識している」との記述がありました。しかし、書かれたのは2003年5月で、機種はiPod。iPod nano 4Gが発売されたのは、つい最近のことです。5年間も解決できないような、技術的に困難を極める問題なのでしょうか。謎です。彼は、テスト結果をYouTubeに上げています。
< http://jp.youtube.com/watch?v=LDFsgACqUKY
>
●人形と写真4人展「幻妖の棲む森」
会期:10月23日(木)〜11月1日(土)
時間:平日12:00〜19:00 土日12:00〜17:00
会場:ヴァニラ画廊(東京都中央区銀座6-10-10 第2蒲田ビル4階)
< http://www.vanilla-gallery.com/gallery/doll&p/doll&p.html
>