[2553] 2008年を振り返り2009年のWeb業界を考えてきました

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<ああ、カラーマネージメントのお勉強をしてきて良かったな>

■デジアナ逆十字固め…[89]
 派手です。上原ゼンジの写真展
 上原ゼンジ

■ショート・ストーリーのKUNI[50]
 ネーミングライツ
 やましたくにこ

■買物王子のモノ語り[6]
 2008年を振り返り2009年のWeb業界を考えてきました
 石原 強


■デジアナ逆十字固め…[89]
派手です。上原ゼンジの写真展

上原ゼンジ
< https://bn.dgcr.com/archives/20081211140300.html
>
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エプサイトでの個展が始まった。
けっこう派手な感じになったので、ちょっと見てみてください

◇会場の写真
< http://www.zenji.info/
>

キュレータのリクエストに応えて撮りおろしなども追加していった結果、トータル140点の展示になった。ポストカードサイズからB0まで、いや一番でかいのは、短辺が150cmあると言っていたから、B0のさらに倍か? エプソンのPX-20000とPX-5800という、8色のインクを使うインクジェットプリンタによって出力された。

プリンタの仕様を見てみると、ロール紙で用紙幅が406mm〜1,626mmということだから、最大のロール紙を使ったということだろう。ただし、あんまりでかくしてしまうと、裏に貼るパネルのほうがないらしい。

◇今回使用のプリンタ
< http://www.epson.jp/products/maxart/px20000/
>
< http://www.epson.jp/products/maxart/px5800/
>

プリントはDVDに入れたデータを渡し、すべてエプサイトの方にお願いした。友人からプリント時の苦労を問われたが、お任せだったので、すごく楽をさせてもらった。

たぶん、私に関しては「色にうるさいやつ」という認識があり、ガンガン赤字が入って色補正をさせられるんじゃないかという危惧もあったかと思われる。しかし、実際には直しはすごく少なかった。というのは、私のイメージ通りに一発で出力していただいたからだ。

キャリブレーションのとれたモニタでデータを作り上げ、そのデータの色を忠実にプリントで再現をしてもらうというワークフローがうまく機能したおかげで、私のイメージ通りの色再現となった。ああ、カラーマネージメントのお勉強をしてきて良かったなという感じだ。

うちのディスプレイの脇にプリントを並べて、詳細に観察をしたら、完璧にあっているとまでは言えないと思う。でも、そんなことはどうでも良くて、会場の照明の下で作者が見た時のイメージが良ければ、ノープロブレムだ。というか、仕上がりにはすごく満足をしている。

直しというのは、主に私の方のデータの問題だった。色を出そうと思ってちょっと強調したものが、「やり過ぎかな」と思えたので、そういったものを少し抑えるようにした。ただ、飽和してしまったようなデータは、そのまま直してもらってもうまくいかないので、私の方でRAWデータから現像をしなおし、再度出力してもらった。

プリンタの色再現域が広いので、データ上にきちんと記録されていれば、無理をしなくても色は出る。たとえば、ピンクの花が4色の印刷で再現した場合と比べて非常に豊かな再現になった。これは使用したプリンタの色再現域が広かったことと、元々データ上には鮮やかなピンクが記録されていたということだ。8色のインクの中には「ビビッドマゼンタ」と「ビビッドライトマゼンタ」が含まれているから、このインクが活躍してくれたということだろう。

●ワークショップもやるよ!

会場のセッティングはオープンの前日に行われた。午後一で顔を出したら、すでに多くの方が立ち働いて、会場作りをしてくれていた。多い時には20人ぐらいの人達がいるような状況だったから、「これが本当にオレの写真展なの?」というような、何か不思議な感じだった。だって写真展の搬入と言ったら、友達何人かを呼んで、「そっち曲がってない〜?」などといいながら、セッティングするような状況しか知らないのだから……。

大工さんがパーティションを作り、経師がそこに色の着いた紙を張り、さらにパネルを張っていく人達がいる。30センチぐらいの水準器を使って水平を出しながらパネルを張っていくんだけど、その水準器の使い方がさすがプロ! という感じでかっこ良かった。あの長い水準器は、100円ショップでも見かけたことがあるから(100円じゃないと思うけど)、作品展をよくやるような人は持っておくといいね。


こういった作業のすべてをやっていただいたのが、株式会社フレームマン。額縁を作るところから、作品の展示・撤去作業、それから、ギャラリーの新設工事なども請け負っている。また、WEB上でいろんな写真家の作品を展示するギャラリー「アンビション」も運営しているので、ちょっと見てみると面白いと思う。

◇株式会社フレームマン
< http://www.frameman.co.jp/
>

今回の写真展の企画を立てていただき、写真のセレクトから会場のレイアウトまでしてくれたのが、キュレータの本尾久子さんだ。チャーミングな女性で、そんなにバリバリと仕事をこなすタイプ、というふうには見受けられなかったのだが、会場が完成した段階で、改めてその能力の高さに驚かされた。

というのは、空間的なデザインは別にデザイナーがいるのかと思っていたので、入り組んだ会場内の図面を引き、どの位置にどの大きさで写真を配するとか、壁紙の配色などもすべて、お一人で考えられたということを聞き、びっくりしたのだ。

今回、このデジクリで本尾さんのことを書こうと思ってプロフィールを送って貰ってさらに驚いた。今までに見て感動した写真展や写真集の多くを、本尾さんが手がけてきたということが分かったからだ。以下が本尾さんから送っていただいたプロフィール。「◎普通のほう」と「○薬味」を適当にまぜて使ってください、とのことだったけど、そのままの方が凄さが伝わると思うので、ズボッとコピーさせていただきます。

◎元パルコギャラリーのディレクター。同じ時期パルコ出版の写真本を多く手がける。98年に独立、有限会社マトリックスを設立する。エプサイトの創立からキュレータを務める。主な展覧会(と、ときどき写真集も一緒に):荒木経惟、森山大道、藤原新也、ベルナール・フォコン、シンディ・シャーマン、ベティナ・ランス、ハーブ・リッツ、植田正治、岩合光昭、長島有里枝、上田義彦などなど。独自のレーベル、アイセンシアより、荒木経惟写真集/森山大道写真集を刊行。同レーベルにて、荒木経惟、森山大道、藤原新也のオフィシャルサイトを運営。

○パルコギャラリー時代に、荒木経惟写真展で販売した、オーストリアで開催され高い評価をうけた展覧会カタログを猥褻と判断されて逮捕、11日間拘留されるが不起訴となる。いまだったらありえない、隔世の感。クリスマス直前、殺伐とした留置所から出てみたら、街はイルミネーションで輝いていた。98年より、フリーの立場で、写真のさまざまな仕事にたずさわる。写真展はタイトルでいうと:荒木経惟「天使祭」「エロトス」「色情花」ほか、藤原新也「少年の海」「メメント・バリ」「フェルナンド・ペソアの午後」ほか、森山大道「パリ」(光琳社出版の写真集『パリ』も編集)「凶区」「ブエノスアイレス」「it」ほか、いっぱい。

パルコギャラリー時代の写真展で心に残っているものは多いし、荒木経惟、藤原新也、森山大道の大規模な展覧会を手がけてきたというあたりでも、尊敬してしまう。それにしても展覧会のカタログで逮捕されたというのは、本当にお気の毒なことでした。荒木さん本人や末井昭さんだって、始末書や罰金はあっても逮捕はなかったんじゃないの?

まあ、そんな凄い人に声をかけていただいて、本当にありがたいことです。写真展の方もなかなか面白いと思うんで、ぜひご覧下さい。会期が長いから、年が開けたらゆっくり行こう、なんて思ってると行きそびれてしまいますよ。そういうことってあるでしょ。今週いっぱいで終わると思って予定を立ててください。

それから、1月12日(祝)にワークショップというのもやります。手作りレンズの作り方を紹介し、その場で撮影してプリントアウトするところまでをやりたいと思っています。詳しい内容はまだ確定していないんですが、蛇腹を折ってみるとか、ドアスコープや万華鏡などを使って撮影するという感じかな。これも来年の話だけど、すぐに予約をしたほうがいいですよ。

◇上原 ゼンジ写真展
「FANTASTIC REALISM 夢遊する現実」
エプサイト(東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル1階 TEL.03-3345-9881)
会期:2008年12月3日(水)〜2009年1月18日(日)
年末年始休館:2008年12月27日(土)〜2009年1月4日(日)
< http://www.epson.jp/epsite/
>

◇Photographer's WORKSHOP「上原ゼンジ」
1月12日(祝)14:00〜16:00
< http://www.epson.jp/epsite/seminar/cat_workshop.htm#uehara
>

【うえはらぜんじ】zenstudio@maminka.com
◇上原ゼンジの新刊
「うずらの惑星 身近に見つけた小さな宇宙」(雷鳥社刊)
< http://www.zenji.info/profile/uzura.html
>
◇上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/
> 在廊予定が書いてあります

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■ショート・ストーリーのKUNI[50]
ネーミングライツ

やましたくにこ
< https://bn.dgcr.com/archives/20081211140200.html
>
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記 者「もしもし。あのー、凸山市役所でしょうか」
市役所「♪ようこそここへ、で、こやま〜 ♪凸山市役所です〜」
記 者「ああびっくりした。テーマソングですか」
市役所「はい。何かご用ですか」
記 者「私、東京の某新聞の記者をしております。地方都市における地域の活性化といいますか、地域づくりといいますか、地域おこしについて取材したいと思ってるんですが、広報のご担当者をお願いいたします」
市役所「しばらくお待ちください。♪ようこそここへ、で、こやま〜♪凸山市役所広報です〜」
記 者「あのー、さきほどの方と声がそっくりですが」
市役所「受付が広報も兼ねております」
記 者「ああ、そうですか。で、さっきもお話したんですが、地域の活性化につきまして、凸山市の実情をお伺いしたいと思いまして」
市役所「それにつきましては、他市に先がけてさまざまな試みをしております」
記 者「ああ、そうですか。それは話が早い」
市役所「ですが、他市に先がけて失敗しております。どれもぱっとしません。凸山せんべいに凸山クッキー、凸山味噌、凸山こけしに凸山ペナントなど売り出しましたが売れませんでした。イメージソングも公募して作りましたが、プロの歌手に頼んだりCD化するお金がないのでライブで歌っております」
記 者「それがさっきの…ライブというんですかねえ」
市役所「ウェブサイトも10数年前に立ち上げましたが最近は人手不足で更新しておりません」
記 者「うーん。サイトは最新のトピックスが『本市××町の○○さん、オリンピックめざして練習中』となってますね。このオリンピックとは」
市役所「アトランタです」
記 者「えっ。というと1996年ですか。それは古い…しかし、確かに立ち上げは早かったんですね。えーっと、とりあえずそちらにお伺いいたします。すいませんが、市役所までの道順を教えていただけませんか」
市役所「はい、凸山駅を出て、駅前の道をまっすぐ歩くと吉田平五郎会館が見えてきます」
記 者「吉田平五郎。それは地元では有名な方なんですか、それで記念館を」
市役所「いいえ、もとは第一町内会館という小さな建物でしたが、財政難でネーミングライツを導入しました。といっても市内にはこれといった企業がなく、難航しておりましたが、吉田平五郎さんが出資されまして。これで会館の電気が復旧しました。喜んでおります」
記 者「そうですか、はい。で、吉田平五郎会館が見えてくる、と」
市役所「見えてきたところから300メートルほど行くと『中山米穀店・合田進・金井商店図書館』が見えてきます」
記 者「ああ、3人の方が共同出資でネーミングライツを」
市役所「はい。これといった企業がないもんで。そこをさらに過ぎてしばらく行くと『大杉鉄工所・芝山宗佑・林誠一鍼灸院・デビッド楢崎集会所』が見えてきます」
記 者「今度は4人ですか。メモするのが大変だ」
市役所「えっと、その『大杉鉄工所・芝山宗佑・林誠一鍼灸院・デビッド楢崎集会所』をすぎて」
記 者「なんか過ぎるばかりですが、それなら説明にはあまり関係ないのでは」
市役所「いえ、一応こうして宣伝するという契約になっておりますので省略するわけにもいかないんで。すると『手島昭三・須藤甚五郎・澤田宏社中・前田純一郎動物病院・西園寺源三事務所・玄界灘食堂・大山崎幸之助公民館』が見えてきます。そこを右折」
記 者「あ、はい」
市役所「曲がったところが『豪徳寺光則・大俵山保久整骨院・長宗我部義正・波多野守一金物店・活魚の二階堂豊永商店・後藤ロジャース俊政商工会館』」
記 者「あの、だんだんわざと長くしてませんか。セカンドネームまで出てきてますが」
市役所「そう言われましても大切なスポンサーさまですので」
記 者「あ、はい」
市役所「で、『豪徳寺光則・大俵山保久整骨院・長宗我部義正・波多野守一金物店・活魚の二階堂豊永商店・後藤ロジャース俊政商工会館』と『大森美智三郎・土橋ベーカリー・島津正雄食品店・文具のワタナベ・河原町三条道明消防署』の間の川にかかってる『大野希実子橋』」
記 者「大野希実子さんはおひとりで橋のネーミングライツを。たいしたもんですね。こちらも楽だ」
市役所「いえ、それは橋の手前半分で、残り半分は柳川幸正さんがスポンサーです。ですから、その橋を渡るときは『ここまでは大野希実子さんの提供、ここからは柳川幸正さんの提供です』となりますのでご注意ください」
記 者「ご注意と言われても」
市役所「そのふたりは仲が悪いんです」
記 者「あ、はい」
市役所「いよいよ近づいてまいりました。その橋を横目に見ながら『大森美智三郎・土橋ベーカリー・島津正雄食品店・文具のワタナベ・河原町三条道明消防署』も過ぎて『蜂須賀吉之助葬儀社・喫茶再会・活魚の二階堂豊永商店・パーマのご用はビューティーサロン田口・スナック美子・玄界灘食堂体育館』の前が市役所です」
記 者「ちょっと待ってください。活魚の二階堂豊永商店さんは商工会館、玄界灘食堂さんは公民館のときにもお名前が」
市役所「よく気づきましたね。ふっふっふ。決して名前を考えるのがめんどくさくなったのではなく、あちこちにスポットで名前を出しておられるスポンサーさんがいるわけです。何しろこれといった企業がありませんので。ちなみに喫茶再会のママと二階堂豊永さんはいとこ同士なんですが知ってましたか」
記 者「知ってるはずないでしょ。いや、こんなに名前が長いと住民は大変ですな。言い間違えたりしないんですか」
市役所「住民はいちいち言わなくても全然困りませんが、私なんかは一日の大半を道案内に費やしております。あと、地図の出版社はちょっと大変かもしれません。場所とりますし、時々スポンサーが一人抜けたりしますしね。うふふふ」
記 者「喜んでる場合ですか。それより、市役所は単に市役所、なんですか」
市役所「当然です。もとあった市役所は経費削減のために売却して、いまは私の自宅を市役所にしております」
記 者「私…といいますと」
市役所「私が受付兼広報係兼凸山市長です。これも人件費削減のためでして。市役所に来られたら私が本市のマスコット・でこにゃんの着ぐるみでお迎えいたします」

【やましたくにこ】kue@pop02.odn.ne.jp
みっどないと MIDNIGHT短編小説倶楽部
< http://www1.odn.ne.jp/%7Ecay94120/
>

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■買物王子のモノ語り[6]
2008年を振り返り2009年のWeb業界を考えてきました

石原 強
< https://bn.dgcr.com/archives/20081211140100.html
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いつも買い物で散財してばかりなので、年末くらいデジタルクリエイターらしいレポートをしてみたい。そこで、12月6日に開催された、Web制作者のコミュニティ「WebSig24/7(ウェブシグ・トゥウェンティーフォー・セブン)」の第21回WebSig会議に出席してきました。

「WebSig24/7」を簡単に紹介すると、制作者のコミュニティ運営を主な活動としている任意団体です。オンラインのmixiコミュニティでは、Web業界関係者6000人以上が参加して情報交換をしています。WebSig会議は2ヶ月に一度、開催されているオフラインのイベントで、2004年にスタートして今回で21回目、テーマは「2008年を振り返り、2009年のWeb業界を考える」です。

会議は二部構成で、第一部は、Web業界を代表する制作会社で活躍する4人のゲストトーク。第二部は、参加者全員でワールドカフェ形式でテーマに沿って語り合うワークショップでした。参加者は80人ほどで、Webサイトやモバイルサイトのディレクター、デザイナー、プログラマーなど、Webに関わる様々な職種の人が集まっていました。

ゲストトークのスタートは、メンバーズ社の塚本洋さん。今年の振り返りとしては、Webの大規模構築の仕事が減って、小規模の改修を繰り返す運用支援が増えている。それと同期して、一分野を深く突き詰めるスペシャリストから、企画から現場作業まで幅広く対応できる「ポリパレント(多能工)」な人材が求められるようになった。来年は、不況の影響はあるとしながらも「(不況によって)企業合併があれば大きな仕事はなくならない。」というコメントも営業的にユニークな視点でした。

次は、IMJ社の渋谷太郎さん。今年はWebの運用案件とモバイルサイト構築の増加を挙げていました。そして効果測定のニーズが高まり、これまで勘と経験にたよってきた制作に、「+科学」の視点を盛り込む必要性があるということ。

例えば、テストを繰り返してブラッシュアップしたり、行動データ、購買データに基づく効果的な改修など。来年は、Webサイトだけでなくリアルの売上データや会員の行動などメディアとの「データ連携」がさらに進むということでした。最後に語った「短期的には厳しい環境でも、長期的には世の中の大きな変革の『中心業界』であり『次代をつくる仕事』をしていきたい」が心に残りました。

コンセント社の河内尚子さん。自社の取り組んだプロジェクト中心に説明。Webにとどまらないブランディングなどの案件により、深く企業活動にコミットして行く方向性ということ。中で紹介された企業アイデンティティである、「NOT DESIGN FOR THE CLIENT(顧客のためのWebを作らない)DESIGN WITH THE CLIENT(顧客と一緒にWebを作る)」にWebプロフェッショナルとして共感を持ちました。

第一部のラストは面白法人カヤックの鈴木啓央さん。どちらかというと堅い話題を和らげるように、ユニークなイベントやキャンペーンの実績、「つくる人をふやす」というコンセプトに基づく「儲からない」仕事の紹介。しかし、つくり続けることが最も大事なことなのであり「儲からないことが、やらない理由にならない」という力強い言葉は、Webの常識を超えた「面白法人」として、ヒットを飛ばし続ける秘訣と感じます。

4社は規模も得意分野も異なりますが、共通していたのは、「Webとリアルメディアの融合が進む」「効果測定してビジネスの成果を見せる」「制作者側は、クライアント企業のビジネスにより深いコミットメントが求められる」ということでした。来年は景気の影響が多少あっても、Web業界はそれに負けないくらい伸びて行くのではないかと感じました。

第二部は参加者全員がワールドカフェ形式で「どうしたら、Web業界がハッピーになれるか?」を語り合うという趣旨です。ワールドカフェって何? という感じだったのですが、要するに真剣に議論する会議形式ではなく、リラックスした雑談形式で、いろんなアイデアが生みだそうというものらしい。実際に「カフェ」らしくコーヒーや紅茶、お菓子が用意されて、各テーブルに4名ずつに別れて終始和やかに進められました。

私の座ったテーブルでは、まず今はハッピーを感じるのかどうかという点についての話題として、新しいことにどんどんチャレンジできるし、自由な仕事スタイルが合っている。ということで思っているよりはハッピーであるという結論になりました。しかし、「周りの人ともっとうまく協力して仕事をしたい」とか、「かなり前からWeb業界で仕事をしている人達と、最近入ってきた若い人達の間には、仕事をする上で温度差がある」といった課題があるという意見が出ました。

最後に、各テーブルで発表がありました。これからさらに取り組むべき点としては、「クライアントの理解を深めたい」「Webでスゴイことができることをもっとアピールしていくべき」「これから業界に入ってくる人達にも魅力的に見えるように、ツライ仕事ぶりだけでなく、自由なワークスタイルやものづくりの達成感などをアピールしたい」といった意見が出ました。労働時間が長くてキツいけれど、少なからずポジティブに仕事に取り組んでいると感じられました。

今回のワールドカフェでは、こんな真面目な会話をリラックスしてできただけでも収穫ですが、話をするメンバーは3回入れ替えをしたので、面識のない人と話ができる良いきっけにもなりました。また、他のイベントや懇親会で自由に名刺交換という時間が設けられても、知り合いで固まってしまったり、挨拶をしても後から名刺を見てもほとんと顔が思い出せないなんてことがよくありますが、この方式のおかげでよく覚えられました。

会議終了後は忘年会。秋葉原駅近くの「沖縄元気料理いちゃりばえん」に場所を移して開催。こちらは、会議のテーマとは関係ない普通のパーティだけど、参加者同士が熱心に情報交換をしていました。盛り上がったのは、スポンサーからのプレゼント大会。AdobeカレンダーやDreamWeaver扇子といったノベルティ、FLASHやWeb検定の書籍など、Webに絡むものが中心でしたが、「完全無農薬、京丹後産サトイモ」という賞品は結構注目を集めていました。私は運良くMovableTybe開発元のシックスアパート社「5周年記念パーカー」をいただきました。しかし、U.S.のLサイズでかなり大きめ。レアものらしいけど、残念ながらこれは部屋着かな。

忘年会終了時点では、30枚以上持っていた名刺もすっかりなくなっていました。これで解散? とおもいきや、二次会にも30人くらいが流れて、さらに濃い議論が朝まで続いたのでした。私自身、これからの仕事へのヒントやいろんな人からの刺激をもらい有意義な時間でした。2009年が楽しみになってきました。

WebSig24/7公式サイト
< http://websig247.jp/
>

第21回会議アーカイブ
< http://websig247.jp/meeting/21/
>
第一部の資料は公開されています

mixiコミュニティ「WebSig24/7:Web制作者の会」
< http://mixi.jp/view_community.pl?id=10966
>
興味を持った方は、登録してみてください。

【いしはら・つよし】tsuyoshi@muddler.jp
今回は連載以来初めて買い物はしていません。でも、イベント参加費を払って持ち帰るものが沢山あったのだから、これも一種の買い物といえるのかな。
・ウェブアナ < http://www.muddler.jp/
>

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■編集後記(12/11)

・モバイルリサーチのネットエイジアは、橋下知事が公立小中学校へのケータイ持ち込み禁止の方針を打ち出したことに関連して、大阪府に住む小中学生の保護者に対して行ったアンケート調査の結果を発表した。72.2%が方針に「賛成」と回答。ケータイを所有する子どもの保護者は60.7%が「賛成」、ケータイを持っていない子どもの保護者は81.0%が「賛成」と答えた。「小中学生の子供がケータイを持つことについてどう思うか?」という質問には、全体では44.4%の保護者が「あれば便利だができるだけ持たせたくない」と答えた。42.2%の保護者が「一定のルールを子供と決めれば賛成」と考えており、その意見はケータイを所有する子どもの保護者では71.8%であるのに対し、ケータイを所有していない子どもの保護者は19.6%しかいなかった。一方で、「あれば便利だができるだけ持たせたくない」と考えているのは、ケータイを所有していない子どもの保護者が62.1%であるのに対し、ケータイを所有している子どもの保護者では21.4%しかおらず、両者の間で大きな差が見られた。おいおい、大丈夫か。ケータイを所有している子どもの保護者が問題だ。「一定のルールを子供と決めれば大丈夫」と言う親に限って、事態を甘く見ているか、本当のことを知らないのではないか。そんな親には是非これを読ませたい。MIAU(インターネット先進ユーザーの会)が、安易な規制よりも青少年に対するネットリテラシー教育を優先させよと、インターネットリテラシ読本「"ネット"と上手く付き合うために」を公開している。その内容は、教師や保護者に対してネット教育を説く「はじめに」と、青少年向けの項目「ネットは匿名ではありません」「メールから少し離れてみよう」である。ネットやメールを利用する際の注意などについて、漫画やイラスト入りでわかりやすく説明している。おもしろい。説得力がある。でも、わたしはMIAUの「子どもたちをネットや携帯から遠ざけようとするのではなく、ネットの良い面を残しつつ、有害情報に惑わされないようにすることが大切」という主張に敬意を表するものの、「規制せよ派」なんだよ、それも強硬な。(柴田)
< http://www.mobile-marketing.jp/press_list/「小中学生のケータイ所有」に関する保護者の意識調査(大阪府)〜ケータイ禁止、約7割の保護者が「賛成」〜/mode/press_detail/pr_id/137/
>
ネットエイジア調査(上の三行を一行にしてアクセスしてください)
< http://miau.jp/index.phtml?genre=リテラシ教育
>
「"ネット"と上手く付き合うために」PDFを配布

・芸術で逮捕されるのってかっこいいな。/ネーミングライツ。読んで笑っている場合ではないような……。/WebSig会議、参加してみたくなりました。/二週間ほど前、風邪で病院に行こうとゾンビのように歩いていた。3メートルほど先に、小学生低学年らしき少女とお母さんが手を繋いで歩いているのを見つけた。少女は「♪ドレミドミドミ レミファファミレファ」とドレミの歌を歌いはじめた。ゾンビから人間に戻れたような気分になり、頭の中で一緒に歌っていた。「♪ソドレミファ……」(♪ソドレミファソラ〜)。「……♪ドドソソララソ ファファミミレレド。」えっ? キラキラ星? 最後まで歌わないと気持ち悪いなと思いつつ、キラキラ星を頭の中で歌いはじめた。「♪ソソファファ……」(♪ソソファファミミレ〜)。「……♪ミレドレミミミ レレレ ミソソ。」この気持ち悪さったら。ええい。「♪ミレドレミミミ……。」(♪ミレドレミミミ レレレ ミソソ〜)はい、次は何よ? ああ気持ち悪い。「……ママ、あのね……。」寸止め三連発のまま終わってしまい、メリーさんの羊だけでもと最後まで歌いました。(hammer.mule)