Otaku ワールドへようこそ![93]芸能欄 読んでネットで 検索し
── GrowHair ──

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インターリンクが実施した「オタク川柳」コンテストで大賞を獲得した句は、「聞いてない 誰もそこまで 聞いてない」だそうである。熱愛する対象についてひとたび語りはじめたら、何時間でも止まらなくなるオタクの特性をよく捉えて、なるほど笑える。好きなことには徹底的にのめり込める天賦の才に恵まれたおかげて、ひとつのことにばかりやたらと詳しくなり、知識が偏る偏る。その「ひとつのこと」が、一般の人にとってはどうでもいいことだったりするあたりが、またオタクの悲劇というか喜劇というか。
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さて、偏るというからには、ぎゅっと詰まった反対側には知識の空白というべきスカスカな領域が存在するわけで。誰でも知ってそうなことについて意外に疎かったりするのもまたオタクにありがちなこと。私の場合、3次元。生身の人間。芸能人とか有名人とか。浜崎あゆみや宇多田ヒカルはよく聞く名前だけど、顔も歌もまったく浮かばない。デ・ジ・キャラットのうさだヒカルならわかるんだけど。江角マキコは、何回ウィキペディアで調べなおしても、エカクだかエカドだかエスミだか、ちっとも覚えられない。大リーグで活躍したピッチャーはノシゲだと長いこと思い込んでいた。イナバウアーをネタにした冗談は山ほど聞いたけど、肝心のイナバウアーの映像を見たことがない。フィギュアったらやっぱ海洋堂でしょ。



●テレビを見ないとどうなるか、試してみる

テレビを見て、くだらない、くだらないとこき下ろす人はいるけれど、じゃあ見ずに過ごせばいいじゃないかというと、なかなかそうもいかないものらしい。テレビを見ずに生活していると、どうなっちゃうんだろ? 自分を使って実験してみよう。そんなことを思い立ったのは、フランス語の単位を落として再履修していたときだから、大学の3年か4年のころ、今から25年くらい前のことである。

エリマキトカゲのCMが話題になっていた。エリマキトカゲを売ってたわけではなくて、商品は車かなんかだったっけ? 襟を立てて、後ろ足でばたばたと走ってくる姿が人間に似て、インパクトのある映像だったらしい。みんな折にふれて話題にするので、私だけ知らなくて、けっこうさびしい思いをした。フランス語の授業での雑談で白川先生(だったか、名前よく覚えてない)まで「あのCMにはびっくりしたなぁ」とか言うし。授業が難しくてついていけないということはしばしばあったけど、こういうことでついていけなのは、けっこうくやしい。

しかし、思いなおしてみると、そういうくやしさって一過性のもんであって、人生全体から鑑みたとき、エリマキトカゲのCMを見ずに過ごすことがどれほどの損失かというと、大したことないようにも思えてくる。まあ、いっか。で、そのまま25年経ってしまった。厳密に封じていたわけではなく、NHKの「将棋講座」とか深夜のアニメ番組は見たりしてたんだけど。

ひところ、一度しか言っていないことをあたかも再三述べてきたかのように念押しするような言い回しをする人が多くて違和感をもっていたが、あれはパイレーツとかいうお笑いコンビの決め台詞を真似したものだったのだと、ずいぶん後になって知った。その仕草をまだ見たことがないんだけど、テレビの中でやってないで、目の前で実演してくれないかな。最近だと大げさに残念がってみたり、関係ねぇとか別にとかふてくされてみせるのが流行ってるみたいだけど、あれも何かの影響なんだってねぇ。

●EXILEをウィキペディアで調べると笑われる

冬のうた何週間か前、童謡の「冬の夜」ってどんな歌だったか、ふと思い出してみたくなり、YouTubeで検索をかけてみた。ところがうっかりタイトルを間違えて「冬の歌」と入れていた。そしたら出てきたのがkiroroの「冬のうた」だった。間違いにはすぐに気がついたが、これも何かの縁だと思って聴いてみた。そしたらめちゃめちゃいい歌じゃん。なんか得した気分。さっそくmixi日記で自慢。「偶然なんだけど、すんごいいい歌みつけちゃった。みんなkiroroって知ってた?」。

そしたら返されたコメントに「えっとー(改行)すごく(改行)有名」。あれれー。みんな知ってたの? ずるいぞ、教えてくれよぉ。なんかすっげー損した気分。こういうのをひとり知らずに過ごしてきちゃった損失って、量的には測れないけど、けっこう甚大なように感じられる。「どうしたらそういう情報って乗り遅れずにキャッチできるんだ?」とまわりに聞いてみたら、「どうしたらそういう情報から取り残されているってことが可能なんだ?」と聞き返されてしまった。やっぱテレビですかね? 見なきゃあかんですかね? これほどまでに世の中の動向について行けていない私なんぞが、こんなところにコラムなんか書いてていいんだろうかと若干不安にならないでもないが、まあ、4年も連載してから言ってもしょうがないやね。

また、こんなこともあった。3月15日(日)、カラオケの"clubDAM"というのに入会した。カラオケの機種には、DAM、JOYSOUND、セガカラ、UGAなどがあるが、私は最近DAMの"精密採点II"にハマっている。これがなかなかすごいんである。五線譜に相当する罫線の上に、この音程でこの長さで歌え、というガイドメロディーがグレーの太線で表示されている。そして、自分の歌ったところがリアルタイムで、ピンクの太線で塗り重ねられていく。音程がはずれると、一目で分かっちゃう。げげ、低音がちゃんと下がりきってないやんけ、とか、メロディーの途中を適当にちょろまかしてるやんけ、とか。更に、しゃくり、こぶし、ビブラート、フォールなどの歌唱テクニックも検知されて、加点されていく。

で、clubDAMに入会していると、会員カードをコントローラの上に置くだけでログインした状態になり、自分の点数が自動的に記録されていく。ウチに帰ってからでも、ウェブからログインして、自分の点数を見ることができるのである。この点数がショボくて、自分の下手っぷりに凹む。べ/サさん(仮名)は"Proud Mary"(←私は知らん)を歌って99点出したというが、私の最高点は88点。た・い・へ・ん・く・や・し・い。ちなみにその曲は河合奈保子の「大きな森の小さなお家」。こういうの得意なんだけどなぁ。こう見えても心は少女なもんで。聞いてみたいですか?

で、入会した2日後、やらかしてしまった。うっかりログアウトするのを忘れて帰ってしまったのである。翌日、ウェブでチェックしてみると、歌った覚えがないどころか、そもそも知らない歌の点数が記録されている。最初、バグかなんかかいな、と思ったけど、よくよく思い返してみて、自分のミスに気がついた。後から入った赤の他人の点数が記録されちゃったということらしい。

うわ、もしかして、見ちゃいけないもん見ちゃった? けど、記録されたデータから推察するに、わざとやってくれたようだ。点数といっしょに"GrowHair"と表示されるので気がつきそうなもんだが、9曲分も記録されてるし。ビブラートやリズムなどの評価の特徴から、同一人物らしい。ほぼ15分おきに記録されているということは、何人かで入って、その人の歌ったとこだけ記録されるように操作したということらしい。やられたっ。いつか、逆の立場に遭遇したら、俺もやってやろっと。

さて、その9曲だが、私はひとつも知らない。歌手名では、安室奈美恵とSPEEDには聞き覚えがあるけど、あとはぜんぜん。EXILEとかMAXとかBoAとかRihannaとか、みんな知ってた? いちおうひととおりウィキペディアで調べてみたけど、けっこう有名みたいね。翌日、職場の同僚に聞いてみたらEXILE知らない人はいなかった。彼らによると、EXILEを知らなくてウィキペディアで調べちゃうという行為がそもそも考えられん、ということで、大いに笑われてしまった。こっちは、そんなに面白いことをしていたという意識がまったくなかったんだけど。

余談だが、DAMには美野春樹氏のピアノ伴奏の曲があって、これがたいへんいい。まあ、伴奏がシンプルなほうが、自分の存在の比率が高まるから気分がいいってこともあるけど。今のところ見つけたのは、柏原芳恵の「春なのに」、大橋純子の「シルエットロマンス」、イルカの「なごり雪」。それとkiroroの歌がいろいろ。というわけで冬までに「冬のうた」をちゃんと歌えるようになるぞ、というのが今年の目標なのだ。

●昭和の逆襲

そんな私だが、'70年代後半から'80年代前半にかけては、けっこうよく歌を聴いた。まあ、アイドルヲタというほどまでには至らなかったけど。さすがにテレビ番組の収録を生で見に行って、野太い声で「○○ちゃーん」と声援を送る、いわゆる「親衛隊」まではやらなかったし。今振り返ると、やってりゃよかったと、ちょっと悔いの残るわが青春ではある。

あのころイントロ当てクイズというのが流行ったが、私は、最初の一拍がジャンと鳴るのを聞けば、たいていの曲は言い当てられる自信があった。「ポスト・キャンディーズの座を狙って出てきた3人組が、イマイチ振るわなかったなぁ」なんて話題になれば「トライアングル」、「チェリーズ」、「アパッチ」ぐらいは、ささっと出てきたし。まあ、その程度。ちょいヲタぐらい。

そんな私が発掘する、昭和のいい歌。当時を生きてきた人なら誰でも知ってそうなメジャーどころから、これ分かる人がいたら友達になりましょう的なマイナーどころまで取り揃えてみました。メジャーどころは、当時はヒットしてても、今の人からは「知らない」と言われそうなので、知らなかったらぜひ聴いてみてちょ、というメッセージ。YouTubeにはマイナーどころまで意外とアップされてるんで、びっくりしてしまう。上げてくれた人、ありがとありがとありがと。専門用語でいうところの、うp乙。けど、カラオケの曲目には、なかなか入ってないんだなぁ。入れてよ。お願い。余談だけど、'81年に上映された「の・ようなもの」という映画に、じーんと響く、いい台詞があったなぁ。「メジャーなんて、めじゃぁないっすよ」。

倉田まり子倉田まり子「How! ワンダフル」(1979年)。恋をすることのすばらしさと不思議さを初めて知りました、というイノセントでさわやかなテーマ。けれん味のないきれいな歌唱、はつらつとした笑顔、アイドルの王道なり。けど、日本歌謡大賞放送音楽新人賞受賞で大泣きする映像には、それまでの人知れぬ努力の蓄積がうかがわれて、思わずもらい泣きしてしまったよ。その後もぐんぐん歌唱力をつけて、いい歌うたってたのに、あのスキャンダル、まったくの濡れ衣だったんだってねぇ。今はキャリア・カウンセラー。カラオケに入ってる曲目、もっとあれば。「カナリヤ」とか。
< http://www.tsubotamariko.com/
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「石川ひとみ」SINGLESコンプリート石川ひとみ「ひとりぼっちのサーカス」(1979年)。飲みかけのワインと散らかしたままのトランプを残して「ごめんね」と言って帰った彼。不倫ですね。しんと静かな真夜中、人形を目覚めさせ、ついでにナイフと鏡も目覚めさせ、さあお祭りよ、踊りましょう。朝まで。せめて涙の乾くまで。かわいい顔ときれいな声が、テーマの怖さを引き立たせる。

ベスト・コレクション石川優子「レット・ミー・フライ」(1979年)。つれなくされてもまだ希望を見つけようとすがるような苦い恋だったけど、もう雨はあがる。季節が変わればすべてを忘れて、ひとりで歩いていけるでしょう。作詞作曲も本人。キーの高い歌声は透明感あって、気持ちが浄化される。YouTubeにあがっている、白い壁に白い衣装の映像がほんとにきれいできれいで、何度も何度も見入る。「ラブイズドリーム」もよい。

GOLDEN☆BEST石野真子「狼なんか怖くない」(1978年)。大好きなあなた。けど、いつか狼に豹変したりするのかしら。そのとき逃げたりしちゃだめよね。傷つけたりできないもんね。でもどうすればいいのかしら。あれこれ考えちゃう。っていう、めっちゃかわいい歌。澄んだ声が、気分を明るくしてくれる。YouTubeにあがっている映像の一部は'87年収録のもの。「春ラ!ラ!ラ!」も脳天気で楽しい。現役。
< http://www.aceofhearts.jp/mako/
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ザ・プレミアムベスト 柏原芳恵柏原芳恵「春なのに」(1983年)。卒業してもいつもの白い喫茶店でまた会えますよね、って言うつもりだったのに。言えなかった。だって、さびしくなるね、って先に言われちゃったから。え? お別れなの? 「記念にくださいボタンをひとつ。青い空に捨てます」。中島みゆき作詞作曲。芳恵ちゃんにはメランコリックな歌が合う。

河合奈保子・しんぐるこれくしょん河合奈保子「ハーフムーン・セレナーデ」(1986年)。結ばれたい。この想い、伝えたい。「誰もみなひとりぼっちだから、優しさをいとおしむのね」。デビュー当初はアイドルとして、はつらつとしたかわいらしさで人気をつかんだが、この歌は重くて力強さがある。本人作曲。

ベスト桑江知子「ブルーブルーアイランド」(1979年)。真夏。エメラルドの海、紺碧の空。さようなら。恋は完全燃焼、そして燃え尽きた。私は都会に帰ります。いちばんヒットしたのは「私のハートはストップモーション」だが、この曲や「永遠(エテルナ)の朝」も劣らずいい。現役。
< http://www.kuwae.cc/
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デビュー!         (CCCD)甲斐智枝美「スタア」(1980年)。あなたは輝く星。もっともっと輝いてね。ずっとずっと輝きつづけてね。17歳の夏、物語は始まったばかり。南の島のおとぎばなしを聞かせて。日焼けした私の肌にそっと触れられたら宇宙まで舞い上がってしまいそう。……けど、けど、27年後、物語は終わってしまいましたね。智枝美さんは、旦那さんと二人のお子さんを残して、星になってしまいました。

ANRI the BEST杏里「オリビアをききながら」(1978年)。歌の好きな人からは定番のように好まれていた歌で、オーディション番組ではこれでエントリしてくる人が多かった。ひとりジャスミンティーを飲みながらあなたとの愛の終わりをしみじみ感じる。本気なのも分かる。やさしい人なのも分かる。けど、あなたの思いはちゃんと私に焦点が合っていない。疲れ果てたあなたは私のまぼろしを愛したんでしょう。
< http://www.anribox.com/
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GOLDEN☆BEST岩崎宏美「思秋期」(1977年)。始まりかけて淡く消えた恋など思い出し、はらはらと涙がこぼれる秋。「青春はこわれもの、愛しても傷つき。青春は忘れもの、過ぎてから気がつく」。岩崎宏美の歌唱力のすばらしさは、別格って感じで、みんな知ってるからあえて挙げなくてもいいかな、とも思ったけど。「知らん」って人もいそうな気がして。どの歌も全部いい。けど、幸せな歌よりせつない歌がいい味わい。童謡を収録した「ALBUM」というアルバムもいい。
< http://www.teichiku.co.jp/artist/iwasaki/
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2000 BEST太田裕美「木綿のハンカチーフ」(1975年)。都会に越していった彼。「恋人よ」で始まる手紙が、一通、また一通。刺激がいっぱいの都会生活に浮かれている彼。どんどん垢抜けていくことに鼻高々な彼。けど、昔の素朴な彼が好きだったの。都会の絵の具に染まらないで。遠くなっていく彼。最後のお願いよ、涙拭くハンカチーフください。……内緒だけど、ヒトカラで入れてみたら、俺に木綿のハンカチーフが必要で、歌えなくなってしまった。「青空の翳り」もいい。
< http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/hiromiohta/
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ゴールデン☆ベスト 大橋純子 シングルス大橋純子「たそがれマイ・ラブ」(1978年)。幸せな夏だったけど、今は冬、そばにあなたはいない。「引き裂かれ、愛はかけらになって、それでも胸で、熱さをなくさない」。歌が上手いなんてレベルではない。この人が歌そのもの、歌うことが生きること、って感じ。全身の筋肉の強さとしなやかさがそのまま歌に乗っかったような、パワフルな歌いっぷり。「シルエット・ロマンス」が多分一番売れてるし、「シンプル・ラブ」もいいんだけど。どの歌も好きなんだけど、ちょっとやそっとじゃ真似できん。ウェブサイトがあり活動している。
< http://www.junko-ohashi.com/
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悲しいほどお天気荒井由実「悲しいほどお天気」(1979年)。上水沿いの小道で仲間たちと写生した学生時代を振り返り、みんな一緒に歩いていけると誰もが思い込んでいたあのころと、別々の道を歩んでいる今との対比に、せつなさを感じる歌。臆病だった私は平凡な道を歩んできた。あなたからは個展の案内が届く。

ゴールデン☆ベスト水越恵子「Touch Me in the Memory」(1979年)。昔の彼と再会。言葉に詰まる。彼の心の広さに甘えすぎて、壊してしまった恋だった。好きだった。今も好き。「雨のしずく払いながら、店のドアを開けたあなたを見た時は、急な言葉もみつからず、元気そうねなんて、ぎこちなく笑った」。顔がかわいいし、最初はアイドル路線を行きそうな気配だったけど、当時、テレビでウケのよかった「ぶりっ子ぶりっ子」した振る舞いをみずから封印していったように見える。人気をとるよりも、分かる人にだけ心の深いところを伝えたかったのかも。それでよかった。弾力ある太い声に、しっとりとした大人の歌が似合うのだ。な〜んて。あんまり人に言ったことはなかったけど、私が今までにいちばん熱を入れて聞いた歌手はこの人。新宿の厚生年金会館へコンサートにも行ったし。「踊り子」もめっちゃいい歌。全曲、カラオケに入っていたらなぁ、なんて。
< http://www.mcrew.jp/teto/
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ゴールデン☆ベスト 香坂みゆき シングルコレクション香坂みゆき「青春舗道」(1977年)。「欽ちゃんのドンとやってみよう」では、アシスタントとしてただにこにこ笑ってるだけのお飾りのような存在だったのに、歌手デビューしたら本格的な歌唱力に裏打ちされた重厚な存在感にびっくり。あなたとめぐり合うことができて、さびしくつらい日々は終わりを告げる。これからはずっと一緒に歩いていきましょう。もう泣きません。幸せなテーマなのに、重く、せつない。

RUSH宮本典子「エピローグ」(1980年)。すっかり関心が別の人に移っている彼への怒りと嫉妬と敗北感を丸めて固めて思いっきりぶつける歌。「もしもう一度チャンス与えられても、それは物語のエピローグ飾るだけ」。悲しいテーマなのに、場外ホームランのようなスカッとした感じがするのはなぜ?

ポプコン・ガールズ・コレクション柴田まゆみ「白いページの中に」(1978年)。もう取り戻すことのできない短かった愛の日々を振り返る。安らいでくつろいで寄り添える時の貴重さにあのときは気づくことができずにいた。「好きだった海のささやきが今は心にしみる」。

上田知華+KARYOBIN(3)上田知華+KARYOBIN「さよならレイニー・ステーション」(1980年)。ぼくはもう去らなくてはならないけど、しっかり生きてゆけよ、幸せになれよ、君のことは忘れないからな、と言い残す歌。ピアノと弦楽四重奏に乗る歌声がきれい。倉田まり子に提供してもいる。

ヒーロー~TV THEMESパル「夜明けのマイウェイ」(1979年)。挫折から立ち直る歌。ずっとつらかったけど、たぶんもうだいじょうぶ、次の夢がふくらんできたよ。たとえて言うなら、重い風邪をひいて何日か寝込んだあと、すっと熱が引いて目覚めた朝、世界が見違えるようにさわやかにきらめいて見える、あの感覚。
大宮京子&オレンジ大宮京子&オレンジ「シーズン」(1979年)。すごくきれいな歌。きれいすぎてつらくなるほど。愛しき君に会うためにさすらう旅人。めぐりめぐる季節の一瞬一瞬を捉えた情景。その積み重ねが君への思いの積み重ね。「いま君に捧げる愛のすべては、巡る季節の綴れ織りだけ」。

しまった。語り始めたら止まらなくなった。誰もそこまで聞いてないですね。どもっ、失礼しましたぁ。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp

4/5(日)はデリシャスウィートスの公演。杉並区にある井荻會館という、築80年の木造の建物で。いやはや、すごオ〜い人気。私がチケ予約した直後、3月中旬の時点で前売り完売してました。13:30からの第1公演に行く方、10ヶ月放置したヒゲぼうぼうのおっさんがキヤノンの一眼レフ持ってうろうろしているのを見かけたら、声をかけていただけると喜びます。/アンデルメルヘン歌曲集 [新装版]3/28(土)は新宿のゴールデン街にある「すみれの天窓」に行ってきました。黒色すみれさんのお店。ハンドルをぐるぐる回してコーヒー豆を挽くゆかさんの手つきが優雅でした。CDを2枚、購入。いや〜すげすげ。クラシックな先鋭化された調和の美を踏襲しながらも自由自在な発想で面白い音を作ってる。いや〜、いい、いい、めっちゃいい。一曲ずつそれぞれテイストが違うので一言ではくくれないけど、どれも楽しい。次のCD、まもなく完成とのこと。
< http://www.derisya.com/
> デリシャスウィートス
< http://www.kokusyokusumire.net/tenmado/
> すみれの天窓