インターリンクが実施した「オタク川柳」コンテストで大賞を獲得した句は、「聞いてない 誰もそこまで 聞いてない」だそうである。熱愛する対象についてひとたび語りはじめたら、何時間でも止まらなくなるオタクの特性をよく捉えて、なるほど笑える。好きなことには徹底的にのめり込める天賦の才に恵まれたおかげて、ひとつのことにばかりやたらと詳しくなり、知識が偏る偏る。その「ひとつのこと」が、一般の人にとってはどうでもいいことだったりするあたりが、またオタクの悲劇というか喜劇というか。
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さて、偏るというからには、ぎゅっと詰まった反対側には知識の空白というべきスカスカな領域が存在するわけで。誰でも知ってそうなことについて意外に疎かったりするのもまたオタクにありがちなこと。私の場合、3次元。生身の人間。芸能人とか有名人とか。浜崎あゆみや宇多田ヒカルはよく聞く名前だけど、顔も歌もまったく浮かばない。デ・ジ・キャラットのうさだヒカルならわかるんだけど。江角マキコは、何回ウィキペディアで調べなおしても、エカクだかエカドだかエスミだか、ちっとも覚えられない。大リーグで活躍したピッチャーはノシゲだと長いこと思い込んでいた。イナバウアーをネタにした冗談は山ほど聞いたけど、肝心のイナバウアーの映像を見たことがない。フィギュアったらやっぱ海洋堂でしょ。
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さて、偏るというからには、ぎゅっと詰まった反対側には知識の空白というべきスカスカな領域が存在するわけで。誰でも知ってそうなことについて意外に疎かったりするのもまたオタクにありがちなこと。私の場合、3次元。生身の人間。芸能人とか有名人とか。浜崎あゆみや宇多田ヒカルはよく聞く名前だけど、顔も歌もまったく浮かばない。デ・ジ・キャラットのうさだヒカルならわかるんだけど。江角マキコは、何回ウィキペディアで調べなおしても、エカクだかエカドだかエスミだか、ちっとも覚えられない。大リーグで活躍したピッチャーはノシゲだと長いこと思い込んでいた。イナバウアーをネタにした冗談は山ほど聞いたけど、肝心のイナバウアーの映像を見たことがない。フィギュアったらやっぱ海洋堂でしょ。
●テレビを見ないとどうなるか、試してみる
テレビを見て、くだらない、くだらないとこき下ろす人はいるけれど、じゃあ見ずに過ごせばいいじゃないかというと、なかなかそうもいかないものらしい。テレビを見ずに生活していると、どうなっちゃうんだろ? 自分を使って実験してみよう。そんなことを思い立ったのは、フランス語の単位を落として再履修していたときだから、大学の3年か4年のころ、今から25年くらい前のことである。
エリマキトカゲのCMが話題になっていた。エリマキトカゲを売ってたわけではなくて、商品は車かなんかだったっけ? 襟を立てて、後ろ足でばたばたと走ってくる姿が人間に似て、インパクトのある映像だったらしい。みんな折にふれて話題にするので、私だけ知らなくて、けっこうさびしい思いをした。フランス語の授業での雑談で白川先生(だったか、名前よく覚えてない)まで「あのCMにはびっくりしたなぁ」とか言うし。授業が難しくてついていけないということはしばしばあったけど、こういうことでついていけなのは、けっこうくやしい。
しかし、思いなおしてみると、そういうくやしさって一過性のもんであって、人生全体から鑑みたとき、エリマキトカゲのCMを見ずに過ごすことがどれほどの損失かというと、大したことないようにも思えてくる。まあ、いっか。で、そのまま25年経ってしまった。厳密に封じていたわけではなく、NHKの「将棋講座」とか深夜のアニメ番組は見たりしてたんだけど。
ひところ、一度しか言っていないことをあたかも再三述べてきたかのように念押しするような言い回しをする人が多くて違和感をもっていたが、あれはパイレーツとかいうお笑いコンビの決め台詞を真似したものだったのだと、ずいぶん後になって知った。その仕草をまだ見たことがないんだけど、テレビの中でやってないで、目の前で実演してくれないかな。最近だと大げさに残念がってみたり、関係ねぇとか別にとかふてくされてみせるのが流行ってるみたいだけど、あれも何かの影響なんだってねぇ。
●EXILEをウィキペディアで調べると笑われる

そしたら返されたコメントに「えっとー(改行)すごく(改行)有名」。あれれー。みんな知ってたの? ずるいぞ、教えてくれよぉ。なんかすっげー損した気分。こういうのをひとり知らずに過ごしてきちゃった損失って、量的には測れないけど、けっこう甚大なように感じられる。「どうしたらそういう情報って乗り遅れずにキャッチできるんだ?」とまわりに聞いてみたら、「どうしたらそういう情報から取り残されているってことが可能なんだ?」と聞き返されてしまった。やっぱテレビですかね? 見なきゃあかんですかね? これほどまでに世の中の動向について行けていない私なんぞが、こんなところにコラムなんか書いてていいんだろうかと若干不安にならないでもないが、まあ、4年も連載してから言ってもしょうがないやね。
また、こんなこともあった。3月15日(日)、カラオケの"clubDAM"というのに入会した。カラオケの機種には、DAM、JOYSOUND、セガカラ、UGAなどがあるが、私は最近DAMの"精密採点II"にハマっている。これがなかなかすごいんである。五線譜に相当する罫線の上に、この音程でこの長さで歌え、というガイドメロディーがグレーの太線で表示されている。そして、自分の歌ったところがリアルタイムで、ピンクの太線で塗り重ねられていく。音程がはずれると、一目で分かっちゃう。げげ、低音がちゃんと下がりきってないやんけ、とか、メロディーの途中を適当にちょろまかしてるやんけ、とか。更に、しゃくり、こぶし、ビブラート、フォールなどの歌唱テクニックも検知されて、加点されていく。
で、clubDAMに入会していると、会員カードをコントローラの上に置くだけでログインした状態になり、自分の点数が自動的に記録されていく。ウチに帰ってからでも、ウェブからログインして、自分の点数を見ることができるのである。この点数がショボくて、自分の下手っぷりに凹む。べ/サさん(仮名)は"Proud Mary"(←私は知らん)を歌って99点出したというが、私の最高点は88点。た・い・へ・ん・く・や・し・い。ちなみにその曲は河合奈保子の「大きな森の小さなお家」。こういうの得意なんだけどなぁ。こう見えても心は少女なもんで。聞いてみたいですか?
で、入会した2日後、やらかしてしまった。うっかりログアウトするのを忘れて帰ってしまったのである。翌日、ウェブでチェックしてみると、歌った覚えがないどころか、そもそも知らない歌の点数が記録されている。最初、バグかなんかかいな、と思ったけど、よくよく思い返してみて、自分のミスに気がついた。後から入った赤の他人の点数が記録されちゃったということらしい。
うわ、もしかして、見ちゃいけないもん見ちゃった? けど、記録されたデータから推察するに、わざとやってくれたようだ。点数といっしょに"GrowHair"と表示されるので気がつきそうなもんだが、9曲分も記録されてるし。ビブラートやリズムなどの評価の特徴から、同一人物らしい。ほぼ15分おきに記録されているということは、何人かで入って、その人の歌ったとこだけ記録されるように操作したということらしい。やられたっ。いつか、逆の立場に遭遇したら、俺もやってやろっと。
さて、その9曲だが、私はひとつも知らない。歌手名では、安室奈美恵とSPEEDには聞き覚えがあるけど、あとはぜんぜん。EXILEとかMAXとかBoAとかRihannaとか、みんな知ってた? いちおうひととおりウィキペディアで調べてみたけど、けっこう有名みたいね。翌日、職場の同僚に聞いてみたらEXILE知らない人はいなかった。彼らによると、EXILEを知らなくてウィキペディアで調べちゃうという行為がそもそも考えられん、ということで、大いに笑われてしまった。こっちは、そんなに面白いことをしていたという意識がまったくなかったんだけど。
余談だが、DAMには美野春樹氏のピアノ伴奏の曲があって、これがたいへんいい。まあ、伴奏がシンプルなほうが、自分の存在の比率が高まるから気分がいいってこともあるけど。今のところ見つけたのは、柏原芳恵の「春なのに」、大橋純子の「シルエットロマンス」、イルカの「なごり雪」。それとkiroroの歌がいろいろ。というわけで冬までに「冬のうた」をちゃんと歌えるようになるぞ、というのが今年の目標なのだ。
●昭和の逆襲
そんな私だが、'70年代後半から'80年代前半にかけては、けっこうよく歌を聴いた。まあ、アイドルヲタというほどまでには至らなかったけど。さすがにテレビ番組の収録を生で見に行って、野太い声で「○○ちゃーん」と声援を送る、いわゆる「親衛隊」まではやらなかったし。今振り返ると、やってりゃよかったと、ちょっと悔いの残るわが青春ではある。
あのころイントロ当てクイズというのが流行ったが、私は、最初の一拍がジャンと鳴るのを聞けば、たいていの曲は言い当てられる自信があった。「ポスト・キャンディーズの座を狙って出てきた3人組が、イマイチ振るわなかったなぁ」なんて話題になれば「トライアングル」、「チェリーズ」、「アパッチ」ぐらいは、ささっと出てきたし。まあ、その程度。ちょいヲタぐらい。
そんな私が発掘する、昭和のいい歌。当時を生きてきた人なら誰でも知ってそうなメジャーどころから、これ分かる人がいたら友達になりましょう的なマイナーどころまで取り揃えてみました。メジャーどころは、当時はヒットしてても、今の人からは「知らない」と言われそうなので、知らなかったらぜひ聴いてみてちょ、というメッセージ。YouTubeにはマイナーどころまで意外とアップされてるんで、びっくりしてしまう。上げてくれた人、ありがとありがとありがと。専門用語でいうところの、うp乙。けど、カラオケの曲目には、なかなか入ってないんだなぁ。入れてよ。お願い。余談だけど、'81年に上映された「の・ようなもの」という映画に、じーんと響く、いい台詞があったなぁ。「メジャーなんて、めじゃぁないっすよ」。

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< http://www.anribox.com/
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< http://www.teichiku.co.jp/artist/iwasaki/
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< http://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/hiromiohta/
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< http://www.junko-ohashi.com/
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< http://www.mcrew.jp/teto/
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しまった。語り始めたら止まらなくなった。誰もそこまで聞いてないですね。どもっ、失礼しましたぁ。
【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
4/5(日)はデリシャスウィートスの公演。杉並区にある井荻會館という、築80年の木造の建物で。いやはや、すごオ〜い人気。私がチケ予約した直後、3月中旬の時点で前売り完売してました。13:30からの第1公演に行く方、10ヶ月放置したヒゲぼうぼうのおっさんがキヤノンの一眼レフ持ってうろうろしているのを見かけたら、声をかけていただけると喜びます。/
![アンデルメルヘン歌曲集 [新装版]](http://images-jp.amazon.com/images/P/B001811ECI.09.TZZZZZZZ.jpg)
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> デリシャスウィートス
< http://www.kokusyokusumire.net/tenmado/
> すみれの天窓