電子浮世絵版画家の東西見聞録[85]米沢へ行く、水茄子のお漬物サラダ
── HAL_ ──

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8月16日(日)、仙台の朝は澄み切った青空ではじまりました。米沢行きが決まったのは15日の夜、ご本家の墓参りを突然思い立ってのことです。それに、おいしい蕎麦を食べてビールを飲むため。ビールを飲むと決めたからには、当然車で行くことは出来ません。旅足は仙台駅から2時間おきに出発する高速バスに決定です。メンバーは兄と年上の妹、satokoと私の4人です。

高速バスは、仙台駅東口から出ている米沢市役所前行きで往復料金が3400円、4人で行くことを考えれば高いし、機動力も落ちるのですが、たまには足を使うのもいいものです。朝8:40発のバスに乗り約2時間、終点の市役所前でバスを降りると、そこは灼熱の地獄でした。

ここのところ仙台では冷たい風が吹き、もうすでに秋の装いを見せていたのですが、2週間ほど前に戻された感じです。米沢は盆地で、夏の暑さは有名なのですが、まるで伊豆あたりのビーチに放り出されたかのように太陽は容赦なく肌を焼き、立っているだけでジクジクと汗がわき出てきます。

そこからお寺さんまで歩くには少し距離があるので、バス停から携帯電話を使ってタクシーを呼びました。タクシーで3、4分もかからないといった距離なのですが、この暑さの中を歩くのは無謀というものです。すぐに来てくれたタクシーに4人は乗り込み、冷たいクーラーの効いた気持ちの良い車内で汗の引く間もなく東源寺へ到着します。


東源寺はsatokoの旧姓である荒井家先祖代々の墓があります。墓参りを済ませ、本殿から奥へ声をかけると中から出てきた娘さんらしい人の「おあがりなさい」との声に誘われ座敷に上がり、冷たいお茶を頂きました。お盆は先祖の霊を迎え供養する行事であることは知られていますが、その霊を迎え入れるために門前で「おがら」を焚いて「迎え火」を行います。

本来は海辺からお墓へ、お墓から門前、門前から精霊棚へと次第に移したものです。米沢は山に囲まれた盆地で海はありません。そこでお寺さんで迎え火の種火を作り、寺の檀家さんが夕方から夜にかけて種火を貰いに訪れます。その檀家さんのために、米沢のお寺は墓地のなかにまるでお祭りのように裸電球がつるされているのです。私は東京出身なので、それが不思議な感じがしてなりませんでした。

また、種火を頂きに来た檀家さんにはお茶を、子供達にはお菓子を振る舞うという風習があるようです。私達もお茶を頂き、甘い尾花沢のスイカまで出してもらいました。NHKの大河ドラマのおかげで、米沢の町は観光客が増え賑わっているという話題が出ました。私は大河ドラマを見ていないのですが、バスで通った上杉神社の辺りは人であふれていました。静かな町のほんの一時の喧騒なのでしょう。

話は続き、直江兼続に触れた時、実はこの東源寺は直江の菩提寺であり、本堂脇の別間に祀られているというお話をうかがいました。元々、米沢市の徳昌寺に埋葬された兼続は上杉の菩提寺林泉寺との間に争いを生じ、のちに東源寺に改葬され現在に至っているということです。取材などがよく入るようですが、現在ではあまりにも参拝希望者が多く檀家さん以外はお断りしているそうです。

私達は檀家でもあり、ちょうどお盆の明けるタイミングだったので、参拝の人もおらずゆっくり4人だけでお参りしてきました。仏壇の中には兼松のお霊牌だけではなく奥方のお霊牌も安置され、歴史知識の全くない私でも、ありがたく手を合わせられたほどの立派なものでした。

その後、母方の菩提寺など二か所を周り、米沢でのもう一つのお楽しみ、蕎麦屋で一杯を「粉名屋小太郎」で堪能しました。粉名屋小太郎は有名な蕎麦屋で、ボヘミアン仲間で米沢生まれのはじめさんの祖父が、死の間際に「小太郎の蕎麦が食べたい」と言ったそうです。ちょうどお昼時間でもあり、店内から外にまで時間待ちの人が入り乱れていました。待つことの嫌いな私ですが、こういう時には「長いものには巻かれろ」姿勢が現れ、待つこと20分。

この粉名屋小太郎は米澤藩御用掛入蕎麦と冠を掲げており、赤穂浪士の討ち入りから15年後に饂飩屋株(今の蕎麦屋)を所持し営業していたという、歴史ある蕎麦屋です。蕎麦は外一(といち・そば粉十割つなぎ一割)であるにもかかわらず田舎蕎麦風の感触は全くなく、更級と言って良いほどのコシと滑らかさがある細い麺です。そして、この時期ならではの丸ナスがとても美味しかったのです。

そうそう、粉名屋小太郎にもあったのですが、市内のあちこちに立っている米澤弁の札書きを楽しんで下さい。私は半分も意味が分かりません。横綱のひとつ「おしょうしな」はありがたく頂くという意味になるでしょうか。日常的に「ありがとうございました」の代わりに使われます。

まだまだ、話したいことは山ほどあるのですが、体調不良にて今回はこれで打ち止めということで。ちゃんちゃん。

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◇本日のお薦めYouTube Music──アニマルズ(英:The Animals)
結成1960のブリティッシュ・インベイジョン代表格として、ブルース色の強いイギリスのバンド。当時、イギリスのミュージシャン達はこぞってアメリカのマーケットを目指した。アニマルズが好例である。封建的な国であるイギリスの中でのマーケットは狭く、多くのミュージシャンがアメリカで人気が上がっていったので当然のことだったのだろう。英語の分からない私は、そのころ日本に入ってきた英語の曲を米英は関係なく聞いていた。

アニマルズは野性的だということでグループ名が付けられたのだが、いま見ると「どこが?」と思う部分がある。でも、この映像で見られるエリックの不良的要素がファンを魅了していったのだ。

Eric Burdon - The Animals - Monterey 1967
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The Animals House Of The Rising Sun
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◎水茄子のお漬け物サラダ

水茄子と言えばなにわ野菜として有名な、水分をたっぷり含んだ小型の丸茄子ですが、最近は関東地方でもよく作られるようになったのか、我が横浜でも目にすることが多くなりました。食は「地産地消」が一番良いということで、それを実践して、横浜都筑区産の小さめな水茄子を手に入れました。水茄子はアクが少なく甘みがあり、多量の水分を含んでいるのでサラダにも適します。

サラダとカタカナで書くと洋風ですが、今回は水茄子の持ち味を生かした和風のサラダになりました。材料は水茄子と粗塩そして大葉に辛子、水茄子以外は常備してあるものばかりです。

1)水茄子は水で洗い、半分にして真ん中に切り込みをいれます。
2)ひとつまみの粗塩をまぶし、大葉を挟んで手でキュッと軽くしぼります。
3)密閉容器またはジップロックなどに入れ、冷蔵庫で半日ほど寝かせます。
4)食卓に出す直前に練り辛しをのせていただきます。

作り方を見ると即席漬けという感じですが、食べてみると漬物というよりサラダなのです。これは茗荷などものせても美味しくいただけます。

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
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