iPadの後はiPhone 4、iOS4ネタになっている感じもしますが、電子書籍に関する動きは始まったばかりです(何度も同じようなパターンを繰り返している気もしますが)。さらに、iBooksもバージョンアップされEPUBだけでなくPDFも閲覧できるようになりました。そこで今回は、iPad(iBooks)で何とか映像を表示できないものか、挑戦してみました。
PDFは文字や画像だけでなく、以前から映像も埋め込むことができるようになっています。確かVer.6あたりからです。Ver.6の頃はAVIとQuickTime映像でしたが、現在のVer.9ではFlashムービー(flv)の埋め込みになっているようです。iPadではFlashは表示できません。ということで、書く前からしてすでにPDFでの映像表示は無理がありそうです。それでも念のためやってみました。
PDFは文字や画像だけでなく、以前から映像も埋め込むことができるようになっています。確かVer.6あたりからです。Ver.6の頃はAVIとQuickTime映像でしたが、現在のVer.9ではFlashムービー(flv)の埋め込みになっているようです。iPadではFlashは表示できません。ということで、書く前からしてすでにPDFでの映像表示は無理がありそうです。それでも念のためやってみました。
【1】Acrobat 9でQuickTime映像を配置
Acrobatで新規に白紙ページを作成しQuickTime映像を配置。これはH264でエンコードされた384×192サイズの5秒映像です。
〈結果〉iBooksでは映像部分がまったく表示されず駄目。MacOS Xのプレビューでも駄目。
【2】Acrobat 9でVer.6以前での再生を指定しQuickTime映像を配置
Acrobatで新規に白紙ページを作成し、QuickTime映像を配置。この時互換性のため「従来のマルチメディアコンテンツを作成」のリンクをクリックしファイルを選択。
〈結果〉iBooksでは映像部分がまったく表示されず駄目。MacOS Xのプレビューでも駄目。おまけにAcrobat上に表示された画像のサムネールもおかしい状態に(うちの環境だけなのかもしれません。未確認)。
【3】Acrobat 9でWeb上にあるQuickTime映像を配置
Acrobatで新規に白紙ページを作成し、Web上にあるQuickTime映像を配置。
Acrobatだと映像の領域をクリックすると、Web上にある映像がPDF書類内で再生されます。〈結果〉やはりiBooksでは映像部分がまったく表示されず駄目。
Acrobatが駄目なら、InDesignではどうなのか。そう思ってInDesign上に映像を配置してPDF(インタラクティブ)にして書き出し。Acrobat 9では映像は再生できますがiBooksでは駄目。
結局、PDF内で映像を再生するためには、静止画を用意しWeb上にある映像にたいしてハイパーリンクを設定する、という方法しかないようです。iPadはiOS4ではないため、マルチタスクができません。このため、映像を再生するとSafariブラウザが起動し、iBooksは終了してしまいます。マルチタスクができるiPhone 4GのiBooksだと、動作が違うのでしょう。
iBooksが駄目なら、他のビューアーではどうなのかテストしてみました。いずれもiPad用です。
【i文庫HD】
iBooksとほぼ同じだが、ハイパーリンクされた画像をクリックしてもSafariブラウザは起動せず、何も再生されない。何も反応がない。
【CloudReaders】【FileAppPro】【PDFReader】【PDFReader Pro】
iBooksとほぼ同じだが、ハイパーリンクされた画像をクリックしてもSafariブラウザは起動せず、何も再生されない。何も反応がない。i文庫HDと同じ状態。
【Stanza】
iBooksとほぼ同じだが、ハイパーリンクされた画像をクリックしてもSafariブラウザは起動せず、何も再生されない。何も反応がない。i文庫HDと同じ状態。
EPUBリーダーなので仕方ない気もする。
【GoodReader】
これは、URLリンクされた映像でもGoodReader内で再生されます。さすがにPDF文書内での再生はできませんが、iBooksのようにアプリケーションが終了し、Safariブラウザが起動してしまうことはありません。また、すぐに直前のページに戻ることができます。映像の埋め込みは残念ながら対応していませんが、映像データがWeb上にあれば映像が再生できるということになります。
【結論】今のiPadでは、GoodReaderなら映像を再生できる。他は無理。AdobeがiPad用にAcrobat Reader 9とか出せば、すんなり解決しそう。
ちなみに、映像埋め込みはInDesignでも作成することができます。やるなら、InDesignで作っておいた方が将来的にもよいのかなと思います。InDesignであればPDFはもちろん、印刷もOKですし(細かい部分は抜きにして)、EPUBも出力でき(質はともかく)、InDesignのWood Wing等を使ってインタラクティブなコンテンツも作成することができるからです。
・Wood Wing
< http://www.woodwing.com/en/digital-magazine/ipad-now
>
InDesignでなく、EPUBを作成できるSigilで電子書籍データを作成すると、他の形式へのポーティングが手間になってしまいます。TwitterやWebだとEPUBはXHTMLだから、簡単に他の形式に変換できるからOKという意見もあります。確かにそうですが、それはテキストデータ、画像データを持って行くことができるだけで、印刷など商業クオリティまでレイアウトして持って行くには、逆にコストがかかってしまいます(レイアウトし直しで1から作るのと変わらない)。
Web(XHTML)と印刷では、どっちも話がかみ合わないか、それ以前にどっちも分かっていないので話になっていないような感じもあります。話が一方通行といったところでしょうか。これに映像が絡むとさらに面倒に。そして、インタラクティブなコンテンツを! となると必然的にJavaScriptが絡んでくること必須でしょうから、なかなか大変そうです。
ということで、また次回。
【古籏一浩】openspc@po.shiojiri.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>
iPad、布団の中でYouTube見るだけのものに......。というか、布団に入ったままで、いろいろできるのでやっぱり便利。Safariのメニューバーは下にあった方が操作しやすい気がする。メールは、もうちょっとレスポンスが早い方がいいかも。
「Software Design」7月号に電子書籍のフォーマット(EPUB)に関して記事を書きました。
・Software Design 7月号
< http://gihyo.jp/magazine/SD
>
・ハイビジョン映像素材
< http://footage2.openspc2.org/HDTV/footage/HD/60p/
>
・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集 発売中
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/
>
・電子書籍作成用ページ
< http://www.openspc2.org/eBook/index.html
>
・1980年代からのmzユーザーに送るtiny XEVIOUS for 700の制作昔話
PDF、EPUB、AZW(Kindle)、プレーンテキスト、i文庫HD用テキスト、InDesignファイル含む
< http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/40462
>