Otaku ワールドへようこそ![番外編]引っ越しマス 休みマス
── GrowHair ──

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ここに隔週で書き始めてから、気がついてみると6年経ちます。その間、一度も穴を開けずに来ました。言い換えると、人生において何よりもデジクリ原稿を優先し、常にファースト・プライオリティを堅持してきたということにほかなりません。会社休んで原稿書いてる、なんてしょっちゅうでしたし。

それが、ここへ来て、ついに行き詰りました。なので、今回は、ちょこっと言い訳を聞いていただければ。引越しであります。それも、降って湧いたように、突然。大家さんから「出てけ」と言われまして。

いや、まったくの青天の霹靂かというと、そうでもないんですが。一年ぐらい前に、2年後に取り壊して建て替えるからと通告を受けてました。だけど、その時点では、まだ本決まりではないから、具体的に決まったら、明け渡し期限日の半年前には改めて通告するから、それまでは何もないと思っていていい、って話でした。油断してました。

いきなりこの3月に、4月末までに出てけ、って話です。こっちにとっちゃあ、青天の霹靂と大差ない。大家さんってば、なんで急にまた。やっぱあの地震でしょうか。まあ、ボロいことにかけては、いろいろとエピソードに事欠かないアパートではありますが。



換気抜群。家の中にいながら、外の気温が分かる、この便利さ。上の階で湯を使うと、しずくがポタポタ。これが壁を徐々に蝕んでいき、毎日必ず進展があります。ポロポロ、ぐらいの日もあれば、ドッサバリーンな日もあります。定点から毎日一枚ずつ写真撮っとくんだった、と今更思いついて後悔してます。

キッチンの床、踏み抜きました。放っておいたら、どうやらネズミの通路になってたようで、ボール紙で塞ぎました。知らない人が通ったら、また踏み抜きます。風呂の扉は、開け閉めにコツが要って、私じゃないと無理です。ナメクジを狙ってコウガイビル君がやってきたり、ネズミがトイレでウンコしてく話は前にも書きましたね。

そういえば、仲介してくれている不動産屋に行ったら、言ってました。「地震の後、自転車に乗って、真っ先に見に行きましたよ。あのアパートが一番心配でね。周りがちゃんと建ってるのを見てもまだ安心できませんでしたよ、あっはっは」。なんて正直な不動産屋なんでしょ。

幸い、なんともありませんでしたけども。もともと地震の後みたいな散らかりようだったもんで、積んであった空き箱が崩れたみたいだけど、それに気づいたのは一週間後ぐらいでした。

そんなアパートなもんで、急に出てけと言われて、それは約束が違うじゃないか、と居座る気も起きません。素直に出てくのが身のためというものです。そういうわけで、お引越しです。ハートのエースが出てきます。

引越し先は、決めました。元からそんなに遠くないとこ。中野へ歩いて行ける距離。今よりちょっとだけ頑丈で、ちょっとだけ広く、ちょっとだけ家賃高い。離婚して18年近くもやもめ暮らししてると、さすがに物があふれ返り、宮崎勤の部屋みたくなってます。どうしても広いところへ移らざるをえない。

というわけなので、引越しが終わって落ち着くまでの間、休載させてください。2か月ぐらいで戻って来れると思います。そうだ、敷金は全額返してくれるそうです。汚し放題、壊し放題です。アーティストのみなさん、なんか描きに来ませんか? 廃墟風にアレンジして撮影スタジオにするとか。遊びましょう。

さてさて、そういう休載理由なので、決してネタに詰まったわけではなく。むしろ、こういうときに限って、書きたいネタが山ほどあって、困ったもんです。

●When in Rome, do as the Romans do.

イタリア、行ってきました。ミドローマさん、行った当日になってからいきなりのメール、失礼しました。電話でお話しできて、楽しかったです。イタリアの南北の文化の相違の話とか、非常に興味深かったです。

行くまでは、けっこう大変でした。一日早く発った人形作家の清水真理さんは、「乗り継ぎ便がキャンセルされてたけど、とにかくモスクワへ向かう」と言い残して消息を絶つし。映像作家の寺嶋真里さんと私の飛行機は、乗るまでの数日の間に4回ぐらい変更されるし。イタリアでは、電車とバスの同時大規模ストで、ブレーシアまで行く手段がないし。

数々の苦難をなんとか乗り切り、展示は大成功でした。かつて、ミケランジェロの作品が展示されたこともあるという伝統と格式ある美術館に、日本人としては初めて作品を飾ることができました。大快挙です。さすがにローマ法王はお見えになりませんでしたが、ビショップ(主教)の方がお見えになったそうです。テレビの取材も来てたし。
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/DGCR110422#5597691472588361362
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フェラーリ夫妻からお呼ばれしました。今回は、ランチではなく、ディナー。清水さんと寺嶋さんも一緒に。たいていの日本人は映画でしか見たことのないような、典型的な西洋の豪邸。鉄扉が開くとバラ園があって、果樹園、野菜園、花壇があり、プールがある。テーブル用に花を摘んで回る。お庭の向こうからは、町が一望の下に見渡せて、きれい。美食で知られる国のリッチな階級の方々が、こんな美味いものを食していたのかというのを、た〜っぷりと思い知らされました。
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/DGCR110422#5597691472200434418
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ヴェネツィアでは『ヴェニスに死す』ごっこ。セーラー服着て。これでもう、思い残すことは何もありません。
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/DGCR110422#5597691474270615250
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イタリアの生活は、日本に比べると、概してユルユルでした。ブレーシアのホテルでは、私の部屋のドアにはジャラっと鍵束が差さってるし。掃除のおばちゃんが忘れていったそうです。寺嶋さんの部屋の冷蔵庫には、ハムが入ってるし。前の宿泊客の忘れ物のようで。寺嶋さんったら、ホテルのサービスだと思って食べちゃうし。電車なんて、5分遅れでホームに入ってくると、みんな「おっ、今日は早い」とか言ってるし。

万事そんな調子だけど、これでもイタリア南部からみると、北部はきっちりしてるほうなんだそうで。ミドローマさんによると、「スイスの時計かよ!」とからかうそうで。実際、ローマの駅の時計は指してる時刻がばらんばらんで、北へ行くほど合ってきて、スイスまで行くとやっと全部ぴったり合うのだとか。

「郷に入っては郷に従え」というのを英語では "When in Rome, do as theRomans do." といいます。これを再び和訳すると「ローマにいるときは、ローマ人のするようにせよ」となります。実際、ローマはローマ在住のSさんに案内してもらいました。バスに乗る。降りる。あれ? お金は? 「言われたら謝ればいいのよ」。タダ乗りですかぃ?!

あと、少子晩婚化が著しく進んでいるという点で、日伊は似ています。関連性は不明ですが、イタリアにもマザコン男が多いそうです。"mammone" というそうです。母親が息子を囲い込んで、遠くの大学に行かせないとか。卒業するまで10年くらい学費を出しつづけるとか。ダメダメです。やなとこが似てますね。

でも、「子供ってかわいいよね、だけど残酷だよね」と言ったら、小学生ぐらいの子供が大笑いしてました。お、英語、通じてる。若い人ほど英語が通じる傾向があります。柴田さんにケンカ売るわけじゃないけど、ここは日本も見習っていいんじゃないかな〜。コミュニケーションを目的とした、実践的な英語。もちろん、母国語がまず大事、っていうのは私も思いますけど。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
パパラッツィ。女子高生に「女子高生大好き!」と言ったら笑われました。
< https://picasaweb.google.com/Kebayashi/DGCR110422#5597701392956844546
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5月12日(木)に寺嶋真里さんの映像作品『アリスが落ちた穴の中 : DarkMarchen Show!!』の上映イベントが渋谷であります。私がセーラー服着て登壇するって話が出てます。マジっすか? マイナスの働きにならないか、ちと心配です。めげずに見にいらしていただけると。詳細決まったら告知しますゆえ、お待ちくださいませ〜。