明日もデザインで食べていこう![19]第3回 SHARPハッカソンに参加してきました
── 秋葉秀樹 ──

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こんにちは、秋葉です。台風の影響なのか、ここ最近涼しかった関西ですが、今日からまた暑くなってきたように思えます。

さて、今回は東広島にあるSHARPさんの事業所、というか自然に囲まれたビルの一室で行われたAndroidアプリ開発イベント(ハッカソン)に2日間かけて行って参りました。

ハッカソンとは、開発をされているプログラマーさんが、限られた時間の中でアイデアを出しアプリを作るイベントなんですが、デザイナーには全く疎遠なイメージがあります(個々がどう思うかはさておき、一般的にそういった意識が多いのは事実です)。

しかし、今回はSHARPさんや運営に携わっているブリリアントサービスさんのアイデアで、デザイナーもハッカソンに入ってもらい、一緒にアプリを開発してみようという試みということで、参加させていただきました。

当日朝早く新幹線に乗って東広島駅へ、そこからみんなでタクシーに乗ってSHARPさんの施設に向かったわけですが、空気がうまい。ホント、いいところでした。

今回は、SHARPさんにはAndroid2011年夏モデル端末も用意していただき、5つのチームにそれぞれ色んな実機が貸し出されました。

チームで朝11時30分からアイデア出しを行い、どんなアプリを作るか話し合いが始まりました。ただここで重要だったな、と思うのが、メインとなるテーマを決定しようというところ。闇雲にどんなものを作るか考えると、メンバー4人なんですが、個々の考えも違うのでなかなかまとまりにくいパターンに陥るケースがよくあります。



今回はまず、「夏」というテーマに限定。
ここで色々出てきます。
海、山、キャンプ、水着、クラゲ、スイカ...

で、決まったのは、そうめん流し(流しそうめんという人もいる)。
さてさて、ここで面白い実験をしてそうめん流しアプリを作ろうということで、

・複数台の端末を縦に並べる。
・1番目のデバイスをタップしたら、そうめんが流される。
・2番目のデバイスに1番目のそうめんが流れてくる。
・3番目のデバイスに2番目で取りそこねたそうめんが流れてくる。
・3番目で取りそこねたら4番目のデバイスに...

といったように、流れてきたそうめんを取る(箸ですくう)ゲームなんですが、何台も実機をつなげられるところがポイントで、通信手段はBluetoothを使ったものです。

プログラムの仕組みとしては、最初の「親」となる実機の次の「子」が2番目になり、3番目の実機から見れば、2番目の実機が「親」となる認識方法で数珠つなぎが構成されます。

そうして、あるデバイスが「最後の子(つまり一番最後)」であると認識したら、画面の下に「受けザル」を表示して、最後でなかったら、そうめんを流す竹を上から下まで表示させるというものです。

下記の写真は同じメンバー「AndroidSDK開発のレシピ」の著者のgabuさん提供です。
【6台つなげてデモした写真】
< http://yfrog.com/gyc6dwqmj
>
【ちょっと拡大】
< http://yfrog.com/kgzyoycj
>

と、思ったら、gabuさんのブログ、その名も「gabuchanの日記」にてそのレポが紹介されています。
< http://d.hatena.ne.jp/gabuchan/20110724
>

そんなわけで、USTREAMでもその様子が公開されています。下記URLは、制作発表のものです。(僕の発表は30:30くらいからです)
< http://www.ustream.tv/recorded/16208815
>

僕が主にチームの発表をさせていただきました。普段はたまにソースコードも書きますが、「今回は一切ソースコードは書かず、デザインに専念します」と宣言した経緯もあって、チーム内、開発者3名、そしてデザイナーは僕1人という構成でした。

チーム名が「デラリアル」といいまして、「デラ」は名古屋弁で「超」とか「すごい」という意味です、つまり「超リアル」。まあ、リアルにそうめんが流れたらいいな、という想い......だったんでしょうね。

今回はAndroidのキャラクタ、ドロイドくんを、デラリアルにしました。スタートアップの画面で、活き活きとしたイメージの実写版(?)ドロイドくんが一生懸命そうめんをすくっている印象を与えたかったので(gabuさんのブログに画像が載ってます)。そんな楽しくワクワクさせるデザインというのは、とても大事です。

アプリはデザインによって売れ行きが変わるということを、色々とアプリを作られた方から聞きます。僕の周りにはWebデザイナーというデザイナー職の方が多いのですが、どうもこういったデザインの目的には着目されにくいな、と感じています。

人間中心としたWebサイトの設計、ユーザエクスペリエンスなど、セミナーでは色々取り上げられます。それはとても大事なのですが、アプリの開発という分野のみならず、デザインで人を「おおっ」と驚かせることが必要な場面だってあるわけだし、そういった表現で人の心を動かせるデザインが売上につながるのであれば、そこに全力を注げるデザイナーでありたい、だってそれで僕はお金をもらって仕事してるわけだし。

概ねデザインは好評でしたが、今回、実はこだわった目的は「リアル」ではなく、ただひとつ。それは......「これを見た人が有料でも買いたくなるアイコンとスタートアップのデザイン」。これにつきます。

もちろん、自分に自信があって言ってるわけではありません。本当に売れているアプリやインターフェイスのデザインを見ると、自分のは、まだまだ作っては疑い、作っては疑い、の繰り返しだと思ってやみません。自分のチカラというのは、いつになっても色んな意味で完成しません。常にまだまだな状態だな、ということを改めて気づきました。

さて、まとめ。ハッカソンですが、名前の印象からどうしても僕らデザイナーさんは敬遠しがちです。そういう意味では、大変意義のあるイベントだったと思います。開発者の方とのやり取りが学べるいい機会だったわけですが、いざ始まると時間が足りず、自分の作業だけで精一杯なことがあります。そこの反省はきちんとしたいですね。

例えば、アイデアに対し、自分の出せる引き出しの少なさが原因じゃなかったか? デザインのトライアンドエラーを繰り返す際、仕方がない(やってみないと本当にわからない)ケースと、事前に察知して余計なトライは回避できるケースもあると考えています。両方ともとっさの判断が要求されるとき、人は経験によって乗り越えられる場合と、無駄足を踏んでしまう場合があります。

僕はこの仕事を20年やってきた今でも、デザイナーとしてのエラーを経験して、少しでも効率の良いワークフローを実現できるようになりたいと考えています(効率、というのは、よくあるツールに頼るとかそんなのではありません。もっと自分の脳を鍛えるという意味に近い)。

今の自分の実力を色々と再認識できた2日間でした。SHARPの方、Androidの会の方、参加されたみなさん、勉強になりました。ありがとうございました!!

【あきば・ひでき】
hidetaro7@gmail.com
< http://www.akibahideki.com/blog/
>

テクニカルディレクター・デザイナー。DTP黎明期からグラフィックデザインを学び、東京都営団地下鉄など交通広告を多数手がける。同時に音楽活動も活発に行い、西日本半全国ツアーなどを展開、某専門学校のテーマソングを作詞作曲、編曲から楽器全てを演奏してレコーディングするなど、マルチなクリエイティブ活動も。最近では東京と大阪の教育施設などで講師業をも務める。
HTML CSS JavaScript Flash ActionScript 3DCG Movie DTP GraphicDesign...多種スキルを持つ。Web標準技術だけに執着せず、全てのメディアで説得力のある表現にチカラを注ぎたい、そんな仕事をしたい。