[3336] 変えるべきもの、変えてはならないもの

投稿:  著者:


《マップのひどさに笑ったくらいで:iPhone5》

■まにまにころころ[9]
 9月21日といえば!
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[328]Photoshop CS3〜6編
 CSSスプライト画像を作成する(2)
 古籏一浩

■データ・デザインの地平[22]
 変えるべきもの、変えてはならないもの
 薬師寺 聖

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■まにまにころころ[9]
9月21日といえば!

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
< https://bn.dgcr.com/archives/20120924140300.html
>
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こんにちは、コロこと川合です。大阪はなんか急に涼しくなって、さすがにまだ8月55日だとか言えない感じになってきました。また暑い日もくるとは思いますが、そろそろ観念して9月である事実を受け入れたいと思います。

──9月21日がきた!

そう、9月21日、記念すべきあの日がやってきました。iPhone5の発売日? いやいや、弊社の2周年記念日ですよっ。やー、あっという間の二年でした。なかなか大変な二年間でしたが、三年目となるこの一年も、たぶん大変です。

何年経っても大変だとは思いますけど、四年目には大変さの質が変わって、面白さも増すんじゃないかなと。今は今で面白いですけどね。なんにしても無事に三年四年と続いていけることが前提の話。あっという間と言ったものの、続けていくことの難しさはその間に充分感じました。五年十年と続いている先輩企業はまずそれだけで尊敬します。十五年続いてるデジクリもすごい!

──iPhone5

さてそんなわけで9月21日は記念日だったわけですが、だからといって別に何か特別な一日だったかと言えば、そんなわけもなく、この日一番の特別はやっぱiPhone5の発売だったわけですよ。

私は3GSからの機種変だったので動作の快適さは感動ものでした。でも、正直、他の点ではこれといって何も大きく感動することはなく、強いて言えばマップのひどさに笑ったくらいで。懸念してた長さも使いにくいってほどじゃないし、かといって画面の広さの恩恵を感じることも特になく。まだ全然使い込んでないからってのも大きいですけどね。

ただひとつだけ、これはすごいって思うのは、三代前の3GSから乗換えても特に違和感なく使えること。手にした瞬間からこれまで通りに操作でき......いやバックアップからの復元とか、アプリやデータの同期とか、パスワードの入れ直しはあったから手にした瞬間ではないけど、まあすぐにこれまで通りに使えるってのはすごい。

Androidじゃこうはいかないと思う。たぶん。よく知らないけど。

──9月21日の話、終わり。

創業記念日でもあり、iPhone5の発売日でもあった9月21日を経てだから、今回のデジクリは書くことに困らないぞって思っていたのに、思いのほか、これといって書くことがありませんでした。iPhone5なんて、予約段階の先週の方が色々書けたんじゃないかって思うんですが、祝日だったし。

よし、困ったときのセミナー話だ、なんてことも思ったんですが、直近のセミナー予定は、前回にたっぷり書いた9月30日の「SVG入門」で。

・まにゼミP5「どう作ればいい?どう使えばいい?SVG超入門」
< http://m2.cap-ut.co.jp/event/semi05.html
>
< http://kokucheese.com/event/index/52415/
>

もういっこ新着として、10月10日(水)にもセミナーやる予定なんですが、告知ページ読んでください、ってだけで終わりそうだし......

・大阪から世界へ「コミュニケーションが切りひらく新世代のIT経営」
< http://dcc-net.biz/event/
>

ついでに言っておくと、10月20日(土)にも何かする予定です。

全部大阪の話ですみません。

──大阪以外でも

大阪以外でのイベントに私が直接関わるのって、せいぜい10月5日、6日にある神戸ITフェスティバルなど、神戸どまりで。でも他の地域でもしたいなとは、前々から話に出てはいるんですけどね。遠くだと沖縄とか。なかなか実現はまだ先のことになりそう。早くて来年ですかねー。

というのも、かぷっと3人で大阪離れたら、その間あれこれ止まっちゃうし。かといってひとりで行くのも心許ないし。日帰りで行けばいいって思っても、遠くに行くからにはやっぱちょっとくらい遊びたいし。(笑)

これまで、たまたま年に一度のペースで、揃って遠出はしてるんですけどね。一年目は広島に。二年目は東京に。なので、年に一〜二回くらいなんとかしてどっか行ける気はするので、今期の目標として、とりあえず一回はちょっと、遠くに何かしにいきたいと思います。隣接してない都道府県に行くぞー。


ということで、三期目の抱負も出てきて、周年話に戻ったところで、今回は終わりにします。次回は10月1日ですね。いや9月31日だなんて言わなくていいように、月内の業務をしっかり終わらせるように、前向きに検討の上、善処する所存です。

......来週、遺憾の意を表明してたらすみません。

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< http://cap-ut.co.jp/
>

iPhone5になって動作が超快適になった勢いでつい、いくつもアプリ購入......

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■クリエイター手抜きプロジェクト[328]Photoshop CS3〜6編
CSSスプライト画像を作成する(2)

古籏一浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20120924140200.html
>
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前回のCSSスプライトのスクリプトは、あらかじめ作成済みの画像を読み込んで並べるものでした。用途によっては、これでは不便な場合があります。

実際にゲームのキャラクタを作成していると、フォルダに画像を入れておくよりも、Photoshopのレイヤーで管理した方が楽です。特にゲームでは複数のアニメーションを伴うことがあり、その際CSSスプライトが活躍するシーンが出てきます。

ということで、今回のスクリプトもCSSスプライト画像の生成です。今回は、現在開かれているPhotoshopのドキュメントからCSSスプライトを生成します。

CSSスプライトの元になる画像は、レイヤー単位で用意しておきます。なお、CSSスプライトのサイズはドキュメントサイズとレイヤー総数を元にして計算されます。このため、配置されたCSSスプライト画像は「ドキュメントの横幅×レイヤーの出現順序」のX座標になります。

実際のスクリプトは以下のようになります。最初にレイヤーの配置順序をどうするか聞いてきます。これは、レイヤーを左から並べるか右から並べるかを決めるためです。


// CSS Spriteレイヤー版(横並び)
(function(){
var flag = confirm("レイヤーの配置順序を下のレイヤーからにしますか?");
var w = activeDocument.width.value;
var h = activeDocument.height.value;
var total = activeDocument.layers.length;
activeDocument.resizeCanvas(w*total, h, AnchorPosition.TOPLEFT);
for(var i=0; i<total; i++){
if (flag){
activeDocument.layers[i].translate((total-1-i)*w);
}else{
activeDocument.layers[i].translate(i*w);
}
}
})();


CSSスプライト画像を横並びではなく縦に並べたい場合は以下のようになります。


// CSS Spriteレイヤー版(縦並び)
(function(){
var flag = confirm("レイヤーの配置順序を下のレイヤーからにしますか?");
var w = activeDocument.width.value;
var h = activeDocument.height.value;
var total = activeDocument.layers.length;
activeDocument.resizeCanvas(w, h*total, AnchorPosition.TOPLEFT);
for(var i=0; i<total; i++){
if (flag){
activeDocument.layers[i].translate(0, (total-1-i)*h);
}else{
activeDocument.layers[i].translate(0, i*h);
}
}
})();


なお、このスクリプトはレイヤーのサブフォルダや調整レイヤーなどを含んでいても動作します。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

iPhone5が出たので8bitマシンと比較してみました。iPhone5は対応しているのが少ないようです。
< http://www.openspc2.org/mz700/iPhone5/
>

iOS6のマップアプリ......地元でも施設の場所が間違っていたり、地図が古すぎたりと使えない状態。仕方ないのでmz-700で動作するマップを作成。30年前よりも精密になりました。(ネタです、念のため)
< http://www.openspc2.org/mz700/SemigraMap/
>

またまた、地元の塩尻市で10月14日(日)に「MA8 信州MashupCaravan&Meetup with GDG信州〜日本の中心からアイデアを叫ぼうミートアップ!〜」が開催されます。詳しくは以下のページで。
< http://atnd.org/event/ma8shinsyuu1
>

ようやく涼しくなりましたが、ほとんど雨が降らず。少し離れたところにある貯水池は完全に干上がってました。久々に(道路)景観アーカイブに映像を追加しました。6年近く同じ道を撮影していると、変化の多いところとそうでないところが分かります。

・(道路)景観アーカイブ
< http://www.openspc2.org/travel/
>

・HTML5ガイドブック 増補改訂版【10/19発売予定】
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844332937
>

・JavaScript逆引きハンドブック【発売中】
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082
>

・毎度おなじみASCII.jpの連載
「enchant.jsで懐かしのインベーダーゲームを作ろう」
< http://ascii.jp/elem/000/000/720/720419/
>

・すべての人に知っておいてほしいスマートフォンサイトデザインの基本原則
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844362844
>

・10日で覚えるHTML5入門教室
< http://www.amazon.co.jp/dp/4798124184
>

・改訂5版JavaScriptポケットリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4774148199
>

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/
>

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/
>

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/
>
吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。

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■データ・デザインの地平[22]
変えるべきもの、変えてはならないもの

薬師寺 聖
< https://bn.dgcr.com/archives/20120924140100.html
>
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●変化が現れる前に、自らを強いて変えよ

この10年、我々を取り囲むネットワークや端末は大きく変わりました。成果物を公開するしくみも確立され、誰でも大容量のデータを世界に向けて発信できるようになりました。

私は毎月こうしてメルマガ原稿を書き、それは一万数千人のもとに配信されます。そして私は、何本かの Windows Phone 7 アプリをマーケットプレイスで公開しています。それらは主に "Windows Phone 7 アプリ開発者" 向けに開発したもので、毎日コンスタントにダウンロードされ続けています。それだけ世界中で開発者が増えて続けているのでしょう。

また私は、一台のWindows 7 PCだけで創ったアルバムを、Amazon MP3やiTunesストアで販売しています。

世界中に、文章やアプリや楽曲を発信する人々がおり、ネットワークの向こう側には端末を操作するユーザーやリスナーがいます。技術進化に適応するよう自らを変えた多くの人々がいます。

筆者は変化がない状態を心地良く感じるタイプの人間ですが、常に自らを強いて変え続けています。なぜなら、新しい技術がデフォルトになった世界が見えているからです。変化が「立ち現れた」時点で慌てるよりも、「立ち現れることになっている」変化に適応できるように、あらかじめ自分を変えておいたほうがラクじゃないですか。

たとえば、紙媒体の衰退を確信した20数年前から、画面上でテキストを読むことを自らに強いてきました。昔は解像度が低かったので、画面で文章なんて読めるか! と毒づきながらです。それでも、電子媒体の時代が到来することは明らかなのですから、自分を変えるしかありません。読みづらく頭に入りにくいのを嘆きながら、自らを強いて慣らしました。そして今では、詩集と画集と一部の小説以外は画面で読む方がいいとさえ思います。

ボーカロイドでも同じです。筆者はまだヒトでも歌える曲ばかり作っていますが、「どのような音域でも、早口でも歌いこなす」初音ミクのあの甲高い声に、耳を慣らす必要性を感じています。突発性難聴持ちなので辛いのですが、我が国が世界に誇れる歌声合成技術に合わせて、自分の方が変わらなければ、という考えです。耳を慣らしたなら、頭の中の処理系が変わり始めることが分かっているからです。

もし歌の得意なヒトなら、初音ミクを真似て歌っているうちに、声帯の構造が変わっていくでしょう。ヒトは自らが創りだしたものを真似ているうちに、それに近付き、やがて超えます。さいきん、アニメのヒロイン(?)と見まがうばかりのリアル二次元美少女が増えているように。これは一種の進化かもしれません。

同じ理由で、若い人々は、シミュレーションゲームに親しみ、その速度と環境に合わせて変わる必要があります。動体視力と反射神経と判断速度がもとめられる世界に適応できるように自らの処理速度を変え、そして、自然がなく、ヒトとのリアルなコミュ二ケーションもなく、情報だけしかない世界にあっても精神の平衡を維持できるように、感覚遮断への耐性を獲得しなければなりません。ひょっとしたら、自室にこもって長時間ゲームを続けられる人々は、シェルターや宇宙での生活に適応する進化の過程の人材なのかもしれません。

変わり続ける世界の中で生き抜いていくには、自らを変え続け、進化させるしかありません。

●技術進化の世界から断絶した、変わらない日常

そうはいっても、誰もが「変わらなければ」という意識を持っているわけではありません。筆者が住んでいる町は地方とはいえ政令指定都市ですが、リアルでは全く異なる状況があります。

生活の中での必要な書類、たとえば役所の提出書類、病院の問診票、保健指導の食事記録などは、ほぼ手書きです。

脳波による入出力が研究され、音声入力が実用化される時代に、紙とペンを渡され、キー入力の何倍も遅い手書きをもとめられると、過去に戻ったかのような錯覚に陥ります。Webサイトからダウンロードしたフォーマットに入力し、印刷して署名するといった方法になるのは、まだ遠い先のことのように思われます。

さらに、プライベートで関わる事業者の中には、Webサイトもブログも開設していないケースがままあります。先方がメールを使っていないためにファクシミリで代用していると、IT格差という言葉が頭の中をよぎります。

PCに向かっている時は、技術進化の過程を垣間見ながら、PCの前を離れて「いまここ」に戻ると、アナログ手法が蔓延する世界に引き戻され、筆者はいつも、新旧ふたつの世界の間で、右往左往しています。

●変わる個人が作る、社会システムを変える土壌

技術進化を受け入れたくない、変わりたくないというのは、個人の自由です。ところが、変わりたくない人々が一定数以上いると、社会的問題の技術による解決は、雑談のテーマにすらならないでしょう。

身近な例で考えてみましょう。

たとえば、少し前に話題になった、生活保護受給の問題を思い出してください。技術進化に合わせて自分を変える人は、こう考えるかもしれません。

「同じ条件下での公正な判断は、ヒトよりも計算機の得意とするところだ。ならば、ハローワークや市民税課との連携を検討してデータベースを整備し、窓口業務は美少女ロボットに任せ、計算機では判断が困難な事例についてはヒトが補足するといったシステムは考えられないものだろうか?」と。

また、介護認定についても、こう考えるかもしれません。介護認定にあたっては、調査員が来訪して、聞き取り調査と日常労作のテスト(座ったり寝がえりをうつなどの動作が可能かどうかのチェック)を行います。このとき、高齢者によってはプライドから、平生は困難な動作を簡単にできると言う人もいますし、その逆もあります。

そこで、技術進化に合わせて自分を変える人は、こう考えるかもしれません。「調査員の見聞きする作業の一部を計算機に担わせられないか。日常労作を撮影したビデオ判定ではない。Kinectがあるじゃないか。蓄積されたデータは、整形外科やリハビリテーションの専門家にとって、有益な資料となるだろうし、障碍年金の裁定などにも展開可能なのではないか?」と。

こういったシステム構築は、予算や個人情報の取り扱いの問題や、もちろん技術的課題もあって、現時点では不可能に近いものです。しかし、技術進化にNOを言う人々は、実現可能性の是非を問う以前に、技術利用を考えようとする姿勢を持ちません。

「ヒトの力で行き詰ったら、技術で解決できないのだろうか」「ヒトと計算機の有効な連携はできないか」とは考えず、すべての問題をマンパワーで解決しようとします。いかに頑健なヒトも睡眠不足下では精神を維持できないにもかかわらず、マンパワーの限界を、精神論で突破しようとします。

技術を使って現実的な問題を解決していこうとする姿勢のタネは、技術的変化を受け入れる土壌がなければ、捲くだけ無駄です。土壌のないところに捲いたとしても、芽を出すことはありません。

●変えてはならないものを変えた、取り戻せない歳月

変えるべきものがある半面、変えてはならないものもあるでしょう。

変えるべきものとは、自分です。技術が進化した社会に適応できる人間に、自らを変えていく方がよいでしょう。

変えてはならないものとは、生活です。一ミリも変わってはならないとは思いません。が、自然環境がその変化に付いていけないほど、生活のあり方を「急激に」変えてしまっては、リスクが大きすぎるのではないでしょうか。

(その意味では、情報端末の製造にも環境破壊が伴います。しかし、それは教育を津々浦々に浸透させ、ヒトの知性を押し上げます。結果、環境汚染は抑制され、女性の地位は向上し、悲惨な出来事も減っていくでしょう。技術進化は、微妙な平衡の上に成立しています)

急激な経済成長を善しとする社会で、大量消費を突然止めてしまうと、経済は混乱するはずです(筆者には経済学の専門知識はないので、大雑把なことしか言えませんが)。ゆるやかな経済成長を続けている中での成長の一時停止であれば、進むべき方向と善後策を考えられる時間的なゆとりがあるのではないでしょうか。

「喜怒哀楽」よりも「快不快」を行動の基準に据え、長期報酬より短期報酬を選択し、個の内省の時間を非効率の名のもとに切り捨て、人生の全時間を生産と消費のために使うことが正義だとばかりに、エネルギー大量消費の方向へと舵をきったのは、まぎれもなく、若い世代ではなく筆者以上の年代の人々です。

もし、決してニーズを見込むことのできない市場であったなら、企業は莫大な先行投資をしたでしょうか、それとも、ニーズは無関係だったのでしょうか?

技術進化に対しては自分を強いて変化させ、生活は昭和の時代から徐々に向上させて急激に変えることはしない───そんな方針で生きてきた筆者から見れば、我が国においては、変えるべきものと変えてはならないもののふたつが、逆転しているように思われてなりません。変えるべきものは変わっておらず、変えてはならないものが変わってしまったように感じられるのです。

●方向転換へ。次世代の感性と思考力に期待する

こんなことをつらつらと書き連ねたところで、平成の歩みを過去に戻ってやり直すことはできません。それでも、一縷の望みはあります。

すくなくとも、自らインターネットで情報を収拾し、その真偽を見極めようとする若い人々は、技術進化に背を向け、与えられる断片的な情報だけを鵜呑みにして行動してきた何割かの上の世代よりも、自分の頭で考える姿勢を持っているように見受けられます。

いくらかの若い人々は、世界の静謐のやりきれなさを歌うことができます。そのような最期を迎えないように、平和を祈念し、友情に憧れ、ささやかな日常を尊び、地球の自然を想うことができます。

詩情を理解しない中高年世代の一部は、花見の席を、花びらの舞う音をかき消す大音響の宴会場に変えてしまいました(昭和40年代までは、そのようなことはありませんでした)。それでもなお、「桜」という一文字に、やわらかな薄紅色の花びらを通して透ける光りをイメージできる心は、まだ若い人々の中に残っているでしょう。

年齢を重ねれば経験は増えます。しかし、重要なのは「経験そのもの」ではなく、その「経験をもとにどれだけ深く内省したか」です。経験だけ多くても、単に表面をなぞっただけならば、年を重ねたところで世界に対しては無知なままです。高齢者の方が物事を見通しているとは限りません。

若い人々よ。思考停止状態で上世代の後を歩くのではなく、自分の頭で徹底的に考え抜いて、進むべき方向を定めてください。ハングリー精神は必要です、チャレンジ精神も必要です、しかしそれらは、限りある資源や生命を食い散らかす貪欲さを意味しません。

そして、技術進化に対しては NO を言うのではなく、事前に変化を察知して自らを適応できるように進化させてください。ビジネスの勝者になるためではなく、一個の生命体として生き残るために。

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◆7曲入りアルバム「イメジェリの地平 feat.巡音ルカ」

1980年代前半に書いたアコースティックサウンド。全曲英詩。
Amazon MP3、iTunes ほかで好評発売中。
< http://itunes.apple.com/jp/album/out-imagery-feat.-megurine/id555002559
>

・試聴 PV
<
>

◆Windows Phone アプリ、各国で好評ダウンロード中。

「センサー計測セット / Sensors Set」
「ビジュアル傾斜計 / Visual Clinometer」
< http://www.windowsphone.com/ja-jp/store/search?q=SeiSeinDesign
>

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■Windows 8 いよいよです!

< http://windows.microsoft.com/ja-JP/windows-8/release-preview
>

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【薬師寺聖/個人事業所セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/
>
ブログ < http://blogs.itmedia.co.jp/seindesign/
>
PROJECT KySS < http://www.projectkyss.net/
>
< infosei@seindesign.net >

絵・音・詩・文・コードを扱うフリーのクリエーター、思索家。エンジニアリング会社を経てデザイン事務所に勤務後、XML1.0勧告翌月に退職して開業。科学技術や医療・福祉分野のXML案件を手がけながら、書籍や記事を多数執筆(PROJECT KySS名義)。四国在住。
Microsoft MVP for Development Platforms - Client App Dev (Oct 2003-Sep
2012)

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編集後記(09/24)

●贔屓にしている稀勢の里だが、秋場所もふがいない。稀勢の里がコレをやったときは負けることが多い、というアクションを前場所で発見した。最後の仕切りで、先に構えたときは危ない。いつもは相手が構えるのを待ってからやおら腰を落とし構えに入るのだが、焦りがあるのか急いで先に構えることがある。今場所5敗中の4回(安美錦、日馬富士、白鵬、鶴竜)がそうだった。まあ、横綱相手では先に構えるのは礼儀かもしれないが。

谷村昌平「埼玉の逆襲」を読む(言視舎)。逆襲ねえ、埼玉県が、どうして? と思う。この「笑う地域活性化本」シリーズでは青森、茨城、群馬、高知、北海道のそれぞれの逆襲がある。筆者はプロローグで「全国見渡せど、埼玉ほど『逆襲』という言葉が相応しい県はないでしょう」と、断定している。「逆襲したい! という鬱憤が溜まりまくっている県ナンバーワンだということです」とまで言われてもなあ。

埼玉が東京から受けて来た憂き目を云々というのが逆襲の根拠らしいが、根っからの埼玉県人であるわたしでさえ、そんなこと考えてもみない。ダサイ玉といわれても別に腹も立たない。なんか勘違い本じゃないかと思ったら、結局は、埼玉の隠れたお宝や幸せを自慢する本になっていて、それはそれで結構なことである。

東京に出るのにとくに脱故郷の必要はなく、いつでも東京の文化に接することができる。成田、羽田、海、山、温泉にも近い。住むにも働くにも適しているし、外食産業も充実、総合病院もたくさんある。こんなバランスのいい県は他にありません。埼玉県はとっても住みやすい。過去10年間の快晴延べ日数585日は全国第1位、いつも晴れていて自然災害も少ない。さらに、「なんにもない」という埼玉の生み出した処世術のすばらしさ。謙虚で、慎ましく、おおらかで、のんき。しかも敵がいない。埼玉県民であることがどんどん誇らしくなってきた、ってほどのことでもないけど。

「埼玉県は特徴がないのが最大の特徴」というのは、言い得て妙。本のサブタイトルは「『フツーでそこそこ』埼玉的幸福論」。たいへん楽しめました。埼玉県人以外は読まないかもしれないが。ところで、埼玉県は行田の名物「十万石まんじゅう」は本当にうまい。「うまい、うますぎる」と棟方志功も絶賛。今すぐエキュート大宮に買いに走りたくなった。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4905369363/dgcrcom-22/
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●アップルサイトのグローバルメニューが画像じゃなく、SVGだと知った時驚いた。Retina用に2つ画像作って、JavaScriptで置き換えなんてのを考えなくていいんだ。ということでSVGセミナーには期待している。/古籏さんの8bitマシン比較表で吹き出した。/薬師寺さんのを読んで、先見性ってこういうことなのだと驚いた。面白いものにはすぐ乗るが、面白いと思えないものに消極的になる自分は、どうしたらいいんだろうとも考えた。追いつめられてしぶしぶ変わらないとなぁと動き出すのに......。

月初の話の続き。電話した。とても感じの良い女性だった。私がテンパりながら説明すると、「今日の夜間に再引き落としをしますね。」とのこと。ありがたい! 明日朝には引き落としされたことを確認してもらえます、督促が入れ替わりに来るかもしれませんけれど、というようなことを言っていた。その日の夕方に入金した。さっき、引き落としを確認した。ああ良かった。督促状は来なかった。終わり。なぜ一度没になったかはおわかりですね......。

ずぼらな私は、毎月105円という、ケチな私にとっては大金を払って、引き落とし連絡メールサービスを登録している。私にとって大金かそうでないかは、それが役に立つか、すぐにゴミにならないかどうかで決まる。このメールサービスをなぜ「大金」だと思うかというと、民間一般企業なら無料サービスで提供されそうなものだからだ。そして返済にかかる引き落としが月に二度しかないからだ。

毎月同額の引き落とし(例えば保険料)ならハガキですら通知がこなかったりするし、クレジットカードはWeb明細に移行しつつある。いくらポイントがつこうが、面倒で確認しなくなるのが目に見えている(金銭感覚が麻痺する)ので移行したくないのだが、勝手にWeb明細にするところもあるのだ。リマインダーやカレンダーに「確認」なんてのを入れておいたって、毎日届くリマインダーメールより、銀行名の入った月に数度のメールの方が真剣になるというものだ。夜間の事前引き落としで落とせませんでしたよ〜なんてのが来て、助かったこと数度。これは三井住友銀行のサービスであるが、他でもぜひやってもらいたい。前述のローン返済銀行でもやってくれたらなぁ...。(hammer.mule)
< http://www.apple.com/jp/
>  アップル
< http://m2.cap-ut.co.jp/event/semi05.html
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どう作ればいい? どう使えばいい? SVG超入門
< http://www.smbc.co.jp/kojin/mailannai/index.html
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