[3455] 板橋区立美術館付近の地形がスゴイの巻

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《ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン》

■わが逃走[123]
 板橋区立美術館付近の地形がスゴイ の巻
 齋藤 浩

■3Dプリンタ奮闘記[08]
 3Dプリンタ「発動篇」その1
 織田隆治

■ところのほんとのところ[94]
 休館日なのにお客さんがいっぱい!?
 所 幸則 Tokoro Yukinori




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■わが逃走[123]
板橋区立美術館付近の地形がスゴイ の巻

齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20130404140300.html
>
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先日、板橋区立美術館にて『狩野派以外も大にぎわい』なる展示を見てきた。作品はもちろん、企画も展示の仕方もイイ。

解説もわかりやすく、しかもノリノリで書かれており実に楽しい!!図録のデザインもイイし値段も安い。しかも入場無料だ。参った。

久々に送り手側の心意気を感じた展覧会だった。創意工夫のセンスが絶妙なのだ。

この美術館はどの駅からも遠く、めんどくさがって今までほとんど行かなかったのだが、今回その心意気に惚れた。これからはこまめに行ってみようと思う。

さて、惚れた理由はもうひとつある。このあたりの地形が美しいのだ。

成増駅から美術館へ向かった際、運良く道に迷ったせいか、突然現れたナイスな地形に感動したオレなのである。

調べてみたらここは赤塚川の谷とよばれる地域で、この付近の階段道はけっこう有名だった。

東京とサイタマに40年近く住んでいるにもかかわらず、県境の地形に見向きもしなかった今までの生活を深く反省いたす次第。

さて今回は、そのときに撮った写真で、地形やそれに伴う造形の面白さをちょっとだけ紹介する。

初めての地で舞い上がってしまったというのもあり、説明的な写真が多いが、今後このあたりを地道に散歩しつつ、さらにわかりやすく、美しく撮影することを目標としたいと思うオレであります。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/01 >

垂直に交わる階段。面がツライチになってるところがなんとも美しい。ミニマルアートのようだ。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/02 >

赤塚川の暗渠を見下ろす。階段道はやはり気持ちいい。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/03 >

飾る美しさではなく、本質の美しさ。階段のある生活は心も豊かになる。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/04 >

ちょっとした小階段にも個性があって楽しい。スロープ部分の微妙な曲面が秀逸である。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/05 >

見事な曲線を描く美しい階段。スロープの中央部が階段状に削られているような構造だが...。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/06 >

頂上付近ではスロープよりも階段が高くなる戯曲的構造! スロープの三次曲面もうねるぜ!

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/07 >

真ん中にマンホールがある直線階段。カワイイ!

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/08 >

こうしてみると腕時計のようだ。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/09 >

住宅と住宅の間からすっと伸びてくる細い階段。スロープ天面のラインが左右で異なるのが個性的。

< https://bn.dgcr.com/archives/2013/04/04/images/10 >

地形を感じながら暮らせる幸せ。

オレは幼い頃から坂道や階段道が大好きなのだが、写真に撮るとその魅力が半減してしまうことにずっと悩んでいた。というか、今も悩んでいる。

つまり、ファインダーから見える立体的で美しい坂道が、撮った途端、平面になってしまうのだ。

でも『立体的な地形のうねりを感じさせる』って死ぬまで写真を撮り続けるのにちょうどいい目標かもしれない。

いわゆるライフワークってやつになりそうだなあ。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/
>

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■3Dプリンタ奮闘記[08]
3Dプリンタ「発動篇」その1

織田隆治
< https://bn.dgcr.com/archives/20130404140200.html
>
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「ウィィィィィィィィ〜〜〜〜〜ン!」
「こいつ。動くぞ...」

まずはラフトと呼ばれる土台となるベースを出力してゆく。これは、土台(ベッド)と出力する樹脂の水平(レベル)を出す事にも関係しているようだ。とりあえず、じっと見てみる。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」

というステッピングモーターとステーのベアリングの音とともに、ヘッドが前後に動き回る。ヘッドの動いた下には、溶かされた素材が細い線になって土台(ベッド)の上にのってゆく。

分かりやすく言うと、ホットボンドの小さいのから、細く溶かされた樹脂がギュギュっと絞り出されて行くのである。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「............」

一層目が終ると、土台(ベッド)が0.125mm下がり、その上にまたヘッドが動いて積層して行くわけだが、今度はヘッドが左右に動いて「井」の字のような状態のラフトが出来上がる。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「............」

このラフトは、底面積の小さいブツを出力する場合、ベッドから出力したものが剥がれてしまうのを避けるために、底面積を増やす役割もあるのである。ラフトの出力が終ると、その上から本来の3Dデータの出力が始まった。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「............」

なんか感動!
これが積み上がって行って、形が出来上がって行くのね〜!

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「............」
「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「............」


「うん...これ、凄く時間かかるよね...そりゃそうだよね...」

分かってはいたことだが、一層が0.125mm。それが終るとベッドが0.125mm下がり、その上にまた0.125mmと積み上がって行く。例えば、125mmの高さのある物を出力する場合、この作業が1000回繰り返される訳だ。

床面積(平面)が大きいと、それだけ一層目に時間がかかる。その高さが高いとダブルパンチで時間がかかるわけである。

本当はじっと見ていたのだが、こんなのずっと見てたら眠ってしまう。とりあえず、見ておきたい衝動を抑えつつ、本来の仕事に戻って出来上がりを待つことにしよう。

時間がかかるといっても、本来手作業でコツコツやる作業を、文句も言わずに黙々とこなしてくれる。

単純な形状なら、手作業で作った方が早い時もあるし、形状によっては手作業の方が早いが、うまく使い分ければとても良い相棒になるに違いない。

僕はその間に他の作業が出来るし、その形状を同じ時間で正確に手作業でモデリングするよりも遥かに早いので、一石二鳥とはまさにこのことだ!

「果報は寝て待て!」だ!

って言うか、寝てたら意味ないので他の制作物の作業に戻る。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「ギュッ!ギュッ!ギュッ!ギュッ!ギュッ!ギュッ!」

という軽快な動作音をBGMに作業を始めて一時間程経った頃...。

「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「シャ======================」
「ヴィィィィ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ン」
「シャ======================」

ん? 何か音変わったな...。
と思って振り返ってみると、なんだかおかしい...。

ヘッドの先から何も出ていないし、造形も半分くらい終ってその上の空間にヘッドが動いている...。

「なんじゃこりゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜! どないなっとんねん!」

震える手と心をどうにか抑えてよく見ると、セッティングの際、ヘッド部分に素材を止めるボルトがあるのだが、そのボルトの締めつけが甘く、成形が進むうちにボルトがゆるくなり素材が空回りしてしまって、ヘッドの先に素材が行ってなかったのが原因のようだった...。

「おおおおぉぉぉぉぉぉ。これが失敗という奴か!」

僕の使用している3Dプリンタの場合、途中で止まるとアウトで、それまで出力した物は使えなくなる。

僕は幾多の災難を乗り越えてきた、たくましい個人事業主である。こんな時に頭使わんでどうする! うう〜ん、どうしたものか...。

そこでキラッ! とひらめく訳である。おもむろにノギスを取り出し、出力が止まってしまった所までの高さ寸法を計る。

そして、制作した3Dデータの下部のその寸法までを切った状態のデータを制作して、それを出力すれば良いのだ!

う〜ん、僕ってかしこいやん!

とかバカなことを考えながら、またプリンタにデータを送り込んで再可動させるのであった。

完成にはまだ色々と苦難の道を通って行くことになるのを、僕はこの時まだ知る由もなかった。

【織田隆治】
FULL DIMENSIONS STUDIO(フル ディメンションズ スタジオ)
< http://www.f-d-studio.jp
>

制作もまだ始まったばかり。色々な困難や問題をどうクリアして行くか、など順を追って紹介していきます。


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■ところのほんとのところ[94]
休館日なのにお客さんがいっぱい!?

所 幸則 Tokoro Yukinori
< https://bn.dgcr.com/archives/20130404140100.html
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TOKYO Shibuya Lovers Photographers「渋谷論*AROUND THE SHIBUYA PARCO 写真展」の、トークショーとレセプションも3月30日(土)に終わりました。会期は4月14日(日)までです。

4月1日(月)、早めに会場のギャラリーコスモスに行きました。午後から在廊し、所塾生からの写真の相談に応じることと、国際的フォト・フェア「東京フォト」の実行員でもある池末浩規さんが来られるからなのですが、行ったらなんと休館日でした! ですが、そこはアレ、無理を言って開けてもらい、休館日じゃなくなりました。

実際、[ところ]はチラシにも告知にも、月曜休館と書くの忘れていたのです。当日は春らしい暖かい気候で、平日にもかかわらず見に来てくれた方が多くて感謝感謝です。[ところ]がちょうどいいタイミングにギャラリーに着いて、無理にオープンしてもらい、それがよかったとホッとしました。

多くのお客さまの中でも、スッと入って来た老紳士は以前から[ところ]の作品をご存知だそうで、わざわざ来てくださったのですから、その場にい合わせられて本当によかったと思います。

昔から渋谷が好きで、[ところ]の作品も好きで、新作を見たかったというのもあるのだけれど、6人の違うタイプの写真家が渋谷を撮って展示するという企画にもとても興味があったから来られたそうです。

そういう話を聞き、[ところ]がここにいなかったら、と思うと冷や汗が出そうです。その方は充分作品を堪能された後、サッと[ところ]のオリジナルプリントを一枚買って下さいました。ありがとうございます。

池末さんは6人の作品を一時間以上にわたり熱心に見て下さいました。[ところ]の最近の作品と、2年半前に買っていただいた24枚セットの「渋谷1sec」からの変化など微妙なところをよくお分かりで、さすがだなあと思いました。

この人は「東京フォト」の実行委員というだけではなく、フォトグラファーで、写真のコレクターでもあります(それどころか、政治関係のすごいブレーンだったりもします)。

池末さんは写真の話を対等に忌憚なく話せる数少ない友人でもあります。帰り際に[ところ]の作品コシノシリーズを3枚まとめて買っていただきました。池末さんと話しているあいだに、大阪芸大の教授だった梶原さん(日本カメラで23年編集長をされていた方)も来られました。

いい日だったなあ。

まだ「渋谷論アラウンドザ渋谷PARCO写真展」やってます。買いやすい値段の小さいプリントもあります。ぜひ部屋にかざってみてください。

・TOKYO Shibuya Lovers Photographers「渋谷論*AROUND THE SHIBUYA PARCO
写真展」2013年
会期:3月26日(火)〜4月14日(日)会期中休みなし
会場:ギャラリーコスモス(東京都目黒区)
< http://gallerycosmos.com/main/?cat=1
>

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/
>
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/
>


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編集後記(04/04)

●高橋克彦「ツリー」に刺激されて、書棚の奥を探って彼の本をいくつか引っ張り出したら、「1999年 高橋克彦対談集」(1990、小学館)という珍本が現れた。装幀は横尾忠則。「予言された年1999年を予言された国日本で迎えなければならない諸君に贈る」と扉にある。1999年とはアレである。7の月に空から恐怖の大王が降って来る、っての。当時はそんなアホなとは思っていたが、本当だったらちょっと面白いかな、なんて気分も12%くらいはあったのは確かだ。1998年の12月、わたしは3DCG美少女の書籍をつくっていて、「これで1999年も大丈夫」という帯をつけて、ちょっと得意だったことを憶えている。

この本は小学館の「ワンダーライフ」というオカルト雑誌(わたしも最終22号まで全部買ったバカです)に連載された対談から、5人分を抜き出し一部加筆したものだ。イヤハヤ登場人物がすばらし過ぎる(笑)。矢追純一、横尾忠則(二度登場)、五島勉、小島露観、あすかあきお。小島露観だけは知らなかったが、太陽系の7大悪魔を熾烈な戦いの末破り、神と悪魔の融合に立ち会ったといい、高橋に感激の涙を流させたとびきり怪しい宗教人だ。

五島勉は「ノストラダムスの大予言」(祥伝社、1984)でこの騒動を巻き起こした張本人だが、5人の中で一番正常な人物であった。「ノストラダムスの予言が的中しなくたって、世の中が良い方向に行けば良い。そのうえで『ほら、昔、ノストラダムスの予言とか馬鹿なことを言ってたやつがいたな。全然当たらなかったじゃないか』っていうふうになった方がずっといいんですよ。『当たりませんでした。ノストラダムスと私の責任です』で終わりになる」ははは、当たってるじゃないか。

今読んでいると高橋克彦が気の毒になって来る。こんな素直な、騙されやすい人はいない。「話がほんとうであるかどうか確かめる立場で対談に臨んできた」とは言うものの、何から何まですっかり信じている。もちろん1999年を確信し、若い人に向かって「あと10年しかないからムダにしないで生きてくれ」と講演していたそうだ。この対談集は1994年に講談社文庫に入ったが、既に意味がなかったのではないか。いまはどちらも絶版だが、アマゾンのマーケットプレイスで251円(うち送料250円)で買える。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4092073011/dgcrcom-22/
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1999年 高橋克彦対談集
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4396100558/dgcrcom-22/
>
ノストラダムスの大予言


●ノストラダムスは信じてなかったな。いま仕事でてんやわんやなので、誰も傷つかない形での何か事件があったらなとふと思ったり。時計の進みが北半球で早くなっていました、今日は3月20日です、今から20日に戻ります、とかでいいんだけど。南半球に合わせてもらうってのはナシで。

こういうタラレバな文章を北斗の拳時代の人たちが断片的に読んで、北半球と南半球で時間の流れが違う時期が過去にあった! なんて誤解されてみるのもいいなぁ。

Googleカレンダーには、理想とする一日の大まかなスケジュールを入れてある。起床時間から始まり、朝食や家事、移動や仕事開始時間、昼休みなど。そしてこれにアラームをつけ、なるべく近づけるようにと考えている。が、終業時間なんてあってないようなもの。家事や日常枠は余裕でつぶされる。

で、入れてみたのが『絶対定時少女』。Android版、iOS版がある。アプリ詳細から抜粋。「残業ばかりでグズな大人が嫌いな17歳の女子高生『定時朱莉』(さだときあかり)があなたの勤務時間の管理を行うタイムカードアプリ」「手軽なタイムカード機能」「豊富なキャラクターコメント」「Twitterと連動」「簡単な暇つぶし&気付きを提供」。続く。 (hammer.mule)

< http://d-nami.co.jp/d-wave/service/app/akari.html
>
絶対定時少女