Otaku ワールドへようこそ![181]冷え込む恋愛市場は地球の逆襲
── GrowHair ──

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若者の9割が結婚したいと思いながら、現実には半数以上に交際相手がいない。8月26日に明らかになった2013年度版の厚生労働白書案によると、18〜39歳の未婚者の9割弱が結婚願望を抱いているのにもかからわず、現実には、異性の交際相手も友人もいない割合は男性で約6割、女性で約5割に上っているとのことである。

これを受け、大学の社会学の教授や経済紙の編集者などが、原因を分析し、対策案を提示している。感度の高いアンテナを張って社会の動向に関する情報を常々収集し、社会現象を分析的に考えているプロフェッショナルな面々が真面目に評論しているのであるから、聞く価値があるだろうとは思う。

けど、なんだかピンと来ないのだ。理屈を聞いても、実感として共感できないというか。

「街コン」などをもっと推進して、出会いの機会を増やそうとするのはすばらしいけど、出会いの数に比例してカップル成立の数が増えるだろうか、とか。出会いがないないと自分に言い訳してる人たちが、あってもダメだったと思い知る機会になるだけだったりしないだろうか。

政府が子育てに補助金を出したり、保育園を増設するなどして、子育てしやすい環境を整備するのはいいこととしても、それで恋愛が始まるだろうか、とか。

LINEやFacebookなどのソーシャルメディアの普及により、出会いは無数にあふれているけれども、出会いの敷居が下がったおかげでかえって「もっと素敵な人が現れるかもしれない」と目移りしてしまい、一人の相手にコミットしなくなってきた、との分析も提示されている。そんな天国みたいなことが、いったいどこで起きてるんでしょ?

社会評論のプロフェッショナルによる分析にあっても、ビミョーにズレてるんじゃなかろうかと疑わしく思えるような調子である。ましてや、高校時代に社会科万年赤点だった私などがものを言うとしたら、そうとう的外れなことを言わなければ、バランスがとれまい。ひとつ試みてみよう。




●地球の逆襲説

地球はついに人類を敵認定した。なにしろ人類は地球環境の保全に無頓着すぎた。ここへ来てようやく「環境にやさしい」、「エコ」、「持続可能」といった意識が芽生えてきてはいるが、しょせん人類が地球のために実行できることは限られている。

駅のエスカレータやエレベータは、なければ上り下りにどうしても困る人だけしか使っちゃいけないことにしよう、とか、冷暖房の使用は病院だけに限定しよう、とか、電力の使用は水力発電でまかなえる範囲内に制限しよう、とか、そういう潮流には絶対にならない。

筋肉の運動を人工的なエネルギーの消費に代替させることによって、生活の利便性を次々に獲得していく文明化の流れを逆転させずに済む範囲内で、しかも、大量生産と大量消費によって成り立っている経済を減速させない範囲内で、という限定詞がどうしたってついちゃう。

経済を減速させては、文明に慣れきった人々の暮らしが立ち行かなくなる。下手すりゃ死人が出る。環境がいくら大事だとは言っても、環境保全政策のせいで、死人が出たりしては困るのだ。人々の生活の目先の維持のほうを断然優先すべきなのだ。

地球はもう怒った。人類なんて一気に全滅させてやってもいいのだが、いちおう慈悲をかけてやって、現存してるやつらの目先の生活はいいとしよう。その代わり、次の世代を作らせないようにすることで、人口をどんどん減少させてやろう。

もうお分かりであろう。いま、若い世代で恋愛が起きにくくなっているのは、地球が人類にかけた呪いのせいなのである。その割には、人口が減少傾向に転じているのは日本くらいのもんで、世界では相変わらず増加傾向なんじゃあるまいか、という反論もあろう。それは、日本が世界のトレンドの最先端を行っているからであって、世界もやがて追従してくるはずである。

一千年前、日本の人口は500万人程度だったであろうという推計がある。今の24分の1である。東京都の人口に対しても38%程度である。

一方、国立社会保障・人口問題研究所によると、50年後の日本の人口は8700万人にまで減少するであろうと予想されている。現在の約6割である。仮に、この減少率がずっと一定で続くとすると、約400年後には、一千年前と同じ、500万人に戻る計算になる。

それでいいのではあるまいか。

あの当時、私はまだ生まれていなかったので、見てきたというわけではないのだけれど、ニッポン 500万人体制でなんとかなっていたのだから、400年後にまたその人口になったとしても、やっていけるのではあるまいか。

今の文明を維持したままでその人口では無理、という反論もあろう。鉄道がみんな赤字路線になっちゃって、山手線が一時間に一本しか来なくなっては困るであろう、とか。インフラの利用効率やチェーン店の運営などを考えると、ある程度以上の人口密度がなくては経済は成り立たない、とか。

だったら、集めちゃえばよいのではないか。人が住むのは東京と大阪だけに限定しちゃう。それでも、みんな庭付き一戸建ての家にに広々と住める。残りの地域はクマやイノシシやニホンカモシカやニホンオオカミに返してあげよう。あ、返してあげてももういないニホンオオカミ。ごめんよ。

日本人が減少したら、労働力が足りなくなるから、外国人を大量に招き入れなければならなくなる、という議論はあろう。しかし、その理屈はおかしい。たったの500万人の労働力で一億人の生活を維持しようというのであれば無理かもしれないけど、消費側だって減少するのだから、労働の配分比率を維持しながら規模だけを縮小していけばいいのではないか。

実際、フィンランドの人口は約520万人だが、これでは少なすぎて文明国家が維持できない、ってことはあるまい。一億人にするために、9500万人を外国から招き入れなくてはならない、なんていう話は聞かない。

人口が減少したら、それに伴い経済が縮小し、それはとりもなおさず軍事力の弱体化に直結する、という懸念は、まっとうでしょう。世界の国々も同調して人口減少してくれればいいのだけれど、日本だけがトレンドを先取りしていたのでは、国家間の力のバランスが変わってきちゃう可能性はあるだろう。

どっかの海の小さな無人島がどの国に帰属するかなんて問題、古文書を紐解いて、学術的に真相を探求するなんてことは、大した実効をもたらさないであろう。要は、力の強いほうの言っていることが「正しい」。それだけのことである。国と国とが、どっちが「上」であるかを相手に見せつけるためのゲームみたいなもんでしょう。と、私はみている。

人口減少に比例してGDPが下がっていけば、それは軍事力の低下を意味し、軍事力の低下は、国際社会でものごとを決める際の声の大きさの低下を意味する。今まで、経済力を頼みに、近隣諸国を下にみてきた日本であるが、「そろそろその態度も改めてもらうときじゃないですかねー」と近隣諸国がニヤニヤしはじめている、というのが今の状況なのではあるまいか。

まあ、実際に軍事力を行使してくるってことはまずないとは思うけど。いざとなったら、神風が吹いてくれることに賭けましょう。

それじゃ心もとない、って場合は、近隣諸国にさきがけて人口が減少していくのは、避けるべきだと言えるかもしれない。富国強兵はまず恋の炎から。

●どうせ解決できない

こういう問題は、政治家がいろいろ思案してみたところで、だいたいにおいて、結局解決できない。老人問題なんて、40年前から危機だ危機だと言われてきて、結局どうにもならず今に至っている。けど、なんとかなっちゃっている。

私は小学生時代、四谷大塚進学教室が休みだった暮と正月の間だけ、西日暮里に開校したばかりの進学塾「桐杏(とうきょう)学園」に通った。その進学塾の模擬テストの社会科の問題に「老人問題の解決策を考えて書け」とあった。

政治家が真剣に考えてどうにもなってない社会問題の解決を小学生に求めるなよ、と思った。こういうふざけた出題に対しては、ふざけた答えに限る、と思い「60歳以上の人を皆殺しにする」と回答した。そのせいか、進路面談では「社会科がまったくダメだから開成中学を受験するのはあきらめなさい」と言われた。で、桐朋中学を受け、合格した。

余談だが、そのときの受験番号は非常にいい番号だったので、今も覚えている。1番である。まあ、整理券を一番に受け取ったってだけなのだが。当時、その番号は受からないというジンクスがあり、みんなが尻込みして譲り合っているとき、空気を読まないウチのオヤジがさっとしゃしゃり出て受け取っちゃったというわけである。

それはそうと、結局、模範解答はどうだったんだよ? 老人問題、解決できてねーじゃん!!! あれから40年経ってるんだけど。物価の安い海外で老後を過ごそうという「シルバーコロンビア計画」だって、バブル経済の崩壊とともに、構想も破綻しちゃってるし。

老人問題がこの調子なんだから、人口減少問題だって、結局似たり寄ったりでしょう。すでに雪玉は坂を転がり落ち始めている。......って、それじゃ増えるたとえか。

恋愛市場の冷え込みを何とかするために、政府をあげて税金のバラマキをやったとしても、たぶん、流れを逆転させるには至らないでしょう。子育てにかかる費用の相当な部分を政府が負担してくれるというのは、いいことなんでしょうけど、それで恋愛が始まりますかいな。

政府主催の婚活パーティも、開催してくれるんだったら、好奇心から参加してみたいと思わなくもないけれど、地球の呪いにかかって意識の冷え込んだ者どうしがいくら出会ったところで、その出会いの量に比例して恋愛が始まるってもんでもないでしょう。

政府主導で、恋愛の安易な火付けからデキちゃった婚への流れを推進するわけにもいかんでしょうしなぁ。青年よ、大志はいいから女を抱け。

ま、そういうわけだから、人口減少を問題だ問題だと騒ぎ立て、原因を分析し、対策を講じたところで、しょうがないってことだ。むしろ、問題視するのをやめて、自然になっていく状況をそのまま受け入れ、地球がわれわれにかけた呪いのとおり、400年後には500万人体制で日本を運営することを積極的に目指せば、実は問題でもなんでもなかったりするのではなかろうか。

そのあおりを受けて、燃えるような熱い恋なんてロマンチックな世界から完全にあぶれちゃっている若い世代のみなさま、たいへんお気の毒さま。けど、60歳以上になったら皆殺しにされることで人口減少に貢献するか、次の世代の誕生を抑制することで同じ効果を得るか、どっちか選びなさいと言われたら、やっぱり後者を取るのではなかろうか。

それではいかにも淋しいという面々に朗報です。二次元がありますぞ。これは、考えようによっちゃ、三次元世界よりもはるかに制約が少ないおかげで、可能性においてははるかに広大だったりします。

そっちへ行っちゃっては人としてダメダメだと思う向きもあるでしょうが、気にしなければ、幸せになれます。しょせんは空想が作り上げる二次元の世界。空想が豊かに広がれば広がるほど、その二次元世界は広大になっていきます。広々とした世界でのびのびと遊べます。そうやって幸せになったもんが勝ち。

......って、おかしい。そんなことを言うつもりじゃなかった。このテーマで書こうと当初思ってたことがひとつも書けてない。かなりの分量のメモ書きが、使われずに余っている。まともな議論は次回かそのうちに持ち越しとさせてくださいまし。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
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9月7日(土)、ネットでよく話題になっている「トウモロコシおじさん」と初の対面を果たしてきた。

大根やトウモロコシにリードをつけて散歩させる姿が渋谷や池袋で目撃され、フジテレビの「アウト×デラックス」にも出演したことで、このところ話題沸騰の紳士である。野菜をペットとして散歩させるという発想に意外性があっていいし、「過去を引きずるより野菜でも引きずっておけ」というキャッチコピーも洒落ていていい。知的なお方とお見受けした。

ツイッターではいつからとはなしに、お互いにフォローしあっていた。出身校である県立所沢高校の「所高祭(とここうさい)」に現れるというので、ならば表敬訪問しようと思い立った。

当日、練馬でバスを降りたサエと待ち合わせし、西武池袋線で西所沢へ。所高は、埼玉では名門の進学校である。中高を一貫の男子校で過ごした私は、共学校のムードをよく知らなかったのだが、明るく華やかな空気だし、学園祭はめちゃめちゃ気合いが入ってるし、なんだか青春を損した気分になった。

まあ、青春を不完全燃焼した輩が大人になっても不全感をくすぶらせ続けて中年クライシスに陥り、みずからセーラー服を着て、リアル女子中学生を引き連れて共学の高校の学園祭に乗り込んでいったりするわけだ。心配そうに遠巻きに見ていた先生方、ごめんなさい。

生徒さんたちに「トウモロコシおじさんを見かけませんでしたか?」と聞き込みしても、あっちにいたのこっちにいたのと情報が錯綜してなかなか会えなかったのだが、一時間近くさまよった末にやっとお会いできた。中折れ帽がキマっているダンディーな紳士!

名刺を頂戴したが、肩書きの立派さにビビる。社会のピラミッドのそうとう頂点なあたりにおわしましまするー。都内の有名私立大学を出ているそうで。えーっと超エリートじゃないですかっ! 思ったとおりの知的なお方でした。

さて、それからサエと私は上野へ向かい、東京芸大の「藝祭」を見る。「Kawaii」をテーマにしたライブ、非常に面白かった。藝祭の出し物のテーマとして取り上げる「Kawaii」が、そんじょそこらの分かりやすいカワイイ系にとどまって終わるわけがないと期待して見にいったわけだけど、その期待を裏切ることなく、前衛的で、自閉的で、演奏と歌と振りつけのレベルが非常に高くて、見応えがあった。勉強になりました。

それから中野へ。目当ては焼き鳥のお店「ももや」。ここは、TBSテレビ「有吉ジャポン」に出演したときのロケ地になった、私にとって思い出の店。以来、常連となっていて、私はしょっちゅう行っている。大山鳥の焼き鳥もいいのだが、ここのモツ煮とつくねは特別で、めっちゃ美味いのだ。

つくねは、串を通してなく、ハンバーグみたいにでかいのが、ごろっごろっとふたつ皿にのって出てきて、生卵にまぶしていただくのだが、タレとのコンビネーションが絶妙で、しかも肉は香りが高く、ほんとうに絶品なのだ。値段も安いし。

火曜日に行ったとき、焼き鳥を焼いているお兄ちゃんから、ツイッターで出回っている写真でよく一緒にいる可愛い女の子は誰ですか、と聞かれ、説明すると、今度ぜひ連れてきてくださいと言ってくれた。

いや〜、どうみたってオッサンがビールを飲みながらくつろぐ感じの大衆的なお店で、中学生アイドルにはどうにもこうにもミスマッチな感じなんですけど。ところが、聞いてみると、つまみ系の食べ物は意外と好物なんだそうで。じゃあ行こうって話になった。

この店にサエと来ることになるとは思いもよらなかったことだが、自分がとても気に入っているお店に一緒に来てもらえるのはかなり嬉しい。一人で来るときはカウンタ席に座るが、この日は二人なので、テレビ収録のときの思い出のテーブルに。

サエは、焼き鳥もモツ煮もつくねも枝豆もおいしいと言ってよく食べた。特に砂肝がよかったと。外見はアイドルだけど、ひょっとして中身はおっさん? まあ、こっちは中身がれっきとしたおっさんで、外見がセーラー服の女子高生なんで、何かが交錯しちゃってる感じか。

「中野でやろう」は飲食店などを紹介するミニコミ誌だが、今出回っている号には私の写真が使われている。いつもだと若い女性の写真が占める欄なんだけど。版元から送ってくれるというので、一冊来るのかと思ったら200冊来た。行きつけのお店に配り歩いている。

サエにも一冊上げたら、冊子をぺらぺらとめくり、沼袋に「Otakuばぁーside3」というお店があるのを発見した。そんなお店があるとは知らなかった。歌えるようだし。どれ、開拓してみよう。

行ってみると、店のつくりはバーなのだが、フィギュアが置いてあったりアニメのポスターが貼ってあったりと、オタク臭ぷんぷんな不思議な空間であった。落ち着いたムード。夜が更けてくると混んでくるそうだが、この時間は他に3人のお客さん。

私はシャイなのでカラオケは遠慮したが、サエはたっぷり6〜7曲歌っていた。この前行った中野のアニソン専門カラオケ店のようなバカ盛り上がりはないが、混んでない分、マイクの回ってくる頻度が高く、とにかく歌いまくりたいという気分を満たしてくれる。

新宿へ戻り、サエは22:50発の長野行き高速バスで帰っていった。盛りだくさんでたっぷり遊んだ一日であった。

学園祭で撮られた写真はこちら。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/School130907
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