Otaku ワールドへようこそ![184]ウチのテレビ、揺れてるっぽいんだけど
── GrowHair ──

投稿:  著者:


万が一にも、私が真面目にものを言っているなどと受け止められてはたいへん困るので、これから冗談を言いますと野暮な前置きをしてから言うのだが、ウチのテレビ、なんだか揺れてるようにみえます。ちょん、と突っついたら一気に崩壊していってしまいかねない危うさを呈しています。でも、ウチにはテレビなんかありません。

タイトルの「ウチの」は「日本の」と読みかえられたし。「テレビ」は「テレビ受像機」ではなく、「テレビ業界」と読みかえられたし。

万が一にも、この辺からは真面目な話に移るのではなかろうかと受け止められてはたいへん困るので、また野暮を繰り返すのだが、まだまだ冗談は続きます。たぶん最後まで。

私がたまたま知っている、テレビ番組制作の舞台裏の話をここで暴露したりしたら、あの番組もあの番組も放送打ち切りになっちゃうのだろうか。




●番組制作会社がそんなに暇なわけがない

女子高生としてはごく普通としても、中年男性としては割と奇矯な部類に属する格好をして街を歩いているのをテレビ局が面白がってか、私は「セーラー服おじさん」として三本のテレビ番組に出演させていただいている。

三本とも、番組の中で取材班は同じような形で私に遭遇している。セーラー服を着たおっさんがよく歩き回っているという噂をテレビ局が聞きつけ、街を探し回ったり、あるいは待ち伏せしたりしていたら、私が偶然通りがかるのである。そのうち一本では、5日間探してやっと見つけた、と言っている。レポーターが「おおーっ、いました、いました!」と、大喜びする。

いやぁ、根気よくがんばって、よく見つけてくれたなぁ。って、そんなわけがなく。テレビ番組の制作現場がそんなに暇なわけありますかいな。

レポーターが私のところへ駆け寄ってきて、「ちょっとお話を伺ってもいいですか」と話しかける。私は、ちょっと戸惑いつつ、「あ、はい」と答える。

街を歩いていたら不意に見知らぬ人から声をかけられて、ですよ。振り向いたら、すでにテレビカメラが回っていて、マイクが差し向けられている、と。あなたならどうしますか? 怒るとか疑うとか逃げるとか、しませんか?

いきなり険悪なムードになっては、放送に使える映像にならないわけで。制作スタッフも、そんな無茶な取材のしかたはしない。あらかじめ申し合わせができているに決まっている。

まず始めに、番組制作のディレクタからメールでコンタクトが来る。テレビ局の方のときもあり、下請けの番組制作会社の方のときもある。あるいは、最初のコンタクトは放送作家からあり、後にディレクタにバトンタッチされることもある。

メールの内容は番組への出演依頼で、承諾の返信をすると、喫茶店で打合せとなる。たいていディレクタとアシスタントの二人で来る。どういうきっかけでセーラー服を着始めたか、とか、人々の反応はどうか、とか、仕事は何をしているか、とか、勤め先の人たちは知っているのか、とか、通りいっぺんのことを聞かれる。

目的のひとつは、企画案を練るための、具体的で詳細な題材の収集であろう。もうひとつ、私がテレビ出演にふさわしいかどうか審査するというのがあるはず。極端に無口で何もしゃべってくれなくては困るし、アブナすぎるキャラでも困るし、話が平凡すぎて退屈なのも困る。私の返答の中に、これというのがあると、収録の際に同じようなことを聞くので、同じように答えてください、と言われる。

打合せの時点で、放送予定日まで一か月を切っている。ロケの日時と場所が決まってからは、怒涛のごとく動く。何日にも分けて外での収録があり、仮編集があり、その映像を見ながらのスタジオ収録があり、編集して放送となる。外での収録では、放送時間の20倍くらいの時間、カメラが回っている。

こんな段取りで進行しているわけだから、取材班が私を偶然発見するシーンは、当然、シナリオ通りに演じているだけ。私もいちおう驚いたフリなどしてみせる。あまりに不自然な遭遇のしかただからこそ、真に受ける人はあまりいなくて、笑って受け流されているのでしょう、きっと。

では、許される範囲内の「演出」と、許されないレベルの「やらせ」、境界線をどの辺に引くのが適当なのであろうか。

●けっこう些細なことまで糾弾されるようになってきた?

テレビのやらせ問題が最近再び騒がしい。その発火点となった『ほこ×たて』の件は、前述のようなわざとらしい演出が軽く笑いを誘うのとは質を異にする。

2013年10月20日(日)にフジテレビ系で放送された、バラエティ番組『ほこ×たて 2時間スペシャル!スナイパー軍団 VS ラジコン軍団』にラジコンチームとして出演した広坂正美氏(ラジコンカー世界選手権14連覇の実績を持つスペシャリスト)が23日(水)、自身が勤務する株式会社ヨコモ(本社・東京)のブログに、<ラジコン愛好家の皆様へ 《お詫び》>というタイトルのエントリーを発表。演出の範囲を著しく超えたヤラセの数々を告発した。

この回の放送は「どんな物でも捕らえるスナイパー」と「絶対に捕らえられないラジコン」の対決がテーマだった。広坂氏のブログによると、収録の場面においては、スナイパーがラジコンカーを撃つのが早すぎるというルール違反を犯したために事実上の対決中止となっていたが、放送ではラジコンカーが負けたことにされていた。

また、収録では、最初にラジコンボートがスナイパーに3連勝したことで、ラジコンヘリコプターおよびラジコンカーの対決を待つことなく、ラジコン側の総合勝利が確定していたが、放送では対決順を入れ替えて、ヘリとカーでラジコン側が負け、最後にボートで3連勝してラジコン側が総合勝利したという構成に改変されていた。

さらに、以前放送された「どんな獲物でも絶対に捕まえる鷹」の回では、「鷹が追いかけて来るよう、ラジコンカーをゆっくり走らせて欲しい」という指示がスタッフからあったという。

また、「どんな物でも捕まえる猿軍団」との対戦では、猿がラジコンカーを怖がって逃げてしまうので、釣り糸を猿の首に巻き付けてラジコンカーで猿を引っ張り、猿が追いかけているように見せる細工をしていたという。

フジテレビは24日(木)、この番組の27日(日)以降の放送取りやめを発表した。理由について、20日(日)放送の1コーナーで「収録の順番や対戦の運営方法について、不適切と思われる演出が確認されたので」と説明している。

現在、広坂氏の告発文は元のサイトから消えているが、ネットにはコピーが残っているので、全文読んできた。広坂氏の怒りはよく分かる。対戦順の入れ替え程度なら、視聴者の興味を「引っ張る」ための演出とまあ言えなくもないが、勝敗の改変や、猿の首に釣り糸は、やりすぎだ。

テレビのやらせ問題については、2007年の『あるある』の納豆の件もあり、今に始まったことではないので、今回の件について、私はそんなに驚いてはいない。忘れている方のためにいちおう発掘しておくと、関西テレビ『発掘! あるある大事典II』の2007年1月7日(日)放送回で、納豆のダイエット効果について紹介していたが、放送後、根拠とする実験データに捏造があったことが発覚している。番組は打ち切られ、関西テレビ社長は辞任している。

『ほこ×たて』の一件でやらせ問題が再燃して波紋を呼び、他の番組はだいじょうぶか、疑惑が広がっている。これって糾弾するほど悪質なの? と問い返したくなるような瑣末なケースまで掘り起こされている。四万十川のカワセミの一件には、その瑣末さに驚かされた。

10月23日(水)に放送されたBSフジの5分間番組『風の見た自然たち』で、高知県の四万十川のカワセミとされた映像の一部が、東京都葛飾区の都立水元公園で撮影されていたことが発覚している。

問題の映像は、カワセミが川に飛び込んで魚を捕る約40秒の場面。同局によると、制作会社が依頼したカメラマンが四万十川でうまく撮影できず、水元公園で撮りなおしたが、制作会社のディレクターに撮影場所を伝えていなかったという。同局は30日(水)の放送で謝罪し、番組を打ち切った。

えーっ、こんな程度で番組が終わっちゃうのぉ?

●だまされた、と思うか思わないか

ニュースやドキュメンタリーであれば、事実を正確に伝えるべきもの、という暗黙の申し合わせが作る者と見る者との間に成立していると考えられ、事実を曲げて伝えることは許されない。

しかし一方、映画やドラマであれば、「この作品はフィクションであり、実在する人物、団体等とは一切関係ありません」という断り書きが入り、見る者はたいてい「そんなこと、言われなくても分かってるよ」と思うものである。

バラエティ番組は、両者の中間的な位置にあるような気がする。ならば、今後、「この作品は実話に適度な演出が加えられたものであり、現実の出来事や実在する人物、団体等を正確に表すものではありません」みたいな断り書きを入れておき、見る者もだんだん「そりゃそうだよね、だってバラエティだもん」と思うようになっていけばいいんじゃないか、そう思うのですが、いかがでしょうか。

●ないのはモラルじゃなくてお金

やらせが問題視されているけれど、本当の病巣はもっと根深いところにある。おなじみ、金欠という名の病だ。貧すりゃ鈍する。テレビ業界を通り抜けていくお金の流れを水流にたとえれば、30年前、華厳の滝だったのが、今は、小便小僧ぐらいの勢いしかなくなっている。

日本の経済全般からして、失われた10年とか20年とか言われて、景気の低迷が長期化している。スポンサーだって、苦しい経営を余儀なくされており、昔みたいに広告費をどっかんどっかん投入するわけにはいかなくなっている。

それだけではない。ネットの普及や娯楽の多様化のあおりを受けて、テレビを見る人の数が減り、宣伝効果が薄れてきた。テレビそのものが、広告媒体として価値が低減しているのだ。広告主は、テレビ以外の媒体への投入を考慮せざるを得ず、テレビへの予算が侵食されていくわけだ。テレビは源流のところで蛇口がきゅっと絞られてしまっている。

理屈の上からすると、お金のかけ具合と番組の面白さとは別物であり、お金をかけなくても工夫次第で番組を面白くすることはできるはずである。そうは言っても、出るものが出なければ、制約がきつくなるのは避けられないわけで。旅費が捻出できないので、遠征できない。大掛かりなセットを組めない。ギャラの高い出演者を起用できない。優秀な制作スタッフが業界から離れていく、あるいは新たに入ってこない。

番組制作現場の切り詰めっぷりがすさまじい。出演料どころか交通費すら出してもらえないことがほとんど。出してもらえるのは打合せのときのコーヒー代ぐらい。それも、収録当日の直前打合せなどでは、スタッフ陣を外に残してアシスタントディレクタと二人で喫茶店に入り、コーヒーは私の分、一杯だけしか注文しない。昔、「一杯のかけそば」って話があったなぁ。コーヒーはシェアしないけど。飲みづらいったらありゃしない。

映像制作に携わる下請け企業のブラックっぷりもすさまじい。30分番組用に例えば10時間分収録してきたら、まずは仮編集して、30分ぐらいに収める。それをスタッフみんなで見て検討する。ギャグがスベってるからカットしようとか、こんなシーンも欲しいから後で追加収録してこようとか。

スタッフがそれぞれの収録を終えて、社に戻ってから始めるので、往々にして「てっぺん」からの開始になったりする。てっぺんとは、業界用語で午前零時のことである。検討すべき映像が3本もあれば、終わるのが翌朝8時になったりする。その間の残業はなかったことにされ、残業代はつかない。平日と土日の区別はあまりなく、丸一日休める日などめったにない。

最後の手段として辞めるとか訴えるとかあるのだが、誰もそれはしない。なんだかんだ言って、この仕事が好きでやっていたりする。

小さいころ、よく、ごはんは一粒でも残してはいけないと言われた。お百姓さんが大変な重労働をして作っているのだから、感謝していただきなさい、と。それに倣えば、映像は一秒も目をそらさずに見なさい、ってことになるか。

しかし厚生労働省の監査が入ったりしたら、アウトでしょう。この労働実態を是正しなくてはならなくなる日が、いつか来るのではあるまいか。残業代をまともに払ったら制作費がかさむし、労働時間を短縮したら番組内容が薄っぺらくなる。

制作費を切り詰めるための方策として、出演料の安いタレントを起用するとい
う手がある。私のような素人芸人にとっては追い風である。なにしろ本業があ
るので、ギャラなんか出なくたって食うのには困らない。というか、本業のほ
うが副業を禁止しているので、いただくわけにはいかないのだ。

これで芸達者だったりすれば、出演機会が爆発的に増えて、スターダムを駆け上がっていけそうなところではあるが、実際にはそうはならない。見せるべき芸が何もないのだ。芸能界にあこがれたことはあっても目指したことはない。普通のおっさんがただセーラー服を着てるだけ。三流芸人のさらに下。

面白くて高いタレントとつまらなくて安いタレントとでは、後者を起用せざるを得ない制作側の苦悩がしのばれる。つまらないだけでもそこそこつらいが、さらにリスクがのしかかる。素性のよく分からない素人を起用しておいて、収録後になんか悪さを働いて逮捕でもされちゃった日には、オンエアできなくなってしまう。

あるいは、業界の内幕を暴露されちゃうとか。テレビ出演で食ってる芸人だったら、業界の空気はよく分かっているし、掟を破ったりすれば自分の商売に明日はないことを十分に心得ているので、余計なことはしゃべらない。無理なキャラ作りもしっかり演じきるし、やらせにもあうんの呼吸で同調する。ところが、もともと次の出演なんてない素人は、恐れるものは何もなく、業界の掟なんて知ったこっちゃない。

素人は往々にして勘違いしやすい。テレビ番組は、アンタを持ち上げるためのものではなくて、視聴者に楽しんでいただくためのものなんだけどなぁ。

私は以前、海外の映像に出演して、秋葉原のメイド喫茶で収録されたことがある。約一時間にわたって回りっぱなしのカメラを前に、私は評論家ぶってオタク文化を滔々と論じたのだけれど、そういうところは全部カットされ、結局使われたのは、メイドさんとたわいないゲームに興じ、「わーやられたー」とかおどけているシーン。

そういうもんである。実態とはズレた人物像として描写されたとか、収録されたのにボツにされたとか、怒る気持ちは分からなくもないけど、番組制作においてはあたりまえのこと。そこを心得てなさそうだと、起用する側としても冷や冷やであろう。

また、ほんのちょっとした演出上の工夫を捉えて、やらせだやらせだと鬼の首をとったように大騒ぎされた日にゃ、下手すりゃ番組が終わっちゃう。タダほど高いものはない。

1. 長時間労働が是正され、
2. 出演料と交通費が適正に支払われ、
3. やらせには一切手を染めず、
4. 制作費は低予算の枠内に収め、
5. しかも番組内容は面白くて、視聴率をキープ

そんな条件を同時にクリアしていかないと、テレビ業界は丸ごと沈んでいってしまいかねない。これはそうとう苦難の道なのではあるまいか。

どこかに活路が開けなければ、やがては一局、また一局と破綻していき、その都度国有化され、ついには全局NHKになってしまうのであろうか。

●あれとかそれとかはいいの?

もし仮に、という仮定の上での話だが、下記のようなことがあったとしたら、アウトだろうか、セーフだろうか。

ある番組の収録に先立ち、行きつけの飲み屋で飲んでいるシーンがほしいと言われた。お店を3つばかり紹介すると、検討してはくれたものの、それぞれ理由があって、テレビ番組に向かないという。「他にありませんか」と聞かれたが、実際なかったので、「そっちで探してください」と突っぱねた。

道行く人に聞いたりしたのであろうか、めっちゃいい店を見つけてくれた。中野にある居酒屋「ももや」。もつ煮込みが絶品。肉がやわらかく、香りがよい。焼き鳥は大山鶏を炭火で丹念に焼いてくれる。つくねは串を通さず、ハンバーグみたいにでかいのがごろんごろんと2つ出てきて、生卵にまぶして食べる。

値段が驚くほど安い。番組の中では常連ってことになっていたが、実は収録の日に初めて行っている。けど、それ以降、しょっちゅう行くようになり、すっかり常連となっている。

またある番組では、休日とのギャップが面白いため、通勤のときの姿の映像を撮りたいと言われた。私はエンジニアで、社外の方とお会いするとき以外、普段はラフな格好で通勤している。しかし、絵的に面白いからとスーツを指定された。

職場では私へ向けられる目がビミョーなもんだから、昼になると逃げるように外へ出て、コンビニでサンドイッチを買って、公園でぼっちメシを食べている、という設定になっていた。実際には社内の食堂で同僚と一緒に食べているのだが。収録時間は、朝の出勤シーンを撮った直後なので、まだ午前中。収録場所は、最初の収録場所に近い公園で、職場までは電車で15分ほどかかる。

またある番組では、ダメダメな私を番組が更生させるというシナリオが最初から組まれていた。行きつけのお店の店主が、私がいないときに、番組に対して「あの人にセーラー服で来られると、他のお客さんが気にしてしまい、店にとっては迷惑です」と打ち明ける。

それを更生員が私に伝え、「今後セーラー服を着て歩くのをやめてはどうか」と示唆する。私は「分かりました」と承諾するが、次にはブレザーを着て現れ、女子高生の格好であることは変わっていなかった、というオチ。

渋谷にあるラーメン店「唐そば」の店主である長村泰作氏は、大学時代からの知り合い。早稲田大学理工学部数学科で同じゼミにいた。一度は東芝に就職したが辞めて、福岡の父親の稼業を継いで、渋谷に店を出している。行列の固有値分解のできるラーメン屋。繁盛している。

長村氏は、私がセーラー服姿で行くことを別に迷惑とは思っていない。けど、番組に協力して、指示通りに言ってくれている。ブレザーは局が用意してくれていて、収録後には回収されている。最初から最後まで「ギャラ」という言葉は一言も出なかった。

ウチのテレビ、揺れてませんか?

なお、この文章は実話と創作を織り交ぜて書かれたものであり、現実の出来事や実在する人物、団体等を正確に描写するものではありません。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
< http://www.growhair-jk.com/
>

番組収録のおかげで、美味いラーメン屋を知り、やはり常連になりつつある。武蔵小山にある、通称「おっぱいラーメン」。正式名称は「ラーメン BAR スナック、居酒屋。」。

店を一人で切り盛りする早川貴子さんは、31歳、元グラビアアイドル。「店主」ではなく「リーダー」と自称する。18歳で初体験し、当時DカップだったのがHカップに急成長したという。それが店の通称の由来。茹で上がった麺の水を切るための上下動が一種の名物となっている。

元グラビアアイドルの作ったラーメンなんて、大したもんじゃなかろうと思っていると、これがめっちゃ美味くてびっくりする。商売柄、知り合いが多く、繁盛する名店の店主たちからアドバイスを受けるのだという。

本物は激戦すぎて生き残るのが大変だから、偽物の中のトップを狙え、と言われ、その路線で行っているのだそう。早川さんご自身もお酒が好きなので、自分が締めに食べたいラーメン、というコンセプトで作っている。

あっさりさっぱりの塩しょうゆ系。チャーシューのような重ったるい食材は入れない。そのままでも美味いが、途中でゆず胡椒を加えて香りを足す。さらにライムを搾る。さらに、鰹オイルを足す。こうして味の変遷を楽しむ。

胸からは小さなきゅうりが突き出ているが、これはボールペン。落ちないことを自慢したいのか?! いやいや、収納場所として便利なのだそうで。