[3607] 「Webデザイン行く年来る年(Shift7)」に参加して

投稿:  著者:


《答えは、スクリーンの外にある》

■まにまにころころ[48]
 Web屋さんが意識しておきたい法律の話
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[372]Adobe Illustrator CS4〜CC編
 アクティブなアートボード外のパスを削除する
 古籏一浩

■講師だって、最初は初心者だもの[番外]
 「Webデザイン行く年来る年(Shift7)」に参加して
 森 和恵

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■まにまにころころ[48]
Web屋さんが意識しておきたい法律の話

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
< https://bn.dgcr.com/archives/20131216140300.html
>
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こんにちわん、コロこと川合です。あっという間に今年最後の登板、早いものですね。昨年の今頃、年賀状に四苦八苦していて、2013年は早めに準備をして年を越せるようにしようと心に決めたのですが、まるで昨日のことのように、はっきりと思い出せます。ええ、昨日のことであってほしいです。

さてそんな話はさておき、唐突ですが今回は法律の話。ちょっと本業の絡みで、「Web制作する上で知っておきたい法律って、どんなものがあるか」と、改めて考える機会があり、それが想像以上にあれこれ色々とあったので、その一端をご紹介しようと思い立った次第です(以下、日本の法律についてです)。

◎──知的財産権

まずはやっぱり、知財関係。知的財産権とは何か、知的財産とは何か。定義は「知的財産基本法」の第二条第1項、第2項に記されています。

“第二条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。”

ちょっと長いし漢字多いしで難しい印象を受けますが、要するに「人が考えたもので、金になるもの」ってとこでしょうか。列記されている「○○権」で、Web制作にあたって特に意識しておきたいのは、著作権と商標権ですかね。

商標というのは、商品名やロゴマークといった、その商品やサービスの出自を示すもの。商標を独占的に使用する権利(商標権)は特許庁に出願し登録することで発生します。「トレードマーク」って言葉がありますが、「TM」記号は、商品の商標を示すマークです。

著作権については、どんなものかの説明は今さら過ぎますよね。TPP関係でまた最近も色々と話題になっていますし。まあ改めてちょっと条文をみてみると、著作権法の第一条には「この法律は(中略)これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」と記されています。つまり著作権法の目的は「文化の発展に寄与すること」なんですね。

その目的に対して、「文化的所産の公正な利用に留意」しつつ「著作権者等の権利の保護を図る」となっています。文化というのは通常、先人の生み出したものに新たな創意工夫を加えて発展させていくもので、突如発生するものではありません。その意味では著作物も、文化発展のためには人類の共有財産とすることが望ましい、と。

でも、だからといって、著作物に対して著作者の権利が存在しなければ、そもそも創作する動機づけが難しい。著作権法は、権利の保護を図ると同時に保護期間を定めるなど、「公正な利用」と「権利の保護」のバランスを取って、文化を発展させようぜって法律です。そりゃ難しいし、色々と問題も出てきますよね。

WebやITの周辺では、著作権法の枠組みと、実情とのギャップを埋めるように、クリエイティブ・コモンズのような工夫が色々と生まれています。その話は長くなるのでまたそのうちに。

◎──特商法

ECサイトに関わったことがあれば必ず目にしているのが、特商法(特定商取引に関する法律)という名前。法律自体は広範な商取引について消費者保護のため設けられたものですが、Webサイトに関係してくる点としては主に、通信販売事業者として表示義務がある項目です。なお対象は「通信販売」の「広告」であるため、Webサイトだけでなくメールの場合も含まれるので注意。

・消費者庁「消費生活安心ガイド」より
< http://www.no-trouble.go.jp/search/what/P0204003.html
>

◎──景表法

景表法(不当景品類及び不当表示防止法)は、「不当景品」と名前が付くのでプレゼントキャンペーンなどを行う際に気をつけておきたい法律だとは認識されていると思いますが、「不当表示」についても関係する法律ですので、多くのWebサイトに関わってくる法律です。今年話題になった、ホテルレストランのメニュー偽装事件で対象になったのもこの景表法です。

同法では、「景品」とは、「顧客を誘引するための手段として、(中略)事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」、「表示」とは、「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示」と規定していて、景品については最高額や総額の制限をしたり、表示については実際のものよりも著しく優良に見せかける表示を禁じるなど、「不当な顧客の誘因(消費者を惑わせる行為)」を規制する内容になっています。バナメイエビ、美味しいです。

◎──薬事法・医師法など

医療関係は、ものがものだけに地雷がいっぱいです。医薬品等や、健康食品、健康グッズなどの広告・販売を扱う場合、薬事法ほか関連する法律について注意が必要。薬事法ならびに厚生労働省(旧厚生省)の通知では、医薬品等の広告表現について厳しく制限を設けていまして、例えば医薬品としての承認を受けていないものについて、医薬品的な効能効果があるような表現は、たとえその効果が事実であったとしても用いちゃダメです。

またWebサイトやアプリを通じて診断・診療を行うようなコンテンツは、医師法違反になる恐れがあります。健康にまつわるコンテンツはその辺りの各種法規に要注意。初期から法務チェック入れてった方が無難です。

◎──まっだまだ色々あります

Webって様々なシーンで利用されるため、用途によってその先々で色々な法律が関係してきます。ここで挙げたほかにも、選挙関連では公職選挙法、経済・金融関連では金融商品取引法などというような具合で。特にECサイトの場合は、その商品を扱うために許認可が必要なものも多くあったりしますし、お客さんの情報を扱う上で個人情報保護法だったり、宣伝にあたって特定電子メール法だったりと、あれもこれもと法律が関係してきます。

制作者として、全ての法律に精通しておくことは難しいですが、制作の都度、その分野周辺の法律にまつわるリスクがあることを意識することが大切。発注者から受け取った原稿の時点で法に触れている場合もあります。そういった場合に責を負わない契約を交わしておくという手も取りつつ、最低限のチェックはプロとして心がけたいところですね。

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< https://www.facebook.com/korowan
>
< https://www.facebook.com/caputllc
>
< http://manikabe.net/
>

法律の条文ってもう少し読みやすい日本語にできないんですかねぇ……


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■クリエイター手抜きプロジェクト[372]Adobe Illustrator CS4〜CC編
アクティブなアートボード外のパスを削除する

古籏一浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20131216140200.html
>
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Illustrator CS4以降では複数のアートボードを持つことができます。CS3までは一枚のアートボードだったのが複数になっただけでなく、自由に配置できるようになりました。

CS4以降では複数のアートボードが使えるようになり便利になりました。しかし、プログラムで何か処理しようとすると、アートボード関係の処理は面倒な部分もあります。用意されている命令が少ないというのもありますが、どのアートボードがアクティブなのかによって、読み出されるパスの座標が変わってしまうからです。

ということで本題です。いろいろ描いていると、最後にアートボードからはみだしているパスなどを削除したい場合があります。そんな時に便利なのが以下のスクリプトです。アクティブになっているアートボードに、完全に収まっていないパス/テキストを一括して削除します。


// アクティブになっているアートボード内にあるパスだけ残す
// ドキュメント全体から該当パスを削除
removePath(activeDocument.pathItems);
// ドキュメント全体から該当テキストフレームを削除
removePath(activeDocument.textFrames);
// パスを削除する関数
function removePath(p){
// アクティブにアートボードのインデックス番号を求める
var abIndex = app.activeDocument.artboards.getActiveArtboardIndex();
// アクティブなアートボードのサイズを求める
var rect = app.activeDocument.artboards[abIndex].artboardRect;
var ax1 = rect[0];
var ay1 = -rect[1];
var ax2 = rect[2];
var ay2 = -rect[3];
for(var i=p.length-1; i>=0; i--){
var geo = p[i].geometricBounds;
if (!geo){ continue; }
var x1 = geo[0];
var y1 = -geo[1];
var x2 = geo[2];
var y2 = -geo[3];
// アートボード内に完全に座標値が収まっているか調べる
if((x1>=ax1) && (y1>=ay1)&&(x2<=ax2)&&(y2<=ay2)) {
// アートボード内に収まっている場合に処理したい場合は、ここで何か行う
}else{
// 削除する
p[i].remove();
}
}
}


作成するデータは、完全にアートボードに収まっていないこともあります。そこで、完全にアクティブなアートボードからはみだしているパス/テキストを削除するのが、以下のスクリプトです。


// アクティブになっているアートボード内にあるパスだけ残す
// ドキュメント全体から該当パスを削除
removePath(activeDocument.pathItems);
// ドキュメント全体から該当テキストフレームを削除
removePath(activeDocument.textFrames);
// パスを削除する関数
function removePath(p){
// アクティブにアートボードのインデックス番号を求める
var abIndex = app.activeDocument.artboards.getActiveArtboardIndex();
// アクティブなアートボードのサイズを求める
var rect = app.activeDocument.artboards[abIndex].artboardRect;
var ax1 = rect[0];
var ay1 = -rect[1];
var ax2 = rect[2];
var ay2 = -rect[3];
//$.writeln("artboard:("+ax1+","+ay1+")-("+ax2+","+ay2+")");
for(var i=p.length-1; i>=0; i--){
var geo = p[i].geometricBounds;
if (!geo){ continue; }
var x1 = geo[0];
var y1 = -geo[1];
var x2 = geo[2];
var y2 = -geo[3];
//$.writeln("("+x1+","+y1+")-("+x2+","+y2+")");
// アートボード内に少しでも座標値が収まっているか調べる
if (x2 < ax1){ p[i].remove(); continue; }
if (x1 > ax2){ p[i].remove(); continue; }
if (y2 < ay1){ p[i].remove(); continue; }
if (y1 > ay2){ p[i].remove(); continue; }
// 完全にアートボード内なので何か処理したい場合は、以下に何か入れる
}
}


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/
>

Kindle Fire HDXのネタにしようかと思ったのですが、それほど使ってないので来年のネタにでも。もうひとつ、月末にネタになるタブレットが来るのですが、それもまた来年に。とにかく後は何でも来年に先送り……。

いや〜、そこまでKoboに注力するとは、さすがですね楽天。

・球場名は「楽天Koboスタジアム」に
< http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131214/k10013827721000.html
>

ただ、私のサイトの電子書籍関係のアクセス数見ると方向性はあっているんで、とにかく購入できる本を増やさないとどうしようもないかな、と。老人でも使えるように最初から設定してから売ればいいのに。キャリアと契約して売ればいいと思うのですけど……ということでKobo aura使い方辞典も用意してみました。

・Kobo aura 使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/kobo/aura/
>

しょうもないのを考えたけど、また編集長にカッコつきで何か書かれそうだけど、思いついたので載せるだけ載せておきます。

幽霊に取り憑かれやすい人とかけて、公衆でのスマートフォンととく……その心は「音量(怨霊)に気をつけています」

ということで、また来年(の前、大晦日に何か書くのがあったなあ)

・Sony Reader T3S使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Sony/Reader/PRS-T3S/
>

・Adobe JavaScriptリファレンス
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844395955
>

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/
>

・Nexus 7(アンドロイドタブレット)使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/Android/Nexus7/
>

・JavaScript逆引きハンドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4863541082
>

・クリエイター手抜きプロジェクト
< http://www.openspc2.org/projectX/
>

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/
>
吉田印刷所の「印刷の泉」でも購入できるようになりました。


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■講師だって、最初は初心者だもの[番外]
「Webデザイン行く年来る年(Shift7)」に参加して

森 和恵
< https://bn.dgcr.com/archives/20131216140100.html
>
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しわっす! 森和恵です。今日は、月曜日です。気合入れてきましょう!

なんかヘンな書き出しとなりましたが、実はこの土日に参加したイベント帰りでして。テンション高めでございます。今回は、そのレポートを書こうと思っております(こんな詳しいレポートは、参加者でも最速なんじゃないかな。多分)。

参加してきたイベントは、
「CSS Nite LP, Disk 31: Webデザイン行く年来る年(Shift7)」です。
< http://takeda-kenko.jp/products/chingai_kyotan/anetonz_liq_pak.html
>
< http://cssnite.jp/archives/post_2596.html
>

Webデザイナーさんたちが多く集う、CSS Nite というイベントコミュニティで、毎年末に開催される特別なイベント「Shift」は、「来年に向けて、頭の中を Shift(移し替え)て行こうぜ!」という目的の内容になっています。今年で7年目。「Shift7」です。

Web制作業界の今年の総まとめ&来年の展望を、業界で活躍する著名な方々が披露するといった豪華なイベントです。

また、イベント後に開催される懇親会は、100名規模になり、全国からWeb系の人々が集まってきます。参加すれば、今年お世話になった方々にまとめて年末のご挨拶ができちゃいます。一度で二度おいしいイベントなのです。

#ちなみに、もう来年の日程が告知されました。早い。
#ご興味のある方は、Facebookイベントで「未定」登録だけでもしておけば、#情報がいち早く届きますよ。
< http://www.facebook.com/events/1377960532442684/
>

●スマートフォンのWebサイト対応の話

2009年ぐらいから、スマートフォンのような小さいデバイスでもWebページが見やすい&使いやすいように…と取り組みが始まった施策も、もう5年目という月日が経ちました。

タブレットも含めるとずいぶん機種も増え、画面サイズもまちまちになってきて、より複雑な対応を迫られるようになり、ついには「マルチデバイスのWebサイト対応」という様相に。

セッション1「スクリーンの先、わたしたちの仕事の先」では、そんな「人とデバイスの関係性」をリアルに追求した内容になっていました。

スピーカーの長谷川恭久さんが、3か月ぐらいかけて、街行く人をウオッチし、スマートフォンをどのように使っているのか? をデータ収集されたそうです。9月〜12月の間に「1,708」件のサンプルを収集したそうです。

そんなリアルなデータを取ってみて、一般的に言われている「スマートフォンの使われ方」が、違っているのではないか? という話になりました。例えば、「女性は手のサイズが小さいから、小さい機種を好む」とよく言われますが、実際には、大きな機種を”両手”で使っている人も多いなど。

制作者は、通り一遍で言われている事柄から抜け出して、本当に、リアルに、人々がWebを通して、どんな風に情報と接し、理解し、利用しているのかを熟考しなければならないということを体現していたような気がします。

「答えは、スクリーンの外にある」と締めくくられていましたが、本当にその通りで、答えは一つではなく、Webサイトの方針によって、さまざまな捉え方があるのだと思います。必要なことは、「知って、検証して、活かすこと」ですよね。

いろんなことを知っていて、めちゃめちゃスゴイ方なのに、誰もが思っていてもやらない「実地データを調査してみて考察する」ということに取り組んだ姿勢も、もちろん、そこから導き出したまとめも、素敵だなと感じました。実際に行動に移して、やりきる。なかなかできることではありません。見習いたいです。

セッション5「スマートデバイス 2013 → 2014」では、スマホ対応されているサイトを調べ、今年のデザイン傾向とスピーカー自身が来年はこんな感じに変わるだろうということが話されました。

上場企業2139社を調べ、スマホ対応されていたのは288社だったそうです。そのうち、Web業界でブレイクしたスマホ対応の技術的手法「レスポンシブWebデザイン」を使っていたのは、7社でした。

わたしたちWeb業界が熱くなっているほど、一般的には、スマホ対応が浸透していないと、個人的には感じました(企業サイトでは、ということですが。ニュースサイトや物販サイトなどを見ていると、スマホ対応の浸透率は半端ないので、ここもセッションでは、多少は触れて欲しかったなと思います。あ。自分で調べればいいのか。やるかな。やろうかな。。)

技術的にお試しをしていた段階は終わり、実務ベースでテッパン的な実装技術も浸透してきたということです(スマホ対応されている画面では、3つの特定のパターンが多くみられたそうで、見せ方が画一的なんだな、というのも気になりました)。

今後は、さらに具体的に進んで「本当にユーザーにとって使いやすい見せ方ってなんなの?」という所を探求することになりそうと締めくくられました。技術が進歩すると、一般に降りてきてどんどん普及していく様子が感じられてき
ますね。スマートフォン対応は、今後も目が離せないトピックになりそうです。

●デザイントレンドのうち、「フラットデザイン」の話

フラットデザインとは、今年のWeb業界を騒がせたデザイン手法のひとつで、「平面的なデザイン」をするというものです。

【今さら人には聞けない、スキューモーフィズムとフラットデザインの違い
:MEMOPATH】
< http://memo.goodpatch.co/2013/11/skeuomorphism-and-flat-design/
>

Microsoft の Windows8 で使われている「モダンUI」や、Apple の iOS7 で使われているような、グラデーションやドロップシャドウなどの立体的に見せる要素をそぎ落とし、ベターっと塗られたデザインを思い浮かべる人が多いのではないか? と思います。

フラットデザインは、Webデザイナーたちの間でも、物議をかもしだしました。

「すっきりしてて、見やすくてイケル!」「装飾要素を使わなくなったから、楽じゃん!」という肯定的な捉え方の人もいれば、「手抜きっぽい」「どこもかしこもベタっとしてて、わかりにくいし使いにくい」「装飾ができなくなって、デザインがどこかぼんやりしてて、バチッと決まらない…」という否定的な人もいます。

セッション7「OSのフラットデザインを考える」では、Microsoftの春日井さんが、フラットデザインについて語られました。その背景、歴史から、現状はもちろん、MicrosoftがWindows8で採用しているフラットデザインのことまで、じっくりとわかりやすく。

すでにスライドが一般公開されているので、フラットデザインが気になる人はぜひご覧になってみてください。
< http://www.slideshare.net/ykasugai/os-29200926
>

特にスライド36枚目から始まっている「モバイルフロンティア・iOS7 Design Resources・Android Design Principles・Windows8 design principles」の所は必見です。フラットデザインを推奨している人、メーカーの個々で「フラットデザインで気をつけるべきポイント」がまとめられています。

私自身は、フラットデザインを比較的冷めた感じで見ていて「流行のひとつ」としてしかとらえていませんでした。このセッションで春日井さんも語られていましたが、「ごてごてと甘いデザインが流行った後には、シャープですっきりしたデザインが流行る」というように、流行には賞味期限があって、回って行くもので、その流れとしてしか思っていませんでした。

ですが、このセッションをきいて、デザインが成熟していくと「フラットデザイン」に行きつくのかも…と思うようになりました。それほど、デザインの理にかなっていると感じたからです。

デザインを習う時に「引算のデザイン」という言葉を聞くのですが、これは、デザインする側は、どうしても不安になって、ゴテゴテと飾りたくなるものだけれど、それを止めて本当にいるものだけを残して、画面を整理するのが、本当のプロなんだということを表しています。

フラットデザインは、「引算のデザイン」なんじゃないか、と思いました。同時に、簡単そうに見えて、デザイナーの腕が試されるという、怖い土俵なのではないかな、とも。

コンテンツ(記事)を読むことに気持ち良く集中してもらえるような、サイトデザインをするためには、インターフェースは限りなく主張をなくし、透明になる必要があります。でも、本当に透明になってしまったら、次のページに進めない、つまり、使いにくいサイトですよね。

そのギリギリのラインをどう攻めるかが、フラットデザインの形なのだと思いました。

セッション8「Webデザイントレンド:キャプチャで振り返る2013年」で紹介された今年のWebサイトたちの中にも、フラットデザインを取り入れているサイトは多く、また、難しい手法だけに、間違った迷走ぶりも紹介されていました。

海外のサイトでは、フラットデザインが花盛りで、使われてから成熟期を迎えているので、セッションで紹介されている意外にも、自分でいろいろと調べてみる必要があるなと感じました。

また、日本のサイトでも、取り入れているサイトは多いようですが、フラットに思い切って振り切る勇気が持てずに、中途半端なフラットデザインになっていて、その良さを殺してしまっている…という結果には、日本らしさを感じてしまいました。

私自身がこれまで軽んじていたことがあり、フラットデザインに対して、勉強すべきいろいろ課題はありますが、まずは、フラットデザインを取り入れだした、Microsoft・Apple・Googleの三社のWebサイトや製品を研究してみようと思います(まとめ…たいなぁ。まとめるか!)。

……さて、今回はここまで。

Shift7のイベントのより詳細が知りたい方は、当日の様子がわかるTogetterもおすすめです。いろいろなキーワードを拾ってみて、自分で深く掘り下げるのも面白いかと思います。
< http://togetter.com/li/602801?page=1
>


次回は、2014年年明けになりますね。なんと、記念すべき連載50回目を迎えます。ほそぼそと書き続けてきましたが、なにか面白いことをやろうかなーと思います。お楽しみに。(^θ^)

※記事へのご意見・ご要望は下記より受付ます。
< http://goo.gl/rN5Dg
>

【 森和恵 r360studio 〜 Web系インストラクター 〜 】
< site: http://r360studio.com
> < twitter: http://twitter.com/r360studio
>
< mail: r360studio@gmail.com >
< サイト制作の教科書 r360study: http://www.facebook.com/r360study
>


今回のイベントで上京した折に行ってきたのが、江戸前寿司の京辰とKITTE。どちらも、東京駅にあります。新幹線の待ち時間なんかにおすすめですよ。

・すし京辰 東京駅サウスタワー店
< http://tabelog.com/tokyo/A1302/A130201/13052222/
>

お友達がお寿司を食べていたので、たまらず自分も! と思いたって食べてきました。江戸前寿司は初めてだったのですが、一貫ずつ丁寧に仕事がされていて、目も舌も楽しめました。ランチ時で、10貫+かんぴょう巻き+あら汁がついてきて、2500円はお安い。立地がわかりにくく、土日のお昼でも空いてて使い勝手が◎。

・KITTE B1 「KITTE GRANCHE」
< http://jptower-kitte.jp/floor/B1F.html
>

郵便局を改装してオープンしたKITTEのB1フロアには、全国から集まった美味しいものが勢ぞろい。お土産を買いに行ってきました。全国のお土産が集まる「諸国フーズプラザ&おかしプラザ」は、圧巻です。インスタントみそ汁でお馴染みの天野実業さんの「天野フリーズドライステーション」では、具とお味噌を別々にチョイスできますよ。


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編集後記(12/16)

●またろくでもないBC級の映画DVDを見てしまった。その分野のマニアであるわたしでさえ投げ出したくなる出来だった(実はそういうの少なくないけど)。巨大生物系パニックで「ボルテックス 巨大生物総進撃」というおいしそうなタイトル。巨大なヘビ、ハチ、サソリ、クモたちによるパッケージ・ビジュアルもなかなかナイスだから、期待しないほうがおかしいでしょう。って、フツーの人はばかばかしくて絶対に見ないジャンルだけどね。

「彼らが見たのはすべての生物を巨大化させるワームホールだった! 米軍VS巨大生物熱砂の戦い! 人類は生き残れるのか!?」と、予告編はいやがうえにも煽りたてるのだが……。生物が巨大化するのは、ワームホールから生じるガッタ線(なんじゃ? それ)の影響だという。巨大化生物はなかなか出現しないうえ、個体数も人間とのからみも少なく、どこが総攻撃やねん? CGがすさまじくチープな品質で、バレバレの合成が無惨。人類の芝居の方もチープで、アメリカ映画では定番の、別れた妻に未練たっぷりの男ってのが主役級。

その次に見たのは、BC級とはいわないが、A級と呼ぶのはちょっと躊躇する「華麗なるギャツビー」である。わたしが見るべき名画リスト31本に入っていたと思い、デカプリオ主演の最新版ではあるが(過去に何度も映画化された)、とりあえず見ておこうとレンタルした。ところがリストには入っていなかった。あまりに有名なタイトルなので勘違いしたのだ。なんの知識も入れずに見たが、わかりやすいストーリーだった。しかし、誰にも感情移入できない。わたしは偏屈だから、よくそういうことがある。それでもなかなか派手な面白い映画だった。役者たちもうまいし華麗なる舞台も素敵。

ギャツビーという人物の謎は解明されたが、もともと無理筋の願望、いや幻想ではないか。共感できるはずがない。これを純粋の愛などと形容するのはおかしい。悲劇といえば悲劇ではあるけど自業自得。ヒロインのデイジーは流されやすい平凡な女。わたしは前からキャリー・マリガンという女優にぞっこんで、このタイプには理性を失いそうになる。ニックの無責任な傍観者ぶりも好きになれないが、語り部の役としてこれでいいのだろう。原作が「アメリカ文学界最高峰」と言われているとか。映画通りならばたいしたことないぞ、アメリカ。最近アメリカ嫌いが増幅して来たわたしである。(柴田)

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ボルテックス 巨大生物総進撃
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>
華麗なるギャツビー


●しわっす! いいなこれ。/えいぽんたん続き。ややこしいですよね、ええ、私もどこから書いていいのかわからず。スマホゲームに、FacebookにTwitterにmixiにLINEに掲示板に、ガチャでコレクションに、たまごっちにポスペが、キクタン学習のために総力戦で挑んできている感じ。いやまぁよくぞここまで。

SNSはアプリ会社の用意している『スマコロ』というもので、他のアプリ『聴いて育てる英会話 えいたま』『グルタン 英単語で世界周遊』のユーザーとも繋がれる。

学習ログは、回答数が棒グラフ、レベルが線グラフになっており比較できる。トータル日数、正答数(習得した単語数)までわかるようになっている。SNS側の私のプロフィール欄では、3つのうち、どのアプリを何日使っているかもわかるようになっていた。学習カレンダーは七曜カレンダー形式。単語帳には間違った単語が蓄積されていくし、レベル学習のためにも使える。

正直、どんな英語学習アプリも続かない私が、寝る前5分用の英単語アプリとして落としたはずが、夢中で遊んでいたよ。体力がたまるまで遊べないという飢餓感もいい感じ。育てるのが好きな人にも、集めるのが好きな人にも、繋がるのが好きな人にも、隙間時間を活用したい人にもおススメ。しばらくあそ……勉強してみるわ。/と書いていたら『えいたま』サービス終了のお知らせが……。(hammer.mule)

< http://eipontan.smacolo.jp/
>
『聴いて育てる英会話 えいたま』『グルタン 英単語で世界周遊』
< http://www.drecom.co.jp/products/
>
ドリコム