[3614] ギフテッド・プログラマたちの微笑む日

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《こどもたちのギフトを潰すな》

■データ・デザインの地平[37]
 ギフテッド・プログラマたちの微笑む日
 薬師寺 聖


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■データ・デザインの地平[37]
ギフテッド・プログラマたちの微笑む日

薬師寺 聖
< https://bn.dgcr.com/archives/20140110140100.html
>
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あけましておめでとうございます。
本連載は4年目に突入しました。今年もよろしくお願いいたします。

●埋もれた原石が、日本をITリーダーにする

マサチューセッツ工科大学の廊下。若い清掃員の目が黒板をとらえる。彼は、掲示されていた数学科の課題を簡単に解いてしまう。ウィル・ハンティング(マット・ディモン)は、非正規雇用の問題児だが、数学のギフテッドなのだ(※1)。そんな彼を毎朝迎えに来る、派遣仲間の兄貴分チャック(ベン・アフレック)は言う。

「親友だからハッキリ言おう。20年経ってお前がここに住んでたら──おれはお前をぶっ殺してやる。脅しじゃない。本気だ。お前は俺たちとは違う。お前は自分を許せてもおれは許せない、おれは50になって工事現場で働いててもいい。だがお前は宝くじの当たり券を持っていて──それを現金化する勇気がないんだ。お前以外の皆はその券を欲しいと思ってる。それをムダにするなんておれは許せない」

チャックは、ウィルが、才能を伸ばす新しい人生に踏み出すよう、背中を押す。「毎日 お前を迎えに行き──酒を飲んでバカ話、それも楽しい。だが一番のスリルは──車を降りてお前んちの玄関に行く10秒間。ノックしてもお前は出て来ない。何の挨拶もなくお前は消えてる。そうなればいい」
「グッド・ウィル・ハンティング」(1997年度米、※2)

では、もし、この映画の舞台が日本で、ウィルのようなギフトを持つこどもが日本の教育を受けて育っていたなら、その能力を成人するまで保つことはできたでしょうか?

いまや、バックエンドで社会システムを支えていた計算機は、生活の中に浸透し始めています。一般ユーザーは、(計算機を内蔵した)機器を操作するよりも、機器への命令(プログラム)を自ら作成するようになります。「技術の市民化」が始まっています(※3)。

開発ツールはヒトの思考を不要とする方向へ進化し、ベンダーは教育に力を注ぎます(文末リンク参照)。

学校ではプログラミングの授業が始まり、一般企業による小中学生向けのセミナーも多数開講されます。一般ユーザーは、コードを一切見ることなく、ピザのトッピングをオーダーするような気軽さで、プログラムのパーツを組み合わせるようになります。

プロのプログラマたちの何割かは、記者の視点で新しいネタをかぎわけ、参考になるサンプルを迅速に検索し、小さなプログラム素材を提供する作業に追われるようになります。

プログラマの裾野が拡大すればするほど、その根幹をささえる技術を創りだす人材が必要になります。その仕事には、ウィルのような、ギフトをもつ者が適任です。

ところが、これまでの日本の教育は、「得意なことを伸ばして社会に還元せよ」ではなく、「苦手なことを克服せよ」というものでした。

長年続いたこの教育方針は、こどもたちのギフトを壊してきました。なぜなら、凹を埋める教育では、凹凸を均すように凸の部分が削られ、突き抜けた能力は潰れてしまうからです。

しかしながら、低年齢のこどもたちの中には、まだギフトを保持している者がいるはずです。彼らのコードは、世界中のユーザーに恩恵を与え、日本のITへの評価を高めるに違いありません。

大人たちは、プログラマの裾野拡大だけでなく、そうした埋もれた原石の発掘にも取り組む必要があるのではないでしょうか。

●ギフトを疎んじる教師、ギフトに依存する親

前述のような埋もれた原石は、ウィルのような悲惨な環境で育っていなくても、学校には適応しにくいものです。そのため、ギフトを持っているかどうかの判断に、学歴や学業成績はモノサシとしての役割を果たしません。

彼らの才能と、不適応は、表裏です。社会的マイノリティに陥りやすいのは、やむをえません。

なぜなら、創造的な人々は、生物学的に脆弱な因子を持っている可能性が指摘されているからです(※4)。

生物学的脆弱性モデルによれば、そのような因子によって情報のフィルタリング機能が損なわれると、膨大な情報が脳内にあふれます(※5)。

ところが、巨大なワーキングメモリーと高速パーサー(≒高知能)を併せ持つ者は、膨大な情報を処理して創造的な活動に利用できるというわけです。

しかしながら、その処理能力は、常に発揮されるとは限りません。ストレスの多い環境では、膨大な情報の渦に引きずり込まれ、映画「ビューティフル・マインド」の数学者、ナッシュ博士のようになる恐れすらあります(※6)。

つまり、情報を活用して創造性に転じるか、情報を処理しきれず狂気に陥るかは、まさに紙一重なのです。

天与の才というギフトは、一人の天才を世に送りだすために、99人の廃人を作りだす遺伝上のシステムに思えてなりません。

もっとも、筆者は、独創性には、生物学的脆弱性以外にも、いくつかの要素が必要であるという考えです。

生物学的脆弱性は、既に現象化した情報に作用するものであり、まだ現象化されていない情報に作用するとは考えられないからです。それだけでは、プラトン的世界に接続する人々の能力を説明できません(※7)。

どのような機序があるにせよ、紙一重でどちらに転ぶか分からない不安定な脳を持つ生徒は、ウィル同様、教師にとっては頭痛のタネでしょう。

与えられた課題に単純に答えるよりも、課題の意味を考え、早くカリキュラムを消化したい教師の意図に反して、問題を掘り下げて穴に潜ってしまうのですから(※8)。

そのうえ彼らは、常に膨大な情報を処理しているため、雑音に満ちた教室を嫌い、ひとりになりたがるかもしれません(※9)。

その意味では、教師なら、埋もれた原石を見つけられます。「面倒くさくてイヤな生徒」こそ、おそらく原石に違いありません。

では、教師よりも先に親が才能に気付くかといえば、気付いて伸ばせる親もいれば、気付くことさえ不可能な親もいることでしょう。

後者は、親自身が、脆弱性因子のために、社会不適応を起こしているケースです。もし、親族も同様の因子を持っていると、ハイスペックな子が一人で、複数の困った人たちを支える構造になってしまいます。

行政や世間は、親子間扶養義務や「親孝行」をうたっているため、こどもたちは自分のギフトから目をそらし、サポート一筋の一生を終えることになるかもしれません。

気付いて育むことのできる親と、気付かない親、その両者の割合がどの程度か、筆者には知る由もありません。

先達のプログラマたちは、コミュニティ活動の中で、ギフトを持つこどもに出会うことがあるかもしれません。そのこどもの保護者は、こどもと意思疎通のできる人なのでしょう。困った大人たちに囲まれているこどもは、そういったイベントには参加しにくく、出会う機会は限られると思います。

もし、彼らの基本的な生活が保証され、PCとインターネット接続環境が用意され、精神の安定する場所があるならば、彼らは自ら学び、短期間で、実務レベルのスキルを身に付けるでしょう。

歌手や俳優やスポーツ選手には低年齢の者もいるのですから、行動に責任を負うことが要求される年齢以上であれば(改正少年法から考えれば13歳以上)、学生プログラマのドラフト制度があってもよいかもしれません。

いくつかの国では、原石を発掘するため、心理学者や教育者が試行錯誤をしているようです。日本は、周回遅れだといわざるをえません。

●「普通であれ」という同調圧力が、能力を潰す

教師が原石を見つけたとしても、彼らを育む公的な環境の整備は、立ち遅れています。

そのため、ギフトを持つこどもたちの行く末は悲しいものになることがありました。狂気に陥る者もいれば、自裁を選ぶ者もいます。彼らをして、自らの不幸へとアクセルを踏ませるものは何なのでしょうか?

ひとつは、能力に凹凸がないことを歓迎する大人たちの(ギフトに対してというよりも、高い処理能力に対する)無理解です。

大人の自分ができないのだから、こどもにはできるはずがないと思い込み、低すぎる目標を設定し、生ぬるい課題を与えます。

また、話がかみ合わない時、自分が物事の表面しか見ていないことに気付きません。たとえるなら、斬新な企画の背景を説明する新人と、企画書の体裁を注意する管理職の話が噛み合わない状況です。

そのうえ、この国には、こどもたちの能力に生来の差はなく、死ぬ気で頑張れば、誰でも同程度にできるようになるという幻想がはびこっています。

それは根性主義の奇妙な考えです。たとえば、筆者は一億年ボールを蹴り続けても芸術的なシュートは打てませんし、一億年演技指導を受けても他の人を演じるなんてできません。努力すれば、昨日の自分よりはうまくなるでしょうが、ギフトを持つ者とは到達点が違うのです。個体差を認めて受け入れるべきです。

そして、困ったことに、大人たちの中には、こどもの知能が関係する成果に対して、恐怖感をおぼえる人がいます。

ヒトのプロパティは、運動能力、歌唱力、話し方、手先の器用さ、味覚、記憶力、理解速度、思考力など、多岐にわたります。知能に関するプロパティは、そのなかのいくつかにすぎません。

歌の上手な幼児を無条件で褒めるのならば、プログラミングに秀でた幼児も無条件で褒めるべきではないでしょうか。

無理解な大人たちの背中を見ているクラスメートたちは、「あなたが何もできない人間なら、受け入れて、仲間にする」という強烈なメッセージを放ちます。標準ではないということが、いじめの理由になりかねません。

ギフトを持つこどもたちは、いじめから逃れるために、何もできない人間を演じたり、物理的に脳の活動を低下させようとします。歩かなければ脚の筋肉が衰えるように、脳の活動を封じる期間が長引けば、能力は衰えます。昔神童今タダの人という言葉は、廃用症候群のことかもしれません(※10)。

「出すぎた杭は打たれない」とは言いますが、出ようとするのをかぎつけて、足を引っ張る大人たちに、こどもたちは太刀打ちできません。能力を伸ばすことに使うはずのエネルギーを、大人たちのパワハラに抵抗することに使いはたしてしまいます。

原石を発掘して育成することは非常に困難ですが、社会から脱落させるのは実に簡単です。

これまで、この国の大人たちは、ギフトをもつこどもたちの人生を、将来社会に還元されるはずの利益を、そうやって潰してきたのです。

このような愚は、もう、終わりにしなければなりません。

●親、教師、技術者たちにできること

多くの大人たちは、ギフトを持つこどもたちに向き合うことを避けようとします。こどもたちの声を聴かないので、したほうがよいことと、してはいけないことを、勘違いします。

彼らにとって必要なのは、「大人たちが、彼らにとってプラスになるであろうと考えたこと」を実践することではなく、「彼らがマイナスになっていると実感していること(足を引っ張っている要素)」を取り除くことです。

具体的には、たとえば、次のようなことだと考えます。

◇大人の人生経験を押し付けない

大人の助言は、過去の情報に基づく判断でしかありません。一方、こどもたちに必要なのは未来の情報に基づく判断です。

社会は変わります。過去の成功体験は、未来の成功を保証しません。人生経験の年数が長くても、予測力を持たない大人の助言は、的外れです。予測力を持つこどもたちの判断を尊重すべきです。

◇努力を無理強いしない

こどもの適性や体調や友人たちとの事情を考慮せず、スケジュールや課題を強制すると、ストレスから病気を引き起こしかねません。幼木は自ら、自分の速度で、育つべき形に成長します。枝を無理やり引っ張る必要も、型にはめる必要もありません。「人生の先達として導いてやるのだ」という傲慢さを戒めなければなりません。

◇こどもをライバル視しない

親自身が褒められたいために、こどもをライバル視したり、こどもの能力を過小評価したところで、「こどもより優れたすばらしい親である」などと評価されることはないでしょう。

こどもの成果は褒めず、成果をのこさないことに対して叱るのも、考えものです。「ほめられる」と「叱られない」は、同じではありません。叱るだけでは、こどもは怯えてしまうでしょう。

◇こどもを受容する言葉を伝える

親は、「あなたが生まれてきてよかった」という姿勢を、人生の早期から、見せ続けるほうがよいと思います。

映画「リトルマン・テイト」(※11)のように、こどもと一緒にいるときに親が幸せであることが、こどもにとっては最も大切なことではないでしょうか。

◇言語によるコミュニケーションを強制しない

発見や創造には、言語による思考よりも、概念による思考のほうが必要です。言語は思考に不可欠な道具ではありません。言葉を話し始める前の乳児は、概念で考えています。

言語を使って考える時間が増えると、概念による思考が難しくなります。話し言葉による過度なコミュニケーションを強制すると、概念を扱えなくなるリスクがあることを知っておかなければなりません。

◇長時間集中タイプに合ったカリキュラムを作る

少なくないプログラマたちが、電話や会議から逃れて仕事に集中したいと考えています。同じように、創造的なこどもも、プログラミングを習得するなら、他の教科の合間にコードを書きたくはないでしょう。

複数の教科を一時間ずつこなし、その都度頭をリセットするカリキュラムは、長時間集中タイプのこどもには適していません。一学期の間、得意な一教科に集中できるようなカリキュラムが検討されるべきです。

たとえば、一学期の間にアプリを一本開発し、一年の終わりに10人のユーザーから星5つを獲得していれば単位を認定するなどです。

◇個体差に合わせた授業システムをつくる

全員に同じ授業を受けさせ、同じ宿題を与える方法は、既に破たんしています。ただし、筆者は、習熟別クラスには消極的反対の立場です。

なぜなら、未成年者の成績は、家庭環境に大いに左右されるからです。親の病気や失職や不仲などと、一年に何度かのテストが重なったために、こどもが失敗して這い上がれなくなる状況を危惧します。

流動性のある曖昧な方法ならばよいかもしれません。たとえば、月一回テストを行い、既定の点数をクリアした者については、図書室などをフリールームとしておき、自習の権利を与えるといった方法です。権利は行使してもよいし、しなくてもよいのです。

◇こどもに教師の代行を頼まない

プログラミングに限らず、どのような仕事でも、10できる者が9できる者に伝え、9できる者が8できる者に伝え、8できる者が7できる者に伝える……という方法なら、コミュニケーションロスを低く抑えられます。

ところが、教師は、しばしば、高い能力を持つこどもに教師の代役を依頼します。10できるこどもが、1できるこどもに伝達するのは非常に効率が悪く、仲良しの二人であっても疲れ果ててしまいます。友情をはぐくむためなら一緒に遊べばよいのであって、勉強を教える必要はありません。教師の仕事は教師が行うべきです。

◇ステレオタイプな「こども向け」を強制しない

ギフトを持つこどもには、かわいいキャラクターを使ったり、擬人化したり、比喩で説明する必要はありません。不要な要素を追加して、情報量を増やすことは歓迎されないでしょう。テキストの漢字にルビを振る必要も、専門用語を平易な日常語に置き換える必要もありません。英語表記の専門用語もそのままでよいでしょう(※12)。

開発テーマを一緒に考えて、英語版の Visual Studio を与えて自習させるのも、ひとつの方法です。教師の役割は、開発物のレビューです。

◇貧富の差に影響されず学べる環境を作る

言語の仕様書の入手や、無料のセミナー受講、クラウドの利用、海外の大学の講義の視聴だけでなく、開発したアプリや制作したコンテンツのアップロードにもインターネットは不可欠です。

すべての家庭に「上りの速い」回線が普及することが重要です(マンションのオーナーさんたちには日本の未来のために考えてほしいものです)。

PCは安価になったとはいえ、経済的に余裕のない家庭には厳しい価格です。企業の使わなくなったPCのデータを完全に消去して非課税家庭に配布したり、奨学生にPCも付けて貸与したり、アプリのダウンロード数で奨学金の利率を変えるなど、なにか新しいしくみが必要です。


今回は、新年のはじめの号ということで、将来、日本のIT業界を担うプログラマとなる可能性のある、見知らぬこどもたちの置かれている環境と、その問題点について述べてみました。

個人の力で、できることもあれば、できないこともあります。

先達のプログラマは、こどもの参加できるコミュニティを運営する、体験型セミナーを開催する、無料で読める記事を書く、など自分のできる範囲で活動するとよいのではないでしょうか。リソースのURIを紹介するだけでも、それを探しているこどもには、大いに役立つことでしょう。


※1 ギフテッドとは、単に、生物学的脆弱性とそれを制御可能なスペックの持ち主であって、天才ではありません。たとえば、売るつもりのない絵を描く画家、脳内のみに書き続ける詩人、何も解かないまま亡くなる在野の数学者です。

(古い本で恐縮ですが)コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」で取り上げられている人々は、ギフテッドの特徴をよく表しています。ギフトの有無に関係なく、人類に貢献する成果を上げた人こそが「天才」ではないでしょうか。

※2「グッド・ウィル・ハンティング」は、1997年度米アカデミー賞にノミネートされ、助演のロビン・ウィリアムズと、脚本のマット・ディモン&ベン・アフレックが、2部門を受賞した作品。

エンディングに流れる、スターランド・ヴォーカル・バンドの「アフタヌーン・ディライト」という爬虫類脳全開の浅い歌詞が象徴するように、ギフテッドは主人公のプロパティにすぎず、それがテーマの映画ではありません。友情と相互理解を軸に据えた、さわやかな青春映画です。

※3 昨年末の「デジクリ筆者の「ゆく年来る年」参照。
< https://bn.dgcr.com/archives/20131231140000.html
>

※4 日経サイエンス 2013年6月号「特集 天才能の秘密」(S.カーソン、"The Unleashed Mind")。共有脆弱性についての詳しい解説があります。
< http://scienceportal.jp/news/nikkeidigest/1305/130531.html
>

※5 創造性とフィルターの関係については、筆者の過去連載「Webプランニングから始めよう(日経IT Pro)」の「第9回 良いアイデアがわく人とわかない人はココが違う(2006年12月21日掲載)」の図1を参照。
< http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061211/256567/?ST=develop
>

※6「ビューティフル・マインド」(2001年、米)。ラッセル・クロウ主演。数学者、ジョン・ナッシュの半生を、数学的発見、統合失調症との戦い、サポートに苦闘する妻の人生を交差させながら描いた作品。描写はすばらしいのですが、感動させようとする作為が目につく部分も。書籍に「ビューティフル・マインド 天才数学者の絶望と奇跡」 シルヴィア・ナサー(著)、塩川優(訳)があります。

※7 生物学的脆弱性を引き起こす遺伝子変異は、統合失調症に関連していると言われています(日経サイエンス 2013年6月号)。

また、おそらくは、プラトン的世界への接続には、複数の要素が必要であり、その中のひとつは、過剰連結症候群に関連していると思われます(過剰連結症候群は、側頭葉てんかんの一種。参考文献:てんかん学ハンドブック第2版、兼本浩祐、医学書院)。つまり、独創性は、不安定な脳から生まれやすいということです。

※8 彼らが深く掘り進めた穴から出てきた時には、授業は進んでしまっており、穴の周りには誰もおらず、一人出遅れる状態になるということもあります。優秀すぎるがゆえに落ちこぼれるという、本末転倒が起こりえます。

※9 その現象だけを見れば、発達障害の聴覚過敏と誤認されることでしょう。

※10 ADHDや認知症の薬のように、脳に作用する薬が近年、続々と認可されています。将来的には、能力も薬剤によって(あるいは遺伝子レベルで)修正できるようになるでしょう。そのとき、ギフトを潰したこどもは、人為的にギフトを得たこどもたちとの差に絶望することになるでしょう。

※11「リトルマン・テイト」(1991年米)ジョディ・フォスター監督・出演。ギフテッドのこどもを持つ母親の戸惑いと奮闘を描きます。母と子のおだやかな関係がほほえましい、品のよい作品です。

※12 筆者が以前、小学生も読者対象として書いた「実習 Windowsプログラミングはじめの一歩(2007年10月刊)」では、多少の比喩は使っているものの、ルビは振らず、英語表記もそのままにしました。大人たちは、こどもたちの飛躍する想像力と推測力を過小評価し過ぎていると思います。

もちろん、ギフトを持たない児童を含む講習には、こどもたちの興味をひく楽しい教材が必要です。

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オンラインでマイクロソフト テクノロジを学習できるサイト。
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トピック別コースには、Aspiring Technologists、C# / XAML、HTML5、Virtualization、Managing Desktop & Devices、Server Infrastructure、製品別コースには、Windows、Windows Server、Windows Azure、System Center、SQL Server、Visual Studioがある。
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・Micrsoft Showcase
< http://www.microsoft.com/en-us/showcase/
>

・Microsoft Surface 2
< http://www.microsoft.com/surface/ja-jp
>

・Windows 8.1
< http://windows.microsoft.com/ja-jp/windows/home
>

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■シングル「チェンジ・ザ・ブレイン / Change The Brain」(2011年8月1日〜発売中)

巡音ルカが歌うポップスです。
「Change The Brain」では、本記事にも書いた問題を取り上げています。
< http://lyric.seindesign.net/info/ChangeTheBrain.htm
>

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【薬師寺聖/個人事業所 セイザインデザイン】
個人事業所 < http://www.seindesign.net/
>
< infosei@seindesign.net >

絵・音・詩・文・コードを扱うフリーのクリエーター、思索家。
エンジニアリング会社を経てデザイン事務所に勤務後、XML1.0勧告翌月に退職して開業。科学技術や医療・福祉分野のXML案件を手がけながら、書籍や記事を多数執筆(PROJECT KySS名義)。
現在は、受託業務から独自開発にシフト中。
Microsoft MVP for Client Development(Oct 2003-Sep 2014)


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編集後記(01/10)

■2014年、明けましておめでとうございます(松の内を過ぎてますが)。
ご愛読のみなさま、今年もどうぞよろしく願いいたします。筆者及びサポートくださるみなさんもよろしくねっ! デジクリは今年の4月13日に満16歳となります。このままいくと、22歳の年には東京オリンピックが開催されます。それまで走り続けられるかどうか、正直わかりませんけど、今年もひとまずスタートしました。

●ふだんテレビドラマはまったく見ないのだが(「半沢」は後半見たけど)、1月2日の18時から5時間かけて放送された新春ワイド時代劇「影武者 徳川家康」(原作・隆慶一郎)を見てしまった。主題は家康に成り代わった影武者の世良田二郎三郎と、次々と謀略を繰出してくる卑劣な秀忠との15年にわたる暗闘を描いたもの。5時間ではとうてい描ききれるものではない。それでも、ダイジェストながらまあ面白くまとめられていた。原作では影武者サイドのチームワークが話の急所だが、ドラマではそれほどでもなかったのが残念。

新聞広告にあった、主演の世良田二郎三郎・西田敏行、島左近・高橋英樹、お梶の方・観月ありさはわかった。他のキャストを確認しないで見始めたが、さっぱり誰だかわからない。かろうじて淀君の名取裕子、石田三成の及川光博くらいは気がついたが、他は重要キャラであってもわからない(もともと俳優の名前はよく知らないのだが)。後でキャストを見たらけっこう豪華だった。悪役の徳川秀忠を山本耕史がみごとに演じていた。

新潮文庫の「影武者 徳川家康」、分厚い三冊を持ち出す。この20年で三度読み通したが、いつも満足してきた。わたしのオールタイムベスト小説の5位以内は確実だ。また拾い読みをしたら、いかん、引き込まれてしまう。いまこれにとりかかったら、ふたつの図書館から借りた15冊もの本が読み終わらないではないか。映画DVDは10本見た。うち「名画」を4本。字幕ものは聞き逃しがないからいいな。というわけで、だらだら過ごした年末年始であった。今回もHDD内の大掃除はできなかった。GW休みにはきっと……。(柴田)


●やしきたかじんさんの訃報に驚いた。一度は回復されていたのに。ご冥福をお祈りいたします。

ある忘年会で近況を聞かれた。仕事について問われたようなのだが、まわりの空気がそのような返答を求めていなかったような気がして、「大阪マラソンに出ましたよ〜」と返した。

すると、「彼女もだよ」と、会社としては長年おつきあいはあるものの、さほど会話をしたことのない女性を示された。仕事の関係で遅れて行ったのと、外様なので大人しくしていたのに、興奮してしまい、5mほど離れた違うテーブル同士が大声で会話。

「えっ、○○さんもですか? あっ、でも私は出たといってもチャレンジランで〜」「私も! 初マラソンだったの」「えっ、私もですよ!」とヒートアップ。2,109人(完走者)×女子48.1%で、約1,014人のうちの2人が偶然同じ場所に。年齢も近い(たぶん)。なんなのこの奇跡!

タイムを聞かれて、彼女の方が速く、(ほ、本気じゃなかったもん、余力ありまくったもん)と心の中でつぶやいた。悔しかったようだ(笑)。2人ともまわりの影響でなんとなく応募してしまい、当日楽しんではまったクチ。彼女は4月までにハーフに挑戦し、次の大阪マラソンではフルの予定。ハーフの予定は違うものの、同じくフルを大阪マラソンでと思っていたので、お互い当たることを祈りつつ、興奮したままで別れた。参加できたらいいのにな〜。(hammer.mule)

< http://www.osaka-marathon.com/faust/
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大阪マラソンがファウストA.G.アワード2013の特別賞を受賞
< http://www.osaka-marathon.com/result/
>
大会結果